JP2877254B2 - 工具用高硬度複合焼結体 - Google Patents

工具用高硬度複合焼結体

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信一 河野
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ダイヤモンドまたは立方晶系窒化硼素を含
む高硬度焼結体と超硬合金やサーメットなどの硬物質体
とを強固に接合させた工具用高硬度複合焼結体に関し、
特にエンドミルやドリルのような転削工具に用いて有用
な該焼結体に関するものである。
[従来技術] 従来、エンドミルやドリルなどの転削工具の回転中心
部の低速切削領域で切刃に欠損やチッピングが多発する
部分に超硬合金など靭性の高い材種から形成する切刃を
配し、外周側の切削速度が高くなる部分には耐摩耗性に
優れたダイヤモンドまたは立方晶系窒化硼素を含む高硬
度焼結体から形成する切刃を位置させるようにした複合
焼結体を用いるようにした技術が特開昭64−64701号公
報に開示されている。
以上のような高硬度複合焼結体は、特公昭58−19428
号公報または特公昭62−60991号公報にみられるよう
に、高硬度焼結体と硬物質体の接合面の全面に板状物を
介在させている。
つまり、本発明の添付図の第6図に示すように、接合
強度を高めるために高硬度焼結体100、100aの接合面10
1、101aと硬物質体200の接合面201、201aとの間の全面
にチタンまたはタンタルあるいはジルコニウムなどの金
属または合金の厚み0.01〜0.5mmの板状物300、300aを介
在させて前記高硬度焼結体と該硬物質体とを接合した高
硬度複合焼結体が用いられている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記したような従来の技術による高硬
度複合焼結体を工具の中心部に切刃を有するエンドミル
やドリルなどの転削工具に用いた場合、その切刃構成は
第3図に示したようなものとなる。
すなわち、工具中心部Oを基準に形成する一対の中心
部切刃105、105aは、工具中心部の切刃を耐欠損性にす
ぐれた靭性の高い超硬合金などの硬物質体200、200aと
耐摩耗性にすぐれるダイヤモンドまたは立方晶系窒化硼
素を含む高硬度焼結体100、100aとの間に耐欠損性や耐
摩耗性が前記した硬物質体や高硬度焼結体に比べて低下
する板状物300、300aを有した中心部切刃105、105aが高
硬度焼結体100、100aからなる外周側切刃106、106aへと
連続されているような形態で切刃が形成されることにな
り、これが切削中において、前記板状物300、300aに切
削負荷および切屑の衝突などの作用によつて早期に該板
状物に摩耗またはエグレ現象をおこさせ、工具寿命を著
しく低下させているという問題点を有している。
[発明の目的] 本発明は、上記した問題点に鑑みなしたもので、エン
ドミルやドリルなどの転削工具に用いる高硬度複合焼結
体の前記高硬度焼結体と硬物質体との外周部分の接合部
を密接状態にして強固に接合し、この部分の前記した不
具合を解消させて工具寿命が大幅に延命できて、しかも
高能率的に切削できる転削工具に用いる高硬度複合焼結
体を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前々記した問題を下記する手段によつて解
決したものである。
つまり、ダイヤモンドまたは立方晶系窒化硼素を含む
高硬度焼結体と、周期律表4a、5a、6a族の炭化物、窒化
物、または炭窒化物の1種または2種以上とFe、Co、N
i、W、Crの1種または2種以上とからなる硬物質体と
を接合させた複合焼結体であつて、該複合焼結体の接合
部に厚み0.5mm以下のチタンまたはタンタルあるいはジ
ルコニウムの金属または合金板が中央部に配置され、そ
の外周部は前記焼結体と該硬物質体とを密接させた高硬
度複合焼結体を用いることによつて解決したものであ
る。
[発明の作用] 本発明は、前記した手段の高硬度複合焼結体をエンド
ミルやドリルなどの転削工具に用いる場合、第1図
(a)(b)および第2図に示したボールエンドミルを
例にすると、シヤンクのチップ座に対応する側にある高
