JPH10226597A - ダイヤモンド被覆硬質部材 - Google Patents

ダイヤモンド被覆硬質部材

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JPH10226597A
JPH10226597A JP4302797A JP4302797A JPH10226597A JP H10226597 A JPH10226597 A JP H10226597A JP 4302797 A JP4302797 A JP 4302797A JP 4302797 A JP4302797 A JP 4302797A JP H10226597 A JPH10226597 A JP H10226597A
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JP
Japan
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diamond
substrate
corrosion
coating
surface roughness
Prior art date
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Application number
JP4302797A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Kodama
浩亨 児玉
Masaru Yagi
優 八木
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Tungaloy Corp
Original Assignee
Toshiba Tungaloy Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 付着性および被膜表面粗度にすぐれたダイヤ
モンド被覆硬質部材。 【解決手段】 100重量%の炭化タングステン、また
は90重量%以上の炭化タングステンと残部が周期律表
の4a,5a,6a族金属の炭化物、窒化物およびこれ
らの相互固溶体、(但し、炭化タングステンの単一相を
除く)の中の少なくとも1種とでなる硬質相が99重量
%以上と残りがNiおよび/またはCoを主成分とする
結合相と不可避不純物とからなる基材の表面にダイヤモ
ンドおよび/またはダイヤモンド状カーボンの被膜を被
覆したダイヤモンド被覆部材であって、該基材の表面に
アルカリ溶液による電解腐食と酸溶液による腐食とを施
し、腐食前の該基材の平均表面粗さと腐食後に該基材の
表面に該被膜が被覆されてからのRaの一方または両方
がRa=0.1〜5.0μmである部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、付着性および被膜表面粗度にす
ぐれたダイヤモンド被覆硬質部材に関し、具体的には、
実質的に炭化タングステンのみ、または炭化タングステ
ンを主成分とする硬質相に、金属の結合相が実質的に存
在しないか、または微量含有した基材の表面を腐食処理
し、基材の表面組成と表面粗さを調整することにより、
付着性および被膜表面粗度にすぐれたダイヤモンドおよ
び/またはダイヤモンド状カーボンの被膜を被覆した被
覆硬質部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から超硬合金に代表される焼結合金
の基材上にダイヤモンドおよび/またはダイヤモンド状
カ−ボンの被膜を被覆してなるダイヤモンド被覆焼結合
金についての検討が行われており、その被膜の耐摩耗性
を発揮させることにより工具材料、特に切削工具として
実用化しようという試みが行われている。
【0003】ダイヤモンド被覆焼結合金は、ダイヤモン
ドおよび/またはダイヤモンド状カーボンが他の物質と
の濡れ性に劣ることから、基材の表面にダイヤモンドお
よび/またはダイヤモンド状カ−ボンの被膜を、密着性
および付着性を高めた状態に、いかに被覆することがで
きるかという問題が最大の課題となっている。また、超
硬合金に代表される焼結合金の基材上にダイヤモンドお
よび/またはダイヤモンド状カ−ボンの被膜がある程度
の密着性および付着性にすぐれた状態に被覆されたとし
ても、工具材料に応用した場合には、実用時に被膜の剥
離またはチッピングが生じ易くなるという課題がある。
