JP2001334471A - 研削工具用台金および研削工具 - Google Patents

研削工具用台金および研削工具

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JP2001334471A JP2000154865A JP2000154865A JP2001334471A JP 2001334471 A JP2001334471 A JP 2001334471A JP 2000154865 A JP2000154865 A JP 2000154865A JP 2000154865 A JP2000154865 A JP 2000154865A JP 2001334471 A JP2001334471 A JP 2001334471A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】研削工具の台金構成材として使用した場合に、
振動の発生が少なく、高い加工精度で安定した研削操作
が可能である一方、繰り返して使用が可能な研削工具用
台金およびそれを用いた研削工具を提供する。 【解決手段】Ni,Cu,FeおよびCoから選択され
る少なくとも一種の金属を20重量%以下含有し、残部
Wから成るW基合金で形成されたことを特徴とする研削
工具用台金2である。また本発明の研削工具1は上記研
削工具用台金2に研削砥粒3を電着して形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は研削工具用台金およ
びそれを用いた研削工具に係り、特に研削工具の台金の
構成材として使用した場合に振動の発生が少なく、高い
加工精度で安定した研削操作が可能な研削工具用台金お
よびそれを用いた研削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から研削工具を構成する金属材とし
て、S55Cなどの高炭素鋼やSCM435などのクロ
ムモリブデン鋼が広く使用されている。ところで、研削
加工中においてバイトなどの切削工具や回転砥石などの
研削工具と工作物との間に発生するびびり振動は、加工
能率の低下、加工精度の劣化、工具の寿命の低下を惹起
する。特に溝切り加工や突切り加工は、外丸削り加工や
面削り加工等の切削加工と比較して、びびり振動が発生
し易く、とりわけ切削幅の広い溝切り加工の場合には刃
先(切削チップ)と工作物との接触幅が大きくなり、び
びり振動が発生し研削加工精度が低下し易い難点があ
る。
【0003】上記びびり振動を防止する基本的な対策と
して、従来、研削工具自体の剛性を高める工夫が種々試
行されている。例えば研削工具を構成する材料として、
従来から利用されていたCr−Mo鋼に代えて、例えば
WC材などの超硬合金材やSK材を使用したホルダタイ
プの研削工具が開発されている。また研削工具本体に部
分的に制振合金を使用して高減衰化を図る工夫がなされ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、制振合
金自体の機械的強度が高剛性材料と比較して大幅に低い
ため、超硬合金などの高剛性材料を使用した研削工具を
超えるびびり抑制効果を発揮することは困難であった。
特に突切り加工用や溝切り加工用の研削工具において
は、研削工具本体の幅も狭くなり剛性を高めることは極
めて困難であった。
【0005】一方、突切り加工用の研削工具で超硬合金
にて形成されたものは、Cr−Mo鋼等で形成された保
持器(ツールブロック)によって保持されて使用されて
いたが、びびり振動の抑制効果が未だ不充分であったた
め、研削加工の安定性が乏しく、加工精度のばらつきも
大きくなり、さらに研削面にびびりマークが発生し易
く、加工製品の製造歩留りが低下してしまう問題点があ
った。
【0006】また、S55Cなどの高炭素鋼やSK材か
ら成る研削工具においては、剛性が低いために研削時に
作用する衝撃力によって容易に変形し易く、高精度の研
削加工が極めて困難であり、研削速度を低く設定した場
合においても、工具寿命が短かく、頻繁に工具の交換が
必要であり、不経済でもある上に、加工効率が低下する
問題点があった。
【0007】さらに、回転砥石型の研削工具例として、
従来からS55CやSK材から成る円盤状の工具本体
(台金)の周縁に、ニッケル(Ni)等の金属から成る
電着層を形成し、その電着層を介して砥粒を一体に接合
した研削工具も使用されている。この研削工具から砥粒
が脱落して所定の研削能力が得られなくなった場合に
は、廃棄されていたため、繰り返して使用する場合と比
較して経済性が低いという問題点もあった。
【0008】またWC材などの超硬合金材で形成した研
削工具においては、通電処理によってニッケル金属層な
どを析出させながら砥粒の接合固定を行う電着処理が困
難であり、砥粒の再電着による研削工具の再生が困難に
なる問題点もあった。
