JP2006106710A - 画像定着方法及び画像定着装置、並びに、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

画像定着方法及び画像定着装置、並びに、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006106710A
JP2006106710A JP2005256358A JP2005256358A JP2006106710A JP 2006106710 A JP2006106710 A JP 2006106710A JP 2005256358 A JP2005256358 A JP 2005256358A JP 2005256358 A JP2005256358 A JP 2005256358A JP 2006106710 A JP2006106710 A JP 2006106710A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
wax
toner
amount
fixing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005256358A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4955965B2 (ja
Inventor
Koshin Sugiyama
恒心 杉山
Yoichiro Watanabe
陽一郎 渡辺
Yuji Yamashita
裕士 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2005256358A priority Critical patent/JP4955965B2/ja
Publication of JP2006106710A publication Critical patent/JP2006106710A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4955965B2 publication Critical patent/JP4955965B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 記録媒体の定着部材への巻付きを防止し、オフセット性が良好で光沢性に優れ、高画質な画像が得られる画像定着方法等の提供。
【解決手段】 トナーによる画像を少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させて記録媒体に定着させ、前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、トナーが、ワックスとポリエステル樹脂とを含んでなり、ワックスの含有量が1〜20質量%、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する量がワックス由来とポリエステル樹脂由来とのピーク強度比で0.05〜0.40、かつ該強度比を質量換算した表面ワックス量と総ワックス量との比が0.1以上1.0未満であり、ワックスの一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、画像接触側定着部材の表面硬度が画像非接触側定着部材よりも低く、記録媒体を画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる画像定着方法等である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に好適に用いられる画像定着方法及び画像定着装置、画像形成方法及び画像形成装置、並びに、これらに用いられるトナーに関する。
従来より、複写機やプリンタなどにおける定着方法としては、装置構成が簡易で取扱いが容易な熱ローラ定着方式が広く利用されている。
しかし、熱ローラ定着方式では、熱ローラが所定温度に達するまでにウエイト時間があり、また、記録媒体の通過、あるいは、他の外的要因で加熱ローラの温度が変動することにより生じる定着不良やオフセット現象を防止するために、加熱ローラを最適な温度に維持する必要があり、このためには加熱ローラの熱容量を大きくしなければならないという問題があった。
近年、複写機やプリンタは、白黒からフルカラーへの展開が急速に進みつつあり、フルカラーの市場が特に拡大している。カラートナーは、重ね合わせた2色以上のトナーの混色により発色するが、色再現のよい鮮明なカラー画像を得るためには、トナー同士が十分に溶融されて混色することが必要であり、光沢性を付与することにより、更に鮮明なカラー画像となる。光沢ムラや網点画像等の不均一性のない高画質を得るためには、トナーの定着時において、記録媒体表面の凹凸に追随して変形可能な弾性層を定着部材表面に設けることが必要であるが、弾性層の厚みを大きくすると、熱容量が大きくなり、省エネルギーの点で劣るという問題がある。また、光沢性には、定着面の平滑性が影響し、例えば、定着面上方からの加圧が平滑性を得るための一手段であるが、前記ローラ定着方式では、カラートナーの場合、厚みのある弾性体からなるローラを使用することが多く、高圧力が付与される。すると、一般的に粘性の低いカラートナーを多量に使用するフルカラーの複写機においては、ローラの曲率のため、オフセットの発生や排紙時のローラへの巻き付きが生じるという問題があり、離型オイルをローラに塗布したり、そのためのオイルタンクを備えることが必要であった。
そこで、このような問題を改善するため、ベルト定着方式が提案され、更にベルト定着方式において、オイルを全く塗布しない方法(オイルレス方式)や微量に塗布する方式が検討されている。その理由の一つとして、ベルト定着方式では、加熱側あるいは加圧側のベルトとして、薄膜の弾性体を用いてニップを形成することができる点が挙げられる。即ち、小熱容量の弾性部材の使用が可能であり、高画質と定着エネルギー低減との両立を図ることができるためである。
前記オイルレス方式のベルト定着装置としては、加熱ローラの製品硬度よりも加圧ローラの製品硬度を高く設定し、その差をAskerCの製品硬度で規定した定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この定着装置によれば、記録媒体の、加熱ローラあるいは加圧ローラへの巻き付きは抑制されるものの、オイルを使用しないため、多量のトナーを用いてフルカラー画像を形成する場合には、トナーが定着ベルトに付着し、オフセットが発生するという問題が残存する。
したがって、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画質な画像が得られる、画像定着方法及び該画像定着方法に好適に使用可能な画像定着装置、画像形成方法及び画像形成装置、並びに、これらに用いられるトナーは、未だ提供されていないのが現状である。
特開2003−295664号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画質な画像が得られる、画像定着方法及び該画像定着方法に好適に使用可能な画像定着装置、画像形成方法及び画像形成装置、並びに、これらに好適に使用可能なトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、トナーによる画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させ、このとき、前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、前記トナーとしては、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在してなるトナーを使用し、前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させることにより、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画質な画像が得られるという知見である。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> トナーによる画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させ、
前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
ことを特徴とする画像定着方法である。
<2> ニップ部における、記録媒体の導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、画像接触側定着部材の側に位置する前記<1>に記載の画像定着方法である。
<3> 画像接触側定着部材が、無端状ベルトと該無端ベルトの内側に当接配置されたローラとである前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<4> 画像接触側定着部材の表面硬度が、AskerC硬度で30〜90度である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<5> 画像非接触側定着部材が、ローラである前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<6> 画像非接触側定着部材の表面硬度が、AskerC硬度で40〜99度である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<7> 定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<8> トナーが、カラートナーである前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<9> トナーが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて接着性基材を粒子状に生成させ、前記有機溶剤を除去して得られる前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<10> 分散粒子が、トナー粒子中に均一に分散する前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<11> トナーの平均円形度が0.900〜0.975である前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<12> トナーの体積平均粒径(Dv)が、3〜8μmである前記<1>から<11>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<13> トナーの体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が、1.20以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載の画像定着方法である。
<14> 互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、トナーによる画像が転写された記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材を有してなり、
前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
ことを特徴とする画像定着装置である。
<15> トナーによる画像を記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させることを含み、
前記画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
ことを特徴とする画像形成方法である。
<16> 感光体上に形成された静電潜像をトナー用いてトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
該トナー画像を記録媒体に転写する転写手段と、
互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、前記トナー画像が転写された前記記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材とを有してなり、
前記トナー画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
ことを特徴とする画像形成装置である。
<17> トナーによる画像を記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させることを含み、
前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる画像定着装置に用いられ、
少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在することを特徴とするトナーである。
<18> 感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いてトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
該トナー画像を記録媒体に転写する転写手段と、
互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、前記トナー画像が転写された前記記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材とを有してなり、
前記トナー画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる画像形成装置に用いられ、
少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在することを特徴とするトナーである。
本発明の画像定着方法は、トナーによる画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させ、
前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる。
前記画像定着方法においては、少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成された前記トナーによる画像が転写された記録媒体が、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過される。前記画像が前記記録媒体に定着される。このとき、トナーにおいては、前記ワックスを含んでなり、該ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在するので、前記ワックスが染みだし、離型性が付与される。そして、前記ニップ部を通過された後における前記記録媒体が排出される。このとき、前記少なくとも2つの定着部材においては、該定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する前記画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する前記画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、前記記録媒体が、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出される。その結果、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
なお、本発明の画像定着方法においては、前記ニップ部における、前記記録媒体の導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、前記画像接触側定着部材の側に位置する態様、前記画像接触側定着部材が、無端状ベルトと該無端ベルトの内側に当接配置されたローラである態様、その表面硬度がAskerC硬度で30〜90度である態様、前記画像非接触側定着部材が、ローラである態様、その表面硬度がAskerC硬度で40〜99度である態様、前記トナーがカラートナーである態様、前記トナーが接着性基材を粒子状に生成させて得られる態様、などが好ましい。
本発明の画像定着装置は、互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、トナーによる画像が転写された記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材を有してなり、
前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる。
前記画像定着装置においては、少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成された前記トナーによる画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させる。前記画像を前記記録媒体に定着させる。このとき、前記トナーにおいては、前記ワックスを含んでなり、該ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在するので、前記ワックスが染みだし、離型性が付与される。そして、前記ニップ部を通過された後における前記記録媒体を排出される。このとき、前記少なくとも2つの定着部材においては、該定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する前記画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する前記画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、前記記録媒体が、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出される。その結果、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