硬度焼結体を機械加工によつて取り除き、超硬合金など
からなる硬物質体の面とチップ座面とをロウ付けすれ
ば、そのロウ付け面同志は親和性が良好なものであるか
らロウ付け強度を大きく向上させるし、かつチタンやジ
ルコニウムまたはタンタルなどの金属あるいは合金など
の板状物を高硬度焼結体と硬物質体の中央部に介在させ
て接合させてあるため、その接合強度はきわめて高いも
のにする。しかも該複合体の外周部においては前記高硬
度焼結体と該硬物質体同志が密接状態となつているため
硬物質体からなる切刃と高硬度焼結体からなる切刃との
間に介在層である前記板状物の露出がないので、この部
分の摩耗や欠損がなくなり工具寿命を大幅に延ばすのと
高精度な切削を高能率的におこなえるものである。
[実施例] 以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
まず、添付した図の第1図は本発明になる高硬度複合
焼結体を用いたボールエンドミルであつて、その(a)
は正面図、同(b)は(a)の側面図、第2図は第1図
(a)の拡大底面図であり、第3図は従来の技術による
該ミルの拡大底面図、第4図は高硬度焼結体の説明的斜
視図であり、第5図は第4図をA−A断面した本発明に
なる高硬度複合焼結体で、第6図は従来の高硬度複合焼
結体を断面した図などである。
本発明になる高硬度焼結体1、1aのうちダイヤモンド
を含むものは、60〜90体積%のダイヤモンド粉末にFe、
Co、Niなどの鉄族金属から1種以上の該粉末を加えたも
のをボールミルによつて充分に撹拌混合して焼結する。
また立方晶系窒化硼素の場合は、30〜70体積%の立方
晶系窒化硼素粉末にTi、Zr、Hf、Ta、Si、Wの窒化物、
炭化物または炭窒化物とAl2O3の1種の粉末または2種
以上の混合粉末を69〜16体積%と、Al、Fe、Co、Siのう
ち1種の粉末または2種以上の混合粉末を1〜15体積%
を混ぜたものを充分に撹拌混合して、その後、焼結によ
つて得るものである。
以上のような高硬度焼結体を有する高硬度複合焼結体
10は第5図に示すように、超硬合金やセラミックスまた
はサーメットなどからなる硬物質体2に、チタンやジル
コニウムまたはタンタルなどの金属や合金の板状物3、
3aを介在層とて高硬度焼結体1、1aが強固に接合されて
いるものである。
また、介在層となる板状物3、3aは該複合焼結体の中
央部に位置させてあり、切刃が形成される外周部は高硬
度焼結体1、1aの接合面11、11aと硬物質体2の接合面2
1、21aとが密接したものとなつている。
なお、板状物3、3aの厚みは、0.01〜0.5mm程度が適
当で、これが0.01mm未満であると接合効果を低下させる
のと境界部分にクラックの発生する危険性があり、0.5m
mを越えると、この焼結体の剛性が不足するようになり
該複合焼結体は欠損し易いものになる。
実施例−1 平均一次粒径3μのダイヤモンド粉末90体積%と、32
5メツシユ以下のCo粉末10体積%の混合粉末をボールミ
ルにて約35時間撹拌混合したものを原料とした。
次に、ジルコニウム製の反応容器内に約0.6gの上記原
料を充填し、この上に厚み0.3mmで、直径が10mmのチタ
ン金属板を乗せ、さらに厚み2mmで、直径が17.2mmの超
硬合金からなる硬物質体2を置き、この上に上記と同様
の金属板を乗せてから約0.6gの前記原料を充填して反応
容器をセツトした。
つゞいて、超高圧高温発生装置(ベルト型)を用い60
キロバール、1500℃で約30分間保持させて焼結してから
冷却し、圧力の除去をおこなつた。
以上によつて得た高硬度複合焼結体10は、それぞれが
強固に接合され歪や反り、クラツクなどのないものであ
つた。
実施例−2 平均一次粒径5μの立方晶系窒化硼素粉末を体積で75
%、平均一次粒径1μのAl2O3粉末を15体積%、325メツ
シユ以下のAl粉末を8体積%と、Si粉末2体積%からな
る混合粉末をボールミルで約50時間撹拌混合したものを
原料とした。
つゞいて、チタン製反応容器内に約0.6gの上記原料を
充填し、この上に厚み0.1mmで直径が8mmのタンタル金属
板を乗せ、さらに厚み2.5mmで、直径が17.2mmの超硬合
金からなる硬物質体2を置き、この上に上記同様の金属
