JP2004114190A - 微細加工用工具 - Google Patents

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Naoya Omori
大森 直也
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Abstract

【課題】優れた寿命および高い加工精度を持つ微細加工用工具を提供する。
【解決手段】本発明の微細加工用工具10は、工具の少なくとも加工に寄与する部分1aが単一の単結晶TiCより構成されている。また超硬合金よりなるシャンク部2を有し、超硬合金よりなる部分と単一の単結晶炭化チタンよりなる部分とが接合されている。またサーメットよりなるシャンク部を有し、サーメットよりなる部分と単一の単結晶炭化チタンよりなる部分が接合されている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細加工を実現するための微細加工用工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント基板穴あけ用の極小径ドリル(以下、マイクロドリルと称する)に代表される電子機器類への微細加工用工具や、マイクロマシン製作時に用いる部品加工用工具などの、微細加工用途の工具の必要性が高まっている。これら超微細加工方法としては、レーザ加工や電解加工といった被削材との非接触加工による加工方法と、切削加工、超音波加工、ワイヤ放電加工といった被削材に対して直接工具を接触させ、塑性変形を起こす加工方法とがある。
【0003】
後者の方法による超微細加工時に用いる工具の材料としては現在、超硬合金またはサーメットが一般的に用いられている。超硬合金やサーメットは、高硬度の硬質相(WC(炭化タングステン)やTiC(炭化チタン))と、これらを結合する結合相(鉄系金属:主としてCo(コバルト)やNi(ニッケル)が用いられている)とから構成されている。
【0004】
近年、加工サイズが小さくなるにつれて工具の加工に寄与する部分(具体的には刃部:穴あけ加工工具においてはドリル径)の極小化が進んでいる。このため、超硬合金やサーメットでは、硬質相であるWCを微細化することにより合金の靭性を高めるための開発がなされている。このような微細加工用工具は、たとえば以下の特許文献1〜特許文献6の各々に記載されている。
【0005】
また、それと同時に昨今、市場では被削材の難削化が進んだこと、および加工能率を高めるためにより切削条件が過酷なものとなったことにより、工具の耐摩耗性の改善が求められるようになってきた。同時に加工穴精度の改善要求の声も大きい。このために、たとえば以下の特許文献7のように微細加工用工具の表面に被覆層を形成する技術が開発された。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−179515号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−179522号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001−239411号公報
【0009】
【特許文献4】
特開2001−269809号公報
【0010】
【特許文献5】
特開2001−240920号公報
【0011】
【特許文献6】
特開2001−200329号公報
【0012】
【特許文献7】
特開平4−275812号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特開平4−275812号公報(特許文献7)の技術においては、被覆層の硬度不足により被覆層が初期に大きく摩耗して工具寿命延長ができなかったり、被覆層と基材との密着強度不足により使用初期に被覆層の剥離が生じたことで基材が大きく摩耗して工具寿命延長ができなかったり、被覆層を形成したことにより切屑と工具との切削抵抗が高くなり加工品質が劣化したり、被覆層を形成したことでマイクロドリルの強度が落ちて初期に折損するなどの問題が生じて、未だ市場ニーズを満たしているとはいえない。
【0014】
一方、加工穴位置精度を高めるためには工具外周を高硬度とすることが最も効果的な対策である。しかし、この場合、工具が強度不足により初期に折損することが多い。またWC粒の微細化も現状は必ずしも市場のニーズを満たしていない。
【0015】
それゆえ本発明の目的は、優れた寿命および高い加工精度を持つ微細加工用工具を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の微細加工用工具は、工具の少なくとも加工に寄与する部分が単一の単結晶炭化チタンを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明をするに至った経緯およびその作用効果について以下に説明する。
現在、微細加工用工具材料として工業的に広く用いられているサーメットは、一般的に原料粉末を粉砕混合し、それをプレス成形し、焼結してから砥石などで目的形状・目的寸法精度まで加工される。合金組織は主として硬質相である炭化チタンを主成分とする相と、結合相である鉄系金属とから構成され、この硬質相粒子は微細化するほど合金強度が高まり、工具として使用した際の耐折損強度が高まる。このため硬質相を微細化する試みがなされてきた。
