JP2001343788A - カラートナー及び画像形成方法 - Google Patents

カラートナー及び画像形成方法

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JP2001343788A
JP2001343788A JP2001091023A JP2001091023A JP2001343788A JP 2001343788 A JP2001343788 A JP 2001343788A JP 2001091023 A JP2001091023 A JP 2001091023A JP 2001091023 A JP2001091023 A JP 2001091023A JP 2001343788 A JP2001343788 A JP 2001343788A
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JP2001091023A
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Tomohito Handa
智史 半田
Hiroaki Kawakami
宏明 川上
Tatsuya Nakamura
達哉 中村
Koji Inaba
功二 稲葉
Yuji Moriki
裕二 森木
Katsuyuki Nonaka
克之 野中
Tatsuhiko Chiba
建彦 千葉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クイックスタート性及び省電力に優れ、十分
な着色性と優れた透過性、耐候性を併せもつカラートナ
ーを提供するものである。 【解決手段】 磁界発生手段と、電磁誘導により発
熱する発熱層と離型層とを少なくとも有する回転加熱部
材と、該回転加熱部材とニップを形成している回転加
圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、該回
転加熱部材に記録材を介して該回転加圧部材を押圧させ
ながら該記録材上のトナー画像を、加熱加圧定着して記
録材に定着画像を形成する画像形成方法に適用されるカ
ラートナーであり、該カラートナーは結着樹脂及びイエ
ロー着色剤を少なくとも含有し、該イエロー着色剤とし
て、縮合アゾ系イエロー顔料、ベンズイミダゾロン系イ
エロー顔料、あるいは、C.I.Solvent Ye
llow162の染料のいずれかを少なくとも含有し、
且つ、該トナー中に、テトラヒドロフラン溶媒に不溶な
成分がトナー全体に対して2〜70質量%含有すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、磁気記録法などを利用した記録方法に用いられ
るトナー、又はフルカラー画像形成方法に用いられるト
ナー、又はトナージェット方式の画像形成方法に用いら
れるトナー、及び画像形成方法に関するものである。さ
らに詳しくは、本発明は、予め静電潜像担持体上にトナ
ー像を形成後、転写材上に転写させて画像形成する、複
写機、プリンター、ファックス等の電子写真、静電記
録、静電印刷に用いられるトナー及び画像形成方法、又
はトナージェット方式により記録材に直接トナーを吐出
し画像を得るトナー及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真法は一般に光導電性物質
を利用し、種々の手段により像担持体(感光体)上に電
気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像
し、必要に応じて直接的あるいは間接的手段を用い、紙
の如き記録材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、
加熱加圧あるいは溶剤蒸気により定着し複写物を得るも
のである。そして、記録材に転写せず感光体上に残った
トナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が
繰り返される。
【0003】この電子写真法によって単色印字をするの
が主流であったが、近年、イエロー、マゼンタ、シア
ン、ブラックによるフルカラーの電子写真が登場してき
ている。
【0004】従来、フルカラートナーに用いられる色材
としては、種々のものが提案され、たとえば、減法混色
法にシアン、マゼンタ、イエロー等の色材が用いられて
いる。
【0005】イエロートナーに用いる色材に関して種々
のものが知られている。たとえば、特開平3−2761
61号公報においてはソルベントイエロー(以下、「S
Y−」と略記する)162、特開平2−207274号
公報においてはSY−160、特開平2−207273
号公報においてはSY−112等の染料が、また、特開
平2−210363号公報、特開昭62−157051
号公報、特開昭62−255956号公報においては
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、
17等のジスアゾ顔料が使用されている。さらに、特開
平3−41472号公報にはキノフタロン系イエロー色
素が、また、特開平2−210364号公報等にもモノ
アゾ系イエロー顔料が記載されている。
【0006】しかしこれらの顔料を用いたイエロートナ
ーによる画像は、耐候性に優れるものの、透過原稿で必
要とされる透過性に問題があった。また、透過性を優先
して顔料含有量を低下させたトナーを用いると、着色性
が劣るといったトレードオフの関係があり、着色性と透
過性を両立するものは得られていなかった。
【0007】そこで、かかる透過性を改善するために、
顔料系着色剤に換えて、染料系の着色剤を使用する方法
がある。染料系の着色剤は透過性に優れており、このよ
うな着色剤を使用したトナーには十分な透過性能が得ら
れることがわかった。しかしながら、ごく一般的な染料
では、耐候性において問題があった。
【0008】また、近年さらなる電子写真技術の応用と
してバックプリントフィルムのごとき透過原稿への印刷
や、出力した画像を、特殊な転写材を利用して鋼材、布
等へ画像を再転写加工する動きが生じている。このよう
な加工品の場合は、その用途から、屋外の太陽光下で長
時間使用するような使用状況が予想される。このためこ
れらに使用されるトナーとしては、従来以上の耐熱・耐
候性が必要とされる。
【0009】ここで、一般的なフルカラー画像を形成す
る方法について説明する。感光体ドラムの感光体を一次
帯電器によって均一に帯電し、原稿のマゼンタ画像信号
にて変調されたレーザ光により画像露光を行ない、感光
ドラム上に静電潜像を形成し、マゼンタトナーを保有す
るマゼンタ現像器により該静電潜像の現像を行ない、マ
ゼンタトナー画像を形成する。次に搬送されてきた転写
材に転写帯電器によって前記の感光ドラムに現像された
マゼンタトナー画像を直接的あるいは間接的手段を用い
転写する。
【0010】一方、前記の静電潜像の現像を行なった後
の感光体ドラムは、除電用帯電器により除電し、クリー
ニング手段によってクリーニングを行なった後、再び一
次帯電器によって帯電し、同様にシアントナー画像の形
成及び前記マゼンタトナー画像を転写した転写材へのシ
アントナー画像の転写を行なう。さらにイエロートナー
画像及びブラックトナー画像と順次同様に行なって、4
色のトナー画像を転写材に転写する。この4色のトナー
画像を有する転写材を、定着ローラにより熱及び圧力の
作用で定着することによりフルカラー画像を形成する。
【0011】このようなフルカラー画像形成装置は、デ
ザインスタジオなどのプロフェッショナルユースや、一
部の事務処理用カラー複写機というだけでなく、コンピ
ュータの出力としてのプリンター、あるいは個人向けの
パーソナルプリンターという分野で使われ始めている。
特に近年では、ホストであるコンピュータ側のCPU性
能、記憶容量等の向上により、あるいは電子カメラなど
の電子画像端末の普及により、個人で画像処理、カラー
DTP(デスクトップパブリッシング、即ち、いわゆる
電子出版)を日常的に行なうようになり、カラープリン
ターの需要が非常に高まってきている。
【0012】このようなカラープリンターには、オリジ
ナルカラー画像を、より忠実に複写するため、更に一層
の高画質、高解像度化が望まれている。
【0013】また一方では、カラー画像の高画質化、高
解像度化もさることながら、トナー画像を被記録材に加
熱定着させる定着工程での定着性の向上、定着速度の改
善、定着エネルギー効率の改善が強く望まれている。
【0014】従来、転写材シート・エレクトロファック
スシート・静電記録紙・トランスペアレンシーシート
(OHPシート)・印刷用紙・フォーマット紙などの被
記録材上の未定着画像(トナー画像)を加熱定着させる
定着装置としては、熱ローラ方式の定着装置が広く用い
られてきている。
【0015】しかし、熱ローラ方式の定着装置は画像形
成装置の電源をオンにして同時に定着装置の熱源である
ハロゲンランプに通電を開始しても、定着ローラの熱容
量が大きく、定着ローラ等が冷え切っている状態時から
所定の定着可能温度に立ち上がるまでにはかなりの待ち
時間(ウエイトタイム)を要し、クイックスタート性に
欠けるという欠点があった。
【0016】また画像形成装置のスタンバイ状態時(非
画像出力時)においても、定着ローラを所定の温調状態
に維持させておくためにハロゲンランプに通電したまま
保持している必要があり、画像形成装置の内部昇温に対
する過大対策や電力消費増加といった、エネルギー効率
が悪いという問題を生じるため、さらなる改良が期待さ
れている。
【0017】かかる問題を解決するために、例えば特開
昭63−313182号公報、特開平2−157878
号公報、特開平4−44075号公報、特開平4−20
4980号公報において、フィルム加熱方式の定着装置
が提案されている。
【0018】これらのフィルム加熱方式の定着装置は、
加熱体としてセラミックヒータと、加圧部材としての加
圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム)を挟
ませてニップ部を形成させ、該ニップ部のフィルムと加
圧ローラとの間に、画像定着すべき未定着トナー画像を
形成担持させた被記録材を導入してフィルムと一緒に挟
持搬送させることで、ニップ部においてセラミックヒー
タの熱をフィルムを介して被記録材に与え、またニップ
部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定
着させるものである。このフィルム加熱方式の定着装置
の特徴としては、セラミックヒータ及びフィルムとして
低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構
成することができ、画像形成装置の画像形成実行時のみ
熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温
度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源
オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く
(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大
幅に小さい(省電力)等の点があげられる。
【0019】しかし、大きな熱量が要求されるフルカラ
ー画像形成装置や高速機種用の定着装置としては熱量的
に不十分であり、定着不良や定着画像の光沢ムラ(グロ
スムラ)やオフセット等の問題が発生し、さらなる改善
が必要である。
【0020】そこで、かかる問題点を解決するために、
特開昭51−109739号公報において、磁束により
定着ローラに電流を誘導させてジュール熱によって発熱
させる誘導加熱定着装置が開示されている。これは、誘
導電流の発生を利用することで直接定着ローラを発熱さ
せることができて、ハロゲンランプを熱源として用いた
熱ローラ方式の定着装置よりも熱効率が良好な定着プロ
セスを達成している。
【0021】しかしながら、この誘導加熱ローラ定着方
式は、ローラが室温の状態から定着温度まで十分に加熱
されるためには多くのジュール熱を必要とするため、こ
の定着方式では、画像形成装置の電源オンから画像形成
実行可能状態までの待ち時間を速くする、いわゆる「オ
ンデマンド定着」を達成することは困難であった。ま
た、誘導加熱ローラ定着方式は、定着装置を十分に予熱
しておく必要があるため、機内昇温や省電力の点で好ま
しくなく、さらなる改善が必要である。
【0022】一方、画像形成方法に使用されるトナーと
しては、熱を加えた際の溶融性及び混色性が良いことが
重要であり、軟化点が低く、且つ溶融粘度が低く、高い
シャープメルト性を有するトナーを使用することが好ま
しい。
【0023】即ち、この高いシャープメルト性を有する
トナーを使用することにより、複写物の色再現範囲を広
め、原稿像に忠実なカラー画像を得ることができる。
【0024】しかしながらこのような高いシャープメル
ト性を有するカラートナーは、一般に定着ローラとの親
和性が高く、定着時に定着ローラにオフセットし易い傾
向にる。
【0025】特に、該トナーを用いて、カラー画像を形
成する画像形成方法における定着装置の場合、転写材上
にマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、ブ
ラックトナーと複数層のトナー層が形成され、単色で現
像する場合に比べてかなりトナー層厚が増大することか
ら、このような場合は特に定着時の熱や圧力が不十分な
ことにより、画像オフセットが発生しやすい傾向にあ
る。
【0026】このような定着時の画像オフセットは、従
来、定着装置のローラ表面に対してトナーの離型性を向
上させることにより解決してきた。すなわち、定着時、
定着ローラ表面にトナーを付着させない目的で、例えば
ローラ表面をシリコーンゴムやフッ素系樹脂の如きトナ
ーに対して離型性の優れた材料で形成し、さらにオフセ
ット防止及びローラ表面の劣化を防止するためにシリコ
ーンオイル、フッ素オイルの如き離型性の高い液体の薄
膜でローラ表面を被覆することが行なわれている。
【0027】しかしながら、この方法はトナーのオフセ
ットを防止する点では極めて有効であるが、オフセット
防止用液体を供給するための装置が必要なため、定着装
置が複雑になる問題点を有していることはもちろんのこ
と、このオイル塗布が定着ローラを構成している各層間
のはく離を起こし、結果的に定着ローラの寿命を短くし
てしまうという弊害を生じ易い。さらに、これら定着器
を用いトナー像を定着せしめる転写材としては、一般に
各種紙類、コーティング紙、プラスチックフィルムが用
いられる。中でもプレゼンテーション用としてオーバー
ヘッドプロジェクターを利用するトランスペアレンシー
シートを転写材として用いる必要性が近年より要求され
ている。特にトランスペアレンシーシートにおいては紙
と異なり、オイル吸収能力が低いため、現状得られる複
写されたトランスペアレンシーシートはオイル塗布によ
るベタベタ感が避けられず、得られた画像の品質に大き
な問題が残されている。さらに、シリコーンオイルの如
きオイルが熱により蒸発し、機内を汚染したり、回収オ
イルの処理の問題も発生する可能性が大きい。
【0028】そこでシリコーンオイルの供給装置を用い
ないで、かわりにトナー中から加熱時にオフセット防止
液体を供給しようという考えから、トナー中に低分子量
ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンの如き離型剤
(ワックス)を添加する方法が提案されている。ところ
が、一般的なワックスを用いて十分な効果を出すために
は多量にこのような添加剤を加える必要があるが、この
場合、過剰なワックスに由来する「感光体へのフィルミ
ング」や、「キャリアやスリーブなどのトナー担持体の
表面汚染」を生じ易く、画像が劣化し事実上問題とな
る。
【0029】そこでこのような問題を解決するために、
トナー中に画像を劣化させない程度のワックスを添加す
ると共に、若干の離型性オイルを供給する装置もしくは
オフセットしたトナーを、巻き取り式の例えばウェブの
如き部材を用いた装置又はクリーニングパットを用いク
リーニングする装置を併用することが行なわれている。
【0030】しかしながら、特にフルカラー分野におい
ては、従来のごとくトナーにワックスを含有させる手段
では、転写材としてトランスペアレンシーシートを用い
た際、ワックスの高結晶化や樹脂との屈折率差の原因の
ため定着後の画像の透明性やヘイズが低下してしまうと
いう問題が生じてしまう。
【0031】また、THF不溶分で表されるトナー樹脂
中の架橋性樹脂分量とトランスペアレンシー画像の透明
性に関して関連があり、良好なトランスペアレンシー画
像の透明性を得るためには、トナー樹脂中の架橋性樹脂
分量を適正化する必要性がある。
【0032】さらに、トナー樹脂中の架橋性樹脂分量
は、トナーの定着に影響を及ぼすことが知られている。
トナー樹脂中の架橋性樹脂分量が適正化されずに、例え
ば、架橋量が少ないと、定着器の熱で溶融したトナー樹
脂が、記録材だけでなく、定着フィルムの加圧面にオフ
セットするいわゆる高温オフセット現象を生じ易くな
り、また、架橋量が多いと、定着器の熱でトナー樹脂が
充分に溶融せず、記録材にトナー粒子が溶融不良を起こ
し、定着しないトナーが加熱ローラ上に融着する、いわ
ゆる低温オフセット現象を生じ易くなるため好ましくな
い。
【0033】従来のトナーでは、これらの面をすべてを
満足するものは無く、何らかの問題点が生じていた。例
えば、耐高温オフセットや現像性は優れているが低温定
着性が十分ではなかったり;耐低温オフセットや低温定
着性には優れているが、耐ブロッキング性にやや劣り、
機内昇温で現像性が低下する弊害があったり;低温時と
高温時の耐オフセット性が両立できなかったり;トラン
スペアレンシーシートの透明性が極度に悪かったりして
いた。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来技術の問題点を解決したカラートナー及び画像形
成方法を提供することにある。
【0035】すなわち、本発明の目的は、クイックスタ
ート性及び省電力に優れたカラートナー及び画像形成方
法を提供するものである。
【0036】更に本発明の目的は、十分な着色性と優れ
た透過性、耐候性を併せもつカラートナー及び画像形成
方法を提供するものである。
【0037】更に本発明の目的は、定着性及び耐オフセ
ット性に優れたカラートナー及び画像形成方法を提供す
るものである。
【0038】更に本発明の目的は、オフセット現象の発
生を極力抑え、かつ、グロスムラの発生を極力抑え、更
に、定着フィルム表面へのフィルミングを抑えたカラー
トナー及び画像形成方法を提供するものである。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁界発生手
段と、電磁誘導により発熱する発熱層と離型層とを少
なくとも有する回転加熱部材と、該回転加熱部材とニ
ップを形成している回転加圧部材を少なくとも有する加
熱加圧手段を使用し、該回転加熱部材に記録材を介して
該回転加圧部材を押圧させながら該記録材上のトナー画
像を、加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画
像形成方法に適用されるカラートナーであり、該カラー
トナーは結着樹脂及びイエロー着色剤を少なくとも含有
し、該イエロー着色剤として、下記の構造式(1)又は
構造式(2)で表される顔料、あるいは、構造式(3)
で表される染料のいずれかを少なくとも含有し、且つ、
該トナー中に、テトラヒドロフラン溶媒に不溶な成分が
トナー全体に対して2〜70質量%含有することを特徴
とするカラートナーに関する。
【0040】
【化7】
【0041】
【化8】
【0042】
【化9】
【0043】また、本発明は、加熱加圧手段により記録
材上のトナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像
を形成する画像形成方法であって、該加熱加圧手段は、
磁界発生手段と、電磁誘導により発熱する発熱層と
離型層とを少なくとも有する回転加熱部材と、該回転
加熱部材とニップを形成している回転加圧部材を少なく
とも有する加熱加圧手段であり、該回転加熱部材に記録
材を介して該回転加圧部材を押圧させながら該記録材上
のトナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形
成する画像形成方法において、トナー画像を形成してい
るトナーは、結着樹脂及びイエロー着色剤を少なくとも
含有し、該イエロー着色剤として、上記の構造式(1)
又は構造式(2)で表される顔料、あるいは、構造式
(3)で表される染料のいずれかを少なくとも含有し、
且つ、該トナー中に、テトラヒドロフラン溶媒に不溶な
成分がトナー全体に対して2〜70質量%含有すること
を特徴とする画像形成方法に関する。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0045】(1)画像形成方法 まず、本発明の画像形成方法について述べる。
【0046】本発明の特徴の一つは記録材に定着画像を
形成する画像形成方法にある。
【0047】図1を参照しながら本発明の画像形成方法
の一例をより具体的に説明する。
【0048】図1はフルカラーの画像形成装置の概略図
