JP2001323361A - 耐高温酸化性に優れたラジアントチューブおよび製造方法 - Google Patents
耐高温酸化性に優れたラジアントチューブおよび製造方法Info
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Abstract
本体および燃焼用空気ノズル等の付属構成部品)の高温
酸化抵抗性を高め耐用寿命を改善する。 【解決手段】チューブの高温被曝部に、(1)Ni−A
l合金(Al含有量3〜35%)からなる溶射皮膜(膜
厚約50〜800μm)を設ける、または(2)Ni−A
l合金(Al含有量3〜5%)の溶射皮膜(膜厚約30〜2
00μm)をアンダーコートとし、トップコートとしてA
l,Al−Si合金(Si含有量0.5〜15%)または
MCrAlX合金(Cr含有量5〜10%,Al含有量1
〜29%)の溶射皮膜(膜厚約100〜800μm)を積層施
工する。MCrAlX合金のMは、Ni(75%以下),
Co(70%以下)又はFe(30%以下)、XはY,
Ta,Si,B,Mn,Zr,Wその他の元素群から選択さ
れる1種ないし2種以上の元素。元素含有量はmass%。
Description
とする熱処理炉内に配設されるラジアントチューブの改
良に係り、チューブ本体及びその内部構造部材であるバ
ーナー等の高温被曝部表面に、耐熱性,密着性の高い溶
射皮膜を設けて高温燃焼火炎,燃焼ガスによる酸化損耗
や変形等を効果的に抑制防止し得るようにしたものであ
る。
処理炉に配設されるラジアントチューブは、その管路の
端部に装着されたバーナからの燃焼火炎,燃焼ガスによ
り、約900〜1100℃に加熱されて赤熱状態とな
り、輻射熱を放出して炉内の被熱処理鋼材を所定温度に
加熱する。ラジアントチューブおよびバーナーの材種と
して、Cr−Ni系耐熱鋳鋼(JISG5122 SCH 12, SCH 1
5,SCH 22,SCH 24等)からなる鋳鋼品が使用されてい
る。
熱応力による変形を不可避的に生じる。また燃焼ガスに
含まれる高温の水蒸気,二酸化炭素等により、チューブ
内面に酸化スケールを生成し、その剥離と生成が繰り返
されることにより、肉厚は経時的に減少(酸化減肉)す
る。変形・酸化減肉は、燃焼火炎で直接熱せられる領域
に生じ易く、酸化スケールの剥離・堆積が局所的に生じ
ることによりチューブの偏熱・熱応力が増大することに
より、チューブの変形が加速される。バーナーの燃焼用
空気ノズルも、熱影響,酸化消耗による変形を生じ易
く、その変形はチューブの局部加熱と酸化消耗現象を更
に助長する原因となる。
化、特にCo,W,Nb等の多量添加により、耐高温酸
化性,高温強度を高めることが試みられている。合金元
素の多量添加は、高温強度を高め、実作業環境での変形
による操業上の障害を抑制するのに有効ではあるが、材
料費が高価となり、また耐高温酸化性についてはコスト
増加に見合う程の効果は得られない。別法として、チュ
ーブ表面にクロム酸等を含む処理液を塗布・焼き付けす
ることによりCr2O3膜を形成し、またはCo,Ni
主成分とする合金の溶射皮膜を形成することにより、高
温燃焼火炎からチューブを保護することが提案されてい
る(特開平6-280043号公報、特開平6-281119号公報)。
この溶射処理は耐熱性,耐酸化性の改善効果を奏する
が、高温燃焼火炎の被曝部に対する耐高温酸化性につい
ては更に改良すべき余地がある。
11-351518号公報において、Alまたは0.5〜15mas
s%のSiを含むAl−Si合金を高温被曝部に溶射施
工することにより耐高温酸化性を改良したラジアントチ
ューブを提供した。この溶射皮膜は、表面に緻密で熱的
安定性の高いAl2O3膜を生成し、高温燃焼雰囲気か
らチューブ基材への酸素透過を遮断し、基材の酸化消耗
・変形を抑制防止する。本発明は、この溶射皮膜の高温
特性を維持しつつ、溶射皮膜とチューブ基材との界面の
密着性を高めることにより、溶射皮膜の被覆保護機能を
更に安定化することを目的としてなされたものである。
ブは、管端部にバーナーを備えたラジアントチューブの
チューブ本体及び/又はバーナーの高温被曝部表面を、
3〜35mass%のAlを含有するNi−Al合金からな
