JP2001508128A - 結合剤除去方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、タンタル粉末のようなプレスした粒状材料から形成した多孔質物品から水不溶性結合剤を除去する方法に関する。本発明は、キャパシタ製造のような高純度用途のための物品から結合剤を実質的に全て除去することができる方法を与える。本方法は、前記結合剤と反応してその水溶性誘導体を生ずる薬品の水溶液と前記物品とを接触させ、それによって前記結合剤誘導体を前記溶液に実質的に溶解することからなる。特別な態様として、誘導体は脂肪酸結合剤の加水分解により生ずる。

Description

【発明の詳細な説明】 結合剤除去方法 本発明は、結合剤／潤滑剤により結合された粒状物質をプレスすることにより 、物品を形成する分野に関し、詳しくは、プレスした後であって焼結する前に、 結合剤を除去した高純度焼結物品の部品を製造する方法に関する。 タンタルキャパシタを製造する場合、タンタル粉末と少量の結合剤／潤滑剤と を混合し、その混合物を圧搾成形して必要な形状物を形成し、次に真空中で結合 剤が昇華、蒸発、又は分解するように加熱して結合剤を除去することによりアノ ードを形成するのが典型的である。結合剤を除去した後、アノードを焼結し、粉 末を溶融して一体的物品にする。 電気的又は他の高純度用途で、結合剤／潤滑剤材料（以下、結合剤と呼ぶ）の 選択は、真空加熱工程後、炭素質残渣が殆ど又は全く残っておらず、除去工程に よってアノードに酸素が添加されないようにする必要条件により制約されている 。そのような残渣の存在は、焼結タンタル生成物上に付着したアノード酸化物膜 を劣化するためキャパシタの電気的性質を変える。現在用いられている結合剤に は、樟脳、或るワックス及び或る重合体が含まれる。 これらの結合剤を用いた場合でも、結合剤の不完全な除去又はその分解生成物 及び残渣のため、少量の炭素がアノードに付加されることは避けられない。更に 、除去のために用いた加熱工程のため、また結合剤自身の中に存在する酸素のた め、少量の酸素も存在する。 米国特許第５，４７０，５２５号明細書には、暖かい洗浄剤水溶液中で浸出し 、次にきれいな水で洗浄することによりタンタル粉末ペレットから結合剤を除去 する方法が記載されている。しかし、上記明細書に開示されている方法では、浸 出工程がかなり長い時間、典型的には何時間もかかる。 本発明の目的は、高純度用途のため結合剤を除去する方法で、既知の方法より も改良された方法を与えることにある。 本発明によれば、プレスした粒状材料から形成した多孔質物品から水不溶性結 合剤を除去する方法において、前記結合剤と反応してその水溶性誘導体を生ずる 薬品の水溶液と前記物品とを接触させ、それによって前記結合剤誘導体を前記溶 液に実質的に溶解することからなる結合剤除去方法が与えられる。 このように、本発明は、化学反応及び高度に溶解性の反応生成物の溶解により 結合剤を除去する。この方法で、従来法の複雑な蒸留又は高温加熱処理を用いる ことなく、既知の加熱浸出法よりもかなり速い速度で結合剤を除去することがで きる。 接触は、前記薬品を含有又はそれからなる流体中に物品を浸漬することにより 行なうことができる。これにより流体が物品の中にそこに存在する気孔を通って 入り、結合剤と接触する。 本発明の一つの態様として、物品を薬品の水溶液中に浸漬することにより接触 を行なう。 物品からの結合剤の除去を促進するため、水溶液は加熱してもよい。溶液の温 度は結合剤の融点よりも高いのが好ましく、それにより溶液中に浸漬した時、結 合剤が液化する。 結合剤材料は高級脂肪酸でもよい。この場合変性工程は、その酸をアルカリ性 溶液の存在下で加水分解することからなる。これにより脂肪酸の塩が形成され、 その塩が、溶液に溶解して結合剤の除去を行う。 好ましい脂肪酸は、ステアリン酸である。脂肪酸は安く、容易に入手でき、非 常に効果的な結合剤／潤滑剤である。