【0009】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、特に研削工具の台金の構成材として使
用した場合に、振動の発生が少なく、高い加工精度で安
定した研削操作が可能である一方、耐酸性に優れており
酸洗再生処理によっても劣化せず、繰り返して使用が可
能な研削工具用台金およびそれを用いた研削工具を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するため、種々の組成の合金から成る研削工具を調製
し、その合金組成、機械的特性および電気的特性が研削
時の振動発生量,研削加工精度,耐酸性,電着特性等に
及ぼす影響を実験により比較研究した。
【0011】その結果、ニッケル(Ni),銅(C
u),鉄(Fe)およびコバルト(Co)の少なくとも
1種、必要に応じてモリブデン(Mo)を所定量含有し
残部タングステンから成るW基合金材で研削工具の台金
を形成したときに、研削加工時における振動発生が効果
的に抑制され、加工精度を大幅に高めることが可能にな
り、加工精度のばらつきも大幅に縮小し、長寿命の研削
工具が得られるという知見を得た。さらに、工具の寿命
は砥粒の摩耗や剥離に大きな影響を受けるが、本発明に
おいては特に砥粒の電着メカニズムに着目し、また、靭
性に基づく耐衝撃性,ヤング率,硬度などの機械的特性
を一定値以上とし、電着特性を改善することによって砥
粒の接合強度が向上し、工具の長寿命化も実現できるこ
とが判明した。また、上記W基合金材は耐酸性にも優れ
ており、研削工具の再生時に実施する酸洗処理によって
劣化することが少なく、繰り返して使用できるという顕
著な効果も発揮されることが判明した。
【0012】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち、本発明に係る研削工具用台金は、
Ni,Cu,FeおよびCoから選択される少なくとも
一種の金属を20重量%以下含有し、残部Wから成るW
基合金で形成されたことを特徴とする。
【0013】また、本発明に係る研削工具用台金は、N
i,Cu,FeおよびCoから選択される少なくとも一
種の金属を20重量%以下,Moを10重量%以下含有
し、残部Wから成るW基合金で形成されたことを特徴と
する。
【0014】さらに本発明に係る研削工具用台金は、N
iを0.1〜10重量%,Cu,FeおよびCoから選
択される少なくとも一種の金属を20重量%以下含有
し、残部Wから成るW基合金で形成されたことを特徴と
する。
【0015】さらに、本発明に係る研削工具用台金は、
シャルピー衝撃値が4×10kg・m/m以上であ
るW基合金で形成されたことを特徴とする。
【0016】また、本発明に係る研削工具用台金は、密
度が16×10kg/m以上であり、ヤング率が
1.96×10MPa以上であるW基合金で形成され
たことを特徴とする。
【0017】さらに本発明に係る研削工具は、上記のよ
うに調製された研削工具用台金の少なくとも被研削物と
接触する部位に、被研削物を研削する研削砥粒を一体に
接合したことを特徴とする。
【0018】また、上記研削工具において、研削砥粒が
立方晶窒化硼素(c−BN)およびダイヤモンドの少な
くとも一方から構成するとよい。さらに、上記研削工具
用台金において、W基合金の密度が16×10kg/
以上であることが好ましい。また、研削砥粒は電着
したニッケル層を介して合金に一体に接合されている構
造が好ましい。また、研削砥粒は、モース硬度が8以上
の砥粒であることが好ましい。さらに、台金の比抵抗が
0.15μΩ・m以下であることが好ましい。また、W
基合金のヤング率(剛性)が1.96×10MPa以
上であることが好ましい。さらに、W基合金のHRc硬
度が40以下の範囲であることが好ましい。
【0019】また、本発明に係る切削工具の製造方法
は、上記の研削工具用台金を切削加工することにより、
所定形状に加工し、得られた研削工具用台金の少なくと
も被研削物と接触する部位に研削砥粒を電着により一体
に接合することを特徴とする。
【0020】本発明に係る研削工具を構成する工具用台
金に含有されるNi,Cu,FeおよびCoは、いずれ
もW基合金の加工性を改善し、またタングステンの焼結
温度を低減して製造条件を緩和するとともに、タングス
テン原料粉末の焼結時において原料粉末を相互に結合せ
しめて緻密で強固な焼結体を形成する役目を果たすもの
であり、20重量%以下の割合で添加される。
【0021】なお、添加量が0.1重量%未満であると
低温条件下における焼結操作が困難であり、焼結体の緻
密化が十分に進行せず高強度の焼結体が得られない。一
方、20重量%を超えるように添加量を増しても焼結時
における緻密化の進行割合が少ない。また比較的に低密
度のNi,Cu,Co,Feを過量に添加するとW基合
金材全体の密度が低下して、質量効果が大きな金属材が
得られない。そのためNi,Cu,Co,Feの添加量
は20重量%以下の範囲内に設定されるが、0.1〜1