る溶射皮膜で被覆してなる単層の被覆保護構造を有す
る。
金(Al含有量3〜35mass%)の溶射皮膜をアンダー
コートとし、これに下記(a)(b)(c)から選ばれ
る金属からなる溶射皮膜をトップコートとして形成した
多層の被覆保護構造が与えられる。トップコートは、
(a)〜(c)のいずれか1種の溶射皮膜として、また
は2種以上の各金属からなる複数の溶射皮膜として形成
される。 (a)Al (b)0.5〜15mass%のSiを含有するAl−Si
合金 (c)MCrAlX合金 但し、MCrAlX合金における、Cr含有量は5〜1
0mass%、Al含有量は1〜29mass%であり、Mおよ
びXは次のように規定される。
下のCo,30mass%以下のFe から選ばれる1種もしくは2種以上の元素。
Hf,1〜20mass%のTa,0.1〜14mass%のS
i,0.1mass%以下のB,0.25mass%以下のC,
10mass%以下のMn,3mass%以下のZr,5.5ma
ss%以下のW,5mass%以下のCs,5mass%以下のC
e,5mass%以下のLa,20mass%以下のPt から選ばれる1種もしくは2種以上の元素。
体およびバーナー等の付属部品を含む総称である)の表
面に溶射施工されるNi−Al合金(Al含有量3〜3
5mass%)の皮膜は、加熱環境(実機使用に先立つ加熱
処理又は実機使用環境)において、その合金中のAlが
チューブ基材に拡散し、界面にAl−Fe金属間化合物
層(Al3−Fe,Al5−Fe2,Al6−Fe等)
を生成する。これにより溶射皮膜とチューブ基材との界
面の冶金的結合が形成され、チューブ基材に対する保護
膜としての機能の安定性が与えられる。また、上記Ni
−Al合金の溶射皮膜は、その膜面に緻密かつ熱的安定
性の高いAl2O3膜を生成することにより、チューブ
基材への酸素の侵入を阻止し、酸化消耗,変形を抑制防
止する。
ンダーコートとし、これにトップコート(Al,Al−
Si合金,MCrAlX合金の溶射皮膜)を形成した複
層被覆構造の場合は、トップコートの溶射皮膜表面に、
Al2O3等の緻密かつ熱的安定性の高い酸化皮膜が生
成することにより、チューブ基材に対する酸素侵入の阻
止機能が一そう強化され、チューブ基材の酸化消耗、変
形の抑制防止効果が増強される。
ト(Ni−Al合金溶射皮膜)は、前記のようにチュー
ブ基材との界面に冶金学的結合を形成して溶射皮膜の密
着性を強化する役割を有するのみならず、実機使用にお
けるトップコートの材質劣化(合金組成の変化,緻密性
の低下)を抑制防止し、トップコートの機能を安定に保
持せしめる働きを有する。
Al合金溶射皮膜が存在しない場合は、実機での高温環
境において、トップコートに含有されているAlがチュ
ーブ基材に過度に拡散移行することにより、トップコー
トの組成変化および緻密性の低下(皮膜の空洞化)をき
たし、かつAlの拡散移行に伴ってチューブ基材界面の
Al−Fe金属間化合物層が不必要に増加する。トップ
コートの変質(合金組成の変化,緻密性の低下)は、そ
のチューブ保護機能の劣化となり、Al−Fe金属間化
合物(硬質脆性、かつ金属材に比し熱膨張率が小さい)
の層厚増加は、界面の亀裂・剥離を助長する原因とな
る。アンダーコート(Ni−Al合金溶射皮膜)は、ト
ップコートからのAl拡散を効果的に遅延させ、被覆保
護膜としての溶射皮膜の機能を長期間に亘って安定化す
る。
3〜35mass%の範囲に規定される。3mass%以上とす
るのは、それに満たないとチューブ基材との密着性が不
足するからであり、35mass%を上限とするのは、それ
を越えて増量する利益はなく、むしろ高温環境におい
て、チューブ基材との界面のAl−Fe合金層が過度に
生成する(界面の亀裂・剥離が助長される原因となる)
からである。より好ましくは5〜20mass%である。
において緻密なAl2O3膜を生成し、良好な耐熱性,
耐酸化性を有するので、この合金だけを溶射施工した単
層被覆構造とした場合にも、チューブ基材を高温酸化雰
囲気から遮断し酸化損耗を抑制防止する保護膜として機
能する。単層被覆構造とする場合のNi−Al合金溶射
皮膜の膜厚は、保護機能の安定性、耐久性の点から、5
