JP2001343780A - 乾式トナー及び画像形成方法 - Google Patents

乾式トナー及び画像形成方法

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JP2001343780A
JP2001343780A JP2001033058A JP2001033058A JP2001343780A JP 2001343780 A JP2001343780 A JP 2001343780A JP 2001033058 A JP2001033058 A JP 2001033058A JP 2001033058 A JP2001033058 A JP 2001033058A JP 2001343780 A JP2001343780 A JP 2001343780A
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Michihisa Magome
道久 馬籠
Tatsuhiko Chiba
建彦 千葉
Keiji Kawamoto
恵司 河本
Tokuyoshi Abe
篤義 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クイックスタート性および省電力に優れた乾
式トナーを提供するものである。 【解決手段】 磁界発生手段17と、電磁誘導によ
り発熱する発熱層と離型層とを少なくとも有する回転加
熱部材10と、該回転加熱部材とニップを形成してい
る回転加圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段を使用
し、該回転加熱部材に記録材を介して該回転加圧部材3
0を押圧させながら該記録材上のトナー画像を、加熱加
圧定着して記録材に定着画像を形成する画像形成方法に
適用されるトナーであり、該トナーは結着樹脂及び着色
剤を少なくとも含有しており、該トナーの含水率が3.
00質量%以下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、磁気記録法、トナージェット法のごとき画像形
成方法に用いられる乾式トナーに関し、さらに、トナー
像を転写材(記録材)に転写して像形成したのちに定着
し画像を得る上で定着性を向上させた画像形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術としては米国特許第2,2
97,691号明細書、特公昭42−23910号公報
および特公昭43−24748号公報に記載されている
ような多数の方法が知られている。一般には光導電性物
質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷潜像を
形成し、次いで該静電荷潜像をトナーを用いて現像し、
必要に応じて紙やフィルムなどの転写材にトナー画像を
転写した後、加熱,圧力,加熱加圧あるいは溶剤蒸気に
より定着し、トナー画像を得るものである。
【0003】静電荷潜像を可視化する方法としては、カ
スケード現像法,磁気ブラシ現像法,加圧現像方法等が
知られている。さらには、磁性トナーを用い、中心に磁
極を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の
間を電界にて飛翔させる方法も用いられている。
【0004】一成分現像方式は二成分方式のようにガラ
スビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要なため、現像装
置自体を小型化・軽量化できる。さらには、二成分現像
方式はキャリア中のトナーの濃度を一定に保つ必要があ
るため、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する
装置が必要である。よって、ここでも現像装置が大きく
重くなる。一成分現像方式ではこのような装置は必要と
ならないため、相対的には、小さく軽くできるのが一般
的である。
【0005】また、プリンター装置はLED、LBPプ
リンターが最近の市場の主流になっており、技術の方向
としてより高解像度即ち、従来300、600dpiで
あったものが1200、2400dpiとなってきてい
る。従って現像方式もこれにともなって、より高精細が
要求されてきている。また、複写機においても高機能化
が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつあ
る。この方向は、静電荷像をレーザーで形成する方法が
主であるため、やはり高解像度の方向に進んでおり、こ
こでもプリンターと同様に高解像・高精細の現像方式が
要求されてきている。
【0006】そこで、高解像度・高精細を達成するため
に、トナーを小粒径化する方向へ進みつつある。
【0007】また、プリンター及び複写機は上記の高解
像度化と同時に、より高速なものが求められている。こ
の要求を満たすため、プロセススピードの向上が検討課
題であるが、とりわけ定着プロセスにおける定着器とト
ナーのマッチングが重要である。
【0008】更には、消費電力の抑制やクイックスター
ト等のユーザビリティの向上が望まれている。
【0009】このような定着プロセスにおいて、従来、
転写材シート・エレクトロファックスシート・静電記録
紙・トランスペアレンシーシート(OHPシート)・印
刷用紙・フォーマット紙などの記録材上の未定着画像
(トナー画像)を加熱定着させる定着装置としては、熱
ローラ方式の定着装置が広く用いられてきている。
【0010】しかし、熱ローラ方式の定着装置は、画像
形成装置の電源をオンにして同時に定着装置の熱源であ
るハロゲンランプに通電を開始しても、定着ローラの熱
容量が大きく、定着ローラ等が冷え切っている状態時か
ら所定の定着可能温度に立ち上がるまでにはかなりの待
ち時間(ウエイトタイム)を要し、クイックスタート性
に欠けるという欠点があった。
【0011】また、画像形成装置のスタンバイ状態時
(非画像出力時)においても、定着ローラを所定の温調
状態に維持させておくためにハロゲンランプに通電した
まま保持している必要があり、画像形成装置の内部昇温
に対する過大対策や電力消費増加という問題を生じるた
め、さらなる改良が期待されている。
【0012】係る問題を解決するために、例えば特開昭
63−313182号公報・特開平2−157878号
公報・特開平4−44075号公報・特開平4−204
980号公報等に、フィルム加熱方式の定着装置が提案
されている。
【0013】これらのフィルム加熱方式の定着装置は、
加熱体としてセラミックヒータと、加圧部材としての加
圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム)を挟
ませてニップ部を形成させ、該ニップ部のフィルムと加
圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像を形
成担持させた記録材を導入してフィルムと一緒に挟持搬
送させることで、ニップ部においてセラミックヒータの
熱をフィルムを介して記録材に与え、またニップ部の加
圧力にて未定着トナー画像を記録材面に熱圧定着させる
ものである。
【0014】このフィルム加熱方式の定着装置の特徴と
しては、セラミックヒータ及びフィルムとして低熱容量
の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成するこ
とができ、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源とし
てのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱
させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから
画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイック
スタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい
(省電力)等の利点がある。
【0015】しかし、大きな熱量が要求されるフルカラ
ー画像形成装置や高速機種用の定着装置としては熱量的
に不十分であり、定着不良や定着画像の光沢ムラ(グロ
スムラ)やオフセット等の問題が発生し、さらなる改良
が必要とされている。
【0016】そこで係る問題を解決するために、例えば
実開昭51−109739号公報には、磁束により定着
ローラに電流を誘導させてジュール熱によって発熱させ
る誘導加熱定着装置が開示されている。これは、誘導電
流の発生を利用することで直接定着ローラを発熱させる
ことができて、ハロゲンランプを熱源として用いた熱ロ
ーラ方式の定着装置よりも高効率の定着プロセスを達成
している。
【0017】しかしながら、この誘導加熱ローラ定着方
式は、ローラが室温の状態から定着温度まで十分に加熱
されるためには多くのジュール熱を必要とするため、こ
の定着方式では、画像形成装置の電源オンから画像形成
実行可能状態までの待ち時間を速くする、いわゆる「オ
ンデマンド定着」を達成することは困難であった。ま
た、誘導加熱ローラ定着方式は、定着装置を十分に予熱
しておく必要があるため、機内昇温や省電力の点で好ま
しくなく、さらなる改善が必要である。
【0018】一方、画像形成方法に使用されるトナーと
しては、熱を加えた際の溶融性及びカラートナーにおい
ては混色性が良いことが重要であり、軟化点が低く、且
つ溶融粘度が低く、高いシャープメルト性を有するトナ
ーを使用することが好ましい。
【0019】即ち、この高いシャープメルト性を有する
トナーを使用することにより、定着ムラやオフセットが
生じず、カラートナーにおいては複写物の色再現範囲を
広め、原稿像に忠実なコピーを得ることができる。
【0020】ここで、定着プロセスの問題点として、次
のものがある。
【0021】加熱ローラあるいはフィルムのような加熱
部材表面(以下「加熱部材」と呼ぶ)とトナー像とが溶
融状態,加圧下で接触するために、トナー像の一部が加
熱部材表面に付着し転移し、次の被定着シートにこれが
再転移し、被定着シートを汚す、いわゆるオフセット現
象は、定着速度,定着温度の影響を大きく受ける。一般
に定着速度が遅い場合は、加熱部材表面温度は比較的低
く設定され、定着速度が速い場合は、加熱部材の表面温
度は比較的高く設定される。これは、トナーを定着させ
るために加熱部材からトナーに与える熱量を、定着速度
によらずほぼ一定にするためである。
【0022】被定着シート上のトナーは、何層かのトナ
ー層を形成しているため、特に定着速度が速く、加熱部
材の表面温度が高い系においては、加熱ローラに接触す
るトナー層と被定着シートに接触している最下層のトナ
ー層との温度差が大きくなるために、加熱部材の表面温
度が高いと、最上層のトナーがオフセット現象を起こし
やすく(高温オフセット)、加熱部材の表面温度が低い
と、最下層のトナーは十分に溶けないために、被定着シ
ートにトナーが定着しない現象(低温オフセット)が発
生しやすい。
【0023】この問題を解決する方法として、定着速度
が速い場合には、定着時の圧力を上げ、被定着シートへ
トナーをアンカーリングさせる方法が、通常行われてい
る。この方法だと、加熱部材温度をある程度下げること
ができ、最上トナー層の高温オフセット現象を防ぐこと
は可能となる。しかし、トナーにかかるせん断力が非常
に大となるために、被定着シートが加熱部材に巻きつ
き、巻きつきオフセットが発生したり、加熱部材から被
定着シートを分離するための分離爪の分離あとが定着画
像に出現しやすい。さらには、圧力が高いために、定着
時にライン画像が押しつぶされたり、トナーが飛び散る
など定着画像の画質劣化を生じ易くなるのが実状であ
る。
【0024】高速定着では、一般的には、低速定着の場
合より溶融粘度の低いトナーを用い、加熱部材の表面温
度を下げ定着圧力を下げることにより、高温オフセット
や巻きつきオフセットを防止しつつ、トナー像を定着し
ている。しかし、この様な溶融粘度の低いトナーを低速
定着に用いると、高温でオフセット現象が発生しやす
い。
【0025】さらに、オフセット現象に関しては、トナ
ーの小粒径化により、ハーフトーン部の定着性が低下す
る。これは、ハーフトーン部分のトナーののり量が少な
く、被定着シートの凹部に転写されたトナーは、加熱部
材から与えられる熱量が少なく、さらに定着圧力も、被
定着シートの凸部によって凹部への圧力が抑制されるた
めに悪くなるからである。ハーフトーン部分で被定着シ
ートの凸部に転写されたトナーは、トナー層厚が薄いた
めに、トナー粒子1個当りにかかるせん断力はトナー層
厚の厚いベタ黒部分に比べ大きいものとなり、オフセッ
ト現象が発生しやすく、低画質の定着画像となりやす
い。
【0026】これらの問題を解決するために、従来より
トナー中に含まれる結着樹脂の分子量分布や架橋成分の
量を調整したりするなどして、定着プロセスへの適合を
図ってきた。
【0027】その一例として、特開平8−262795
号公報においては、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーにより測定された分子量分布において、分子量5
0万以上の領域に分子量ピークを有する高分子量スチレ
ン−アクリル系樹脂、分子量5万〜50万の領域に分子
量ピークを有するスチレン−アクリル系樹脂、架橋構造
を有するスチレン−アクリル系樹脂、および分子量5万
以下の領域に分子量ピークを有するポリエステル樹脂よ
りなるバインダー樹脂を有するトナーを提案している
が、高速定着への対応は未だ不十分である。
【0028】また、定着性はトナーの含水率に大きく影
響を受ける。これは、定着時にトナーが含有する水分が
瞬時に蒸発するためであり、含水率が高い場合、水分の
気化熱として定着器からの熱量を消費してしまいトナー
が充分に溶融できない、あるいは、発生する水蒸気によ
りトナーの定着が妨げられるためである。なお、この現
象は定着圧が小さい定着構成の場合に著しく、結果とし
て高速定着時における高画質と定着性が両立するトナー
及び定着機構成は得られていない。
【0029】これに関して、特開平8−160675号
公報や特開平8−202077号公報に、トナーの含水
率により現像性が向上することを開示している。しか
し、含水率による定着性への影響及び定着装置とのマッ
チングについては言及されていない。
【0030】さらには、近年では高画質、オンデマンド
定着、高速機種への対応を満足するために、前述のよう
な物性調整や含水率に加えて、トナー中に含有される微
量成分の制御までなされるようになってきている。
【0031】そのような例として、特開平11−249
334号公報においては、残留モノマー量がワックスの
分散状態に影響し低温定着性が向上することを開示して
いる。しかし、残留モノマーによる定着後の画質への影
響、および定着装置とのマッチングについては言及され
ていない。
【0032】上述したように、定着プロセスに対し、高
度に適合したトナーが望まれているにもかかわらず、そ
れらの点を十分に満足させるものは未だにないのが現状
である。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来技術の問題点を解決した乾式トナー及び画像形成
方法を提供することにある。
【0034】すなわち、本発明の目的は、クイックスタ
ート性および省電力に優れた乾式トナー及び画像形成方
法を提供するものである。
【0035】また、本発明の目的は、オフセット現象の
発生を極力抑えた、定着装置とのマッチングに優れた乾
式トナー及び画像形成方法を提供するものである。
【0036】さらに、本発明の目的は、モノトーン画像
においては優れた画質を、カラー画像を形成させる上で
は画像上に定着ムラのない、画像品位に優れた乾式トナ
ー及び画像形成方法を提供するものである。
【0037】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、以下のトナー及び画像形成方法により前述
の課題を解決することができることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0038】すなわち、本発明は、磁界発生手段と、
電磁誘導により発熱する発熱層と離型層とを少なくと
も有する回転加熱部材と、該回転加熱部材とニップを
形成している回転加圧部材を少なくとも有する加熱加圧
手段を使用し、該回転加熱部材に記録材を介して該回転
加圧部材を押圧させながら該記録材上のトナー画像を、
加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画像形成
方法に適用されるトナーであり、該トナーは結着樹脂及
び着色剤を少なくとも含有しており、該トナーの含水率
が3.00質量%以下であることを特徴とする乾式トナ
ーに関する。
【0039】また、本発明は、加熱加圧手段により記録
材上のトナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像
を形成する画像形成方法であり、トナー画像を形成して
いるトナーは、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有す
るトナー粒子を有しており、トナーの含水率が3.00
質量%以下であるトナーであり、該加熱加圧手段は、
磁界発生手段と、電磁誘導により発熱する発熱層と離
型層とを少なくとも有する回転加熱部材と、該回転加
熱部材とニップを形成している回転加圧部材を少なくと
も有する加熱加圧手段であり、該回転加熱部材に記録材
を介して該回転加圧部材を押圧させながら該記録材上の
トナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成
することを特徴とする画像形成方法に関する。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0041】(1)画像形成方法・装置(カラー画像
用) 本発明の特徴の一つは記録材に定着画像を形成する画像
形成方法にある。
【0042】図1を参照しながら本発明の画像形成方法
の一例をより具体的に説明する。
【0043】図1は画像形成装置の一例の概略構成図で
ある。本例の画像形成装置は電子写真カラープリンタで
ある。
【0044】101は有機感光体やアモルファスシリコ
ン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢
示の方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆
動される。
【0045】感光体ドラム101は、その回転過程で帯
電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様
な帯電処理を受ける。
【0046】次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レ
ーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103
による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レー
ザ光学箱110は、不図示の画像読み取り装置等の画像
信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル
画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光1
03を出力して、回転感光体ドラム101面に走査露光
した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。1
09は、レーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光
体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0047】フルカラー画像形成の場合は、目的のフル
カラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成
分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜
像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器
104Yの作動でトナー画像として現像される。そのト
ナー画像は、感光体ドラム101と中間転写体ドラム1
05との接触部(或いは近接部)である一次転写部T1
において中間転写体ドラム105の面に転写される。中
間転写体ドラム105面に対するトナー画像転写後の回
転感光体ドラム101面は、クリーナ107により転写
残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0048】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、
マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画
像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作
動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現
像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順
次実行され、中間転写体ドラム105面にイエロートナ
ー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒ト
ナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写され
て、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像
が合成・形成される。
【0049】中間転写体ドラム105は、金属ドラム上
に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光
体ドラム101に接触して或いは近接して感光体ドラム
101と同じ周速度で矢示の方向に回転駆動され、中間
転写体ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与え
て感光体ドラム101との電位差で、感光体ドラム10
1側のトナー画像を前記中間転写体ドラム105面側に
転写させる。
【0050】上記の回転中間転写体ドラム105面に合
成・形成されたカラートナー画像は、前記回転中間転写
体ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部で
ある二次転写部T2において、前記二次転写部T2に不
図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録
材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は、記録
材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給すること
で、中間転写体ドラム105面側から記録材P側へ合成
カラートナー画像を順次に一括転写する。
【0051】二次転写部T2を通過した記録材Pは、中
間転写体ドラム105の面から分離されて像加熱装置
(定着装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加
熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図
示の排紙トレーに排出される。定着装置100について
は次の『(2)定着装置(加熱手段)』で詳述する。
【0052】記録材Pに対するカラートナー画像転写後
の回転中間転写体ドラム105は、クリーナ108によ
り転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて
清掃される。このクリーナ108は、常時は中間転写体
ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写
体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画像
の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に
接触状態に保持される。
【0053】また転写ローラ106も、常時は中間転写
体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転
写体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画
像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105
に記録材Pを介して接触状態に保持される。
【0054】本例装置は、白黒画像などモノカラー画像
のプリントモードも実行できる。また両面画像プリント
モード、或いは多重画像プリントモードも実行できる。
両面画像プリントモードの場合は、定着装置100を出
た1面目画像プリント済みの記録材Pは、不図示の再循
環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2
へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再
度、定着装置100に導入されて2面に対するトナー画
像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力さ
れる。
【0055】多重画像プリントモードの場合は、定着装
置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは、
不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び
二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済み
の面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、定着装置
100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受
けることで多重画像プリントが出力される。
【0056】本発明の定着装置においては、少なくとも
発熱層と離型層を有すれば良く、トナー層厚が厚い、例
えばカラー画像などの定着装置としては混色性を高める
などの目的で、発熱層と離型層の間に弾性層を設けるこ
とも可能である。
【0057】ここでは、発熱層と離型層に加えて弾性層
を有する回転加熱部材を有する定着装置の例について説
明する。
【0058】(2)定着装置(加熱手段)100 本発明の特徴の一つである定着装置について具体的に説
明するが、本発明の加熱定着装置は例示したものに限定
するものではなく、例えば励磁コイル部分をベルトの外
部に設置した構成の加熱定着装置であっても良い。
【0059】図2は、本発明における電磁誘導加熱方式
の定着装置100の要部の横断側面模式図、図3は要部
の正面模式図、図4は要部の縦断正面模式図を具体的に
示したものである。
【0060】本例装置100は図10の定着器と同様
に、円筒状の電磁誘導発熱性ベルトを用いた、加圧ロー
ラ駆動方式、電磁誘導加熱方式の装置である。図10の
装置と共通の構成部材・部分には同一の符号を付して再
度の説明を省略する。
【0061】磁場発生手段は、磁性コア17a・17b
・17c及び励磁コイル18からなる。
【0062】磁性コア17a・17b・17cは高透磁
率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったト
ランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは
100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いる
のがよい。
【0063】励磁コイル18には、図5に示すように給
電部18a・18bに励磁回路27を接続してある。こ
の励磁回路27は、10kHzから500kHzの高周
波をスイッチング電源で発生できるようになっている。
【0064】励磁コイル18は、励磁回路27から供給
