JP2001514077A - 二次元曲げ制御を有する高精度圧延機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 二次元的に制御されたロールたわみを有する圧延機であって、この圧延機には主に、圧延スタンドであるフレームと、複数のロールと、ロール受け台とが備えられている。圧延作業中のロールのたわみを最小化するため、本発明は、フレームと、ロール受け台と、フレームとロール受け台との間に設けられた中間支持装置とからなる二次元支持装置を備えている。中間支持装置は、ネジ下げ手段、水平ブロック、および垂直ブロックを備えている。そのような構成を有する圧延機によってロールのたわみを除去することができる。したがって、圧延されたストリップあるいは板材の断面厚さの誤差が最小限に抑えられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は一般に、板材およびストリップを製造するのに用いられる圧延機、特
にロールのたわみが二次元方向において制御される圧延機に関するものである。
その装置によって圧延された板材およびストリップは、その断面において非常に
高い厚さ精度を有している。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、板材およびストリップを圧延する圧延機には、さまざまな種類のもの
があるとともに、それらのものはロールの数によってツーハイ圧延機、フォーハ
イ圧延機、およびクラスタ圧延機に分類されている。しかし、最も一般的に使用
されている圧延機は、フォーハイ圧延機、HC圧延機、およびクラスタ圧延機など
である。ツーハイタイプの圧延機、フォーハイタイプの圧延機には、多くの欠点
が見られる。その中の主たる欠点としては、圧延される部材が圧延スタンドを通
過する場合、加圧装置がロールのネック部に配置されているために、ロールに大
きな曲げ変形が生じるとともに、ロールのその変形は圧延された製品（圧延され
た板材およびストリップ）の断面に厚さ誤差を生じさせ、そのため圧延された製
品の品質に大きな影響を与えてしまうことになる。このような問題を解決するた
め、ロールの直径を増加させる方法が取られ、かつフォーハイ圧延機においては
支持ロールの直径を増加させる方法も取られた。しかしながら、ロールの直径が
増加するに従って圧延力が急激に増加することは避けられず、かつ圧延力の変化
は続いてロールの曲げ変形の増加を生じさせている。

【０００３】 クラスタ圧延機には、一体型ハウジングタイプの圧延機および開放形の圧延機
（図１および図２に示す）が含まれる。日本国特許第 54-1259 号公報には、タ ワー状のロール装置を備えたクラスタ圧延機が開示されている。もちろんそのよ
うな圧延機のすべては高い剛性を持っているといった利点を有しているが、クラ
スタ圧延機では支持ロールと接触する圧延スタンドの部分に圧延力下で依然とし
て曲げ変形が存在し、それによってワーキングロールにたわみ変形が生じるとと
もに、結果として圧延された製品の厚さの均一性に影響を与えてしまっている。

【０００４】 圧延された製品の厚さに対するロールのたわみ変形の影響を減らすかあるいは
排除するといったロールのたわみ変形問題に対する解決策は、圧延力の変化によ
る影響を受けないワーキングロールのたわみ変形を生じさせるワーキングロール
間の間隙状態を制御することにある。中国特許（出願番号第 89101393 号、発行
番号 CN 1013250B）には、“低たわみ性および高剛性のロールを備えた圧延機”
が開示されている。上記目的を達成するためこの特許発明では、タワー状のロー
ル装置の最も外側の部分で支持ロールが多断面ビームの形態でロール支持体に支
持されている。ワーキングロールに作用する圧延力は、ロール装置を経由して上
側ロール支持体および下側ロール支持体にそれぞれ伝達される。ロール支持体が
受ける力の垂直成分は、下方向に作用する装置や上方向に作用する装置あるいは
パッドと同様な部材を経由して圧延スタンドに伝達される。下方向に作用する装
置あるいは上方向に作用する装置の数は少なくとも二つであり、かつ下方向に作
用する装置あるいは上方向に作用する装置の設けられる位置はロール支持体上に
存在するワーキングロールの軸線中央部である。この特許発明の解決策は、垂直
面内で圧延力によって実質的に変化しないロール支持体のたわみ変形を生じさせ
、それによって圧延された製品の断面において厚さ誤差を効果的に減らしている
ものであることが理解できる。しかしながら、タワー状のロール装置を有するク
ラスタ圧延機において、ワーキングロールから中間ロールに伝達された力は、垂
直成分と水平成分とを有しており、そのため周囲にある支持ロールはかなり大き
い水平成分力も受けることになる。中国特許第 89101393 号に開示された圧延装
置において、水平成分力はロール支持体が水平方向のたわみ変形を受け持つよう
にしており、それによって中間ロールおよびワーキングロールがより大きなたわ
み変形を受け持つようにしている。