【0018】
サーメット合金製造過程の重要な工程である焼結工程は液相焼結のため、焼結中に硬質相がオストワルド成長し、硬質相粒子径は焼結前のそれより大きくなってしまう。また工具として使用した場合、結合相の部分は耐摩耗性が低いことが問題となる。また結合相の存在のために合金のヤング率が低下し、工具使用時に合金が弾性変形して加工精度が劣化することも問題である。
【0019】
これらの問題点を解決するために研究を実施した結果、工具の少なくとも加工に寄与する部分に単結晶炭化チタンを用いることで、これらの問題を一気に解決できることを見出した。つまり、少なくとも加工に寄与する部分が単一の単結晶炭化チタンを備えることにより、結合相が不要となるため、耐摩耗性が向上することにより寿命が改善され、かつヤング率も高くできることにより工具使用時の弾性変形が抑制されて高い加工位置精度が得られる。
【0020】
上記の微細加工用工具において好ましくは、工具の全体が単一の単結晶炭化チタンよりなっている。
【0021】
これにより、工具全体として耐摩耗性およびヤング率を向上することができ、寿命および加工位置精度をさらに改善することが可能となる。
【0022】
上記の微細加工用工具において好ましくは、工具の先端部が単一の単結晶炭化チタンよりなっている。
【0023】
これにより、先端部で加工を行なう工具においても、寿命が改善され、かつ高い加工位置精度が得られる。
【0024】
上記の微細加工用工具において好ましくは、超硬合金よりなるシャンク部を有し、その超硬合金よりなる部分と単一の単結晶炭化チタンよりなる部分とが接合されている。
【0025】
これにより、加工に寄与する部分とシャンク部とのそれぞれに適した材質を別途に選ぶことができる。
【0026】
上記の微細加工用工具において好ましくは、超硬合金よりなる部分と単一の単結晶炭化チタンよりなる部分との接合部において、超硬合金よりなる部分は傾斜組成を有している。
【0027】
これにより、超硬合金よりなる部分と単結晶炭化チタンよりなる部分との密着力を高めることができる。
【0028】
上記の微細加工用工具において好ましくは、サーメットよりなるシャンク部を有し、そのサーメットよりなる部分と単一の単結晶炭化チタンよりなる部分とが接合されている。
【0029】
これにより、加工に寄与する部分とシャンク部とのそれぞれに適した材質を別途に選ぶことができる。
【0030】
上記の微細加工用工具において好ましくは、サーメットよりなる部分と単一の単結晶炭化チタンよりなる部分との接合部において、サーメットよりなる部分は傾斜組成を有している。
【0031】
これにより、サーメットよりなる部分と単一の単結晶炭化チタンよりなる部分との密着力を高めることができる。
【0032】
上記の微細加工用工具において好ましくは、単一の単結晶炭化チタン表面に非晶質カーボン層が物理的蒸着法により形成されている。
【0033】
このように非晶質カーボン層を被覆することにより、工具のさらなる寿命延長、優れた被削材加工面および高い加工精度を実現することができる。
【0034】
上記の微細加工用工具において好ましくは、非晶質カーボン層の層厚が0.005μm以上3.0μm以下である。
【0035】
これにより、耐摩耗性向上の効果を得ることができる。非晶質カーボン層の層厚が0.005μm未満の場合には耐摩耗性向上の効果が低く、また3.0μmを越える場合には大きな耐摩耗性の改善が認められないため、経済的ではない。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施の形態における微細加工用工具の一例の構成を概略的に示す図である。図1を参照して、微細加工用工具10は、たとえばマイクロドリルであり、工具先端に設けられた切刃部1aと、シャンク部2と、切刃部1aからシャンク部2まで延びる溝形成部3aとを主に有している。この微細加工用工具10の少なくとも加工に寄与する部分(具体的には刃部(切刃部1a))が単一の単結晶炭化チタン(TiC)を備えている。
【0038】
なお、切刃部1aが単一の単結晶TiCよりなっていれば、切刃部1aのみが単結晶TiCよりなっていてもよく、また切刃部1aと溝形成部3aとのみが単結晶TiCよりなっていてもよく、また切刃部1aと溝形成部3aとシャンク部2とを含む微細加工用工具10の全体が単一の単結晶TiCよりなっていてもよい。この場合、微細加工用工具10の単一の単結晶TiC以外の部分は、たとえば超硬合金またはサーメットよりなっていることが好ましい。
【0039】
単結晶TiCの製造方法としては、たとえばメンストラム法、溶融TiCを用いた引上げ法他、如何なる方法が用いられてもよい。得られた単結晶TiCはダイヤモンド砥石による加工、放電ワイヤ加工、レーザ加工などの方法を用いて目的形状に加工される。この加工には如何なる方法が用いられてもよい。
【0040】