される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生
する。
【0065】16a・16bは横断面略半円弧状樋型の
ベルトガイド部材であり、開口側を互いに向かい合わせ
て略円柱体を構成し、外側に円筒状の電磁誘導性発熱ベ
ルトである定着ベルト10をルーズに外嵌させてある。
【0066】前記ベルトガイド部材16aは、磁場発生
手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コ
イル18を内側に保持している。
【0067】また、ベルトガイド部材16aには、図4
に示すように紙面垂直方向長手の良熱伝導部材40がニ
ップ部Nの加圧ローラ30との対向面側で、定着ベルト
10の内側に配設してある。
【0068】本例においては、良熱伝導性部材40にア
ルミニウムを用いている。前記良熱伝導部材40は熱伝
導率kがk=240[W・m-1・K-1]であり、厚さ1
[mm]である。
【0069】また、良熱伝導部材40は、磁場発生手段
である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17
cから発生する磁場の影響を受けないように、この磁場
の外に配設してある。
【0070】具体的には、良熱伝導部材40を励磁コイ
ル18に対して磁性コア17cを隔てた位置に配設し、
励磁コイル18による磁路の外側に位置させて良熱伝導
体40に影響を与えないようにしている。
【0071】22は、ベルトガイド部材16bの内面平
面部に当接させて配設した横長の加圧用剛性ステイであ
る。
【0072】19は、磁性コア17a・17b・17c
及び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22の間を絶縁
するための絶縁部材である。
【0073】フランジ部材23a・23bは、ベルトガ
イド部材16a・16bのアセンブリの左右両端部に外
嵌し、前記左右位置を固定しつつ回転自在に取り付け、
定着ベルト10の回転時に前記定着ベルト10の端部を
受けて定着ベルトのベルトガイド部材長手に沿う寄り移
動を規制する役目をする。
【0074】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被
覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂な
どの耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、芯金
30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回
転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0075】加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャ
ーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ
加圧バネ25a・25bを縮設することで、加圧用構成
ステイ22に押し下げ力を作用させている。これによ
り、ベルトガイド部材16aの下面と加圧ローラ30の
上面とが定着ベルト10を挟んで圧接して所定幅の定着
ニップ部Nが形成される。
【0076】加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の
方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動
による前記加圧ローラ30と定着ベルト10の外面との
摩擦力で定着ベルト10に回転力が作用し、前記定着ベ
ルト10が、その内面が定着ニップNにおいて良熱伝導
部材40の下面に密着して摺動しながら、矢示の方向に
加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をも
ってベルトガイド部材16a・16bの外回りを回転状
態になる。
【0077】この場合、定着ニップ部Nにおける良熱伝
導部材40の下面と定着ベルト10の内面との相互摺動
摩擦力を低減化させるために、定着ニップ部Nの良熱伝
導部材40の下面と定着ベルト10の内面との間に耐熱
性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あるいは良熱伝導
性部材40の下面を潤滑部材で被覆することもできる。
これは、良熱伝導部材40としてアルミニウムを用いた
場合のように表面滑り性が材質的によくない或いは仕上
げ加工を簡素化した場合に、摺動する定着ベルト10に
傷をつけて定着ベルト10の耐久性が悪化してしまうこ
とを防ぐものである。
【0078】良熱伝導部材40は長手方向の温度分布を
均一にする効果があり、例えば、小サイズ紙を通紙した
場合、定着ベルト10での非通紙部の熱量が、良熱伝導
部材40へ伝熱し、良熱伝導部材40における長手方向
の熱伝導により、非通紙部の熱量が小サイズ紙通紙部へ
伝熱される。これにより、小サイズ紙通紙時の消費電力
を低減させる効果も得られる。
【0079】また、図5に示すように、ベルトガイド部
材16aの曲面に、その長手に沿い所定の間隔を置いて
凸リブ部16eを形成具備させ、ベルトガイド部材16
aの曲面と定着ベルト10の内面との接触摺動抵抗を低
減させて定着ベルト10の回転負荷を少なくしている。
このような凸リブ部はベルトガイド部材16bにも同様
に形成具備することができる。
【0080】図6は交番磁束の発生の様子を模式的に表
したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表
す。磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁
束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そし
て磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着
ベルト10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発生させる。
この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁
誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度
によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図6
のグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角
度θで表した定着ベルト10における円周方向の位置を
示し、横軸が定着ベルト10の電磁誘導発熱層1での発
熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし
た場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。これ
は、定着に必要な発熱量が得られる領域である。
【0081】この定着ニップ部Nの温度は、不図示の温
度検知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する
電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるよ
うに温調される。26は定着ベルト10の温度を検知す
るサーミスタなどの温度センサであり、本例においては
温度センサ26で測定した定着ベルト10の温度情報を
もとに定着ニップ部Nの温度を制御するようにしてい
る。
【0082】而して、定着ベルト10が回転し、励磁回
路27から励磁コイル18への給電により上記のように
定着ベルト10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部
Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態におい
て、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像t
1が形成された記録材Pが定着ニップ部Nの定着ベルト
10と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、即ち定
着ベルト面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおい
て画像面が定着ベルト10の外面に密着して定着ベルト
10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。こ
の定着ニップ部Nを定着ベルト10と一緒に記録材Pが
挟持搬送されていく過程において定着ベルト10の電磁
誘導発熱で加熱されて、記録材P上の未定着トナー画像
t1が加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通
過すると回転定着ベルト10の外面から分離して排出搬
送されていく。記録材上の加熱定着トナー画像t2は定
着ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
【0083】電磁誘導加熱定着方式においては、更に好
ましくは以下のごとくである。
【0084】電磁誘導加熱方式を利用する定着装置にお
いて、該回転加熱部材と該回転加圧部材により形成され
るニップ前後において、該記録材突入側の該回転部材の
温度Z1(℃)と、該記録材を排出する側の該回転加熱
部材の温度Z2(℃)と、該回転部材を発熱させる部位
に至る前の該回転加熱部材温度Z3(℃)とが下記条件 Z3≦Z2<Z1 を満足するときに優れた定着性能を示すことを、鋭意検
討の末本発明者らは見出した。
【0085】特に、上記温度の範囲であると、ニップに
おいて、記録材突入側において記録材のトナーがもっと
も高温で迅速に溶融され、クイックスタート時において
も十分な定着強度を有するようになる。
【0086】ニップ出口においては、突入側における温
度よりも低い温度であるからニップ入り口部において迅
速に溶融したトナーによる記録材の加熱部材への貼り付
きを効果的に防止できるものである。
【0087】もうひとつの効果として、記録材突入側の
加熱回転部材の温度Z1が高いと、記録材がニップに突
入する前において、該加熱回転部材表面からの放射熱に
よりトナー及び記録材少なからず加熱されニップによる
加熱を補助する機能を有し、定着性の向上に寄与する効
果があると考えられる。
【0088】更には、回転部材を発熱させる部位に至る
前の回転加熱部材温度を記録材を排出する側の温度以下
に保つことにより、回転部材を発熱させる部位に至ると
きに過度の加熱を防止することできる。
【0089】ここで、Z1,Z2,Z3とは、以下説明
する位置にて測定されたものである。ニップ中心を基準
として、記録材突入側であって該加熱部材の周長の8分
の1の位置における該加熱部材の表面温度をZ1とす
る。同様にZ2においては、ニップ中心を基準として、
記録材を排出する側であって該加熱部材の周長の8分の
1の位置における該加熱部材の表面温度をいう。Z3
は、該ニップ通過後であって該加熱手段の発熱させられ
る位置の直前から、該回転加熱部材の回転反対方向へ周
長の8分の1の範囲を測定して得られた温度である。図
15において、Z1,Z2,Z3の測定部位の例を示
す。
【0090】測定部位は、前述の通りであるが、このZ
1,Z2,Z3を測定する時においては、記録材を通過
させたときの温度を測定することにより得る。
【0091】記録紙としては、坪量75g/m2の記録
材(例えば、ゼロックス社4024)を用い、測定環境
は、23℃,60%RHにおいて行い、記録紙は、該測
定環境において24時間調温調湿したものを用いる。
【0092】Z1においては、記録材通過時に該回転加
熱部材と該記録材との接触する部分に相当する該回転加
熱部材表面温度を記録し、その最大値をZ1とする。
【0093】Z2においては、記録材通過時に該回転加
熱部材と該記録材との接触する部分に相当する該回転加
熱部材表面温度を記録し、その最小値をZ2とする。
【0094】Z3においては、記録材通過時に該回転加
熱部材と該記録材との接触する部分に相当する該回転加
熱部材表面温度を記録し、その最小値をZ3とする。
【0095】上記条件を満足させるためには、加熱部材
の外径、熱容量及び回転速度、加熱部材への供給電力
量、回転加熱部材のどの位置で発熱させる、加圧部材の
外径または熱容量、定着器の回転速度などの好適な組み
合わせにより達成することができる。
【0096】該加熱部材の周長Laに対して、ニップ中
心を基準として、記録材突入側La/4の点から記録材
排出側La/8の点の範囲において少なくとも該発熱層
を発熱させると、ニップ近傍での、加熱部材の温度ムラ
を抑えることが可能となり定着ムラなどを効果的に防止
できる。
【0097】好ましくは、Z1は、エネルギーの効率的
利用を考慮し250℃に満たない温度に設定することが
好ましく、Z1とZ2の差は、40℃以下、好ましくは
30℃以下とすることが、定着画像を高品位に保つため
に好ましい。これを満足する定着方法においては、たと
え、低温低湿下の定着に厳しい環境下においても十分な
定着性能を維持し好ましい。
【0098】本発明に用いる定着器の回転加熱部材の周
長Laと回転加圧部材の周長Lbとが下記条件 0.4×La≦Lb≦0.95×La<400mm であることが好ましく、回転加熱部材の周長を小さくす
ることにより加熱部材から回転部材への熱量の転移を小
さく抑え、定着面での熱追従性を改良するとともにクイ
ックスタート性を向上することができる。
【0099】更に、該回転加圧部材の周長を上記範囲と
し、加熱部材からの熱量転移を抑えることで、回転加熱
部材が400mm程度まで好ましく使用することができ
るようになる。
【0100】更に好ましくは、該トナーのDSC(昇温
測定)による吸熱ピークが20〜200℃に存在し、そ
の最大吸熱ピークが50℃〜150℃に位置することが
好ましく、Z1に対して30℃以下、好ましくは40℃
以下の温度に位置するとニップ入り口にてトナーの十分
な溶融をすることができ更に良好な定着性を示すので好
ましい。
【0101】更に好ましくは、該トナーのDSC(降温
測定)による発熱ピークが、20〜200℃に存在し、
その最大発熱ピークが40℃〜150℃に位置すること
が好ましく、Z2よりも低い温度に位置するとニップ出
口にてトナーの加熱回転部材への貼り付きを改善するこ
とができるので好ましい。
【0102】DSCに関しては、後述のトナーに関する
項にて説明する。
【0103】本例においては、図2に示すように、定着
フィルム10のこの発熱域H(図6)の対向位置に暴走
時の励磁コイル18への給電を遮断するため、温度検知
素子であるサーモスイッチ50を配設している。
【0104】図7は本例で使用した安全回路の回路図で
ある。温度検知素子であるサーモスイッチ50は、+2
4V DC電源とリレースイッチ51と直列に接続され
ており、サーモスイッチ50が切れると、リレースイッ
チ51への給電が遮断され、リレースイッチ51が動作
し、励磁回路27への給電が遮断されることにより励磁
コイル18への給電を遮断する構成をとっている。サー
モスイッチ50はOFF動作温度を220℃に設定し
た。
【0105】また、サーモスイッチ50は定着フィルム
10の発熱域Hに対向して定着フィルム10の外面に非
接触に配設した。サーモスイッチ50と定着フィルム1
0との間の距離は約2mmとした。これにより、定着フ
ィルム10にサーモスイッチ50の接触による傷が付く
ことがなく、耐久による定着画像の劣化を防止すること
ができる。
【0106】本例によれば、装置故障による定着装置暴
走時、図10のような定着ニップNで発熱する構成とは
違い、定着ニップNに紙が挟まった状態で定着器が停止
し、励磁コイル18に給電が続けられ定着フィルム10
が発熱し続けた場合でも、紙が挟まっている定着ニップ
部Nでは発熱していないために紙が直接加熱されること
がない。また、発熱量が多い発熱域Hには、サーモスイ
ッチ50が配設してあるため、サーモスイッチ50が2
20℃を感知して、サーモスイッチが切れた時点で、リ
レースイッチ51により励磁コイル18への給電が遮断
される。
【0107】本例によれば、紙の発火温度は約400℃
近辺であるため紙が発火することはなく、定着フィルム
の発熱を停止することができる。
【0108】温度検知素子としてサーモスイッチのほか
に温度ヒューズを用いることもできる。
【0109】本例では低軟化物質を含有させたトナーを
使用したため、定着装置にオフセット防止のためのオイ
ル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させて
いないトナーを使用した場合にはオイル塗布機構を設け
てもよい。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用
した場合にもオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。
【0110】A)励磁コイル18 励磁コイル18はコイル(線輪)を構成させる導線(電
線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の
細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回
巻いて励磁コイルを形成している。本例では10ターン
巻いて励磁コイル18を形成している。
【0111】絶縁被覆は、定着ベルト10の発熱による
熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよ
い。たとえば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を
用いるとよい。
【0112】励磁コイル18は外部から圧力を加えて密
集度を向上させてもよい。
【0113】励磁コイル18の形状は、図2のように発
熱層の曲面に沿うようにしている。本例では定着ベルト
の発熱層と励磁コイル18との間の距離は約2mmにな
るように設定した。
【0114】励磁コイル保持部材19の材質としては絶
縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノ
ール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹
脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹
脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0115】磁性コア17a・17b・17c及び励磁
コイル18と、定着ベルトの発熱層の間の距離はできる
限り近づけた方が磁束の吸収効率が高く、この距離が5
mmを超えるとこの効率が著しく低下するため5mm以
内にするのがよい。また、5mm以内であれば定着ベル
ト10の発熱層と励磁コイル18の距離が一定である必
要はない。
【0116】励磁コイル18の励磁コイル保持部材19
からの引出線すなわち18a・18b(図5)について
は、励磁コイル保持部材19から外の部分について束線
の外側に絶縁被覆を施している。
【0117】B)定着ベルト10 図8は本例における定着ベルト10の層構成模式図であ
る。本例の定着ベルト10は、電磁誘導発熱性の定着ベ
ルト10の基層となる金属ベルト等でできた発熱層1
と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層し
た離型層3の複合構造のものである。発熱層1と弾性層
2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のた
め、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。
略円筒形状である定着ベルト10において発熱層1が内
面側であり、離型層3が外面側である。前述したよう
に、発熱層1に交番磁束が作用することで前記発熱層1
に渦電流が発生して前記発熱層1が発熱する。その熱が
弾性層2・離型層3を介して定着ベルト10を加熱し、
前記定着ニップNに通紙される被加熱材としての記録材
Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0118】a.発熱層1 発熱層1は、非磁性の金属でも良いが、より好ましくは
磁束の吸収の良いニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバ
ルト−ニッケル合金等の強磁性体の金属が良い。
【0119】その厚みは次の式で表される表皮深さより
厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深
さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μ
と固有抵抗ρ[Ωm]で σ=503×(ρ/fμ)1/2 と表される。
【0120】これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の
深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強
度は1/e以下になっており、逆にいうと殆どのエネル
ギーはこの深さまでで吸収されている。
【0121】発熱層1の厚さは好ましくは1〜200μ
mがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいとほと
んどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪く
なる。また、発熱層が200μmを超えると剛性が高く
なりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用する
には現実的ではない。
【0122】b.弾性層2 弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシ
リコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質で
ある。
【0123】弾性層2の厚さは、画像を印刷する場合に
記録材の凹凸あるいはトナー層の凹凸に加熱面(離型層
3)が追従できないとによる光沢ムラを予防するため
に、10〜500μmが好ましい。
【0124】弾性層2の厚さが10μm未満では、弾性
部材としての機能が発揮されず、定着時の圧力分布が不
均一となることによって、特にフルカラー画像定着時に
二次色の未定着トナーを十分に加熱定着することができ
ずに定着画像のグロスにおいてムラを生じるだけでな
く、溶融不十分なことによってトナーの混色性が悪化
し、高精細なフルカラー画像が得られず好ましくない。
また、弾性層2の厚さが500μmを超えると、定着時
の熱伝導性が阻害され、定着面での熱追従性が悪化する
ことにより、クイックスタート性が犠牲になるだけでな
く、定着ムラを生じやすくなるため好ましくない。
【0125】弾性層2の硬度は、硬度が高すぎると記録
材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず、画像光沢ム
ラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度として
は、60°(J1S−A)以下、より好ましくは45°
(JlS−A)以下がよい。
【0126】弾性層2の熱伝導率λに関しては、 0.25〜0.82[J/m・sec・deg.] がよい。
【0127】熱伝導率λが0.25[J/m・sec・
deg.]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、定
着ベルトの表層(離型層3)における温度上昇が遅くな
る。熱伝導率λが0.82[J/m・sec・de
g.]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎた
り、圧縮永久歪みが悪化する。
【0128】よって熱伝導率λは0.25〜0.82
[J/m・sec・deg.]がよい。より好ましくは
0.33〜0.63[J/m・sec・deg.]がよ
い。
【0129】例えば、モノトーンの画像形成装置から出
力される画像を定着する際には、画像の品質などを損な
わない限りにおいて弾性層を有しない構成も可能であ
る。その際には発熱層と離型層とを直接接触させれば良
く、各層の接着性を向上させるためにプライマー層を設
けても良い。
【0130】c.離型層3 離型層3はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリ
コーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、P
TFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択
することができる。
【0131】離型層3の厚さは1〜100μmが好まし
い。離型層3の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ム
ラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足すると
いった問題が発生する。また、離型層が100μmを超
えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂
系の離型層の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2の効
果がなくなってしまう。
【0132】d.断熱層 また、定着ベルト10構成において、発熱層1のベルト
ガイド面側(発熱層1の弾性層2とは反対面側)に断熱
層(不図示)を設けてもよい。
【0133】断熱層としては、フッ素樹脂、ポリイミド
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEE
K樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTF
E樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。
【0134】また、断熱層の厚さとしては10〜100
0μmが好ましい。断熱層の厚さが10μmよりも小さ
い場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不足す
る。一方、1000μmを超えると磁性コア17a・1
7b・17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距
離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなく
なる。
【0135】断熱層は、発熱層1に発生した熱が定着ベ
ルトの内側に向かわないように断熱できるので、断熱層
がない場合と比較して記録材P側への熱供給効率が良く
なる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0136】C)ニップ 本発明の加熱定着装置における回転加熱部材と加圧部材
からなる定着ニップ部Nは、良好な定着性を確保するた
めに、幅5.0〜15.0mmのニップを形成している
ことが好ましい。定着ニップN部の幅が5.0mm未満
では、フルカラー画像形成時、トナーを定着するための
熱量を十分に未定着トナーに与えることができなくな
り、トナーを溶融混色できず、不自然なカラー画像とな
るため好ましくない。
【0137】また、定着ニップN部の幅が15.0mm
を超えると、トナーを定着するための熱量は十分に与え
ることができるものの、定着時のホットオフセットが発
生し易くなり、また、定着ニップ部Nの両端部(定着フ
ィルム10の上流側端部及び下流側端部)において曲率
変化が大きくなりすぎ、定着フィルム10の耐久性が著
しく悪化するため好ましくない。
【0138】D)線圧 本発明の加熱定着装置におけるニップ部の圧力(線圧)
は、記録材を介した状態で、線圧490〜1372N/
m(0.5〜1.4kgf/cm)の範囲が好ましく、
線圧490〜784N/m(0.5〜0.8kgf/c
m)の範囲がより好ましい。線圧が490N/m(0.