【0004】特に、旋削工具,フライス工具,ドリル,
エンドミルに代表される切削工具、金型,裁断刃,切断
刃に代表される耐摩耗工具などの工具の場合は、最も苛
酷な条件で用いられるために超硬合金でなる基材と被膜
との密着性および付着性、ならびに被膜の表面粗度が一
層重要な問題になっている。
【0005】ダイヤモンドおよび/またはダイヤモンド
状カ−ボンの被膜と基材との密着性を高めて、工具とし
て用いることが可能なダイヤモンド被覆焼結合金とし
て、多数提案されており、このうち、基材の表面をエッ
チングすることについて提案されている代表的なもの
に、特開昭63−53269号公報,特開平1−201
475号公報,特開平1−246361号公報,特開平
2−217398号公報,特開平3−107460号公
報および特開平3−115571号公報があり、基材の
表面粗さについて提案されている代表的なものに、特開
平7−223101号公報がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ダイヤモンド被覆焼結
合金の基材の表面部について提案されている先行技術の
内、特開昭63−53269号公報,特開平1−201
475号公報,特開平1−246361号公報,特開平
2−217398号公報,特開平3−107460号公
報および特開平3−115571号公報には、超硬合金
でなる基材の表面を酸によりエッチング処理すること、
特に特開平2−217398号公報および特開平3−1
07460号公報には、基材の表面を酸や中性物質によ
り電解研磨およびエッチング処理して、表面部に存在す
る結合相を除去した基材の表面にダイヤモンドの被膜を
被覆することが開示されている。
【0007】これらの公報に開示されている方法により
得られるダイヤモンド被覆焼結合金は、酸溶液によるエ
ッチングであるために、結合相のみがエッチングされ
て、エッチング前後における基材表面の面粗さの変動が
余り大きくなく、理想的な凹凸面にすることが困難であ
ることから、基材表面に被覆されたダイヤモンドの被膜
の付着性および密着性に満足できないという問題があ
り、特に工具材料に応用した場合には短寿命になるとい
う問題がある。
【0008】また、特に特開平2−217398号公報
および特開平3−107460号公報に開示されている
ように、酸による電解研磨およびエッチングにより、基
材表面部のエッチング深さを深くした場合には、上述の
問題の他に、さらに基材表面部の強度が低下するという
問題がある。
【0009】特開平7−223101号公報には、基材
のダイヤモンド被膜との接合表面における表面粗さがR
a=0.1〜3μmに調整することが開示されている。
しかしながら、同公報に開示のダイヤモンド被覆焼結合
金は、基材中の鉄族金属の影響によりダイヤモンドの合
成が困難になること、また基材とダイヤモンド被膜との
付着性および密着性が著しく低いという問題がある。
【0010】本発明は、上述のような問題点を解決した
もので、具体的には、実質的に結合相を含有しないか、
または最低限の必要強度を確保し得る焼結体でなる基材
とし、その基材表面に被覆する被膜の成膜時にはダイヤ
モンドの核が容易にかつ多量に形成できること、成膜後
には被膜と基材との付着性および密着性が優れること、
その成膜された膜質がすぐれていること、しかも基材と
の付着性および密着性がすぐれることから被膜厚さを厚
く被覆することが可能となること、そのために被膜表面
の面粗さが微細で緻密となること、これらが総合されて
耐摩耗性,耐剥離性,耐チッピング性にすぐれた各種の
工具として実用可能なダイヤモンド被覆硬質部材の提供
を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために長年に亘り研究を重ねていたところ、
基材に含有している鉄族金属と基材表面の面粗さがダイ
ヤモンドの気相合成およびそれにより成膜されたダイヤ
モンド被膜と基材との付着性,密着性に大きく影響する
こと、このうち基材表面の面粗さを調整する方法につい
ては、一般に研削法と熱処理法と酸処理法とがあ
り、研削法では、研削された基材表面の組成物でなる
破砕物の一部が再度基材表面に付着および残存し、この
付着残存物中の鉄族金属がダイヤモンドの核生成を阻止
し、ダイヤモンドの被膜と基材との密着性を低下させる
こと、熱処理法では、熱による変形が生じること、高
