JP7508837B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
媒体への画像形成方法のひとつとして、トナーを含有する現像剤を用いた電子写真技術による画像形成方法がある。前記画像形成方法は、感光体表面に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像してトナー像を形成し、前記トナー像を媒体に転写し、定着させることで行われる。前記トナー像は、結着樹脂、着色剤、及び離型剤等を含むトナーにより形成されることが広く行われている(例えば、特許文献1~2参照)。
前記トナー像を媒体に定着させるために、定着装置が用いられる。前記定着装置として、例えば、定着ローラーと、前記定着ローラーに対向して配置され、前記定着ローラーに圧接し、ニップ部を形成するように設けられる加圧ローラーとを有するものが挙げられる。ヒーターを用いて前記ニップ部を加熱し、前記ニップ部に前記トナー像が転写された前記媒体を通し、前記トナーの一部が溶融することで、前記媒体にトナー像を定着させる。
前記ニップ部の加熱を、板状ヒーターを用いて行う、サーフ方式と呼ばれる定着装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。前記板状ヒーターを用いることで、効率的に前記ニップ部を加熱でき、使用するエネルギーを低減できることが知られている。
本発明は、ニップ部を加熱するヒーターを具備した定着装置において、オフセットの発生を抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像形成装置は、
トナーを有し、前記トナーを用いて静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を媒体に転写する転写手段と、
前記媒体に転写されたトナー像を前記媒体に定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
前記定着手段が、加圧手段と、前記加圧手段に対向して配置され、前記加圧手段との間でニップ部を形成する加熱手段と、を有し、
前記加熱手段が、湾曲部を有するヒーターを有し、
前記ヒーターは導線部と加熱部を有し、前記導線部又は前記加熱部の一部が前記湾曲部であり、
前記トナーが、結着樹脂、及び融点が73℃以下の離型剤を含むことを特徴とする。
本発明によると、ニップ部を加熱するヒーターを具備した定着装置において、オフセットの発生を抑えることができる画像形成装置を提供することができる。
図1は、定着手段の一例の概略構成を示す拡大断面図である。 図2は、定着手段の他の一例の概略構成を示す拡大断面図である。 図3は、ヒーターの一例の概略構成を示す拡大展開図である。 図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。 図5は、比較例2などで用いた定着手段を示す概略断面図である。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、現像手段、転写手段、及び定着手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に行われる。
板状ヒーターを用いて、ニップ部を効率的に加熱するサーフ方式の定着方式は、これまでに多く提案されている。しかし、前記サーフ方式の定着方式では、ニップ部では高温であるが、ニップ部以外の部分では急激に冷やされるため、定着部材が加熱と冷却とを繰り返すことになる。定着部材において加熱されて溶融されたトナーが、定着部材にある状態で冷却されることになり、定着部材上で冷却されて固まる。このため、加熱と冷却とを繰り返すと、トナーが前記定着部材に付着するオフセットが発生しやすいという問題があった。
そこで、本発明者らは、オフセットを防止できる画像形成装置及び画像形成方法を提供するために鋭意検討を行ったところ、以下の知見を得た。
・トナーに含有させる離型剤(ワックスとも称する)の融点を低くすると、定着時にワックスの溶融が容易になるため、オフセットを抑えることができる。
・定着装置内のヒーターの形状を湾曲形状にすることで、加熱幅が広くなり、ヒーター温度を下げることができる。このため、従来用いられている離型剤より低い融点を有する離型剤を使用することが可能となる。
以上のことから、低融点の離型剤を少量含有させたトナーを、湾曲形状であるヒーターを有する定着装置に用いることで、サーフ方式が従来有していた省エネ効果を保ちつつ、オフセットの発生を防止できることを見出し、本発明の完成に至った。
<現像手段>
現像手段は、トナーを用いて静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する手段である。
前記現像手段により、現像工程を行うことができる。
<<静電潜像担持体>>
前記静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。前記像担持体の形状としては、例えば、ドラム状、ベルト状などが挙げられる。前記像担持体の材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。
静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。
静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電手段(帯電器)と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段(露光器)とを少なくとも備える。
帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<<トナー>>
本発明のトナーは、結着樹脂、及び融点が73℃以下の離型剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
-結着樹脂-
前記結着樹脂(以下、バインダ樹脂とも称する)としては、公知のポリエステルを使用することができる。
-変性ポリエステル-
前記トナーはバインダ樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。 具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。 上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。 これらのうち好ましいものは、炭素数2~12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2~12のアルキレングリコールとの併用である。 3価以上の多価アルコール(TO)としては、3~8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。
