JP2001323392A - すず電解質組成物 - Google Patents

すず電解質組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 すず電解質組成物を提供する。 【解決手段】 すず化合物の1以上、酸性電解質の1以
上、アルキレンオキシド化合物の1以上、ポリアルキレ
ングリコールの1以上、および任意に添加剤の1以上を
含む、すずまたはすず−合金を基体上に堆積させるため
の電解質組成物が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、概して、金属を基体上にめっき
する方法に関する。特に、本発明は、すずを堆積するた
めの電解質組成物および方法に関する。すず、鉛または
これらの合金を堆積するための電気めっき浴は、電気め
っき装置において長年使用されている。高速電気めっき
装置およびプロセスは、産業界で公知であり、概して、
被めっき対象物を一方の端から電気めっきセル内に入
れ、該対象物が電気めっきセルを通って進み、その後、
他方の端においてセルから出ることを可能にするような
方法である。電気めっき溶液は電気めっきセルからリザ
ーバーに移されるか、またはオーバーフローし、そし
て、該溶液は該リザーバーから電気めっきセルにポンプ
で戻され、活発な撹拌および溶液の循環を提供する。こ
れら電気めっきセルとしては、多くのバリエーションが
存在することができるが、一般的な特徴は上述した通り
である。
【0002】電気めっき溶液が有すべき、この種の装置
または方法における向上された操作性のために望まれ
る、多くの特徴が存在し、これは次の通りである。該溶
液は、所望の堆積物を、望まれる高速で電気めっきする
ことができなければならない。該溶液は、特定の用途の
はんだ付け性またはリフロー要求を満たす錫を堆積させ
なければならない。該溶液は安定であるべきで、溶液中
の添加剤は強酸溶液、および高速めっき装置における活
発な溶液の動きの結果として生じる、導入された空気へ
の暴露に耐えなければならない。該溶液は、120〜1
30°Fまたはそれ以上のような高温でさえ、透明で、
濁りの無いように維持されるべきである。適用される高
い電流密度のために、高温でこれらの溶液を操作するこ
とが、しばしば有利である。使用される添加剤は、その
ような高温で溶液を濁らせないような種類のものでなけ
ればならない。
【0003】そのような高速めっきプロセスにおける、
活発な溶液の動き、および溶液の空気との混合のため
に、電気めっきプロセスに悪影響を与える泡を生じさせ
る傾向が強い。極端な条件下においては、この泡はリザ
ーバータンク内で形成され、その結果、フロア上にオー
バーフローする場合があり、それにより、多量の溶液が
廃液流になって失われる。泡は、撹拌を行うのに使用さ
れるポンプの操作を妨げる場合もある。泡の存在のため
に、アノードとカソードの間でアーチを造る場合もあ
る。よって、電気めっき溶液に使用される添加剤は、め
っき装置内で泡を生じさせるものであるべきではない。
多くの電解質が、すず、鉛、およびすず/鉛合金を電気
めっきするために提案されている。例えば、米国特許第
5174887号(Federman etal.)
は、すずの高速電気めっき方法を開示し、該方法は界面
活性剤として、少なくとも1つのヒドロキシル基を有
し、炭素原子数が20以下である有機化合物のアルキレ
ンオキシド縮合物を有している。該有機化合物は、炭素
原子数が1〜7の脂肪族炭化水素、非置換芳香族化合
物、またはアルキル部分の炭素数が6以下のアルキル化
芳香族化合物を含む。
【0004】米国特許第5871631号(Ichib
a et al.)は有機スルホン酸の2価のすず塩、
抗酸化剤、および光沢剤を開示し、該光沢剤はプロピレ
ンオキシドをポリオキシエチレングリコールに付加する
ことによって調製され、3000〜18000の範囲の
平均分子量を有する添加剤材料(A);およびプロピレ
ンオキシドをポリオキシエチレングリコールに付加する
ことによって調製され、300〜1500の範囲の平均
分子量を有する添加剤材料(B)を有し、(A)と
(B)との重量比が97/3〜40/60である。使用
している間、例えば、新たな金属コイルが、めっきされ
るべき金属ストリップの端部に結合される場合には、高
速すずめっきラインはスローダウンさせることができ
る。そのようなスローダウン期間の間、金属基体が電気
めっき浴を通過する速度がスローダウンする。理論的に
は、一定のすずまたはすず−合金堆積物の厚さ、すなわ
ち、被覆重量を維持するためには、めっき浴はより低い
電流密度で運転されなければならない。しかし、上述の
めっき浴を含む、現在のすずおよびすず−合金高速電気