温により基材表面部の粒子が粒成長し、基材の強度が低
下しやすくなること、酸処理法では、基材表面を理想
的な凹凸の面粗さとすることが困難であるという第1の
知見を得た。
【0012】次に、本発明者らは、基材の表面部の構造
によりダイヤモンドの膜質および形状が異なること、そ
して基材の表面部に存在する硬質相をエッチングにより
調整するとダイヤモンドの核形成が容易になること、ま
た微量の結合相が存在する場合には、この結合相をもエ
ッチングにより調整することにより、これらの効果と基
材の強度がより高まること、さらにエッチング後の基材
表面の凹凸状体が大きくなり、その結果ダイヤモンドの
被膜が基材表面にクサビ状にくい込んだ状態に密着する
こと、膜質がすぐれること、基材と被膜との付着性がす
ぐれるという第2の知見を得た。これら第1および第2
の知見に基づいて、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0013】すなわち、本発明のダイヤモンド被覆硬質
部材は、100重量%の炭化タングステン、または90
重量%以上の炭化タングステンと残部が周期律表の4
a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,およびこれら
の相互固溶体(但し、炭化タングステンの単一相を除
く)の中の少なくとも1種とでなる硬質相が99重量%
以上と、残りがNiおよび/またはCoを主成分とする
結合相と不可避不純物とからなる基材の表面にダイヤモ
ンドおよび/またはダイヤモンド状カーボンの被膜を被
覆したダイヤモンド被覆硬質部材であって、該基材の表
面にアルカリ溶液による電解腐食と酸溶液による腐食と
を施し、腐食前の該基材の平均表面粗さと腐食後に該基
材の表面に該被膜が被覆されてからの該基材の平均表面
粗さの一方または両方がRa=0.1μm〜5.0μm
(但し、Raは、日本工業規格JISB0601に記載
の内容に相当する)を満足することを特徴とするもので
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のダイヤモンド被覆硬質部
材における基材は、実質的に硬質相と不可避不純物とか
らなる場合、または99重量%以上の硬質相と残部が結
合相と不可避不純物とからなる場合に大別できる。これ
らのうち、硬質相は、例えば100重量%のWCおよび
/またはW2Cでなる場合、または90重量%以上のW
Cおよび/またはW2Cと、残りが例えばTiC,Zr
C,HfC,VC,TaC,NbC,Cr32,Mo2
C,TiN,ZrN,HfN,VN,TaN,NbN,
CrN,Ti(CN),Zr(CN),Ta(CN),
(Ti,W)C,(Ti,Ta)C,(Ti,Zr)
C,(Ti,Ta,W)C,(Ti,Ta,Nb,W)
C,(Ti,W)(CN),(Ti,Ta,W)(C
N),(Ti,Ta,Nb,W)(CN)の中の少なく
とも1種とからなる場合に大別できる。この硬質相は、
化学量論組成または非化学量論組成でなっていることが
あるが、基材に微細孔が多量に存在したり、(CIS0
06規格,超硬合金の有孔度分類標準、B形またはA−
2よりも多い場合)または焼結後の変形が起こらない程
度の非化学量論組成であれば問題はない。
【0015】これらの基材のうち、1重量%以下の結合
相が含有されている基材の場合、この基材中の結合相
は、具体的には、Ni,Co,Ni+Coの混在,また
はNi−Co合金からなる場合、もしくはこれらのNi
および/またはCoと他の金属との混在、あるいは相互
合金となっている場合がある。このうち、Ni,Co以
外の金属の含有した結合相は、具体的には、例えばCo
−Fe合金,Ni−Fe合金,Ni−Mo合金,Co−
Mo合金,Ni−Co−Mo合金,Co−Ni−Fe合
金,Co−Cr合金,Ni−Cr合金,Co−Ni−C
r合金,Co−Fe−Cr合金,Ni−Fe−Cr合
金,Co−V合金,Ni−V合金,Co−Ni−V合
金,Co−Ni−Cr−V合金,Co−Cr−V合金,
Ni−Cr−V合金,Co−W合金,Ni−Cr−Mo
合金を挙げることができる。 この結合相は、Co,N
iの中の少なくとも1種が結合相に対して、50wt%
以上含有されていることが好ましいことである。この結
合相の含有量は、ドリルおよびエンドミルに代表される
回転工具に用いる場合には、焼結体の全体に対して0.