5重量%の範囲がより好ましい。
【0022】特に、ニッケル(Ni)は、電着性を高め
るとともに、研削工具の靭性値(シャルピー衝撃値)お
よび剛性を高めて研削時の振動発生および変形を防止す
るための成分であり、0.1〜10重量%の範囲で含有
されることが好ましい。Ni含有量が0.1重量%未満
と過少な場合には、上記改善効果が不十分となる場合が
ある。一方、Ni含有量が10重量%を超えるように過
大になると、相対的にW含有量が低下し、高比重のW成
分の質量効果による振動抑止作用が低下し、研削加工精
度が低下してしまう。そのためNi含有量は0.1〜1
0重量%の範囲が好ましいが、0.5〜5重量%の範囲
がより好ましい。
【0023】一方、銅(Cu)は、研削工具の比抵抗値
を下げて通電処理によって工具縁部にNi層を析出させ
て工具本体(台金)に研削砥粒を電着する際の電着特性
を改善するために1〜10重量%の範囲で含有されるこ
とが好ましい。上記Cu含有量が1重量%未満と過少な
場合には、研削砥粒を固定するためのNi層の形成速度
が小さく電着操作が非効率になるとともに、研削砥粒の
固定強度が低下して切削時に脱落し易くなり、研削工具
の寿命が短くなる。一方、Cu含有量が10重量%を超
えるように過大になると、合金材の剛性,硬度が低下し
て切削時に変形が起こり易く、いずれにしても研削加工
精度が低くなる。そのため、Cu含有量は10重量%以
下の範囲とされるが、2〜4重量%の範囲がより好まし
い。
【0024】モリブデン(Mo)は必須の構成元素では
ないが、特に台金にねばりを付与して加工性を向上させ
るための成分として有効であり、10重量%以下の範囲
で含有されることが好ましい。しかしながら、Mo含有
量が1.0重量%未満と過少な場合には、上記の加工性
の改善効果が少ない。一方、Mo含有量が10重量%を
超えるように過大になると、台金の密度が低下し、高比
重のW成分の質量効果による振動抑止作用が低下し、研
削加工精度が低下してしまう。そのためMo含有量は1
0重量%以下の範囲とされるが、2〜6重量%の範囲が
より好ましい。
【0025】タングステン(W)は本発明に係る研削工
具を構成する台金の主成分であり、その高密度性に起因
する質量効果によって、研削加工時における振動発生を
効果的に抑止し、高い研削加工精度を実現するための必
須成分である。特に、上記Wを主成分とする本発明に係
る研削工具用台金の密度を16×10kg/m以上
に調整することにより、研削加工時の振動発生をより効
果的に防止でき、高い研削加工精度を実現することがで
きる。
【0026】本発明に係る研削工具用台金は高融点金属
としてのタングステン(W)を基材として構成されてい
るW基合金であるため、所定量のW,Ni,Cu,F
e,Co,Mo原料粉末を配合した原料混合体を成形
後、非酸化性雰囲気中で温度1100〜1600℃で焼
結したり、ホットプレス処理やHIP処理するという粉
末冶金法によって焼結体に調製され、この焼結体を切削
加工することにより所定形状に加工して製造される。本
発明の研削工具を構成する上記焼結体のシャルピー衝撃
値は、研削工具としての耐久性および構造強度を確保す
るために4×10kg・m/m以上であることが望
ましい。
【0027】また、上記焼結体で形成した研削工具本体
(台金)の比抵抗は、電着処理時の通電特性に大きな影
響を及ぼすため、本発明ではCu成分の配合量の調節に
よって0.15μΩ・m以下とされる。この比抵抗値が
0.15μΩ・mを超えるように過大になると、電着処
理に要する時間が増大するとともに、研削砥粒の固定保
持強度が低下してしまう。そのため、比抵抗値0.15
μΩ・m以下とされるが、0.10μΩ・m以下がさら
に好ましい。
【0028】さらに、研削工具本体(台金)のヤング率
は、研削加工時の工具の変形量に大きな影響を及ぼすた
め、本発明では1.96×10MPa以上とされる。
ヤング率が1.96×10MPa未満と過小な場合に
は、研削加工時における工具の変形量が大きくなり、高
い研削加工精度が得られない。そのため、台金のヤング
率は1.96×10MPa以上とされるが、2.50
×10MPa以上がより好ましい。
【0029】また工具本体(台金)の硬度は、研削加工
時における研削工具の変形量および構造強度に影響を及
ぼすため本発明ではJISのロックウェル硬度(HR
c)で40以下の範囲とされる。なお、硬度が20HR
c未満と過小な場合には、研削加工時における変形量が
大きくなり、高い研削加工精度が得られない。一方、硬
度が40HRcを超えるように過大になると、工具の脆
性が高まり構造強度が低下して割れや欠けが発生し易く
なる。そのため、台金の硬度は40HRc以下とされる
が、30〜35HRcの範囲がより好ましい。
【0030】また、研削砥粒としては、電着処理によっ
て工具本体(台金)に接合固定が可能な砥粒であれば、
特に限定されるものではないが、モース硬度が8以上の
砥粒が好ましい。具体的には、平均粒径が0.1〜0.