本発明の画像形成方法は、トナーによる画像を記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させることを含み、
前記画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる。
前記画像形成方法においては、少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成された前記トナーによる画像が前記記録媒体に転写される。該記録媒体が、少なくとも2つの定着部材が当接して形成された前記ニップ部に通過される。前記画像が前記記録媒体に定着される。このとき、前記トナーにおいては、前記ワックスを含んでなり、該ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在するので、前記ワックスが染みだし、離型性が付与される。そして、前記ニップ部を通過された後における前記記録媒体が排出される。このとき、前記少なくとも2つの定着部材においては、該定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する前記画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する前記画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、前記記録媒体が、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出される。その結果、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
本発明の画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いてトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
該トナー画像を記録媒体に転写する転写手段と、
互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、前記トナー画像が転写された前記記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材とを有してなり、
前記画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる。
前記画像形成装置においては、前記トナー画像形成手段が、前記感光体上に形成された前記静電潜像を前記トナーを用いて前記トナー画像を形成する。前記転写手段が、前記トナー画像を前記記録媒体に転写する。少なくとも2つの前記定着部材が、互いに当接してニップ部を形成する。該ニップ部に、前記トナーによる画像を通過させる。そして、前記画像を前記記録媒体に定着させる。このとき、前記トナー画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、前記トナーにおいては、前記ワックスを含んでなり、該ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在するので、前記ワックスが染みだし、離型性が付与される。そして、前記ニップ部を通過された後における前記記録媒体が排出される。このとき、前記少なくとも2つの定着部材においては、該定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する前記画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する前記画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、前記記録媒体が、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出される。その結果、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
本発明のトナーは、
互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、トナーによる画像が転写された記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材を有してなり、
前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる画像定着装置に用いられ、
少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在することを特徴とする。
該トナーにおいては、前記ワックスが染みだし、優れた離型性が付与されるので、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。このため、本発明の前記画像定着装置に特に好適に使用可能である。
また、本発明のトナーは、
感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いてトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
該トナー画像を記録媒体に転写する転写手段と、
互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、前記トナー画像が転写された前記記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材とを有してなり、
前記トナー画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる画像形成装置に用いられ、
少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在することを特徴とする。
該トナーにおいては、前記ワックスが染みだし、優れた離型性が付与されるので、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。このため、本発明の前記画像形成装置に特に好適に使用可能である。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画質な画像が得られる、画像定着方法及び該画像定着方法に好適に使用可能な画像定着装置、画像形成方法及び画像形成装置、並びに、これらに好適に使用可能なトナーを提供することができる。
(画像定着方法及び画像定着装置)
本発明の画像定着方法は、トナーによる画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を記録媒体に定着させる定着工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
本発明の画像定着装置は、互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、トナーによる画像が転写された記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の部材を有してなる。
また、前記トナーは、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し、1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ、
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる。
本発明の前記画像定着方法は、本発明の前記画像定着装置を使用して好適に実施することができる。なお、本発明の前記画像定着装置を実施すると、本発明の前記画像定着方法を実施したこととなる。
<定着工程>
前記定着工程は、トナーによる画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着させる工程である。
また、前記定着工程は、各色のトナーに対し、前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記画像は、少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成されていることが必要であり、0.8〜1.5mg/cmで形成されているのが好ましい。本発明の画像定着方法によれば、色重ねによりトナー付着量が多いフルカラー画像の定着を行っても、離型性が良好で、高画質が得られる。
〔定着部材〕
前記定着部材は、少なくとも2つの内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低いことが必要である。前記画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低いと、凹凸のある記録媒体を用いた場合にも十分な定着性を得ることができる。また、前記少なくとも2つの定着部材により形成されるニップ部は前記画像接触側定着部材の側に凸形状を有する。
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体は、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させることが必要である。前記ニップ部においては、前記画像接触側定着部材の側に凸形状が形成されるため、前記記録媒体を前記ニップ部に通過させると、前記凸形状に追随しつつ、前記画像非接触側定着部材の側(前記画像接触側定着部材から離れようとする方向)に向けて排出され、前記画像接触側定着部材への前記記録媒体の巻き付きを防止することができる。
すなわち、前記ニップ部における、前記記録媒体の導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域は、前記導入側端及び前記排出側端よりも、画像接触側定着部材の側に位置するのが好ましい。前記中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、前記画像接触側定着部材の側に位置すると、前記ニップ部には、前記画像接触側定着部材の側に凸形状が形成され、前記画像接触側定着部材への前記記録媒体の巻き付きを防止することができる。
前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
前記定着部材としては、例えば、公知の加熱加圧手段(加熱手段と加圧手段との組合せ)が挙げられる。
前記画像接触側定着部材としては、例えば、無端状ベルトと該無端状ベルトの内側に当接配置されたローラとであるのが好ましく、例えば、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記画像非接触側定着部材としては、例えば、ローラであるのが好ましく、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組合せなどが挙げられる。
前記表面硬度としては、前記画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低い限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記画像非接触側定着部材が、無端状ベルトと該無端状ベルトの内側に当接配置されたローラとの組合せである場合には、該組合せた状態における前記無端状ベルトの表面硬度を意味する。
前記画像接触側定着部材の表面硬度としては、例えば、AskerC硬度で、30〜90度であることが必要であり、35〜70度が好ましく、40〜60度がより好ましい。該表面硬度が30度未満であると、定着時に圧力がかかりにくく、前記トナーが前記記録媒体に十分に定着しないことがあり、また、弾性が低いため、機械的強度が弱くなり、前記定着部材自体の寿命が短くなることがあり、90度を超えると、例えば、前記画像接触側定着部材が無端状ベルトとローラとの組合せである場合、該無端状ベルト表面を傷つけやすくなり、該無端状ベルトの寿命が短くなることがある。
一方、前記画像非接触側定着部材の表面硬度としては、例えば、AskerC硬度で、40〜99度であることが必要であり、45〜80度が好ましく、50〜70度がより好ましい。該表面硬度が40度未満であると、定着時に圧力がかかりにくく、前記トナーが前記記録媒体に十分に定着しないことがあり、99度を超えると、上述したように、無端状ベルト表面を傷つけやすくなり、該無端状ベルトの寿命が短くなることがある。
前記定着部材が無端状ベルトである場合、該無端状ベルトは、熱容量の小さい材料で形成されるのが好ましく、例えば、基体上にオフセット防止層が設けられてなる態様などが挙げられる。前記基体を形成する材料としては、例えば、ニッケル、ポリイミドなどが挙げられ、前記オフセット防止層を形成する材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記定着部材がローラである場合、該ローラは、非弾性部材で形成されるのが好ましい。該非弾性部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮などの高熱伝導率体が好適に挙げられる。また、前記ローラは、その表面がオフセット防止層で被覆されるのが好ましい。該オフセット防止層を形成する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、RTV、シリコーンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが好適に挙げられる。
前記定着部材は、それ自体が加熱手段を有し、加熱部材としての機能を有していてもよいが、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱されるのが好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。該電磁誘導加熱手段によれば、電磁誘導印加時に、前記定着部材(例えば、無端状ベルト)を高速で加熱することができ、熱効率が向上する。
前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるのが好ましい。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。
前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルトなど)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
〔トナー〕
前記トナーは、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在するワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在してなり、更に必要に応じて、着色剤、帯電制御剤などのその他の成分を含んでなる。
前記トナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結着樹脂を含んでなり、公知の懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、などにより製造されるトナーが挙げられるが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む前記トナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて接着性基材を粒子状に生成させ、前記有機溶剤を除去して得られるトナーが好ましい。
−ワックス−
前記ワックスの含有量としては、前記DSC法により求められる前記ワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し、1〜20質量%であることが必要であり、3〜15質量%が好ましい。該含有量が1質量%未満であると、離型性不足のために、クリーニング部材から前記定着部材への前記トナーの溶け出しや、ホットオフセットが生じることがあり、20質量%を超えると、現像装置内での長期攪拌により、前記ワックスが前記トナー表面から外れやすくなり、キャリア表面に付着したり、現像装置内の各種部材表面に付着し、現像剤の帯電量を低下させ、画像不良を生じることがある。
前記ワックスの含有量は、前記DSC(示差走査熱量計)法に基づいて、例えば、DSC60(島津製作所製)を用いて、以下の方法により測定することができる。まず、トナー試料約5mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測し、トナー試料中のワックスの吸熱量を算出する。また、ワックス単体試料約5mgを用いて同様な方法により吸熱量を算出する。そして、それぞれ得られたワックスの吸熱量を用いて、下記式(1)によりワックスの含有量を求める。
ワックス含有量(質量%)=
(トナー試料中のワックスの吸熱量(J/g))/(ワックス単体の吸熱量(J/g))×100・・・・・(1)
このような前記ワックスの含有量の測定方法によれば、トナー製造工程中に前記ワックスが流出して、仕込んだ全ての前記ワックスが前記トナーに含有されない場合においても、トナー粒子中の前記ワックス含有量を有効に特定することができる。
前記ワックスは、前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在するワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記芳香環を有するポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であることが必要であり、0.07〜0.30が好ましい。
前記強度比(P2850/P828)が0.05未満であると、前記トナー表面に存在する前記ワックスの量が少ないため、清掃後にクリーニング部材に付着したトナー表面に存在する前記ワックスの量も少なく、離型性が低下し、前記クリーニング部材から前記定着部材へのトナーの逆流出(溶け出し)やホットオフセットが生ずることがあり、0.40を超えると、前記トナー表面に前記ワックスが多く露出した状態となり、現像装置内部での長期攪拌により、前記ワックスが前記トナー表面から外れやすくなり、キャリア表面に付着したり、現像装置内の各種部材表面に付着し、現像剤の帯電量を低下させ、画像不良を生じることがある。