めっき浴は、そのようなスローダウン期間を可能にする
のに充分広範囲の電流密度にわたって、一定の外観のす
ずまたはすず−合金を生じさせることはできない。よっ
て、広範囲の電流密度、特に、高速めっきシステムにお
ける使用のための電流密度の範囲にわたって、堆積物の
均一な外観を維持しつつ、広範囲の電流密度にわたっ
て、すずまたはすず−合金を堆積させるめっき浴につい
ての必要性が継続して存在している。
【0005】驚くべきことに、本発明の電解質組成物を
使用することにより、すずまたはすず−合金が、広範囲
の電流密度にわたって均一に堆積されることができるこ
とが見出された。さらに驚くべきことには、本発明の電
解質組成物は、前記の全範囲の電流密度にわたり、均一
な外観の堆積物を生じさせると同時に、すずまたはすず
−合金を高い電流密度で、低い金属濃度でめっきするこ
とが見出された。第1の態様においては、本発明は、す
ずまたはすず−合金を基体上に堆積するための電解質組
成物であって、すず化合物の1以上、酸性電解質の1以
上、アルキレンオキシド化合物の1以上、ポリアルキレ
ングリコールの1以上、および任意に添加剤の1以上を
含む前記電解質組成物を提供する。第2の態様において
は、本発明は、すずまたはすず−合金を基体上に堆積す
る方法であって、該基体を上述の電解質組成物と接触さ
せ、さらにすずまたはすず−合金を該基体上に堆積する
のに充分な電流密度を、該電解質組成物に適用する工程
を含む前記方法を提供する。第3の態様においては、本
発明は、上述の方法に従って、すずまたはすず−合金が
基体上に堆積された該基体を提供する。
【0006】第4の態様においては、本発明は、すずま
たはすず−合金の高速電気めっき方法であって、a)電
気めっきセル;該セルに隣接するオーバーフローリザー
バー;該リザーバーから該電気めっきセルに溶液を返送
する手段;めっきされるべき基体を、該セルの第1の端
部にある入口点(entry point)から、該セ
ルの第2の端部にある出口に移送する手段を有する高速
電気めっき装置を利用し;b)1以上のすず化合物、酸
性電解質の1以上、アルキレンオキシド化合物の1以
上、ポリアルキレングリコールの1以上、および任意に
添加剤の1以上のベース溶液を含む電解質を導入し;さ
らにc)基体が該セル内の電気めっき溶液を通過する間
に、基体を、すずまたはすず−合金で、高速電気めっき
をするのに充分な電流密度および充分な温度で、連続的
に電気めっきする工程を含む、前記すずまたはすず−合
金の高速電気めっき方法を提供する。
【0007】本明細書を通じて、他に特に明示されない
限りは、次の略語は次の意味を有する:℃=摂氏度;°
F=華氏度;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリ
ットル;wt%=重量パーセント;ppm=百万分
率;’’=インチ;cm=センチメートル;rpm=1
分間あたりの回転数;ASF=アンペア/平方フィー
ト。用語「堆積」および「めっき」は、本明細書を通じ
て交換可能に使用される。「ハライド」とは、フルオラ
イド、クロライド、ブロマイドおよびヨーダイドをい
う。「アルキル」とは、直鎖、分岐鎖、および環式アル
キルをいう。他に示されない限りは、全てのパーセント
は重量パーセントである。全ての数値範囲は境界値を含
み、交換可能である。
【0008】本発明の電解質組成物は、すず化合物の1
以上、酸性電解質の1以上、アルキレンオキシド化合物
の1以上、ポリアルキレングリコールの1以上および任
意に添加剤の1以上を含み、めっきの効率および/また
は品質を向上させる。本発明において有用なすず化合物
の1以上は、任意の溶液可溶性のすず化合物である。好
適なすず化合物としては、すずハライド;すずスルフェ
ート;すずアルカンスルホネート、例えば、すずメタン
スルホネート;すずアリールスルホネート、例えば、す
ずフェニルスルホネートおよびすずトルエンスルホネー
ト;すずアルカノールスルホネートなどをはじめとする
塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
すずハライドが使用される場合には、ハライドはクロラ
イドであるのが好ましい。すず化合物は、すずスルフェ
ート、すずクロライド、すずアルカンスルホネートまた
はすずアリールスルホネートであるのが好ましく、より
好ましくは、すずスルフェートまたはすずメタンスルホ
ネートである。本発明において有用なすず化合物は、概
して、種々のソースから商業的に入手可能であり、さら
なる精製をすることなしに使用されることができる。別
法では、本発明において有用なすず化合物は、文献にお
いて公知の方法によって調製されることもできる。
【0009】本発明の電解質組成物において有用なすず