【０００５】 上述したように、クラスタ圧延機のワーキングロールのたわみ変形の問題を解
決するためには、垂直成分力によって受けるたわみ変形だけでなく水平成分力に
よって受けるたわみ変形も減少させる必要があり、ワーキングロールをまっすぐ
に保持することができかつ圧延された製品の断面における厚さ精度が増加される
よう、二次元方向における変形の問題を解決することが要求されるのである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】

したがって、本発明はロールの二次元たわみ変形の問題を解決することを目的
としている。すなわち、本発明は垂直方向におけるたわみ変形ばかりでなく、水
平方向におけるたわみ変形も減らすことができるものである。よって、本発明の
目的は高精度の圧延機を提供することである。これは従来のものと比較して、本
発明の圧延機が圧延力を受ける場合に、ロールのたわみ変形を著しく減少させ、
その結果、圧延された製品の断面における厚さ誤差を減少させるとともに圧延さ
れた製品の寸法精度を向上させることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上述した目的を達成するため，本発明の実施形態は以下のように構成されてい
る。板材およびストリップを圧延するための圧延機は、圧延スタンドと、上側ロ
ール装置および下側ロール装置と、上側ロール支持体および下側ロール支持体と
を備えている。圧延スタンドはフレーム形状を有しかつ圧延力に耐え得るもので
あるとともに、ロール装置のような圧延機の全部品および全構成部材がフレーム
内に組み込まれているものである。ロール装置はタワーのような形状を有するよ
うに配置されている。このロール装置は三つの部分、すなわちワーキングロール
、支持ロール、および中間ロールからなっている。ロール装置の最も外側に配置
された上側支持ロールおよび下側支持ロールは、それぞれ多断面ビームの形態で
上側ロール支持体および下側ロール支持体に支持され、かつ上側ロール支持体は
ロール間の間隙の大きさを調整する必要がある場合に上下移動させることができ
る。本発明による圧延機は、圧延スタンドと、ロール支持体と、フレームおよび
ロール支持体間の中間支持手段とで、通常二次元支持装置を構成することを特徴
とするものである。中間支持手段は上側ロール支持体および下側ロール支持体の
少なくともいずれか一方に設けられ、かつワーキングロールのロール本体の軸線
中央部にワーキングロールのロール本体長さより短くなるよう設けられている。
この中間支持手段は加圧装置および水平パッドを備えるものである。中間支持手
段は上側ロール支持体の上方に配置されかつ圧延スタンド内に位置する少なくと
も二つの加圧装置を有している。下側ロール支持体は水平パッドによって支持さ
れている。また、加圧装置および水平パッドはともに、ロール支持体に設けられ
たワーキングロールのロール本体の軸線中央部領域に配置されている。本発明で
は、垂直方向に沿って上側垂直パッドセットおよび下側垂直パッドセットも設け
られている。それらはそれぞれ、上側ロール支持体および下側ロール支持体の両
側壁に配置されるとともに、圧延スタンドの側壁に支持されるものである。また
、上側垂直パッドセットおよび下側垂直パッドセットはそれぞれ、水平成分力に
よるたわみ変形を防止するために二つの楔形部材から構成されている。圧延スタ
ンドの形状は、ロール支持体の形状と組み合うように形成されている。