5〜1重量%でなることが特に好ましく、硬質相の粒成
長抑制効果の高いCrおよび/またはVが含有されてい
ることがさらに好ましいことである。
【0016】基材は、これらの硬質相と結合相の他に、
基材を作製するときに使用する出発物質に混在している
不可避不純物および基材を作製するときに工程中から混
入してくる不可避不純物があるが、実質的に硬質相の
み、または硬質相と微量の結合相とでなるものである。
【0017】この基材の表面粗さは、腐食前の基材の表
面状態、具体的には、例えば焼結後の基材の表面状態
(焼肌面)または研磨加工後の基材の表面状態が平均値
でRa=0.1μm〜5.0μmでなること、または、
基材表面を強アルカリ溶液または弱アルカリ溶液の中で
の電解腐食と、強酸溶液または弱酸溶液による腐食を施
し、腐食された基材表面にダイヤモンドおよび/または
ダイヤモンド状カーボンの被膜を被覆した後の基材平均
表面粗さがRa=0.1μm〜5.0μmでなることの
どちらか一方もしくは両方を満足することである。特
に、後者である成膜後の基材の平均表面粗さがRa=
0.1μm〜5.0μmを満足することが好ましいこと
である。このときの基材の表面粗さの調整は、腐食前の
基材表面を、例えば砥石や砥粒で研削すること、バレル
やショットピーニングなどにより衝撃を加えること、熱
処理を施すことにより行うことができる。
【0018】この基材の平均表面粗さは、日本工業規格
JIS B0601に記載のRaの測定法にしたがっ
て、目的の基材表面をランダムに2点以上測定した平均
値である。また、腐食は、アルカリ溶液による電解腐食
を施してから酸溶液による腐食を施すと、被膜表面から
の面粗さを微細にする傾向となることから好ましい。
【0019】腐食に用いる溶液は、強アルカリ溶液また
は弱アルカリ溶液としては、具体的には、例えばNaO
H,KOH,Ca(OH)2,Mg(OH)2,Ba(O
H)2,NH4OHの溶液を挙げることができる。また、
強酸溶液または弱酸溶液としては、具体的には、例えば
HCl,HF,H2SO4,HNO3,CH3CO2H,
(CO2H)2,HCl+H22混合の溶液を挙げること
ができる。このときのアルカリ溶液中の電解腐食は、具
体的には、例えば基材を陽極(正極)とし、銅,カーボ
ンなどを陰極(負極)とすればよい。
【0020】このようにして作製した本発明のダイヤモ
ンド被覆硬質部材は、ダイヤモンド被膜の表面からの表
面粗さがRa=5.0μm以下になるようにすると、工
具として実用したときに被膜の剥離およびチッピングが
誘起され難くなることから好ましいことである。このた
めには、被膜を被覆する前の基材の表面粗さがRa=
0.5μm以下、成膜後の基材の表面粗さがRa=2.
0μm以下でなることが好ましく、かつ被膜厚さを厚く
することである。また、被膜表面からの表面粗さがRa
=1.5μm以下でなると、耐摩耗性がすぐれること、
および耐欠損性が顕著にすぐれることから好ましく、さ
らに被膜表面からの表面粗さがRa=0.5μm以下に
なるとその傾向がさらに強くなり、ドリルおよびエンド
ミルのような回転工具に用いる場合にはより好ましいこ
とである。
【0021】ダイヤモンドおよび/またはダイヤモンド
状カーボンの被膜は、膜厚さが30μm以下、好ましく
は15μm以下であり、この被膜の成膜は、従来のダイ
ヤモンド被膜の被覆方法、例えばイオンプレーティング
などの物理蒸着法(PVD法)またはブラズマ化学蒸着
法を含めた各種のCVD法などによって、基材の表面に
直接被覆することにより作製することができる。
【0022】本発明のダイヤモンド被覆硬質部材は、基
材と被膜との付着性および密着性にすぐれていることか
ら、工具材料として用いることができること、工具材料
の中でも切削工具として用いること、切削工具の中でも
最も過酷な回転工具、具体的には、例えばエンドミル,
ドリル,プリント基板用ミクロンドリル,フライス用切
削チップ,リーマとして用いると長寿命としての効果が
高く発揮される。
【0023】
【作用】本発明のダイヤモンド被覆硬質部材は、基材の
表面部をアルカリ溶液中で電解腐食することにより基材
表面部の硬質相を腐食し、酸腐食することにより基材表
面部の結合相を腐食し、この相互作用により基材表面の
凹凸が大きくなるとともに、被膜の成膜時にダイヤモン
ドの核の発生を誘起させること、良質な被膜を生成させ
ること、基材表面の凹凸にクサビ状に被膜がくい込んで
基材と被膜との密着性,付着性を高めるという作用をす
る。
【0024】
【実施例1】市販されている平均粒径が約0.5〜2μ
mの各種粉末を用いて、表1に示した配合組成成分に秤
量し、混合粉砕,粉末成形および焼結(焼結条件、1×
10 -2Torr,1400〜1600℃,50分間保
持)を行って形状および表面粗さがJIS規格のSNG
N120408に相当する焼結体の基材を得た。こうし
て得た各基材の結合相と硬質相の組成を表1に併記し
た。これらの基材を用いて、表2に示したアルカリ溶液