化合物の量は、典型的には、5〜100g/L、好まし
くは10〜70g/Lの範囲のすず含量を提供するよう
な任意の量である。本発明の組成物が低速めっきプロセ
スに使用される場合には、電解質組成物中に存在するす
ずの量は、典型的には、5〜40g/Lの範囲であり、
好ましくは、10〜20g/Lである。本発明の組成物
が高速めっきプロセスに使用される場合には、電解質組
成物中に存在するすずの量は、典型的には、20〜10
0g/Lの範囲であり、好ましくは、50〜70g/L
である。本発明の組成物が、鋼の高速すずめっきに使用
される場合には、すずの量は典型的には5〜50g/L
の範囲であり、好ましくは10〜30g/Lである。す
ずの総量が5〜100g/Lの範囲の場合には、すず化
合物の混合物も、本発明に有利に使用されることもでき
る。
【0010】溶液に可溶性であり、電解質組成物に悪影
響を及ぼさないものであれば、任意の酸性電解質が本発
明において有利に使用されることができる。好適な酸性
電解質としては、アルカンスルホン酸、例えば、メタン
スルホン酸;アリールスルホン酸、例えば、フェニルス
ルホン酸またはトルエンスルホン酸;硫酸;スルファミ
ン酸;塩酸;臭化水素酸;およびフルオロホウ酸が挙げ
られるがこれらに限定されるものではない。酸性電解質
の混合物が特に有用であり、例えば、アルカンスルホン
酸と硫酸との混合物が挙げられるがこれに限定されるも
のではない。よって、2以上の酸性電解質が本発明にお
いて有利に使用されることができる。本発明において有
用な酸性電解質は、概して、商業的に入手可能であり、
さらなる精製なしに使用されることができる。別法で
は、酸性電解質は文献に公知の方法によって調製される
ことができる。典型的には、酸性電解質の量は、10〜
400g/Lの範囲であり、好ましくは、100〜20
0g/Lである。本発明の組成物が、鋼の高速すずめっ
きに使用される場合には、酸性電解質は、典型的には、
20〜80g/Lの範囲であり、好ましくは、30〜6
0g/Lである。すず化合物がハライドである場合に
は、酸性電解質は対応する酸であるのが好ましい。例え
ば、本発明において、すずクロライドが使用される場合
には、酸性電解質は塩酸であるのが好ましい。
【0011】本発明において有用な1以上のアルキレン
オキシド化合物は、良好なはんだ付け性、良好なつや消
し仕上げ、または満足できる微細な粒塊の光沢仕上げを
有する堆積物を生じさせ、酸性電解質浴中で安定であ
り、高速で電気めっきし、実質的に低い発泡性であり、
さらに約110°F(43℃〜44℃)以上の、浴の曇
り点を提供するものである。アルキレンオキシド化合物
は、電気めっきプロセスの間に、浴に泡を生じさせない
のが好ましい。好適なアルキレンオキシド化合物として
は、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/P
O)コポリマー、少なくとも1つのヒドロキシル基を有
し、炭素原子数が20以下である有機化合物のアルキレ
ンオキシド縮合生成物、オキシプロピレンをポリオキシ
エチレングリコールに付加することによって調製された
化合物などが挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。典型的には、EO/POコポリマーは、約500
〜約10000の範囲、好ましくは約1000〜約50
00の平均分子量を有する。アルキレンオキシド化合物
はEO/POコポリマーであるのが好ましい。
【0012】好適な、少なくとも1つのヒドロキシル基
を有し、炭素原子数が20以下である有機化合物のアル
キレンオキシド縮合生成物としては、炭素原子数が1〜
7の脂肪族炭化水素、非置換芳香族化合物、またはアル
キル部分が約6つの炭素原子を有するアルキル化芳香族
化合物を有するものが挙げられ、これらは、米国特許第
5174887号に開示されており、該文献における、
これらの化合物の調製および使用に関する記載は本明細
書の一部として参照される。脂肪族アルコールは飽和ま
たは不飽和であることができる。好適な芳香族化合物
は、2つまでの芳香族環を有するものである。芳香族ア
ルコールは、典型的には、エチレンオキシド(EO)で
誘導体を形成される前は、20までの炭素原子を有す
る。そのような脂肪族および芳香族アルコールは、さら
に置換されることができ、例えば、スルフェートまたは
スルホネート基で置換されることができる。そのような
好適なアルキレンオキシド化合物としては、12モルの
EOを有する、エチルオキシル化ポリスチレン化フェノ
ール、5モルのEOを有するエチルオキシル化ブタノー
ル、16モルのEOを有するエチルオキシル化ブタノー
ル、8モルのEOを有するエチルオキシル化ブタノー