【０００８】

【発明の実施の形態】

本発明の実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明するとともに、それに
より本発明の目的をさらに明らかなものとしている。

【０００９】 図１から図３は、一般的に使用されている従来の圧延機を示す概略図である。
これらの構造では、圧延作業中に圧延機がたわんでしまうことは避けられず、か
つこのことは圧延された製品の品質に直接影響を与えてしまうものである。すな
わち、圧延された製品の表面精度、特に板材の厚さ精度を所望のものとすること
ができないのである。

【００１０】 図４から図７は、本発明による二次元的に制御される曲げを有する高精度圧延
機の第１実施形態を示す図である。図４に示すように、二次元支持装置は、フレ
ーム（圧延スタンド）１０と、ロール支持体４，５と、フレームおよびロール支
持体の間に設けられた中間支持手段とを備えるものである。フレーム１０内には
、上側ロール装置・下側ロール装置および上側ロール支持体・下側ロール支持体
などのような、主要部材および構成部材が設けられている。フレーム１０は、一
体で形成することもできるし、いくつかの部材を溶接あるいは他の結合方法によ
って互いに結合して形成することもできる。上側ロール装置および下側ロール装
置はそれぞれ、ワーキングロール１と、中間ロール２と、支持ロール３とから構
成され、それらは互いにタワー状となってロール装置を構成している。圧延され
る部材を符号１２で示す。ロール装置の最も外側に位置する支持ロール３は、通
常二つ以上の断面ビーム（図５参照）である多断面ビームの形態で、上側ロール
支持体・下側ロール支持体４，５に支持されている。中間支持手段として、加圧
装置６が上側ロール支持体４とフレーム１０の内壁上部との間に設けられている
。加圧装置６は、ロール支持体４に取り付けられるとともに、ワーキングロール
の軸線中央部（通常、ワーキングロールのロール本体長さより内側）に配置され
ている。加圧装置６は上下移動可能とされているので、上側ロール支持体４は一
体フレーム１０内で上下移動できて、ロール間の間隙を調整できるようになって
いる。自動制御を行う場合、加圧装置に圧延力およびロール間の間隙の大きさを
正確に検知するような自動板厚制御装置（図示せず）を取り付けることもできる
。それにより、高精度な製品を自動化して製造することができる。

【００１１】 下側ロール支持体５とフレーム１０の内壁下部との間には、水平パッド７（図
４参照）が配置されている。この水平パッドは、ロール支持体の下側に設けられ
るとともに、ワーキングロールの軸線中央部（通常、ワーキングロールのロール
本体長さより内側）に設けられている。下側ロール支持体５は、水平パッド７に
よって支持されていることがはっきりとわかる。水平パッド７は種々のサイズの
ものを使用することができる。すなわち、水平パッドの厚さをいろいろな厚さの
ものとすることができる。圧延ラインの調整は、種々の厚さを有する水平パッド
７を使用することによって行うことができる。さらにまた、水平パッド７は、流
体装置あるいはジャッキ装置を用いることによって交換可能である。

【００１２】 図４、図６、および図７を参照されたい。図４から、上側ロール支持体４は、
加圧装置６によって垂直方向に支持されるとともに、フレーム１０の内側壁と上
側ロール支持体４との間に配置された二組の上部垂直パッドセット８，８によっ
て水平方向に支持されていることがはっきりとわかる。上部水平パッドセット８
，８はそれぞれ、上側ロール支持体４の左側および右側に設けられるとともに、
ワーキングロールの軸線中央部にロール本体長さより内側になるよう設けられて
いる。各上部垂直パッドセット８は、反対方向への傾斜（図６参照）を有する組
み合う二つの楔形部材から構成されている。同様に、下側ロール支持体５は、水
平パッド７で垂直方向に支持されているとともに、フレーム１０の内側壁と下側
ロール支持体５との間に配置された下部垂直パッドセット９，９によって水平方
向に支持されている。下部水平パッドセット９，９はそれぞれ、下側ロール支持
体５の左側および右側に設けられるとともに、ワーキングロールの軸線中央部に
ロール本体長さより内側になるよう設けられている。下部垂直パッドセット９も
また、組み合う楔形部材（図７参照）から構成されている。下側ロール支持体５
は、水平パッド７および下部垂直パッドセットとともにフレーム１０上に支持さ
れ、かつ上側ロール支持体４は、上部垂直パッドセット８および加圧装置６とと
もにフレーム１０上に支持されている。