2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。 これらのうち好ましいものは、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸である。 3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9~20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1~1/1、好ましくは1.5/1~1/1、さらに好ましくは1.3/1~1.02/1である。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1~1/1、好ましくは4/1~1.2/1、さらに好ましくは2.5/1~1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5質量%~40質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましく、2質量%~20質量%が更に好ましい。
0.5質量%以上では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になるという不具合を防止できる。また、40質量%を以下であると低温定着性が悪化するという不具合を防止できる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、平均1個以上が好ましく、平均1.5個~3個がより好ましく、平均1.8個~2.5個が更に好ましい。1分子当たり1個以上では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化するという不具合を防止できる。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1~B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1~B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1~B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、1/2~2/1が好ましく、1.5/1~1/1.5がより好ましく、1.2/1~1/1.2が更に好ましいである。
[NCO]/[NHx]が1/2~2/1では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化するという不具合を防止できる。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。
ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、100/0~10/90が好ましく、80/20~20/80がより好ましく、60/40~30/70が更に好ましい。 ウレア結合のモル比が10%以上であると、耐ホットオフセット性が悪化するという不具合を防止できる。
本発明で用いられる変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。
変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、1万以上が好ましく、2万~1000万がより好ましく、3万~100万が更に好ましい。
この時のピーク分子量は1,000~10,000が好ましい。ピーク分子量が、1,000以上では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なくその結果耐ホットオフセット性が悪化するという不具合を防止できる。また、10,000以下であると、定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなるという不具合を防止できる。
変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。
(i)単独の場合は、数平均分子量は、20,000以下が好ましく、1,000~10,000がより好ましく、2,000~8,000が更に好ましい。数平均分子量が、20,000以下であると、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化するという不具合を防止できる。
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。
反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
-未変性ポリエステル-
本発明においては、前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)をバインダ樹脂成分として含有させることもできる。 (ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。
(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。
また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。
(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。
(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、5/95~80/20が好ましく、5/95~30/70がより好ましく、5/95~25/75が更に好ましく、7/93~20/80が特に好ましい。
(i)の重量比が5%以上では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になるという不具合を防止できる。
(ii)のピーク分子量は、1,000~10,000が好ましく、2,000~8,000がより好ましく、2,000~5,000。
ピーク分子量が、1,000以上では耐熱保存性が悪化するという不具合を防止でき、10,000以下であると、低温定着性が悪化するという不具合を防止できる。
(ii)の水酸基価としては、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g~120mgKOH/gがより好ましく、20mgKOH/g~80mgKOH/gが更に好ましい。水酸基価が、5mgKOH/g以上であると、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になるという不具合を防止できる。
(ii)の酸価としては、1mgKOH/g~5mgKOH/gが好ましく、2mgKOH/g~4mgKOH/gがより好ましい。
バインダ樹脂のガラス転移点(Tg)としては、35℃~70℃が好ましく、55℃~65℃がより好ましい。ガラス転移点が、35℃以上であると、トナーの耐熱保存性が悪化するという不具合を防止でき、70℃以下であると、低温定着性が不十分となるという不具合を防止できる。ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、本発明のトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
-離型剤-
前記離型剤(ワックス)としては、融点が73℃以下であれば、通常のトナーに使用するものであれば、特に制限なく、目的に応じて適宜選択できる。前記離型剤としては、例えば、酸価5KOHmg/g以下の酸価を有した脱遊離脂肪酸カルナウバワックス、ライスワックス、モンタン系エステルワックス、エステルワックス、脂肪酸エステル、パラフィンワックスが挙げられる。 これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記離型剤の融点としては、73℃以下であり、70℃以下がより好ましい。前記融点が、73℃以上であると、低温定着させる場合において、離型剤の溶けだしが悪くなり、オフセットの発生を抑えられなくなる場合がある。