なお、特に、前記トナーの表面から0.3μmまでに存在する前記ワックスが、前記トナーの離型性を効果的に発揮し、定着時の加熱及び加圧により、前記トナー表面にしみ出す。
前記トナーの表面近傍に存在する前記ワックスの量は、トナーの表面から0.3μmの深さ領域における相対的なワックスの量として、前記FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法に基づいて、以下の方法により測定することができる。まず、試料として、トナー3gを自動ペレット成型器(「Type M No.50 BRP−E」;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)を用い、6tの荷重で1分間プレスし、40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製する。このトナーペレット表面を前記FTIR−ATR法により測定する。顕微FTIR装置として、Spectrum One(PERKIN ELMER社製)に、MultiScope FTIRユニットを設置したものを用意し、直径100μmのゲルマニウム(Ge)結晶のマイクロATRで測定する。測定は、赤外線の入射角は41.5°、分解能は4cm−1、積算は20回の条件で行う。得られた前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)とポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)を、前記トナーの表面近傍の相対的なワックス量とする。なお、前記ワックス量は、測定場所を変えて4回測定した後の平均値として算出する。
また、前記ワックスは、前記強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であることが必要であり、0.5〜0.9が好ましい。
表面ワックス量と前記総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が、0.1以上1.0未満であると、トナーの表面にはワックスを適度に存在しつつ、トナーの内部には、前記トナー表面よりもワックスが多く存在し、トナー付着量が多いフルカラー画像を定着する場合にも、優れた離型性が得られる。
前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量を前記強度比(P2850/P828)から質量換算する方法としては、例えば、前記ポリエステル樹脂中に、前記ワックスを、それぞれ1質量%、3質量%、5質量%、8質量%及び10質量%混合させ、瑪瑙乳鉢を用いて充分に均一分散させて各ペレットを作製し、前記FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法に基づいた方法により、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)とポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)を測定した後、測定結果を用いて検量線を作成し、該検量線から前記表面ワックス量を算出することができる。
前記ワックスは、その少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在する。前記トナー中での前記ワックスの存在状態が、前記トナーの定着時における前記トナーの離型性に大きく影響し、前記ワックスの少なくとも一部が前記トナーの内部に存在し、かつ前記トナー中で微分散して分散粒子として存在することにより、定着時に前記ワックスがしみ出しやすく、オイルレス定着装置や、微量オイル塗布定着装置においてオイル塗布効果が少なくなってきた場合にも、前記トナーの定着部材への付着を防止し、良好な定着離型性が得られる。
前記分散粒子は、トナー粒子中に均一に分散するのが好ましい。前記分散粒子が前記トナー粒子中に均一に分散することにより、安定した離型性が得られる。
前記分散粒子を前記トナー粒子中に均一に分散する方法としては、例えば、前記トナーの製造工程において、剪断力を加えて混練する方法が挙げられる。
なお、前記ワックスの少なくとも一部が前記トナー粒子中に内包されて複数の独立した分散粒子として存在するかどうか、あるいは、前記トナー粒子中のワックスの分散状態は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、前記トナーの薄膜切片を観察することにより判断することができる。具体的には、トナーをエポキシ樹脂に包埋して約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、TEMにより倍率1万倍でトナーの断面観察を行う。得られた拡大写真(TEM写真)において、例えば、倍率1万倍で前記ワックスの存在を確認することができれば、前記ワックスが微分散した状態で存在していると認められる。一方、倍率1万倍で前記ワックスの存在を確認することができない場合には、仮に前記ワックスが微分散していたとしても、定着時のしみ出しが不十分になることがある。
前記ワックスとしては、少なくとも脂肪鎖を有するワックスである限り特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。前記脂肪鎖としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン鎖が挙げられる。
前記ワックスとしては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記ワックスの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記ワックスの溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1,000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記ワックスの前記トナー表面への露出度(上述した強度比(P2850/P828)、及び表面ワックス量と総ワックス量との比)をコントロールする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ワックス中にビニル変性樹脂を含有させるのが好ましい。
このとき、前記ワックスの含有量をXとし、前記ビニル変性樹脂の含有量をYとすると、これらの質量比Y/Xは、0.4〜3であるのが好ましい。
前記質量比Y/Xが、0.4未満であると、前記トナー表面に露出する前記ワックスの量が多過ぎ、フィルミングやキャリアスペントを引き起こすことがあり、現像剤の耐久性も充分でないことがある。一方、前記質量比Y/Xが、3を超えると、殆どの前記ワックスが前記トナー表面に露出せず内部に分散するものの、分散径が非常に小さくなり、定着時に充分な離型効果を発揮することができないことがある。
前記ビニル変性樹脂は、少なくともワックスの一部が、平均エステル基濃度が8〜30質量%のビニルモノマーにより変性されており、主な基本構成としては、ワックスからなる主鎖と、ビニルポリマーからなる側鎖(グラフト鎖)とからなる。該ビニルポリマーからなる側鎖中には、エステル基を有するビニルモノマー成分が含有されており、その平均エステル基濃度が前記ビニルポリマー鎖中、8〜30質量%である。
前記ビニル変性樹脂におけるワックスの軟化点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、80〜170℃であり、90〜160℃が好ましい。
前記ビニル変性樹脂におけるワックスの数平均分子量(Mn)としては、500〜2,000が好ましく、1,000〜15,000がより好ましく、重量平均分子量(Mw)としては、800〜100,000が好ましく、1,500〜60,000がより好ましく、Mw/Mnとしては、1.1〜7.0が好ましく、1.3〜4.0がより好ましい。
前記ビニル変性樹脂のガラス転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜90℃が好ましく、50〜70℃がより好ましく、軟化点としては、80〜150℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。
前記ビニル変性樹脂の数平均分子量(Mn)としては、1,500〜100,000が好ましく、2,800〜20,000がより好ましく、重量平均分子量(Mw)としては、60,000〜100,000が好ましく、70,000〜50,000がより好ましく、Mw/Mnとしては、1.1〜40が好ましく、3〜30がより好ましい。
−芳香環を有するポリエステル樹脂−
前記芳香環を有するポリエステル樹脂としては、芳香環を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、接着性基材が好適に挙げられる。
前記接着性基材は、紙等の記録媒体に対し接着性を示し、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で反応させてなる接着性ポリマーを少なくとも含み、更に公知の結着樹脂から適宜選択した結着樹脂を含んでいてもよい。
前記接着性基材の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1,000以上が好ましく、2,000〜10,000,000がより好ましく、3,000〜1,000,000が特に好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記接着性基材のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、30〜70℃が好ましく、40〜65℃がより好ましい。前記トナーでは、架橋反応、伸長反応したポリエステル樹脂が共存していることにより、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な保存性を示すものである。
前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
前記ガラス転移温度は、例えば、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定することができる。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出することができる。
前記接着性基材の貯蔵弾性率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、測定周波数20Hzにおいて10,000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上であり、110〜200℃が好ましい。該(TG’)が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記接着性基材の粘性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、測定周波数20Hzにおいて1,000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下であり、90〜160℃が好ましい。該(Tη)が180℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。
したがって、耐ホットオフセット性と低温定着性との両立を図る観点から、前記(TG’)は前記(Tη)よりも高いことが好ましい。すなわち、(TG’)と(Tη)との差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。該差は大きければ大きいほどよい。
また、低温定着性と耐熱保存性との両立を図る観点からは、前記(TG’−Tη)は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。
前記接着性基材の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリエステル系樹脂、などが好適に挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを前記水系媒体中で反応させて得られる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよく、この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。
前記ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、以下(1)から(10)、即ち、(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、等が好適に挙げられる。
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、前記アミン類(B)が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基、が特に好ましい。
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等、が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、等が挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、等が挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、等が挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、等が挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、等が挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
なお、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。該反応停止剤を用いると、前記接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。該反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)、などが挙げられる。
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3〜3/1であるのが好ましく、1/2〜2/1であるのがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記プレポリマーにおける前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等が挙げられる。
これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
前記プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)であるのが特に好ましい。
前記ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、等が挙げられる。前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)等が特に好適に挙げられる。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ前記活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、等が挙げられる。
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、又は前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が好ましい。
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における、前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はDICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、等が挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、等が挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、1未満であると、前記ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましい。該重量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
すなわち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させる。この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50〜200μl注入して測定する。前記試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。前記検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、及び4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、前記検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
−−水系媒体−−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられる。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記セルソルブ類としては、例えば、メチルセルソルブ等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−結着樹脂−−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特に、未変性ポリエステル樹脂(変性されていないポリエステル樹脂)が好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂を前記トナー中に含有させると、低温定着性及び光沢性を向上させることができる。