【００１３】 上述した本発明による圧延機の構成によれば、ロールのたわみを実質的に減ら
すことができる。というのは、フレーム、ロール支持体、およびこのフレームと
ロール支持体との間の中間支持手段は、互いに二次元支持装置を構成しているか
らであり、言いかえれば、垂直方向および水平方向の両方で支持されているから
である。なかでも特に、上側ロール支持体・下側ロール支持体、支持ロール、中
間ロール、およびワーキングロールがすべて、水平方向および垂直方向の両方で
支持されているからである。ワーキングロールが受ける圧延力は、ワーキングロ
ールおよび中間ロールを介して支持ロールに伝達される。支持ロールは、軸（図
５参照）上に取り付けられた複数の裏付け軸受（backing bearings）を備えてい
る。それにより、圧延力が外輪に伝達されると軸受の外輪が回転するとともに、
その後圧延力は軸受を介して上側ロール支持体に伝達される。最終的に垂直分力
は加圧装置を経由してフレームの内壁上部に達するとともに、水平分力は垂直パ
ッドセットを経由してフレームの側壁に達する。同様に、ワーキングロールが受
ける圧延力は、中間ロールおよび支持ロールを経由して下側ロール支持体に伝達
され、同時に垂直分力は水平パッド７を経由してフレームの内壁下部に伝達され
るとともに、水平分力は垂直パッドセット９を経由してフレームの側壁に伝達さ
れる。力の伝達経路となる加圧装置、水平パッドセット、および垂直パッドセッ
トはすべて、ワーキングロールの軸線中央部にロール本体長さより内側になるよ
う設けられている。

【００１４】 したがって、本発明による圧延機は適切な形、言いかえれば垂直面内のみなら
ず水平面内でもワーキングロールの作り出す線を直線的なものとし、結果的に、
ワーキングロールのたわみ変形は、基本的に圧延力とともに変化しないようにな
っている。したがって、ロールのたわみ変形は著しく減らされ、圧延されたスト
リップの厚さ誤差を減らしている。

【００１５】 ロール間の間隙調整は、フレーム１０の枠内で上側ロール支持体４を上下移動
させることによってなされており、上側ロール支持体は、加圧装置によって駆動
されている。

【００１６】 本実施形態の圧延機は上下逆さまに配置することもできるとともに、それによ
って加圧装置は上方向に作用する装置となる。そのような形態でも同じ効果を奏
することができる。

【００１７】 流体加圧装置の代わりに、ネジ式装置とすることもできる。

【００１８】 図８および図９は、本発明の第２実施形態を示す図である。圧延機はまた、圧
延スタンド、ロール支持体、および圧延スタンドとロール支持体との間の中間支
持手段から構成された二次元支持装置を備えている。主な構成部材としては、フ
レーム１０、上側ロール支持体２４、下側ロール支持体２５、パッド２１、およ
びロール装置を備えている。各ロール装置はワーキングロール１、中間ロール２
、および支持ロール３を有している。第１実施形態のところでも述べたように、
ロール装置はまたタワー状となってロール装置を形成しているとともに、最も外
側に位置する支持ロール３はそれぞれ、多断面ビームの形態で、上側ロール支持
体・下側ロール支持体２４，２５上に支持されている。第２実施形態の第１実施
形態と異なる点は、中間支持手段において、第１実施形態の加圧装置６および上
部垂直パッドセット８の代わりに加圧装置２６，２７を設けるとともに、水平パ
ッド７および下部垂直パッドセット９の代わりに下部パッド２１を設けた点であ
る。これについては以下詳細に説明する。