である。本例の画像形成装置は電子写真カラープリンタ
ーである。
【0049】101は有機感光体やアモルファスシリコ
ン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢
示の方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆
動される。
【0050】感光体ドラム101は、その回転過程で帯
電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様
な帯電処理を受ける。
【0051】次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レ
ーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103
による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レー
ザ光学箱110は、不図示の画像読み取り装置等の画像
信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル
画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光1
03を出力して、回転感光体ドラム101面に走査露光
した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。1
09は、レーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光
体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0052】フルカラー画像形成の場合は、目的のフル
カラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成
分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜
像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器
104Yの作動でトナー画像として現像される。そのト
ナー画像は、感光体ドラム101と中間転写体ドラム1
05との接触部(或いは近接部)である一次転写部T1
において中間転写体ドラム105の面に転写される。中
間転写体ドラム105面に対するトナー画像転写後の回
転感光体ドラム101面は、クリーナ107により転写
残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0053】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、
マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画
像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作
動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現
像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順
次実行され、中間転写体ドラム105面にイエロートナ
ー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒ト
ナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写され
て、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像
が合成・形成される。
【0054】中間転写体ドラム105は、金属ドラム上
に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光
体ドラム101に接触して或いは近接して感光体ドラム
101と同じ周速度で矢示の方向に回転駆動され、中間
転写体ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与え
て感光体ドラム101との電位差で、感光体ドラム10
1側のトナー画像を前記中間転写体ドラム105面側に
転写させる。
【0055】上記の回転中間転写体ドラム105面に合
成・形成されたカラートナー画像は、前記回転中間転写
体ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部で
ある二次転写部T2において、前記二次転写部T2に不
図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録
材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は、記録
材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給すること
で、中間転写体ドラム105面側から記録材P側へ合成
カラートナー画像を順次に一括転写する。
【0056】二次転写部T2を通過した記録材Pは、中
間転写体ドラム105の面から分離されて像加熱装置
(定着装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加
熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図
示の排紙トレーに排出される。定着装置100について
は次の『(2)定着装置(加熱手段)』で詳述する。
【0057】記録材Pに対するカラートナー画像転写後
の回転中間転写体ドラム105は、クリーナ108によ
り転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて
清掃される。このクリーナ108は、常時は中間転写体
ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写
体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画像
の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に
接触状態に保持される。
【0058】また転写ローラ106も、常時は中間転写
体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転
写体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画
像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105
に記録材Pを介して接触状態に保持される。
【0059】本例装置は、白黒画像などモノカラー画像
のプリントモードも実行できる。また両面画像プリント
モード、或いは多重画像プリントモードも実行できる。
両面画像プリントモードの場合は、定着装置100を出
た1面目画像プリント済みの記録材Pは、不図示の再循
環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2
へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再
度、定着装置100に導入されて2面に対するトナー画
像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力さ
れる。
【0060】多重画像プリントモードの場合は、定着装
置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは、
不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び
二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済み
の面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、定着装置
100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受
けることで多重画像プリントが出力される。
【0061】次に、本発明の定着装置の例について説明
する。
【0062】本例では、発熱層と離型層に加えて弾性層
を有する加熱回転部材を有する定着装置を例示したが、
例えば、モノトーンの画像形成装置から出力される画像
を定着する際には、画像の品質などを損なわない限りに
おいて、弾性層を有しない構成も可能である。
【0063】その際には、後述の定着ベルトの構成にお
ける発熱層と離型層とを直接接触させれば良く、各層の
接着性を向上させるためにプライマー層を設けても良
い。
【0064】(2)定着装置(加熱手段)100 本発明の特徴の一つである定着装置について具体的に説
明するが、本発明の加熱定着装置は例示したものに限定
するものではなく、例えば励磁コイル部分をベルトの外
部に設置した構成の加熱定着装置であっても良い。
【0065】図2は、本発明における電磁誘導加熱方式
の定着装置100の要部の横断側面模式図、図3は要部
の正面模式図、図4は要部の縦断正面模式図を具体的に
示したものである。
【0066】磁場発生手段は、磁性コア17a・17b
・17c及び励磁コイル18からなる。
【0067】磁性コア17a・17b・17cは高透磁
率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったト
ランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは
100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いる
のがよい。
【0068】励磁コイル18には、図5に示すように給
電部18a・18bに励磁回路27を接続してある。こ
の励磁回路27は、20kHzから500kHzの高周
波をスイッチング電源で発生できるようになっている。
【0069】励磁コイル18は、励磁回路27から供給
される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生
する。
【0070】16a・16bは横断面略半円弧状樋型の
ベルトガイド部材であり、開口側を互いに向かい合わせ
て略円柱体を構成し、外側に円筒状の電磁誘導性発熱ベ
ルトである定着ベルト10をルーズに外嵌させてある。
【0071】前記ベルトガイド部材16aは、磁場発生
手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コ
イル18を内側に保持している。
【0072】また、ベルトガイド部材16aには、図4
に示すように紙面垂直方向長手の良熱伝導部材40がニ
ップ部Nの加圧ローラ30との対向面側で、定着ベルト
10の内側に配設してある。
【0073】本例においては、良熱伝導性部材40にア
ルミニウムを用いている。前記良熱伝導部材40は熱伝
導率kがk=240[W・m-1・K-1]であり、厚さ1
[mm]である。
【0074】また、良熱伝導部材40は、磁場発生手段
である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17
cから発生する磁場の影響を受けないように、この磁場
の外に配設してある。
【0075】具体的には、良熱伝導部材40を励磁コイ
ル18に対して磁性コア17cを隔てた位置に配設し、
励磁コイル18による磁路の外側に位置させて良熱伝導
体40に影響を与えないようにしている。
【0076】22は、ベルトガイド部材16bの内面平
面部に当接させて配設した横長の加圧用剛性ステイであ
る。
【0077】19は、磁性コア17a・17b・17c
及び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22の間を絶縁
するための絶縁部材である。
【0078】フランジ部材23a・23bは、ベルトガ
イド部材16a・16bのアセンブリの左右両端部に外
嵌し、前記左右位置を固定しつつ回転自在に取り付け、
定着ベルト10の回転時に前記定着ベルト10の端部を
受けて定着ベルトのベルトガイド部材長手に沿う寄り移
動を規制する役目をする。
【0079】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被
覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂な
どの耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、芯金
30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回
転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0080】加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャ
ーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ
加圧バネ25a・25bを縮設することで、加圧用構成
ステイ22に押し下げ力を作用させている。これによ
り、ベルトガイド部材16aの下面と加圧ローラ30の
上面とが定着ベルト10を挟んで圧接して所定幅の定着
ニップ部Nが形成される。
【0081】加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の
方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動
による前記加圧ローラ30と定着ベルト10の外面との
摩擦力で定着ベルト10に回転力が作用し、前記定着ベ
ルト10が、その内面が定着ニップNにおいて良熱伝導
部材40の下面に密着して摺動しながら、矢示の方向に
加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をも
ってベルトガイド部材16a・16bの外回りを回転状
態になる。
【0082】この場合、定着ニップ部Nにおける良熱伝
導部材40の下面と定着ベルト10の内面との相互摺動
摩擦力を低減化させるために、定着ニップ部Nの良熱伝
導部材40の下面と定着ベルト10の内面との間に耐熱
性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あるいは良熱伝導
性部材40の下面を潤滑部材で被覆することもできる。
これは、良熱伝導部材40としてアルミニウムを用いた
場合のように表面滑り性が材質的によくない或いは仕上
げ加工を簡素化した場合に、摺動する定着ベルト10に
傷をつけて定着ベルト10の耐久性が悪化してしまうこ
とを防ぐものである。
【0083】良熱伝導部材40は長手方向の温度分布を
均一にする効果があり、例えば、小サイズ紙を通紙した
場合、定着ベルト10での非通紙部の熱量が、良熱伝導
部材40へ伝熱し、良熱伝導部材40における長手方向
の熱伝導により、非通紙部の熱量が小サイズ紙通紙部へ
伝熱される。これにより、小サイズ紙通紙時の消費電力
を低減させる効果も得られる。
【0084】また、図5に示すように、ベルトガイド部
材16aの曲面に、その長手に沿い所定の間隔を置いて
凸リブ部16eを形成具備させ、ベルトガイド部材16
aの曲面と定着ベルト10の内面との接触摺動抵抗を低
減させて定着ベルト10の回転負荷を少なくしている。
このような凸リブ部はベルトガイド部材16bにも同様
に形成具備することができる。
【0085】図6は交番磁束の発生の様子を模式的に表
したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表
す。磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁
束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そし
て磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着
ベルト10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発生させる。
この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁
誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度
によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図6
のグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角
度θで表した定着ベルト10における円周方向の位置を
示し、横軸が定着ベルト10の電磁誘導発熱層1での発
熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし
た場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。これ
は、定着に必要な発熱量が得られる領域である。
【0086】而して、定着ベルト10が回転し、励磁回
路27から励磁コイル18への給電により上記のように
定着ベルト10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部
Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態におい
て、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像t
が形成された記録材Pが定着ニップ部Nの定着ベルト1
0と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、即ち定着
ベルト面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて
画像面が定着ベルト10の外面に密着して定着ベルト1
0と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この
定着ニップ部Nを定着ベルト10と一緒に記録材Pが挟
持搬送されていく過程において定着ベルト10の電磁誘
導発熱で加熱されて、記録材P上の未定着トナー画像t
1が加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通過
すると回転定着ベルト10の外面から分離して排出搬送
されていく。記録材上の加熱定着トナー画像t2は定着
ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
【0087】電磁誘導加熱定着方式においては、更に好
ましくは以下のごとくである。
【0088】電磁誘導加熱方式を利用する定着装置にお
いて、該回転加熱部材と該回転加圧部材により形成され
るニップ前後において、該記録材突入側の該回転部材の
温度Z1(℃)と、該記録材を排出する側の該回転加熱
部材の温度Z2(℃)と、該回転部材を発熱させる部位
に至る前の該回転加熱部材温度をZ3(℃)とが、下記
条件 Z3≦Z2<Z1 を満足するときに優れた定着性能を示すことを、鋭意検
討の末本発明者らは見出した。
【0089】特に、上記温度の範囲であると、ニップに
おいて、記録材突入側において記録材のトナーがもっと
も高温で迅速に溶融され、クイックスタート時において
も十分な定着強度を有するようになる。
【0090】ニップ出口においては、突入側における温
度よりも低い温度であるから、ニップ入り口部において
迅速に溶融したトナーによる記録材の加熱部材への貼り
付きを効果的に防止できるものである。
【0091】もうひとつの効果として、記録材突入側の
加熱回転部材の温度Z1が高いと、記録材がニップに突
入する前において、該加熱回転部材表面からの放射熱に
よりトナー及び記録材が少なからず加熱され、ニップに
よる加熱を補助する機能を有し、定着性の向上に寄与す
る効果があると考えられる。
【0092】更には、回転部材を発熱させる部位に至る
前の回転加熱部材温度を、記録材を排出する側の温度以
下に保つことにより、回転部材を発熱させる部位に至る
ときに過度の過熱を防止することできる。
【0093】ここで、Z1,Z2,Z3とは、以下説明
する位置にて測定されたものである。ニップ中心を基準
として、記録材突入側であって該加熱部材の周長の8分
の1の位置における該加熱部材の表面温度をZ1とす
る。同様にZ2においては、ニップ中心を基準として、
記録材を排出する側であって該加熱部材の周長の8分の
1の位置における該加熱部材の表面温度をいう。Z3
は、該ニップ通過後であって該加熱手段の発熱させられ
る位置の直前から、該回転加熱部材の回転反対方向へ周
長の8分の1の範囲を測定して得られた温度である。図
12において、Z1,Z2,Z3の測定部位の例を示
す。
【0094】測定部位は、前述の通りであるが、このZ
1,Z2,Z3を測定する時においては、記録材を通過
させたときの温度を測定することにより得る。
【0095】記録紙としては、坪量75g/m2の記録