5kgf/cm)未満であると、記録材の搬送ブレを発
生しやすく、さらに定着圧力不足による定着不良が起こ
るので好ましくない。また、線圧が1372N/m
(1.4kgf/cm)を超える場合、定着フィルム1
0の耐久劣化が著しく悪化するため好ましくない。
【0139】ここでの線圧は、転写材に加えられる圧力
と、当接されている長さLRから、次式で算定する。
【0140】
【数1】
【0141】転写材に加えられる圧力の調節は、図3に
おけるバネ25a・25bのバネ圧により行うことがで
きる。すなわち、25a・25bに使用するバネのバネ
定数を任意に変更することによって、線圧を制御する。
また、バネ止め位置29a・29bと加圧ローラ30の
距離を制御することによって、線圧を制御することも可
能である。
【0142】E)定着フィルム10の周長、及び、定着
スピード 本例においては、電磁誘導により発熱する定着フィルム
10の周長及び定着フィルム10が一回転するのに要す
る時間を以下のように設定することによって、安定した
定着性を確保したまま、クイックスタートを実現し、か
つ消費電力を小さくしている。
【0143】定着フィルム10の発熱層1は薄いために
熱容量が小さく、また、金属のために熱伝導率が良いた
め放熱性がよい。そのため、定着フィルム10の周長L
が200mmを超える場合、定着フィルム10が一回転
する間の温度低下が大きすぎて、クイックスタートがで
きなくなる。また、周長の増加に伴う加熱面積の増加に
より、消費電力が大きくなってしまう。このため、定着
フィルム10の周長Lは200mm以下が望ましい。
【0144】一方、定着フィルム10の周長Lが70m
m未満の場合、定着ニップ部Nの両端部(定着フィルム
10の上流側端部及び下流側端部)において曲率変化が
大きくなりすぎ、定着フィルム10の耐久性が著しく悪
化する。このため、定着フィルム10の周長Lは70m
m以上が望ましい。
【0145】また、定着フィルム10の回転速度(定着
スピード)が400mm/secを超えると、定着フィ
ルム10を安定して回転させることができず、定着フィ
ルム10を破損してしまう。このため、定着フィルム1
0の回転速度Vとしてのプロセススピードは400mm
/sec以下が望ましく、300mm/sec以下がよ
り望ましい。
【0146】また、図10は、励磁コイルの交番磁束分
布を定着ニップに集中させて効率を向上させた電磁誘導
加熱方式の定着装置の一例の概略構成である。
【0147】10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体
層、抵抗体層)を有する、電磁誘導発熱性の回転体とし
ての円筒状の定着フィルムである。
【0148】16は横断面略半円弧状樋型のフィルムガ
イド部材であり、円筒状定着フィルム10はこのフィル
ムガイド部材16の外側にルーズに外嵌させてある。
【0149】15はフィルムガイド部材16の内側に配
設した磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型の磁
性コア(芯材)17とからなる。30は弾性加圧ローラ
であり、定着フィルム10を挟ませてフィルムガイド部
材16の下面と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニッ
プ部Nを形成させて相互圧接させてある。上記磁場発生
手段15の磁性コア17は定着ニップ部Nに対応位置さ
せて配設してある。
【0150】加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の
方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動
による該加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との
摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用して、該定着
フィルム10が、その内面が定着ニップ部Nにおいてフ
ィルムガイド部材16の下面に密着して摺動しながら、
矢示の方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応し
た周速度をもってフィルムガイド部材16の外回りを回
転状態になる(加圧ローラ駆動方式)。
【0151】フィルムガイド部材16は、定着ニップ部
への加圧・磁場発生手段15としての励磁コイル18と
磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、該フィ
ルム10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。この
フィルムガイド部材16は磁束の通過を妨げない絶縁性
の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられ
る。
【0152】励磁コイル18は、不図示の励磁回路から
供給される交番電流によって交番磁束を発生する。交番
磁束は、定着ニップ部Nの位置に対応しているE型の磁
性コア17により定着ニップ部Nに集中的に分布し、そ
の交番磁束は定着ニップ部Nにおいて定着フィルム10
の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。この渦電流
は、電磁誘導発熱層の固有抵抗によって電磁誘導発熱層
にジュール熱を発生させる。
【0153】この定着フィルム10の電磁誘導発熱は、
交番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて
集中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0154】定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検
知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流
供給が制御されることで、所定の温度が維持されるよう
に温調される。
【0155】而して、加圧ローラ30が回転駆動され、
それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイ
ド部材16の外回りを回転し、励磁回路から励磁コイル
18への給電により上記のように定着フィルム10の電
磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立
ち上がって温調された状態において、不図示の画像形成
手段部から搬送された未定着トナー画像t1が形成され
た記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧
ローラ30との間に画像面が上向き、即ち定着フィルム
面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面
が定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム10
と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この定
着ニップ部Nを定着フィルム10と一緒に記録材Pが挟
持搬送されていく過程において定着フィルム10の電磁
誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像t
1が加熱定着される。記録材Pは、定着ニップ部Nを通
過すると回転定着フィルム10の外面から分離して排出
搬送されていく。
【0156】(3)画像形成方法・装置(白黒画像用) 図11を参照しながら本発明の白黒用画像形成方法の一
例をより具体的に説明する。
【0157】図11は画像形成装置の一例の概略構成図
である。本例の画像形成装置は電子写真プリンタであ
る。
【0158】図11において、200は感光ドラムで、
その周囲に一次帯電ローラ217、現像器240、転写
帯電ローラ214、クリーナ216、レジスタローラ2
24等が設けられている。そして感光体200は一次帯
電ローラ217によって−700Vに帯電される(印加
電圧は交流電圧−2.0kVpp、直流電圧−700V
dc)。そして、レーザー発生装置221によりレーザ
ー光223を感光体200に照射することによって露光
される。感光体200上の静電潜像は現像器240によ
って一成分磁性トナーで現像され、転写材Pを介して感
光体に当接された転写ローラ214により転写材P上へ
転写される。トナー画像をのせた転写材Pは搬送ベルト
225等により定着器100へ運ばれ転写材上に定着さ
れる。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーニ
ング手段216によりクリーニングされる。
【0159】現像領域では、感光体200と現像スリー
ブ202との間に直流及び交流の現像バイアスが印加さ
れ、現像スリーブ上トナーは静電潜像に応じて感光体2
00上に飛翔し可視像となる。
【0160】なお、定着装置100については前記の
『(2)定着装置(加熱手段)』で詳述した通りであ
る。
【0161】本例装置は、通常の片面のプリントモード
の他に両面画像プリントモードも実行できる。両面画像
プリントモードの場合は、定着装置100を出た1面目
画像プリント済みの記録材Pは、不図示の再循環搬送機
構を介して表裏反転されて再び転写部へ送り込まれて2
面に対するトナー画像転写を受け、再度、定着装置10
0に導入されて2面に対するトナー画像の定着処理を受
けることで両面画像プリントが出力される。
【0162】(4)トナー 次に、本発明のトナーについて説明する。
【0163】本発明のトナーは、結着樹脂および着色剤
を少なくとも有しており、トナーの含水率が3.00質
量%以下であることが必須である。また、該トナーの平
均円形度が0.940以上であることが好ましく、該ト
ナーの平均円形度が0.960以上であることがより好
ましく、該トナー中に含有されている残留モノマーの含
有量が、トナーの質量を基準として300ppm以下で
あることがさらに好ましい。
【0164】まず、トナーの含水率について説明する。
【0165】本発明では、トナーの含水率は3.00質
量%以下であることが重要であり、好ましくは2.00
質量%以下、より好ましくは1.00質量%以下であ
る。
【0166】一般に、トナーに含まれる水は定着時に受
ける熱で瞬時に水蒸気となり、系外に排出される。しか
し本発明の定着機構成の場合、定着速度が高速であるに
も拘わらず比較的低圧であり、且つ加熱部分であるニッ
プも広いので、トナーの含水率が3.00質量%より多
いと、回転加熱部材と回転加圧部材のニップ部で生じる
水蒸気が多量のものとなり、回転加熱部材と回転加圧部
材間に僅かな空隙を生じ、回転加圧部材との摩擦力で回
転するべき回転加熱部材が回転しなくなり(以後、この
現象を「スリップ」と呼ぶ)、定着ジャムが発生する、
あるいは回転加熱部材の回転が充分でないためにホット
オフセットを生じ易くなる。
【0167】また、特に低温低湿環境下では、複写機や
プリンター本体の系外に排出された多量の水蒸気が霧の
ようになり(以後、この現象を「スモーク」と呼ぶ)好
ましくない。
【0168】このため、トナーの含水率は3.00質量
%以下であることが重要である。
【0169】ここで、本発明において「含水率」とは、
カールフィッシャー法に基づく質量基準含水率、即ち、
トナー全質量に対する水分質量の比率をいい、23℃,
60%RHに24時間放置し、サンプル調製したものを
用いカールフィッシャー法(JIS K−0068 水
分気化法)に基づき、125℃の加熱におけるガスを測
定することによって求めたものである。
【0170】次に本発明におけるトナーの形状について
述べる。
【0171】本発明のトナーは、トナー平均円形度(定
義は後述)が0.940以上であることが好ましく、
0.960以上であることがより好ましい。
【0172】本発明のトナーは含水率を定義することに
より、前述のように定着画像の画質に対して十分な効果
を得られる。さらに、本発明者らは鋭意検討の結果、本
発明の画像形成方法にトナーの円形度を規定すること
で、定着均一性・耐久安定性等に関しても良化すること
を見いだした。
【0173】平均円形度が0.940以上のトナー(ト
ナー粒子群で構成される粉体)から構成されるトナーは
表面のエッジ部が少ないため、定着器の定着フィルムな
どの圧接部において摩擦が低減され、定着フィルムの削
れやトナー粒子の定着フィルムに対する融着が抑制され
る。一方、0.940未満のトナーにて多くの枚数を印
字すると、トナーのエッジ部により定着フィルムの部分
的な摩滅が生じ、それに対応して転写材が受ける圧力に
差が生じてしまう。その結果、得られる画像にグロスの
異なる部分が発生し、画像中のグロスムラとして表れ
る。さらに、0.940未満のトナーは粒子の周囲はエ
ッジが多く存在するため、定着器の圧接部との接触部分
がエッジ部分となり、定着器のニップ通過時に受ける圧
力はこのエッジに集中する。それによって、定着フィル
ムの摩滅を加速させたり、融着を生じたりする。融着し
た場合には、定着画像のグロスムラのみならず、定着画
像を汚したり、本体起動時に融着トナーのみ加熱され温
度が上がりきっていない加圧ローラに移行して画像の裏
面(両面画像プリントモードの場合は1面目)を汚した
りするなど、非常に好ましくない。
【0174】この平均円形度が0.940以上である
と、これらの不具合は発生しにくくなり、0.960以
上であると、極めて発生しにくくなる。
【0175】また、トナーの円形度分布において、モー
ド円形度が0.990以上であると、トナー粒子の多く
が真球に近い形状を有することを意味しており、上記作
用がより一層顕著になり、定着フィルムに与える悪影響
は小さくなり、さらには転写効率は非常に高いものとな
り、大変好ましい。
【0176】特に平均円形度が0.960以上のトナー
を用いることにより、トナーとして密に詰まった状態で
転写されるために、本発明の定着方式において定着ベル
ト上に、より均一にトナーが接触することが可能となる
ためにトナー間に存在する空気の影響も小さく、トナー
からの水蒸気が逃げやすいために定着性が改善され、高
速定着時のスリップにおいても効果を発揮する。
【0177】本発明に係わるトナーは、粉砕法によって
製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるト
ナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明において
好ましいトナーの平均円形度である0.940以上とい
う物性を得るためには機械的・熱的あるいは何らかの特
殊な球形化処理を行うことが必要となり、生産的・工程
的に不利となるものであり、特に、トナーの平均円形度
を0.960以上にするためには、上述した球形化処理
を充分に行なう必要がある。
【0178】さらに粉砕法トナーでは、本質的にトナー
粒子が不定形を呈したり、磁性トナーにおいては磁性酸
化鉄粒子が露出してしまうため、本発明のように平均円
形度が0.960以上となる場合においても磁性酸化鉄
粒子が露出してしまう一部のトナーのために、特にクリ
ーニング性や耐高温オフセット性等の特性においてやや
耐久性に劣るトナーとなる。
【0179】そこで、上述の諸問題を解決するため、本
発明においては、トナーを懸濁重合法・界面重合法・分
散重合法等の媒体中で直接トナーを製造する方法(重合
法)が好ましい。この重合法においては、重合性単量体
および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、
荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散
せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分
散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹
拌器を用いて分散し同時に重合反応を行わせ、所望の粒
径を有するトナーを得るものである。この重合法で得ら
れるトナー(以後、重合トナー)は、個々のトナー粒子
形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.9
60以上という物性要件を満たす現像剤が得られやす
く、さらにこういった現像剤は帯電量の分布も比較的均
一となるため高い転写性を有している。
【0180】なお、ここで本発明におけるトナーの円形
度について説明する。
【0181】
【0182】
【数2】
【0183】また、モード円形度は、円形度を0.40
0から1.000までを0.010毎に0.400以上
0.410未満、0.410以上0.420未満…0.