トナー中の離型剤の融点の測定方法としては、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(DSC-60、株式会社島津製作所製)を用いて、以下の方法により測定することができる。
トナー(試料)約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。 次いで、窒素雰囲気下、20℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱し、示差走査熱量計(DSC-60、株式会社島津製作所製)によりDSC曲線を計測する。 得られたDSC曲線から、DSC-60システム中の解析プログラムを用いて、離型剤に由来する融解ピークのボトム値をDSC-60システム中の解析プログラムを用いて読み取ることで、離型剤の融点を求めることができる。離型剤は一般に結晶性成分であるため、1回目の加熱時と二回目の加熱時とで殆ど同じDSCプロファイルが得られる。これを離型剤の融解ピークとすることができる。
FTIR-ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2850cm-1)とピーク(828cm-1)との強度比(P2850/P828)としては、0,01以上0.40以下が好ましく、0.03~0.30がより好ましい。。
前記強度比(P2850/P828)は、トナー表面の離型剤の量を表す。
上記強度比が0.01以上では、トナー粒子表面近傍のワックス量が少なく、定着の際に十分な離型性を得ることができないという不具合を防止できる。 また、強度比が0.40以下であると、トナー粒子表面近傍のワックス量が多くなり、トナー粒子最表面に露出しやすくなり機内汚染が起こる不具合を防止できる。
前記赤外スペクトルは、適宜選択した方法により測定することができる。例えば、先ず試料として、トナー3gを自動ペレット成型器(Type M No.50 BRP-E;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)で6tの荷重で1分間プレスして40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製する。そのトナーペレットをフーリエ変換赤外分光分析測定装置(Avatar370/ThermoElectron社製)を用いた、ATR法(全反射法)にて測定する方法がある。本発明では2850cm-1のピーク(高さのベースライン2830cm-1~2870cm-1)をP2850とし、828cm-1のピーク(高さのベースライン743cm-1~890cm-1)をP828として強度比(P2850/P828)を用いた。ここで、高さのベースラインが2830~2870cm-1である2850cm-1のピークとは、2830cm-1~2870cm-1の範囲にあるピークを2850cm-1のピークとすることを意味する。また、高さのベースライン743cm-1~890cm-1である828cm-1のピークとは、743cm-1~890cm-1の範囲にあるピークを828cm-1のピークとすることを意味する。
なお、P2850は離型剤由来のピークであり、離型剤単独のFTIR-ATR法によるスペクトルの全域図から特徴的なピークを抽出し設定を行った。P828は結着樹脂に由来するピークであり、検出されている構造としては脂肪族-芳香族エーテルのC-O-C逆対称伸縮に由来するピークであると推測される。
離型剤の含有量としては、トナー全体に対して、1質量%~20質量%が好ましく、3質量%~10質量%がより好ましい。離型剤の含有量が、1質量%以上であると、オフセット性が悪化するという不具合を防止できる。また、20質量%以下であると、定着時にワックスの溶け出しが多くなり微粒子(UFP)の発生が多くなるという不具合を防止できる。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、通常のトナーに含まれるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、着色剤、外添剤などが挙げられる。
着色剤としては、公知の染料及び顔料が使用できる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量としては、トナーに対して1質量%~15質量%が好ましく、3質量%~10質量%がより好ましい。
前記着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。 マスターバッチの製造、又はマスターバッチとともに混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ-p-クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
上記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。 この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。 また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。 混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
前記外添剤としては、通常トナーに用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノシリル基を表面に有するシリカ粒子、トリアジン環を有する樹脂粒子などが挙げられる。
-アミノシリル基を表面に有するシリカ粒子-
前記アミノシリル基を表面に有するシリカ粒子は、シランカップリング剤であるアミノシランカップリング剤により表面処理されたシリカ粒子のことである。
前記アミノシリル基を表面に有するシリカ粒子を前記トナーに混合させることにより、トナーの電界応答性を向上させ、地汚れを抑制できることから好ましい。
前記アミノシリル基を表面に有するシリカ粒子の一次粒子の平均粒子径としては、40nm~160nmが好ましく、60nm~120nmがより好ましい。40nm以上であると、トナー母体粒子へ埋まりこみやすくなるため電界応答性向上機能が低くなるという不具合を防ぐことができ、160nm以下であると、クリーニング不良や部材汚染を引き起こすという不具合を防ぐことができる。なお、クリーニング性の観点から、前記アミノシリル基を表面に有するシリカ粒子は、一次粒子が2つ以上集まった状態にあるものが好ましく、数個~数十個凝集した凝集体を含んでいることがより好ましい。
外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
<<トナーの製造方法>>
トナーの製造方法としては、例えば、以下のようにして製造することができる。
1)着色剤、未変性ポリエステル(i)、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。
特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100質量部に対し、0質量部~300質量部が好ましく、0~100質量部がより好ましく、25質量部~70質量部が更に好ましい。