しかし、今日まで高純度用途のためそれら を使用することは、プレス後、結合剤を完全に除去することは困難であること、 及び特にある高純度用途の場合に残渣のため損傷を与えるような炭素含有量が高 いことのため、制限されてきた。 本発明の別の態様として、結合剤は水不溶性結合剤材料と水溶性材料との混合 物からなる。そのような水溶性材料は、ポリエチレングリコールのような長鎖ア ルコールである。好ましい組合せはステアリン酸のような脂肪酸とポリエチレン グリコールである。ある態様では、脂肪酸５重量％以下を、グリコール５重量％ 以下に添加する。 ポリエチレングリコールは良好な結合剤であり、脂肪酸は良好な潤滑剤である 。 一緒にしてそれら２つの成分は、「未焼成(green)」物品の形成に良好な加工性 を与える混合物を形成する。 水溶液は、水の中で解離する水酸化物を添加することにより導入された水酸化 物イオンを含有する。典型的な例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸 化アンモニウム等である。 水酸化物は、物品の効果的な浸透を可能にする低い粘度を維持しながら、結合 剤との化学量論的反応を確実にする充分な割合で添加すべきである。 流体は、除去工程中撹拌するか、又は別な方法として動かすのがよい。別法と して、物品自身を浸漬中動かし、それにより物品中への流体の浸透を促進する。 適当な撹拌装置は当業者に知られている。 変性工程が完了したならば、物品中に残留する全ての結合剤誘導体を、奇麗な 水で物品を洗うことにより除去する。洗浄工程は変性結合剤の完全な除去が確実 に行われるように繰り返す。金属水酸化物溶液を用いた場合、洗浄工程の進行及 び効果を、各洗浄溶液の伝導度を測定することにより監視することができる。溶 液中に残留する金属イオンは、比較的大きな伝導度の読みを与える。 洗浄後、物品を乾燥し、次に焼結し、固化生成物を形成する。 粒子は金属、例えばニオブ、アルミニウム、タンタル、及びアノード処理可能 な他の金属である。一つの態様として、粒子はタンタル粉末からなる。物品をキ ャパシタのアノードになるように成形する。そのような物品は、大きさが約０． ６ｍｍの立方体から直径約６ｍｍ、長さ７ｍｍの円柱までの範囲にある。 本発明は特にタンタルキャパシタの製造に適用され、その場合にタンタル粉末 アノードを焼結タンタル粉末から形成し、次にキャパシタに組み込む。そのよう な製品では、形成されたキャパシタの正確で信頼性のある作動を確実に与えるた め、全ての結合剤又は結合剤残渣を、特にアノード表面上に炭素質付着物が形成 されるのを抑制することにより除去することが必須である。 次に本発明を実施する方法を単なる例として記述する。 タンタル粉末を少量（５重量％）のステアリン酸［ＣＨ₃−（ＣＨ₂）₁₆−ＣＯ ＯＨ］結合剤／潤滑剤と混合する。次に混合物をプレスして成形物品、この例で は固体キャパシタのアノード部品を形成する。 次に物品を、約８０℃に加熱した水酸化ナトリウム０．５％水溶液中に約３０ 分間浸漬し、反応を行わせる。この時間中、物品を撹拌し、溶液が物品の中へ完 全に浸透するようにし、更に反応生成物を溶液本体中へ溶解させながら、未反応 溶液を物品中へ連続的に導入するようにする。 反応／溶解工程が完了したならば、物品を溶液から取り出し、奇麗な水で洗浄 し、物品の気孔中に存在する残留ステアリン酸塩を除去する。洗浄工程は完全に 奇麗になるまで繰り返す。各工程後、洗浄溶液の伝導度を慣用的方法により測定 し、ナトリウムイオン濃度の指示を与える。ナトリウムイオンが洗浄除去される に従って、必要な奇麗さが達成されるまで、洗浄溶液の伝導度が低下する。 本発明の別の態様として結合剤はステアリン酸と、平均分子量２０００のポリ エチレングリコールからなる。その酸とグリコールは夫々（タンタル重量の％と して）４重量％及び０．５重量％で存在する。工程変量の残りは実質的に同じで ある。 本発明の方法で用いられる処理薬品は比較的危険が少なく、安価であり、環境 への影響が少なく、容易に捨てることができる。 本発明による方法で製造されたタンタルアノードは炭素含有量が非常に低い。 