また図2に示すように、微細加工用工具10の加工に寄与する先端部1bが単一の単結晶TiCよりなっていることが好ましい。この場合も、先端部1bが単一の単結晶TiCよりなっていれば、先端部1bのみが単一の単結晶TiCよりなっていてもよく、また先端部1bとドリル軸3bとのみが単一の単結晶TiCよりなっていてもよく、また先端部1bとドリル軸3bとシャンク部2とを含む微細加工用工具10の全体が単一の単結晶TiCよりなっていてもよい。この場合、微細加工用工具10の単一の単結晶TiC以外の部分は、たとえば超硬合金またはサーメットよりなっていることが好ましい。
【0041】
また製造に用いる単結晶TiCの粒径が如何なるサイズでも本実施の形態の効果が得られる。工具の一部を単結晶TiCとした場合、その単結晶TiCよりなる部分と工具のそれ以外の部分とは、接着、ろう付け、圧入、通常焼結、パルス通電焼結、マイクロ波焼結などの方法により接合される。
【0042】
ここで、図1における切刃部1aまたは図2における先端部1bのみを単一の単結晶TiCで構成する場合には、切刃部1aと溝形成部3aとの接合部または先端部1bとドリル軸3bとの接合部が上記の方法により接合される。また図1における切刃部1aおよび溝形成部3aまたは図2における先端部1bおよびドリル軸3bのみを単一の単結晶TiCで構成する場合には、溝形成部3aとシャンク部2との接合部またはドリル軸3bとシャンク部2との接合部が上記の方法により接合される。
【0043】
また、上記接合が行なわれてから目的形状となるように加工が施されてもよく、各部材が予め目的形状に加工されてから上記接合が行なわれてもよい。
【0044】
また、微細加工用工具10の単一の単結晶TiC以外の部分に超硬合金を用いた場合には、単一の単結晶TiC(つまりTiCが100質量%)よりなる部分と超硬合金よりなる部分(たとえば組成がWC−5質量%TiC−8質量%Co)とが組成的に不連続に接合されていてもよく、またその接合部において超硬合金部分が図3に示すように傾斜組成部を有していてもよい。ここで傾斜組成部とは、単結晶TiC側へ向かうほど超硬合金内の鉄系金属の含有量が少なくなる部分を意味する。
【0045】
また、微細加工用工具10の単一の単結晶TiC以外の部分にサーメットを用いた場合には、単一の単結晶TiC(つまりTiCが100質量%)よりなる部分とサーメットよりなる部分(たとえば組成がTiC−8質量%Ni)とが組成的に不連続に接合されていてもよく、またその接合部においてサーメット部分が図3に示すように傾斜組成部を有していてもよい。
【0046】
さらに図4に示すように、単一の単結晶TiCよりなる部分11の表面に非晶質カーボン層12が形成されてもよく、これにより工具のさらなる寿命延長および/または優れた被削材加工面および/または高い加工精度を得ることができる。また非晶質カーボン層12は、単結晶TiCよりなる部分11以外に鉄系金属を結合相とした硬質材料よりなる部分(超硬合金部またはサーメット部)上に被覆される場合にも有効である。また、その使用用途によって、非晶質カーボン層12のさらに表面に化学的蒸着法や物理的蒸着法で被覆層を形成する場合があるが、この場合でも本実施の形態の効果は失われない。本実施の形態では、その使用用途を微細加工用工具としたが、これ以外の用途にも本発明の適用は十分可能である。
【0047】
ここで、非晶質カーボン層12は硬質炭素膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、DLC膜、a−C:H、i−カーボン膜などと呼ばれるものであるが、本実施の形態では、優れた耐摩耗性を示すべく、ダイヤモンドに匹敵する高い硬度を得るために、非晶質カーボン層12はグラファイトを原料とした水素を含まない雰囲気下の物理的蒸着法により形成されるものであることが好ましい。また、この非晶質カーボン層12は故意に反応ガスを入れずに成膜すれば、成膜中に不可避的に含まれる不純物を除いて炭素原子から構成されることとなり、上述の水素を含む非晶質カーボン層よりダイヤモンド構造に近い構造をとることで硬度を高くできると同時に耐酸化特性もダイヤモンドと同等の約600℃近くにまで改善することができる。
【0048】
グラファイトを出発原料とした物理的蒸着法の中でも、一般に工業的に用いられる、たとえば陰極アークイオンプレーティング法、レーザアブレーション法、またはスパッタリング法であれば、成膜速度も高く、ダイヤモンド膜で問題となっていた製造コストにも問題はなくなる。被膜の密着力、膜硬度の点で、陰極アークイオンプレーティング法による成膜が好ましい。この陰極アークイオンプレーティング法は、原料のイオン化率が高いため、主にカーボンイオンが基材に照射されることにより非晶質炭素膜が形成されるため、sp3結合の比率が高く、緻密な膜が得られ、硬度が高くなるため、工具として使用した場合、その寿命を大きく向上させることができる。
【0049】
陰極アークイオンプレーティング法により形成した非晶質カーボン層の表面には、マクロパーティクルと呼ばれる硬質粒子が存在する。この表面に存在するマクロパーティクルの密度が小さいほど切削抵抗が小さくなるおよび/または切屑排出性が改善されるため望ましく、0個/mm以上3×10個/mm以下、より好ましくは0個/mm以上1.5×10個/mm以下であることが好ましい。マクロパーティクルの密度が3×10個/mmよりも大きいと、被削材がこのマクロパーティクルに溶着して切削抵抗を上げるため好ましくない。
