JP2001350283A - 電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置

Info

Publication number
JP2001350283A
JP2001350283A JP2000170988A JP2000170988A JP2001350283A JP 2001350283 A JP2001350283 A JP 2001350283A JP 2000170988 A JP2000170988 A JP 2000170988A JP 2000170988 A JP2000170988 A JP 2000170988A JP 2001350283 A JP2001350283 A JP 2001350283A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atoms
layer
blocking layer
upper blocking
atom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000170988A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
Satoshi Furushima
聡 古島
Hiroaki Niino
博明 新納
Makoto Aoki
誠 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2000170988A priority Critical patent/JP2001350283A/ja
Publication of JP2001350283A publication Critical patent/JP2001350283A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電能、感度の向上と光メモリーの低減を高
次元で両立すとともに画像流れを低減して画像品質を飛
躍的に向上させた負帯電用電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 導電性支持体上に、シリコン原子を母体
とする非単結晶材料で構成される光導電層、上部阻止層
及び表面層を順次積層されてなる電子写真感光体におい
て、この上部阻止層はシリコン原子、水素原子、塩素原
子を含有し、且つ、水素原子に対する塩素原子の比が
0.025〜0.5であることを特徴とする負帯電用電
子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光(ここでは広義の
光であって、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等
を意味する。)のような電磁波に対して感受性のある電
子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材におけ
る光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、
SN比〔光電流(Ip)/暗電流(Id)〕が高く、照
射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクト
ルを有すること、光応答性が速く、所望の暗抵抗値を有
すること、使用時において人体に対して無害であること
等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィスで
使用される電子写真装置内に組み込まれる電子写真感光
体の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な
点である。
【0003】このような点に優れた性質を示す光導電材
料にアモルファスシリコン(以下、a−Siと表記す
る)があり、電子写真感光体の光受容部材として注目さ
れている。
【0004】このような光受容部材は、一般的には、導
電性支持体を50℃〜350℃に加熱し、該支持体上に
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成
膜法によりa−Siからなる光導電層を形成する。なか
でもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを高周波あ
るいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上
にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして実
用に付されている。
【0005】例えば、特開昭57−115556号公報
には、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光
導電部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、
光学的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さ
らには経時安定性について改善を図るため、シリコン原
子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層
上に、シリコン原子及び炭素原子を含む光導電性のアモ
ルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が記
載されている。さらに、特開昭60−67951号公報
には、a−Si、炭素、酸素及び弗素を含有してなる透
光絶縁性オーバーコート層を積層する感光体についての
技術が記載され、特開昭62−168161号公報に
は、表面層として、シリコン原子と炭素原子と41〜7
0原子%の水素原子を構成要素として含む非晶質材料を
用いる技術が記載されている。
【0006】そして、特開平6−282088号公報に
は、構成元素を規定した光電効果を有する半導体または
半絶縁体中にP−I−N接合またはN−I−P接合を設
けて、コントラストの大きな画像を得るための技術が開
示されており、特開平6−326043号公報に塩素原
子を0.005〜5原子%、水素原子を3〜25原子%
含有し、初期欠陥密度が3×1015個/cm3 以下の非
晶質シリコン膜により、長期にわたる連続した光照射に
対しても光電特性の経時的劣化が極めて小さくなる技術
が開示されている。さらに、特開平9−275222号
公報には、光学ギャップの異なる非晶質シリコン膜を2
層以上積層する際、基層及び基層上部に積層されるi型
非晶質シリコン層中の塩素含有量、空隙率を所定の範囲
に制御することで、高い光導電率を示し、優れた分光感
度及び光安定性の高い非晶質半導体素子が得られる技術
が開示されている。
【0007】これらの技術により、電子写真感光体の電
気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が向上
し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
a−Si系材料で構成された電子写真感光体は、暗抵抗
値、光感度、光応答性等の電気的、光学的、光導電特
性、及び使用環境特性の点、さらには経時安定性及び耐
久性の点において、各々個々には特性の向上が図られて
はいるが、総合的な特性向上を図る上でさらに改良され
る余地が存在するのが実情である。
【0009】特に、電子写真装置の高画質、高速化、高
耐久化は急速に進んでおり、電子写真感光体においては
電気的特性や光導電特性のさらなる向上とともに、帯電
能、感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に性能を延
ばすことが求められている。
【0010】例えば、a−Si系材料で構成された電子
写真感光体を負帯電用電子写真感光体として用いた場
合、以下のような現象が生じることがあった。
【0011】すなわち、露光によって生じた光生成キャ
リアが光導電層から表面層へ移動する過程において、光
導電層と表面層でのキャリアの走行性の違いに起因して
光導電層と表面層の界面近傍でキャリアの横流れが生
じ、画像流れが生じるという現象が使用条件によっては
起こることがあった。
【0012】さらに、近年の電子写真装置の高速度化、
小型化に伴い、帯電装置の小型化、被複写物が複写プロ
セスを通過する速度(以下、プロセススピードと称す
る)の増加が進み、帯電器内及び潜像露光における感光
体の通過時間が短くなり、高帯電能、高感度な感光体へ
の要求が高まってきた。加えて、露光から次の帯電まで
の時間が短くなるため、露光による光メモリーが発生し
易くなり、前回の複写履歴が画像上に現れる、いわゆる
ゴーストと呼ばれる現象が生じ易くなってきた。ゴース
トは除電露光を過剰に与えることによって抑止できる場
合もあるが、その際には帯電能、感度の低下が著しくな
り、帯電能、感度及びゴーストとが相容れない状況にな
る場合がある。
【0013】したがって、電子写真感光体を設計する際
に、上記のような問題が解決されるように電子写真感光
体の層構成、各層の化学的組成等総合的な観点からの改
良を図ることが必要とされている。
【0014】本発明は、上述した従来のa−Siで構成
された負帯電用電子写真感光体における課題を解決する
ことを目的とするものである。
【0015】すなわち、本発明の主たる目的は、帯電
能、感度の向上と光メモリーの低減を高次元で両立する
と共に画像流れを低減して画像品質を飛躍的に向上させ
た、シリコン原子を母体とした非単結晶材料で構成され
た負帯電用電子写真感光体を提供することにある。
【0016】そして、電気的、光学的、光導電的特性が
使用環境にほとんど影響されることなく実質的に常時安
定しており、耐光疲労に優れ、繰り返し使用に際しては
劣化現象を起こさず耐久性、耐湿性に優れ、残留電位が
ほとんど観測されず、さらに画像品質の良好な、負帯電
用電子写真感光体を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は光導電層と表面層の界面近傍におけるキ
ャリアの挙動及び構成に着目し、光導電層と表面層の界
面近傍を構成する原子とその含有量及び比率と画像流
れ、帯電能、感度や光メモリーとの関係について鋭意検
討した結果、シリコン原子、水素原子、塩素原子を含有
し、水素原子に対する塩素原子の比を特定の範囲内にし
たa−Si膜からなる層を光導電層と表面層の間に設け
ることにより上記目的を達成できるという知見を得た。
【0018】すなわち、シリコン原子、水素原子、塩素
原子を含有する非単結晶材料で構成された上部阻止層を
光導電層と表面層の間に設けた光受容部材において、そ
の層構造を特定化するように設計されて作製された上部
阻止層を有する負帯電用電子写真感光体は、実用上著し
く優れた特性を示すばかりでなく、従来の負帯電用電子
写真感光体と比べてみてもあらゆる点において凌駕し、
優れた特性を有していることを見出した。
【0019】このようなことから、本発明は次のような
特徴を有する発明を提供するものである。すなわち、本
発明の電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置
は、第1に、導電性支持体上に、シリコン原子を母体と
する非単結晶材料で構成される光導電層、上部阻止及び
表面層を順次積層してなる電子写真感光体において、該
上部阻止層はシリコン原子、水素原子、塩素原子を含有
し、且つ、水素原子に対する塩素原子の比が0.025
〜0.5であることを特徴としている。
【0020】第2に、上部阻止層に含有される全ての原
子に対する塩素原子の割合は1原子%〜20原子%であ
ることを特徴としている。
【0021】第3に、上部阻止層に含有される全ての原
子に対する水素原子の割合は10原子%〜40原子%で
あることを特徴としている。
【0022】第4に、上部阻止層の層厚が0.01μm
〜1μmであることを特徴としている。
【0023】第5に、上部阻止層に周期律表第IIIb族に
属する原子が含有され、該含有量がシリコン原子に対し
て5000ppm以下であるか、または該上部阻止層に
周期律表第IIIb族に属する原子が含有されていないこと
を特徴としている。
【0024】第6に、導電性支持体上に、シリコン原子
を母体とする非単結晶材料で構成される光導電層、上部
阻止層及び表面層を順に積層してなる電子写真感光体に
おいて、該上部阻止層はシリコン原子、水素原子、塩素
原子を含有し、且つ、原料ガスとしてSiHX Cl4-X
(但し、Xは0〜3の整数)で表されるクロロシラン化
合物を用い、さらに、Si供給用のガス流量に対する放
電電力の比を0.5w・min/ml(normal)
〜10w・min/ml(normal)にして作製し
たことを特徴としている。
【0025】第7に、除電、帯電、像露光、現像、転写
等により画像形成を行う電子写真装置において、記録素
子である電子写真感光体として、導電性支持体上に、シ
リコン原子を母体とする非単結晶材料で構成される光導
電層、上部阻止層及び表面層を順次積層してなり、該上
部阻止層はシリコン原子、水素原子、塩素原子を含有
し、且つ、水素原子に対する塩素原子の比が0.025
〜0.5である負帯電用電子写真感光体を用い、除電を
行う際には550nm〜700nmの波長を、像露光に
は500nm〜700nmの波長を用いることを特徴と
している。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明者らは、光導電層と表面層
の界面近傍におけるキャリアの挙動及び構成に着目し、
光導電層と表面層の界面近傍の役割及び構成と負帯電用
電子写真感光体特性との相関を種々の条件にわたって調
べた結果、光導電層と表面層の間に設けたシリコン原
子、水素原子、塩素原子からなるa−Si膜の層中に含
有される水素原子に対する塩素原子の比とa−Si感光
体の画像流れ、帯電能、感度及び光メモリーとが密接な
関係にあることを見出した。
【0027】電子写真感光体で生じる画像流れは露光に
よって生じた光生成キャリアが光導電層から表面層へ移
動する過程において、光導電層と表面層でのキャリアの
走行性の違いに起因して、光導電層と表面層の界面近傍
で電界効果によりキャリアの横流れが生じて画像がぼけ
る現象であると考えられる。そして、光メモリは除電露
光及び像露光によって生じた光生成キャリアが、光導電
層と表面層の界面近傍に残留することによる影響が考え
られる。
【0028】そこで、本発明者は、光導電層と表面層の
界面近傍におけるキャリアの挙動に関する検討として光
導電層と表面層の間に新たなa−Si膜からなる層(以
下、上部阻止層と記載)を設けて、その層の役割及び構
成と負帯電用電子写真感光体特性との相関に関する検討
を行った。
【0029】そして先ず、従来用いられていたシリコン
原子、水素原子からなるa−Si膜に塩素原子を含有さ
せて光導電層と表面層とのマッチングを取りつつ上部阻
止層中の欠陥密度を減少させキャリアの走行性を改善し
ようとした。しかし、塩素原子の導入による空隙によっ
て光導電層及び表面層との密着性が低下し繰り返し使用
に耐えられず、電子写真感光体としては十分機能しなか
った。
【0030】そこで、上部阻止層と光導電層及び表面層
との密着性に関して鋭意検討したところ上部阻止層中に
含有される水素原子に対する塩素原子の比を変化させる
と、光導電層及び表面層との密着性も大きく変化するこ
とが明らかとなった。さらには、上部阻止層中に含有さ
れる水素原子に対する塩素原子の比を変化させた電子写
真感光体の中には帯電能が向上し、且つ、感度、光メモ
リー及び画像流れが総合的に改善できるものがあること
が明らかとなった。そこで、さらに各原子の含有量、比
率に関して詳細に検討を行ったところ、上部阻止層中に
含有される水素原子に対する塩素原子の比を特定の範囲
内にすることで、キャリアの注入を阻止する能力が高ま
って帯電能が向上し、さらには光導電層と表面層とのマ
ッチングが取れつつ、上部阻止層中の欠陥密度が減少す
ることでキャリアの走行性が改善されて、感度、光メモ
リー及び画像流れが総合的に改善できることが明らかと