ル、12モルのEOを有するエチルオキシル化オクタノ
ール、13モルのEOを有するエチルオキシル化ベータ
−ナフトール、10モルのEOを有するエチルオキシル
化ビスフェノールA、30モルのEOを有するエチルオ
キシル化スルフェート化ビスフェノールA、および8モ
ルのEOを有するエチルオキシル化ビスフェノールAが
挙げられるがこれらに限定されるものではない。典型的
には、アルキレンオキシド化合物の1以上は、本発明の
電解質組成物中に、0.1〜15mL/Lの量で存在
し、好ましくは0.5〜10mL/Lである。
【0013】本発明において有用なポリアルキレングリ
コールの1以上は、電解質組成物に混和可能であり、良
好なはんだ付け性、良好なつや消し仕上げ、または満足
できる微細な粒塊の光沢仕上げの堆積物を生じさせ、酸
性電気めっき浴中で安定であり、高速で電気めっきし、
実質的に低い発泡性であり、さらに約110°F(43
℃〜44℃)以上の、浴の曇り点を提供するような、任
意のものである。アルキレンオキシド化合物が、電気め
っきプロセスの間に、浴に泡を発生させないことが好ま
しい。好適なポリアルキレングリコールとしては、ポリ
エチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが
挙げられるがこれらに限定されるものではなく、好まし
くはポリエチレングリコールである。そのようなポリア
ルキレングリコールは、種々のソースから商業的に入手
可能であり、さらなる精製の必要なしに使用されること
ができる。典型的には、本発明において有用なポリアル
キレングリコールは、約200〜約100000の範囲
の平均分子量を有するものであり、好ましくは、約90
0〜約20000である。そのようなポリアルキレング
リコールは、本発明の電解質組成物中に、約0.1〜約
15g/Lの量で存在し、好ましくは約0.25〜約1
0g/Lであり、より好ましくは、約0.5〜約8g/
Lである。
【0014】1以上の他の金属化合物が、本発明の電解
質組成物に混合されることができることを当業者は認識
するであろう。そのような他の金属化合物は、すず−合
金のめっきのために必要である。好適な他の金属として
は、鉛、ニッケル、銅、ビスマス、亜鉛、銀、インジウ
ムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。本発明において有用な他の金属化合物は、電解質組
成物に好適な形態で金属を提供する任意の化合物であ
る。よって、金属化合物としては、金属ハライド;金属
スルフェート;金属アルカンスルホネート、例えば、金
属メタンスルホネート;金属アリールスルホネート、例
えば、金属フェニルスルホネートおよび金属トルエンス
ルホネート;金属アルカノールスルホネートなどをはじ
めとする塩が挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。他の金属化合物の選択、およびそのような他の金
属化合物が電解質組成物に存在する量は、堆積されるべ
きすず−合金に応じて変化するものであり、これは当業
者にとって公知の事項である。
【0015】還元剤、グレインリファイナー(grai
n refiner)、例えば、ヒドロキシ芳香族化合
物および他の湿潤剤、光沢剤などをはじめとする、1以
上の他の添加剤が、本発明の電解質組成物に混合される
ことができることを当業者は認識するであろう。添加剤
の混合物が本発明において使用されることもできる。還
元剤は、本発明の電解質組成物に添加され、すずを可溶
性で、2価の状態に維持するのを助けることができる。
好適な還元剤としては、ヒドロキノンおよびヒドロキシ
ル化芳香族化合物、例えば、レゾルシノール、カテコー
ルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。そのような還元剤は、米国特許第4871429号
に開示され、該文献における、そのような化合物の調製
および使用に関する記載は本明細書の一部として参照さ
れる。そのような還元剤の量は、当業者に公知である
が、典型的には、約0.1g/L〜約5g/Lの範囲で
ある。
【0016】光沢のある堆積物は、本発明の電解質組成
物に光沢剤を添加することによって得られることができ
る。そのような光沢剤は当業者に公知である。好適な光
沢剤としては、芳香族アルデヒド、例えば、クロロベン
ズアルデヒド;芳香族アルデヒドの誘導体、例えば、ベ
ンザルアセトン;および脂肪族アルデヒド、例えば、ア
セトアルデヒドまたはグルタルアルデヒドが挙げられる
がこれらに限定されるものではない。そのような光沢剤
は、典型的には、本発明の組成物に添加され、堆積物の
外観および反射率を向上させる。典型的には、光沢剤