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100質量部に対する水系媒体の使用量は、50質量部~20,000質量部が好ましく、100質量部~1000質量部がより好ましい。50質量部以上であると、トナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないという不具合を防止できる。20,000質量部以下であると、経済的でないという不具合を防止できる。
水系媒体に分散させる前記樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)としては、50℃~110℃が好ましく、50℃~90℃がより好ましく、50℃~70℃が更に好ましい。ガラス転移点(Tg)が50℃以上の場合、トナー保存性の悪化、又はリサイクル時トナー回収経路にて固着、凝集する確率が高くなる不具合をぼうしできる。ガラス転移点(Tg)が110℃以下の場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまうという不具合を防止できる。
また、その重量平均分子量は10万以下であることが好ましく、5万以下がより好ましい。その下限値は、4,000が好ましい。重量平均分子量が10万以下である場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまうという不具合を防止できる。
前記樹脂微粒子は水性分散体を形成しうる樹脂であれば公知の樹脂が使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂又はそれらの併用樹脂からなるものが好ましい。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン-アクリル酸エステル樹脂、スチレン-メタクリル酸エステル樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸-アクリル酸エステル重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
樹脂微粒子において、その体積平均粒径は、光散乱光度計(大塚電子株式会社製)にて測定した値で、10nm~200nmが好ましく、20nm~80nmがより好ましい。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤などが挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。
好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2~10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3-[ω-フルオロアルキル(C6~C11)オキシ]-1-アルキル(C3~C4)スルホン酸ナトリウム、3-[ω-フルオロアルカノイル(C6~C8)-N-エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11~C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7~C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4~C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N-プロピル-N-(2-ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6~C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6~C10)-N-エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6~C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
商品名としては、サーフロンS-111、S-112、S-113(旭硝子株式会社製)、フロラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129(住友3M社製)、ユニダインDS-101、DS-102(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF-110、F-120、F-113、F-191、F-812、F-833(大日本インキ株式会社製)、エクトップEF-102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF-100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6-C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを使用できる。
商品名としては、サーフロンS-121(旭硝子株式会社製)、フロラードFC-135(住友3M社製)、ユニダインDS-202(ダイキンエ業株式会杜製)、メガファックF-150、F-824(大日本インキ株式会社製)、エクトップEF-132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF-300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるため、又は、ワックスのトナー最表面への露出を防ぐために加えられる。
このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10~90%の範囲になるように加えられることが好ましい。
例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB-200H(花王株式会社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業株式会社製)、SGP-3G(総研株式会社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。 例えばアクリル酸、メタクリル酸、α-シアノアクリル酸、α-シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸-β-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-β-ヒドロキシエチル、アクリル酸-β-ヒドロキシプロビル、メタクリル酸-β-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-γ-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-γ-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-3-クロロ2-ヒドロキシプロビル、メタクリル酸-3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。
この中でも、分散体の粒径を2~20μmにするために高速せん断式が好ましい。
高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000~30000rpm、好ましくは5000~20000rpmである。