【００１９】 図８を参照されたい。この図から、下側ロール支持体２５はフレーム１０と下
側ロール支持体２５との間に斜めに配置された二つのパッド２１を介してフレー
ム１０上に支持されていることがわかる。また、上側ロール支持体・下側ロール
支持体それぞれの外側壁は自身に形成された傾斜面を有し、この傾斜面は内側に
向かって傾斜しかつ各頂面に達していることがわかる。上側ロール支持体２４は
、図に示すようなネジ２７およびパッド２６から明らかに構成される加圧装置２
６，２７を介してフレーム１０に支持されている。加圧装置はロール支持体２４
（図９参照）に対称的に配置されている。正面から見ると、各パッド２６は上側
ロール支持体２４に形成された傾斜面の一つと合致する傾斜面を有している。一
組のネジ２７に形成されたネジ山は調整のために使用されるものである。ネジ山
が上側ロール支持体２４の上下移動を可能とし、それによりロール装置を上下移
動させてロール間の間隙を調整を行っていることは図から理解できる。水平分力
および垂直分力を含む圧延合力が上側ロール支持体２４に作用する場合、圧延合
力はネジパッドセット２６，２７に伝達されるとともに、最終的にフレーム１０
に伝達される。フレーム１０の形状は、ロール支持体２５，２４の形状と合致す
るものでなければならない。上側ロール支持体２４および下側ロール支持体２５
は傾斜した支持面を有しているので、フレーム１０は水平力および垂直力を支え
ることができる。力の伝達経路となる加圧装置２６，２７、パッド２１はすべて
、ワーキングロールの軸線中央部にロール本体長さより内側になるよう設けられ
ている。これにより、両方向へのフレームのたわみ変形は、ロール支持体からワ
ーキングロールまでの構成部材の疑似剛性変位に変えることができる。結果とし
て、二次元支持装置はワーキングロールのたわみ変形を減らしている。図９は、
図８のＤ−Ｄ線矢視断面図である。第２実施形態の構成および個々の構成部材の
形状は、図８および図９に明確に示している通りである。さらに、加圧装置の数
は二つ以上とすることもできる。

【００２０】 本実施形態の圧延機は上下逆さまに配置することもできるとともに、同じ効果
を奏することができる。

【００２１】 本実施形態におけるネジ式装置の代わりに、流体シリンダあるいは類似の装置
とすることができる。

【００２２】 図１０および図１１は、第３実施形態の概略図である。この図から、下側ロー
ル支持体３５および下部パッド３１は第２実施形態に示すものと同じ構成部材で
あることがわかる。第３実施形態と第２実施形態との間で異なる点は、加圧装置
３６，３７の配置が異なる点である。加圧装置３６，３７は、フレーム１０の上
面でフレーム１０の中心軸線に対して傾斜して取り付けられるとともに、対向し
て配置されているので、圧延機全体の構成をより合理的なものとすることができ
る。

【００２３】 第３実施形態において、圧延機によって発生する圧延力の伝達と、垂直分力お
よび水平分力といった力を支える部材とは、第２実施形態のものと同じである。
また、ワーキングロールのたわみ変形を減らすための二次元支持装置の原理およ
び機能も実質的に同じであるので、これらについては以下、繰り返して説明する
ことはしていない。

【００２４】 従来のものと比較して、本発明は以下のような有利な点を有している。 本発明の圧延機は、ロール支持体の形状と合致する形状を有しかつ非常に高い
剛性を有する一体型フレームを有し、ロール支持体およびフレーム間のパッドあ
るいは間隙調整装置は、ワーキングロールの軸線中央部にワーキングロールのロ
ール本体長さより内側になるよう設けられ、かつ本発明の圧延機は、二次元支持
装置を備えているので、これによりワーキングロールの作り出す線の形状は、垂
直面内のみならず水平面内でも確実に直線的なものとしているのである。結果と
して、ワーキングロールの曲げ変形は基本的に圧延力とともに変化することはな
く、圧延されたストリップの厚さ誤差を著しく減らすことになる。