は、0.5〜3g/Lの量で使用され、好ましくは1〜
2g/Lである。
【0017】ヒドロキシ芳香族化合物または他の湿潤剤
が本発明の電解質組成物に添加され、粒子のさらなる微
細化を提供することができることを当業者は認識するで
あろう。そのようなグレインリファイナーは、本発明の
電解質組成物に添加され、堆積物の外観および操作され
る電流密度範囲をさらに向上させることができる。好適
な他の湿潤剤としては、アルコキシレート、例えば、ポ
リエトキシル化アミンであるJEFFAMINE T−
403またはTRITON RW;スルフェート化アル
キルエトキシレート、例えば、TRITON QS−1
5;およびゼラチンまたはゼラチン誘導体が挙げられる
がこれらに限定されるものではない。本発明において有
用なそのようなグレインリファイナーの量は当業者に公
知であり、典型的には、0.01〜20mL/Lであ
り、好ましくは、0.5〜8mL/Lであり、より好ま
しくは、1〜5mL/Lである。存在する場合には、本
発明の電解質組成物に添加される任意の添加剤は、望ま
れる堆積物の結果および種類に応じるものである。所望
の仕上げの堆積物を達成するために、どのような添加剤
がどのような量で必要とされるかは当業者に明らかな事
項である。
【0018】本発明の電解質組成物を含む電気めっき浴
は、典型的には、容器に、酸性電解質の1以上を添加
し、続いて、すず化合物の1以上、アルキレンオキシド
化合物の1以上、ポリアルキレングリコールの1以上が
添加され、次いで、他の添加剤の1以上が添加される。
本発明の組成物の成分の添加について、他の順序が使用
されることができる。浴が調製された後、望まれない物
質が、例えば濾過によって除去され、次いで、水が添加
され、浴の最終的な容量を調節する。浴は、めっき速度
を増加させるために、公知の手段、例えば、溶液をスタ
ーリング(stirring)、ポンピング(pump
ing)、スパージング(sparging)またはジ
ェッティング(jetting)することにより撹拌さ
れることができる。本発明の電解質組成物、および該組
成物から調製されるめっき浴は、典型的には酸性、すな
わち、pHが7より小さく、典型的には1より小さい。
本発明の電解質組成物の利点は、電気めっき浴のpH調
整が必要無いことである。
【0019】本発明の電解質組成物は、すずまたはすず
−合金堆積物が望まれるような、任意のめっき方法にお
いて有用である。好適なめっき方法としては、バレルめ
っき、ラックめっきおよび高速めっきが挙げられるがこ
れらに限定されるものではない。すずまたはすず−合金
堆積物は、基体を上述の電解質組成物と接触させ、該電
解質に電流を通し、すずまたはすず−合金を基体上に堆
積させる工程によって、基体上にめっきされることがで
きる。電解によって金属でめっきされることができる任
意の基体が、本発明に従っためっきに適している。好適
な基体としては、鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル
合金、ニッケル−鉄含有物質、電子部品、プラスチック
などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
好適なプラスチックとしては、プラスチックラミネー
ト、例えば、プリント配線板、特に、銅張りプリント配
線板が挙げられる。本発明の電解質組成物は、特に高速
電気めっきプロセスで、特に鋼をめっきするのに適して
いる。めっきされるべき基体は、任意の公知の手段で、
電解質組成物と接触されることができる。典型的には、
基体は、本発明の電解質組成物を含む浴中に配置され
る。
【0020】典型的には、本発明のすずまたはすず−合
金をめっきするのに使用される電流密度は、1〜200
0ASFの範囲であるが、これ限定されるものではな
い。低速電気めっきプロセスが使用される場合には、電
流密度は、典型的には、1〜40ASFの範囲であり、
好ましくは1〜30ASFである。高速電気めっきプロ
セスが使用される場合には、電流密度は、典型的には、
50〜2000ASFの範囲であり、好ましくは100
〜1500ASFである。例えば、本発明の電解質組成
物が、高速めっきプロセスにおいて、すずを鋼の上に堆
積させるのに使用される場合には、好適な電流密度は1
00〜600ASFであり、結果として、典型的には、
5〜100マイクロインチの厚さを有するすず堆積物が
生じる。典型的には、本発明のすずまたはすず−合金
は、60°〜150°F(15℃〜66℃)またはそれ
より高い範囲の温度で堆積されることができ、好ましく
は70°〜125°F(21℃〜52℃)であり、より
好ましくは、75°〜120°F(23℃〜49℃)で
ある。