【0050】
さらに、非晶質カーボン層の表面粗度をよくするために、グラファイト原料からの粒状飛散物を防止するような、たとえば低エネルギによる成膜や磁場によるフィルタを用いる方法も提案することができる。また、切削抵抗の点から、非晶質カーボン層の表面粗さは、できるだけ平滑であることが望ましく、JIS規格Raの表示で0.05μm以下であることが望ましい。また非晶質カーボン層の硬度は、耐摩耗性確保のため、ヌープ硬度で20GPa以上、さらに好ましくは25GPa以上である。
【0051】
この非晶質カーボン層の層厚は0.005μm以上3.0μm以下であることが好ましい。非晶質カーボン層の層厚が0.005μm未満の場合は耐摩耗性向上の効果が低く、また3.0μmを超えても大きな耐摩耗性の改善は認められないため経済的ではない。また、非晶質カーボン層の形成後、この非晶質カーボン層の表面を平滑化するなどの被覆後の後処理を実施しても、本実施の形態の効果は失われない。
【0052】
本発明の微細加工用工具はその耐摩耗性、剛性および耐溶着性に優れることから、特にプリント基板加工用マイクロドリル、マイクロエンドミルまたはルータとして用いられることが望ましい。また、本発明の微細加工用工具は、アルミニウムチタン、マグネシウム、銅およびそれらの合金などの非鉄材の加工に使用することも可能である。また本発明の微細加工用工具は非常に高硬度であることから、非鉄材だけでなく、ステンレス鋼などの鋼や鋳物などの加工にも用いることができる。
【0053】
また、本発明の微細加工用工具はドリル、エンドミル、エンドミル加工用刃先交換型チップ、フライス加工用刃先交換型チップ、切削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯きり工具、リーマおよびタップからなる群より選ばれた1種を含む用途に使用されることが好ましい。
【0054】
次に、本実施の形態の微細加工用工具の効果について、実施例により具体的に説明する。但し、非晶質カーボン層の成膜方法は、ここで用いた製法に限られるものではなく、グラファイトを用いたPVD(Physical Vapor Deposition)法で成膜されたものであれば、いずれの方法であってもよい。以下に実施例を示す。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0056】
公知のメンストラム法を用いて粒径2700μmのTiC単結晶を製造した。このTiC単結晶を用いて以下の本発明例のマイクロドリル1〜9を作製した。
【0057】
本発明例マイクロドリル1:上記TiC単結晶をφ100μmのマイクロドリルに加工した。
【0058】
本発明例マイクロドリル2:上記TiC単結晶をφ200μm、L2000μmの丸棒に加工した後、WC−6質量%の超硬合金に圧入した後、φ100のマイクロドリルに加工した。刃部はすべて単結晶TiCとした。
【0059】
本発明例マイクロドリル3:上記TiC単結晶をφ200μm、L2000μmの丸棒に加工した後、TiC−10質量%Niのサーメット合金に圧入した後、φ100のマイクロドリルに加工した。刃部はすべて単結晶TiCとした。
【0060】
本発明例マイクロドリル4:上記TiC単結晶の上に、TiC−10質量%Niの混合粉末を1000μmの厚みで配置し、パルス通電焼結で焼結した後、この合金をφ100μmのマイクロドリルに加工した。
【0061】
本発明例マイクロドリル5:上記TiC単結晶の上に、WC−5質量%TiC−10質量%Niの混合粉末を1000μmの厚みで配置し、パルス通電焼結で焼結した後、この合金をφ100μmのマイクロドリルに加工した。
【0062】
本発明例マイクロドリル6:上記TiC単結晶の上に、TiC−0.5質量%Niの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にTiC−1.0質量%Niの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にTiC−2.0質量%Niの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にTiC−5質量%Niの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にTiC−10質量%Niの混合粉末を5000μmの厚みで配置し、パルス通電焼結した後、φ100μmのマイクロドリルに加工した。
【0063】
本発明例マイクロドリル7:上記TiC単結晶の上に、TiC−0.5質量%Niの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にWC−0.2質量%TiC−1.0質量%Coの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にWC−0.5質量%TiC−2.0質量%Coの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にWC−1.0質量%TiC−5質量%Coの混合粉末を200μmの厚みで配置し、さらにその上にWC−5質量%TiC−10質量%Coの混合粉末を5000μmの厚みで配置し、パルス通電焼結した後、φ100μmのマイクロドリルに加工した。
【0064】
本発明例マイクロドリル8:本発明例マイクロドリル1の表面に公知の真空アーク放電によるイオンプレーティング法を用いて、その表面に0.2μmの非晶質カーボン層を形成した。
【0065】
本発明例マイクロドリル9:本発明例マイクロドリル1の表面に公知の真空アーク放電によるイオンプレーティング法を用いて、その表面に0.004μmの非晶質カーボン層を形成した。
【0066】
また、比較のために、以下の比較例のマイクロドリルも作製した。
比較例マイクロドリル:TiCN−5質量%MoC−5質量%WC−4質量%TiC−2質量%NbC−5質量%Co−5質量%Niの原料粉末について湿式混合を13時間行なった後、1ton/cmの圧力にてプレス成形し、真空中で4.0℃/minの昇温速度で1400℃まで昇温し、真空中で60分間保持してから同じく真空中で冷却を行なった。この合金をダイヤモンド砥石を用いてφ100μmのマイクロドリルに加工した。
【0067】
これらのマイクロドリルを用いて、以下の条件で穴あけ加工を行なった。
被削材:リジット基板(厚み0.4mm)
回転速度:180,000r.p.m.
送り:13μm/rev.
上記の穴あけ加工を行なったところ、本発明例のマイクロドリル1〜9では、8000穴目加工を行なっても刃先摩耗量は極めて小さく、加工穴品質も優れており、穴あけ位置精度も平均で6μm以下であった。特に本発明例のマイクロドリル8はすべての点で最も優れていた。これに対し、比較例のマイクロドリルは1500穴目加工の終了時点で刃先の摩耗が大きく寿命となっていた。加えて穴あけ位置精度は加工初期から10μm以上であった。
【0068】
また本発明のマイクロドリル8以外の本発明のマイクロドリル1〜7および9の先摩耗量はほぼ同じ摩耗量であった。つまり本発明のマイクロドリル9は非晶質カーボン層をコーティングしているが、その層厚が0.005μm未満であったため、非晶質カーボン層のコーティングによる耐摩耗性向上の効果が認められなかった。
【0069】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の微細加工用工具は、従来の工具と比較して優れた性能を示すことが明らかである。また本発明の微細加工用工具は従来ではなし得なかった微小な加工、たとえば穴あけ加工においても長期に亘り、良好な寸法精度の穴あけ加工を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における微細加工用工具の一例の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態における微細加工用工具の他の例の構成を示す図である。
【図3】傾斜組成を説明するための図である。
【図4】非晶質カーボン層が形成された様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1a 切刃部、1b 先端部、2 シャンク部、3a 溝形成部、3b ドリル軸、10 微細加工用工具、11 単結晶TiCよりなる部分、12 非晶質カーボン層。

Claims (9)

  1. 工具の少なくとも加工に寄与する部分が単一の単結晶炭化チタンを備えたことを特徴とする、微細加工用工具。
  2. 工具の全体が単一の単結晶炭化チタンよりなっていることを特徴とする、請求項1に記載の微細加工用工具。
  3. 工具の先端部が単一の単結晶炭化チタンよりなっていることを特徴とする、請求項1に記載の微細加工用工具。
  4. 超硬合金よりなるシャンク部を有し、前記超硬合金よりなる部分と前記単一の単結晶炭化チタンよりなる部分とが接合されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の微細加工用工具。
  5. 前記超硬合金よりなる部分と前記単一の単結晶炭化チタンよりなる部分との接合部において、前記超硬合金よりなる部分は傾斜組成を有していることを特徴とする、請求項4に記載の微細加工用工具。
  6. サーメットよりなるシャンク部を有し、前記サーメットよりなる部分と前記単一の単結晶炭化チタンよりなる部分とが接合されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の微細加工用工具。
  7. 前記サーメットよりなる部分と前記単一の単結晶炭化チタンよりなる部分との接合部において、前記サーメットよりなる部分は傾斜組成を有していることを特徴とする、請求項6に記載の微細加工用工具。
  8. 前記単一の単結晶炭化チタンの表面に非晶質カーボン層が物理的蒸着法により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の微細加工用工具。
  9. 前記非晶質カーボン層の層厚が0.005μm以上3.0μm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の微細加工用工具。
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