材(例えば、ゼロックス社4024)を用い、測定環境
は、23℃,60%RHにおいて行ない、記録紙は、該
測定環境において24時間調温調湿したものを用いる。
【0096】Z1においては、記録材通過時に該回転加
熱部材と該記録材との接触する部分に相当する該回転加
熱部材表面温度を記録し、その最大値をZ1とする。
【0097】Z2においては、記録材通過時に該回転加
熱部材と該記録材との接触する部分に相当する該回転加
熱部材表面温度を記録し、その最小値をZ2とする。
【0098】Z3においては、記録材通過時に該回転加
熱部材と該記録材との接触する部分に相当する該回転加
熱部材表面温度を記録し、その最小値をZ3とする。
【0099】上記条件を満足させるためには、加熱部材
の外径、熱容量及び回転速度、加熱部材への供給電力
量、回転加熱部材のどの位置で発熱させる、加圧部材の
外径または熱容量、定着器の回転速度などの好適な組み
合わせにより達成することができる。
【0100】該加熱部材の周長Laに対して、ニップ中
心を基準として、記録材突入側La/4の点から記録材
排出側La/8の点の範囲において少なくとも該発熱層
を発熱させると、ニップ近傍での、加熱部材の温度ムラ
を抑えることが可能となり定着ムラなどを効果的に防止
できる。
【0101】好ましくは、Z1は、エネルギーの効率的
利用を考慮し250℃に満たない温度に設定することが
好ましく、Z1とZ2の差は、40℃以下、好ましくは
30℃以下とすることが、定着画像を高品位に保つため
に好ましい。これを満足する定着方法においては、たと
え、低温低湿下の定着に厳しい環境下においても十分な
定着性能を維持し好ましい。
【0102】定着ニップ部Nの温度は、図7に示す温度
検知手段50を含む温調系により励磁コイル18に対す
る電流供給が制御されることで定着ニップ部Nの温度が
所定の温度が維持されるように温調される。
【0103】本例においては、図2に示すように、定着
フィルム10のこの発熱域H(図6)の対向位置に暴走
時の励磁コイル18への給電を遮断するため、温度検知
素子であるサーモスイッチ50を配設している。
【0104】図7は本例で使用した安全回路の回路図で
ある。温度検知素子であるサーモスイッチ50は、+2
4V DC電源とリレースイッチ51と直列に接続され
ており、サーモスイッチ50が切れると、リレースイッ
チ51への給電が遮断され、リレースイッチ51が動作
し、励磁回路27への給電が遮断されることにより励磁
コイル18への給電を遮断する構成をとっている。サー
モスイッチ50はOFF動作温度を220℃に設定し
た。
【0105】また、サーモスイッチ50は定着フィルム
10の発熱域Hに対向して定着フィルム10の外面に非
接触に配設した。サーモスイッチ50と定着フィルム1
0との間の距離は約2mmとした。これにより、定着フ
ィルム10にサーモスイッチ50の接触による傷が付く
ことがなく、耐久による定着画像の劣化を防止すること
ができる。
【0106】本例によれば、装置故障による定着装置暴
走時、図11のような定着ニップNで発熱する構成とは
違い、定着ニップNに紙が挟まった状態で定着器が停止
し、励磁コイル18に給電が続けられ定着フィルム10
が発熱し続けた場合でも、紙が挟まっている定着ニップ
部Nでは発熱していないために紙が直接加熱されること
がない。また、発熱量が多い発熱域Hには、サーモスイ
ッチ50が配設してあるため、サーモスイッチ50が2
20℃を感知して、サーモスイッチが切れた時点で、リ
レースイッチ51により励磁コイル18への給電が遮断
される。
【0107】本例によれば、紙の発火温度は約400℃
近辺であるため紙が発火することはなく、定着フィルム
の発熱を停止することができる。
【0108】温度検知素子としてサーモスイッチのほか
に温度ヒューズを用いることもできる。
【0109】本例では低軟化物質を含有させたトナーを
使用したため、定着装置にオフセット防止のためのオイ
ル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させて
いないトナーを使用した場合にはオイル塗布機構を設け
てもよい。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用
した場合にもオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。本
発明の特徴の一つである定着装置の構成について更に具
体的に説明する。
【0110】A)励磁コイル18 励磁コイル18はコイル(線輪)を構成させる導線(電
線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の
細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回
巻いて励磁コイルを形成している。本例では10ターン
巻いて励磁コイル18を形成している。
【0111】絶縁被覆は、定着ベルト10の発熱による
熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよ
い。たとえば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を
用いるとよい。
【0112】励磁コイル18は外部から圧力を加えて密
集度を向上させてもよい。
【0113】励磁コイル18の形状は、図2のように発
熱層の曲面に沿うようにしている。本例では定着ベルト
の発熱層と励磁コイル18との間の距離は約2mmにな
るように設定した。
【0114】励磁コイル保持部材19の材質としては絶
縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノ
ール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹
脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹
脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0115】磁性コア17a・17b・17c及び励磁
コイル18と、定着ベルトの発熱層の間の距離はできる
限り近づけた方が磁束の吸収効率が高く、この距離が5
mmを超えるとこの効率が著しく低下するため5mm以
内にするのがよい。また、5mm以内であれば定着ベル
ト10の発熱層と励磁コイル18の距離が一定である必
要はない。
【0116】励磁コイル18の励磁コイル保持部材19
からの引出線すなわち18a・18b(図5)について
は、励磁コイル保持部材19から外の部分について束線
の外側に絶縁被覆を施している。
【0117】B)定着ベルト10 図8は本例における定着ベルト10の層構成模式図であ
る。本例の定着ベルト10は、電磁誘導発熱性の定着ベ
ルト10の基層となる金属ベルト等でできた発熱層1
と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層し
た離型層3の複合構造のものである。発熱層1と弾性層
2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のた
め、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。
略円筒形状である定着ベルト10において発熱層1が内
面側であり、離型層3が外面側である。前述したよう
に、発熱層1に交番磁束が作用することで前記発熱層1
に渦電流が発生して前記発熱層1が発熱する。その熱が
弾性層2・離型層3を介して定着ベルト10を加熱し、
前記定着ニップNに通紙される被加熱材としての記録材
Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0118】a.発熱層1 発熱層1は、非磁性の金属でも良いが、より好ましくは
磁束の吸収の良いニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバ
ルト−ニッケル合金等の強磁性体の金属が良い。
【0119】その厚みは次の式で表される表皮深さより
厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深
さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μ
と固有抵抗ρ[Ωm]で σ=503×(ρ/fμ)1/2 と表される。
【0120】これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の
深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強
度は1/e以下になっており、逆にいうと殆どのエネル
ギーはこの深さまでで吸収されている。
【0121】発熱層1の厚さは好ましくは1〜200μ
mがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいとほと
んどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪く
なる。また、発熱層が200μmを超えると剛性が高く
なりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用する
には現実的ではない。
【0122】b.弾性層2 弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシ
リコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質で
ある。
【0123】弾性層2の厚さは、画像を印刷する場合に
記録材の凹凸あるいはトナー層の凹凸に加熱面(離型層
3)が追従できないとによる光沢ムラを予防するため
に、10〜500μmが好ましい。
【0124】弾性層2の厚さが10μm未満では、弾性
部材としての機能が発揮されず、定着時の圧力分布が不
均一となることによって、特にフルカラー画像定着時に
二次色の未定着トナーを十分に加熱定着することができ
ずに定着画像のグロスにおいてムラを生じるだけでな
く、溶融不十分なことによってトナーの混色性が悪化
し、高精細なフルカラー画像が得られず好ましくない。
また、弾性層2の厚さが500μmを超えると、定着時
の熱伝導性が阻害され、定着面での熱追従性が悪化する
ことにより、クイックスタート性が犠牲になるだけでな
く、定着ムラを生じやすくなるため好ましくない。
【0125】弾性層2の硬度は、硬度が高すぎると記録
材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず、画像光沢ム
ラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度として
は、60°(J1S−A)以下、より好ましくは45°
(JlS−A)以下がよい。
【0126】弾性層2の熱伝導率λに関しては、 0.25〜0.82[J/m・sec・deg.] がよい。
【0127】熱伝導率λが0.25[J/m・sec・
deg.]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、定
着ベルトの表層(離型層3)における温度上昇が遅くな
る。熱伝導率λが0.82[J/m・sec・de
g.]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎた
り、圧縮永久歪みが悪化する。
【0128】よって熱伝導率λは0.25〜0.82
[J/m・sec・deg.]がよい。より好ましくは
0.33〜0.63[J/m・sec・deg.]がよ
い。
【0129】c.離型層3 離型層3はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリ
コーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、P
TFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択
することができる。
【0130】離型層3の厚さは1〜100μmが好まし
い。離型層3の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ム
ラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足すると
いった問題が発生する。また、離型層が100μmを超
えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂
系の離型層の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2の効
果がなくなってしまう。
【0131】d.断熱層 また、定着ベルト10構成において、発熱層1のベルト
ガイド面側(発熱層1の弾性層2とは反対面側)に断熱
層(不図示)を設けてもよい。
【0132】断熱層としては、フッ素樹脂、ポリイミド
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEE
K樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTF
E樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。
【0133】また、断熱層の厚さとしては10〜100
0μmが好ましい。断熱層の厚さが10μmよりも小さ
い場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不足す
る。一方、1000μmを超えると磁性コア17a・1
7b・17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距
離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなく
なる。
【0134】断熱層は、発熱層1に発生した熱が定着ベ
ルトの内側に向かわないように断熱できるので、断熱層
がない場合と比較して記録材P側への熱供給効率が良く
なる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0135】C)ニップ 本発明の加熱定着装置における回転加熱部材と加圧部材
からなる定着ニップ部Nは、良好な定着性を確保するた
めに、幅5.0〜15.0mmのニップを形成している
とが好ましい。定着ニップN部の幅が5.0mm未満で
は、フルカラー画像形成時、トナーを定着するための熱
量を十分に未定着トナーに与えることができなくなり、
トナーを溶融混色できず、不自然なカラー画像となるた
め好ましくない。
【0136】また、定着ニップN部の幅が15.0mm
を超えると、トナーを定着するための熱量は十分に与え
ることができるものの、定着時のホットオフセットが発
生し易くなり、また、定着ニップ部Nの両端部(定着フ
ィルム10の上流側端部及び下流側端部)において曲率
変化が大きくなりすぎ、定着フィルム10の耐久性が著
しく悪化するため好ましくない。
【0137】D)面圧 本発明の加熱定着装置におけるニップ部の圧力(面圧)
は、記録材を介した状態で、面圧9〜500kN/m2
の範囲が好ましく、面圧30〜350kN/m2の範囲
がより好ましい。面圧が9kN/m2未満であると、記
録材の搬送ブレを発生しやすく、さらに定着圧力不足に
よる定着不良が起こるので好ましくない。また、面圧が
500kN/m2を超える場合、定着フィルム10の耐
久劣化が著しく悪化するため好ましくない。
【0138】ここでの面圧は、転写材に加えられる圧力
と、当接されている長さLRから、次式で算定する。
【0139】
【数1】
【0140】転写材に加えられる圧力の調節は、図3に
おけるバネ25a・25bのバネ圧により行なうことが
できる。すなわち、25a・25bに使用するバネのバ
ネ定数を任意に変更することによって、面圧を制御す
る。また、バネ止め位置29a・29bと加圧ローラ3
0の距離を制御することによって、面圧を制御すること
も可能である。
【0141】E)定着フィルム10の周長、及び、定着
スピード 本例においては、電磁誘導により発熱する定着フィルム
10の周長及び定着フィルム10が一回転するのに要す
る時間を以下のように設定することによって、安定した
定着性を確保したまま、クイックスタートを実現し、か
つ消費電力を小さくしている。
【0142】本発明に用いる定着器の回転加熱部材の周
長Laと回転加圧部材の周長Lbとが下記条件 0.4×La≦Lb≦0.95×La<400mm であることが好ましく、回転加熱部材の周長を小さくす
ることにより加熱部材から回転部材への熱量の転移を小
さく抑え、定着面での熱追従性を改良するとともにクイ
ックスタート性を向上することができる。
【0143】更に、該回転加圧部材の周長を上記範囲と
し、加熱部材からの熱量転移を抑えることで、回転加熱
部材が400mm程度まで好ましく使用することができ
るようになる。
【0144】定着フィルム10の発熱層1は薄いために
熱容量が小さく、また、金属のために熱伝導率が良いた
め放熱性がよい。そのため、定着フィルム10の周長L
が200mmを超える場合、定着フィルム10が一回転
する間の温度低下が大きすぎて、クイックスタートがで
きなくなる。また、局長の増加に伴う加熱面積の増加に
より、消費電力が大きくなってしまう。このため、定着
フィルム10の周長Lは200mm以下が望ましい。
【0145】一方、定着フィルム10の周長Lが70m
m未満の場合、定着ニップ部Nの両端部(定着フィルム
10の上流側端部及び下流側端部)において曲率変化が
大きくなりすぎ、定着フィルム10の耐久性が著しく悪
化する。このため、定着フィルム10の周長Lは70m
m以上が望ましい。
【0146】また、定着フィルム10の回転速度(定着
スピード)が300mm/secを超えると、定着フィ
ルム10を安定して回転させることができず、定着フィ
ルム10を破損してしまう。このため、定着フィルム1
0の回転速度Vとしてのプロセススピードは300mm
/sec以下が望ましい。
【0147】また、図11は、励磁コイルの交番磁束分
布を定着ニップに集中させて効率を向上させた電磁誘導
加熱方式の定着装置の一例の概略構成である。
【0148】10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体
層、抵抗体層)を有する、電磁誘導発熱性の回転体とし
ての円筒状の定着フィルムである。
【0149】16は横断面略半円弧状樋型のフィルムガ
イド部材であり、円筒状定着フィルム10はこのフィル
ムガイド部材16の外側にルーズに外嵌させてある。
【0150】15はフィルムガイド部材16の内側に配
設した磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型の磁
性コア(芯材)17とからなる。30は弾性加圧ローラ
であり、定着フィルム10を挟ませてフィルムガイド部
材16の下面と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニッ
プ部Nを形成させて相互圧接させてある。上記磁場発生
手段15の磁性コア17は定着ニップ部Nに対応位置さ
せて配設してある。
【0151】加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の
方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動
による該加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との
摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用して、該定着
フィルム10が、その内面が定着ニップ部Nにおいてフ
ィルムガイド部材16の下面に密着して摺動しながら、
矢示の方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応し
た周速度をもってフィルムガイド部材16の外回りを回
転状態になる(加圧ローラ駆動方式)。
【0152】フィルムガイド部材16は、定着ニップ部
への加圧・磁場発生手段15としての励磁コイル18と
磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、該フィ
ルム10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。この
フィルムガイド部材16は磁束の通過を妨げない絶縁性
の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられ
る。
【0153】励磁コイル18は、不図示の励磁回路から
供給される交番電流によって交番磁束を発生する。交番
磁束は、定着ニップ部Nの位置に対応しているE型の磁
性コア17により定着ニップ部Nに集中的に分布し、そ
の交番磁束は定着ニップ部Nにおいて定着フィルム10
の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。この渦電流
は、電磁誘導発熱層の固有抵抗によって電磁誘導発熱層
にジュール熱を発生させる。
【0154】この定着フィルム10の電磁誘導発熱は、