【0021】一般的に、基体が、本発明の電解質組成物
を含むめっき浴中に留まる時間の長さは、重要ではな
い。与えられた温度および電流密度において、時間が長
くなるにつれて、典型的には堆積物がより厚くなり、時
間が短くなるにつれて、典型的には堆積物がより薄くな
る。よって、基体が、めっき浴中に留まる時間の長さ
は、得られる堆積物の厚さを調節するために使用される
ことができる。本発明の電解質組成物は、典型的には、
すずを堆積させるのに有用であるが、原子吸光分光(A
AS)または誘導結合プラズマ(inductivel
y coupled plasma(ICP))のいず
れかによって測定される、合金の重量に基づいて、60
〜99.5重量%のすずと0.5〜40重量%の他の金
属とを含む、すず−合金を堆積させるために使用される
こともできる。本発明の電解質組成物のさらなる利点
は、高速電気めっきプロセスにおいてすずまたはすず−
合金を堆積させるのに有利に使用されることができるこ
とである。用語「高速電気めっき」とは、上述の装置を
用いて、約50ASFまたはそれより大きい電流密度で
操作するプロセスをいう。典型的な電流密度は50〜2
000ASFまたはそれより高い範囲であり、好ましく
は、100〜1500ASFであり、より好ましくは、
200〜500ASFである。典型的には、そのような
プロセスは、約70°F(21℃)の温度以上でも操作
する。好適な温度としては70°〜140°F(21℃
〜60℃)またはそれより高い温度の範囲であり、好ま
しくは、85°F(29℃)より高く、より好ましく
は、95°F(35℃)より高いが、これに限定される
ものではない。
【0022】本発明の電解質組成物は、特に高速電気め
っきプロセスで、特に鋼をすずでめっきするのに適して
いる。本発明の組成物が、鋼の高速すずめっきに使用さ
れる場合には、すずの量は典型的には5〜50g/Lの
範囲であり、好ましくは10〜30g/Lである。酸性
電解質は典型的には、そのような組成物中で、20〜8
0g/Lの範囲の量で存在し、好ましくは、30〜60
g/Lである。100〜600ASFの電流密度が、本
発明に従った、鋼の高速すずめっきに適している。好適
な温度は、70°〜140°F(21℃〜60℃)また
はそれより高い温度の範囲であり、好ましくは、85°
F(29℃)より高く、より好ましくは、95°F(3
5℃)より高いが、これに限定されるものではない。そ
のような、すずまたはすず−合金の、例えば、鋼の上へ
の高速電気めっきのための方法は、a)電気めっきセ
ル;該セルに隣接するオーバーフローリザーバー;該リ
ザーバーから該電気めっきセルに溶液を返送する手段;
めっきされるべき基体を、該セルの第1の端部にある入
口点から、該セルの第2の端部にある出口に移送する手
段を有する高速電気めっき装置を利用し;b)1以上の
すず化合物、酸性電解質の1以上、アルキレンオキシド
化合物の1以上、ポリアルキレングリコールの1以上、
および任意に添加剤の1以上のベース溶液を含む電解質
を導入し;さらにc)基体が該セル内の電気めっき溶液
を通過する間に、基体を、すずまたはすず−合金で、高
速電気めっきするのに充分な電流密度および充分な温度
で、連続的に電気めっきする工程を含む。返送する手段
は、チューブ、ホース、コンジット、ポンプ、ドレイン
等をはじめとする公知の手段である。基体を移送する手
段は、コンベア、ベルト、ローラー、ロボットアーム等
をはじめとする公知の手段である。
【0023】本発明の高速電気めっきプロセスは、任意
の種々の高速電気めっき装置を用いて行われることがで
きる。そのような高速電気めっき装置は、例えば、米国
特許第3819502に開示されているように当業者に
公知であり、前記文献に開示されるそのような装置に関
する記載は本明細書の一部として参照される。典型的な
装置の1つとしては、図1に示されるような電気めっき
セルを利用するものがある。このセル100は、電解質
120をその内部に保持するためのタンク110、およ
び該電解質にすずを供給するためのすずアノード130
を有する。鋼のストリップ140はコンダクターロール
(conductor roll)150の周りを通っ
て、セル110内のすずアノード130の間を下方へ向
かう。ストリップ140がすずアノード130の間を下
方へ向かうときに、すず被覆がその上に堆積し始める。
その後、ストリップ140は、セル110の底部付近に
配置されたシンクロール(sink roll)160
の周りを通り、次いで、該セルを出る前に、追加のすず
の堆積を受けるために、追加のアノード130の間を通
って上方へ向かう。その後、ストリップ140は別のコ
ンダクターロール150の周りを通って、隣接するセル
に向かう。すず−めっき物製造装置においては、複数