なった。
【0031】つまり、本発明は上記構成によって、帯電
能、感度の向上と光メモリーの低減を高次元で両立する
と共に画像流れを低減して画像品質を飛躍的に向上し、
前記した従来技術における諸問題の全てを解決すること
ができ、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、
画像品質、耐久性及び使用環境性を示す負帯電用電子写
真感光体を得ることができる。
【0032】以下、図面にしたがって本発明の負帯電用
電子写真感光体について詳細に説明する。
【0033】図1は、本発明の電子写真用光受容部材の
好適な層構成の一例を説明するための模式的構成図であ
る。
【0034】図1(a)に示す電子写真用光受容部材1
00は、光受容部材用としての支持体101の上に、光
受容層102が設けられている。該光受容層102はア
モルファスシリコン系からなり光導電層を有する光導電
層103、アモルファスシリコン系の上部阻止層10
4、アモルファスシリコン系の表面層105から構成さ
れている。
【0035】図1(b)は、本発明の電子写真用光受容
部材の他の層構成を説明するための模式的構成図であ
る。図1(b)に示す電子写真用光受容部材100は、
光受容部材用としての支持体101の上に、光受容層1
02が設けられている。該光受容層102はアモルファ
スシリコン系からなり光導電性を有する光導電層10
3、アモルファスシリコン系の上部阻止層104、アモ
ルファスシリコン系の表面層105、アモルファスシリ
コン系の電荷注入阻止層106とから構成されている。
なお、図1(a)、(b)において107は自由表面を
示す。
【0036】<支持体>本発明において使用される支持
体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導
電性支持体としては、Al,Cr,Mo,Au,In,
Nb,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、及
びこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。
【0037】電気絶縁性材料としてポリエステル、ポリ
エチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ、、ポリ
アミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、
セラミック等を挙げることができる。本発明においては
これら電気絶縁性支持体の少なくとも光受容層を形成す
る側の表面を導電処理して支持体として用いることがで
きる。
【0038】本発明において使用される支持体101の
形状は平滑表面あるいは微少な凹凸表面を有する円筒状
または無端ベルト状であることができ、その厚さは、所
望通りの電子写真用光受容部材100を形成し得るよう
に適宜決定する。電子写真用光受容部材100としての
可撓性が要求される場合には、支持体101としての機
能が十分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることが
できる。しかしながら、支持体101は製造上及び取り
扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とさ
れる。
【0039】<光導電層>本発明において、その目的を
効果的に達成するために支持体101上に形成され、光
受容層102の一部を構成する光導電層103は真空堆
積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜
成膜パラメーターの数値条件が設定されて作製される。
具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高
周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電C
VD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリン
グ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD
法、熱CVD法等の数々の薄膜堆積法によって形成する
ことができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備
資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される光受容部
材に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採
用されるが、所望の特性を有する光受容部材を製造する
に当っての条件の制御が比較的容易であることからグロ
ー放電法、特にRF帯の電源周波数を用いた高周波グロ
ー放電法が好適である。
【0040】グロー放電法によって光電導層103を形
成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し
得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し
得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子
(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧
にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反
応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位
置に設置されてある所定の支持体101上にa−Si:
H,Xからなる層を形成すればよい。
【0041】また、本発明において光導電層103中に
水素原子または/及びハロゲン原子を含有されることが
必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性及び電荷保持特性を向
上させるために必須不可欠であるからである。水素原子
またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲ
ン原子の含有量の和は、シリコン原子と水素原子または
/及びハロゲン原子の和に対して10〜40原子%とす
るのが望ましい。
【0042】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作製時の取り扱い易さ、Si供給
効率のよさ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいも
のとして挙げられる。
【0043】そして、形成される光導電層103中に水
素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を
いっそう容易になるように図り、本発明の目的を達成す
る膜特性を得るために、これらのガスにさらにH2 及び
/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガス
も所望量混合して層形成することが必要である。また、
各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合し
ても差し支えないものである。
【0044】本発明において使用されるハロゲン原子供
給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲンガ
ス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、
ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたは
ガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。ま
た、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素
とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含
む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることがで
きる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物
としては、具体的には弗素ガス(F2 ),BrF,Cl
F,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3 .IF7
のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原
子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換され
たシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF
4 ,Si26 等の弗化珪素が好ましいものとして挙げ
ることができる。
【0045】光導電層103中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支
持体101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子
を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ
導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0046】本発明においては、光導電層103に導性
を制御する原子を導入することができ、さらに分布させ
てもよい。伝導性を制御する原子としては、半導体分野
における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝
導特性を与える周期律表IIIb族に属する原子(以後「第
IIIb族原子」と略記する)を用いることができる。
【0047】第IIIb族原子としては、具体的には硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B,Al,Gaが好適である。光導電層103に含有さ
れる伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましく
は5×10-3〜50原子ppm、より好ましくは1×1
-2〜30原子ppm、最適には5×10-2〜20原子
ppmの間で最大含有量及び最小含有量を適宜選択して
分布変化させて含有されるのが望ましい。
【0048】伝導性を制御する原子、例えば、第IIIb族
原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族
原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導
電層103を形成するための他のガスと共に導入してや
ればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質となり得るも
のとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層
形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが
望ましい。
【0049】そのような第IIIb族原子導入用の原料物質
として具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6 ,B410,B59 ,B511,B610,B6
12,B 614等の水素化硼素、BF3 ,BCl3 ,BB
3 等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、Al
Cl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33 ,InCl3
TlCl3 等も挙げることができる。
【0050】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 及び/またはHeによ
り希釈して使用してもよい。
【0051】さらに本発明においては、光導電層103
に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
を含有させることも有効である。炭素原子及び/または
酸素原子/及びまたは窒素原子の含有量はシリコン原
子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して好ま
しくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×1
-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望ま
しい。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素
原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されてもよい
し、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均
一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0052】本発明において、光導電層103の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の
点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20
〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には
25〜40μmとされる。層厚が20μmより薄くなる
と、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上不十分とな
り、50μmより厚くなると、光導電層の作製時間が長
くなって製造コストが高くなる。
【0053】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する光導電層103を形成するには、Si供給用のガス
と希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力
ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
【0054】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1.0
×10-2〜1.0×103 Pa、好ましくは5.0×1
- 2〜5.0×102 Pa、最適には1.0×10-1
1.0×102 Paとするのが好ましい。
【0055】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比w・min/ml(norma
l)を0.3〜8、好ましくは0.8〜7、最適には1
〜6の範囲に設定することが望ましい。
【0056】さらに、支持体101の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜310℃とするのが望まし
い。
【0057】本発明においては、光導電層を形成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に
決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部
材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適
値を決めるのが望ましい。
【0058】<上部阻止層>本発明においては、上述の
ようにして支持体101上に形成された光導電層103