15mm程度の立方晶窒化硼素(c−BN)およびダイ
ヤモンドの少なくとも一方から成る超砥粒であることが
好ましい。上記超砥粒は、モース硬度が8以上と硬度が
著しく高く、研削性能も著しく優れているため、好適に
使用できる。
【0031】上記研削砥粒は、前記本発明に係る研削工
具用台金の周縁に電着した厚さ0.4〜0.75mm程
度のニッケル層(Niめっき層)などを介して工具本体
に一体に接合固定される。前記工具用合金から成る研削
工具本体(台金)に研削砥粒を電着処理によって一体に
接合固定することにより本発明に係る研削工具が製造さ
れる。
【0032】なお、研削砥粒の接合状態は、図1および
図2に示すように、研削工具用台金の外周縁部に連続的
な砥粒層3を形成するように、外周縁部全面に砥粒を電
着等により接合する形態を採用することができる。
【0033】一方、図3に示すように、研削工具用台金
2の外周縁部の周方向に所定の間隔をおいて複数の砥粒
層3を断続的に形成してもよい。例えば、直径が50〜
60mmの円盤状の研削工具1aを製作する場合、砥粒
層3aが存在する周方向の幅および砥粒層3aが存在し
ない周方向の幅は2〜5mm程度に設定される。
【0034】図3に示すように台金2の外周縁部の周方
向に所定の間隔をおいて複数の砥粒層3aが断続的に形
成されている研削工具1aによれば、研削操作の進行に
伴って発生する研削くず(研削粉)が、隣接する砥粒層
3a間に形成される空隙部に一旦収容された後に系外に
円滑に排出されるため、研削性が大幅に改善される利点
がある。
【0035】上記構成に係る研削工具用台金および研削
工具によれば、所定量のニッケル,銅,鉄,コバルト,
モリブデンを含有する高密度のタングステン基合金から
構成されているため、研削時に衝撃力が作用した場合に
おいても、タングステン基材の高密度性に起因する質量
効果によって振動発生が効果的に抑止され、高い加工精
度で安定した研削操作が可能になる。
【0036】特に従来の工具鋼と比較して剛性または靭
性値が高いため、研削時における研削工具の変形が効果
的に防止でき、高い研削加工精度が得られる。また本発
明の研削工具用台金および研削工具は耐酸性に優れてい
るため、研削工具の再生時に実施する酸洗処理によって
劣化することが少なく、繰り返して使用できるという効
果も奏する。
【0037】さらに本発明の工具用台金および研削工具
は比抵抗が低く、通電処理によって金属層を析出させな
がら研削砥粒の接合固定を行う電着処理も容易になり、
砥粒の再電着による研削工具の再生も容易であり、ま
た、短時間の切削加工によって製造できるため、経済性
が優れている。
【0038】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について添
付図面を参照しながら、以下の実施例および比較例に基
づいて具体的に説明する。
【0039】実施例1〜5 表1左欄に示すような工具用台金組成となるように、N
i,Cu,Fe,Co,Mo,W粉末を配合して原料混
合体をそれぞれ調製し、各原料混合体を図1および図2
に示すような円盤形状に圧粉成形し、得られた各成形体
を水素炉にて1400℃で3時間焼結を行い各実施例用
のW基工具用台金(焼結体)を調製した。
【0040】次に得られた各工具用台金を機械加工する
ことにより、図1および図2に示すように円盤状の工具
用台金の外周部に周溝4を形成して回転砥石用の台金2
を調製した。すなわち、円盤状の台金素材を用意し、台
金素材の反りが許容範囲内となるように研磨加工等によ
り修正した後に、台金素材の中心部に穿設した取付穴5
を基準として台金素材の一方の端面を旋盤加工により仕
上げ、しかる後に台金素材の他方の端面と外周縁部の周
溝4とを旋盤による同時加工によって仕上げた。さらに
仕上げた台金素材の両端面をラップ加工して表面を平滑
化した後に、洗浄することにより台金2を調製した。さ
らに周溝4の両外周面に、表1に示す研削砥粒をNi電
着することにより、実施例1〜5に係るホイールタイプ
の研削工具1をそれぞれ調製した。
【0041】比較例1〜2 実施例1において工具本体(台金)を構成するW基工具
用台金に代えて機械構造用炭素鋼(S55C)または超
硬合金(WC材)を使用した点以外は実施例1と同一寸
法を有する工具本体(台金)を形成し、実施例1と同様
に電着処理により研削砥粒を一体に接合することによ
り、それぞれ比較例1および比較例2に係る従来の研削