【００２５】 本発明の圧延機は、圧延中のロール形状（反り）のデザインおよびロール形状
の制御をより簡単なものとすることができるものである。本発明の圧延機におい
て水平方向および垂直方向に生じるワーキングロールの曲げ変形は、圧延力とと
もに変化することはない。曲げ変形、展伸変形、熱膨張、および摩損などによる
反りと関連する種々の要因のなかで、最も重要なものである曲げ変形を考慮しな
いで済ませることができるとともに、熱膨張および摩損はわずかに変化する要因
であるので、圧延中のロール形状のデザインおよびロール形状の制御は、非常に
簡単なものとすることができる。さらに、従来の圧延機における二つのワーキン
グロールの曲げ変形によって形成された“圧延通路（roll pass）”が排除され ており、これにより金属の横方向への流れが容易にされ、かつ楔形の半加工品を
高精度ストリップに圧延できるという利点を有するとともに、ストリップのエッ
ジが細くなってしまう現象が大幅に改善されている。

【００２６】 本発明の上述した実施形態において、ロール装置内のロール数は１２であるが
、このロール装置はそれ以外のロール数を備えることもできる。さらに、異なる
ロール支持体は互いに組み合わせることができるとともに、従来の圧延機におけ
るロール支持体あるいはロール装置とも組み合わせることができる。

【００２７】 本発明は冷間圧延機に制限されるものではなく、またストリップを圧延する熱
間圧延機にも適用できるものである。

【００２８】 本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、当業者には、本明細書に記載さ
れた請求項の範囲を逸脱することなく、様々な変形実施が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従来の圧延機の概略図である。