の上に、さらにアモルファスシリコン系の上部阻止層1
04を形成することが必要である。
【0059】本発明においては、上部阻止層104は光
受容層102を構成する光導電層103と表面層105
とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共
通の構成要素を有しているので、積層界面において化学
的な安定性の確保が十分なされている。
【0060】本発明においては、上部阻止層104は、
シリコン原子、水素原子(H)及び塩素原子(Cl)を
含有するアモルファスシリコン(以下「a−Si:H,
Cl」と表記する)が好適に用いられる。
【0061】本発明において、その目的を効果的に達成
するために、上部阻止層104は真空堆積膜形成方法に
よって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメータ
ーの数値条件が設定されて作製される。具体的には、例
えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法ま
たはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるい
は直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法
等の数々の薄膜堆積法によって形成することができる。
これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負
荷程度、製造規模、作成される電子写真用光受容部材に
所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用さ
れるが、光受容部材の生産性から光導電層と同等の堆積
法によることが好ましい。
【0062】例えば、グロー放電法によってa−Si:
H,Clよりなる上部阻止層104を形成するには、基
本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用
の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の
原料ガス及び塩素原子(Cl)を供給し得る原料ガス
を、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で
導入して、該反応容器内にグロー放電が生起させ、あら
かじめ所定の位置に設置された光導電層103を形成し
た支持体101上にa−Si:H,Clからなる層を形
成すればよい。
【0063】また、本発明において上部阻止層104中
に水素原子及び塩素原子が含有されることが必要である
が、これはシリコン原子等の構成原子の未結合手を補償
して欠陥密度を減少させ、層品質の向上、特に光導電性
特性及び電荷保持特性を向上させ、帯電能、感度、光メ
モリー、画像流れを総合的に改善するために必須不可欠
である。水素含有量は、構成原子の総量に対して好まし
くは10〜40原子%、より好ましくは15〜35原子
%、さらに好ましくは20〜30原子%とするのが望ま
しい。また、塩素原子の含有量として、構成原子の総量
に対して1〜20原子%、好適には2〜15原子%、最
適には5〜10原子%とするのが望ましい。さらに、上
部阻止層104内の水素原子に対する塩素原子の比を
0.025〜0.5にすることで本発明の効果は得られ
る。上部阻止層104内の水素原子に対する塩素原子の
比が0.5より大きいと光導電層103及び表面層10
5との密着性が低下して繰り返し使用に耐えられず、さ
らには電位特性の改善も見られず本発明の効果は得られ
ない。そして、上部阻止層104内の水素原子に対する
塩素原子の比が0.025より小さい場合も電位特性の
改善が見られず本発明の効果は得られない。
【0064】これらの水素原子、塩素原子の含有量、比
率を上記の範囲内で形成される光受容部材は、実際面に
おいて従来にない格段に優れたものとして十分適用させ
得るものである。すなわち、層内に存在する欠陥(主に
ダングリングボンド)は電子写真用光受容部材としての
特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば自由
表面から電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、
例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる
帯電特性の変動、さらにコロナ帯電時や光照射時に光導
電層より表面層側に電荷が注入され、層内の欠陥に電荷
がトラップされることにより繰り返し使用時の残像現象
の発生等がこの悪影響として挙げられる。
【0065】しかしながら上部阻止層104内の水素原
子、塩素原子の含有量、比率を上記のように設定するこ
とで上部阻止層104内の欠陥が大幅に減少し、その結
果、従来に比べて電気的特性面及び高速連続使用性にお
いて飛躍的な向上を図ることができる。
【0066】上部阻止層104中の水素含有量、塩素原
子量は、原料ガスの流量(流量比)、支持体温度、放電
パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0067】本発明の上部阻止層104の形成において
使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質
としては、SiH4 ,Si26 ,Si38 ,Si4
10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素
(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、
さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等
の点でSiH4 ,Si26 が好ましいものとして挙げ
られる。
【0068】また、形成される上部阻止層104中に導
入される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易にな
るように図るために、これらのガスにさらに水素ガスま
たは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して
層形成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみ
でなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないも
のである。
【0069】本発明では塩素原子供給用の原料ガスとし
てはSiHX Cl4-X (但し、Xは0〜3の整数)で表
されるクロロシラン化合物を使用することが重要であ
る。特にSiH2 Cl2 で表されるジクロロシランは、
1気圧下での沸点が約8℃で取り扱いが容易であり好ま
しく用いられる。塩素原子供給用の原料ガスとしてSi
X Cl4-X (但し、Xは0〜3の整数)で表されるク
ロロシラン化合物を使用した作製方法は、層中の塩素原
子の含有量の制御が容易なため、本発明の重要な因子で
ある水素原子に対する塩素原子の比も精度の高いものに
なり本発明の効果が得られ易いので好適な作製方法であ
る。
【0070】また、上部阻止層104の層厚は、光導電
層103、表面層105の層厚及び求められる電子写真
特性によって総合的に判断されて決定されるが、表面か
らの電荷注入の阻止能力を充分発揮し、且つ画像品質に
影響を与えないこと等から、上部阻止層104は0.0
1μm〜1μmで設計する必要がある。
【0071】さらに本発明においては、上部阻止層10
4には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させて
もよい。伝導性を制御する原子は、上部阻止層104中
に万遍なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、
あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している
部分があってもよい。
【0072】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える第IIIb族原子を用いることが
できる。第III b族原子としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B,Al,Gaが好適である。
【0073】伝導性を制御する原子、例えば、第IIIb族
原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族
原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、上部
阻止層104を形成するための他のガスと共に導入して
やればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質となり得る
ものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも
層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるの
が望ましい。そのような第IIIb族原子導入用の原料物質
として具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6 ,B410,B59 ,B511,B610,B6
12,B614等の水素化硼素、BF3 ,BCl3 ,BB
3 等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、Al
Cl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33 ,InCl3
TlCl3等も挙げることができる。
【0074】上部阻止層104における周期律表第IIIb
族の原子の含有量は、電荷注入の阻止能力や画像品質か
ら総合的に判断して、シリコン原子に対して5000p
pm以下であるか、または周期律表第IIIb族に属する原
子が含有されていないことが本発明の効果を得るために
は必要である。周期律表第IIIb族の原子の含有量がシリ
コン原子に対して5000ppmより多い場合には、電
荷注入を阻止する能力は向上するが上部阻止層104の
全体としての含有量が多くなるために、画像流れを起こ
し易くなる。
【0075】本発明による上部阻止層104は、その要
求される特性が所望通りに与えられるように注意深く形
成される。すなわち、例えばSiとH及びClを構成要
素とする物質はその形成条件によって構造的には多結晶
や微結晶のような結晶性からアモルファスまでの形態
(総称して非単結晶)をとり、電気物性的には導電性か
ら半導体性、絶縁性までの間の性質を、また、光導電的
性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すの
で、本発明においては、目的に応じた所望の特性を有す
る化合物が形成されるように、所望にしたがってその形
成条件の選択が厳密になされる。
【0076】本発明の目的を達成し得る特性を有する上
部阻止層104を形成するには、支持体101の温度、
反応容器内のガス圧、放電パワーを所望にしたがって、
適宜設定する必要がある。
【0077】支持体101の温度(Ts)は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜310℃とするのが望まし
い。
【0078】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-2〜2×103 Pa、より好ましくは5
×10-2〜5×102 Pa、最適には110-1〜2×1
2 Pとするのが好ましい。
【0079】放電パワーもまた同様に層設計にしたがっ
て適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流
量に対する放電電力の比w・min/ml(norma
l)を、通常の場合0.5〜10、好ましくは0.8〜
8、最適には1〜6の範囲に設定することが望ましい。
Si供給用のガスの流量に対する放電電力の比が前記範
囲外では、水素原子に対する塩素原子の比が0.025
〜0.5の範囲を外れるため、本発明の効果が十分には
得られない。
【0080】本発明においては、上部阻止層104を形
成するための支持体温度、ガス圧、放電パワーの望まし
い数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は
通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の
特性を有する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的
関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0081】<表面層>本発明においては、上述のよう
にして支持体101上に形成された光導電層103、上
部阻止層104の上に、さらにアモルファスシリコン系
の表面層105を形成することが好ましい。この表面層
105は自由表面107を有し、主に耐湿性、連続繰り
返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性に
おいて本発明の目的を達成するために設けられる。
【0082】また、本発明においては、光受容層102
を構成する上部阻止層104と表面層105とを形成す
る非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要
素を有しているので、積層界面において化学的な安定性
の確保が十分なされている。表面層105はアモルファ
スシリコン系の材料であればいずれの材質でも用いられ
るが、例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原
子(X)を含有し、さらに炭素原子を含有するアモルフ
ァスシリコン(以下、「a−SiC:H,X」と表記す
る)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)
を含有し、さらに酸素原子を含有するアモルファスシリ
コン(以下「a−SiO:H,X」と表記する)、水素
原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、
さらに窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下
「a−SiN:H,X」と表記する)、水素原子(H)
及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素
原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有する
アモルファスシリコン(以下「a−SiCON:H,
X」と表記する)等の材料が好適に用いられる。
【0083】本発明において、その目的を効果的に達成
するために、表面層105は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作製される。具体的には、例えば
グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法または
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直
流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法等の
数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これ
らの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程
度、製造規模、作成される電子写真用光受容部材に所望