板を置いてから約0.6gの前記原料を充填して反応容器を
セツトした。
次に、超高圧高温発生装置により上記反応容器に45キ
ロバール、1300℃の条件を約20分間保持させて焼結した
後、温度と圧力を除去した。
上記よつて得た高硬度複合焼結体10は、立方晶系窒化
硼素を含む高硬度焼結体1、1aと硬物質体2とは強固に
接合されており、その境界にはη相もなく、歪または反
り、クラツクなどもみられないものが得られた。
上記のようにして得た高硬度複合焼結体10は、第1図
と第2図に示すように、シヤンク5の端部に設けたチッ
プ座51、51aに該焼結体をロウ付け固着するために該チ
ップ座側にある前記焼結体の高硬度焼結体1、1aを工作
機械によつて所望量取り除いて硬物質体2とチップ座5
1、51aとをロウ付け可能な状態にしたうえで、高硬度複
合焼結体10を該チップ座にロウ付け固着し、ついで、工
具中心Oを基準に中心部切刃53、53aならびに外周側切
刃54、54aおよび逃げ面55、55aなどを形成するものであ
る。
以上により、高硬度焼結体1、1aと硬物質体2、2aか
らなる中心部切刃53、53aの境界部には介在層である板
状物3、3aのない切刃が形成され、その切刃は耐摩耗性
や耐欠損性が高く、しかもエグレ現象などもおこさせな
いものとなる。なお、符号56、56aな切刃の回転方向前
方例に設けた切屑排出用のポケツトである。
以上は、ボールエンドミルを例に説明したが、これを
ドリルまたはエンドミルなど転削工具であつて工具の中
心部まで切刃を有したものに適合できるものである。
[発明の効果] 本発明は、以上に述べたような構成と作用とによつ
て、工具の中心部分を切削する靭性の高い硬物体からな
る切刃と、主に外周側を切削する耐摩耗性の高い高硬度
焼結体からなる切刃との間に耐摩耗性や耐欠損性が前記
切刃に比べて低下するチタンやタンタルまたはジルコニ
ウムの金属または合金の板状物の露出がないので該切刃
の寿命を大きく高めるのと、高硬度焼結体と硬物質体と
は前記板状物を該焼結体の中央部に配置させたことによ
つて、その接合強度を大幅に高め、高硬度焼結体と硬物
質体の剥離または欠損を防止する。
しかも、そのロウ付け面は親和性の良好なもの同志が
ロウ付けするようにしたから、ロウ付け強度は大きく向
上する。上記の相乗的効果は、難削材を高効率的に、か
つ高精度に切削できるようになり工具寿命も大きく延ば
すものとなつたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明になる高硬度複合焼結体を用いたボール
エンドミルで、その(a)は正面図、(b)は(a)の
側面図、第2図は第1図(a)を拡大した底面図、第3
図は従来技術による該ミルの底面図、第4図は高硬度複
合焼結体の説明的斜視図、第5図は第4図をA−A断面
した本発明になる高硬度複合度焼結体、第6図は従来の
高硬度複合焼結体の断面図などである。 1、1a、100、100a……高硬度焼結体、2、200……硬物
質体、3、3a、300、300a……板状物、53、53a、105、1
05a……中心部切刃、54、54a、106、106a……外周側切
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−64703(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 27/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイヤモンドまたは立方晶系窒化硼素を含
    む高硬度焼結体と、周期律表4a、5a、6a族の炭化物、窒
    化物、または炭窒化物の1種または2種以上とFe、Co、
    Ni、W、Crの1種または2種以上とからなる硬物質体と
    を接合させた複合焼結体であつて、該複合焼結体の接合
    部に厚み0..5mm以下のチタンまたはタンタルあるいはジ
    ルコニウムの金属または合金板が中央部に配置され、そ
    の外周部は前記焼結体と該硬物質体とが密接されている
    ことを特徴とする工具用高硬度複合焼結体。
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