前記未変性ポリエステル樹脂としては、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂と同様のもの、即ちポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物、等が挙げられる。該未変性ポリエステル樹脂は、その一部が前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と相溶していること、すなわち、互いに相溶可能な類似の構造であるのが、低温定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあるので、上述したように前記重量平均分子量(Mw)が1,000未満である成分の含有量は、8〜28質量%であることが必要である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記未変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度としては、通常30〜70℃であり、35〜70℃がより好ましく、35〜50℃が更に好ましく、35〜45℃が特に好ましい。前記ガラス転移温度が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が不十分となることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、5mgKOH/gが以上が好ましく、10〜120mgKOH/gがより好ましく、20〜80mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基価が、5未満であると、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、1.0〜50.0mgKOH/gが好ましく、1.0〜30.0がより好ましく、5.0〜20.0mgKOH/gが更に好ましい。一般に前記トナーに酸価をもたせることによって負帯電性となり易くなる。
前記未変性ポリエステル樹脂を前記トナーに含有させる場合、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と該未変性ポリエステル樹脂(PE)との混合質量比(RMPE/PE)としては、5/95〜25/75が好ましく、10/90〜25/75がより好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂(PE)の混合質量比が、95を超えると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがあり、25未満であると、光沢性が悪化することがある。
前記結着樹脂における前記未変性ポリエステル樹脂の含有量としては、例えば、50〜100質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましく、80〜90質量%が更に好ましい。該含有量が50質量%未満であると、低温定着性や画像の光沢性が悪化することがある。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、帯電制御剤、樹脂微粒子、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられるが、これらの中でも、ビニル樹脂が特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましい。
なお、前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
また、前記樹脂微粒子としては、少なくとも2つの不飽和基を有する単量体を含んでなる共重合体を用いることもできる。
前記少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールアクリレートなどが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、目的に応じて適宜選択した公知の方法に従って重合させることにより得ることができるが、該樹脂微粒子の水性分散液として得るのが好ましい。該樹脂微粒子の水性分散液の調製方法としては、例えば、(1)前記ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法、(2)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法、(3)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、(4)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(5)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、該樹脂微粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(6)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次に溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(7)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法、(8)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、などが好適に挙げられる。
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜0.5μmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m/gが好ましい。
前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本発明のトナーの製造方法の一例として、前記接着性基材を粒子状に生成させてトナーを造粒する方法を以下に示す。
前記接着性基材を粒子状に生成させてトナーを造粒する方法においては、例えば、水系媒体相の調製、トナー溶液の調製、分散液の調製、前記接着性基材の生成、有機溶剤の除去、その他(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の合成、前記活性水素基含有化合物の合成等)を行う。
前記水系媒体相の調製は、例えば、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記トナー溶液の調製は、前記有機溶剤中に、前記ワックス、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記着色剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等のトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
なお、前記トナー材料の中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記トナー溶液を前記水系媒体相に添加する際に、該トナー溶液と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
前記有機溶剤としては、前記トナー材料を溶解乃至分散可能な溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、などが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー材料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。
前記分散液の調製は、先に調製した前記トナー溶液を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化乃至分散させることにより行うことができる。そして、該乳化乃至分散の際、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記接着性基材が生成する。
前記接着性基材(例えば、前記ウレア変性ポリエステル樹脂)は、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記トナー溶液を、前記活性水素基含有化合物(例えば、前記アミン類(B))と共に、前記水系媒体相中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記トナー溶液を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記トナー溶液を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
前記乳化乃至分散により、前記接着性基材を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
前記水系媒体相中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記着色剤、前記ワックス、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等の前記トナー材料を前記有機溶剤に溶解乃至分散させて調製した前記トナー溶液を添加し、剪断力により分散させる方法、等が挙げられる。
前記分散は、その方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度などの条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1,000〜30,000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分が好ましく、前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
前記分散液の調製において、前記水系媒体の使用量としては、前記トナー材料100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。
前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前記分散液の調製においては、必要に応じて、前記分散体(前記トナー溶液からなる油滴)を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、等が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、等が挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記分散液の調製においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、等が挙げられる。
得られた分散液(乳化スラリー)から、有機溶剤を除去する。該有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、前記油滴中の前記有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、等が挙げられる。
前記有機溶剤の除去が行われると、トナー粒子が形成される。該トナー粒子に対し、洗浄、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
こうして、得られたトナー粒子を、前記着色剤、前記ワックス、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該ワックス等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、等が挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢、等が挙げられる。
前記トナーは、以下のような、平均円形度、体積平均粒径(Dv)、体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)、針入度、低温定着性、オフセット未発生温度、熱特性、画像濃度、などを有していることが好ましい。
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.900〜0.975が好ましく、0.950〜0.975がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.940未満の粒子が15%以下であることが好ましい。
前記平均円形度が、0.900未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.975を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度は、例えば、トナーを含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)等を用いて計測することができる。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)としては、例えば、3〜8μmが好ましく、4〜7μmがより好ましく、5〜6μmが更に好ましい。
前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーにおける体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、例えば、1.20以下が好ましく、1.00〜1.20がより好ましく、1.10〜1.20が更に好ましい。
前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(Dv/Dn)が、1.20以下であると、前記トナーの粒度分布が比較的シャープであり、定着性が向上するが、1.00未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、クリーニング性を悪化させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、1.20を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記体積平均粒径、及び、前記体積平均粒径と個数平均粒子径との比(Dv/Dn)は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度測定器「マルチサイザーII」を用いて測定することができる。
前記針入度としては、例えば、針入度試験(JIS K2235−1991)で測定した針入度が、15mm以上であることが必要であり、20〜30mmがより好ましい。
前記針入度が、15mm未満であると、耐熱保存性が悪化することがある。
前記針入度は、JIS K2235−1991に従って測定することができ、具体的には、50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に20時間放置する。このトナーを室温まで冷却し、針入度試験を行うことにより針入度を測定することができる。なお、前記針入度の値が大きい程、前記耐熱保存性が優れることを示している。
前記低温定着性としては、定着温度低下とオフセット未発生とを両立させる観点からは、定着下限温度が低くなるほど好ましく、また、オフセット未反応温度が高くなるほど好ましく、定着温度低下とオフセット未発生とを両立させ得る温度領域としては、前記定着下限温度が150℃未満であり、前記オフセット未発生温度が200℃以上である。
なお、前記定着下限温度は、例えば、画像形成装置を用い、転写紙をセットし、複写テストを行い、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度を定着下限温度としたものである。
前記オフセット未発生温度は、例えば、画像形成装置を用いて、転写紙をセットし、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各単色、及び中間色としてレッド、ブルー、及びグリーンのベタ画像を各単色で現像されるように調整し、定着ベルトの温度が可変となるように調整して、オフセットの発生しない温度を測定することによって求めることができる。
前記熱特性は、フローテスター特性とも言われ、例えば、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、1/2法軟化点(T1/2)などとして評価される。
これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定したフローカーブから求めることができる。
前記軟化温度(Ts)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30℃以上が好ましく、50〜120℃がより好ましい。前記軟化温度(Ts)が、30℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記流出開始温度(Tfb)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上が好ましく、60〜150℃がより好ましい。前記流出開始温度(Tfb)が、50℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記1/2法軟化点(T1/2)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、80〜170℃がより好ましい。前記1/2法軟化点(T1/2)が、60℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記画像濃度は、分光計(「938 スペクトロデンシトメータ」;X−ライト社製)を用いて測定した濃度値が、例えば、1.40以上が好ましく、1.45以上がより好ましく、1.50以上が更に好ましい。