中でそれぞれの基材を陽極とし、銅板を陰極として、直
流電流を流して各基材の表面を電解腐食した。次いで、
各基材表面を洗浄,乾燥後、表2に併記した酸処理によ
り各基材表面を腐食した。次に、各基材は、ダイヤモン
ド砥粒による表面の傷付け処理,洗浄,乾燥後、マイク
ロ波プラズマCVD装置内に設置し、水素:200SC
CM,メタン:1SCCM,圧力:40Torrの雰囲
気中、マイクロ波出力:2.1kw,基材温度:950
℃の条件により、各基材表面にダイヤモンドの被膜を被
覆して本発明品1〜8を得た。
【0025】比較として、基材の表面粗さが異なるこ
と、および基材表面におけるアルカリ溶液中での電解腐
食を行わなかったこと以外は、上述の本発明品と同様に
処理して比較品1〜4を得た。また、基材の表面粗さが
異なること以外は、上述の本発明品と同様に処理して比
較品5〜8を得た。
【0026】こうして得た本発明品1〜8および比較品
1〜8について、成膜後の基材の表面粗さおよび被膜の
表面粗さをランダムに5点測定し、それぞれの平均表面
粗さを求めて、その結果を表2に併記した。また、本発
明品1〜8および比較品1〜8の被膜厚さは、約10μ
mであった。次に、本発明品1〜8および比較品1〜8
を用いて、被削材:Al−18wt%Si合金,切削速
度:900m/min,送り:0.1mm,切り込み:
0.5mm,乾式切削という条件で旋削試験を行い、逃
げ面摩耗量が0.3mmまたは欠損,チッピングが発生
したときを寿命とし、寿命までの切削時間を求めて表2
に併記した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【実施例2】実施例1で用いた各種の粉末を、表3に示
した配合組成成分に秤量したこと、形状が直径6mm,
長さ80mmのドリルを基材としたこと、ドリルの刃先
先端から約20mmまでを、表4に示した腐食溶液によ
る腐食および被膜の被覆を施したこと、被膜処理条件が
熱フィラメント装置,フィラメント:タングステン線,
水素:200SCCM,メタン:1SCCM,圧力:3
0Torr,フィラメント温度:2000℃,基材温
度:900℃とした以外は、実施例1の本発明品1〜8
とほぼ同様にして本発明品9〜16を得た。
【0030】比較として、基材の表面粗さが異なるこ
と、および基材表面におけるアルカリ溶液中での電解腐
食を行わなかったこと以外は、上述の本発明品と同様に
処理して比較品9〜12を得た。また、基材の表面粗さ
が異なること以外は、上述の本発明品と同様に処理して
比較品13〜16を得た。
【0031】こうして得た本発明品9〜16および比較
品9〜16について、成膜後の基材の表面粗さおよび被
膜の表面粗さをランダムに5点測定し、それぞれの平均
表面粗さを求めて、その結果を表4に併記した。また、
本発明品9〜16および比較品9〜16の被膜厚さは、
約10μmであった。次に、本発明品9〜16および比
較品9〜16を用いて、被削材:Al−30wt%Si
合金,切削速度:230m/min,回転当りの送り:
0.2mm/rev,穴深さ:20mm,水溶性エマル
ジョンによる湿式切削という条件で穴明け試験を行い、
加工穴形状の不良,またはドリルの欠損,チッピングが
発生したときを寿命とし、寿命までの穴加工数を求めて
表4に併記した。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【実施例3】実施例1で用いた各種の粉末を、表5に示
した配合組成成分に秤量したこと、形状が直径6mm,
長さ70mm,刃長30mmの4枚刃エンドミルの基材
としたこと、刃先先端から約30mmまでを、表6に示
した腐食溶液による腐食および被膜の被覆を施したこ
と、被膜処理条件が熱フィラメント装置,フィラメン
ト:タングステン線,水素:250SCCM,メタン:
2.3SCCM,圧力:30Torr,フィラメント温
度:1860℃,基材温度:950℃とした以外は、実
施例1の本発明品1〜8とほぼ同様にして本発明品17
〜24を得た。
【0035】比較として、基材の表面粗さが異なるこ
と、および基材表面におけるアルカリ溶液中での電解腐
食を行わなかったこと以外は、上述の本発明品と同様に
処理して比較品17〜20を得た。また、基材の表面粗
さが異なること以外は、上述の本発明品と同様に処理し
て比較品21〜24を得た。
【0036】こうして得た本発明品17〜24および比
較品17〜24について、成膜後の基材の表面粗さおよ
び被膜の表面粗さをランダムに5点測定し、それぞれの
平均表面粗さを求めて、その結果を表6に併記した。ま
た、本発明品17〜24および比較品17〜24の被膜
厚さは、約15μmであった。次に、本発明品17〜2
4および比較品17〜24を用いて、被削材:C/Cコ
ンポジット,工具突出し:30mm,切削速度:90m
/min,切込み:軸方向6mm−半径方向2mm,刃
当りの送り:0.02mm/rev,乾式切削という条
件でエンドミルの切削試験を行い、逃げ面摩耗幅が0.