990以上1.000未満及び1.000の如くに61
分割し、測定した粒子の円形度をそれぞれの円形度に応
じて各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻
度値が最大となるピークの円形度である。
【0184】なお、本発明で用いている測定装置である
「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、
平均円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度に
よって、円形度0.40〜1.00を上記の如く61分
割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平
均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしなが
ら、この算出法で算出される平均円形度の各値と、上述
した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出さ
れる平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質
的には無視できる程度のものであり、本発明において
は、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデー
タの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直
接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのよう
な算出法を用いても良い。
【0185】具体的な測定方法としては、界面活性剤を
約0.1mg溶解している水10mlに現像剤約5mg
を分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz,5
0W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000
〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3
μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度を求める。
【0186】本発明における平均円形度とは、現像剤の
凹凸の度合いの指標であり、現像剤が完全な球形の場合
1.000を示し、現像剤の表面形状が複雑になるほど
平均円形度は小さな値となる。
【0187】なお、本測定において、3μm以上の円相
当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3
μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立し
て存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、そ
の影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見
積もれないからである。
【0188】次に、残留モノマーの含有量について説明
する。
【0189】本発明のトナーは前述のとおり含水率,平
均円形度を定義することにより、長期に亘って高品質な
定着画像を得ることが可能である。しかし、本発明の画
像形成方法において定着フィルムの汚れ・融着の面に関
して不十分であった。そこで、本発明者らは、鋭意検討
の結果、本発明の画像形成方法にトナー中の残留モノマ
ーの含有量を規定することで、画像形成放置との汚れ・
融着が向上し、また平均円形度との相互作用により削れ
性も向上することを見出した。すなわち、残留モノマー
の含有量を規定することにより、画像形成装置とのマッ
チングが向上することを見出した。
【0190】本発明では、残留モノマーの含有量は30
0ppm以下であることが好ましく、より好ましくは2
00ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下で
ある。トナーに含有されている残留モノマー量が300
ppmを超えると、潜像担持体からトナーが転写された
記録材が定着装置へ搬送され加熱されているニップ部へ
突入し、トナー中に含まれる液体あるいは固体状態で存
在する前記残留モノマーが急激に加熱され気化・膨張す
ることによって悪影響を及ぼす可能性が高くなる。具体
的には、気化・揮発したモノマーが、定着装置の部品、
例えば定着フィルム,ベルト,ローラなどの有機物主体
で構成されている部品に対して内部へ浸透し、劣化を促
進することが挙げられる。すなわち、クラックや脆化等
により部品の寿命が極端に短くなる。実際には、残留し
ているモノマーの種類によっても、その劣化速度は異な
るが、本発明者らの検討では、芳香族系の単量体、例え
ばスチレンやスチレンの誘導体の場合に、劣化速度が速
い傾向がある。これは、スチレンなどの芳香族化合物は
一般的に各種の有機化合物の溶解性に優れているためと
考えている。
【0191】一方、トナーが定着する際には、ニップ部
から受ける熱によりトナーの表面が一旦溶融する。この
とき、熱の伝達は表面から粒子内部へ伝わるので、温度
が上昇するまでに要する時間は粒子表面に比べて内部で
は若干遅く、同様な理由により冷却も粒子表面から起こ
る。そのため、特にトナー内部に多くのモノマーが残留
していると、モノマーが気化する際に蒸発潜熱を奪うた
め、一部のモノマーが揮発した段階でトナー粒子表面の
温度低下が始まり、さらにそれがモノマーの気化により
促進され、粒子表面の固化が始まり、それに伴い定着画
像の表面に連続した(半融解状態の)トナー層を形成し
ていく。このとき、粒子内部からさらに揮発してくるモ
ノマーの気体が存在すると、行き場を失ってしまう。そ
こへ、さらに内部から揮発してくるモノマーが存在する
と、(半融解状態の)トナー層を境に圧力差を生じ、さ
らにその量が多くなると、トナー層がドーム(半球)状
に膨れたり(ブリスター)、トナー層の破断・破壊が生
じる。このような現象は、直接、画像の欠陥として現れ
てしまい、好ましくない。
【0192】本発明での残留モノマーは、後述する結着
樹脂の製造や直接重合法によりトナーを製造する際の未
反応モノマーとして定義される。
【0193】トナーを構成する成分として結着樹脂は必
要不可欠であり、その使用量は、トナーの種類によって
も異なるが、一般的にはトナーの総質量に対して45〜
85質量%程度とトナー粒子のかなりの割合を占めるも
のである。そのため、結着樹脂に含まれる残留モノマー
の量が前記の不具合に直接関与する割合が高く、一方、
それに比較してその他の原材料に含まれる成分による影
響が非常に小さいことから、本発明では該トナー中に含
まれる残留モノマーの量を定義した。しかし、本発明者
らの検討では、トナー内部から揮発する成分として水お
よび残留モノマーが同様に関与する現象もあることか
ら、含水率と残留モノマー量が密接に関与しているもの
と考えている。
【0194】本発明における残留モノマーの定量は、ガ
スクロマトグラフィーにより次の様にして行えばよい。
サンプル瓶にトナー約500mgを精秤し、これに精秤
した約10gのアセトンを加えた後よく混合し、超音波
洗浄機にて超音波を30分間照射する。その後メンブラ
ンフィルター(例えばアドバンテック東洋(株)製ディ
スポーザブルメンブランフィルター 25JP020A
N)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグ
ラフィーで分析する。そして、予めスチレンやその他の
モノマーを用いて作成した検量線により、残留スチレン
やその他のモノマーの残存量を算出する。実施例では、
下記の条件により分析を行った。 GC :HP社 6890GC カラム :HP社 INNOWax(200μm×
0.40μm×25m) キャリアガス:He(コンスタントプレッシャーモー
ド:20psi) オーブン :50℃,10minホールド、10℃/
minで200℃まで昇温、200℃,5minホール
ド INJ :200℃,パルスドスプリットレスモー
ド(20→40psi,until 0.5min) スプリット比:5.0:1.0 DET :250℃(FID)
【0195】また、前述したように、転写材上にあるト
ナーは複層からなっており、各々の層を構成するトナー
粒子への熱の加わり方は一様ではない。すなわち、転写
材から最も離れた層、すなわち加熱部材に最も近いトナ
ー粒子と、転写材に最も近い層、すなわち加熱部材から
最も離れたトナー粒子では、加熱部材からの熱の伝わり
方が異なる。また、加熱部材に最も近いトナー層につい
ては記録材の熱特性の影響が小なのに対して、加熱部材
から最も離れたトナー層については記録材の熱特性の影
響が大となる。
【0196】よって、定着工程周辺におけるトナーの熱
的挙動を把握するためには、例えば定着部材表面の設定
温度におけるトナー物性のみに着目することは適切では
ない。
【0197】これらのことを勘案し、鋭意検討した結
果、該記録材突入側の記録材上のトナー挙動を最もよく
現す数値として、110℃におけるトナーの貯蔵弾性率
G’(110℃)を用いることが有効であることが分か
った。また、該記録材排出側の記録材上のトナー挙動を
最もよく現す数値として、140℃におけるトナーの貯
蔵弾性率G’(140℃)を用いることが有効であるこ
とが分かった。
【0198】本発明においては、110℃におけるトナ
ーの貯蔵弾性率G’(110℃)は、1.00×106
dN/m2以下であることが重要である。G’(110
℃)が1.00×106dN/m2を超える場合には、定
着工程初期におけるトナー粒子の変形が不十分となるた
め、定着工程初期においてトナー粒子表面に好適に埋没
されない無機微粒子が出現してくる。そのため、長期に
渡って定着試験を行った場合には該無機微粒子が定着部
材を傷つけてしまうことになり、好ましくない。同様の
理由により、好ましくは、7.00×105dN/m2
下が例示される。
【0199】また、本発明においては、140℃におけ
るトナーの貯蔵弾性率G’(140℃)は、7.00×
103dN/m2以上であることが重要である。記録材上
の非画像部、すなわちトナー像が形成されていない部位
においては、極微量ではあるが無機微粒子が付着してい
る。これはトナー粒子表面から遊離した無機微粒子が記
録材上に転写されたものである。この無機微粒子の一部
が定着工程において定着部材に付着し、長期に渡って
「連れ回る」ことで定着部材に微細欠損が発生するもの
と思われる。同様の理由により、好ましくは、1.00
×104dN/m2以上が例示される。
【0200】ここで、140℃におけるトナーの貯蔵弾
性率G’(140℃)を好適な値に設定することで、該
無機微粒子が定着部材に「連れ回る」ことを防止するこ
とができる。すなわち、該微粒子が付着している部位に
新たなトナー画像が接触した場合には、該微粒子を定着
画像上に補足し、定着部材から離間させることができ
る。その結果、該無機微粒子による定着部材欠損を防止
することができる。
【0201】G’(140℃)が7.00×103dN
/m2未満の場合には、定着部材上の無機微粒子を効果
的に補足することが困難となり、好ましくない。
【0202】トナーの110℃および140℃における
貯蔵弾性率G’(110℃)およびG'(140℃)を
測定する方法について、以下に示す。
【0203】粘弾性測定装置(レオメーター)RDA−
II型(レオメトリック社製)を用いて、下記の条件で
60〜210℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’の測
定を行う。 ・測定冶具 :直径25mmの円形パラレルプレー
トを使用する。アクチュエーター(actuator)
側には円形パラレルプレートに対応するシャローカップ
を使用する。シャローカップの底面と円形プレートの間
隙は約2mmである。 ・測定試料 :トナーを直径約25mm、高さ約2
mmの円盤状試料となるよう、加圧成型した後、使用す
る。 ・測定周波数 :6.28ラジアン/秒 ・測定歪の設定 :初期値を0.1%に設定した後、自
動測定モードにて測定を行う。 ・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整する。 ・測定温度 :60〜210℃まで毎分2℃の割合
で昇温する。 上記の方法により、60〜210℃の温度範囲において
貯蔵弾性率G’を測定した際の110℃および140℃
における貯蔵弾性率G’の値を、それぞれG’(110
℃)およびG’(140℃)とする。
【0204】本発明においてトナーは、一次平均粒径4
〜80nmの疎水化処理された無機微粉末が添加される
ことを更なる特徴とする。
【0205】無機微粉末は、一般にトナーの流動性改良
及びトナー母粒子の帯電均一化のために添加されるが、
無機微粉末を本発明のように、例えばシリコーンオイル
によって疎水化処理することによりトナーの帯電量の調
整、環境安定性だけでなく、本発明の定着ベルトに対す
る離型性の向上等の機能を付与することができる。
【0206】なお、無機微粒子を疎水化処理したものが
高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナ
ー飛散を防止する上でより好ましい。
【0207】無機微粒子の処理条件としては、例えば第
一段反応としてシリル化反応を行いシラノール基を化学
結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーン
オイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができ
る。
【0208】上記シリコーンオイルは、25℃における
粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さら
には3,000〜80,000mm2/sのものが好ま
しい。10mm2/s未満では、無機微粒子に安定性が
無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾
向がある。200,000mm2/sを超える場合は、
均一な処理が困難になる傾向がある。
【0209】使用されるシリコーンオイルとしては、例
えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコ
ーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイ
ル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリ
コーンオイル等が特に好ましい。
【0210】シリコーンオイルの処理の方法としては、
例えばシラン化合物で処理された無機微粒子とシリコー
ンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直
接混合してもよいし、無機微粒子にシリコーンオイルを
噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシ
リコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ
微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機
微粒子の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用い
る方法がより好ましい。
【0211】シリコーンオイルの処理量は、無機微粒子
100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜2
0質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると
良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不
具合が生ずる。
【0212】本発明では有機物による疎水化処理の処理
剤として、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニ
ス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シ
ラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化
合物、有機チタン化合物の如き処理剤を併用して処理し
ても良い。
【0213】本発明の無機粉末の平均一次粒子径は4〜
80nmであることが好ましい。
【0214】無機微粉末の平均一次粒子径が80nmよ
りも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粒子が添
加されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付
着した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な
帯電特性を得ることが困難である。また、良好なトナー
の流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一
になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛
散等の問題を避けられない。無機微粒子の平均一次粒径
が4nmよりも小さい場合には、無機微粒子の凝集性が
強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い
強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し
易く、凝集体の現像や、像担持体或いは現像剤担持体等
を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー
粒子の帯電分布をより均一とするためには、無機微粒子
の平均一次粒径は6〜35nmであることがより良い。
【0215】本発明において、無機微粉末の平均一次粒
子径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した
トナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたX
MA等の元素分析手段によって無機微粉末の含有する元
素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナ
ー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉末の
一次粒子を100個以上測定し、個数平均径を求めるこ
とができる。
【0216】本発明で用いられる無機微粒子としては、
シリカ,アルミナ,チタニアなどが使用できる。
【0217】例えば、ケイ酸微粉体としては、ケイ素ハ
ロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式
法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水
ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使
用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシ
ラノール基が少なく、またNa2O,SO3 2-等の製造残
滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカ
においては、製造工程において例えば、塩化アルミニウ
ム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロ
ゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金
属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも
包含する。
【0218】平均一次粒径が4〜80nmの無機微粒子
の添加量は、トナー母粒子に対して0.1〜3.0質量
%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満で
はその効果が十分ではなく、3.0質量%を超えると定
着性が悪くなる。
【0219】本発明で用いられる平均一次粒径が80n
m以下の無機微粒子は、BET法で測定した窒素吸着に
より比表面積が20〜350m2/g範囲内のものが好
ましく、より好ましくは40〜300m2/gのものが
更に良い。
【0220】比表面積はBET法に従って、比表面積測
定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用い
て試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用い
て比表面積を算出した。
【0221】本発明に用いられるトナーには、実質的な
悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフ
ロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフ
ッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリ
ウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末
などの研磨剤;あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化ア
ルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止
剤;また、クリーニング性向上等の目的で球状シリカ粒
子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂
粒子等の無機又は有機の球状に近い一次粒径30nmを
超える中〜大粒径の微粒子、その他逆極性の有機微粒
子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いるこ
ともできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用
いることが可能である。
【0222】本発明における他成分について述べる。
【0223】本発明のトナーに用いられる結着樹脂とし
ては、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)による分子量分布で分子量1000
〜100,000の領域にピークを少なくとも1つ有す
ることが望ましい。上記領域中からピークがはずれた場
合、耐ブロッキング性に支障をきたすばかりでなく、幅
広い温度領域での定着特性が得られず結果としてカラー
画像の場合には多重で現像した場合、フルカラーに求め
られる鮮明な色再現性のための混色領域が得られないこ
とになる。
【0224】本発明に係わるトナーを粉砕法により製造
する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニ
ルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;
スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトル
エン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、
スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アク
リル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共
重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチ
レン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタク
リル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル
共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合
体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレ
ン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン
−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル
共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタク
リレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラ
ール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド
樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性
ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または
脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワ
ックス、エステルワックス、カルナバワックス、ポリエ
チレンワックスなどが単独或いは混合して使用できる。
特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像
特性や定着性等の点で好ましい。
【0225】本発明において、THF可溶分のGPC
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロ
マトグラムのピーク又は/およびショルダーの分子量は
次の条件で測定される。
【0226】(GPCによる分子量分布の測定)本発明
において、トナー中の樹脂の分子量は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分
布からポリスチレン換算分子量として求めた。GPCの
測定方法としては、以下のとおりである。
【0227】まず、サンプルの調製として、試料中の樹
脂成分が0.4〜0.6mg/mlとなるように、トナ
ーを室温でテトラヒドロフラン(THF)に溶解せし
め、得られた溶液をポア径が0.2μmの耐溶剤製メン
ブランフィルターでろ過する。
【0228】次に、40℃のヒートチャンバー中でカラ
ムを安定化させ、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速
で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定す
る。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子
量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作
成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出
した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、東
ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−8
50、F−450、F−288、F−128、F−8
0、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、
F−1、A−5000、A−2500、A−1000、
A−500を用いて検量線を作成した。また、検出器
は、RI(屈折率)検出器とUV(紫外線)検出器とを
直列に配列し用いた。なおカラムとしては、市販のポリ
スチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、
本発明では、昭和電工社製のshodex GPC K
F−801,802,803,804,805,80
6,807,800Pの組み合わせにて測定した。
【0229】装置は、高速GPC HPLC8120
GPC(東ソー社製)を使用した。
【0230】本発明に係るトナーを重合法により製造す
る場合、使用される重合性単量体系を構成する重合性単
量体としては以下のものが挙げられる。
【0231】重合性単量体としては、スチレン・o−メ
チルスチレン・m−メチルスチレン・p−メチルスチレ
ン・p−メトキシスチレン・p−エチルスチレン等のス
チレン系単量体、アクリル酸メチル・アクリル酸エチル
・アクリル酸n−ブチル・アクリル酸イソブチル・アク
リル酸n−プロピル・アクリル酸n−オクチル・アクリ
ル酸ドデシル・アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリ
ル酸ステアリル・アクリル酸2−クロルエチル・アクリ
ル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸
メチル・メタクリル酸エチル・メタクリル酸n−プロピ
ル・メタクリル酸n−ブチル・メタクリル酸イソブチル
・メタクリル酸n−オクチル・メタクリル酸ドデシル・
メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ステア
リル・メタクリル酸フェニル・メタクリル酸ジメチルア
ミノエチル・メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメ
タクリル酸エステル類、その他のアクリロニトリル・メ
タクリロニトリル・アクリルアミド等の単量体が挙げら
れる。
【0232】これらの単量体は単独または混合して使用
し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレ
ン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使
用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ま
しい。
【0233】本発明に係わる重合トナーの製造において
は、単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例え
ば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して
乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン
酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリ
ル基等、親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導
入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等
ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合
体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にし
て、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、
ポリエーテル、ポリイミン等、重付加重合体の形で使用
が可能である。
【0234】このような極性官能基を含む高分子重合体
を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好
ましく用いられる。5,000未満、特に4,000以
下では、本重合体が表面付近に集中し易いことから、現
像性や耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり
好ましくない。また、極性重合体としては特にポリエス
テル系の樹脂が好ましい。
【0235】また、材料の分散性や定着性、あるいは画
像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系
中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例え
ば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン
及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重
合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−
ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチ
ル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、ス
チレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリ
ル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチル
アミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル
共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、ス
チレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタ
クリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニ
ルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエ
ーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプ
レン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレ
ン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重
合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリ
レート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリ
ル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノー
ル樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石
油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
【0236】これら樹脂の添加量としては、単量体10
0質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未
満では添加効果が小さく、20質量部を超えると重合ト
ナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0237】さらに、単量体を重合して得られるトナー
の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶
解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性
の高いトナーを得ることができる。
【0238】なお、重合法・粉砕法どちらの場合におい
ても結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70
℃であることが好ましく、45〜65℃の範囲がさらに
好ましい。これらは単独、または一般的には出版物ポリ
マーハンドブック第2版III−p139〜192(J
ohn Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラ
ス転移温度(Tg)が、40〜70℃を示すように単量
体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が4
0℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の
面から問題が生じやすく、70℃を超える場合にはトナ
ーの定着点の上昇をもたらす。特にフルカラー画像を形
成するためのカラートナーの場合においては各色トナー
の定着時の混色性が低下し色再現性に乏しく、さらにO
HP画像の透明性が低下するため好ましくない。
【0239】また、前述の該トナーのTgは、以下の方
法により決定した。
【0240】Tgは、サンプルを一旦昇温し冷却した
後、二度目の昇温時のDSCカーブより、図14に示す
ように吸熱ピーク前の基線と吸熱ピーク後の基線の中線
と、立ち上がり曲線での交点をもってTgとした。
【0241】使用した装置等については後述する。
【0242】本発明のトナーには、着色力を付与するた
めに着色剤を必須成分として含有する。本発明に好まし
く使用される有機顔料または染料として以下のものが挙
げられる。
【0243】シアン系着色剤としての有機顔料又は有機
染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導
体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が
利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー
1,C.I.ピグメントブルー7,C.I.ピグメント
ブルー15,C.I.ピグメントブルー15:1,C.