前記画像濃度が、1.40未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。
前記画像濃度は、例えば、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、複写紙(「タイプ 6200」;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が0.40±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の3箇所の画像濃度を、分光計(「938 スペクトロデンシトメータ」;X−ライト社製)を用いて測定しその平均値を算出することにより、測定することができる。
前記トナーの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは前記着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
前記定着工程においては、以下のような光沢性を有する画像が得られることが好ましい。
前記光沢性としては、例えば、グロスメーター(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した光沢度が、例えば、3〜30%が好ましく、5〜20%がより好ましい。該光沢度が3%未満、あるいは、30%を超えると、フルカラー画像に適した光沢度が得られないことがある。
前記光沢度は、例えば、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、複写紙(「タイプ 6200」;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が0.4±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の3箇所の光沢度を、グロスメーター(日本電色工業株式会社製)を用いて、入射角60°により計測し、その平均値を算出することにより、測定することができる。なお、光沢度は、値の高い程光沢感が出ることを意味する。
以下に、本発明の画像定着装置の一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の画像定着装置の一例を示す断面概略説明図である。
図1に示すベルト式画像定着装置110は、加熱ローラ121と、前記画像接触側定着部材としての定着ローラ122と定着ベルト123と、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ124とを備える。
定着ベルト123は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ121と定着ローラ122とによって張架され、加熱ローラ121により所定の温度に加熱されている。加熱ローラ121は、内部には加熱源125が内蔵されており、加熱ローラ121の近傍に取り付けられた温度センサ127により温度調節自在に設計されている。定着ローラ122は、定着ベルト123の内側に、かつ定着ベルト123の内面に当接しながら回転可能に配置されている。加圧ローラ124は、定着ベルト123の外側に、かつ定着ベルト123の外面に、定着ローラ122を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。また、前記画像接触側定着部材としての定着ベルト123の表面硬度は、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ124の表面硬度よりも低く、定着ローラ122及び加圧ローラ124間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、定着ローラ122側に位置する。すなわち、図1中、ニップ部Nは、上に凸の形状を有する。
図1に示すベルト式画像定着装置110において、まず、定着処理すべきトナー画像Tが形成された記録媒体Sが加熱ローラ121まで搬送される。そして、内蔵されている加熱源125の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ121及び定着ベルト123により記録媒体S上のトナー画像Tが加熱されて溶融状態となる。この状態において、該シートSが定着ローラ122及び加圧ローラ124間に形成されたニップ部Nに挿入される。該ニップ部Nに挿入された記録媒体Sは、定着ローラ122及び加圧ローラ124の回転に連動して回転する定着ベルト123の表面に当接され、前記ニップ部Nを通過する際に押圧され、トナー画像Tが記録媒体S上に定着される。このとき、トナーTの表面近傍に存在する前記ワックスがしみ出す。その結果、良好な定着離型性が付与される。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ122及び加圧ローラ124間を通過し、定着ベルト123から剥離され、ガイドGを経てトレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ124側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト123への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト123はクリーニングローラ126で清浄化される。ここで、トナーTは、その表面近傍に適量の前記ワックスが存在するため離型性に優れ、クリーニングローラ126から定着ベルト123へのトナーTの溶け出しが防止される。
図2は、本発明の画像定着装置の一例を示す断面概略説明図である。
図2に示す画像定着装置210は、前記定着部材としての加熱ローラ220と、これに当接されて配置された加圧ローラ230とを備える。
加熱ローラ220は、中空の金属シリンダー221を有し、その表面がオフセット防止層222で被覆されて形成されており、内部に加熱ランプ223が配設されている。また、加圧ローラ230は、金属シリンダー231を有し、その表面がオフセット防止層232で被覆されて形成されている。なお、加圧ローラ230は、金属シリンダー231が中空形状を有し、その内部に加熱ランプ233が配設されていてもよい。
加熱ローラ220と加圧ローラ230とは、図示しないバネにより付勢されることにより、圧接された状態にて、回転可能に設けられ、ニップ部Nを形成する。また、前記画像接触側定着部材としての加熱ローラ220におけるオフセット防止層222の表面硬度は、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ230におけるオフセット防止層232の表面硬度よりも低く、加熱ローラ220及び加圧ローラ230間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、加熱ローラ220側に位置する。すなわち、図2中、ニップ部Nは、上に凸の形状を有する。
図2に示す画像定着装置210において、まず、定着処理すべきトナー画像Tが形成された記録媒体Sが加熱ローラ220と加圧ローラ230とのニップ部Nまで搬送される。そして、内蔵されている加熱ランプ223の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ220により記録媒体S上のトナーTが加熱されて溶融状態となると同時に、ニップ部Nを通過する際に、加圧ローラ230の押圧力により押圧され、トナー画像Tが記録媒体S上に定着される。このとき、トナーTの表面近傍に存在する前記ワックスがしみ出す。その結果、良好な定着離型性が付与される。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、加熱ローラ220及び加圧ローラ230間を通過し、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ230側に向けて排出され、記録媒体Sの加圧ローラ230への巻き付きが防止される。なお、加熱ローラ220は、クリーニングローラ(不図示)で清浄化される。ここで、トナーTは、その表面近傍に適量の前記ワックスが存在するため離型性に優れ、クリーニングローラから加熱ローラ220へのトナーTの溶け出しが防止される。
図3は、本発明の画像定着装置の一例を示す断面概略説明図である。
図3に示す電磁誘導加熱式画像定着装置310は、加熱ローラ320と、前記画像接触側定着部材としての定着ローラ330と定着ベルト340と、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ350と、電磁誘導加熱手段360とを備える。
定着ベルト340は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ320と定着ローラ330とによって張架され、加熱ローラ320により所定の温度に加熱されている。
加熱ローラ320は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材を有し、例えば、外径が20〜40mm、肉厚が0.3〜1.0mmに設けられ、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
定着ローラ330は、例えば、ステンレススチール等の金属製の芯金331を有し、その表面が耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状又は発泡状にした弾性層332で被覆されて形成されており、定着ベルト340の内側に、かつ定着ベルト340の内面に当接しながら回転可能に配置されている。定着ローラ330は、加圧ローラ350からの押圧力により、加圧ローラ350と定着ローラ330との間に所定幅のニップ部Nを形成するために、外径を20〜40mm程度に設け、加熱ローラ320よりも大きくしている。弾性層332は、その肉厚を4〜6mm程度とし、加熱ローラ320の熱容量が定着ローラ330の熱容量よりも小さくなるように形成され、加熱ローラ320のウォームアップ時間の短縮化を図っている。
加圧ローラ350は、例えば、銅、アルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金351を有し、その表面を耐熱性及びトナー離型性の高い弾性層352で被覆されて形成されており、定着ベルト340の外側に、かつ定着ベルト340の外面に、定着ローラ330を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。なお、芯金351には上記金属以外にSUSを使用してもよい。
電磁誘導加熱手段360は、加熱ローラ320の近傍であって、加熱ローラ320の軸方向にわたって配設されている。電磁誘導加熱手段360は、磁界発生手段である励磁コイル361と、この励磁コイル361が巻き回されたコイルガイド板362とを有している。コイルガイド板362は加熱ローラ320の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル361は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板362に沿って加熱ローラ320の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル361は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。励磁コイル361の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア363が、励磁コイルコア支持部材364に固定されて励磁コイル361に近接配置されている。
図3に示す電磁誘導加熱式画像定着装置310において、電磁誘導加熱手段360の励起コイル361へ通電すると、該電磁誘導加熱手段360の周囲に交番磁界が形成され、励起コイル361と近接し、かつ該励起コイル361により囲まれている状態の加熱ローラ320が、過電流の励起により均一かつ効率よく予熱される。定着処理すべきトナー画像Tが形成された記録媒体Sは、定着ローラ330と加圧ローラ350とのニップ部Nまで搬送される。そして、電磁誘導加熱手段360の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ320により、該加熱ローラ320との接触部位W1にて加熱された定着ベルト340により、記録媒体S上のトナー画像Tが加熱されて溶融状態となる。この状態において、該シートSが定着ローラ330及び加圧ローラ350間に形成されたニップ部Nに挿入される。該ニップ部Nに挿入された記録媒体Sは、定着ローラ330及び加圧ローラ350の回転に連動して回転する定着ベルト340の表面に当接され、前記ニップ部Nを通過する際に押圧され、トナー画像Tが記録媒体S上に定着される。このとき、トナーTの表面近傍に存在する前記ワックスがしみ出す。その結果、良好な定着離型性が付与される。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ330及び加圧ローラ350間を通過し、定着ベルト340から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ350側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト340への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト340がクリーニングローラ(不図示)で清浄化される。ここで、トナーTは、その表面近傍に適量の前記ワックスが存在するため離型性に優れ、クリーニングローラから定着ベルト340へのトナーTの溶け出しが防止される。
本発明の画像定着方法においては、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在してなるトナーを用い、少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成されたトナーによる画像が転写された前記記録媒体を、前記画像非接触側定着部材と、表面硬度が前記画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低い前記画像接触側定着部材とが当接して形成されたニップ部にて定着させ、前記記録媒体を前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させるので、前記記録媒体の前記定着部材への巻き付きが防止され、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画質な画像が得られる。本発明の画像定着装置は、本発明の前記画像定着方法に好適に使用可能である。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、トナーによる画像を記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を記録媒体に定着させる定着工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
本発明の画像形成装置は、トナー画像形成手段と、転写手段と、互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に前記トナー画像を通過させることにより前記画像を記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の部材を有してなる。
また、前記トナーは、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる。
本発明の前記画像形成方法は、本発明の前記画像形成装置を使用して好適に実施することができる。なお、本発明の前記画像形成装置を実施すると、本発明の前記画像形成方法を実施したこととなる。
なお、本発明の画像形成方法における、前記画像を前記記録媒体に定着させる定着工程、定着部材、トナー、などの詳細については、上述した通りである。
前記本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程、トナー画像形成工程、転写工程等を更に含み、必要に応じて適宜選択した前記その他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体、静電潜像形成手段、等を更に有してなり、必要に応じて適宜選択した前記その他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記トナー画像形成工程は、前記トナー画像形成手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程並びに静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<トナー画像形成工程及びトナー画像形成手段>
前記トナー画像形成工程は、前記静電潜像を、前記トナーを用いて現像して可視像(トナー画像)を形成する工程である。
前記トナー画像は、該画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成されていることが必要であり、0.8〜1.5mg/cmで形成されているのが好ましい。本発明の画像定着方法によれば、色重ねによりトナー付着量が多いフルカラー画像の定着を行っても、離型性が良好で、高画質が得られる。
前記トナー画像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像することにより行うことができ、前記トナー画像形成手段により行うことができる。