2mmになったときを寿命とし、寿命までの加工長を求
めて表6に併記した。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【発明の効果】本発明のダイヤモンド被覆硬質部材は、
基材表面を酸腐食処理した基材の表面にダイヤモンドの
被膜を被覆した比較品、および基材の表面にアルカリ溶
液と酸溶液による腐食処理した基材の表面にダイヤモン
ドの被膜を被覆した本発明から外れた比較品に比べて、
成膜時にはダイヤモンドの核が容易にかつ多量に形成で
きること、成膜後には被膜と基材との付着性および密着
性がすぐれていること、その成膜された膜質がすぐれて
いること(不純物含有量が少い)、しかも基材との付着
性および密着性がすぐれていることから被膜厚さを厚く
被覆することが可能となること、そのために被膜表面の
面粗さが微細で緻密となること、これらが総合されて耐
摩耗性,耐剥離性,耐チッピング性にすぐれているとい
う効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B23B 27/14 B23B 27/14 A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 100重量%の炭化タングステン、また
    は90重量%以上の炭化タングステンと残部が周期律表
    の4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物,およびこ
    れらの相互固溶体(但し、炭化タングステンの単一相を
    除く)の中の少なくとも1種とでなる硬質相が99重量
    %以上と、残りがNiおよび/またはCoを主成分とす
    る結合相と不可避不純物とからなる基材の表面にダイヤ
    モンドおよび/またはダイヤモンド状カーボンの被膜を
    被覆したダイヤモンド被覆部材であって、該基材の表面
    にアルカリ溶液による電解腐食と酸溶液による腐食とを
    施し、腐食前の該基材の平均表面粗さと腐食後に該基材
    の表面に該被膜が被覆されてからの該基材の平均表面粗
    さの一方または両方がRa=0.1μm〜5.0μm
    (但し、Raは、日本工業規格JIS B0601に記
    載の内容に準ずる)を満足することを特徴とするダイヤ
    モンド被覆硬質部材。
  2. 【請求項2】 上記基材は、被膜が被覆された後の表面
    粗さがRa=2.0μm以下でなることを特徴とする請
    求項1記載のダイヤモンド被覆硬質部材。
  3. 【請求項3】 上記被膜は、該被膜の表面粗さがRa=
    1.5μm以下でなることを特徴とする請求項1または
    2記載のダイヤモンド被覆硬質部材。
  4. 【請求項4】 上記腐食は、上記アルカリ溶液による電
    解腐食を施したのちに、上記酸溶液による腐食を施すこ
    とを特徴とする請求項1、2または3記載のダイヤモン
    ド被覆硬質部材。
  5. 【請求項5】 上記ダイヤモンド被覆硬質部材は、回転
    工具として用いられることを特徴とする請求項1、2、
    3または4記載のダイヤモンド被覆硬質部材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002275571A (ja) * 2001-03-13 2002-09-25 Toshiba Tungaloy Co Ltd cBN基焼結体およびその被覆工具
JP2006521466A (ja) * 2003-03-21 2006-09-21 コムコン・アーゲー 平滑なダイヤモンド層を有する物体、そのための装置および方法
JP2013500389A (ja) * 2009-07-24 2013-01-07 ダイヤモンド イノベイションズ インコーポレーテッド 金属不含担持多結晶ダイアモンド(pcd)及び形成方法
JP2015107525A (ja) * 2014-12-18 2015-06-11 住友電気工業株式会社 回転ツール

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