の、そのようなセルが利用され、鋼のストリップ上に適
切な量のすず被覆を堆積させる。
【0024】図示されていないが、めっき用電解質は、
該システムと貯蔵タンクの間を連続的に循環される。該
溶液は、最初は、各セルの底部にポンプ移送される。各
セルの該溶液は、オーバーフローを使用することによ
り、適切なレベルに維持される。該オーバーフローから
集められた溶液は、再循環するために貯蔵タンクに送ら
れる。最後のセルを出た後、該ストリップは、電解質回
収およびリンスステーション(rinsing sta
tion)を通る。回収された電解質は、再循環するた
めに貯蔵タンクに送られる。リンスは第2のタンク内
で、熱水スプレーまたはリンガーロール(wringe
r roll)のシステムによって行われる。最終的
に、すずめっき物がエアドライヤーを通って乾燥され
て、電気めっき操作が完了する。光沢のある堆積物が望
まれる場合には、該すずめっき物は公知のリフロー加工
にかけられる。次の実施例は本発明のさらに種々の態様
を例示するものであり、如何なる態様においても、本発
明の範囲を限定するものではない。
【0025】実施例1 すずメタンスルホネートからのすず 15g/L、フリ
ーのメタンスルホン酸40g/L、硫酸 1g/L、平
均分子量が2200のEO/POコポリマー0.5g/
L、平均分子量が6000のポリエチレングリコール
0.5g/L、および還元剤 0.25g/Lを含む電
解質組成物が調製された。電解質浴は、該電解質組成物
を水と混合し、所望の容量を提供するように調製され
た。鋼のパネル、6インチ×2.5インチ(15.24
cm×6.35cm)が導電マンドレル(conduc
tive mandrel)の周囲に巻かれ、電解質中
で、40℃の温度で、1500rpmの速度で回転され
た。次いで、パネルは、300ASFの電流密度を用い
て電気めっきされ、約50マイクロインチの厚さのすず
被覆を堆積させた。続いて、鋼のパネルはリンスされ、
乾燥され、さらに、該堆積物がリフローされて輝く反射
性のすず被覆を得た。
【0026】実施例2 すずメタンスルホネートからのすず 20g/L、フリ
ーのメタンスルホン酸30g/L、硫酸 1g/L、平
均分子量が2200のEO/POコポリマー1.5g/
L、平均分子量が14000のポリエチレングリコール
0.5g/L、および還元剤 1.0g/Lを含む電
解質組成物が調製された。電解質浴は、該電解質組成物
を水と混合し、所望の容量を提供するように調製され
た。調製は130°Fの温度で行われた。該電解質組成
物はハルセル(Hull cell)内に入れられ、鋼
のパネルが、3アンペアの電流を用いて電気めっきされ
た。得られたパネルは、低電流密度端部から、高電流密
度端部の約3/4インチ(1.9cm)まで、なめらか
で、均一な、つや消しのすず堆積物を有していた。
【0027】実施例3 すずメタンスルホネートからのすず 50g/L、フリ
ーのメタンスルホン酸100g/L、平均分子量が22
00のEO/POコポリマー 1.0g/L、平均分子
量が14000のポリエチレングリコール 1.0g/
L、還元剤0.5g/L、およびグレインリファイナー
0.1g/Lを含む電解質組成物が調製された。電解
質浴は、該電解質組成物を水と混合し、所望の容量を提
供するように調製された。調製は110°Fの温度で行
われた。該電解質組成物はハルセル(Hull cel
l)内に入れられ、鋼のパネルが、5アンペアの電流を
用いて電気めっきされた。得られたパネルは、低電流密
度端部から、高電流密度端部の約3/4インチ(1.9
cm)まで、なめらかで、均一な、つや消しのすず堆積
物を有していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は金属ストリップ上にすずを堆積させる
ための電気めっきセルの断面図である。
【符号の説明】
100 セル 110 タンク 120 電解質 130 すずアノード 140 ストリップ 150 コンダクターロール 160 シンクロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 596156668 455 Forest Street,Ma rlborough,MA 01752 U. S.A (72)発明者 ジョージ・エー・フェダーマン アメリカ合衆国ニューヨーク州11731,イ ー・ノースポート,マンスフィールド・レ ーン・7 (72)発明者 アンジェロ・ビー・チラフィシ アメリカ合衆国ニューヨーク州11414,ハ ワード・ビーチ、第80・ストリート・151 −19 (72)発明者 グレゴリー・ライ アメリカ合衆国ニューヨーク州11704,ウ ェスト・バビロン,エバーグリーン・スト リート・64−B Fターム(参考) 4K023 AA17 AB33 BA06 BA29 CB33 DA02 DA06 DA07 DA08 4K024 AA07 AA21 AA22 BA03 BA09 BA12 BB11 BC01 CA01 CA02 CA03 CA04 CA06