なぜなら、炭素質物質が実際上完全に除去されているからである。更に、本発明 の除去工程で使用される温度が低いため、結合剤除去工程中に付加される酸素の 量は無視できる。このため、完成物品の電気的特性は著しく改善されている。特 にキャパシタの信頼性は向上し使用中の漏洩電流は減少する。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】平成１０年１２月１９日（１９９８．１２．１９） 【補正内容】 請求の範囲 1. アノード処理可能な金属の粒子と結合剤との混合物を与え、該混合物をプ レスして未焼成物品を形成し、然る後、前記物品を焼結して前記粒子を溶融し、 一体的多孔質アノード本体を形成することからなる固体キャパシタの製法におい て、前記結合剤が水不溶性材料からなり、前記水不溶性材料と反応してそれの水 溶性誘導体を生ずる薬品の水溶液に前記未処理物品を接触させ、それによって前 記結合剤誘導体を前記溶液に実質的に溶解することにより、焼結前に前記結合剤 を除去することを特徴とする、上記製法。 2. 誘導体を加水分解により生成させる、請求項１記載の方法。 3. 結合剤は酸性材料からなり、溶液は水酸化物イオンを含む、請求項１又は ２のいずれか１項に記載の方法。 4. 水不溶性材料が脂肪酸からなる、請求項１〜３のいずれか１項に記載の方 法。 5. 結合剤は水溶性材料を更に含む、請求項１〜４のいずれか１項に記載の方 法。 6. 親水性材料がポリエチレングリコールである、請求項５記載の方法。 7. 粒子がタンタル粉末である、請求項１〜６のいずれか１項に記載の方法。 8. 実質的にこれまで記述してきた通りに、プレス済み粒状材料から形成した 多孔質物品から水不溶性結合剤を除去する方法。 9. 請求項１〜８のいずれか１項に記載の方法により製造されたキャパシタ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，ＬＳ，Ｍ Ｗ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ， ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，Ｅ Ｓ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＧＷ，ＨＵ，ＩＤ ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ， ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，Ｍ Ｇ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ， ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，Ｖ Ｎ，ＹＵ，ＺＷ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 1. プレスした粒状材料から形成した多孔質物品から水不溶性結合剤を除去す る方法において、前記結合剤と反応してその水溶性誘導体を生ずる薬品の水溶液 に前記物品を接触させ、それによって前記結合剤誘導体は前記溶液に実質的に溶 解する、上記方法。 2. 誘導体を加水分解により生成させる、請求項１記載の方法。 3. 結合剤は酸性材料からなり、溶液は水酸化物イオンを含む、請求項１又は ２のいずれか１項に記載の方法。 4. 結合剤が脂肪酸からなる、請求項１〜３のいずれか１項に記載の方法。 5. 結合剤が更に水溶性材料を含む、請求項１〜４のいずれか１項に記載の方 法。 6. 親水性材料がポリエチレングリコールである、請求項５記載の方法。 7. 粒状材料がタンタル粉末からなる、請求項１〜６のいずれか１項に記載の 方法。 8. 物品をキャパシタの電極になるように形成する、請求項１〜７のいずれか １項に記載の方法。 9. 実質的にこれまで記述してきた通りに、プレス済み粒状材料から形成した 多孔質物品から水不溶性結合剤を除去する方法。