される特性等の要因によって適宜選択されて採用される
が、光受容部材の生産性から光導電層と同等の堆積法に
よることが好ましい。例えば、グロー放電法によってa
−SiC:H,Xよりなる表面層105を形成するに
は、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi
供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供
給用の原料ガスと水素原子(H)を供給し得るH供給用
の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得
るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器
内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー
放電が生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された上
部阻止層104上にa−SiC:H,Xからなる層を形
成すればよい。
【0084】本発明において用いる表面層の材質として
はシリコンを含有するアモルファス材料ならばいずれで
もよいが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なく
とも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特に
a−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0085】特に、表面層をa−SiCを主成分として
構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和
に対して30%から90%の範囲が好ましい。
【0086】本発明において表面層105中に水素原子
または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であ
るが、これはシリコン原子等の構成原子の未結合手を補
償し、層品質の向上、特に光導電性特性及び電荷保持特
性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量
は、構成原子の総量に対して好ましくは30〜70原子
%、より好ましくは35〜65原子%、さらに好ましく
は40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原
子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子
%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.6〜4
原子%とするのが望ましい。
【0087】これらの水素及び/または弗素含有量の範
囲内で形成される光受容部材は、実際面において従来に
ない格段に優れたものとして十分適用させ得るものであ
る。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン
原子や炭素原子のダングリンボンド)は電子写真用光受
容部材としての特性に悪影響を及ぼすことが知られてい
る。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の劣
化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化
することによる帯電特性の変動、さらにコロナ帯電時や
光照射時に光導電層により表面層に電荷が注入され、前
記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることにより繰
り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響として挙
げられる。
【0088】しかしながら表面層内の水素含有量を30
原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減
少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連
続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0089】一方、前記表面層中の水素含有量が70原
子%を越えると表面層の硬度が低下するために、繰り返
し使用に耐えられなくなる場合がある。したがって、表
面層中の水素含有量を前記の範囲内に制御することが格
段に優れた所望の電子写真特性を得る上で非常に重要な
因子の一つである。表面層中の水素含有量は、原料ガス
の流量(流量比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等
によって制御し得る。
【0090】また、表面層中の弗素含有量を0.01原
子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原
子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成すること
が可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとし
て、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子
の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0091】一方、表面層中の弗素含有量が15原子%
を越えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の
発生の効果及びコロナ等のダメージによるシリコン原子
と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認め
られなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中のキ
ャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリ
ーが顕著に認められてくる。したがって、表面層中の弗
素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真
特性を得る上で重要な因子の一つである。表面層中の弗
素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量
(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制
御し得る。
【0092】本発明の表面層の形成において使用される
シリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH4 ,Si26 ,Si38 ,Si410等のガ
ス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)
が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作成
時の取り扱い易さ、Si供給効率のよさ等の点でSiH
4 ,Si26 が好ましいものとして挙げられる。ま
た、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH
2 ,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用して
もよい。
【0093】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4 ,C22 ,C26 ,C38 ,C410等の
ガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用
されるものとして挙げられ、さらに層作成時の取り扱い
易さ、炭素供給効率のよさ等の点でCH4 ,C22
26が好ましいものとして挙げられる。また、これ
らのC供給用の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,A
r,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0094】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3 ,NO,N2 O,NO2 ,O2 ,C
O,CO2 ,N2 等のガス状態の、またはガス化し得る
化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。ま
た、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じ
てH2 ,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用
してもよい。
【0095】また、形成される表面層105中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるよ
うに図るために、これらのガスにさらに水素ガスまたは
水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形
成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでな
く所定の混合比で複数種混合しても差し支えないもので
ある。
【0096】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン
を含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン
誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物
が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子と
ハロゲン原子とを混合要素とするガス状のまたはガス化
し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効な
ものとして挙げることができる。
【0097】本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には弗素ガス(F2 )、Br
F,ClF,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3
IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハ
ロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で
置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えば
SiF4 ,Si26 等の弗化珪素が好ましいものとし
て挙げることができる。
【0098】表面層105中に含有される水素原子また
は/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持
体101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を
含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導
入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0099】炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても
よいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不
均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0100】さらに本発明においては、表面層105に
は必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させること
が好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層105中
に万遍なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、
あるいは層厚方向に不均一な分布状態で含有している部
分があってもよい。
【0101】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原
子またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属す
る原子(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いるこ
とができる。
【0102】第IIIb族原子としては、 具体的には、 硼素
(B),アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)、等があり、特に
B,Al,Gaが好適である。第Vb族としては、具体
的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、
ビスマス(Bi)等があり、特にP,Asが好適であ
る。
【0103】表面層105に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-1〜1×102 原子
ppmとするのが望ましい。
【0104】伝導性を制御する原子、例えば第IIIb族原
子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、層形
成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第V
b族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、
表面層105を形成するための他のガスと共に導入して
やればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第
Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、
常温常圧でガス状または、少なくとも層形成条件下で容
易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。その
ような第IIIb族原子導入用の原料物質としては具体的に
は、硼素原子導入用としては、B26 ,B410,B
59 ,B511,B610,B612,B614等の
水素化硼素、BF3 ,BCl3 .BBr3 等のハロゲン
化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3 ,GaCl
3 ,Gs(CH33 ,InCl 3 ,TlCl3 等も挙
げることができる。
【0105】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 ,P
24 等の水素化燐、PH4 I,PF3 ,PF5 ,PC
3,PCl5,PBr3 ,PBr5 ,PI3 等のハロゲ
ン化燐が挙げられる。この他、AsH3 ,AsF3 ,A
sCl3 ,AsBr3 ,AsF5 ,SbH3 ,SbF
5 ,SbCl3 ,SbCl5 ,BiH3 ,BiCl3
BiBr3 等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効な
ものとして挙げることができる。
【0106】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0107】本発明における表面層105の層厚として
は、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.
05〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1μmとする
のが望ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄
いと光受容部材を使用中に摩耗等の理由により表面層が
失われてしまい易く、3μmを越えると残留電位の増加
等の電子写真特性の低下がみられる場合がある。
【0108】本発明による表面層105は、その要求さ
れる特性が所望通りに与えられるように注意深く形成さ
れる。すなわち、SiとC,N及びOからなる群から選
択された少なくとも一つの元素、H及び/またはXを構
成要素とする物質はその形成条件によって構造的には多
結晶や微結晶のような結晶性からアモルファスまでの形
態(総称して非単結晶)をとり、電気物性的には導電性
から半導体性、絶縁性までの間の性質を、また、光導電
的性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すの
で、本発明においては、目的に応じた所望の特性を有す
る化合物が形成されるように、所望にしたがってその形
成条件の選択が厳密になされる。
【0109】例えば、表面層105を耐圧性の向上を主
な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁性
的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0110】また、連続繰り返し使用特性や使用環境特
性の向上を主たる目的として表面層105が設けられる
場合には、上記の電気絶縁性の度合いはある程度緩和さ
れ、照射される光に対してある程度の感度を有する非単
結晶材料として形成される。
【0111】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層105を形成するには、支持体101の温度、反応
容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要
がある。
【0112】支持体101の温度(Ts)は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜310℃とするのが望まし
い。
【0113】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-2〜2×103 Pa、好ましくは5×1
-2〜5×102 、最適には1×10-1〜2×102
aとするのが好ましい。
【0114】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材
を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値
を決めるのが望ましい。
【0115】<電荷注入阻止層>本発明の光受容部材に
おいては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支
持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入
阻止層106を設けるのがいっそう効果的である。すな
わち、電荷注入阻止層106は光受容層が一定極性の帯
電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電
層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の
極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮さ
れない、いわゆる極性依存性を有している。そのような
機能を付与するために、電荷注入阻止層106には伝導
性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させ
る。
【0116】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万遍なく均一に分布されてもよいし、ある
いは層厚方向には万遍なく含有されてはいるが、不均一
に分布する状態で含有している部分があってもよい。分
布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するよ
うに含有させるのが好適である。
【0117】しかしながら、いずれの場合にも支持体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく
含有されることが面内方向における特性の均一化を図る
点からも必要である。電荷注入阻止層106に含有され
る伝導性を制御する原子としては、半導体分野におけ
る、いわゆる不純物を挙げることができ、n型伝導特性
を与える周期律表第Vb族に属する原子を用いることが
できる。
【0118】第Vb族原子としては、具体的には燐
(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス
(Bi)等があり、特にP,Asが好適である。
【0119】本発明において電荷注入阻止層中106に
含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本
発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがっ
て、適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104
子ppm、より好適には50〜5×103 原子ppm、
最適には1×102 〜3×103 原子ppmとするのが
望ましい。
【0120】さらに電荷注入阻止層106には、炭素原
子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させ
ることによって、該電荷注入阻止層106と支持体との
間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。
【0121】該層に含有される炭素原子または窒素原子
または酸素原子は該層中に万遍なく均一に分布されても
よいし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはい
るが、不均一に分布する状態で含有している部分があっ
てもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表
面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく含
有されることが面内方向における特性の均一化を図る点
からも必要である。
【0122】本発明における電荷注入阻止層106の全
層領域に含有される炭素原子及び/または窒素原子及び
/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に
達成されるように適宜決定されるが、原子種が一種の場
合はその量として、二種以上の場合はその総和として、
好ましくは1×10-3〜30原子%、より好適には5×
10-3〜20原子%、最適には1×10-2〜10原子%
とするのが望ましい。
【0123】また、本発明における電荷注入阻止層10
6に含有される水素原子及び/またはハロゲン原子は層
内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏す
る。電荷注入阻止106層中の水素原子またはハロゲン
原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、
好適には1〜50原子%、より好適には5〜40原子
%、最適には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0124】本発明において、電荷注入阻止層106の
層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的
効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好まし
くは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとするの
が望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体
からの電荷の注入阻止能が不十分になって十分な帯電能
が得られなくなり、5μmより厚くしても電子写真特性
の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コスト
の増加を招くだけである。
【0125】本発明において電荷注入阻止層106を形
成するには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真
空堆積法が採用される。
【0126】本発明の目的を達成し得る特性を有する電
荷注入阻止層106を形成するには、光導電層103と
同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応
容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体101の温度
を適宜設定することが必要である。
【0127】希釈ガスであるH2 及び/またはHeの流
量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される
が、Si供給用ガスに対しH2 及び/またはHeを、通
常の場合0.3〜20倍、好ましくは0.5〜15倍、
最適には1〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0128】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合好まし
くは1.0×10-2〜1.0×103 Pa、好ましくは
5.0×10-2〜5.0×102 Pa、最適には1.0
×10-1〜1.0×102 Paとするのが好ましい。
【0129】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を、通常の場合0.5〜8、好ま
しくは0.8〜7、最適には1〜6の範囲に設定するこ
とが望ましい。
【0130】さらに、支持体101の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜310℃とするのが望まし
い。
【0131】本発明においては、電荷注入阻止層106
を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電
力、支持体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲
が挙げられるが、これらの層作製ファクターは通常は独
立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有
する層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて
各層作製ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0132】このほかに、本発明の光受容部材において
は、光受容層102の前記支持体101側に、少なくと
もアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/
及びハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有
する層領域を有することが望ましい。
【0133】また、本発明の光受容部材においては、支
持体101と光導電層103あるいは電荷注入阻止層1
06との間の密着性のいっそうの向上を図る目的で、例
えば、Si34 ,SiO2 ,SiO,あるいはシリコ