分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1~5分である。
分散時の温度としては、通常、0~150℃(加圧下)、好ましくは40~98℃である。
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。
反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、10分~40時間が好ましく、2時間~24時間がより好ましい。
反応温度は、通常、0℃~150℃が好ましく、40~98℃がより好ましい。また、必要に応じてジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどの公知の触媒を使用することができる。
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。
また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。
その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。 さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
ただし、製造方法はこれに限らず、粉砕法で製造してもよい。
<転写手段>
前記転写手段は、前記トナー像を媒体に転写する手段である。
転写工程は、トナー像を媒体に転写する工程であり、前記転写手段により行われる。
前記転写手段としては、通常の画像形成装置に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
<定着手段>
前記定着手段は、媒体に転写されたトナー像を媒体に定着させる手段である。
定着工程は、媒体に転写されたトナー像を媒体に定着させる工程であり、前記定着手段により行われる。
前記定着手段は、加圧手段、及び加熱手段を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記加圧手段の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円筒形状が好ましい。
前記加熱手段は、前記加圧手段に対向して配置され、前記加圧手段との間でニップ部(以下、「定着ニップ」とも称する)を形成する。
ニップ部とは、加圧手段と加熱手段とが当接している部分を指す。
前記加熱手段は、湾曲部を有するヒーターを有する。
図を用いて定着手段の一例を説明する。
図1は、定着手段10の一例の概略構成を示す拡大断面図である。
図1に示す定着手段10は、加熱手段100と加圧手段200を有している。図中の下方から紙が定着ニップ(加熱手段100と加圧手段200が互いに押圧して形成される領域)に進入し、定着ニップで紙上のトナーが定着されて、紙が図中の上方に通過して定着ニップを抜けていく。
加熱手段100は、無端状で円筒状の定着フィルム101と、ヒーターを支持する支持部材102と、定着フィルムに熱を与えるヒーター103を備える。
定着フィルム101は、ポリイミドの基材に離型性を有する離型層を形成したものが用いられる。定着フィルム101は定着装置10のフレームに回転可能に支持されている。
支持部材102は定着装置10のフレームに固定されている。
なお、定着フィルム101としては、基材と離型層との間にゴム等の弾性層を更に有しても良い。この場合、定着フィルムと加圧手段との密着性が向上するため、定着性がさらに向上する。
ヒーターの形状としては、通常の定着装置に用いられる形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、板状、図2に示すようなブロック状が挙げられる。
ヒーター103は、湾曲形状を有する湾曲部を有しており、支持部材102に支持されている。また、加圧手段に対向するように設けられている。
前記湾曲形状とは、弓なりに曲がっている状態を指し、例えば、前記加熱手段(前記ヒーター)が、前記加圧手段側に対して凹形状に湾曲部を有すること、前記加圧手段側に対して凸形状に湾曲部を有することが挙げられる。湾曲形状としては、前記加圧手段側に対して凹形状に湾曲部を有することが好ましい。また、板状ヒーター103の湾曲部は、図1では定着ニップ入口側と出口側の2か所設けらているが、湾曲部をどちらか片側のみ設ける構成でも良い。
ヒーター103の湾曲形状の曲率としては、0.02~0.05が好ましく、0.03~0.04がより好ましい。0.02以上であると、定着ニップ幅を十分に大きくすることができないという不具合を防止できる。また、0.05以下であると、分離性や搬送性に悪影響が出るという不具合を防止できる。
なお、前記湾曲率は、湾曲部の両端部を延ばした仮想円を描いた時の当該仮想円の半径Rの逆数である。
ヒーターは、不図示のコネクタから電力が供給されると定着フィルムを加熱する。また不図示の温度検知手段により温度を検知して、定着フィルムを加熱する温度が一定となるように制御部により制御されている。
加圧手段200は、円筒状の芯材201、芯材の周りに設けられる弾性層202、弾性層の表面に位置する表面層203を備える。芯材201はアルミニウムやステンレス等の金属で形成される円筒状(もしくは円柱状)の部材である。弾性層202はシリコーンゴムなどの弾性を有する材料から形成されており、表面層203はフッ素樹系樹脂などから形成される離型性を有する構成になっている。加圧手段200は不図示のバネ等によって、加熱手段100を加圧する。
加熱手段100と加圧手段200とが接触する定着ニップ部分に紙Pが突入することで、紙P上のトナーは、熱や圧力によって定着することができる。
図を用いて加熱手段の一部であるヒーターの一例を説明する。
図3は、ヒーター103の一例の概略構成を示す拡大展開図である。
ヒーター103は、長手方向に並設する複数(図3では7個)の導線部111、及び加熱部112を有する。
導線部111は装置全体の電源ユニットから電力が供給される。導線部111を介して加熱部112に電流が流れる。
加熱部112は抵抗発熱体から構成されており、電流が流れると発熱する。
温度検知手段(サーミスタ等)は図示しないが、各加熱部112にそれぞれ設けられており、適切な温度になるように定着温度の制御に用いられている。
印刷する紙の幅が狭い場合(例えばA4幅)、真ん中の5個の加熱部が発熱し、紙の幅が長い場合(例えばA3幅)の場合は、7個全ての加熱部が発熱する。これにより幅の狭い紙を連続して通紙する際に生じる定着の端部温度上昇を防ぐことができる。
ここで、ヒーター103の湾曲部(折り曲げ部)の位置は、導線部111と加熱部112との境目にしてもよい(図3のL1に湾曲部)。その場合定着ニップの幅は、加熱部112の幅とほぼ等しくなる。即ち、ヒーターの湾曲部の幅が、ニップ部の幅と等しくなる。この「等しい」とは、ヒーターの湾曲部の幅と、加熱部の幅との長さの差が、0.5mm以下であることを指す。この場合、ニップ幅を有効に使えて効率的に熱を伝えることができる。
さらに、加熱部112の一部に湾曲部の位置が来るようにしても良い(図3のL2に湾曲部)。その場合、定着ニップ幅(湾曲部の幅)より加熱部112の幅が大きくなる。この場合、定着ニップを過ぎて急激に温度が下がることを抑制できオフセットを抑制する点で有利に働く。