前記トナー画像形成手段は、例えば、前記トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像(トナー画像)が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記トナー画像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上にトナー画像を一次転写した後、該トナー画像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、トナー画像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記トナー画像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、トナー画像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記トナー画像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー画像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
図4に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像してトナー画像を形成する。該トナー画像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図5を参照しながら説明する。図5に示す画像形成装置100は、図4に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図4に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図5においては、図4におけるものと同じものは同符号で示した。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図6を参照しながら説明する。図6に示すタンデム画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置100は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図6中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、図1に示したベルト式画像定着装置と同様な構成を有し、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置100においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図7に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図7中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16(図6参照)により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。このとき、前記トナーにおいては、その表面近傍に存在する前記ワックスがしみ出し、離型性が付与される。また、シート(記録紙)は、加圧ローラ27側に向けて排出される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置では、離型性等に優れた前記トナーを用い、所定の表面硬度を有する定着部材により画像の定着を行うので、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画質な画像が効率よく得られる。
(トナー)
本発明のトナーは、本発明の上記画像定着装置及び上記画像形成装置に好適に用いられ、
少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在することを特徴とする。
なお、本発明のトナーの詳細については、上記画像定着装置の説明において詳述した通りである。
本発明のトナーは、離型性に優れ、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られるので、本発明の前記画像定着装置及び本発明の前記画像形成装置に特に好適に使用可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<接着性基材生成工程>
以下のようにして、トナーを製造した。
−トナー溶液の調製−
−−未変性ポリエステル(低分子ポリエステル)の合成−−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物561質量部、テレフタル酸218質量部、アジピン酸48質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を投入し、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸45質量部を添加し、常圧下、180℃にて2時間反応させて、未変性ポリエステルを合成した。
得られた未変性ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,500、重量平均分子量(Mw)が6,700、ガラス転移温度(Tg)が43℃、酸価が25mgKOH/gであった。
−−マスターバッチ(MB)の調製−−
着色剤としてのカーボンブラック(「リーガル400R」;キャボット社製)40質量部、ポリエステル樹脂(「RS801」;三洋化成工業製、酸価=10、重量平均分子量(Mw)=20,000、ガラス転移温度(Tg)=64℃)60質量部、及び水30質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合した。該混合物を二本ロールで130℃にて45分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で直径1mmの大きさに粉砕して、マスターバッチを調製した。
−−ビニル変性樹脂の合成−−
温度計及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450質量部、及びワックスとしての低分子量ポリエチレン(「サンワックスLEL−400」;三洋化成工業(株)製、軟化点128℃)150質量部を入れて充分溶解させ、窒素置換を行った。次いで、スチレン594質量部、メタクリル酸メチル255質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34.4質量部、及びキシレン120質量部の混合溶液を、150℃にて2時間滴下して重合させ、更に150℃で1時間保持した。その後、脱溶剤を行い、ビニル変性樹脂を得た。得られたビニル変性樹脂の平均エステル基濃度は13.2質量%であり、数平均分子量(Mn)は3,300であり、重量平均分子量(Mw)は12,000であり、ガラス転移温度は62.5℃であった。
−−有機溶剤相の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、前記未変性ポリエステル378質量部、カルナバワックス110質量部、前記ビニル変性樹脂110質量部、CCA(「サリチル酸金属錯体E−84」;オリエント化学工業製)22質量部、及び前記有機溶剤としての酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却した。次いで、反応容器中に、前記マスターバッチ500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1324質量部を反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして、前記カーボンブラック、及びカルナバワックスの分散を行った。次いで、該ワックス分散液に前記未変性ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液1324質量部を添加した。上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶剤相を調製した。
得られた有機溶剤相の固形分濃度(130℃、30分)は、50質量%であった。
−−プレポリマーの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が49であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
−−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物(前記活性水素機含有化合物)のアミン価は418であった。
反応容器中に、前記有機溶剤相648質量部、前記プレポリマー154質量部、オルガノシリカ0.05質量部、及び前記ケチミン化合物6.6質量部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて1分間混合して、トナー溶液を調製した。
−分散液の調製−
−−微粒子分散液の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)11質量部、スチレン83質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温して5時間反応させた。次いで、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を添加し、75℃にて5時間熟成して、前記第二の樹脂としてのビニル樹脂粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(微粒子分散液)を調製した。
得られた微粒子分散液に含まれる微粒子の体積平均粒径を、レーザー光散乱法を用いた粒径分布測定装置(「LA−920」;堀場製作所社製)により測定したところ、105nmであった。また、該微粒子分散液の一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、59℃であり、重量平均分子量(Mw)を測定したところ150,000であった。
−−水系媒体の調製−−
水990質量部、前記微粒子分散液83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を、混合撹拌し、乳白色の液体(水系媒体)を得た。
−−乳化・分散−−
前記水系媒体1200質量部に、前記トナー溶液809質量部を加え、前記TK式ホモミキサーで、回転数13,000rpmにて20分間混合して、分散液(乳化スラリー)を調製した。
−−脱溶剤−−
撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した後、45℃にて4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
得られた分散スラリーは、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)で測定した体積平均粒径が5.7μm、個数平均粒径が5.0μmであった。
−−洗浄・乾燥−−
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を3回行い、最終濾過ケーキを得た。
ここで、得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、製造例1のトナー母体粒子を得た。
−−外添剤処理−−
得られた製造例1のトナー母体粒子100質量部に対し、外添剤としての疎水性シリカ0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合処理し、製造例1のトナーを製造した。該トナーの表面状態を、透過型電子顕微鏡(TEM)(「H−9000」;日立製作所製)により観察した。このときのTEM写真を図8に示す。該TEM写真から、得られたトナーの表面には、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子が存在していることが確認された。また、分散粒子が、トナー粒子中に均一に分散していることが認められた。
得られたトナーの表面近傍に存在するワックス含有量、ワックス強度比、及び表面ワックス量と総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)を下記方法により測定した。結果を表1に示す。
<ワックス含有量>
ワックスの含有量は、前記DSC(示差走査熱量計)法に基づいて、DSC60(島津製作所製)を用いて測定した。まず、トナー試料約5mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットした。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置した。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測し、トナー試料中のワックスの吸熱量を算出した。また、ワックス単体試料約5mgを用いて同様な方法により吸熱量を算出した。そして、それぞれ得られたワックスの吸熱量を用いて、下記式(1)によりワックスの含有量を求めた。
ワックス含有量(質量%)=
(トナー試料中のワックスの吸熱量(J/g))/(ワックス単体の吸熱量(J/g))×100・・・・・(1)
その結果、ワックス含有量は、3.5質量%であった。
<ワックス強度比>
ワックス強度比は、トナーの表面から0.3μmの深さ領域における相対的なワックスの量として、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法に基づいて、測定した。まず、試料としてトナー3gを、自動ペレット成型器(「Type M No.50 BRP−E」;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)を用い、6tの荷重で1分間プレスし、40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製した。このトナーペレット表面を前記FTIR−ATR法により測定した。顕微FTIR装置として、Spectrum One(PERKIN ELMER社製)に、MultiScope FTIRユニットを設置したものを用意し、直径100μmのゲルマニウム(Ge)結晶のマイクロATRで測定した。測定は、赤外線の入射角は41.5°、分解能は4cm−1、積算は20回の条件で行った。得られた前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)とポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)を、測定場所を変えて4回測定した後の平均値として算出した。その結果、強度比(P2850/P828)は0.07であった。
<表面ワックス量と総ワックス量との比>
前記表面ワックス量と総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)は、ポリエステル樹脂(前記接着性基材)中にワックスを、それぞれ1質量%、3質量%、5質量%、8質量%及び10質量%混合し、瑪瑙乳鉢を用いて充分に均一させてペレットを作製した。次いで、前記ワックス強度比の測定と同様にして、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法に基づいて、ワックス由来のピーク(2850cm−1)とポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)を、測定場所を変えて4回測定した後の平均値として算出し、下記式(2)で表される検量線を得た。得られた検量線を用いて、前記ワックス強度比を質量換算し、前記トナーの表面から0.3μmの深さ領域における表面ワックス量を算出した。その結果、2.0質量%であった。
表面ワックス量(質量%)=27.064×(ワックス強度比)+0.112・・・・・(2)
次いで、得られた表面ワックス量と、前記DSCにより求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)を算出した。その結果、0.57であった。
また、得られたトナーについて、平均円形度、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、及び粒度分布(体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn))を下記方法により測定した。
<平均円形度>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−1000」;東亜医用電子株式会社製)を用いて計測した。具体的には、容器中に、予め不純固形物を除去した水100〜150mlに分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml添加し、更に、各トナーを0.1〜0.5g添加して分散させた。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で約1〜3分間分散処理して、分散液の濃度を3,000〜10,000個/μlとしてトナーの形状及び分布を測定した。これらの測定結果から平均円形度を算出した。その結果、平均円形度は0.963であった。結果を表2に示す。
<トナー粒径>
トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーII」;ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定した。これらの結果から粒度分布(体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn))を算出した。その結果、体積平均粒径は5.5μm、個数平均粒径は4.9μm、粒度分布(Dv/Dn)は1.13であった。結果を表2に示す。
(製造例2〜7)
−トナー母体粒子の調製−
製造例1において、前記カルナバワックス及び前記ビニル変性樹脂の含有量を、表1に示す値に変えて、トナーの表面近傍のワックス含有量、及び強度比(P2850/P828)を、変化させた以外は、製造例1と同様にして、製造例2〜7のトナー母体粒子を得た。
−外添剤処理−
得られた製造例2〜7のトナー母体粒子につき、製造例1のトナー母体粒子と同様にして外添剤を添加し、製造例2〜7のトナーを製造した。製造例2〜7のトナーについて、製造例1と同様にして諸物性等を測定した。結果を表2に示す。