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 すず化合物の1以上、酸性電解質の1以
    上、アルキレンオキシド化合物の1以上、ポリアルキレ
    ングリコールの1以上、および任意に添加剤の1以上を
    含む、すずまたはすず−合金を基体上に堆積させるため
    の電解質組成物。
  2. 【請求項2】 すず化合物が、すずハライド、すずスル
    フェート、すずアルカンスルホネート、すずアリールス
    ルホネートまたはすずアルカノールスルホネートから選
    択される請求項1記載の電解質組成物。
  3. 【請求項3】 すず化合物が、5〜100g/Lの範囲
    の量で存在する請求項1記載の電解質組成物。
  4. 【請求項4】 酸性電解質が、アルカンスルホン酸、ア
    リールスルホン酸、硫酸、スルファミン酸、塩酸、臭化
    水素酸およびフルオロホウ酸から選択される請求項1記
    載の電解質組成物。
  5. 【請求項5】 酸性電解質が、10〜400g/Lの範
    囲の量で存在する請求項1記載の電解質組成物。
  6. 【請求項6】 アルキレンオキシド化合物が、エチレン
    オキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー;少
    なくとも1つのヒドロキシル基を有し、炭素原子数が2
    0以下である有機化合物のアルキレンオキシド縮合生成
    物;またはオキシプロピレンをポリオキシエチレングリ
    コールに付加することによって調製される化合物から選
    択される請求項1記載の電解質組成物。
  7. 【請求項7】 アルキレンオキシド化合物が、約500
    〜約10000の平均分子量を有する請求項1記載の電
    解質組成物。
  8. 【請求項8】 アルキレンオキシド化合物が、0.1〜
    15mL/Lの量で存在する請求項1記載の電解質組成
    物。
  9. 【請求項9】 ポリアルキレングリコールが、ポリエチ
    レングリコールまたはポリプロピレングリコールから選
    択される請求項1記載の電解質組成物。
  10. 【請求項10】 ポリアルキレングリコールが、約20
    0〜約100000の平均分子量を有する請求項1記載
    の電解質組成物。
  11. 【請求項11】 ポリアルキレングリコールが、0.1
    〜15g/Lの量で存在する請求項10記載の電解質組
    成物。
  12. 【請求項12】 水をさらに含む請求項1記載の電解質
    組成物。
  13. 【請求項13】 添加剤が、還元剤、グレインリファイ
    ナー、光沢剤およびこれらの混合物から選択される請求
    項1記載の電解質組成物。
  14. 【請求項14】 基体を請求項1記載の電解質組成物に
    接触させ、さらにすずまたはすず−合金を該基体上に堆
    積させるのに充分な電流密度を、該電解質組成物に適用
    する工程を含む、すずまたはすず−合金を基体上に堆積
    する方法。
  15. 【請求項15】 基体上に、請求項14記載の方法に従
    って堆積されたすずまたはすず−合金を有する基体。
  16. 【請求項16】 電流密度が1〜2000ASFの範囲
    である請求項14記載の方法。
  17. 【請求項17】 a)電気めっきセル;該セルに隣接す
    るオーバーフローリザーバー;該リザーバーから該電気
    めっきセルに溶液を返送する手段;めっきされるべき基
    体を、該セルの第1の端部にある入口点から、該セルの
    第2の端部にある出口に移送する手段を有する高速電気
    めっき装置を利用し;b)1以上のすず化合物、酸性電
    解質の1以上、アルキレンオキシド化合物の1以上、ポ
    リアルキレングリコールの1以上、および任意に添加剤
    の1以上のベース溶液を含む電解質を導入し;さらに
    c)基体が該セル内の電気めっき溶液を通過する間に、
    該基体を、すずまたはすず−合金で、高速電気めっきを
    するのに充分な電流密度および充分な温度で、連続的に
    電気めっきする工程を含む、すずまたはすず−合金の高
    速電気めっき方法。
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