また、導線部111の一部に湾曲部の位置が来るようにしても良い(図3のL3に湾曲部)。その場合、定着ニップ幅(湾曲部の幅)より加熱部112の幅が小さくなる。この場合、加工上、湾曲部を設けやすい。
本発明の画像形成装置について、図面を用いて説明する。
図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
画像形成装置1は、主に、装置の下方に位置する給紙部、電子写真プロセスで紙上にトナー画像を形成する作像部、作像後の紙を装置の外に排出する排紙部、これらの動作を制御する制御部(不図示)からなる。
給紙部は、紙Pを収容する給紙カセット2と、紙Pを一枚ずつピックアップして作像部へ給送する給紙ローラ3を備えている。
制御部は、プリントやコピーといった印刷ジョブを受け付けると、給紙ローラ3が紙Pをピックアップして図4の上方へ給送する。給紙ローラ3を抜けた紙Pは、搬送ローラ対によって、中間転写ベルトと転写ローラの間の二次転写ニップに向けて搬送される。
作像部は、光書込装置4と、現像装置5Y,5M,5C,5Kと、現像装置5と隣接して設けられる感光体ユニット6Y,6M,6C,6Kと、中間転写ベルトを備える中間転写ユニット7と、中間転写ベルトと対向して設けられる転写ローラ8と、YMCKトナーをそれぞれ収容するトナー容器9Y,9M,9C,9Kと、定着装置10とを備えている。
光書込装置4は、レーザー光(もしくはLED光)を像坦持体としてのYMCKそれぞれの感光体ドラムの表面に照射して、感光体ドラム上に印刷したい画像に合わせた潜像(静電潜像)を形成する。
現像装置5は、YMCKそれぞれの感光体ドラム上に形成された潜像に対してYMCKのトナーで現像する。なお、トナー容器9が収容するトナーは、不図示の補給手段によって、現像装置5に補給される。
感光体ユニット6は、像坦持体としての感光体ドラム、転写後に感光体ドラム上に残ってしまうトナーを清掃するクリーニング部材(ブレードやローラ、ブラシなど)を備えている。なお、現像装置5と感光体ユニット6は一体で構成されていても良い。
中間転写ユニット7は、複数のローラーで張架されて回転する無端状のベルトである中間転写ベルトと、YMCK感光体ドラムとベルトを介して対向する位置に設けられる不図示の一次転写ローラを備えている。感光体上に現像されたトナー像は、一次転写ローラーにより中間転写ベルトへ一次転写されて、YMCK重なったカラー画像を形成する。制御部よって、中間転写ベルト上のカラー画像と紙Pの位置が合うように、搬送タイミングや作像タイミングが制御される。
転写ローラー8は、中間転写ベルト上のカラー画像を紙Pに二次転写する。なお、転写ローラー8はローラー形状でなくてもベルト形状でも良い。
定着装置10は、前述した定着装置であって、紙Pに二次転写されたトナー像に熱を与えて定着する。また定着するとともに、紙Pを図の上方に位置する排紙部へ搬送する。
排紙部は、定着後の紙Pを挟みながら機外に排出する排紙ローラー11や、排出された紙Pをストックする排紙トレイを備える。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
二成分現像剤に用いる磁性キャリアは、各実施例とも共通して以下のものを用いた。
(磁性キャリアの製造)
・芯材 Cu-Znフェライト粒子(重量平均粒径:35μm)5000部
・コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%)450部
アミノシランSH6020
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製) 10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し、シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚さでコーティングされたキャリアを得た。
(二成分現像剤の作製)
キャリア100質量部に対し、以下の実施例に示す各色トナー7質量部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤を作製した。
(実施例1)
<微粒子分散液の合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3、800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し4時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920:堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、110nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは58℃であり、重量平均分子量は13万であった。
<水相の調整>
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON-7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
<低分子ポリエステルの合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を入れ、常圧下230℃で7時間重縮合し、さらに10~15mmHgの減圧下で5時間反応して[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2,300、重量平均分子量6,700、ピーク分子量3,800、Tg43℃、酸価4mgKOH/gであった。
<中間体ポリエステルの合成>
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230℃で7時間反応し、さらに10~15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2,200、重量平均分子量9,700、ピーク分子量3,000、Tg54℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。
<ケチミンの合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で4時間半反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は417mgKOH/gであった。
<マスターバッチの合成>
水1,200部、カーボンブラック(Printex35:デクサ製)540部[DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5]、 ポリエステル樹脂1,200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
<油相の作製>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、離型剤としてのエステルワックス(融点67℃、100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
なお、エステルワックスは、通常のエステルワックス(ニッサンエレクトールWEP-4、日油株式会社製)の低揮発成分を除去して、融点が67℃となるように、常法により精製したものを用いた。
[原料溶解液1]1,324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・ワックス分散液1]を得た。[顔料・ワックス分散液1]の固形分濃度は50%であった。