ン原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン原子
と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原
子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても
よい。さらに、支持体からの反射光による干渉模様の発
生を防止するための光吸収層を設けてもよい。
【0134】次に、光受容層を形成するための装置及び
膜形成方法について詳述する。図2は電源周波数として
RF帯を用いた高周波プラズマCVD法(以後「RF−
PCVD」と略記する)による光受容部材の製造装置の
一例を示す模式的な構成図である。図3に示す製造装置
の構成は以下の通りである。
【0135】この装置は大別すると、堆積装置(210
0)、原料ガスの供給装置(2200)、反応容器(2
111)内に減圧にするための排気装置(図示せず)か
ら構成されている。堆積装置(2100)中の反応容器
(2111)内には円筒状支持体(2112)、支持体
加熱用ヒーター(2113)、原料ガス導入管(211
4)が設置され、さらに高周波マッチングボックス(2
115)が接続されている。
【0136】原料ガス供給装置(2200)はSiH
4 ,GeH4 ,H2 ,CH4 ,B2 6 ,PH3 等の原
料ガスのボンベ(2221〜2226)とバルブ(22
31〜2236,2241〜2246,2251〜22
56)及びマスフローコントローラ(2211〜221
6)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(22
60)を介して反応容器(2111)内のガス導入管
(2114)に接続されている。
【0137】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行うことができる。まず、反応容器(21
11)内に円筒状支持体(2112)を設置し、不図示
の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器(21
11)内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター
(2113)により、円筒状支持体(2112)の温度
を200℃乃至350℃の所定の温度に制御する。
【0138】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(21
11)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(223
1〜2236)、反応容器のリークバルブ(2117)
が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ(2
241〜2246)、流出バルブ(2251〜225
6)、補助バルブ(2260)が開かれていることを確
認して、まずメインバルブ(2118)を開いて反応容
器(2111)及びガス配管(2116)内を排気す
る。
【0139】次に真空計(2119)の読みが約1×1
-2Paになった時点で補助バルブ(2260)、流出
バルブ(2251〜2256)を閉じる。
【0140】その後、ガスボンベ(2221〜222
6)より各ガスをバルブ(2231〜2236)を開い
て導入し、圧力調整器(2261〜2266)により各
ガス圧を約200kpaに調整する。次に、流入バルブ
(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスをマス
フローコントローラー(2211〜2216)内に導入
する。
【0141】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体(2
122)が所定の温度になったところで流出バルブ(2
251〜2256)のうちの必要なもの及び補助バルブ
(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜2
226)から所定のガスをガス導入管(2114)を介
して反応容器(2111)内に導入する。次にマスフロ
ーコントローラー(2211〜2216)によって各原
料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反
応容器(2111)内の圧力が1.5×102 Pa以下
の所定の圧力なるように真空計(2119)を見ながら
メインバルブ(2118)の開口を調整する。内圧が安
定したところで、周波数13.56MHzのRF電源
(不図示)を所望の電圧に設定して、高周波マッチング
ボックス(2115)を通じて反応容器(2111)内
にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放
電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガス
が分解され、円筒状支持体(2112)上に所定のシリ
コンを主成分とする堆積膜が形成される。所望の膜厚の
形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブ
を閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成
を終える。
【0142】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容部材が形成される。それぞ
れの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブは
全て閉じられていることは言うまでもなく、また、それ
ぞれのガスが反応容器(2111)内、流出バルブ(2
251〜2256)から反応容器(2111)に至る配
管内に残留することを避けるために、流出バルブ(22
51〜2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開
き、さらにメインバルブ(2118)を全開にして系内
を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0143】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行っている間は、支持体(2112)を駆動装置
(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効
である。
【0144】さらに、上述のガス種及びバルブ操作は各
々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは
言うまでもない。
【0145】上記の方法において堆積膜形成時の支持体
温度は、特に200℃以上350℃以下、好ましくは2
30℃以上330℃以下、より好ましくは250℃以上
310℃以下が望ましい。支持体の加熱方法は、真空仕
様である発熱体であればよく、より具体的にはシース状
ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミッ
クヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外
線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒
として熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手
段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウ
ム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等
を使用することができる。
【0146】それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の
容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体
を搬送する方法が用いられる。
【0147】図4は電子写真装置の画像形成プロセスの
一例を示す概略図であって、光受容部材401が回転し
て複写操作を行う。光受容部材401の周辺には、主帯
電器402、静電潜像形成部位403、現象器404、
転写紙供給系405、転写帯電器406(a)、分離帯
電器406(b)、クリーナー407、搬送系408、
除電光源409等が配置されている。
【0148】以下、さらに具体的に画像形成プロセスを
説明すると、光受容部材401は高電圧を印加した主帯
電器402により一様に帯電され、これにレーザーユニ
ット418から発せられ、ミラー419を経由した光
(像露光)によって静電潜像が形成され、この潜像に現
象器404からネガあるいはポジ極性トナーが供給され
てトナー像が形成される。レーザーユニット418の制
御には、CCDからの信号が用いられる。すなわち、ラ
ンプ410から発した光が原稿台ガラス411上におか
れた原稿412に反射し、ミラー413、414、41
5を経由し、レンズユニット416のレンズによって結
像され、CCDユニット417によって電気信号に変換
された信号が導かれている。
【0149】一方、転写紙供給系405を通って、レジ
ストローラー422によって先端タイミングを調整さ
れ、光受容部材401方向に供給される転写材Pは高電
圧を印加した転写帯電器406(a)と光受容部材40
1の間隙において背面から、トナーとは逆極性の電界を
与えられ、これによって光受容部材表面のネガあるいは
ポジ極性のトナー像は転写材Pに転写する。次いで、高
圧AC電圧を印加した分離帯電器406(b)により、
転写材Pは転写搬送系408を通って定着装置423に
至り、トナー像が定着されて装置外に搬出される。
【0150】光受容部材401上に残留するトナーはク
リーニングユニット407のクリーニングブレード42
1によって回収され、残留する静電潜像は除電光源40
9によって消去される。
【0151】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を具体的に
説明する。
【0152】実施例1 図2に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装
置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニ
ウムシリンダー(支持体)上に、表1に示す条件で電荷
注入阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜
を行って光受容部材を作製した。その際、第Vb族原
子、第IIIb族原子を含有するガス種としては各々、PH
3 ,B26 を用いて含有量を調節した。
【0153】
【表1】 一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板
を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホル
ダーを用い、Siウエハー上に、表1に示す上部阻止層
の作製条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。そ
して、二次イオン検出質量分析装置(SIMS:SECOND
ARY ION MASS SPECTROSCOPY)により全ての原子に対する
水素含有量(Ch)及び塩素含有量(Ccl)を測定し
た。
【0154】表1に示す上部阻止層の例ではCclは5
原子%、Chは25原子%(Ccl/Ch=0.2)で
あった(a)。
【0155】次いで表1においてSiH4 ,SiH2
2 ,CH4 との混合比、放電電力ならびに支持体温度
を種々変えることによって、上部阻止層のCcl,Ch
を以下に示す(b)〜(h)の種々の光受容部材を作製
した。
【0156】(b)Cclは0.5原子%、Chは50