交番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて
集中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0155】定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検
知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流
供給が制御されることで、所定の温度が維持されるよう
に温調される。
【0156】而して、加圧ローラ30が回転駆動され、
それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイ
ド部材16の外回りを回転し、励磁回路から励磁コイル
18への給電により上記のように定着フィルム10の電
磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立
ち上がって温調された状態において、不図示の画像形成
手段部から搬送された未定着トナー画像t1が形成され
た記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧
ローラ30との間に画像面が上向き、即ち定着フィルム
面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面
が定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム10
と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この定
着ニップ部Nを定着フィルム10と一緒に記録材Pが挟
持搬送されていく過程において定着フィルム10の電磁
誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像t
1が加熱定着される。記録材Pは、定着ニップ部Nを通
過すると回転定着フィルム10の外面から分離して排出
搬送されていく。
【0157】(3)トナー 次に、本発明のトナーについて述べる。
【0158】本発明のトナーは、着色剤に特徴がある。
すなわち、本発明の着色剤の特徴は、下記の構造式
(1)又は構造式(2)で表される顔料、あるいは、構
造式(3)で表される染料のいずれかを少なくとも含有
することである。
【0159】
【化10】
【0160】
【化11】
【0161】
【化12】
【0162】特開平2−210360号公報や特許公報
2632423号等にすでに開示されているように、縮
合アゾ系イエロー顔料に分類される構造式(1)及びベ
ンズイミダゾロン系イエロー顔料に分類される構造式
(2)で示される顔料は、耐候性及び耐熱性に優れてい
る。
【0163】本発明に好適な構造式(1)の顔料は、具
体的には、C.I.PigmentYellow 93
/94/95/128/166である。
【0164】これらの中でも、C.I.Pigment
Yellow 93が更に好ましく用いられる。C.
I.Pigment Yellow 93の構造を構造
式(4)に示す。
【0165】
【化13】
【0166】本発明に好適な構造式(2)の顔料は、具
体的には、C.I.PigmentYellow 12
0/151/154/175/180/181である。
【0167】これらの中でも、C.I.Pigment
Yellow 180が更に好ましく用いられる。
C.I.Pigment Yellow 180の構造
を構造式(5)に示す。
【0168】
【化14】
【0169】また、特開平3−276161号公報で、
C.I.Solvent Yellow162に分類さ
れる染料を用いたトナーが開示されている。上記構造式
(3)で表されるC.I.Solvent Yello
w162に分類される染料を用いたトナーは、透過画像
性能に優れている。
【0170】本発明で用いる構造式(1)又は構造式
(2)で表される顔料は、電子写真特性的観点及び透過
性の観点から、結着樹脂100質量部に対して1.0〜
8.0質量部、より好ましくは2.0〜6.0質量部、
更に好ましくは0.2〜5.0質量部であることが良
い。
【0171】構造式(1)又は構造式(2)で表される
顔料の含有量が1.0質量部未満では、トナーの着色力
が低下し十分な着色力が得られないため好ましくない。
また、構造式(1)又は構造式(2)で表される顔料の
含有量が8.0質量部を超えると、着色性は十分満足す
るものの、透過原稿における透過性が悪化するだけでな
く、更に、トナーの経済的観点から好ましくない。
【0172】本発明で用いる構造式(3)で表される染
料は、電子写真特性的観点及び透過性の観点から、結着
樹脂100質量部に対して0.2〜7.0質量部含有さ
れていることが良く、更に、0.5〜4.0質量部含有
されていることが良い。
【0173】構造式(3)で表される染料の含有量が
0.2質量部未満では、トナーの着色力が低下し紙上の
着色力が不十分であるため好ましくない。また、構造式
(3)で表される染料の含有量が7.0質量部を超える
と、過剰な染料がトナー表面に偏在し易くなり、偏在し
た染料によって現像装置部材汚染を生じ画像欠陥を生じ
るため好ましくない。
【0174】更に、本発明者らは、より本発明の効果を
得るために、縮合アゾ系イエロー顔料に分類される構造
式(1)及びベンズイミダゾロン系イエロー顔料に分類
される構造式(2)で示される顔料に対して、これと組
み合わせる構造式(3)で表されるC.I.Solve
nt Yellow162に分類される染料を組み合わ
せることでさらに良好な効果が得られることを見いだし
た。
【0175】具体的に構造式(1)及び構造式(2)で
示される顔料と、構造式(3)で表される染料の添加の
割合は、本発明の効果をより有効に得るためには、顔料
の含有量と染料の含有量の比(顔料/染料)が0.2〜
5であることが好ましく、さらに0.33〜3であるこ
とが、より好ましい。
【0176】顔料の含有量と染料の含有量の比(顔料/
染料)が5を超えると、特にトランスペアレンシー等の
透過画像の赤味が生じ透過画像の色再現性が悪化し透過
画像色味の変化をきたすため好ましくない。一方、顔料
の含有量と染料の含有量の比(顔料/染料)が0.2未
満であると、特に過酷な露光環境下において耐候性に弊
害を生じ易くなるため好ましくない。
【0177】また、着色剤の総量としては適正な画像濃
度と分散性を得るとの観点から、結着樹脂100質量部
当り2〜15質量部が好ましく、より好ましくは4〜1
0質量部であることがよい。
【0178】また、本発明のトナーに使用しうる着色剤
としては、更に、以下に示すような公知の顔料/染料を
本発明の着色剤に加えて用いることができる。
【0179】例えば、イソインドリノン化合物、アンス
ラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリル
アミド化合物に代表される化合物等が用いられる。具体
的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、1
4、15、62、74、81、83、87、90、10
6、109、110、111、113、114、12
1、127、129、136、147、168、17
0、172、174、176、188等の顔料系着色
剤、および、C.I.ダイレクトイエローのごとき染料
系着色剤が好適に用いられる。
【0180】これらは、電子写真特性的観点及び透過性
の観点から、本発明の着色剤に加え、さらに、結着樹脂
100質量部に対して0.1〜5質量部、より好ましく
は0.2〜3質量部を使用すると良い。
【0181】また更に、本発明者らは透過性に関して検
討したところ、かかる顔料の改善だけでは未だ不十分で
あり、さらなる透過性の向上のためには、定着時にトナ
ー粒塊が残留することによる透過光の乱反射を抑制する
ことが必要であることを見出した。
【0182】透過原稿における定着画像の透過光の乱反
射を抑制するためには、定着時にトナー粒塊が残留しな
いようにすることが必要である。
【0183】定着時にトナー粒塊が残留しないようにす
るためには、バインダー樹脂中の架橋性樹脂分量を適
正化すること、トナー粒塊が消滅するだけの十分な定
着エネルギーを与える定着装置を使用することの双方を
両立して達成することが重要である。
【0184】そのために、第一にトナーの架橋性樹脂成
分を規定することが重要である。第二に定着装置を工夫
することが重要である。
【0185】そこで、本発明者は鋭意検討したところ、
本発明のテトラヒドロフラン溶媒に実質的に不溶な成分
が適切な範囲にあるトナーと、電磁誘導加熱定着方式に
よる画像形成方法を組み合わせて用いることによって、
テトラヒドロフラン溶媒に実質的に不溶な成分が適切な
範囲にあるトナーによる熱定着性、溶融性及び混色性の
優れた面と、電磁誘導加熱方式による熱応答性及び熱供
給安定性の優れた面が相乗的に効果を発揮することによ
って、定着時にトナー粒塊が残留しない、透過性に優れ
た定着画像が得られることを見出した。
【0186】更に、フルカラー画像定着のごとき二次色
の定着に関しては、定着フィルムに弾性層を設けること
により適切な加圧を実現することによって、定着時にト
ナー粒塊が十分に溶融し良好な混色性と十分な着色性を
有する定着画像が得られることを見出した。
【0187】またさらに、本発明のトナーと本発明の定
着装置とのマッチングの観点からも、テトラヒドロフラ
ン溶媒に実質的に不溶な成分が適切な範囲にある必要が
あることを見出した。
【0188】本発明のトナー中に含有されるテトラヒド
ロフラン溶媒に実質的に不溶な成分は、トナー全体に対
して2〜70質量%含有されていることが好ましく、さ
らに、5〜50質量%含有されていることがより好まし
い。
【0189】トナー中に含有されるテトラヒドロフラン
溶媒に実質的に不溶な成分が2質量%未満では、本発明
の定着装置部において溶融したトナーが定着フィルムの
ニップ部を通過した後にその溶融トナーの一部が、定着
フィルムに残留する、いわゆるホットオフセット現象を
生じ易い。このホットオフセットしたトナーは、更にフ
ィルムの回転により記録紙の印字面に汚染を生じ、ま
た、ある場合には、定着装置の対向するローラ上にホッ
トオフセットしたトナーが移行し、記録紙の印字裏面に
汚染を生じるため、画像品質上好ましくない。
【0190】一方、トナー中に含有されるテトラヒドロ
フラン溶媒に実質的に不溶な成分が70質量%を超える
と、トナーバインダーの溶融性が変化することで、特
に、フルカラー画像を出力する場合に、他色、例えばシ
アンやマゼンタとの混色性が悪化し、微妙な色彩が再現
できなくなるといった問題を生じるために好ましくな
い。
【0191】本発明でのテトラヒドロフラン(THF)
不溶分とは、樹脂中又はトナー中のテトラヒドロフラン
溶媒に対して不溶になったポリマー成分(巨大分子ポリ
マー又は架橋ポリマー)の質量割合を示したものであ
る。テトラヒドロフラン不溶分は以下のように測定され
る。
【0192】樹脂又はトナーサンプル0.5〜1.0g
を秤量し(W1g)とし、円筒濾紙(たとえば東洋濾紙
製No.86R)にいれて、ソックスレー抽出器にか
け、溶媒としてテトラヒドロフラン100〜200ml
を用いて6時間抽出し、抽出された可溶分をエバポレー
トした後、100℃で数時間真空乾燥し、テトラヒドロ
フラン可溶樹脂成分量を秤量して(W2g)とする。
【0193】テトラヒドロフラン不溶分は、下記式から
求められる。
【0194】
【数2】
【0195】ここで、顔料のごとき樹脂成分以外の不溶
成分の質量も、テトラヒドロフラン(THF)不溶分に
含まれるものとみなすこととする。
【0196】本発明のトナー中に含有されるテトラヒド
ロフラン溶媒に実質的に不溶な成分を調整するために、
以下に例示する架橋性重合性単量体を含有することが好
ましい。
【0197】架橋性重合性単量体としては、主として2
個以上の重合可能な二重結合を有する重合性単量体が用
いられる。
【0198】具体例としては、2官能の架橋剤、例えば
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等、ビス(4−
アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレ
ングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコ
ールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリ
レート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエ
チレングリコール#200、#400、#600の各ジ
アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエ
ステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び
以上のアクリレートをメタクリレートにかえたものが挙
げられる。
【0199】多官能の架橋剤としてペンタエリスリトー
ルトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テ
トラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエス
テルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビ
ス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロ
パン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、
トリアリルアソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレン
デート等が挙げられる。
【0200】これらの架橋性重合単量体のうち好適に用
いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビ
ニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で
結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0201】本発明のトナー中に含有されるテトラヒド
ロフラン溶媒に実質的に不溶な成分をトナー全体に対し
て2〜70質量%含有されるようにするためには、これ
ら架橋剤を、他の重合単量体成分100質量部に対し
て、0.01〜5質量部程度、更に5〜50質量%含有
されるようにするためには0.03〜3質量部用いるこ
とが好ましい。
【0202】本発明のトナー用樹脂に用いられる結着樹
脂は、トナーを製造する際に用いられるものであれば特
に限定されるものではない。
【0203】本発明のトナー用樹脂に用いられる結着樹
脂の具体例としては、以下の重合性単量体の重合体、又
は、重合性単量体単独の重合体の混合物、あるいは、2
種類以上の重合性単量体の共重合生成物が挙げられる。
更に具体的には、スチレン−アクリル酸共重合体あるい
はスチレン−メタクリル酸系共重合体が好ましい。
【0204】スチレン系重合性単量体としては、例えば
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェ
ニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロル
スチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチ
ルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシル
スチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及
びその誘導体が挙げられる。
【0205】アクリル酸エステル系重合性単量体として
は、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタ
クリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタ
クリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、
メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタ
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチル
アミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸
エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデ
シル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステ
アリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェ
ニルの如きアクリル酸エステル類、及びその誘導体が挙
げられる。
【0206】本発明に用いられる結着樹脂を得るため
に、以下に例示するような重合開始剤を用いることが好
ましい。
【0207】具体的には、過酸化物系開始剤の例とし
て、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウ
レート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオ
キサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチ
ルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t
−ブチルパーオキシ)バリレート、ジクミルパーオキサ
イドなど及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0208】また、アゾ系及びジアゾ系開始剤の例とし
て、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−
アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル)など及びこれらの誘導体が挙げ
られる。
【0209】これら重合開始剤は、単独で使用してもよ
く、また複数併用して使用しても良い。その使用量は重
合性単量体100質量部に対し、0.05〜15質量
部、より好ましくは0.5〜10質量部の濃度で用いら
れる。
【0210】また、本発明にかかわるトナーのテトラヒ
ドロフラン溶媒に可溶な成分のGPCにより測定される
分子量分布において、数平均分子量(Mn)が8000
乃至30000で、且つ重量平均分子量(Mw)が50
000乃至500000であることが好ましい。数平均
分子量(Mn)が8000未満及び重量平均分子量(M
w)が50000未満のトナーはその保存環境として想
定しうる条件下で、トナー粒子が熱で融着し塊状化す
る、いわゆるトナーのブロッキング現象を生じてしまう
ため問題がある。一方、数平均分子量(Mn)が300
00超および重量平均分子量(Mw)が500000超
のトナーでは、特にフルカラーのごとき多色を重ね合わ
せる現像時における良好な定着性を達成することが困難
になるため好ましくない。
【0211】また、本発明に使用する樹脂は、重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/
Mn)は、定着性と印刷画質の観点から2〜100が好
ましい。
【0212】本発明のトナーの分子量は、GPC(ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー)により測定され
る。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーを
ソックスレー抽出器を用いテトラヒドロフラン溶剤で2
0時間抽出を行ったサンプルを用い、カラム構成は昭和
電工製A−801、802、803、804、805、
806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線
を用い分子量分布を測定し得る。
【0213】また、本発明では分子量をコントロールす
る目的で、公知の連鎖移動剤を添加しても良い。
【0214】連鎖移動剤の具体例としては、四塩化炭
素、四臭化炭素、二臭化酢酸エチル、三臭化酢酸エチ
ル、二臭化エチルベンゼン、二臭化エタン、二塩化エタ
ンの如きハロゲン化炭化水素化合物;ジアゾチオエーテ
ル、ベンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン
の如き炭化水素類化合物;ターシャリードデシルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタンの如きメルカプタン
化合物;ジイソプロピルザントゲンジスルフィドの如き
ジスルフィド化合物;αメチルスチレンダイマーのごと
きオリゴマー等が挙げられる。
【0215】これらの連鎖移動剤の添加量は、分子量を
コントロールする目的を達成する量として一般的に0.