<乳化~脱溶剤>
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで25分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で7時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
<洗浄~乾燥>
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
I:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
II:Iの濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
III:IIの濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
IV:IIIの濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い、[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体粒子1]を得た。その後、[トナー母体粒子1]100部に疎水性シリカ1部と、疎水化酸化チタン1部をヘンシェルミキサーにて混合して[トナー1]を得た。得られた[トナー1]の物性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、離型剤をパラフィンワックス(融点:70℃、商品名:パラフィンワックス155、日本精蝋株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして[トナー2]を作製した。
(実施例3)
実施例1において、離型剤をエステルワックス(融点73℃、商品名:WEP-3、ニッサンエレクトール社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして[トナー3]を作製した。
(比較例1)
実施例1において、離型剤をエステルワックス(融点78℃、商品名:WEP-8、ニッサンエレクトール社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして[トナー4]を作製した。
(比較例2)
実施例1と同じトナーを用いた。
(比較例3)
実施例1において、離型剤をエステルワックス(融点78℃、商品名:WEP-6、ニッサンエレクトール社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして[トナー5]を作製した。
(比較例4)
比較例3と同じトナーを用いた。
得られたトナーについて、下記の方法により離型剤の融点、及び表面離型剤量を測定した。測定結果を表1に示した。
<離型剤の融点>
約5.0mgの得られたトナーをアルミニウム製の試料容器に入れ、この試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次いで、窒素雰囲気下、20℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱し、示差走査熱量計(DSC-60、株式会社島津製作所製)を用いて、DSC曲線を計測する。
得られたDSC曲線から、DSC-60システム中の解析プログラムを用いて、離型剤に由来する融解ピークのボトム値を読み取り、離型剤の融点を求めた。
<表面離型剤量>
表面離型剤量(ピーク強度比P2850/P828)はフーリエ変換赤外分光分析測定装置(Avatar370/ThermoElectron社製)ATR法(全反射法)を用いて測定したスペクトルから求めた。測定条件は以下のようにした。
[測定条件]
測定装置:装置名:Avatar370、ThermoElectron社製
測定範囲:4000cm-1~400cm-1
分解能:4cm-1
積算回数:4回
トナー濃度:0.420±0.003質量%
試料は、以下のように作製した。
トナー3gを自動ペレット成型器(Type M No.50 BRP-E;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)で6tの荷重で1分間プレスして40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製した。そのトナーペレットをフーリエ変換赤外分光分析測定装置(Avatar370/ThermoElectron社製)を用いた、ATR法(全反射法)にて上記の測定条件において測定した。
本発明ではピーク2,850cm-1(高さのベースライン2830~2870cm-1)をP2850とし、ピーク828cm-1(高さのベースライン743~890cm-1)をP828として強度比(P2850/P828)を算出した。
得られたトナーについて、下記の方法により、オフセット性、及び機内汚染を評価した。評価結果を表1に示した。
画像形成装置としては、実施例1~3、比較例1、3では、市販の画像形成装置(35cpm、フルカラー、商品名:RICOH IM C3500、株式会社リコー製)の定着装置を、図1に示す湾曲形状の板状ヒーターを有するサーフ形式の定着装置にする改造を行ったものを用いた。なお、湾曲形状の曲率(湾曲部の曲率)は0.025である。
なお、図1に示す定着装置は、ヒーターの湾曲部の幅が、ニップ部の幅と等しい装置である。
また、比較例2、4では、市販の画像形成装置(35cpm、フルカラー、商品名:RICOH IM C3500、株式会社リコー製)の定着装置を、図5に示すような平板形状(湾曲していない)のヒーターを有する定着装置にする改造を行ったものを用いた。
これらの画像形成装置により、3%画像面積チャートを30,000枚出力した。
<オフセット性>
印刷後の定着装置を取り出し、目視により検査をし、オフセット(トナーの定着部材への付着)の有無を調べた。その後、下記評価基準に基づき、オフセット性を評価した。
-評価基準-
○ 全くオフセットが見られなかった
× オフセットが見られた
<機内汚染>
印刷後、画像形成装置において、UFP(トナー中のワックスの揮発により発生する微粒子)量を粒子計測器により測定した。測定結果に基づき、下記評価基準に基づき、機内汚染を評価した。
-評価基準-
○ UFPの発生量が非常に少なく、使用に問題がない
△ UFPの発生量が少ないが、使用にやや問題がある
× UFPの発生量が非常に多く、使用に問題がある
Figure 0007508837000001
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> トナーを用いて静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を媒体に転写する転写手段と、
前記媒体に転写されたトナー像を前記媒体に定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
前記定着手段が、加圧手段と、前記加圧手段に対向して配置され、前記加圧手段との間でニップ部を形成する加熱手段と、を有し、
前記加熱手段が、湾曲部を有するヒーターを有し、
前記トナーが、結着樹脂、及び融点が73℃以下の離型剤を含むことを特徴とする画像形成装置である。