工具を調製した。
【0042】比較例3〜4 表1左欄に示すようにNi含有量およびCu含有量を本
発明で規定する範囲外となるように台金の組成を変化さ
せた点以外は実施例1と同様に同一寸法の台金を調製
し、しかる後に台金周縁部に電着処理により研削砥粒を
一体に接合することにより、それぞれ比較例3〜4に係
る研削工具を製造した。
【0043】上記のように調製した各実施例および比較
例に係る研削工具の研削特性および寿命を評価するため
に、下記のような研削加工を実施した。すなわち、FC
−25製のシリンダー材の内壁面に、幅3.2±0.0
02mm×深さ16mm×長さ20mmの溝を形成する
ために、各研削工具を用いて研削加工を繰返して実施し
た。なお研削周速度は、45m/secとし、工具の送
り速度は30μm/secとした。
【0044】そして、同一の研削条件で研削加工を繰返
し、1個の研削工具で上記溝を繰返して形成できる加工
回数を測定して研削工具の寿命として評価した。
【0045】さらに前記のように調製した焼結体から各
種試験片を切り出し、そのシャルピー衝撃値,密度,比
抵抗,ヤング率および硬度(HRc)を測定した。
【0046】また、各研削工具の加工性、経済性および
製造性を評価するために、各研削工具に電着した砥粒が
脱落して研削機能が低下した場合に電着層を酸洗して再
度砥粒を電着して繰り返して使用できる回数を求め、再
電着回数として測定した。また、研削工具用台金を所定
の形状まで切削加工するまでに要する加工時間と所要工
数とを測定した。なお、上記研削工具の寿命,再電着回
数および台金製作に要する加工時間は、比較例1(S5
5C)の場合を基準値100として相対的に表示した。
上記の測定値および算出値を下記表1にまとめて示す。
【0047】
【表1】
【0048】上記表1に示す結果から明らかなように、
所定量のNi等を含有するW基工具用台金を使用して形
成した各実施例に係る研削工具によれば、従来材(S5
5C,WC材)で形成した比較例1〜2に係る研削工具
と比較して密度が大きいため、研削加工時に発生する振
動や変形が少ないため、加工精度が優れており、また延
べ加工回数で示す寿命も1.5倍程度と長く、高い加工
精度を長期的に亘って維持できる。
【0049】一方、従来材である機械構造用炭素鋼(S
55C)で形成した比較例1に係る研削工具では、構造
強度(ヤング率)が低く、加工精度のばらつきも多く、
寿命も短くなった。
【0050】また、従来材である超硬合金(WC材)で
形成した比較例2に係る研削工具では密度が高く、ある
程度の振動防止効果が得られているが、電着処理によっ
て研削砥粒を接合する操作が困難になり、研削工具の再
生に要する工数が増大することが判明した。また、WC
材自体が難加工材であるため、加工時間および加工工数
が大きくなり、工具製作上の経済性が劣っている。
【0051】さらにNi含有量およびCu含有量が本発
明で規定する範囲外となる比較例3に係る研削工具およ
びWのみから成る比較例4に係る研削工具においては、
シャルピー衝撃値,比抵抗,ヤング率,硬度のいずれか
が不十分となり、研削工具としての要求特性を十分に発
揮できないことが判明した。
【0052】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る研削工具用
台金および研削工具によれば、所定量のニッケル等を含
有する高密度のタングステン基合金から構成されている
ため、研削時に衝撃力が作用した場合においても、タン
グステン基材の高密度性に起因する質量効果によって振
動発生が効果的に抑止され、高い加工精度で安定した研
削操作が可能になる。
【0053】特に従来の工具鋼と比較して剛性および耐
衝撃性が高いため、研削時における工具の変形が効果的
に防止でき、高い研削加工精度が得られる。また本発明
の研削工具用台金および研削工具は電着特性に優れてい
るため、研削工具の再生も容易であり、繰り返して使用
できるという効果も奏する。
【0054】さらに本発明の研削工具用台金および研削
工具は比抵抗が低く、通電処理によって金属層を析出さ
せながら研削砥粒の接合固定を行う電着処理も容易にな
り、砥粒の再電着による研削工具の再生も容易であり、
経済性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る研削工具用台金を使用して形成し
た研削工具の一実施例を示す断面図。
【図2】図1に示す研削工具の正面図。