原子%(Ccl/Ch=0.01) (c)Cclは1原子%、Chは40原子%(Ccl/
Ch=0.025) (d)Cclは5.1原子%、Chは30原子%(Cc
l/Ch=0.17) (e)Cclは9原子%、Chは30原子%(Ccl/
Ch=0.3) (f)Cclは15原子%、Chは30原子%(Ccl
/Ch=0.5) (g)Cclは24原子%、Chは40原子%(Ccl
/Ch=0.6) (h)表1においてSiH2 Cl2 を用いずに上部阻止
層を作製したもの。Chは40原子%。
【0157】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP−6650を実験用に負帯電システムに改造
したもの)にセットして、電位特性の評価を行った。
【0158】この際、プロセススピード380mm/s
ec、前露光(波長700nmのLED)4lux・s
ec、像露光(波長680nmのLED)にセットし
て、帯電器の電流値1000μAの条件にて、電子写真
装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社
Model 344)の電位センサーにより光受容部材の表
面電位を測定し、それを帯電能とし、像露光1.5lu
x・secのときの表面電位を測定し、それを残留電位
とした。
【0159】そして暗電位が400Vとなるように帯電
条件を設定し、明電位が50Vになるときの像露光を測
定し、それを感度とした。
【0160】さらに、メモリー電位は、上述の条件下に
おいて同様の電位センサーにより非像露光状態での表面
電位と一旦像露光した後に再度帯電したときとの電位差
を測定した。
【0161】そして画像流れの評価は図3に示した黒色
部と白色部が一定の幅aで並んだテストチャートを用意
し、線幅aを狭めていったときに複写画像上において再
現し、解像し得る最小の線幅aにより行った。すなわ
ち、線幅aを狭めていったときに、ある線幅a以下にな
ると画像上の隣り合う黒色部の輪郭の画像流れによる微
少なボケが重なり合い、事実上解像不可となってしま
う。そのときの線幅aを画像流れの程度を表す指標とし
た。
【0162】それぞれの帯電能、残留電位、メモリー電
位、感度、画像流れに関して以下のように相対評価を行
った。
【0163】[帯電能、残留電位、メモリー電位、感
度、画像流れ] ◎:実施例1の(h)の条件で作製した場合よりも20
%以上改善 ○:実施例1の(h)の条件で作製した場合よりも10
%〜20%改善 △:実施例1の(h)の条件で作製した場合と同等 ×:実施例1の(h)の条件で作製した場合よりも10
%〜20%悪化 結果を表2に示す。
【0164】
【表2】 表2から明らかなように帯電能、残留電位、メモリー電
位、感度、画像流れいずれについても実施例1の
(a),(c),(d),(e),(f)のように水素
原子に対する塩素原子の比が0.025〜0.5にする
ことで、上部阻止層をSiH2 Cl2 を用いないで作製
した塩素原子を含まない光受容部材よりも良好であり、
画像特性においてもハーフトーン画像にムラは無く均一
で良好な画像が得られることがわかった。
【0165】また、水素原子に対する塩素原子の比が
0.025〜0.5のものは、Si供給用ガスの流量に
対する放電電力の比が0.5〜10w・min/ml
(normal)であった。
【0166】さらに、実施例1の(a),(c),
(d),(e),(f)の光受容部材を用いて文字原稿
を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られ
た。そして写真原稿の複写においても原稿に忠実で鮮明
な画像を得ることができた。また、像露光光源をLED
に代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合
も同様の結果が得られることがわかった。
【0167】実施例2 図2に示すRF−PCVD方による光受容部材の製造装
置を用い、実施例1の(a)と同様の条件で、直径10
8mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支
持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、上部阻止層、
表面層の順に成膜を行って光受容部材を作製した。但し
この際、表1においてSiH4 ,SiH 2 Cl2 との混
合比、放電電力ならびに支持体温度を種々変えることに
よって、表面層のChを40原子%で、Cclを以下に
示す(a)〜(e)の種々の光受容部材を作製した。
【0168】(a)0.1原子%、(b)1原子%、
(c)10原子%、(d)20原子%、(e)25原子
% 作製した各々の光受容部材について実施例1と同様にし
て帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流れに
ついて相対評価を行った。結果を表3に示す。
【0169】
【表3】 表3から明らかなようにCclが1原子%〜20原子%
において本発明の効果が得られ、画像特性においても実
施例1の(a)と同様に良好な画像が得られることがわ
かった。また、像露光光源をLEDに代えて半導体レー
ザー(波長680nm)にした場合も同様の結果が得ら
れることがわかった。
【0170】実施例3 図2に示すRF−PCVD方による光受容部材の製造装
置を用い、実施例1の(a)と同様の条件で、直径10
8mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支
持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、上部阻止層、
表面層の順に成膜を行って光受容部材を作製した。但し
この際、表1においてSiH4 ,SiH 2 Cl2 との混
合比、放電電力ならびに支持体温度を種々変えることに
よって、表面層のCclを1原子%とし、Chを以下に
示す(a)〜(e)である種々の光受容部材を作製し
た。
【0171】(a)5原子%、(b)10原子%、
(c)20原子%、(d)40原子%、(e)50原子
% 作製した各々の光受容部材について実施例1と同様にし
て帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流れに
ついて相対評価を行った。結果を表4に示す。
【0172】
【表4】 表4から明らかなようにChの含有量10原子%〜40
原子%において本発明の効果が得られ、画像特性におい
ても実施例1の(a)と同様に良好な画像が得られるこ
とがわかった。また、像露光光源をLEDに代えて半導
体レーザー(波長680nm)にした場合も同様の結果
が得られることがわかった。
【0173】実施例4 図2に示すRF−PCVD方による光受容部材の製造装
置を用い、実施例1の(a)と同様の条件で、直径10
8mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支
持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、上部阻止層、
表面層の順に成膜を行って光受容部材を作製した。但し
この際、表1において上部阻止層の層厚を以下に示す
(a)〜(f)の種々の光受容部材を作製した。
【0174】(a)0.005μm、(b)0.01μ
m、(c)0.1μm、(d)0.5μm、(e)1μ
m、(f)1.3μm 作製した各々の光受容部材について実施例1と同様にし
て帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流れに
ついて相対評価を行った。結果を表5に示す。
【0175】
【表5】 表5から明らかなように上部阻止層の層厚が0.01〜
1μmにおいて本発明の効果が得られ、画像特性におい
ても実施例1の(a)と同様に良好な画像が得られるこ
とがわかった。また、像露光光源をLEDに代えて半導
体レーザー(波長680nm)にした場合も同様の結果
が得られることがわかった。
【0176】実施例5 図2に示すRF−PCVD方による光受容部材の製造装
置を用い、実施例1の(a)と同様の条件で、直径10
8mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支
持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、上部阻止層、
表面層の順に成膜を行って光受容部材を作製した。但し
この際、表1の表面層へ第IIIb族原子を含有させた。そ
の際、第IIIb族原子を含有するガス種としてはB26
を用いて放電電力ならびに支持体温度を種々変えること
によってSi原子に対する第IIIb族原子の含有量を調節
し、以下に示す(a)〜(e)の種々の光受容部材を作
製した。
【0177】(a)10ppm、(b)100ppm、
(c)1000ppm、(d)5000ppm、(e)
8000ppm 作製した各々の光受容部材について実施例1と同様にし
て帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流れに
ついて相対評価を行った。結果を表6に示す。
【0178】
【表6】 表6と実施例1の(a)の結果から明らかなように上部
阻止層に含有される周期律表第IIIb族に属する原子が5
000ppm以下であるか、または該上部阻止層に周期
律表第IIIb族に属する原子が含有されていない場合にお
いて本発明の効果が得られ、画像特性においても実施例
1の(a)と同様に良好な画像が得られることがわかっ
た。また、像露光光源をLEDに代えて半導体レーザー
(波長680nm)にした場合も同様の結果が得られる
ことがわかった。
【0179】実施例6 本例では、図2に示す製造装置を用い、表7に示した条
件で光受容部材を電荷注入阻止層、光導電層、上部阻止
層、表面層の順に作製した。表7に示す上部阻止層の例
ではCclは2原子%、Chは20原子%(Ccl/C
h=0.1)であった。そして第Vb族原子、第IIIb族
原子を含有するガス種としては各々、PH3 ,B26
を用いて含有量を調節した。
【0180】作製した電子写真感光体を実施例1と同様
にして帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流
れについて相対評価を行ったところ実施例1の(a)と
同様に良好な結果が得られた。そして、画像特性におい
ても実施例1の(a)と同様に良好な画像が得られるこ
とがわかった。また、像露光光源をLEDに代えて半導
体レーザー(波長680nm)にした場合も同様の結果
が得られた。さらに、前露光及び像露光の波長を前露光
550nm〜700nm、像露光500nm〜700n
mの範囲で変化させた場合も同様の結果が得られた。
【0181】
【表7】 実施例7 本例では、図2に示す製造装置を用い、表8に示した条
件で光受容部材を電荷注入阻止層、光導電層、上部阻止
層、表面層の順に作製した。表8に示す上部阻止層の例
ではCclは10原子%、Chは40原子%(Ccl/
Ch=0.25)であった。そして第Vb族原子、第II
Ib族原子を含有するガス種としては各々、PH3 ,B2
6 を用いて含有量を調節した。
【0182】作製した電子写真感光体を実施例1と同様
にして帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流
れについて相対評価を行ったところ実施例1の(a)と
同様に良好な結果が得られた。そして、画像特性におい
ても実施例1の(a)と同様に良好な画像が得られた。
また、像露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波
長680nm)にした場合も同様の結果が得られた。さ
らに、前露光及び像露光の波長を前露光550nm〜7
00nm、像露光500nm〜700nmの範囲で変化
させた場合も同様の結果が得られた。
【0183】
【表8】 実施例8 本例では、図2に示す製造装置を用い、光受容部材とし