<2> 前記加圧手段が、円筒形状である前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 前記湾曲部を有するヒーターが、前記加圧手段側に対して凹形状に湾曲部を有するヒーターである前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<4> 前記ヒーターの湾曲部の曲率が、0.02~0.05である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> FTIR-ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2850cm-1)とピーク(828cm-1)との強度比(P2850/P828)が0.01以上0.40以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 前記ヒーターの形状が、板状である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 前記ヒーターが、前記加圧手段に対向するように設けられる前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<8> 前記ヒーターの加熱部の幅が、前記ニップ部の幅と等しい前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<9> 前記ヒーターの加熱部の幅が、前記ニップ部の幅より大きい前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<10> 前記ヒーターの加熱部の幅が、前記ニップ部の幅より小さい前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<11> 前記離型剤の含有量が、1質量%~20質量%である前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<12> 前記離型剤の含有量が、3質量%~10質量%である前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<13> トナーを用いて静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を媒体に転写する転写工程と、
前記トナー像が転写された媒体を、加圧手段及び前記加圧手段に対向して配置された加熱手段により形成されたニップ部を通して、前記トナー像を前記媒体に定着させる定着工程と、を有する画像形成方法であって、
前記加熱手段が、湾曲部を有するヒーターを有し、
前記トナーが、結着樹脂、及び融点が73℃以下の離型剤を含むことを特徴とする画像形成方法。
前記<1>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置、及び前記<13>に記載の画像形成方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 画像形成装置
2 給紙カセット
3 給紙ローラー
4 光書込装置
5 現像装置
6 感光体ユニット
7 中間転写ユニット
8 転写ローラー
9 トナー容器
10 定着装置
11 排紙ローラー
P 紙
100 加熱手段
103 ヒーター
200 加圧手段
特許第4255846号公報 特開2010-85909号公報 特開2018-169417号公報

Claims (11)

  1. トナーを有し、前記トナーを用いて静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を媒体に転写する転写手段と、
    前記媒体に転写されたトナー像を前記媒体に定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
    前記定着手段が、加圧手段と、前記加圧手段に対向して配置され、前記加圧手段との間でニップ部を形成する加熱手段と、を有し、
    前記加熱手段が、湾曲部を有するヒーターを有し、
    前記ヒーターは導線部と加熱部を有し、導線部又は加熱部の一部が湾曲部であり、
    前記トナーが、結着樹脂、及び融点が73℃以下の離型剤を含み、
    前記結着樹脂がポリエステル樹脂を含み、
    前記トナーの、FTIR-ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2850cm -1 )とピーク(828cm -1 )との強度比(P 2850 /P 828 )が0.01以上0.40以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記加圧手段が、円筒形状である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記湾曲部を有するヒーターが、前記加圧手段側に対して凹形状に湾曲部を有するヒーターである請求項1から2のいずれかに記載の画像形成装置。
  4. 前記ヒーターの湾曲部の曲率が、0.02~0.05mm-1である請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記ヒーターの形状が、板状である請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記ヒーターが、前記加圧手段に対向するように設けられる請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記ヒーターの加熱部の幅が、前記ニップ部の幅と等しい請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記ヒーターの加熱部の幅が、前記ニップ部の幅より大きい請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記ヒーターの加熱部の幅が、前記ニップ部の幅より小さい請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記離型剤のトナー全体に対する含有量が、1質量%~20質量%である請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
  11. トナーを用いて静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記トナー像を媒体に転写する転写工程と、
    前記トナー像が転写された媒体を、加圧手段及び前記加圧手段に対向して配置された加熱手段により形成されたニップ部に通して、前記トナー像を前記媒体に定着させる定着工程と、を有する画像形成方法であって、
    前記加熱手段が、湾曲部を有するヒーターを有し、
    前記ヒーターは導線部と加熱部を有し、前記導線部又は前記加熱部の一部が前記湾曲部であり、
    前記トナーが、結着樹脂、及び融点が73℃以下の離型剤を含み、
    前記結着樹脂がポリエステル樹脂を含み、
    前記トナーの、FTIR-ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められるピーク(2850cm -1 )とピーク(828cm -1 )との強度比(P 2850 /P 828 )が0.01以上0.40以下であることを特徴とする画像形成方法。
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