【図２】 従来の開放形クラスタ圧延機の概略図である。

【図３】 日本国特許公報に開示された従来のクラスタ圧延機の概略図であ
る。

【図４】 本発明による圧延機の第１実施形態を示す正面断面図である。

【図５】 図４のＡ−Ａ線矢視断面図である。

【図６】 図４のＢ−Ｂ線矢視断面図である。

【図７】 図４のＣ−Ｃ線矢視断面図である。

【図８】 本発明による圧延機の第２実施形態を示す正面断面図である。

【図９】 図８のＤ−Ｄ線矢視断面図である。

【図１０】 本発明による圧延機の第３実施形態を示す正面断面図である。

【図１１】 図１０のＥ−Ｅ線矢視断面図である。

【符号の説明】

３ 支持ロール ４ ロール支持体 ５ ロール支持体 ６ 加圧装置 ７ 水平パッド ８ 垂直パッドセット ９ 垂直パッドセット １０ フレーム（圧延スタンド） ２１ パッド ２４ ロール支持体 ２５ ロール支持体 ２６ 加圧装置 ２７ 加圧装置 ３１ パッド ３４ ロール支持体 ３５ ロール支持体 ３６ 加圧装置 ３７ 加圧装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，Ｓ Ｄ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ， ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，Ｆ Ｉ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ， ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，Ｍ Ｘ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ， ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板材およびストリップを圧延するための圧延機であって、 圧延スタンド（１０）と、上側ロール装置および下側ロール装置と、上側ロー
   ル支持体および下側ロール支持体とを必須として備えてなり、 前記上側ロール装置および下側ロール装置は、タワーのような形状を有するよ
   うに配置されており、 圧延機のフレームと、ロール支持体と、フレームおよびロール支持体間の中間
   支持手段とは、互いに二次元支持装置を形成し、 前記中間支持手段は、前記上側ロール支持体および下側ロール支持体の少なく
   とも一方に配置され、かつワーキングロールのロール本体の軸線中央部に前記ワ
   ーキングロールのロール本体長さより短くなるよう設けられていることを特徴と
   する圧延機。
2. 【請求項２】 前記中間支持手段は加圧装置（６）および水平パッド（７）
   を備え、 前記加圧装置および前記水平パッドは、圧延スタンド（１０）内壁の上部およ
   び下部とロール支持体（４，５）の端面との間にそれぞれ取り付けられ、 前記中間支持手段は、圧延スタンド（１０）の内側壁とロール支持体（４，５
   ）の両側面との間にそれぞれ垂直に配置され、かつそれらを互いに緊密にはめ合
   わせる垂直パッドセット（８，９）をさらに備えることにより、圧延スタンド（
   １０）が前記ロール支持体に対して二次元支持を形成することを特徴とする請求
   項１に記載の圧延機。
3. 【請求項３】 前記フレーム（１０）は、その外壁に形成された外枠と一体
   に鋳造されたものあるいは溶接のような結合方法によって一つのものとなるよう
   に構成されたものであることを特徴とする請求項１に記載の圧延機。
4. 【請求項４】 支持ロール（３）が前記ロール装置の最も外側に配置され、 前記支持ロールは通常二断面以上を有する多断面ビームの形態とされているこ
   とを特徴とする請求項１に記載の圧延機。
5. 【請求項５】 前記加圧装置（６）は、ロール間の間隙を調整できるよう前
   記フレーム（１０）の中心軸線に沿って前記ロール支持体を上下垂直方向に移動
   させることができるものであることを特徴とする請求項２に記載の圧延機。
6. 【請求項６】 前記垂直パッドセット（８，９）はそれぞれ二組の楔形部材
   からなり、楔形部材各組の組み合う表面は互いに緊密にはめ合わせられているこ
   とを特徴とする請求項２に記載の圧延機。
7. 【請求項７】 前記中間支持手段は、前記フレーム（１０）の内壁と前記ロ
   ール支持体（２４，２５，３４，３５）との間にそれぞれ配置される加圧装置（
   ２６，２７，３６，３７）およびパッド（２１，３１）を備えることを特徴とす
   る請求項１に記載の圧延機。
8. 【請求項８】 前記各ロール支持体（２４，２５，３４，３５）の二つの外
   側壁は、それぞれ自身に形成された傾斜面を有し、この傾斜面は内側に向かって
   傾斜しかつ各頂面に達していることを特徴とする請求項１に記載の圧延機。
9. 【請求項９】 前記加圧装置（２６，２７，３６，３７）は、ネジ（２７，
   ３７）およびパッド（２６，３６）を備えるネジ−パッドセットであることを特
   徴とする請求項７に記載の圧延機。
10. 【請求項１０】 前記パッド（２６，３６）は、内側に向かって傾斜する前
    記ロール支持体に形成された対応傾斜面と合致する傾斜面を有していることを特
    徴とする請求項９に記載の圧延機。
11. 【請求項１１】 前記パッド（２１，３１）は、前記フレーム（１０）の下
    側に形成された傾斜した内壁および前記ロール支持体の傾斜面に対して緊密には
    め合わせられていることを特徴とする請求項７に記載の圧延機。
12. 【請求項１２】 前記ネジ−パッドセット（２６，２７，３６，３７）は、
    前記フレーム（１０）の中心軸線と平行に配置されかつ前記中心軸線の両側に均
    等に配置されていることを特徴とする請求項９に記載の圧延機。
13. 【請求項１３】 前記ネジ−パッドセット（２６，２７，３６，３７）は、
    前記フレーム（１０）の中心軸線に対して傾斜しかつ対称的に配置されているこ
    とを特徴とする請求項９に記載の圧延機。
14. 【請求項１４】 前記加圧装置および前記ネジ（２７，３７）は、流体シリ
    ンダからなることを特徴とする請求項２または７のいずれか一項に記載の圧延機
    。