て表9に示す条件で光導電層、上部阻止層、表面層の順
に作製した。表9に示す上部阻止層の例ではCclは9
原子%、Chは30原子%(Ccl/Ch=0.3)で
あった。そして第Vb族原子、第IIIb族原子を含有する
ガス種としては各々、PH3 ,B26を用いて含有量
を調節した。
【0184】作製した電子写真感光体を実施例1と同様
にして帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流
れについて相対評価を行ったところ実施例1の(a)と
同様に良好な結果が得られた。そして、画像特性におい
ても実施例1の(a)と同様に良好な画像が得られた。
また、像露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波
長680nm)にした場合も同様の結果が得られた。さ
らに、前露光及び像露光の波長を前露光550nm〜7
00nm、像露光500nm〜700nmの範囲で変化
させた場合も同様の結果が得られた。
【0185】
【表9】 実施例9 本例では、図2に示す製造装置を用い、光受容部材とし
て表10に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、上部
阻止層、表面層の順に作製した。表10に示す上部阻止
層の例ではCclは2原子%、Chは40原子%(Cc
l/Ch=0.05)であった。そして第Vb族原子、
第IIIb族原子を含有するガス種としては各々、PH3
26 を用いて含有量を調節した。
【0186】作製した電子写真感光体を実施例1と同様
にして帯電能、残留電位、メモリー電位、感度、画像流
れについて相対評価を行ったところ実施例1の(a)と
同様に良好な結果が得られた。そして、画像特性におい
ても実施例1の(a)と同様に良好な画像が得られた。
また、像露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波
長680nm)にした場合も同様の結果が得られた。さ
らに、前露光及び像露光の波長を前露光550nm〜7
00nm、像露光500nm〜700nmの範囲で変化
させた場合も同様の結果が得られた。
【0187】
【表10】
【0188】
【発明の効果】本発明によれば、帯電能、感度の向上と
光メモリーの低減を高次元で両立するとともに画像流れ
を低減して画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原
子を母体とした非単結晶材料で構成された負帯電用電子
写真感光体が得られる。
【0189】そして、電気的、光学的、光導電的特性が
使用環境にほとんど依存することなく実質的に常時安定
しており、耐光疲労に優れ、繰り返し使用に際しては劣
化現象を起こさず耐久性、耐湿性に優れ、残留電位がほ
とんど観測されず、さらに画像品質の良好な、負帯電用
電子写真感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光受容部材の好適な実施態様例の層構
成を説明するための模式的層構成図である。
【図2】本発明の光受容部材の光受容層を形成するため
の装置の一例で、RF帯の高周波電源を用いたグロー放
電法による光受容部材の製造装置の模式的説明図であ
る。
【図3】テストチャートの一例を説明するための概略図
である。
【図4】本発明の光受容部材を好適に使用するための電
子写真装置の摸式的断面図である。
【符号の説明】
100 電子写真用光受容部材 101 支持体 102 光受容層 103 光導電層 104 上部阻止層 105 表面層 106 電荷注入阻止層 107 自由表面 2100 堆積装置 2111 反応容器 2112 円筒状支持体 2113 支持体加熱用ヒーター 2114 原料ガス導入管 2115 マッチングボックス 2116 原料ガス配管 2117 反応容器リークバルブ 2118 メイン排気バルブ 2119 真空計 2200 原料ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 原料ガスボンベ 2231〜2236 原料ガスボンベバルブ 2241〜2246 ガス流入バルブ 2251〜2256 ガス流出バルブ 2260 補助バルブ 2261〜2266 圧力調整器 401 光受容部材 402 主帯電器 403 静電潜像形成部位 404 現像器 405 転写紙供給系 406(a) 転写帯電器 406(b) 分離帯電器 407 クリーニングローラー 408 搬送系 409 除電光源 410 ハロゲンランプ 411 原稿台 412 原稿 413 ミラー 414 ミラー 415 ミラー 416 レンズユニット 417 CCDユニット 418 レーザーユニット 419 ミラー 420 ブランク露光LTD 421 クリーニングブレード 422 レジストローラー 423 定着器
フロントページの続き (72)発明者 新納 博明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 青木 誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA04 DA08 DA14 EA35 EA36 FA16 FA18 FC03 FC05 FC17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、シリコン原子を母体
    とする非単結晶材料で構成される光導電層、上部阻止層
    及び表面層を順次積層してなる電子写真感光体におい
    て、該上部阻止層はシリコン原子、水素原子、塩素原子
    を含有し、且つ、水素原子に対する塩素原子の比が0.
    025〜0.5であることを特徴とする負帯電用電子写
    真感光体。
  2. 【請求項2】 前記上部阻止層に含有される全ての原子
    に対する塩素原子の割合が1原子%〜20原子%である
    ことを特徴とする請求項1に記載の負帯電用電子写真感
    光体。
  3. 【請求項3】 前記上部阻止層に含有される全ての原子
    に対する水素原子の割合が10原子%〜40原子%であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の負帯電用
    電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記上部阻止層の層厚が0.01μm〜
    1μmであることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れか1項記載の負帯電用電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記上部阻止層に周期律表第IIIb族に属
    する原子が含有され、該含有量がシリコン原子に対して
    5000ppm以下であるか、または該上部阻止層に周
    期律表第IIIb族に属する原子が含有されていないことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の負
    帯電用電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 導電性支持体上に、シリコン原子を母体
    とする非単結晶材料で構成される光導電層、上部阻止層
    及び表面層を順に積層してなり、該上部阻止層はシリコ
    ン原子、水素原子、塩素原子を含有する電子写真感光の
    真空放電による作製方法において、原料ガスとしてSi
    HxC14-X(但し、Xは0〜3の整数)で表されるク
    ロロシラン化合物を用い、さらに、Si供給用ガス流量
    に体する放電電力の比を0.5w・min/ml(no
    rmal)〜10w・min/ml(normal)に
    して作製することを特徴とする負帯電用電子写真感光体
    の作製方法。
  7. 【請求項7】 除電、帯電、像露光、現像、転写等によ
    り画像形成を行う電子写真装置において、記録素子であ
    る電子写真感光体として、導電性支持体上に、シリコン
    原子を母体とする非単結晶材料で構成される光導電層、
    上部阻止層及び表面層を順次積層してなり、該上部阻止
    層はシリコン原子、水素原子、塩素原子を含有し、且
    つ、水素原子に対する塩素原子の比が0.025〜0.
    5である負帯電用電子写真感光体を用い、除電を行う際
    には550nm〜700nmの波長を、像露光には50
    0nm〜700nmの波長を用いることを特徴とする電
    子写真装置。
JP2000170988A 2000-06-07 2000-06-07 電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置 Pending JP2001350283A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000170988A JP2001350283A (ja) 2000-06-07 2000-06-07 電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000170988A JP2001350283A (ja) 2000-06-07 2000-06-07 電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001350283A true JP2001350283A (ja) 2001-12-21

Family

ID=18673605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000170988A Pending JP2001350283A (ja) 2000-06-07 2000-06-07 電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001350283A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002123020A (ja) 負帯電用電子写真感光体
JP2003337437A (ja) 負帯電用電子写真感光体およびそれを用いた電子写真装置
JP2002091040A (ja) 電子写真感光体及び電子写真装置
JPH09311495A (ja) 光受容部材
JPH1090929A (ja) 電子写真用光受容部材
JP3559655B2 (ja) 電子写真用光受容部材
JP3862334B2 (ja) 電子写真用光受容部材
JP3606395B2 (ja) 電子写真用光受容部材
JP3437299B2 (ja) 画像形成方法
JP2001350283A (ja) 電子写真感光体とその作製方法及び電子写真装置
JP3535664B2 (ja) 電子写真装置
JP2001324828A (ja) 電子写真感光体とその作製方法及び装置
JPH1073982A (ja) 帯電器及びこれを用いた電子写真装置
JP2000171995A (ja) 電子写真用光受容部材
JP2004310140A (ja) 電子写真用光受容部材
JP3466745B2 (ja) 電子写真装置
JP2002116569A (ja) 電子写真用光受容部材および電子写真装置
JPH1165146A (ja) 電子写真用光受容部材
JP2002236379A (ja) 電子写真用光受容部材およびそれを用いた電子写真装置
JPH1165147A (ja) 電子写真用光受容部材
JP2002139858A (ja) 電子写真用光受容部材及び電子写真装置
JP2004133399A (ja) 電子写真感光体
JP2001337472A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2001209198A (ja) 電子写真用光受容部材、画像形成装置及び画像形成方法
JP2002311614A (ja) 電子写真用光受容部材