001〜15質量部が使用される。
【0216】本発明のトナーに好適な熱特性は、該トナ
ーのDSC(昇温測定)による吸熱ピークが、20〜2
00℃に存在し、その最大吸熱ピークが50〜150℃
に位置することが好ましい。
【0217】更に、定着装置のZ1に対して、トナーの
DSC(昇温測定)による吸熱ピークが30℃以下、好
ましくは40℃以下の温度に位置すると、定着器のニッ
プ入り口の熱量でトナーが十分に溶融することができる
ようになり、良好な定着性を示す。
【0218】更に好ましくは、該トナーのDSC(降温
測定)による発熱ピークが、20〜200℃に存在し、
その最大発熱ピークが40〜150℃に位置することが
好ましく、Z2よりも低い温度に位置すると、ニップ出
口にてトナーの加熱回転部材への貼り付きを改善するこ
とができるので好ましい。
【0219】本発明に係わるDSC測定では、トナーの
熱のやり取りを測定し、その挙動を観測するので、測定
原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計
で測定する必要がある。たとえば、パーキンエルマー社
製のDSC−7が使用できる。
【0220】測定方法は、「ASTM D 3418−
8」に準じて行う。装置検出部の温度補正はインジウム
と亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウム
の融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製の
パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10
℃/minで測定を行う。本発明に用いられるDSC曲
線は、1回昇温させ前履歴をとった後、温度速度10℃
/min、温度0〜200℃の範囲で降温、昇温させた
ときに測定されるDSC曲線を用いる。
【0221】発熱ピーク温度とは、DSC曲線におい
て、マイナス方向のピーク温度のことであり、即ち、ピ
ーク曲線の微分値が負から正にかわる際の0になる点を
言う。
【0222】トナーのガラス転移点は、重合性単量体、
架橋剤、開始剤、重合条件等の組み合わせによって決定
されるが、本発明に係わるトナーのガラス転移点Tg
は、40〜75℃が好ましく、さらに50〜70℃がよ
り好ましい。ガラス転移点Tgが40℃未満では、保存
性が悪化し、保存中にブロッキングを生じるため好まし
くない。またガラス転移点Tgが75℃を超えると、一
定のグロスを持った定着物を得るために定着器の消費エ
ネルギーを高くする必要が生じるため、消費電力が大き
く、また、定着熱エネルギーをトナーに十分に与える必
要があるため、定着速度を低速にしなければならず、そ
のため一般的な速度での印刷ができないという問題が生
じるため好ましくない。
【0223】本発明に係わるトナーのガラス転移点Tg
の測定にはたとえば、パーキンエルマー社製のDSC−
7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計
で測定を行なう。測定方法は、ASTM D3418−
82に準じて行なう。本発明においては、試料を1回昇
温させ前履歴をとった後、急冷し、再度温度速度10℃
/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに
測定されるDSC曲線を用いる。
【0224】さらに、本発明のトナーには、定着時の離
型性向上のためにワックス成分を含有することが好まし
い。
【0225】ワックス成分としては、具体的に以下の化
合物が挙げられる。
【0226】例えばシリコーン樹脂、ポリエステル、ポ
リウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブ
チラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノ
ール樹脂、低分子量ポリエチレン又は低分子量ポリプロ
ピレンの如き脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系
石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなど
である。
【0227】これらのワックスから、種々の方法により
ワックスを分子量により分別したワックスも本発明に好
ましく用いられる。また、分別後に酸化やブロック共重
合、グラフト変性を行っても良い。
【0228】中でも好ましく用いられるワックスは、低
分子量ポリプロピレン及びこの副生成物、低分子量ポリ
エステルおよびエステル系ワックス、脂肪族の誘導体で
ある。
【0229】これらのうち、更に好ましいエステルワッ
クスの代表的化合物の例をエステルワックスの一般構造
式〜として以下に示す。
【0230】
【化15】 (式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4で
あり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、
且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、
n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0に
なることはない。)
【0231】
【化16】 (式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4で
あり、R1は炭素数が1〜40の有機基を示し、n及び
mは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になるこ
とはない。)
【0232】
【化17】 (式中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+bは3以
下であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示
し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示
し、R3は炭素数が1以上の有機基を示し、n及びmは
0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることは
ない。)
【0233】
【化18】エステルワックスの一般構造式1COOR2 (式中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水素基を
示し、且つR1及びR2は、お互いに同じでも異なる炭素
数でもよい。)
【0234】
【化19】エステルワックスの一般構造式1COO(CH2nOOCR2 (式中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水素基を
示し、nは2〜20の整数であり、且つR1及びR2は、
お互いに同じでも異なる炭素数でもよい。)
【0235】
【化20】エステルワックスの一般構造式1OOC(CH2)nCOOR2 (式中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水素基を
示し、nは2〜20の整数であり、且つR1及びR2は、
お互いに同じでも異なる炭素数でもよい。)
【0236】これらのワックスは定着時の離型性向上を
達成するために、トナー100質量部中に一般的に2〜
30質量部、より好ましくは5〜20質量部が使用され
る。ワックス成分が2質量部未満の場合、ワックスとし
ての離型効果がほとんど発揮できず、また、ワックス成
分が30質量部を超えると、トナーの離型性は満足され
るもののトナーの現像性が悪化し、現像スリーブや潜像
担持体表面にトナーが融着するといった弊害を生じやす
くなるため好ましくない。
【0237】本発明に係るワックス成分は、示差走査熱
量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に5
0〜120℃の領域に最大吸熱ピークを示し、該最大吸
熱ピークを含む吸熱ピークの始点のオンセット温度が4
0℃以上であることが好ましく、特に該最大吸熱ピーク
のピーク温度と該オンセット温度の温度差が7〜50℃
の範囲であることが好ましい。
【0238】上記温度領域に吸熱ピークおよび最大吸熱
ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつ
つ、離型性をも効果的に発現し、本発明の定着方法との
マッチングが良好なものとなる。該吸熱ピークが50℃
未満に存在するとトナーの耐高温オフセット性が著しく
損なわれ、120℃を超えるとトナーの低温定着性が著
しく損なわれる。また、該最大吸熱ピークが昇温測定時
に50℃未満、降温測定時に40℃未満であると、ワッ
クス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オ
フセット性が悪化する。一方、該最大吸熱ピークが12
0℃を超えると、定着温度が高くなり低温オフセットが
発生しやすくなり好ましくない。
【0239】昇温時のDSC曲線において、上記温度領
域で溶融するワックス成分を用いることにより、他の添
加剤の分散性を良好なものとすることができると共に、
ワックス成分自身を前述の如き分散状態に容易にコント
ロールすることができる。
【0240】これによりトナーの良好な定着性はもとよ
り、該ワックス成分による離型効果が効果的に発現さ
れ、十分な定着領域が確保されると共に、従来から知ら
れるワックス成分による現像性、耐ブロッキング性や画
像形成装置への悪影響が排除されるのでこれらの特性が
格段に向上する。特に粒子形状が球形化するに従い、ト
ナーの比表面積は減少していくので、ワックス成分の分
散状態をコントロールすることは、非常に効果的なもの
となる。
【0241】本発明には公知の荷電制御剤が使用でき
る。荷電制御剤にはトナーを負帯電性に制御するもの
と、トナーを正帯電性に制御するものがある。
【0242】トナーを負荷電性に制御するものの例とし
て下記物質がある。例えば、有機金属化合物、キレート
化合物が有効であり、具体的には、モノアゾ金属化合
物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシ
カルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物があ
る。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モ
ノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステ
ル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがあ
る。また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含
金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニ
ウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン
−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合
体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメ
タルカルボン酸系化合物等が挙げられる。
【0243】トナーを正荷電性に制御するものの具体例
として下記物質がある。例えば、ニグロシン及び脂肪酸
金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾー
ル化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒド
ロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモ
ニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム
塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニ
ウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染
料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りん
タングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステン
モリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フ
ェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸
の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオ
キサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオ
ルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオク
チルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなど
のジオルガノスズボレート類;これらを単独で或は2種
類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、
ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が
特に好ましく用いられる。
【0244】本発明に係るトナーを製造するには、溶融
粉砕法、重合法等の公知の方法を用いることが可能であ
る。
【0245】溶融粉砕法の例としては、結着樹脂、ワッ
クス、構造式(1)又は構造式(2)で表される顔料、
あるいは、構造式(3)で表される染料のいずれか、及
び、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミ
ル等の混合器により十分混合した後、加熱ロール、ニー
ダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混
練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に金属化合物、
顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化
後、粉砕、分級を行なって本発明に係るトナーを得るこ
とができる。分級工程においては生産効率上、多分割分
級機を用いることが好ましい。
【0246】重合法でのトナーの製造方法例としては、
重合性単量体、架橋剤、重合開始剤、ワックス、構造式
(1)又は構造式(2)で表される顔料、あるいは、構
造式(3)で表される染料のいずれか、及び、その他の
添加剤等を混合分散し、懸濁分散安定剤の存在下、水系
中で懸濁重合することにより重合性着色樹脂粒子を合成
し、固液分離、乾燥の後分級を行なうことによって、本
発明に係るトナーを得ることができる。
【0247】該懸濁分散安定剤の具体例な例としては、
例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム、リン
酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナ
イト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライト等が挙げ
られる。有機系化合物としては、例えばポリビニルアル
コール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキ
シプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が水相に
分散させて使用される。これら分散剤は、重合性単量体
100質量部に対して0.2〜10質量部を使用するこ
とが好ましい。
【0248】本発明のトナーにおいては、帯電安定性、
現像性、流動性、耐久性向上の目的で、無機微粉体を有
する。無機微粉体としてはシリコーンオイル処理された
無機微粉体があり、具体的な例としては、シリコーンオ
イル処理により疎水化したシリカ微粉末、シリコーンオ
イル処理により疎水化した酸化チタン、シリコーンオイ
ル処理により疎水化したアルミナなどが挙げられる。
【0249】本発明に好適に用いられるシリコーンオイ
ル処理されたシリカ微粉末は、BET法で測定した窒素
吸着による比表面積が20m2/g以上(特に30〜4
00m2/gの範囲内)のものである。使用量として
は、トナー粒子100質量部に対してシリカ微粉体0.
01〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用する
のが良い。
【0250】シリコーンオイルの具体例としては、シリ
コーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーン
オイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリン
グ剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の
有機ケイ素化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独
でもあるいは混合して使用しても良い。
【0251】更に公知の滑剤粉末をトナーに添加しても
良い。滑剤粉末としては例えばポリスチレン、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリカーボネート等の公知の樹脂粒
子;テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデンの如
きフッ素樹脂;フッ化カーボンの如きフッ素化合物;ス
テアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エ
ステルの如き脂肪酸誘導体;硫化モリブデンが挙げられ
る。
【0252】更に次に示す公知の無機粉体を添加するこ
とも好ましい。マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セ
リウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガ
ン、ストロンチウム、錫、アンチモンの如き金属の酸化
物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタ
ン酸ストロンチウムの如き複合金属酸化物;炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウムの如き金属
塩;カオリンの如き粘土鉱物;アパタイトの如きリン酸
化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素の如きケイ素化合物;
カーボンブラックやグラファイトの如き炭素粉末が挙げ
られる。
【0253】これらのうち、酸化亜鉛、酸化アルミニウ
ム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロン
チウム、チタン酸マグネシウムの微粉体が好ましい。
【0254】本発明のトナーにおいては、現像性、帯電
安定性、転写性、耐久性向上の目的で、トナー形状を制
御することが好ましい。
【0255】トナー形状を制御する方法としては、粉砕
トナーを機械的に球形処理する方法、不定形トナー粒子
をトナーバインダーのガラス転移温度以上の雰囲気中で
加熱球形化する方法、懸濁重合法や乳化重合法によりト
ナーを製造する方法、トナー粒径以下の樹脂微粒子を凝
集し、トナー粒径に固化する方法など、公知の方法を用
いることにより行なうことができる。
【0256】本発明のトナーにおける形状の範囲として
は、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数
基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該
トナーの平均円形度が0.920〜0.995であり、
且つ、円形度標準偏差が0.040未満であることが好
ましい。
【0257】トナーの平均円形度が0.920未満のト
ナーとは、形状が球形から離れて不定形に近づいたトナ
ーを意味する。このような不定形トナーは、現像中に現
像器内でトナーが破砕され易いために、粒度分布が変動
したり、帯電量分布がブロードになりやすくなるため、
その結果、画像濃度低下やカブリの増加といった現像上
不都合な現象を生じやすくなるため好ましくない。
【0258】トナーの平均円形度が0.995超のトナ
ーとは、形状が真球状のトナーを意味する。このような
真球状トナーは、帯電性や転写性に優れるものの、一般
にブレードクリーニングのごときクリーニング手段によ
るクリーニング不良が発生しやすくなり、現像後に潜像
担持体上に残留した残トナーをブレードクリーニング機
構で除去しにくくなるため、その結果、クリーニング不
良による画像欠陥や、帯電・露光妨害による画像欠陥を
生じるといった現像上不都合な現象を生じやすくなるた
め好ましくない。
【0259】トナーの円形度標準偏差が0.040以上
のトナーとは、形状にバラツキが多いトナーを意味す
る。このようなトナーは、ブレードクリーニングに関し
ては良いが、帯電均一性に関して問題があり、このよう
なトナーを用いた場合は帯電が不均一なことにより、例
えば、画像カブリを生じるため問題がある。
【0260】本発明におけるトナーの円相当径、円形度
及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的
に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明
ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東
亜医用電子社製)を用いて測定を行ない、下式を用いて
算出した。
【0261】
【数3】
【0262】ここで、「粒子投影面積」とは二値化され
たトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」
とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線
の長さと定義する。
【0263】本発明における円形度はトナー粒子の凹凸
の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の
場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形
度は小さな値となる。
【0264】本発明において、トナーの個数基準の粒径
頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均粒子径D1
と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径
(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出さ
れる。
【0265】
【数4】
【0266】また、円形度頻度分布の平均値を意味する
平均円形度と円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分訊
点iでの円形度(中心値)をci,頻度をfciとする
と、次式から算出される。
【0267】
【数5】
【0268】具体的な測定方法としては、容器中に予め
不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意
し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアル
キルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を
0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段
としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社
製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着した
ものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液と
する。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない
様に適宜冷却する。
【0269】トナー粒子の形状測定には、前記フロー式
粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が30
00〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整
し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、こ
のデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布
等を求める。
【0270】更に高画質化を達成する目的で、より微小
な潜像ドットを忠実に現像する必要があるが、そのため
にはトナー粒子は円相当径が3〜9μmであることが好
ましい。円相当径が3μm未満のトナー粒子において
は、感光体から中間転写体、中間転写体から記録材、感
光体から記録材等への、トナー粒子の転写効率が低下
し、未転写の残トナー付着が画像欠陥の原因となるため
本発明で使用するトナーには好ましくない。また、トナ
ー粒子の円相当径が9μmを超える場合には、文字やラ
イン画像の飛び散りが生じやすく、高画質化のための微
小なドット再現が困難になるため好ましくない。
【0271】上述したように、トナー中に構造式(1)
又は構造式(2)で表される顔料、あるいは、構造式
(3)で表される染料のいずれかを含有し、且つ、該ト
ナー中にテトラヒドロフラン溶媒に実質的に不溶な成分
をトナー全体に対して2〜70質量%含有されているト
ナーと、電磁誘導加熱方式の定着装置を組み合わせて用
いることによって、クイックスタート性及び省電力に優
れ、混色性が良好で、透過原稿において、十分な着色性
と優れた耐候性を併せもつ画像が形成される。これら
は、該トナーによる熱定着性、溶融性、混色性の優れた
面と、電磁誘導加熱方式による熱応答性、熱供給安定性
の優れた面が、互いの長所を高めあい実に効果的に発揮
されることによって達成されているものである。
【0272】特に、フルカラー画像のごとき二次色の定
着画像を得る場合に重要とされる混色性能に関しては、
電磁誘導加熱方式の定着装置がもたらす定着熱の応答
性、安定した熱供給、適切な加圧の効果と、トナー
樹脂中の不溶分量、着色剤の良分散効果に由来する
ところが大きい。
【0273】これらの性能において、構造式(1)又は
構造式(2)で表される顔料、あるいは、構造式(3)
で表される染料のいずれかに由来する主たる特性は、十
分な着色性と優れた耐候性、及び混色性能を飛躍的に向
上させる。本発明の構造式(1)又は構造式(2)で表
される顔料、あるいは、構造式(3)で表される染料の
いずれかは、これらの性能を高次元でバランスした、ま
さに電子写真用の材料として格好の着色剤である。
【0274】更に、本発明のトナーは、離型作用を有す
るワックス成分をそのトナー中に含有することが可能で
あり、定着時のワックス成分の離型作用によって、定着
フィルムに対するオフセットトナーによる汚染が極めて
少なく、連続的な画像出力に対しても、定着装置との良
好なマッチングを達成している。また、本発明の構造式
(1)又は構造式(2)で表される顔料、あるいは、構
造式(3)で表される染料のいずれかは、このトナーと
定着装置とのマッチングに対して、なんら悪影響を及ぼ
さないものである。
【0275】
【実施例】以下、本発明をトナー製造例及び実施例によ
り具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定する
ものではない。なお、以下の配合における部数は全て質
量部である。
【0276】(トナー製造例1)高速撹拌装置TK−ホ
モミキサーを具備した2リットル用四つ口フラスコ中
に、イオン交換水710部と0.1mol/リットル−
Na3PO4水溶液450部を添加し、回転数を7000
rpmに調整し、60℃に加温せしめた。ここに1.0
mol/リットル−CaCl2水溶液68部を徐々に添
加し、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO42を含む水
系分散媒体を調製した。
【0277】一方、 ・スチレン単量体 80部 ・2−エチルヘキシルアクリレート単量体 20部 ・ジビニルベンゼン単量体(DVB) 0.2部 ・ポリエステル(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量8500) 10部 ・Pigment Yellow 93 6部 ・エステルワックスNo.4(R1、R2:C1837) 10部 ・ダイカルボン酸金属化合物 1部 上記材料をボールミルを用い3時間分散させた後、ボー
ルミルより内容物を単離した。この内容物に対して、重
合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)3部を添加した重合性単量体組成物
を、前記水系分散媒体中に投入し回転数7000rpm
を維持しつつ造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌し
つつ60℃で4時間反応させた後、80℃で5時間重合
させ、更に80℃で13.3kPa(10Torr)以
下の圧力に減圧蒸留することでトナー中の残存モノマー
量を低減した。
【0278】反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加え
て難水溶性分散剤Ca3(PO42を溶解し、濾過、水
洗、乾燥した後に風力分級によって所望の粒度に分級し
イエロー粒子(1)を得た。
【0279】上記イエロー粒子(1)100部に対し
て、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理
した疎水性シリカ微粉体(BET:300m2/g)
1.5部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本発明
のイエロートナー(1)とした。
【0280】このイエロートナー(1)のテトラヒドロ
フラン不溶分を測定したところ12%であった。さらに
イエロートナー(1)のトナー形状を測定したところ、
円相当径は6.5μm、平均円形度は0.973、円形
度標準偏差は0.029、円形度0.950未満のトナ
ー粒子は9%であった。
【0281】(トナー製造例2〜20)トナー製造例1
における処方を、表1に示す部分のみ変更する他は、ト
ナー製造例1と同様にして、イエロートナー(2)〜
(20)を調製した。
【0282】(比較トナー製造例1)構造式(6)で示
される顔料(Pigment Yellow106)を
用いる他は、トナー製造例1と同様にして比較製造トナ
ー(1)を得た。
【0283】
【化21】
【0284】(比較トナー製造例2)トナー製造例1で
用いた顔料をPigment Yellow128に代
え、且つ、架橋剤を使用しない他は、トナー製造例1と
同様にして、比較製造トナー(2)を調製した。
【0285】(比較トナー製造例3)トナー製造例1で
用いた顔料をPigment Yellow175に代
え、且つ、架橋剤量を0.60部使用する他は、トナー
製造例1と同様にして、比較製造トナー(3)を調製し
た。
【0286】以上、トナー製造例1〜20、及び比較ト
ナー製造例1〜3のトナー処方、トナー結着樹脂中のテ
トラヒドロフラン(THF)不溶分、トナー粒子の形状
測定の結果を表1にまとめる。
【0287】
【表1】
【0288】実施例1〜20及び比較例1〜2 (1)画像形成装置例 本実施例に用いた画像形成装置について具体的に説明す
る。図1は、既に画像形成装置の一例として説明した
が、ここでは本実施例に用いた二成分現像方式の電子写
真プロセスを利用した市販のフルカラー複写機CLC−
800(キヤノン製)の定着装置を電磁誘導定着装置に
改造を施したものの概略図として示す。
【0289】感光体ドラム101は、基材上に有機光半
導体を有する感光層を有し、矢印方向に回転し、対抗し
接触回転する帯電ローラ102(導電性弾性層・芯金)
により感光体ドラム101上に約−600Vの表面電位
に帯電させる。露光103は、ポリゴンミラー109に
より感光体上にデジタル画像情報に応じてオン−オフさ
せることで露光部電位が−100V、暗部電位が−60
0Vの正電荷像が形成される。複数の現像器104Y、
104M、104C、104BKを用いイエロートナ
ー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを
感光体ドラム101上に反転現像方法を用いトナー像を
得た。該トナー像は、中間転写体105(弾性層、支持
体としての芯金)上に転写され中間転写体105上に四
色の色重ね顕色像が形成される。感光体101上の転写
残トナーはクリーナ107により回収される。
【0290】中間転写体105は、パイプ状の芯金にカ
ーボンブラックの導電付与部材をニトリル−ブタジエン
ラバー(NBR)中に十分分散させた弾性層をコーティ
ングした。該コート層の硬度は「JIS K−630
1」に準拠し30度で、且つ体積抵抗値は109Ω・c
mであった。感光体101から中間転写105への転写
に必要な転写電流は約5μAであり、これは電源より+
500Vを芯金上に付与することで得られた。
【0291】転写ローラ106として、直径10mmの
芯金上に、カーボンの導電性付与材をエチレン−プロピ
レン−ジエン系三次元共重合体(EPDM)の発泡体中
に十分分散させたものをコーティングすることにより生
成した弾性層の体積固有抵抗値が106Ω・cmで、
「JIS K−6301」に準拠した硬度が35度の値
を示すものを用いた。転写ローラには電圧を印可して1
5μAの転写電流を流した。
【0292】加熱定着装置(加熱手段)100には、電
磁誘導加熱方式の装置を用いた。
【0293】図2は本例の定着装置100の要部の横断
側面模式図、図3は要部の正面模式図、図4は要部の縦
断正面模式図である。本例の加熱定着装置100におい
ては、従来のオイル塗布機構を省略したものを用いた。
【0294】磁場発生手段は磁性コア17a・17b・
17c及び励磁コイル18からなる。
【0295】磁性コア17a・17b・17cはフェラ
イトである。また、励磁コイル18はコイル(線輪)を
構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶
縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を
用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。
本例では10ターン巻いて励磁コイル18を形成してい
る。本例では、励磁コイルにおける励磁周波数を100
kHzの交番電流とした。
【0296】このときの上記定着器の、Z1,Z2,Z
3を測定したところ以下のとおりであった。 Z1=180℃ Z2=165℃ Z3=163℃
【0297】図8は本例における定着ベルト10の層構
成模式図である。本例の定着ベルト10は、電磁誘導発
熱性の定着ベルト10の基層となる金属ベルト等ででき
た発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外
面に積層した離型層3の複合構造のものである。略円筒
形状である定着ベルト10において発熱層1が内面側で
あり、離型層3が外面側である。
【0298】加圧部材の外径は35mmとした。
【0299】定着ベルト10の発熱層1には、厚み10
μmのニッケル層を用いた。
【0300】また、弾性層2は、厚さ100μmシリコ
ーンゴムで、「JIS K−6301」に準拠した硬度
が35度の値を示すものを用いた。
【0301】また、離型層3は厚さ20μmのフッ素樹
脂を有するものを用いた。
【0302】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被
覆させた、耐熱性弾性フッ素ゴム30bとで構成されて
おり、加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側
のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バ
ネ25a・25bを縮設することで加圧用構成ステイ2
2に押し下げ力を作用させている。これにより、ベルト
ガイド部材16aの下面と加圧ローラ30の上面とが定
着ベルト10を挟んで、80g/m2の紙を介した状態
において面圧125kN/m2で圧接して定着ニップ部
Nを8.5mm形成しているものである。
【0303】一方、イエロートナー(1)〜(20)お
よび比較トナー(1)〜(2)について、各トナー10
部と鉄粉キャリア90部を混合し、二成分系現像剤とし
た。
【0304】以上の条件で、常温常湿(25℃,50%
RH)環境下、プリントアウト速度94mm/sec
で、各二成分系現像剤を逐次補給しながら単色での連続
モード(すなわち、現像器を休止させることなくトナー
の消費を促進させるモード)で3%横線画像を1000
枚プリントアウト試験を行ない、得られたプリントアウ
ト画像についてオフセットトナーに由来する画像裏汚れ
を評価した。
【0305】比較例3 定着器の発熱層を15μmとし、また離型層を20μm
とし、且つ、Z1,Z2,Z3が以下のとおりになるよ
う設定した。 Z1=231℃ Z2=220℃ Z3=173℃
【0306】この定着器を使用して比較トナー(3)に
ついて実施例(1)と同様の方法で1000枚プリント
アウト試験を行ない、得られたプリントアウト画像につ
いてオフセットトナーに由来する画像裏汚れを評価し
た。
【0307】また1000枚出力後の状態から更に普通
紙と厚紙に対する定着性、着色性、透明性及び耐候性の
項目について評価した。
【0308】この評価結果を表2にまとめる。
【0309】
【表2】
【0310】実施例1〜20、並びに、比較例1〜3中
に記載の評価項目の説明とその評価基準について述べ
る。
【0311】[プリントアウト画像評価] <1>画像裏汚れ A4のCLC−SK紙(キヤノン製;80g/m2)上
に3%の横線サンプル画像を連続1000枚プリントア
ウトし、得られたプリントアウト画像の裏汚れの程度に
ついて、以下に基づいて評価した。 A:未発生 B:ほとんど発生せず C:若干発生したが、実用的に問題がない D:かなり発生し、実用的に問題がある
【0312】<2>定着性 A4紙(普通紙:75g/m2紙、及び厚紙:105g
/m2紙)に単位面積あたりのトナー質量を0.6mg
/cm2になるように調整し、濃度測定用のベタ画像を
出力し、得られた定着画像を50g/cm2の加重をか
けたシルボン紙で2回摺擦し、摺擦後の画像濃度低下量
から以下に基づいて評価した。 A:0.02未満 B:0.02以上、0.03未満 C:0.03以上、0.04未満 D:0.04以上
【0313】<3>着色性 A4のCLC−SK紙(キヤノン製:80g/m2)に
単位面積あたりのトナー質量を1.0mg/cm2にな
るように調整し、濃度測定用の10mm×10mmベタ
画像を多数有する画像を出力し、この時の画像濃度によ
り評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」
(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地
部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、
以下に基づいて評価した。 A:1.40以上 B:1.35以上、1.40未満 C:1.00以上、1.35未満 D:1.00未満
【0314】<4>透過性 転写材にトランスペアレンシー(CG3700;3M社
製)を用い、現像コントラスト320Vにて現像転写
し、階調を有する未定着トナー画像を得た。得られたも
のを定着温度180℃,プロセス速度30mm/sec
にて定着し、定着画像を得た。これらのトランスペアレ
ンシーを、島津自記分光高度計UV2200(島津製作
所製)を使用し、トランスペアレンシーフィルム単独の
透過率を100%とし単位面積あたりのトナー質量0.