I.ピグメントブルー15:2,C.I.ピグメントブ
ルー15:3,C.I.ピグメントブルー15:4,
C.I.ピグメントブルー60,C.I.ピグメントブ
ルー62,C.I.ピグメントブルー66等が挙げられ
る。
【0244】マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有
機染料としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロー
ル化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基
染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾ
ロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用
いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2,
C.I.ピグメントレッド3,C.I.ピグメントレッ
ド5,C.I.ピグメントレッド6,C.I.ピグメン
トレッド7,C.I.ピグメントバイオレット19,
C.I.ピグメントレッド23,C.I.ピグメントレ
ッド48:2,C.I.ピグメントレッド48:3,
C.I.ピグメントレッド48:4,C.I.ピグメン
トレッド57:1,C.I.ピグメントレッド81:
1,C.I.ピグメントレッド122,C.I.ピグメ
ントレッド144,C.I.ピグメントレッド146,
C.I.ピグメントレッド166,C.I.ピグメント
レッド169,C.I.ピグメントレッド177,C.
I.ピグメントレッド184,C.I.ピグメントレッ
ド185,C.I.ピグメントレッド202,C.I.
ピグメントレッド206,C.I.ピグメントレッド2
20,C.I.ピグメントレッド221,C.I.ピグ
メントレッド254等が挙げられる。
【0245】イエロー系着色剤としての有機顔料又は有
機染料としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化
合物,アントラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化
合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いら
れる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12,
C.I.ピグメントイエロー13,C.I.ピグメント
イエロー14,C.I.ピグメントイエロー15,C.
I.ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントイエ
ロー62,C.I.ピグメントイエロー74,C.I.
ピグメントイエロー83,C.I.ピグメントイエロー
93,C.I.ピグメントイエロー94,C.I.ピグ
メントイエロー95,C.I.ピグメントイエロー9
7,C.I.ピグメントイエロー109,C.I.ピグ
メントイエロー110,C.I.ピグメントイエロー1
11,C.I.ピグメントイエロー120,C.I.ピ
グメントイエロー127,C.I.ピグメントイエロー
128,C.I.ピグメントイエロー129,C.I.
ピグメントイエロー147,C.I.ピグメントイエロ
ー151,C.I.ピグメントイエロー154,C.
I.ピグメントイエロー168,C.I.ピグメントイ
エロー174,C.I.ピグメントイエロー175,
C.I.ピグメントイエロー176,C.I.ピグメン
トイエロー180,C.I.ピグメントイエロー18
1,C.I.ピグメントイエロー191,C.I.ピグ
メントイエロー194等が挙げられる。
【0246】これらの着色剤は、単独又は混合しさらに
は固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナー
に用いられる着色剤は、色相角,彩度,明度,耐光性,
OHP透明性,トナーへの分散性の点から選択される。
【0247】該着色剤の添加量は、結着樹脂100質量
部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0248】黒色着色剤としては、カーボンブラック、
磁性体、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い
黒色に調色されたものが利用される。
【0249】黒色着色剤として磁性体を用いた場合に
は、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部に対し30
〜200質量部添加して用いられる。
【0250】磁性体としては、鉄,コバルト,ニッケ
ル,銅,マグネシウム,マンガン,アルミニウム,珪素
などの元素を含む金属酸化物などがある。中でも四三酸
化鉄,γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものが好ま
しい。また、トナー帯電性コントロールの観点から硅素
元素またはアルミニウム元素等、他の金属元素を含有し
ていてもよい。これら磁性粒子は、窒素吸着法によるB
ET比表面積が2〜30m2/g、特に3〜28m2/g
が好ましく、更にモース硬度が5〜7の磁性粉が好まし
い。
【0251】磁性体の形状としては、8面体,6面体,
球体,針状,鱗片状などがあるが、8面体,6面体,球
体,不定型等の異方性の少ないものが画像濃度を高める
上で好ましい。磁性体の平均粒径としては0.05〜
1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.
6μm、さらには0.1〜0.3μmが好ましい。
【0252】磁性体量は結着樹脂100質量部に対し3
0〜200質量部、好ましくは40〜200質量部、さ
らには50〜150質量部が好ましい。30質量部未満
では着色力が不足したりトナー搬送に磁気力を用いる現
像器においては、搬送性が不十分で現像剤担持体上の現
像剤層にムラが生じ画像ムラが発生する傾向があり、さ
らに現像剤トリボの上昇に起因する画像濃度の低下が生
じ易い傾向がある。一方、200質量部を超えると定着
性に問題が生ずる傾向がある。
【0253】本発明においては重合法を用いてトナーを
得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に
注意を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例え
ば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておい
たほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重
合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を
要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、
あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せ
しめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系
に添加する。
【0254】また、カーボンブラックについては、上記
染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基
と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で
処理を行っても良い。
【0255】カラートナーとする場合には、ジスアゾ系
黄色顔料,キナクリドン系マゼンタ顔料,フタロシアニ
ン系シアン顔料から選択して用いることが望ましい。
【0256】トナーを磁性トナーとして用いる場合、磁
性粉を含有せしめてもよい。このような磁性粉として
は、磁場の中に置かれて磁化される物質が用いられ、
鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末若しく
は、マグネタイト、フェライトなどの化合物がある。特
に、本発明においては、重合法を用いてトナーを得る場
合には、磁性体の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を
払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば、重合
阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが
良い。
【0257】本発明に重合法を用いる場合、トナーの製
造において使用される重合開始剤としては、重合反応時
に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体
100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合
反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する
重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を
与えることができる。重合開始剤としては、2,2’−
アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビ
ス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’
−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系または
ジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチ
ルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオ
キシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,
4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサ
ノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0258】本発明に重合法を用いる場合、架橋剤を添
加しても良く、好ましい添加量としては、0.001〜
15質量%である。
【0259】ここで架橋剤としては、主として2個以上
の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例え
ば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような
芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二
重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニ
リン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニ
ルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル
基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いら
れる。
【0260】本発明に重合法を用いる場合、一般に上述
のトナー組成物、すなわち重合性単量体中に磁性体、離
型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色
剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例え
ば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために
入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加え
て、ホモジナイサー、ボールミル、コロイドミル、超音
波分散機等の分散機によって均一に溶解または分散せし
めた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸
濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のよ
うな高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサ
イズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャー
プになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量
体中に他の添加剤を添加するとき同時に加えても良い
し、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。ま
た、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あ
るいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもでき
る。
【0261】造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状
態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の
撹拌を行えば良い。
【0262】本発明の画像形成方法に係わる重合トナー
を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性
剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が
有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安
定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩
れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、
好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例として
は、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニ
ウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム等の炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリ
カ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられ
る。
【0263】これらの無機分散剤は、重合性単量体10
0質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用す
ることが望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナ
ーの微粒化はやや苦手であるので、0.001〜0.1
質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0264】界面活性剤としては、例えばドデシルベン
ゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペ
ンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、
オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられ
る。
【0265】これら無機分散剤を用いる場合には、その
まま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水
系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることができ
る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸
ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合し
て、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることがで
き、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時
に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中
に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が
抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難く
なるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合
性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒
体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良
い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶
解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
【0266】前記重合工程においては、重合温度は40
℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を
行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられる
べき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内
包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費す
るために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜15
0℃にまで上げることは可能である。
【0267】重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法
によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉体を混合し
表面に付着させることで、トナーを得ることができる。
また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカット
することも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0268】本発明に係わるトナーを粉砕法により製造
する場合は、公知の方法が用いられるが、例えば、結着
樹脂、磁性体、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色
剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘ
ンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混
合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの
如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相
溶せしめた中に磁性体等の他のトナー材料を分散又は溶
解せしめ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面
処理を行ってトナー粒子を得ることができる。分級及び
表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程におい
ては生産効率上、多分割分級機を用いることが好まし
い。
【0269】粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の
公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
本発明に係わる特定の円形度を有するトナーを得るため
には、さらに熱をかけて粉砕したり、あるいは補助的に
機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、
微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中
に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを
用いても良い。
【0270】機械的衝撃力を加える手段としては、例え
ば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社
製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、ま
た、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステ
ムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステ
ム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーを
ケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩
擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が
挙げられる。
【0271】機械的衝撃法を用いる場合においては、処
理温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(Tg±
10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止や生産性の
観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのガラス
転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率
を向上させるのに特に有効である。
【0272】さらにまた、本発明に係わるトナーは、特
公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多
流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナ
ーを得る方法や、重合法として懸濁重合法の他にも単量
体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用
い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重
合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフ
リー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いトナー
を製造する方法でも製造が可能である。
【0273】本発明に係わるトナーは、トナー全体に対
して0.5〜50質量%の離型剤を含有することも好ま
しい使用形態の一つである。
【0274】転写材上に転写されたトナー像はその後、
熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半
永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着が一般
に良く用いられる。
【0275】重量平均粒径が10μm以下のトナーを用
いれば非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径
の細かいトナー粒子は紙等の転写材を使用した場合に紙
の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラからの熱の受
け取りが不十分となり、低温オフセットが発生しやす
い。しかしながら、本発明に係わるトナーにおいて、離
型剤として適正量のワックスを含有せしめることによ
り、高解像性と耐オフセット性を両立させつつ感光体の
削れを防止することが可能となる。
【0276】本発明に係わるトナーに使用可能なワック
スとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリ
ンワックス、ペトローラクタム等の石油系ワックス及び
その誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッ
シャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘
導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワック
ス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワ
ックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体に
は酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、
グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコー
ル、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいは
その化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケ
トン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、
動物性ワックスなども使用できる。
【0277】これらのワックス成分を使用したトナー
は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線におい
て、昇温測定時に20〜200℃の領域に吸熱ピークが
あり、50〜150℃に最大吸熱ピークを有するものが
好ましい。また、示差走査熱量計により測定されるDS
C曲線において、降温測定時において20〜200℃の
領域に発熱ピークがあり、40〜150℃に最大発熱ピ
ークを有するものがより好ましい。上記温度領域に吸熱
ピークおよび最大吸熱ピークを有することにより、低温
定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現し、
本発明の定着方法とのマッチングが良好なものとなる。
該吸熱ピークが20℃未満に存在するとトナーの耐高温
オフセット性が著しく損なわれ、200℃を超えるとト
ナーの低温定着性が著しく損なわれる。また、該最大吸
熱ピークが昇温測定時に50℃未満、降温測定時に40
℃未満であると、ワックス成分の自己凝集力が弱くな
り、結果として耐高温オフセット性が悪化する。一方、
該最大吸熱ピークが150℃を超えると定着温度が高く
なり低温オフセットが発生しやすくなり好ましくない。
【0278】ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定
は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測
定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用い
る。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を
用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用い
る。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対
照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測
定を行う。
【0279】本発明の画像形成方法に係わるトナーにお
いて、これらのワックス成分の含有量としては、トナー
全体に対して0.5〜50質量%の範囲が好ましい。含
有量が0.5質量%未満では低温オフセット抑制効果に
乏しく、50質量%を超えてしまうと長期間の保存性が
悪化すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、
トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながる。
【0280】本発明の画像形成方法に係わるトナーに
は、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合して
も良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、
特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定し
て維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを
直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低
く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御
剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷
電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジア
ルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き
芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ
顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン
酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素
化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げら
れる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該
四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グ
アニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化
合物等が挙げられる。該荷電制御剤は樹脂100質量部
に対し0.5〜10質量部使用することが好ましい。し
かしながら、本発明の画像形成方法に関わるトナーは、
荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部
材や現像剤担持体との摩擦帯電を積極的に利用すること
でトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0281】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0282】(磁性体の製造例)硫酸第一鉄水溶液中
に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ
溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
水溶液のpHを9前後に維持しながら、空気を吹き込
み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させる
スラリー液を調製した。
【0283】次いで、このスラリー液に当初のアルカリ
量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.