【図3】砥粒層の他の形態を示す正面図。
【符号の説明】
1 研削工具 2 研削工具用台金 3 電着砥粒層 4 周溝 5 取付穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南 淑子 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 宮城 直樹 東京都青梅市新町3丁目3番地の1 東芝 デジタルメディアエンジニアリング株式会 社内 (72)発明者 岡田 崇 奈良県生駒市高山町7689番地の1 (72)発明者 岡田 博之 奈良県生駒市高山町7689番地の1 Fターム(参考) 3C063 AA02 AB03 BA02 BA03 BA24 BB02 BG01 BG07 CC02 CC12 DD01 FF03 FF30

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni,Cu,FeおよびCoから選択さ
    れる少なくとも一種の金属を20重量%以下含有し、残
    部Wから成るW基合金で形成されたことを特徴とする研
    削工具用台金。
  2. 【請求項2】 Ni,Cu,FeおよびCoから選択さ
    れる少なくとも一種の金属を20重量%以下,Moを1
    0重量%以下含有し、残部Wから成るW基合金で形成さ
    れたことを特徴とする研削工具用台金。
  3. 【請求項3】 Niを0.1〜10重量%,Cu,Fe
    およびCoから選択される少なくとも一種の金属を20
    重量%以下含有し、残部Wから成るW基合金で形成され
    たことを特徴とする研削工具用台金。
  4. 【請求項4】 シャルピー衝撃値が4×10kg・m
    /m以上であるW基合金で形成されたことを特徴とす
    る研削工具用台金。
  5. 【請求項5】 密度が1.6×10kg/m以上で
    あり、ヤング率が1.96×10MPa以上であるW
    基合金で形成されたことを特徴とする研削工具用台金。
  6. 【請求項6】 W基合金が焼結体であることを特徴とす
    る請求項1ないし5のいずれかに記載の研削工具用台
    金。
  7. 【請求項7】 W基合金のHRc硬度が40以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
    研削工具用台金。
  8. 【請求項8】 W基合金の比抵抗値が0.15μΩm以
    下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
    に記載の研削工具用台金。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし5のいずれかに記載され
    た研削工具用台金の少なくとも被研削物と接触する部位
    に、被研削物を研削する研削砥粒を一体に接合したこと
    を特徴とする研削工具。
  10. 【請求項10】 研削砥粒は電着したニッケル層を介し
    て台金に一体に接合されていることを特徴とする請求項
    9記載の研削工具。
  11. 【請求項11】 研削砥粒は、モース硬度が8以上の砥
    粒であることを特徴とする請求項9記載の研削工具。
  12. 【請求項12】 研削砥粒が立方晶窒化硼素(c−B
    N)およびダイヤモンドの少なくとも一方であることを
    特徴とする請求項9記載の研削工具。
  13. 【請求項13】 研削砥粒は、研削工具用台金の外周縁
    の周方向に間隔をおいて複数の砥粒層を断続的に形成す
    るように接合されていることを特徴とする請求項9記載
    の研削工具。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    研削工具用台金を切削加工することにより、所定形状に
    加工し、得られた研削工具用台金の少なくとも被研削物
    と接触する部位に研削砥粒を電着により一体に接合する
    ことを特徴とする研削工具の製造方法。
  15. 【請求項15】 研削工具用台金の外周縁の周方向に間
    隔をおいて複数の砥粒層を断続的に形成するように研削
    砥粒を接合することを特徴とする請求項14記載の研削
    工具の製造方法。
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