4mg/cm2のときのトランスペアレンシーの透過率
をイエローの吸収波長である波長500nmの透過率を
測定し、以下に基づいて評価した。 A:60%以上 B:55%以上、60%未満 C:40%以上、55%未満 D:40%未満
【0315】<5>耐候性 通常の複写機用普通紙(80g/m2)に単位面積あた
りのトナー質量を0.6mg/cm2になるように調整
し、図9に示す画像を出力する。このときの画像濃度を
100%とする。この画像濃度に対し、カーボンアーク
ランプで40時間暴露した後の画像濃度を再度測定し、
初期画像に対する画像濃度の低下率(%)を求め、以下
に基づいて評価した。 A:2.0%未満 B:2.0%以上、5.0%未満 C:5.0%以上、10.0%未満 D:10.0%以上
【0316】比較例4 実施例1で、未定着画像を出力した後、この未定着画像
を実施例1で使用した構成の定着装置を用い、定着速度
が330mm/secになるよう調節して定着試験を試
みたところ、定着時のスリップ現象による異音が発生し
た。
【0317】また、105g/m2の厚紙を用いて得ら
れた定着画像について定着性を評価したところ、摺擦後
の画像低下量が0.10であり、定着性に問題があるこ
とが明らかになった。
【0318】実施例21〜40、及び、比較例5〜7 実施例21等において用いた画像形成装置を、図13に
示す。図13はフルカラー一成分画像形成装置であるキ
ヤノン製クリエイティブプロセッサ660改造機であ
る。
【0319】クリエイティブプロセッサ660の具体的
な変更点を示す。 a.加熱定着装置(加熱手段)200に、電磁誘導加熱
方式の装置を用いた。加熱定着装置の詳細は以下に示す
部分を除いては、実施例1と同様の構成を用いた。 b.励磁コイルにおける励磁周波数の交番電流を調整
し、定着器ニップ部近傍の温度が195℃になるように
設定した。 c.定着ベルト10において、発熱層1は、ニッケルを
主とする厚み20μmのものを用いた。弾性層2は、シ
リコーンゴムで、「JIS K−6301」に準拠した
硬度は35度の値を示すものを用い、厚さ100μmの
ものを用いた。離型層3はフッ素樹脂を有し、厚さ20
μmのものを用いた。 d.図3及び図4に示すバネ25a・25bを調節し、
75g/cm2の紙を介した状態において面圧250k
N/m2で圧接するようにした。 e.定着スピードをプロセス速度に一致させた。
【0320】上記クリエイティブプロセッサ660改造
機で、低温低湿(15℃,10%RH)環境下、単位面
積あたりのトナー質量を0.6mg/cm2になるよう
に調整し、イエローのみの単色モードの設定にて一成分
のイエロートナー(1)〜(20)および比較トナー
(1)〜(3)を用いて、図9に示す画像を出力し、定
着オフセット性について評価した。
【0321】更に、励磁コイルにおける励磁周波数の交
番電流を調整し、定着器ニップ部近傍の温度が150℃
になるよう設定し同様の画像を出力し、トナーの低温定
着オフセット性を評価した。
【0322】また、定着装置を十分室温になるまで放冷
した状態から画像出力を行なうモード(クイックスター
トモード)にて、図9の画像を連続20枚出力し、得ら
れたプリントアウト画像からクイックスタート性及びグ
ロス安定性を評価した。
【0323】この評価結果を表3にまとめる。
【0324】
【表3】
【0325】実施例21〜38のトナーはグロス安定性
において良好な結果となったが、これは、定着装置が
クイックスタートに応えるべく瞬時に十分な定着エネル
ギーを安定して発生しトナーに与えることができたこ
と、さらに連続出力において、定着熱の供給が過不足
無く安定して供給されたこと、さらにはイエロートナ
ー中のテトラヒドロフラン溶媒に実質的に不溶な成分が
最適化されていることの相乗効果によるものであると考
えられる。
【0326】このように本実施例21〜38によれば、
定着グロスが安定し、且つ、本体の印字待機時の定着装
置において予熱を必要としない、いわゆるクイックスタ
ート性及び省電力に優れたトナー及び画像形成方法が得
られるものである。
【0327】実施例21〜40、並びに、比較例5〜7
中に記載の評価項目の説明とその評価基準について述べ
る。
【0328】<6>定着オフセット性 通常の複写機用普通紙(80g/m2)に単位面積あた
りのトナー質量を0.6mg/cm2になるように調整
し、単色で図9に示す画像を連続20枚出力し、得られ
たプリントアウト画像に対して定着オフセットに由来す
る画像欠陥の有無を目視で観察し、以下に基づいて評価
した。 A:未発生 B:ほとんど発生せず C:若干発生したが、実用的に問題がない D:かなり発生し、実用的に問題がある
【0329】<7>クイックスタート性 定着装置を十分室温になるまで放冷した状態から画像出
力を行なうモード(クイックスタートモード)にて、通
常の複写機用普通紙(80g/m2)に単位面積あたり
のトナー質量を単色で0.6mg/cm2になるように
調整した図9の画像を出力する(クイックスタート定着
画像)。
【0330】更に、定着装置が十分所定の定着温度にな
るまで加熱した状態から同様の画像を出力する(通常定
着画像)。
【0331】得られた各々の定着画像に対して45度グ
ロスを測定し、そのグロス差を基に評価した。 A:3.0未満 B:3.0以上、6.0未満 C:6.0以上、9.0未満 D:9.0以上
【0332】<8>グロス安定性 通常の複写機用普通紙(80g/m2)に単位面積あた
りのトナー質量を0.6mg/cm2になるように調整
し、単色で図9に示す画像を連続20枚出力し、得られ
たプリントアウト画像の1枚目と20枚目の画像中央部
分の45度グロスを測定し、そのグロス変化量を以下に
基づいて評価した。 A:3.0未満 B:3.0以上、6.0未満 C:6.0以上、9.0未満 D:9.0以上
【0333】実施例41 実施例21において用いた定着装置を、電磁誘導発熱性
の定着ベルト10の弾性層2を省略した定着装置に変え
た他は実施例1同様にして、常温常湿(25℃,50%
RH)環境下、12枚(A4サイズ)/分のプリントア
ウト速度で、イエロートナー(1)を単色での連続モー
ドで3%横線画像を1000枚プリントアウト試験を行
った。得られたプリントアウト画像のオフセットトナー
に由来する画像の裏汚れについて評価したところ、裏汚
れの非常に少ない良好な画像が得られた。また、定着
性、透過性とも良好な結果が得られた。
【0334】比較例8 実施例21において用いた定着装置を、図10に示した
サーフ定着装置、すなわち、フィルム加熱方式における
トナー画像面と接し、且つフィルム状部材のトナー画像
と接する面と反対の面に設けられた加熱手段の熱をトナ
ー画像に付与する定着装置(ニップ幅7mm;面圧12
5kN/m2;定着スピード72mm/sec、定着ニ
ップ近傍温度が190℃、ウォームアップ20秒)に変
えた他は実施例7と同様にして、低温低湿(15℃,1
0%RH)環境下、定着装置を十分室温になるまで放冷
した状態から、画像出力を行ない、イエロートナー
(1)のグロス安定性について評価した。
【0335】その結果、グロス安定性がDランクであ
り、連続画像出力におけるグロス安定性において問題の
あるレベルのものであった。
【0336】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電磁誘導による加熱加圧定着装置を用い記録材に定着画
像を形成する画像形成方法において、着色剤として構造
式(1)又は構造式(2)で表される顔料、あるいは、
構造式(3)で表される染料を含有し、且つ、該トナー
中にテトラヒドロフラン溶媒に実質的に不溶な成分をト
ナー全体に対して2〜70質量%含有されていることを
特徴とするトナーを用いることによって、クイックスタ
ート性に優れたトナー、及び、画像形成方法が得られ
る。
【0337】さらに本発明によれば、着色剤が構造式
(1)又は構造式(2)で表される顔料と、構造式
(3)で表される染料の双方を含有することによって、
特に透過原稿において、十分な着色性と優れた耐候性を
併せもつトナー、及び、画像形成方法が得られる。
【0338】さらに本発明によれば、定着性及び耐オフ
セット性に優れ、且つ、オフセット現象の発生を極力抑
え、かつ、グロスムラの発生を極力抑え、更に、定着フ
ィルム表面へのフィルミングを抑えたトナー、及び、画
像形成方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるフルカラーの画像形成装置の概
略図である。
【図2】本発明の加熱装置(定着装置)の概略横断側面
模式図である。
【図3】本発明の加熱装置要部の正面模式図である。
【図4】本発明の加熱装置要部の縦断正面模式図であ
る。
【図5】本発明の加熱装置にかかる磁場発生手段の模式
図である。
【図6】交番磁束の発生の様子を模式的に表したもので
ある。
【図7】本発明の加熱装置にかかる安全回路の回路図で
ある。
【図8】本発明の加熱装置にかかる定着ベルト(定着フ
ィルム)の層構成模式図である。
【図9】耐候性、定着オフセット性及びクイックスター
ト性の試験に用いた出力画像の説明図である。
【図10】比較例に使用されるサーフ定着装置の概略構
成である。
【図11】電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構
成である。
【図12】本発明に係るZ1,Z2,Z3の測定部位の
説明図である。
【図13】本実施例及び比較例で使用したフルカラー一
成分画像形成装置の概略構成である。
【符号の説明】
1 発熱層 2 弾性層 3 離型層 4 断熱層 10 定着ベルト 15 磁場発生手段 16,16a,16b フィルム(ベルト)ガイド部材 16e 凸リブ部 17,17a,17b,17c 磁性コア 18 励磁コイル 18a,18b 給電部 19 絶縁部材(励磁コイル保持部材) 22 加圧用剛性ステイ 23a,23b フランジ部材 25a,25b 加圧バネ 26 温度センサ 27 励磁回路 29a,29b バネ受け部材 30 加圧ローラ(弾性) 30a 芯金 30b 弾性材層 40 良熱伝導部材 50 サーモスイッチ 51 リレースイッチ 100 像加熱装置(定着装置) N 定着ニップ N1 一次転写ニップ N2 二次転写ニップ P 転写材(記録材) 101 感光体ドラム 102 帯電装置(帯電ローラ) 103 レーザ光 104 現像器 104Y イエロー現像器 104M マゼンタ現像器 104C シアン現像器 104BK 黒現像器 105 中間転写体ドラム 106 転写ローラ 107 クリーナ(感光体ドラム用クリーナ) 108 クリーナ(中間転写体ドラム用クリーナ) 109 ミラー 110 レーザ光学箱 200 定着装置 201 転写手段 202 中間転写体ドラム 203 感光体ドラム 204 帯電装置 207 黒現像器 209 クリーナー 213 転写ベルト 221 芯金 222 弾性体層 281 イエロー現像器 282 マゼンタ現像器 283 シアン現像器 T1 一次転写部 T2 二次転写部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 374 G03G 15/20 109 15/20 101 9/08 361 103 321 109 344 (72)発明者 中村 達哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 稲葉 功二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森木 裕二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 野中 克之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 千葉 建彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (58)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁界発生手段と、電磁誘導により発
    熱する発熱層と離型層とを少なくとも有する回転加熱部
    材と、該回転加熱部材とニップを形成している回転加
    圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、該回
    転加熱部材に記録材を介して該回転加圧部材を押圧させ
    ながら該記録材上のトナー画像を、加熱加圧定着して記
    録材に定着画像を形成する画像形成方法に適用されるカ
    ラートナーであり、 該カラートナーは結着樹脂及びイエロー着色剤を少なく
    とも含有し、 該イエロー着色剤として、下記の構造式(1)又は構造
    式(2)で表される顔料、あるいは、構造式(3)で表
    される染料のいずれかを少なくとも含有し、 且つ、該トナー中に、テトラヒドロフラン溶媒に不溶な
    成分がトナー全体に対して2〜70質量%含有すること
    を特徴とするカラートナー。 【化1】 【化2】 【化3】
  2. 【請求項2】 磁界発生手段と、電磁誘導により発
    熱する発熱層と、離型層とを少なくとも有する回転加熱
    部材と、該回転加熱手段とニップ幅を形成する回転加
    圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、記
    録材上のトナー像を加熱加圧して定着画像を形成する画
    像形成方法に適用されるカラートナーであり、 該回転加熱部材と該回転加圧部材により形成されるニッ
    プ前後において、該記録材突入側の該回転部材の温度Z
    1(℃)と、該記録材を排出する側の該回転加熱部材の
    温度Z2(℃)と、該回転部材を発熱させる部位に至る
    前の該回転加熱部材温度をZ3(℃)とが下記条件 Z3≦Z2<Z1 を満足することを特徴とする請求項1に記載のカラート
    ナー。
  3. 【請求項3】 該回転加熱部材の発熱層の厚さが1〜2
    00μm、離型層の厚さが1〜100μmであり、該回
    転加熱部材と回転加圧部材により形成されるニップ幅が
    5〜15mmであり、且つ、該回転加熱部材を記録を介
    して面圧9〜500kN/m2で該回転加圧部材を押圧
    しながら定着スピード400mm/秒以下の条件でトナ
    ー画像を加熱加圧定着する画像形成方法に適用されるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のカラートナー。
  4. 【請求項4】 該回転加熱部材に厚さ10〜500μm
    の弾性層を有することを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載のカラートナー。
  5. 【請求項5】 該回転加熱部材の周長Laと該回転加圧
    部材の周長Lbとが下記条件 0.4×La≦Lb≦0.95×La<400mm を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    に記載のカラートナー。
  6. 【請求項6】 該加熱部材の周長Laに対して、ニップ
    中心を基準として、記録材突入側La/4の点から記録
    材排出側La/8の点の範囲において少なくとも該発熱
    層を発熱させることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載のカラートナー。
  7. 【請求項7】 該記録材突入側の該回転部材の温度Z1
    (℃)が下記条件 Z1<250℃ を満足することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載のカラートナー。
  8. 【請求項8】 該イエロー着色剤として、構造式(1)
    又は構造式(2)で表される顔料と、構造式(3)で表
    される染料とを少なくとも含有していることを特徴とす
    る請求項1乃至7のいずれかに記載のカラートナー。
  9. 【請求項9】 構造式(1)又は構造式(2)で表され
    る顔料が、結着樹脂100質量部当り1.0〜8.0質
    量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至8の
    いずれかに記載のカラートナー。
  10. 【請求項10】 構造式(1)又は構造式(2)で表さ
    れる顔料が、結着樹脂100質量部当り2.0〜6.0
    質量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至8
    のいずれかに記載のカラートナー。
  11. 【請求項11】 構造式(3)で表される染料が、結着
    樹脂100質量部当り0.2〜7.0質量部含有されて
    いることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記
    載のカラートナー。
  12. 【請求項12】 構造式(3)で表される染料が、結着
    樹脂100質量部当り0.5〜4.0質量部含有されて
    いることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記
    載のカラートナー。
  13. 【請求項13】 顔料の含有量と染料の含有量の比(顔
    料/染料)が0.2〜5であることを特徴とする請求項
    1乃至12のいずれかに記載のカラートナー。
  14. 【請求項14】 顔料の含有量と染料の含有量の比(顔
    料/染料)が0.33〜3であることを特徴とする請求
    項1乃至12のいずれかに記載のカラートナー。
  15. 【請求項15】 構造式(1)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー93、94、95、128及び
    166からなるグループより選ばれる顔料であることを
    特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のカラー
    トナー。
  16. 【請求項16】 構造式(1)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー93であることを特徴とする請
    求項1乃至14のいずれかに記載のカラートナー。
  17. 【請求項17】 構造式(2)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー120、151、154、17
    5、180及び181からなるグループより選ばれる顔
    料であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか
    に記載のカラートナー。
  18. 【請求項18】 構造式(2)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー180であることを特徴とする
    請求項1乃至16のいずれかに記載のカラートナー。
  19. 【請求項19】 有機金属化合物を含有していることを
    特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のカラー
    トナー。
  20. 【請求項20】 該有機金属化合物が、サリチル酸、ナ
    フトエ酸、ベンジル酸、ダイカルボン酸を配位子として
    有する金属化合物であることを特徴とする請求項19に
    記載のカラートナー。
  21. 【請求項21】 エステルワックスを含有していること
    を特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のカラ
    ートナー。
  22. 【請求項22】 該エステルワックスが、炭素数15以
    上である直鎖アルキル部分を有していることを特徴とす
    る請求項21に記載のカラートナー。
  23. 【請求項23】 該エステルワックスが、トナー100
    質量部中に2〜30質量部の割合で含有されていること
    を特徴とする請求項21又は22に記載のカラートナ
    ー。
  24. 【請求項24】 円相当径が3〜9μmであることを特
    徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のカラート
    ナー。
  25. 【請求項25】 フロー式粒子像測定装置で計測される
    トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラム
    において、該トナーの平均円形度が0.920〜0.9
    55であり、且つ、円形度標準偏差が0.040未満で
    あることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記
    載のカラートナー。
  26. 【請求項26】 該トナー中に、テトラヒドロフラン溶
    媒に不溶な成分がトナー全体に対して2〜50質量%含
    有されていることを特徴とする請求項1乃至25のいず
    れかに記載のカラートナー。
  27. 【請求項27】 該トナーのDSC(昇温測定)による
    吸熱ピークが、20〜200℃に存在し、その最大吸熱
    ピークが50〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項1乃至26のいずれかに記載のカラートナー。
  28. 【請求項28】 該トナーのDSC(降温測定)による
    発熱ピークが、20〜200℃に存在し、その最大発熱
    ピークが40〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項1乃至27のいずれかに記載のカラートナー。
  29. 【請求項29】 該トナーは、少なくともシリコーンオ
    イル処理された無機微粉体を有することを特徴とする請
    求項1乃至28のいずれかに記載のカラートナー。
  30. 【請求項30】 加熱加圧手段により記録材上のトナー
    画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画
    像形成方法であって、 該加熱加圧手段は、磁界発生手段と、電磁誘導によ
    り発熱する発熱層と離型層とを少なくとも有する回転加
    熱部材と、該回転加熱部材とニップを形成している回
    転加圧部材を少なくとも有し、 該回転加熱部材に記録材を介して該回転加圧部材を押圧
    させながら該記録材上のトナー画像を加熱加圧定着して
    記録材に定着画像を形成する画像形成方法において、 トナー画像を形成しているトナーは、結着樹脂及びイエ
    ロー着色剤を少なくとも含有し、 該イエロー着色剤として、下記の構造式(1)又は構造
    式(2)で表される顔料、あるいは、構造式(3)で表
    される染料のいずれかを少なくとも含有し、 且つ、該トナー中に、テトラヒドロフラン溶媒に不溶な
    成分がトナー全体に対して2〜70質量%含有すること
    を特徴とする画像形成方法。 【化4】 【化5】 【化6】
  31. 【請求項31】 磁界発生手段と、電磁誘導により
    発熱する発熱層と、離型層とを少なくとも有する回転加
    熱部材と、該回転加熱手段とニップ幅を形成する回転
    加圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、
    記録材上のトナー像を加熱加圧して定着画像を形成する
    画像形成方法において、 該回転加熱部材と該回転加圧部材により形成されるニッ
    プ前後において、該記録材突入側の該回転部材の温度Z
    1(℃)と、該記録材を排出する側の該回転加熱部材の
    温度Z2(℃)と、該回転部材を発熱させる部位に至る
    前の該回転加熱部材温度をZ3(℃)とが下記条件 Z3≦Z2<Z1 を満足することを特徴とする請求項30に記載の画像形
    成方法。
  32. 【請求項32】 該回転加熱部材の発熱層の厚さが1〜
    200μm、離型層の厚さが1〜100μmであり、該
    回転加熱部材と回転加圧部材により形成されるニップ幅
    が5〜15mmであり、且つ、該回転加熱部材を記録を
    介して面圧9〜500kN/m2で該回転加圧部材を押
    圧しながら定着スピード400mm/秒以下の条件でト
    ナー画像を加熱加圧定着することを特徴とする請求項3
    0又は31に記載の画像形成方法。
  33. 【請求項33】 該回転加熱部材に厚さ10〜500μ
    mの弾性層を有することを特徴とする請求項30乃至3
    2のいずれかに記載の画像形成方法。
  34. 【請求項34】 該回転加熱部材の周長Laと該回転加
    圧部材の周長Lbとが下記条件 0.4×La≦Lb≦0.95×La<400mm を満足することを特徴とする請求項30乃至33のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  35. 【請求項35】 該加熱部材の周長Laに対して、ニッ
    プ中心を基準として、記録材突入側La/4の点から記
    録材排出側La/8の点の範囲において少なくとも該発
    熱層を発熱させることを特徴とする請求項30乃至34
    のいずれかに記載のカラートナー。
  36. 【請求項36】 該記録材突入側の該回転部材の温度Z
    1(℃)が下記条件Z1<250℃を満足することを特
    徴とする請求項30乃至35のいずれかに記載の画像形
    成方法。
  37. 【請求項37】 該イエロー着色剤として、構造式
    (1)又は構造式(2)で表される顔料と、構造式
    (3)で表される染料とを少なくとも含有していること
    を特徴とする請求項30乃至36のいずれかに記載の画
    像形成方法。
  38. 【請求項38】 構造式(1)又は構造式(2)で表さ
    れる顔料が、結着樹脂100質量部当り1.0〜8.0
    質量部含有されていることを特徴とする請求項30乃至
    37のいずれかに記載の画像形成方法。
  39. 【請求項39】 構造式(1)又は構造式(2)で表さ
    れる顔料が、結着樹脂100質量部当り2.0〜6.0
    質量部含有されていることを特徴とする請求項30乃至
    37のいずれかに記載の画像形成方法。
  40. 【請求項40】 構造式(3)で表される染料が、結着
    樹脂100質量部当り0.2〜7.0質量部含有されて
    いることを特徴とする請求項30乃至39のいずれかに
    記載の画像形成方法。
  41. 【請求項41】 構造式(3)で表される染料が、結着
    樹脂100質量部当り0.5〜4.0質量部含有されて
    いることを特徴とする請求項30乃至39のいずれかに
    記載の画像形成方法。
  42. 【請求項42】 顔料の含有量と染料の含有量の比(顔
    料/染料)が0.2〜5であることを特徴とする請求項
    30乃至41のいずれかに記載の画像形成方法。
  43. 【請求項43】 顔料の含有量と染料の含有量の比(顔
    料/染料)が0.33〜3であることを特徴とする請求
    項30乃至42のいずれかに記載の画像形成方法。
  44. 【請求項44】 構造式(1)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー93、94、95、128及び
    166からなるグループより選ばれる顔料であることを
    特徴とする請求項30乃至43のいずれかに記載の画像
    形成方法。
  45. 【請求項45】 構造式(1)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー93であることを特徴とする請
    求項30乃至43のいずれかに記載の画像形成方法。
  46. 【請求項46】 構造式(2)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー120、151、154、17
    5、180及び181からなるグループより選ばれる顔
    料であることを特徴とする請求項30乃至45のいずれ
    かに記載の画像形成方法。
  47. 【請求項47】 構造式(2)で表される顔料が、C.
    I.ピグメントイエロー180であることを特徴とする
    請求項30乃至45のいずれかに記載の画像形成方法。
  48. 【請求項48】 有機金属化合物を含有していることを
    特徴とする請求項30乃至47のいずれかに記載の画像
    形成方法。
  49. 【請求項49】 該有機金属化合物が、サリチル酸、ナ
    フトエ酸、ベンジル酸、ダイカルボン酸を配位子として
    有する金属化合物であることを特徴とする請求項48に
    記載の画像形成方法。
  50. 【請求項50】 エステルワックスを含有していること
    を特徴とする請求項30乃至49のいずれかに記載の画
    像形成方法。
  51. 【請求項51】 該エステルワックスが、炭素数15以
    上である直鎖アルキル部分を有していることを特徴とす
    る請求項50に記載の画像形成方法。
  52. 【請求項52】 該エステルワックスが、トナー100
    質量部中に2〜30質量部の割合で含有されていること
    を特徴とする請求項50又は51に記載の画像形成方
    法。
  53. 【請求項53】 円相当径が3〜9μmであることを特
    徴とする請求項30乃至52のいずれかに記載の画像形
    成方法。
  54. 【請求項54】 フロー式粒子像測定装置で計測される
    トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラム
    において、該トナーの平均円形度が0.920〜0.9
    55であり、且つ、円形度標準偏差が0.040未満で
    あることを特徴とする請求項30乃至53のいずれかに
    記載の画像形成方法。
  55. 【請求項55】 該トナー中に、テトラヒドロフラン溶
    媒に不溶な成分がトナー全体に対して2〜50質量%含
    有されていることを特徴とする請求項30乃至54のい
    ずれかに記載の画像形成方法。
  56. 【請求項56】 該トナーのDSC(昇温測定)による
    吸熱ピークが、20〜200℃に存在し、その最大吸熱
    ピークが50〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項30乃至55のいずれかに記載の画像形成方法。
  57. 【請求項57】 該トナーのDSC(降温測定)による
    発熱ピークが、20〜200℃に存在し、その最大発熱
    ピークが40〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項30乃至56のいずれかに記載の画像形成方法。
  58. 【請求項58】 該トナーは、少なくともシリコーンオ
    イル処理された無機微粉体を有することを特徴とする請
    求項30乃至57のいずれかに記載の画像形成方法。
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