次に、外添剤処理済の製造例1〜7の各トナー5質量%と、シリコーン樹脂で被覆した平均粒径40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95質量%とから常法により製造例1〜7の各現像剤を製造した。
(実施例1)
製造例1で得られた現像剤を用い、以下のようにして、トナー付着量が、それぞれ0.4mg/cm、1.0mg/cm、及び1.5mg/cmのトナー画像をそれぞれ形成し、これらのトナー画像を記録媒体に定着させるとともに、(a)定着性(定着下限温度、及びオフセット未発生温度)、(b)光沢性、(c)画像濃度、及び(d)記録媒体の定着部材(定着ベルト(定着ローラ))への巻き付きの有無を測定した。結果を表3に示す。
図1に示す前記ベルト式画像定着装置110を備えた画像形成装置を用いて、トナー画像を形成し、記録媒体に定着させた。
図1に示すベルト式画像定着装置110においては、前記画像接触側定着部材としての定着ローラ122と定着ベルト123と、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ124、及び加熱ローラ121により、ベルト張力1.5kg/片、ベルト速度170mm/sec及びニップ幅10mmの定着条件にて定着が行われた。
定着ローラ122は、直径38mmのシリコーン発泡体製のローラである。加圧ローラ124は、直径48mmの芯金(鉄製、肉厚1mm)状にPFAチューブを被覆し、該PFA層の表面に厚さ1mmのシリコーンゴム層を被覆した直径50mm、AskerC硬度が約60度のローラである。加熱ローラ121は、直径30mm、肉厚2mmのアルミニウム製のローラである。定着ベルト123は、ベルト直径60mm、及びベルト幅310mmであり、約40μm厚みのニッケル製ベルト基体表面に厚さ約150μmのシリコーンゴム製の離型層を有し、加熱ローラ121及び定着ローラ122に張架されている。定着ベルト123は、その内側に定着ローラ122が当接配置された状態にて、AskerC硬度が約50度である。なお、ニップ部Nにおける、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、定着ローラ122側に位置し、ニップ部Nを通過した後における記録媒体Sは、定着ローラ122よりも加圧ローラ124側に向けて排出される。
(a)定着性
<オフセット未発生温度>
図1に示すベルト定着装置を備えた画像形成装置を用いてオフセット未発生温度を測定した。即ち、画像形成は、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、転写紙(「タイプ 6200」;株式会社リコー製)に、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各単色、及び中間色としてレッド、ブルー、及びグリーンのベタ画像を各単色で、0.4±0.05mg/cmのトナーが現像されるように調整した。得られた画像を定着ベルト(加熱ローラ)の温度を変えて図1のベルト定着装置を用いて定着し、オフセットの発生しない定着温度(オフセット未発生温度)を測定した。
<定着下限温度>
図1に示すベルト定着装置を備えた画像形成装置を用いて、画像は、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、転写紙(「タイプ 6200」;株式会社リコー製)をセットし、複写テストを行った。得られた定着画像を砂消しゴム(LION GAZA)で擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
(b)光沢性
図1に示すベルト定着装置を備えた画像形成装置を用いて、画像は、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、転写紙(「タイプ 6200」;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が0.4±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成した。得られたベタ画像における任意の3箇所の光沢度を、グロスメーター(日本電色工業株式会社製)を用いて、入射角60°により計測し、その平均値を算出した。なお、光沢度は、値の高い程光沢感が出ることを意味する。
(c)画像濃度
図1に示すベルト定着装置を備えた画像形成装置を用いて、画像は、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、転写紙(「タイプ 6200」;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が0.4±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成した。得られたベタ画像における任意の3箇所の画像濃度を、分光計(「938 スペクトロデンシトメータ」;X−Rite社製」を用いて測定した。画像濃度値は、3箇所の画像濃度の平均値で示した。なお、得られた画像濃度値が高いほど、画像濃度が高く、高濃度の画像が形成できることを意味する。
(d)記録媒体の定着部材(定着ベルト(定着ローラ))への巻き付き
図1に示すベルト定着装置を備えた画像形成装置を用いて、画像は、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、転写紙(「タイプ 6200」;株式会社リコー製)をセットし、複写テストを行った。画像が定着済みの転写紙について、定着ベルト123(定着ローラ122)への巻き付きの有無を目視で観察した。
(実施例2〜4)
実施例1において、製造例1で得られたトナーを、それぞれ表2に示すトナーに代えた以外は、実施例1と同様な方法により、実施例2〜4の定着画像をそれぞれ形成し、各種評価を行った。結果を表3に示す。
(実施例5)
実施例1において、製造例1で得られたトナーを、製造例5で得られたトナーに、図1に示す画像定着装置を、図3に示す電磁誘導加熱式画像定着装置に、それぞれ代えて、実施例5の定着画像を形成し、各種評価を行った。
図3に示す前記電磁誘導加熱式画像定着装置310を備えた画像形成装置を用いて、トナー画像を形成し、記録媒体に定着させた。
図3に示す電磁誘導加熱式画像定着装置310においては、前記画像接触側定着部材としての定着ローラ330と定着ベルト340と、前記画像非接触側定着部材としての加圧ローラ350、加熱ローラ320、及び電磁誘導加熱手段360により、定着が行われた。
定着ローラ330は、直径38mmのシリコーン発泡体製のローラである。加圧ローラ350は、直径40mmの芯金(鉄製、肉厚1mm)状にPFAチューブを被覆し、該PFA層の表面に厚さ1mmのシリコーンゴム層を被覆した直径42mm、AskerC硬度が約55度のローラである。加熱ローラ320は、直径30mm、肉厚0.8mmのアルミニウム製のローラであり、電磁誘導加熱手段360の励起コイル361が通電されると、該電磁誘導加熱手段360の周囲に交番磁界が形成され、過電流の励起により効率的に予熱される。定着ベルト340は、ベルト直径60mm、及びベルト幅310mmであり、約40μm厚みのニッケル製ベルト基体表面に厚さ約150μmのシリコーンゴム製の離型層を有し、加熱ローラ320及び定着ローラ330に張架されている。定着ベルト340は、その内側に定着ローラ330が当接配置された状態にて、AskerC硬度が約45度である。なお、ニップ部Nにおける、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、定着ローラ330側に位置し、ニップ部Nを通過した後における記録媒体Sは、定着ローラ330よりも加圧ローラ350側に向けて排出される。
(比較例1)
実施例1において、製造例1で得られたトナーを、製造例6で得られたトナーに代えた以外は、実施例1と同様な方法により、比較例1の定着画像を形成し、各種評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
実施例1において、製造例1で得られたトナーを、製造例7で得られたトナーに、図1に示すベルト式画像定着装置を、図9に示す画像定着装置に、それぞれ代えて、比較例2の定着画像を形成し、各種評価を行った。結果を表3に示す。
図9に示す画像定着装置410を備えた画像形成装置を用いて、トナー画像を形成し、記録媒体に定着させた。
画像定着装置410においては、定着ローラ420と、加圧ローラ430とを備えている。
定着ローラ420は、その表面が金属製で、AskerC硬度が約80度のローラである。加圧ローラ430は、その表面がゴム製で、AskerC硬度が約70度のローラであり、定着ローラ420に圧接しながら回転可能に設けられている。加圧ローラ430の近傍には、一端を中心に回動する加圧レバー440と、定着台450とが設けられており、加圧レバー440は、加圧バネ460により、図9中、反時計回り方向に付勢されて定着台に取り付けられており、加圧レバー440により、加圧ローラ430が定着ローラ420に圧接配置されている。
なお、定着ローラ420及び加圧ローラ430には、それぞれ耐熱性を有する金属又は表面硬度の高い材料で形成された小径のクリーニングローラ470及び480が設けられている。
(比較例3)
実施例1において、図1に示す前記ベルト式画像定着装置を、図9に示す画像定着装置に代えた以外は、実施例1と同様な方法により、比較例3の定着画像を形成し、各種評価を行った。結果を表3に示す。
表3の結果より、以下のことが明らかである。即ち、表面近傍に所定量のワックスを含有し、かつ該表面のワックス量よりも内部に存在するワックス量の方が多い(表面ワックス量/総ワックス量<1を充たす)トナーを用い、画像接触側定着部材としての定着ローラが当接配置された定着ベルトの表面硬度が、画像非接触側定着部材としての加圧ローラの表面硬度よりも低い実施例1〜5では、光沢性に優れ、画像濃度が良好で、高画質が得られることが判った。また、実施例1〜5で用いたトナーは離型性に優れるため、トナー付着量が多くても、定着性が良好であり、記録媒体の定着部材への巻き付きもなかった。なお、比較例3では、実施例1と同様、製造例1で得られたトナーを用いたが、定着ローラ(画像接触側)の表面硬度が、加圧ローラ(画像非接触側)の表面硬度よりも高い画像定着装置にて定着画像を形成したため、記録媒体の定着ローラへの巻き付きが観られた。
本発明の画像定着方法及び画像定着装置は、記録媒体の定着部材への巻き付きを防止し、オフセット性が良好であり、光沢性に優れ、高画質な画像が得られるため、高品質な画像形成に好適に使用される。本発明の画像定着方法及び画像定着装置を用いた本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、高品質な画像形成に好適に使用される。本発明のトナーは、離型性に優れ、本発明の画像定着装置及び画像形成方法に好適に使用される。
図1は、本発明の画像定着装置(ベルト式画像定着装置)の一例を示す概略説明図である。 図2は、本発明の画像定着装置の一例を示す概略説明図である。 図3は、本発明の画像定着装置(電磁誘導加熱式画像定着装置)の一例を示す概略説明図である。 図4は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の例を示す概略説明図である。 図5は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の例を示す概略説明図である。 図6は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。 図7は、図6に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 図8は、製造例1で得られたトナーの表面状態を示すTEM写真である。 図9は、比較例2で用いた画像定着装置を示す概略説明図である。
符号の説明
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
110 ベルト式画像定着装置
120 タンデム型現像器
121 加熱ローラ
122 定着ローラ
123 定着ベルト
124 加圧ローラ
125 加熱源
126 クリーニングローラ
127 温度センサ
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
210 画像定着装置
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
310 電磁誘導加熱式画像定着装置
320 加熱ローラ
330 定着ローラ
340 定着ベルト
350 加圧ローラ
360 電磁誘導加熱手段
400 原稿自動搬送装置(ADF)
410 画像定着装置
420 定着ローラ
430 加圧ローラ
N ニップ部
S 記録媒体
T トナー画像

Claims (18)

  1. トナーによる画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させ、
    前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
    前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
    前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
    前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
    ことを特徴とする画像定着方法。
  2. ニップ部における、記録媒体の導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、画像接触側定着部材の側に位置する請求項1に記載の画像定着方法。
  3. 画像接触側定着部材が、無端状ベルトと該無端状ベルトの内側に当接配置されたローラとである請求項1から2のいずれかに記載の画像定着方法。
  4. 画像接触側定着部材の表面硬度が、AskerC硬度で30〜90度である請求項1から3のいずれかに記載の画像定着方法。
  5. 画像非接触側定着部材が、ローラである請求項1から4のいずれかに記載の画像定着方法。
  6. 画像非接触側定着部材の表面硬度が、AskerC硬度で40〜99度である請求項1から5のいずれかに記載の画像定着方法。
  7. 定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される請求項1から6のいずれかに記載の画像定着方法。
  8. トナーが、カラートナーである請求項1から7のいずれかに記載の画像定着方法。
  9. トナーが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて接着性基材を粒子状に生成させ、前記有機溶剤を除去して得られる請求項1から8のいずれかに記載の画像定着方法。
  10. 分散粒子が、トナー粒子中に均一に分散する請求項1から9のいずれかに記載の画像定着方法。
  11. トナーの平均円形度が0.900〜0.975である請求項1から10のいずれかに記載の画像定着方法。
  12. トナーの体積平均粒径(Dv)が、3〜8μmである請求項1から11のいずれかに記載の画像定着方法。
  13. トナーの体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が、1.20以下である請求項1から12のいずれかに記載の画像定着方法。
  14. 互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、トナーによる画像が転写された記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材を有してなり、
    前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
    前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
    前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
    前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
    ことを特徴とする画像定着装置。
  15. トナーによる画像を記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させることを含み、
    前記画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
    前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
    前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
    前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
    ことを特徴とする画像形成方法。
  16. 感光体上に形成された静電潜像をトナー用いてトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
    該トナー画像を記録媒体に転写する転写手段と、
    互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、前記トナー画像が転写された前記記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材とを有してなり、
    前記トナー画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
    前記トナーが、少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在し、
    前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
    前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる
    ことを特徴とする画像形成装置。
  17. トナーによる画像を記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、少なくとも2つの定着部材が当接して形成されたニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させることを含み、
    前記画像の少なくとも一部の領域が最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成され、
    前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
    前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる画像定着装置に用いられ、
    少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在することを特徴とするトナー。
  18. 感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いてトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
    該トナー画像を記録媒体に転写する転写手段と、
    互いに当接してニップ部を形成可能であり、該ニップ部に、前記トナー画像が転写された前記記録媒体を通過させることにより前記画像を前記記録媒体に定着可能な少なくとも2つの定着部材とを有してなり、
    前記トナー画像の少なくとも一部の領域を最大トナー付着量0.4〜1.5mg/cmで形成し、
    前記少なくとも2つの定着部材の内、前記画像と接触する側に位置する画像接触側定着部材の表面硬度が、前記画像と非接触側に位置する画像非接触側定着部材の表面硬度よりも低く、かつ
    前記ニップ部を通過させた後における前記記録媒体を、前記画像接触側定着部材よりも前記画像非接触側定着部材の側に向けて排出させる画像形成装置に用いられ、
    少なくとも脂肪鎖を有するワックスと芳香環を有するポリエステル樹脂とを含んでなり、前記ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であり、その表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、前記ワックス由来のピーク(2850cm−1)と前記ポリエステル樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)で、0.05〜0.40であり、かつ該強度比(P2850/P828)を質量換算した前記トナーの表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する表面ワックス量と、前記DSC法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した総ワックス量との比(表面ワックス量/総ワックス量)が0.1以上1.0未満であり、前記ワックスの少なくとも一部が内包されて複数の独立した分散粒子として存在することを特徴とするトナー。
JP2005256358A 2004-09-07 2005-09-05 画像定着方法、及び画像形成方法 Expired - Fee Related JP4955965B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005256358A JP4955965B2 (ja) 2004-09-07 2005-09-05 画像定着方法、及び画像形成方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004260169 2004-09-07
JP2004260169 2004-09-07
JP2005256358A JP4955965B2 (ja) 2004-09-07 2005-09-05 画像定着方法、及び画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006106710A true JP2006106710A (ja) 2006-04-20
JP4955965B2 JP4955965B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=36376460

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005256358A Expired - Fee Related JP4955965B2 (ja) 2004-09-07 2005-09-05 画像定着方法、及び画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4955965B2 (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008076452A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Ricoh Co Ltd トナー定着方法及びトナー定着装置並びに画像形成装置
JP2008233288A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Ricoh Co Ltd トナー及びその製造方法、トナー容器、現像剤、画像形成装置並びにプロセスカートリッジ
JP2008299055A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法、及び静電荷像現像用トナー
JP2009058849A (ja) * 2007-09-03 2009-03-19 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー
JP2009223275A (ja) * 2008-02-21 2009-10-01 Sharp Corp トナー、トナーの製造方法、現像剤、現像装置および画像形成装置
JP2010217580A (ja) * 2009-03-17 2010-09-30 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2011059595A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2011118128A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー、現像剤、トナー入り容器及びプロセスカ−トリッジ
JP2012133193A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Canon Inc トナー及び二成分系現像剤
JP2015175929A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 株式会社リコー フルカラー画像形成装置
JP2019139226A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 株式会社リコー 定着方法、画像形成方法及び画像形成装置
JP2019191248A (ja) * 2018-04-19 2019-10-31 コニカミノルタ株式会社 定着装置および画像形成装置
JP7456241B2 (ja) 2020-03-31 2024-03-27 株式会社リコー 画像形成装置及び画像形成方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05265344A (ja) * 1991-02-26 1993-10-15 Canon Inc 混色定着装置
JP2000056601A (ja) * 1998-08-06 2000-02-25 Sharp Corp 画像形成装置の定着装置
JP2001142340A (ja) * 1999-11-16 2001-05-25 Konica Corp 画像形成方法及び画像形成装置
JP2004226946A (ja) * 2002-11-28 2004-08-12 Ricoh Co Ltd 非磁性一成分現像用トナー
JP2004246345A (ja) * 2003-01-20 2004-09-02 Ricoh Co Ltd トナー、現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05265344A (ja) * 1991-02-26 1993-10-15 Canon Inc 混色定着装置
JP2000056601A (ja) * 1998-08-06 2000-02-25 Sharp Corp 画像形成装置の定着装置
JP2001142340A (ja) * 1999-11-16 2001-05-25 Konica Corp 画像形成方法及び画像形成装置
JP2004226946A (ja) * 2002-11-28 2004-08-12 Ricoh Co Ltd 非磁性一成分現像用トナー
JP2004246345A (ja) * 2003-01-20 2004-09-02 Ricoh Co Ltd トナー、現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008076452A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Ricoh Co Ltd トナー定着方法及びトナー定着装置並びに画像形成装置
JP2008233288A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Ricoh Co Ltd トナー及びその製造方法、トナー容器、現像剤、画像形成装置並びにプロセスカートリッジ
US8691484B2 (en) 2007-03-19 2014-04-08 Ricoh Company, Ltd. Toner and method for producing the same, toner container, developer, image forming apparatus and process cartridge
JP2008299055A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法、及び静電荷像現像用トナー
JP2009058849A (ja) * 2007-09-03 2009-03-19 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー
US8232033B2 (en) 2008-02-21 2012-07-31 Sharp Kabushiki Kaisha Toner, method of manufacturing toner, developer, two-component developer, developing device, and image forming apparatus
JP2009223275A (ja) * 2008-02-21 2009-10-01 Sharp Corp トナー、トナーの製造方法、現像剤、現像装置および画像形成装置
JP4606483B2 (ja) * 2008-02-21 2011-01-05 シャープ株式会社 トナー、トナーの製造方法、現像剤、現像方法および画像形成方法
JP2010217580A (ja) * 2009-03-17 2010-09-30 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2011059595A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2011118128A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー、現像剤、トナー入り容器及びプロセスカ−トリッジ
KR101410066B1 (ko) * 2009-12-02 2014-06-25 가부시키가이샤 리코 정전하상 현상용 토너
US8835086B2 (en) 2009-12-02 2014-09-16 Ricoh Company, Ltd. Electrostatic image developing toner
JP2012133193A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Canon Inc トナー及び二成分系現像剤
JP2015175929A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 株式会社リコー フルカラー画像形成装置
JP2019139226A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 株式会社リコー 定着方法、画像形成方法及び画像形成装置
JP2019191248A (ja) * 2018-04-19 2019-10-31 コニカミノルタ株式会社 定着装置および画像形成装置
JP7456241B2 (ja) 2020-03-31 2024-03-27 株式会社リコー 画像形成装置及び画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4955965B2 (ja) 2012-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4955965B2 (ja) 画像定着方法、及び画像形成方法
JP4711406B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、及びそれを用いた画像形成方法
JP4295034B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2006293317A (ja) トナー、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置
JP2006085094A (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP2006085095A (ja) トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2006178407A (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP2007079486A (ja) トナー、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP5086739B2 (ja) トナー、及びその製造方法、並びに該トナーを用いた現像剤
JP4719028B2 (ja) トナー、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2006243301A (ja) 画像定着方法及び画像定着装置、並びに、画像形成方法及び画像形成装置
JP4295144B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2005055858A (ja) 画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2010170151A (ja) トナー
JP4319634B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4295182B2 (ja) カラートナー、カラートナーセット及びそれを用いた画像形成方法、画像形成装置
JP4180457B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4027290B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びこれを用いるプロセスカートリッジ、画像形成装置と静電荷像現像用トナーの製造方法
JP4230389B2 (ja) トナー、現像剤、現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置
JP2009168983A (ja) トナー
JP2009075380A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用現像剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4516384B2 (ja) 画像定着方法及び画像定着装置、並びに、画像形成方法及び画像形成装置
JP4198619B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、画像形成装置、プロセスカートリッジ
JP4365151B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4512995B2 (ja) 画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100917

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101019

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110113

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110118

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20110408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120130

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4955965

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150323

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees