JP2007160465A - 高速切削加工で硬質潤滑層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面被覆超硬合金製切削工具が、超硬基体の表面に、(a)マグネトロンスパッタリング装置にて、磁場中成膜されたTiN層またはTiCN層の密着接合層、(b)同じく磁場中成膜され、非晶質炭素と非晶質WCの2相混合相からなる非晶質分散相と、組成式:(Ti1−XWX)C1−YNY(ただし、原子比で、X:0.01〜0.3、Y:0.5〜0.8)、を満足する(Ti,W)CNからなる結晶質連続相の組織、W:2〜18原子%、Ti:30〜45原子%、窒素:30〜45原子%、を含有し、残りが炭素(ただし、5〜25原子%含有)と不可避不純物からなる全体組成、を有する硬質潤滑層、以上(a)および(b)を蒸着形成してなる。
【選択図】図1
Description
炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)系サーメットからなる超硬基体の表面に、
(a)0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、スパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)としてTiターゲットを用い、窒素とArの混合ガス、または炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で形成された、いずれも結晶質の窒化チタン(以下、TiNで示す)層および炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)層のいずれか、または両方からなる密着接合層、
(b)1〜10μmの平均層厚を有し、かつ、スパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)として、Tiターゲットを用い、炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で形成され、透過型電子顕微鏡による観察で、図3に概略模式図で例示される通り、非晶質炭素の分散相が5〜35面積%の割合を占め、残りが、オージェ分光分析装置による測定で、
組成式:TiC1−YNY(ただし、原子比で、Y:0.5〜0.8)、
を満足するTiCNの結晶質連続相からなる組織および組成を有する硬質潤滑層、
以上の密着接合層および硬質潤滑層を蒸着形成してなる、被覆超硬工具が知られている。
(a)例えば図2(a)および(b)にそれぞれ概略平面図および概略正面図で示される通り、カソード電極(蒸発源)がTiターゲットのスパッタリング装置と、カソード電極(蒸発源)がWCターゲットのスパッタリング装置のそれぞれに、電磁コイルを設けてマグネトロンスパッタリング装置とした蒸着装置を用い、前記電磁コイルにより磁場を形成して、硬質潤滑層の形成を行うと、この結果形成された硬質潤滑層は、透過型電子顕微鏡による組織観察で、非晶質分散相と、結晶質連続相で構成されるようになると共に、前記非晶質分散相は非晶質炭素と非晶質炭化タングステン(以下、WCで示す)の2相混合相、前記結晶質連続相はTiとW(タングステン)の複合炭窒化物[以下、(Ti,W)CNで示す]からなる組織をもつものとなること。
W:2〜18原子%、
Ti:30〜45原子%、
窒素:30〜45原子%、
を含有し、残りが炭素(ただし、5〜25原子%含有)と不可避不純物からなる全体組成を有し、さらに前記結晶質連続相の(Ti,W)CN相が、
組成式:(Ti1−XWX)C1−YNY(ただし、原子比で、X:0.01〜0.3、Y:0.5〜0.8)、
を満足するものとすると、前記非晶質分散相では非晶質WC相、前記結晶質連続相ではW成分の作用で、高温強度および高温硬さが著しく向上し、高速切削加工でも切刃部にチッピング(微少欠け)の発生なく、一段とすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するようになること。
以上(a)〜(c)に示される研究結果を得たのである。
WC基超硬合金またはTiCN系サーメットからなる超硬基体の表面に、
(a)0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、マグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)としてTiターゲットを用い、窒素とArの混合ガス、または炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜された、TiN層およびTiCN層のいずれか、または両方からなる密着接合層、
(b)1〜10μmの平均層厚を有し、かつ、透過型電子顕微鏡による観察で、非晶質分散相が5〜35面積%の割合を占め、残りが結晶質連続相からなると共に、前記非晶質分散相は非晶質炭素と非晶質WCの2相混合相、前記結晶質連続相は、オージェ分光分析装置による測定で、
組成式:(Ti1−XWX)C1−YNY(ただし、原子比で、X:0.01〜0.3、Y:0.5〜0.8)、
を満足する(Ti,W)CN相、からなる組織、
マグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)として、WCターゲットとTiターゲットを用い、炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜され、
W:2〜18原子%、
Ti:30〜45原子%、
窒素:30〜45原子%、
を含有し、残りが炭素(ただし、5〜25原子%含有)と不可避不純物からなる全体組成、
以上の組織および組成を有する硬質潤滑層、
以上の密着接合層および硬質潤滑層を蒸着形成してなる、高速切削加工で硬質潤滑層がすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具に特徴を有するものである。
(a)密着接合層の平均層厚
TiN層およびTiCN層のいずれか、または両方からなる密着接合層は、超硬基体表面および硬質潤滑層のいずれにも強固に接合し、さらに磁場中成膜による結晶粒の微細化効果で強度が向上して、耐チッピング性向上に寄与する作用をゆうするが、その平均層厚が0.1μm未満では、所望のすぐれた密着接合性を確保することができず、一方その平均層厚が3μmを越えると、特に高速切削加工で熱塑性変形を起こし易くなり、これが硬質潤滑層におけるチッピング発生の原因となることから、その平均層厚が0.1〜3μmと定めた。
W成分は、結晶質連続相ではTiと共に複合炭窒化物を形成して、前記結晶質連続相がの高温強度および高温硬さを向上させ、また非晶質分散相では非晶質WC相を形成し、すぐれた潤滑性を有する非晶質炭素と共存して、前記非晶質分散相の高温強度を向上させ、もって硬質潤滑層の高速切削加工での耐摩耗性向上に寄与する作用をもつが、その含有量が2原子%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有量が18原子%を越えると潤滑性が急激に低下するようになることから、その含有量を2〜18原子%と定めた。
Ti成分には、上記の通り、結晶質連続相がTiCNからなる場合に比して、一段とすぐれた高温強度と高温硬さを有する(Ti,W)CNを形成して、結晶質連続相の耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が30原子%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有量が45原子%を越えると高温硬さが急激に低下するようになることから、その含有量を30〜45原子%と定めた。
N成分には一部の炭素と共に、結晶質連続相の(Ti,W)CNを形成し、これの高温強度を向上させる作用があるが、その含有量が30原子%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有量が45原子%を越えると高温硬さが急激に低下するようになることから、その含有量を30〜45原子%と定めた。
炭素成分には、非晶質分散相の非晶質炭素と非晶質WCの2相混合相を形成し、前記非晶質分散相が非晶質炭素によるすぐれた潤滑性と、非晶質WCによるすぐれた高温強度を具備するようになるほか、結晶質連続相の(Ti,W)CNを形成して、これの高温硬さを向上させる作用があるが、その含有量が5原子%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有量が25原子%を越えると高温強度が低下し、高速切削加工ではチッピングが発生し易くなることから、その含有量を20〜35原子%と定めた。
その割合が5面積%未満では、所望の潤滑性を確保することができず、一方その割合が25面積%を越えると、摩耗進行が急激に促進するようになることから、その割合を5〜30面積%と定めた。
上記組成式におけるX値が0.01未満ではW含有による上記の作用、すなわち高温強度および高温硬さの向上効果を十分に確保することができず、一方X値が0.3を越えると、Tiに対する割合が多くなり過ぎて、高速切削加工ではチッピングが発生し易くなることから、X値を0.01〜0.3と定めた。
また、上記組成式における炭素(C)成分は高温硬さ、窒素(N)成分は高温強度をそれぞれ向上させる作用があり、したがって、Y値が0.5未満になると、N成分に比してC成分の相対割合が増加し、高温硬さは向上するが、高温強度は低下するようになり、一方X値が0.8を越えると、反対にC成分の相対割合が減少し、高温硬さが低下するようになり、前者ではチッピング発生、後者では摩耗促進の原因となることから、Y値を0.5〜0.8と定めた。
その平均層厚が1μm未満では、所望の潤滑性および耐摩耗性を確保することができず、一方その平均層厚が10μmを越えると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜10μmと定めた。
(a)まず、装置内を真空排気して0.01Paの真空に保持しながら、ヒーターで装置内を200℃に加熱した後、Arガスを装置内に導入して0.5Paの圧力のAr雰囲気とし、この状態で前記回転テーブル上で自転しながら回転する前記超硬基体に−800Vのバイアス電圧を印加して前記超硬基体表面を20分間Arガスボンバード洗浄し、
(b)ついで、前記蒸着装置の対向配置の両マグネトロンスパッタリング装置の電磁コイルに、いずれも電圧:50V、電流:10Aの条件で印加して、前記超硬基体の装着部における磁束密度を140G(ガウス)とした磁場を形成すると共に、前記蒸着装置内の加熱温度を400℃とした状態で、反応ガスとして窒素とArを、窒素流量:250sccm、Ar流量:230sccmの割合で導入して、1Paの窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気、または反応ガスとしてC2H2と窒素とArを、C2H2流量:40sccm、窒素流量:250sccm、Ar流量:230sccmの割合で導入して、1PaのC2H2の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気とし、Tiターゲットのカソード電極(蒸発源)には出力:12kW(周波数:40kHz)のスパッタ電力を印加し、一方上記超硬基体には、−100Vのバイアス電圧を印加した条件でグロー放電を発生させることにより、前記超硬基体の表面に表5,6に示される目標層厚のTiN層およびTiCN層のいずれか、または両方からなる密着接合層を形成し、
(c)ついで、蒸着装置内の真空度を0.01Pa、超硬基体の装着部における磁束密度を20秒周期で150Gから300Gまで偏かさせ、蒸着装置内の加熱温度を400℃、および超硬基体に印加のバイアス電圧を−100Vに保持したままで、表2に示される通り、前記蒸着装置内に反応ガスとして、C2H2(炭化水素)と窒素とArを、C2H2流量:10〜50sccm、窒素流量:75〜175sccm、Ar流量:200〜250sccmの範囲内の所定の流量で導入して、反応雰囲気を、1Pa以下のC2H2の分解ガスと窒素とArの混合ガスとすると共に、前記両マグネトロンスパッタリング装置のWCターゲットのカソード電極(蒸発源)には、出力:2〜5kW(周波数:40kHz)の範囲内の所定のスパッタ電力、同Tiターゲットには、出力:10〜30kW(周波数:40kHz)の範囲内の所定のスパッタ電力を同時に印加した条件で、同じく表5,6に示される目標組織および目標組成、さらに目標層厚の硬質潤滑層を蒸着形成することにより、本発明被覆超硬工具としての本発明表面被覆超硬合金製スローアウエイチップ(以下、本発明被覆超硬チップと云う)1,1′〜16,16′をそれぞれ製造した。
(a)まず、装置内を真空排気して0.01Paの真空に保持しながら、ヒーターで装置内を200℃に加熱した後、Arガスを装置内に導入して0.5Paの圧力のAr雰囲気とし、この状態で前記回転テーブル上で自転しながら回転する前記超硬基体に−800Vのバイアス電圧を印加して前記超硬基体表面を20分間Arガスボンバード洗浄し、
(b)ついで、前記蒸着装置内の加熱温度を400℃とした状態で、装置内に反応ガスとして窒素とArを、窒素流量:250sccm、Ar流量:230sccmの割合で導入して、1Paの窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気、または反応ガスとしてC2H2と窒素とArを、C2H2流量:40sccm、窒素流量:250sccm、Ar流量:230sccmの割合で導入して、1PaのC2H2の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気とし、Tiターゲットのカソード電極(蒸発源)には出力:12kW(周波数:40kHz)のスパッタ電力を印加し、一方上記超硬基体には、−100Vのバイアス電圧を印加した条件でグロー放電を発生させることにより、前記超硬基体の表面に表7,8に示される目標層厚のTiN層およびTiCN層のいずれか、または両方からなる密着接合層を蒸着形成し、
(c)ついで、上記蒸着装置内の加熱温度は同じ400℃、超硬基体に印加するバイアス電圧も同じ−100Vとした状態で、表1に示される通り、前記蒸着装置内に反応ガスとして、C2H2(炭化水素)と窒素とArを、C2H2流量:50〜150sccm、窒素流量:200〜300sccm、Ar流量:200〜250sccmの範囲内の所定の流量で導入して、反応雰囲気を、1Pa以下のC2H2の分解ガスと窒素とArの混合ガスとすると共に、前記Tiターゲットには、出力:5 〜10kW(周波数:40kHz)の範囲内の所定のスパッタ電力を印加した条件で、上記密着接合層の上に、同じく表7,8に示される目標組織および目標組成、さらに目標層厚の硬質潤滑層を蒸着形成することにより、従来被覆超硬工具に相当する比較表面被覆超硬合金製スローアウエイチップ(以下、比較被覆超硬チップと云う)1,1′〜16,16′をそれぞれ製造した。
被削材:JIS・AC9B−T7の丸棒、
切削速度:230m/min.、
切り込み:1.2mm、
送り:0.3mm/rev.、
切削時間:20分、
の条件(切削条件Aという)でのAl合金の乾式高速切削加工試験(通常の切削速度は100m/min.)、
被削材:JIS・PBC3Bの丸棒、
切削速度:150m/min.、
切り込み:2.5mm、
送り:0.3mm/rev.、
切削時間:10分、
の条件(切削条件Bという)でのCu合金の乾式高速切削加工試験(通常の切削速度は90m/min.)、さらに、
被削材:JIS・S58Cの丸棒、
切削速度:180m/min.、
切り込み:2.5mm、
送り:0.3mm/rev.、
切削時間:15分、
の条件(切削条件Cという)での炭素鋼の湿式高速切削加工試験(通常の切削速度は130m/min.)を行なった。いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表9に示した。
被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・AC8A−T5の板材、
切削速度:350m/min.、
軸方向切り込み:3.5mm、
径方向切り込み:1mm、
テーブル送り:2400mm/分、
の条件でのAl合金の乾式高速側面切削加工試験(通常の切削速度は300m/min.)、本発明被覆超硬エンドミル4〜6および従来被覆超硬エンドミル4〜6については、
被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・C3561の板材、
切削速度:350m/min.、
軸方向切り込み:8mm、
径方向切り込み:1.5mm、
テーブル送り:2600mm/分、
の条件でのCu合金の乾式高速側面切削加工試験(通常の切削速度は280m/min.)、本発明被覆超硬エンドミル7,8および比較被覆超硬エンドミル7,8については、
被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・S28Cの板材、
切削速度:165m/min.、
軸方向切り込み:10mm、
径方向切り込み:1.5mm、
テーブル送り:2200mm/分、
の条件での炭素鋼の湿式高速側面切削加工試験(通常の切削速度は100m/min.)をそれぞれ行い、いずれの側面切削加工試験でも切刃部の外周刃の逃げ面摩耗幅が使用寿命の目安とされる0.1mmに至るまでの切削長を測定した。この測定結果を表11,12にそれぞれ示した。
被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・AC4CH−T6の板材、
切削速度:200m/min.、
送り:0.5mm/rev、
穴深さ:10mm、
の条件でのAl合金の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度は120m/min.)、本発明被覆超硬ドリル4〜6および比較被覆超硬ドリル4〜6については、
被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・C3713の板材、
切削速度:220m/min.、
送り:0.5mm/rev、
穴深さ:28mm、
の条件でのCu合金の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度は150m/min.)、本発明被覆超硬ドリル7,8および比較被覆超硬ドリル7,8については、
被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmのJIS・STKM18Bの板材、
切削速度:160m/min.、
送り:0.5mm/rev、
穴深さ:35mm、
の条件での炭素鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(通常の切削速度は90m/min.)、をそれぞれ行い、いずれの湿式穴あけ切削加工試験(水溶性切削油使用)でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表13,14にそれぞれ示した。
上述のように、この発明の被覆超硬工具は、通常の条件での切削加工は勿論のこと、特に各種の被削材の切削加工を、高速切削条件で行なった場合にも、すぐれた耐摩耗性を発揮するものであるから、切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン系サーメットからなる超硬基体の表面に、
(a)0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、マグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)としてTiターゲットを用い、窒素とArの混合ガス、または炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜された、窒化チタン層および炭窒化チタン層のうちのいずれか、または両方からなる密着接合層、
(b)1〜10μmの平均層厚を有し、かつ、透過型電子顕微鏡による観察で、非晶質分散相が5〜35面積%の割合を占め、残りが結晶質連続相からなると共に、前記非晶質分散相は非晶質炭素と非晶質炭化タングステンの2相混合相、前記結晶質連続相は、オージェ分光分析装置による測定で、
組成式:(Ti1−XWX)C1−YNY(ただし、原子比で、X:0.01〜0.3、Y:0.5〜0.8)、
を満足するTiとW(タングステン)の複合炭窒化物、からなる組織、
マグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)として、炭化タングステンターゲットとTiターゲットを用い、炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜され、
W:2〜18原子%、
Ti:30〜45原子%、
窒素:30〜45原子%、
を含有し、残りが炭素(ただし、5〜25原子%含有)と不可避不純物からなる全体組成、
以上の組織および組成を有する硬質潤滑層、
以上の密着接合層および硬質潤滑層を蒸着形成してなる、高速切削加工で硬質潤滑層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具。
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JP4849212B2 (ja) | 2012-01-11 |
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