2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリ
ー液をpH7.8に維持して、空気を吹込みながら酸化
反応をすすめ、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を
洗浄・濾過して一旦取り出した。この時、含水サンプル
を少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水
サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた
後、再分散液のpHを約6に調整し、十分撹拌しながら
シランカップリング剤(n−C1021Si(OC
33)を磁性酸化鉄100質量部に対し1.0質量部
(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値
として計算した)添加し、カップリング処理を行った。
生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄・濾過・乾
燥し、次いで若干凝集している粒子を解砕処理して、体
積平均粒径0.35μmの表面処理磁性体を得た。
【0284】現像剤の製造例1 イオン交換水809gに0.1M−Na3PO4水溶液5
01gを投入し60℃に加温した後、1.07M−Ca
Cl2水溶液67.7gを徐々に添加して燐酸カルシウ
ム塩を含む水系媒体を得た。
【0285】一方、 ・スチレン 78質量部 ・n−ブチルアクリレート 22質量部 ・ジビニルベンゼン 0.3質量部 ・不飽和ポリエステル樹脂 0.5質量部 (Mn=18000 Mw/Mn=2.2) ・飽和ポリエステル樹脂 4.5質量部 (Mn=17000 Mw/Mn=2.4) ・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1質量部 ・表面処理磁性体 100質量部 上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用
いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に
加温し、そこにベヘニン酸ベヘニルを主体とするエステ
ルワックス(DSCにおける昇温測定時の最大吸熱ピー
ク72℃/降温測定時の最大発熱ピーク70℃)10質
量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/2
140分,60℃条件下]3質量部を溶解した。
【0286】前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投
入し、60℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサ
ー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで1
5分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌し
つつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃
とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃で更
に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を
加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、
湿潤磁性着色粒子を得た。
【0287】次に、上記粒子を40℃にて12時間乾燥
して重量平均粒径7.0μmの磁性着色粒子(トナー粒
子)を得た。
【0288】このトナー粒子100質量部と、一次粒径
8nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を処理
しさらにシリコーンオイルで処理したBET値が200
2/gの疎水性シリカ微粉体1.2質量部とをヘンシ
ェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、現
像剤1を得た。
【0289】現像剤の物性を表1に示す。
【0290】現像剤の製造例2〜4 乾燥時間をそれぞれ10時間、8時間、6時間としたこ
と以外は現像剤の製造例1と同様にして、現像剤2、3
及び4を得た。現像剤2、3及び4の物性を表1に示
す。
【0291】現像剤の製造例5 磁性体100質量部をカーボンブラック(BET60m
2/g)7.5質量部としたこと以外は現像剤の製造例
1と同様にして、現像剤5を調製した。現像剤5の物性
を表1に示す。
【0292】現像剤の製造例6〜8 乾燥時間をそれぞれ10時間、8時間、6時間としたこ
と以外は現像剤の製造例5と同様にして、現像剤6、7
及び8を得た。現像剤6、7及び8の物性を表1に示
す。
【0293】現像剤の製造例9 磁性体100質量部をピグメントイエロー174 10
質量部とし、モノアゾ染料系の鉄化合物をジアルキルサ
リチル酸の金属化合物としたこと以外は現像剤の製造例
1と同様にして、現像剤9を調製した。現像剤9の物性
を表1に示す。
【0294】現像剤の製造例10〜12 乾燥時間をそれぞれ10時間、8時間、6時間としたこ
と以外は現像剤の製造例9と同様にして、現像剤10、
11及び12を得た。現像剤10、11及び12の物性
表1に示す。
【0295】現像剤の製造例13 磁性体100質量部をピグメントレッド122 10質
量部とし、モノアゾ染料系の鉄化合物をジアルキルサリ
チル酸の金属化合物としたこと以外は現像剤の製造例1
と同様にして、現像剤13を調製した。現像剤13の物
性を表1に示す。
【0296】現像剤の製造例14〜16 乾燥時間をそれぞれ10時間、8時間、6時間としたこ
と以外は現像剤の製造例13と同様にして、現像剤1
4、15及び16を得た。現像剤14、15及び16の
物性表1に示す。
【0297】現像剤の製造例17 磁性体100質量部をピグメントブルー15:3 10
質量部とし、モノアゾ染料系の鉄化合物をジアルキルサ
リチル酸の金属化合物としたこと以外は現像剤の製造例
1と同様にして、現像剤17を調製した。現像剤17の
物性を表1に示す。
【0298】現像剤の製造例18〜20 乾燥時間をそれぞれ10時間、8時間、6時間としたこ
と以外は現像剤の製造例17と同様にして、現像剤1
8、19及び20を得た。現像剤18、19及び20の
物性表1に示す。
【0299】 現像剤の製造例21 ・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比78/22)80質量部 (Mn=24300 Mw/Mn=3.0) ・不飽和ポリエステル樹脂 0.5質量部 (Mn=18000 Mw/Mn=2.2) ・飽和ポリエステル樹脂 4.5質量部 (Mn=17000 Mw/Mn=2.4) ・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 3質量部 ・表面処理磁性体 100質量部 ・製造例1で用いたエステルワックス 5質量部 上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した
二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物を
ハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物を衝突式ジェットミ
ル(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕し、得られ
た微粉砕物を風力分級して重量平均粒径7.2μmのト
ナーを得た。その後バッチ式の衝撃式表面処理装置で球
形化処理を行った(処理温度45℃、回転式処理ブレー
ド周速80m/sec、処理時間3分)。
【0300】次に、得られた球形化トナー100質量部
に対して、現像剤の製造例1で使用した疎水性コロイダ
ルシリカ1.0質量部を加えた混合物をヘンシェルミキ
サーで混合し現像剤21を得た。現像剤21の物性を表
1に示す。
【0301】現像剤の製造例22 疎水性シリカ1.0質量部を未処理のシリカ(BET3
00m2/g)0.8質量部としたこと以外は現像剤の
製造例21と同様にして、現像剤22を得た。現像剤2
2の物性を表1に示す。
【0302】現像剤の製造例23 球形化処理を行わなかったこと以外は現像剤の製造例2
1と同様にして、現像剤23を得た。現像剤23の物性
を表1に示す。
【0303】現像剤の製造例24 現像剤の製造例21において行った衝撃式表面処理装置
での球形化処理を行なわなかったことを除いては、現像
剤の製造例21と同様にして、現像剤24を得た。現像
剤24の物性を表1に示す。
【0304】
【表1】
【0305】本発明のトナーは、前述の粘弾性測定装置
によって110℃、140℃の温度において測定される
貯蔵弾性率の値がいずれのトナーも110℃では1.0
0×106以下、140℃では7.00×103以上であ
った。
【0306】<実施例1〜3及び比較例1> (1)カラー画像形成装置例 本実施例に用いた画像形成装置について具体的に説明す
る。図1は、既に画像形成装置の一例として説明した
が、ここでは本実施例に用いた電子写真プロセスを利用
した市販のフルカラープリンターLBP−2160(キ
ヤノン製)の定着装置を電磁誘導定着装置に改造を施
し、中間転写体ドラムにクリーナーボックスを付ける等
の改造を施したものの概略図として示す。
【0307】感光体ドラム101は、基材上に有機光半
導体を有する感光層を有し、矢印方向に回転し、対抗し
接触回転する帯電ローラ102(導電性弾性層・芯金)
により感光体ドラム101上に約−650Vの表面電位
に帯電させる。露光103は、ポリゴンミラー109に
より感光体上にデジタル画像情報に応じてオン−オフさ
せることで露光部電位が−100V、暗部電位が−65
0Vの正電荷像が形成される。複数の現像器104Y、
104M、104C、104BKを用いイエロートナ
ー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを
感光体ドラム101上に反転現像方法を用いトナー像を
得た。該トナー像は、中間転写体105(弾性層、支持
体としての芯金)上に転写され中間転写体105上に四
色の色重ね顕色像が形成される。感光体101上の転写
残トナーはクリーナ107により回収される。
【0308】中間転写体105は、パイプ状の芯金にカ
ーボンブラックの導電付与部材をニトリル−ブタジエン
ラバー(NBR)中に十分分散させた弾性層をコーティ
ングした。該コート層の硬度は「JIS K−630
1」に準拠し30度で、且つ体積抵抗値は109Ω・c
mであった。感光体101から中間転写105への転写
に必要な転写電流は約5μAであり、これは電源より+
500Vを芯金上に付与することで得られた。
【0309】転写ローラ106として、直径10mmの
芯金上に、カーボンの導電性付与材をエチレン−プロピ
レン−ジエン系三次元共重合体(EPDM)の発泡体中
に十分分散させたものをコーティングすることにより生
成した弾性層の体積固有抵抗値が106Ω・cmで、
「JIS K−6301」に準拠した硬度が35度の値
を示すものを用いた。転写ローラには電圧を印加して1
5μAの転写電流を流した。
【0310】加熱定着装置(加熱手段)100には、電
磁誘導加熱方式の装置を用いた。
【0311】図2は本例の定着装置100の要部の横断
側面模式図、図3は要部の正面模式図、図4は要部の縦
断正面模式図である。本例の加熱定着装置100におい
ては、従来のオイル塗布機構を省略したものを用いた。
【0312】磁場発生手段は磁性コア17a・17b・
17c及び励磁コイル18からなる。
【0313】磁性コア17a・17b・17cはフェラ
イトである。また、励磁コイル18はコイル(線輪)を
構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶
縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を
用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。
本例では10ターン巻いて励磁コイル18を形成してい
る。本例では、励磁コイルにおける励磁周波数を100
kHzの交番電流とした。
【0314】図8は本例における定着ベルト10の層構
成模式図である。本例の定着ベルト10は、電磁誘導発
熱性の定着ベルト10の基層となる金属ベルト等ででき
た発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外
面に積層した離型層3の複合構造のものである。略円筒
形状である定着ベルト10において発熱層1が内面側で
あり、離型層3が外面側である。定着ベルトの直径は5
0mmとした。
【0315】定着ベルト10の発熱層1には、厚み10
μmのニッケル層を用いた。
【0316】また、弾性層2は、厚さ100μmシリコ
ーンゴムで、「JIS K−6301」に準拠した硬度
が35度の値を示すものを用いた。
【0317】また、離型層3は厚さ20μmのフッ素樹
脂を有するものを用いた。
【0318】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被
覆させた、耐熱性弾性フッ素ゴム30bとで構成されて
おり、加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側
のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バ
ネ25a・25bを縮設することで加圧用構成ステイ2
2に押し下げ力を作用させている。これにより、ベルト
ガイド部材16aの下面と加圧ローラ30の上面とが定
着ベルト10を挟んで、80g/m2の紙を介した状態
において線圧882N/m(0.9kgf/cm)で圧
接して定着ニップ部Nを9.5mm形成しているもので
ある。加圧部材の外径は35mmとした。
【0319】上記定着器のZ1,Z2,Z3を測定した
ところ以下のとおりであった。 Z1=182℃ Z2=165℃ Z3=164℃
【0320】以上の条件で、常温常湿(23℃,60%
RH)環境下、定着スピード94mm/secのプリン
トアウト速度で、実施例1,4及び5においては現像剤
5,9,13,17を、実施例2においては現像剤6,
10,14,18を、実施例3においては現像剤7,1
1,15,19を、比較例1においては現像剤8,1
2,16,20をそれぞれ対応する色の現像器に入れ、
フルカラーでの連続モード(すなわち、現像器を休止さ
せることなくトナーの消費を促進させるモード)で、各
色トナーの印字比率がそれぞれ4%となるように横線画
像で3000枚プリントアウト試験を行い、得られたプ
リントアウト画像についてオフセットトナーに由来する
画像の裏汚れを評価した。
【0321】また、グロスムラをチェックするために5
00枚毎に各色のベタ画像を出力し、一枚の画像の中で
のグロスムラを評価した。さらに、最後に画像濃度,カ
ブリおよび定着フィルムのトナーの融着による汚れ具合
と削れ等による劣化状態を評価した。
【0322】実施例1においては多数枚画出し試験前後
において、各色共充分な画像濃度が得られ、カブリの無
い鮮明な画像が得られた。また、グロスムラ、紙裏汚れ
も発生しなかった。
【0323】実施例2では若干のカブリの増加が認めら
れた。また、グロスムラ、紙裏汚れもわずかに発生した
ものの、全く問題の無いレベルであった。
【0324】実施例3では、画像濃度の低下、カブリの
増加が生じたものの、実用上問題の無いレベルであっ
た。また、若干のグロスムラ、紙裏汚れが生じたもの
の、これも実用上問題の無いレベルであった。さらに、
3000枚目のベタ画像出力時に軽微なスリップと思わ
れる現象が確認されたが、実用上全く問題のないレベル
であった。
【0325】比較例1では、画像濃度の低下が大きく、
カブリも悪く実用上好ましくないものであった。更に、
定着時にスリップが発生し、定着ジャム、ホットオフセ
ットも発生した。また、得られた画像は紙裏汚れがひど
く、グロスムラも大きかった。
【0326】評価結果を表2に示す。
【0327】<実施例4>実施例1において用いた定着
装置において、加圧バネ(図3中25a,25b)を変
更して、80g/cm2の紙を介した状態において線圧
を1568N/m(1.6kgf/cm)で圧接して定
着ニップ部Nを11.0mm形成するものに改造した他
は実施例1と同様にプリントアウト試験を行った。
【0328】多数枚画出し前後において各色共十分な画
像濃度が得られ、カブリの無い鮮明な画像が得られたも
のの、問題の無いレベルであるが紙裏汚れがわずかに生
じていた。これは、耐久後の定着フィルム上の傷等の部
分にトナーの融着がごく微量生じていたことから、耐久
フィルム劣化に伴うホットオフセットが原因と考えられ
る。
【0329】評価結果を表2に示す。
【0330】<実施例5>実施例1において用いた定着
装置において、加圧バネ(図3中、25a,25b)を
変更して、80g/cm2の紙を介した状態において線
圧を294N/m(0.3kgf/cm)で圧接して定
着ニップ部Nを7mm形成するものに改造した他は実施
例1と同様にプリントアウト試験を行った。
【0331】多数枚画出し前後において各色共十分な画
像濃度が得られ、カブリの無い鮮明な画像が得られたも
のの、問題の無いレベルであるがグロスムラがやや発生
し、紙裏汚れも生じていた。これは、耐久初期にわずか
に生じていたことから、定着圧不足に伴う一部の画像は
がれが原因と考えられる。
【0332】評価結果を表2に示す。
【0333】本発明の実施列、並びに、比較例中に記載
の評価項目の説明とその評価基準について述べる。
【0334】[プリントアウト画像評価] <1>画像濃度 A4のCLC用紙(キヤノン製;80g/m2)に30
00枚プリントアウトした後の各色のベタ画像の5点平
均濃度である。画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マ
クベス社製)を用いて測定を行った。なお、初期の画像
濃度はいずれのトナーも1.40以上の画像濃度を有し
ていた。 A:1.40以上 B:1.35以上、1.40未満 C:1.00以上、1.35未満 D:1.00未満
【0335】<2>画像カブリ A4のCLC用紙(キヤノン製;80g/m2)に30
00枚プリントアウトした後、各色トナーを用い白画像
を形成し、紙上のカブリを測定した。カブリの測定は、
東京電色社製のREFLECT METER MODE
L TC−6DSを使用して測定した。
【0336】フィルターは、シアントナーにはアンバー
ライトフィルターを、イエロートナーにはブルーフィル
ターを、その他のトナーにはグリーンフィルターを用
い、下記式より算出した。数値が小さい程、カブリが少
ない。 カブリ量(%)=(プリントアウト前の白色度)−(プ
リント後の記録材の非画像形成部(白地部)の白色度) A:非常に良好(1.5%未満) B:良好(1.5%以上、2.5%未満) C:実用可(2.5%以上、4.0%未満) D:実用不可(4%以上)
【0337】<3>グロスムラ A4のCLC用紙(キヤノン製;80g/m2)上に前
記の通り各色のベタ画像をプリントアウトし、得られた
画像のグロスムラの程度について、以下に基づいて評価
した。 A:未発生 B:ほとんど発生せず C:若干発生したが、実用的に問題がない D:かなり発生し、実用的に問題がある
【0338】<4>画像裏汚れ A4のCLC用紙(キヤノン製;80g/m2)上に前
記の画像を連続3000枚プリントアウトし、得られた
プリントアウト画像の裏汚れの程度について、以下に基
づいて評価した。 A:未発生 B:ほとんど発生せず C:若干発生したが、実用的に問題がない D:かなり発生し、実用的に問題がある
【0339】
【表2】
【0340】<実施例6〜12及び比較例2> (2)白黒画像形成装置例 本実施例に用いた画像形成装置について具体的に説明す
る。図11は、既に画像形成装置の一例として説明した
が、ここでは本実施例に用いた一成分現像方式の電子写
真プロセスを利用した市販の(キヤノン製)の定着装置
を電磁誘導定着装置に改造を施したものの概略図として
示す。
【0341】図11において、200は感光ドラムで、
その周囲に一次帯電ローラ217、現像器240、転写
帯電ローラ214、クリーナ216、レジスタローラ2
24等が設けられている。そして感光体200は一次帯
電ローラ217によって−700Vに帯電される(印加
電圧は交流電圧−2.0kVpp、直流電圧−700V
dc)。そして、レーザー発生装置221によりレーザ
ー光223を感光体200に照射することによって露光
される。感光体200上の静電潜像は、現像器240に
よって一成分磁性トナーで現像され、転写材Pを介して
感光体に当接された転写ローラ214により転写材P上
へ転写される。トナー画像をのせた転写材Pは搬送ベル
ト225等により定着器100へ運ばれ、トナー画像は
転写材P上に定着される。また、一部感光体上に残され
たトナーはクリーニング手段216によりクリーニング
される。
【0342】現像領域では、感光体200と現像スリー
ブ202との間に直流及び交流の現像バイアスが印加さ
れ、現像スリーブ上トナーは静電潜像に応じて感光体2
00上に飛翔し可視像となる。
【0343】定着装置100は、図12に示す加圧ロー
ラ駆動方式・電磁誘導加熱方式の装置である。
【0344】回転加熱部材301は、本例では外径40
mm,厚さ0.7mmの鉄製の芯金シリンダ311に、
表面の離型性を高めるためにPTFE10〜50μmや
PTA10〜50μmの層を用いることができるが、こ
こではPTFE25μmの層312を設けた定着フィル
ム313と磁性コア304と、励磁コイル303、コイ
ル支持部材305からなる磁場発生手段で構成される。
【0345】磁場発生手段は磁性コア304と励磁コイ
ル303、コイル支持部材305からなる。
【0346】磁性コア304はフェライトである。ま
た、励磁コイル303はコイル(線輪)を構成させる導
線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された
銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを
複数回巻いて励磁コイルを形成している。本例では10
ターン巻いて励磁コイル303を形成している。本例で
は、励磁コイルにおける励磁周波数を100kHzの交
番電流とした。
【0347】また、回転加熱部材301は加圧ローラ3
02の表面に圧接していて、圧接部(ニップ部)での摩
擦力で従動回転するように配置してあり、図13に示す
ような加圧ローラ302の回転軸方向にバネを用いた機
構により加圧されている。
【0348】これによりベルトガイド部材318の下面
と回転加圧部材302の上面とが定着ベルト313を挟
んで、75g/m2の紙を介した状態において線圧88
2N/m(0.9kgf/cm)で圧接して定着ニップ
部Nを9.5mm形成しているものである。加圧部材の
外径は、35mmとした。上記定着装置のZ1,Z2,
Z3を測定したところ、以下のとおりであった。 Z1=175℃ Z2=160℃ Z3=159℃
【0349】以上の条件で、常温常湿(23℃,60%
RH)環境下、定着スピード190mm/secのプリ
ントアウト速度で、本発明の現像剤1〜4,21〜24
を用い、連続モード(すなわち、本体を休止させること
なくトナーの消費を促進させるモード)で印字比率が4
%の横線画像で5000枚プリントアウト試験を行い、
得られたプリントアウト画像についてオフセットトナー
に由来する画像の裏汚れを評価した。
【0350】また、5000枚出力後に、画像濃度,カ
ブリ、および定着フィルムのトナーの融着による汚れ具
合と削れ等による劣化状態を評価した。
【0351】実施例6では多数枚画出し試験後でも充分
な画像濃度が得られ、紙裏汚れも発生しなかった。
【0352】実施例7では若干のカブリの増加が認めら
れ、また、紙裏汚れもわずかに発生したものの、全く問
題の無いレベルであった。
【0353】実施例8では、画像濃度の低下、カブリの
増加が生じたものの、実用上問題の無いレベルであっ
た。また、若干の紙裏汚れが生じたものの、これも実用
上問題の無いレベルであった。
【0354】実施例9では、実施例6に比べやや画像濃
度の低下が生じた。また、若干の紙裏汚れもやや生じた
ものの、全く問題の無いレベルであった。
【0355】実施例10は、実施例6に比べやや画像濃
度が低下し、カブリも増加した。また、紙裏汚れもやや
生じたものの、問題の無いレベルであった。
【0356】実施例11では、画像濃度、カブリに関し
ては全く問題のないレベルであったが、定着フィルムの
劣化によると考えられる紙裏汚れが若干発生したが、実
用上問題のないレベルであった。
【0357】実施例12では、実施例11に比べカブリ
が低下したが、実用上問題のないレベルであった。
【0358】比較例2では、画像濃度の低下が大きく、
カブリも悪く実用上好ましくないものであった。更に、
定着時にスリップが発生し、定着ジャム、ホットオフセ
ットも発生した。また、得られた画像は紙裏汚れがひど
く実用的ではなかった。
【0359】評価結果を表3に示す。評価項目ならびに
評価基準は前述のとおりである。
【0360】
【表3】
【0361】<実施例13〜24及び、比較例3〜6>
実施例1〜5と同様の現像装置を用いて、低温低湿(1
5℃,10%RH)環境下、定着装置を十分室温になる
まで放冷した状態から画像出力を行うモード(クイック
スタートモード)にて、画像濃度1.5に調整した単色
のベタ画像を、12枚(A4サイズ)/分のプリントア
ウト速度で、現像剤5〜20をそれぞれ用い、単色での
連続15枚のプリントアウト試験を行い、得られたプリ
ントアウト画像を次の項目について評価した。
【0362】[プリントアウト画像評価] <5>定着性(こすり試験)A4のCLC用紙(キヤノ
ン製;105g/m2)に単位面積あたりのトナー質量
を1.0mg/cm2になるように調整し、濃度測定用
の10mm×10mmベタ画像を多数有する画像を出力
し、得られた定着画像を50g/cm2の加重をかけた
シルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度低下率から
以下に基づいて評価した。 A:2%未満 B:2%以上、5%未満 C:5%以上、10%未満 D:10%以上
【0363】この評価結果を表4にまとめる。
【0364】
【表4】
【0365】実施例13〜24で用いたトナーはこすり
試験による画像濃度安定性において良好な結果となった
が、これは、定着装置がクイックスタートに応えるべ
く瞬時に十分な定着エネルギーを安定して発生しトナー
に与えることができたこと、さらに連続出力におい
て、定着熱の供給が過不足無く安定して供給されたこ
と、さらにはトナーの含水率が規定量まで低減されて
いることの相乗効果によるものであると考えられる。本
実施例13〜24によれば、本体の印字待機時の定着装
置において予熱を必要としない、いわゆるクイックスタ
ート性及び省電力に優れたトナー及び画像形成方法が得
られるものである。
【0366】一方、比較例3〜6においては、実施例に
比較してやや劣るレベルとなった。また、若干のスモー
クも発生した。
【0367】<比較例7>実施例13において用いた定
着装置を、図9に示したサーフ定着装置に変えた。この
定着装置は、フィルム加熱方式におけるトナー画像面と
接し、且つフィルム状部材111のトナー画像t1と接
する面と反対の面に設けられた加熱手段113の熱をト
ナー画像に付与する定着装置であり、ニップ幅7mm,
線圧392N/m(0.4kgf/cm),定着スピー
ド72mm/sec,定着ニップ近傍温度190℃,ウ
ォームアップ20秒としてもので、加圧ローラ112は
芯金上に弾性層とフッ素ゴム層・フッ素樹脂層を設けて
なるものである。他は実施例9と同様にして、低温低湿
(15℃,10%RH)環境下、定着装置を十分室温に
なるまで放冷した状態から、画像出力を行い、現像剤9
(イエロー)の上記こすり試験による画像濃度安定性に
ついて評価した。フィルムのニップ前後の温度は図示の
とおりである。
【0368】その結果、画像濃度低下率が15.3%
(ランクD)であり、連続画像出力におけるこすり性に
おいて問題のあるレベルのものであった。
【0369】<実施例25〜31及び、比較例8>実施
例6〜12と同様の現像装置を用いて、低温低湿(15
℃,10%RH)環境下、定着装置を十分室温になるま
で放冷した状態から画像出力を行うモード(クイックス
タートモード)にて、画像濃度1.5に調整したベタ画
像を、12枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度
で、現像剤1〜4、21〜24をそれぞれ用い、単色で
の連続15枚のプリントアウト試験を行い、得られたプ
リントアウト画像を上記の耐こすり性について評価し
た。
【0370】この評価結果を表5にまとめる。
【0371】
【表5】
【0372】<比較例9>実施例25において用いた定
着装置を、図16に示したサーフ定着装置(比較例8と
同じもの)と同様にして、低温低湿(15℃,10%R
H)環境下、定着装置を十分室温になるまで放冷した状
態から、画像出力を行い、現像剤1のこすり試験による
画像濃度安定性について評価した。フィルム温度は図示
のとおりである。
【0373】その結果、画像濃度低下率が16.2%
(ランクD)であり、連続画像出力におけるこすり性に
おいて問題のあるレベルのものであった。
【0374】(結着樹脂の製造例1)温度計、ステンレ
ス撹拌棒、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を装備
したガラス製のセパラブルフラスコに、キシレン200
質量部を入れ還流温度まで昇温した。これにスチレン8
0質量部、アクリル酸−n−ブチル20質量部、およ
び、ジ−tert−ブチルパーオキサイド2.3質量部
の混合液を滴下後、キシレン還流下、7時間で溶液重合
を完了し、低分子量樹脂溶液を得た。
【0375】一方、スチレン65質量部、アクリル酸ブ
チル25質量部、マレイン酸モノブチル10質量部、ポ
リビニルアルコール0.2質量部、脱気水200質量
部、過酸化ベンゾイル0.5質量部を混合懸濁分散させ
た。上記懸濁分散溶液を加熱し、窒素雰囲気下において
85℃に24時間保持して重合を完結させ、高分子量樹
脂を得た。
【0376】該高分子量樹脂30質量部を、前記の低分
子量樹脂70質量部を含有する溶液重合終了時の溶液中
に投入し、溶媒中に完全に溶解せしめ混合を行い、その
後、溶媒を留去して結着樹脂(I)を得た。
【0377】該結着樹脂を分析したところ、低分子量側
ピーク分子量は1万、高分子量側ピーク分子量は55
万、重量平均分子量(Mw)は30万、数平均分子量
(Mn)は5.5万であった。また、ガラス転移温度は
55℃であった。
【0378】 現像剤の製造例25 ・結着樹脂(I) 100質量部 ・飽和ポリエステル樹脂(ピーク分子量=8000) 25質量部 ・カーボンブラック(BET比表面積=62m2/g) 10質量部 ・負荷電制御剤(モノアゾ染料系の鉄化合物) 1質量部 ・低分子量ポリエチレン(昇温測定時の最大吸熱ピーク115℃/降温測定時の 最大発熱ピーク110℃) 3質量部
【0379】上記材料をブレンダーにて混合し、これを
160℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練
し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した後、粗
粉砕物を衝突式ジェットミル(日本ニューマチック工業
社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級した。
その後衝撃式表面処理装置(処理温度50℃,回転式処
理ブレード周速90m/sec)を用いて重量平均粒径
7.7μmの球形化トナーを得た。
【0380】上記トナー100質量部と、一次粒径12
nmのシリカにヘキサメチルシシラザン処理した後シリ
コーンオイルで処理し、処理後のBET値が140m2
/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部とをヘンシェル
ミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、本発明
の現像剤25とした。
【0381】現像剤25の平均円形度は0.954で、
残留モノマー量は80ppm、含水率は0.25%であ
った。
【0382】現像剤の製造例26〜29 荷電制御剤,着色剤の種類および添加量を変える以外は
現像剤の製造例25と同様にして現像剤26〜29を得
た。現像剤25と併せて、使用した材料の種類と量を表
6に、現像剤の分析結果を表7に示す。
【0383】現像剤の製造例30 表6に記載の材料をブレンダーにて混合し、これを16
0℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷
却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した後、粗粉砕物
を衝突式ジェットミル(日本ニューマチック工業社製)
で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級し平均粒径
7.8μmの不定形の現像剤30を得た。使用した材料
の種類と量を表6に、現像剤の分析結果を表7に示す。
【0384】現像剤の製造例31〜34 着色剤の種類および添加量を変える以外は現像剤の製造
例30と同様にして現像剤31〜34を得た。使用した
材料の種類と量を表6に、現像剤の分析結果を表7に示
す。
【0385】
【表6】
【0386】
【表7】
【0387】本発明のトナーは、前述の粘弾性測定装置
によって110℃、140℃の温度において測定される
貯蔵弾性率の値がいずれのトナーも110℃では1.0
0×106以下、140℃では7.00×103以上であ
った。
【0388】現像剤の製造例35 イオン交換水710質量部に0.1M−Na3PO4水溶
液450質量部を投入し60℃に加温した後、1.0M
−CaCl2水溶液67.7質量部を徐々に添加してリ
ン酸カルシウム塩を得た。 ・スチレン 80質量部 ・n−ブチルアクリレート 20質量部 ・不飽和ポリエステル樹脂 2質量部 ( Mn=18000 Mw/Mn=2.2) ・飽和ポリエステル樹脂 4質量部 (Mn=17000 Mw/Mn=2.4) ・カーボンブラック(BET比表面積=62m2/g) 10質量部 ・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系の鉄化合物) 1質量部
【0389】上記処方をTKホモミキサー(特殊機化工
業(株))を用いて均一に分散混合した。
【0390】この単量体組成物を60℃に加温し、そこ
に製造例1で使用したエステルワックス7.5質量部を
添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)4質量部を溶解し
た。
【0391】前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投
入し、65℃,窒素雰囲気下においてTK式ホモミキサ
ー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで1
5分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌し
つつ、65℃で6時間反応させた。その後液温を80℃
とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃で更
に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を
加えてリン酸カルシウム塩を溶解し、濾過,水洗後、4
0℃で72時間乾燥して重量平均粒径6.6μmのトナ
ーを得た。
【0392】このトナー100質量部と、一次粒径12
nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を処理し
処理後のBET値が140m2/gの疎水性シリカ微粉
体1.2質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工
機(株))で混合して、本発明の現像剤35を調製し
た。
【0393】現像剤35の平均円形度は0.990で、
残留モノマー量は80ppm、含水率は0.18%であ
った。
【0394】現像剤の製造例36〜39 着色剤の種類および添加量を変える以外は現像剤の製造
例35と同様にして現像剤36〜39を得た。現像剤3
5と併せて、使用した材料の種類と量を表8に、現像剤
の分析結果を表9に示す。
【0395】現像剤の製造例40〜41 反応終了後の蒸留時間を20分、1時間に変え、乾燥時
間を36時間、60時間に変える以外は現像剤の製造例
39と同様にして現像剤40および41を得た。現像剤
35と併せて、使用した材料の種類と量を表8に、現像
剤の分析結果を表9に示す。
【0396】現像剤の製造例42 表8に記載の材料を現像剤の製造例35と同様に造粒し
た。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、65℃で6時間
反応させた。その後液温を80℃とし更に1時間撹拌を
続けた。反応終了後に蒸留は行わなかった。その後、現
像剤の製造例35と同様に懸濁液を冷却し、塩酸を加え
てリン酸カルシウム塩を溶解し、濾過,水洗,乾燥して
重量平均粒径6.8μmのトナーを得た。
【0397】このトナー100質量部と、一次粒径12
nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を処理し
処理後のBET値が140m2/gの疎水性シリカ微粉
体1.2質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工
機(株))で混合して、本発明の現像剤42を調製し
た。
【0398】現像剤42の平均円形度は0.987で、
残留モノマー量は350ppm、含水率は0.20%で
あった。使用した材料の種類と量を表8に、現像剤の分
析結果を表9に示す。
【0399】現像剤の製造例43〜46 着色剤の種類および添加量を変える以外は現像剤の製造
例42と同様にして現像剤43〜46を得た。使用した
材料の種類と量を表8に、現像剤の分析結果を表9に示
す。
【0400】現像剤の製造例47 着色剤の種類および添加量を変え、表面処理を施さない
シリカを用いる以外は現像剤の製造例39と同様にして
現像剤47を得た。使用した材料の種類と量を表8に、
現像剤の分析結果を表9に示す。
【0401】
【表8】
【0402】
【表9】
【0403】本発明のトナーは、前述の粘弾性測定装置
によって110℃、140℃の温度において測定される
貯蔵弾性率の値がいずれのトナーも110℃では1.0
0×106以下、140℃では7.00×103以上であ
った。
【0404】<実施例32〜35>表10に示す現像剤
を用いる以外は、実施例1と同様に評価した。結果を併
せて示す。
【0405】
【表10】
【0406】<実施例36〜42>表11に示す現像剤
を用いる以外は、実施例6と同様に評価した。結果を併
せて示す。
【0407】
【表11】
【0408】フルカラー画像の混色性(各色の混合状
態)についても評価した。画像を目視にて観察した結
果、画像のいずれの部分でも完全に混合されており全く
問題のないレベルであった。
【0409】<実施例43〜58> (1)カラー画像形成装置例 画像形成装置として、感光体ドラム101の表面電位を
約−600Vの表面電位に帯電させて暗部電位が−60
0Vの静電潜像を形成させ、定着装置のベルトガイド部
材16aの下面と加圧ローラ30の上面とが定着ベルト
10を挟んで、80g/m2の紙を介した状態において
線圧784N/m(0.8kgf/cm)で圧接して定
着ニップ部Nを9.0mm形成させる以外は、実施例1
と同様の画像形成装置を使用した。
【0410】以上の条件で、常温常湿(23℃,60%
RH)環境下、定着スピード94mm/secのプリン
トアウト速度で、表12に示す現像剤をそれぞれ対応す
る色の現像器に入れ、モノカラーでの連続モード(すな
わち、現像器を休止させることなく現像剤の消費を促進
させるモード)で、各色現像剤の印字比率がそれぞれ5
%となるように横線画像で7000枚プリントアウト試
験を行い、得られたプリントアウト画像についてオフセ
ットトナーに由来する画像の裏汚れを評価した。
【0411】また、グロスムラをチェックするために5
00枚毎に各色のベタ画像を出力し、一枚の画像の中で
のグロスムラを評価した。さらに、最後に画像濃度,カ
ブリおよび定着フィルムのトナーの融着による汚れ具合
と削れ等による劣化状態を評価した。
【0412】本発明のトナーは試験最後まで、初期の画
像濃度,カブリの程度を維持した。その結果を、定着装
置のマッチングの結果と併せて表12に示す。
【0413】以下の実施列、並びに、比較例中に記載の
評価項目の説明とその評価基準について述べる。
【0414】プリントアウト画像評価は、いずれも70
00枚プリントアウトした後に評価した結果であり、画
像濃度、画像カブリ、グロスムラ、画像裏汚れについて
は前出のとおりである。
【0415】<6>定着フィルムの汚れ・融着 A4のCLC用紙(キヤノン製;80g/m2)上に前
記の画像を連続7000枚プリントアウトした後の、定
着器内の定着フィルム上の汚れやトナーの融着状態を、
以下に基づいて目視で評価すると共に、汚れ・融着が観
察された場合にはグロスムラを評価したベタ画像と照ら
し合わせながら評価した。 A:未発生 B:ほとんど発生せず C:若干発生したが、実用的に問題がない D:かなり発生し、実用的に問題がある
【0416】<7>定着フィルムの劣化 A4のCLC用紙(キヤノン製;80g/m2)上に前
記の画像を連続7000枚プリントアウトした後の、定
着器内の定着フィルムの削れや微小傷などの劣化状態
を、以下に基づいて目視で評価すると共に、割れや傷が
確認された場合にはグロスムラを評価したベタ画像と照
らし合わせながら評価した。 A:未発生 B:ほとんど発生せず C:若干発生したが、実用的に問題がない D:かなり発生し、実用的に問題がある
【0417】
【表12】
【0418】<実施例59〜65> (2)白黒画像形成装置例 本実施例に用いた画像形成装置は、定着装置のベルトガ
イド部材318の下面と加圧ローラ302の上面とが定
着ベルト313を挟んで、75g/m2の紙を介した状
態において線圧784N/m(0.8kgf/cm)で
圧接して定着ニップ部Nを9.0mm形成しているもの
である以外は、実施例6と同様なものを使用した。
【0419】以上の条件で、常温常湿(25℃,50%
RH)環境下、定着スピード190mm/secのプリ
ントアウト速度で、表13に示す現像剤について連続モ
ード(すなわち、本体を休止させることなくトナーの消
費を促進させるモード)で印字比率が5%の横線画像で
7000枚プリントアウト試験を行い、得られたプリン
トアウト画像についてオフセットトナーに由来する画像
の裏汚れを評価した。
【0420】また、7000枚出力後に、画像濃度,カ
ブリ、および定着フィルムのトナーの融着による汚れ具
合と削れ等による劣化状態を評価した。評価項目ならび
に評価基準は前述のとおりである。
【0421】この評価結果を表13にまとめる。
【0422】
【表13】
【0423】<実施例66〜73>実施例1と同様の現
像装置を用いて、低温低湿(15℃,10%RH)環境
下、定着装置を十分室温になるまで放冷した状態から画
像出力を行うモード(クイックスタートモード)にて、
画像濃度1.5に調整した単色のベタ画像を、12枚
(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、現像剤3
5〜38、42〜45を単色での連続20枚のプリント
アウト試験を行い、得られたプリントアウト画像を次の
項目について評価した。
【0424】[プリントアウト画像評価] <8>定着性(こすり試験) A4の用紙(75g/m2)に単位面積あたりのトナー
質量を1.0mg/cm2になるように調整し、濃度測
定用の10mm×10mmベタ画像を多数有する画像を
出力し、得られた定着画像を50g/cm2の加重をか
けたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度低下率
から以下に基づいて評価した。 A:2%未満 B:2%以上、5%未満 C:5%以上、10%未満 D:10%以上
【0425】この評価結果を表14にまとめる。
【0426】
【表14】
【0427】実施例66〜73のトナーはこすり試験に
よる画像濃度安定性において良好な結果となったが、こ
れは、定着装置がクイックスタートに応えるべく瞬時
に十分な定着エネルギーを安定して発生しトナーに与え
ることができたこと、さらに連続出力において、定着
熱の供給が過不足無く安定して供給されたこと、さらに
は含水率が規定量まで低減されていることの相乗効果
によるものであると考えられる。本実施例66〜73に
よれば、本体の印字待機時の定着装置において予熱を必
要としない、いわゆるクイックスタート性及び省電力に
優れたトナー及び画像形成方法が得られるものである。
【0428】さらに、実施例66〜69の方が70〜7
3よりも良好な結果を示していることから、トナーの含
水率に加えてトナーに残留しているモノマー量が低減さ
れると、本定着装置の劣化が抑制されることから定着装
置とのマッチングにおいて優れていることが明らかであ
る。
【0429】<比較例10>実施例66において用いた
定着装置を、図9に示したサーフ定着装置に変えた。こ
の定着装置は、フィルム加熱方式におけるトナー画像面
と接し、且つフィルム状部材111のトナー画像t1と
接する面と反対の面に設けられた加熱手段113の熱を
トナー画像に付与する定着装置であり、ニップ幅7m
m,線圧392N/m(0.4kgf/cm),定着ス
ピード72mm/sec,定着ニップ近傍温度190
℃,ウォームアップ20秒としてもので、加圧ローラ1
12は芯金上に弾性層とフッ素ゴム層・フッ素樹脂層を
設けてなるものである。他は実施例66と同様にして、
低温低湿(15℃,10%RH)環境下、定着装置を十
分室温になるまで放冷した状態から、画像出力を行い、
現像剤35(ブラック)の上記こすり試験による画像濃
度安定性について評価した。
【0430】その結果、画像濃度低下率が13.2%で
あり、連続画像出力におけるこすり性において問題のあ
るレベルのものであった。
【0431】<実施例74〜78>実施例59と同様の
現像装置を用いて、低温低湿(15℃,10%RH)環
境下、定着装置を十分室温になるまで放冷した状態から
画像出力を行うモード(クイックスタートモード)に
て、画像濃度1.5に調整したベタ画像を、12枚(A
4サイズ)/分のプリントアウト速度で、現像剤39,
40,41,46,47を単色での連続20枚のプリン
トアウト試験を行い、得られたプリントアウト画像を上
記の耐こすり性について評価した。
【0432】この評価結果を表15にまとめる。
【0433】
【表15】
【0434】<比較例11>実施例74において用いた
定着装置を、図9に示したサーフ定着装置(比較例7と
同じもの)と同様にして、低温低湿(15℃,10%R
H)環境下、定着装置を十分室温になるまで放冷した状
態から、画像出力を行い、現像剤39(ブラック)のこ
すり試験による画像濃度安定性について評価した。
【0435】その結果、画像濃度低下率が14.9%で
あり、連続画像出力におけるこすり性において問題のあ
るレベルのものであった。
【0436】<実施例79>実施例59において用いた
定着装置において、加圧バネ(図3中25a,25b)
を変更して、75g/cm2の紙を介した状態において
線圧を1568N/m(1.6kgf/cm)で圧接し
て定着ニップ部Nを11.0mm形成するものに改造し
た他は実施例59と同様に現像剤39にてプリントアウ
ト試験を行った。
【0437】多数枚画出し前後において十分な画像濃度
が得られ、カブリの無い鮮明な画像が得られたものの、
問題の無いレベルであるが紙裏汚れがやや発生し、画出
し試験後の定着フィルムの劣化も生じていた。評価結果
を表16に示す。
【0438】<実施例80>実施例59において用いた
定着装置において、加圧バネ(図3中25a,25b)
を変更して、75g/cm2の紙を介した状態において
線圧を294N/m(0.3kgf/cm)で圧接して
定着ニップ部Nを7mm形成するものに改造した他は実
施例59と同様に現像剤39にてプリントアウト試験を
行った。
【0439】多数枚画出し前後において十分な画像濃度
が得られ、カブリの無い鮮明な画像が得られたものの、
問題の無いレベルであるがグロスムラがやや発生し、紙
裏汚れも生じていた。評価結果を表16に示す。
【0440】
【表16】
【発明の効果】以上のように本発明のトナーは、電子写
真特性に優れ、耐久性にも優れ、高精細な画像を与え
る。さらに、画像の裏汚れもなく、定着器等への汚染も
少ないものであり、クイックスタート時においても定着
性に優れている。
【0441】さらに、本発明の画像形成方法は、特定の
トナーとの間のマッチングに優れ、長期に亘り鮮明な画
像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるフルカラーの画像形成装置の概
略図である。
【図2】本発明の加熱装置(定着装置)の概略横断側面
模式図である。
【図3】本発明の加熱装置要部の正面模式図である。
【図4】本発明の加熱装置要部の縦断正面模式図であ
る。
【図5】本発明の加熱装置にかかる磁場発生手段の模式
図である。
【図6】交番磁束の発生の様子を模式的に表したもので
ある。
【図7】本発明の加熱装置にかかる安全回路の回路図で
ある。
【図8】本発明の加熱装置にかかる定着ベルト(定着フ
ィルム)の層構成模式図である。
【図9】比較例に使用されるサーフ定着装置の概略構成
である。
【図10】電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構
成である。
【図11】本発明を実施可能な画像形成装置の概略図で
ある。
【図12】本発明の加熱装置(定着装置)の概略横断側
面模式図である。
【図13】本発明の加熱装置要部の正面模式図である。
【図14】ガラス転移温度(Tg)の説明図である。
【図15】Z1,Z2,Z3の測定部位の説明図であ
る。
【図16】比較例に使用されるサーフ定着装置の概略構
成である。
【符号の説明】 1 発熱層 2 弾性層 3 離型層 4 断熱層 10 定着ベルト 15 磁場発生手段 16,16a,16b フィルム(ベルト)ガイド部材 16e 凸リブ部 17,17a,17b,17c 磁性コア 18 励磁コイル 18a,18b 給電部 19 絶縁部材(励磁コイル保持部材) 22 加圧用剛性ステイ 23a,23b フランジ部材 25a,25b 加圧バネ 26 温度センサ 27 励磁回路 29a,29b バネ受け部材 30 加圧ローラ(弾性) 30a 芯金 30b 弾性材層 40 良熱伝導部材 50 サーモスイッチ 51 リレースイッチ 100 像加熱装置(定着装置) N 定着ニップ N1 一次転写ニップ N2 二次転写ニップ P 転写材(記録材) 101 感光体ドラム 102 帯電装置(帯電ローラ) 103 レーザー光 104 現像器 104Y イエロー現像器 104M マゼンタ現像器 104C シアン現像器 104BK 黒現像器 105 中間転写体ドラム 106 転写ローラ 107 クリーナ(感光体ドラム用クリーナ) 108 クリーナ(中間転写体ドラム用クリーナ) 109 ミラー 110 レーザー光学箱 T1 一次転写部 T2 二次転写部 301 回転加熱部材(定着ローラ) 302 回転加圧部材(加圧ローラ) 303 励磁コイル 304 コア 305 ホルダー 306 温度センサー 307 搬送ガイド 308 トナー画像 310 分離爪 311 発熱層 312 離型層 313 定着フィルム 314 定着画像 315 中空芯金 316 弾性層 317 記録材(転写材) 318 ベルトガイド部材 322 加圧用剛性ステイ 323 フランジ部材 325 加圧バネ 329 バネ受け部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 6/06 393 H05B 6/14 6/14 G03G 9/08 384 (72)発明者 河本 恵司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 阿部 篤義 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA08 AA15 AB06 CB13 EA03 EA05 EA07 EA10 FB01 2H033 AA02 AA30 AA32 BA25 BA27 BA32 BA58 BB01 BB04 BB15 BB18 BB22 BB28 BB33 BB34 BE03 BE06 CA07 CA13 CA27 CA40 3K059 AA08 AB04 AC33 AD02 CD66

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁界発生手段と、電磁誘導により発
    熱する発熱層と離型層とを少なくとも有する回転加熱部
    材と、該回転加熱部材とニップを形成している回転加
    圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、該回
    転加熱部材に記録材を介して該回転加圧部材を押圧させ
    ながら該記録材上のトナー画像を、加熱加圧定着して記
    録材に定着画像を形成する画像形成方法に適用されるト
    ナーであり、 該トナーは結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有してお
    り、該トナーの含水率が3.00質量%以下であること
    を特徴とする乾式トナー。
  2. 【請求項2】 該トナー中に含有されている残留モノマ
    ーの含有量が、トナーの質量を基準として300ppm
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の乾式トナ
    ー。
  3. 【請求項3】 該トナーの平均円形度が0.940以上
    であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに
    記載の乾式トナー。
  4. 【請求項4】 該トナーの平均円形度が0.960以上
    であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに
    記載の乾式トナー。
  5. 【請求項5】 磁界発生手段と、電磁誘導により発熱す
    る発熱層と、離型層とを有する回転加熱部材と、該回転
    加熱手段とニップ幅を形成する回転加圧部材とを有する
    加熱加圧手段を使用し、記録材上のトナー像を加熱加圧
    して定着画像を形成する画像形成方法において、 該回転加熱部材と該回転加圧部材により形成されるニッ
    プ前後において、該記録材突入側の該回転部材の温度Z
    1(℃)と、該記録材を排出する側の該回転加熱部材の
    温度Z2(℃)と、該回転部材を発熱させる部位に至る
    前の該回転加熱部材温度をZ3(℃)とが下記条件 Z3≦Z2<Z1 を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    に記載の乾式トナー。
  6. 【請求項6】 該回転加熱部材の発熱層の厚さが1〜2
    00μm、離型層の厚さが1〜100μmであり、該回
    転加熱部材と回転加圧部材により形成されるニップ幅が
    5〜15mmであり、且つ、該回転加熱部材を記録材を
    介して線圧490〜1372N/m(0.5〜1.4k
    gf/cm)で該回転加圧部材を押圧しながら定着スピ
    ード400mm/秒以下の条件でトナー画像を加熱加圧
    定着する画像形成方法に適用されることを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかに記載の乾式トナー。
  7. 【請求項7】 該回転加熱部材が弾性層を有することを
    特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の乾式トナ
    ー。
  8. 【請求項8】 弾性層の厚さが10〜500μmである
    ことを特徴とする請求項7に記載の乾式トナー。
  9. 【請求項9】 該回転加熱部材の周長Laと該回転加圧
    部材の周長Lbとが下記条件0.4×La≦Lb≦0.
    95×La<400mmを満足することを特徴とする請
    求項1乃至8のいずれかに記載の乾式トナー。
  10. 【請求項10】 該加熱部材の周長Laに対して、ニッ
    プ中心を基準として、記録材突入側La/4の点から記
    録材排出側La/8の点の範囲において少なくとも該発
    熱層を発熱させることを特徴とする請求項1乃至9のい
    ずれかに記載の乾式トナー。
  11. 【請求項11】 該記録材突入側の該回転部材の温度Z
    1(℃)が下記条件Z1<250℃を満足することを特
    徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の乾式トナ
    ー。
  12. 【請求項12】 該トナーの含水率が2.00質量%以
    下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか
    に記載の乾式トナー。
  13. 【請求項13】 該トナー中に含有されている残留モノ
    マーの含有量が、トナーの質量を基準として200pp
    m以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいず
    れかに記載の乾式トナー。
  14. 【請求項14】 該トナーの含水率が1.00質量%以
    下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか
    に記載の乾式トナー。
  15. 【請求項15】 該トナー中に含有されている残留モノ
    マーの含有量が、トナーの質量を基準として100pp
    m以下であることを特徴とする請求項1乃至14のいず
    れかに記載の乾式トナー。
  16. 【請求項16】 該トナーのDSC(昇温測定)による
    吸熱ピークが20〜200℃に存在し、その最大吸熱ピ
    ークが50℃〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項1乃至15のいずれかに記載の乾式トナー。
  17. 【請求項17】 該トナーのDSC(降温測定)による
    発熱ピークが20〜200℃に存在し、その最大発熱ピ
    ークが40℃〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項1乃至15のいずれかに記載の乾式トナー。
  18. 【請求項18】 該トナーが重合法により得られた粒子
    であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに
    記載の乾式トナー。
  19. 【請求項19】 該トナーのモード円形度が0.990
    以上であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれ
    かに記載の乾式トナー。
  20. 【請求項20】 該トナーは、一次平均粒径4〜80n
    mの疎水化処理された無機微粉体を有することを特徴と
    する請求項1乃至19のいずれかに記載の乾式トナー。
  21. 【請求項21】 加熱加圧手段により記録材上のトナー
    画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画
    像形成方法であり、 トナー画像を形成しているトナーは、結着樹脂及び着色
    剤を少なくとも含有するトナー粒子を有しており、該ト
    ナーの含水率が3.00質量%以下であるトナーであ
    り、 該加熱加圧手段は、磁界発生手段と、電磁誘導によ
    り発熱する発熱層と離型層とを少なくとも有する回転加
    熱部材と、該回転加熱部材とニップを形成している回
    転加圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段であり、 該回転加熱部材に記録材を介して該回転加圧部材を押圧
    させながら該記録材上のトナー画像を加熱加圧定着して
    記録材に定着画像を形成することを特徴とする画像形成
    方法。
  22. 【請求項22】 該トナー中に含有されている残留モノ
    マーの含有量が、トナーの質量を基準として300pp
    m以下であることを特徴とする請求項21に記載の画像
    形成方法。
  23. 【請求項23】 該トナーの平均円形度が0.940以
    上であることを特徴とする請求項21または22のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  24. 【請求項24】 該トナーの平均円形度が0.960以
    上であることを特徴とする請求項21または22のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  25. 【請求項25】 磁界発生手段と、電磁誘導により発熱
    する発熱層と、離型層とを有する回転加熱部材と、該回
    転加熱手段とニップ幅を形成する回転加圧部材とを有す
    る加熱加圧手段を使用し、記録材上のトナー像を加熱加
    圧して定着画像を形成する画像形成方法において、 該回転加熱部材と該回転加圧部材により形成されるニッ
    プ前後において、該記録材突入側の該回転部材の温度Z
    1(℃)と、該記録材を排出する側の該回転加熱部材の
    温度Z2(℃)と、該回転部材を発熱させる部位に至る
    前の該回転加熱部材温度をZ3(℃)とが下記条件 Z3≦Z2<Z1 を満足することを特徴とする請求項21乃至24のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  26. 【請求項26】 該回転加熱部材の発熱層の厚さが1〜
    200μm、離型層の厚さが1〜100μmであり、該
    回転加熱部材と回転加圧部材により形成されるニップ幅
    が5〜15mmであり、且つ、該回転加熱部材を記録材
    を介して線圧490〜1372N/m(0.5〜1.4
    kgf/cm)で該回転加圧部材を押圧しながら定着ス
    ピード400mm/秒以下の条件でトナー画像を加熱加
    圧定着することを特徴とする請求項21乃至25のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  27. 【請求項27】 該回転加熱部材が弾性層を有すること
    を特徴とする請求項21乃至26のいずれかに記載の画
    像形成方法。
  28. 【請求項28】 弾性層の厚さが10〜500μmであ
    ることを特徴とする請求項27に記載の画像形成方法。
  29. 【請求項29】 該回転加熱部材の周長Laと該回転加
    圧部材の周長Lbとが下記条件 0.4×La≦Lb≦0.95×La<400mm を満足することを特徴とする請求項21乃至28のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  30. 【請求項30】 該加熱部材の周長Laに対して、ニッ
    プ中心を基準として、記録材突入側La/4の点から記
    録材排出側La/8の点の範囲において少なくとも該発
    熱層を発熱させることを特徴とする請求項21乃至29
    のいずれかに記載の画像形成方法。
  31. 【請求項31】 該記録材突入側の該回転部材の温度Z
    1(℃)が下記条件 Z1<250℃ を満足することを特徴とする請求項21乃至30のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  32. 【請求項32】 該トナーの含水率が2.00質量%以
    下であることを特徴とする請求項21乃至31のいずれ
    かに記載の画像形成方法。
  33. 【請求項33】 該トナー中に含有されている残留モノ
    マーの含有量が、トナーの質量を基準として200pp
    m以下であることを特徴とする請求項21乃至32のい
    ずれかに記載の画像形成方法。
  34. 【請求項34】 該トナーの含水率が1.00質量%以
    下であることを特徴とする請求項21乃至33のいずれ
    かに記載の画像形成方法。
  35. 【請求項35】 該トナー中に含有されている残留モノ
    マーの含有量が、トナーの質量を基準として100pp
    m以下であることを特徴とする請求項21乃至34のい
    ずれかに記載の画像形成方法。
  36. 【請求項36】 該トナーのDSC(昇温測定)による
    吸熱ピークが20〜200℃に存在し、その最大吸熱ピ
    ークが50℃〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項21乃至35のいずれかに記載の画像形成方法。
  37. 【請求項37】 該トナーのDSC(降温測定)による
    発熱ピークが20〜200℃に存在し、その最大発熱ピ
    ークが40℃〜150℃に位置することを特徴とする請
    求項21乃至35のいずれかに記載の画像形成方法。
  38. 【請求項38】 該トナーが重合法により得られた粒子
    であることを特徴とする請求項21乃至37のいずれか
    に記載の画像形成方法。
  39. 【請求項39】 該トナーのモード円形度が0.990
    以上であることを特徴とする請求項19乃至38のいず
    れかに記載の画像形成方法。
  40. 【請求項40】 該トナーは、一次平均粒径4〜80n
    mの疎水化処理された無機微粉体を有することを特徴と
    する請求項21乃至39のいずれかに記載の画像形成方
    法。
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