0μm以上とするのが好ましい。増厚に伴って耐久性が
高められるが、800μmを越える厚さとしても、その
性能の格段の向上はなく、経済的利益はない。
コート(Ni−Al合金溶射皮膜)の膜厚は、30〜2
00μmの範囲とするのが適当である。30μmに満た
ない膜厚でも、チューブ基材との密着力は確保される
が、30μm以上の膜厚を与えることにより、バリアー
層としての機能(トップコート成分の内部拡散阻止)が
確保される。増厚と共にその効果を増すが、200μm
を越える厚さとする利益はなく、コストの無駄である。
l,Al−Si合金,MCrAlX合金のいずれか1種
の金属の溶射皮膜として、または2種以上の複数の溶射
皮膜として形成される。Alからなる溶射皮膜は、緻密
で熱的安定性の高いAl2O3を生成し、チューブ基材
を酸化損耗から保護する。Alは99mass%以上の純度
を有するもの(JISH4040合金番号1070,1050,1100,1200
等に相応)が好ましい。これより低い純度では、混在す
る不純物によりトップコートとしての被覆保護効果が低
下する。
たAl2O3およびSiO2を生成し、チューブ基材を
酸化損耗から保護する。Si含有量は0.5〜15mass
%の範囲が適当である。Si含有量を0.5mass%以上
とするのは、これに満たないと、良質のSiO2の生成
が不十分であり、15mass%を上限とするのは、これを
越えると皮膜が脆弱となり、いずれも場合もトップコー
トとして所期の機能を十分に発現することができなくな
るからである。この合金に付随する不純分は、前記Al
と同じ理由により1mass%以下であることが望ましい。
O3 ,等の緻密かつ耐熱性の高い酸化物を生成し、チュ
ーブ基材を酸化損耗から保護する。この溶射皮膜は、M
元素(Ni,Co,Feの1種又は2種以上)の含有効
果として、Ni−Al系,Co−Al系等の硬い金属間
化合物を生成し、燃焼ガス中に含まれる微細なカーボン
粒子などによるエロージョンに対して良好な抵抗性を示
す。また、X(Y,Hf,Ta,Si,B,C,Mn,
Zr,W,Cs,Ce,La,Ptの1種又は2種以
上)の含有効果として、表面に生成するSiO2の密着
力及び機械的強度の向上等の膜質改善効果が得られる。
ならしめるために100μm以上であるのが好ましい。
増厚に伴って耐久性は向上するが、800μmを越える
厚さとする利益はなく、それ以上の増厚は経済性を損な
う。複数種の溶射皮膜(Al溶射皮膜,Al−Si合金
溶射皮膜,MCrAlX合金溶射皮膜の2種ないし3
種)を重寝て形成する場合のトップコート膜厚は、その
合計層厚が100〜800μmとなるように調整すれば
よい。
バーナー等の付属部品)の材種は、従来より使用されて
いる耐熱合金(JISG5122)、ステンレス鋼(SUS321等)
が適宜使用される。チューブ基材への溶射施工に際して
は、溶射技術の常法に従って、溶射皮膜の密着性を高め
るための粗面化及び表面の付着異物を除去し清浄化する
ための予備処理としてブラスト処理が適宜実施される。
溶射施工は、溶射材料に応じた適宜の溶射法を用いて行
なわれる。例えば、Ni−Al合金の溶射にはアーク溶
射、Al、Al−Si合金の溶射には、アーク溶射,フ
レーム溶射等、またMCrAlX合金の溶射にはプラズ
マ溶射等が好ましく適用される。
的多孔質である。この膜質を緻密化することは、溶射皮
膜の保護機能を高めるのに有効である。緻密化処理は、
Alの融点(660℃)以上の温度域(約700〜85
0℃)に適当時間(約0.5〜10Hr)保持する加熱
処理により達成される。なお、加熱処理は、ラジアント
チューブの実機据付け前に実施する必要は必ずしもな
い。熱処理炉の運転立上げ時の常温から加熱昇温される
過程で、上記と同じ加熱効果を得ることもできるからで
ある。
の表面を耐熱性樹脂塗膜で気密に被覆しておくのが好ま
しい。耐熱性樹脂塗膜により溶射皮膜の気孔内への空気
侵入とそれによる品質劣化を回避しつつ溶射皮膜の緻密
化を達成することができるからである。耐熱性樹脂塗膜
は、加熱処理(溶射皮膜の緻密化処理)における一時的
なバリアー層として機能するものであればよい(熱処理
後の塗膜の残存は不要である)。好ましい塗料として、
珪素系樹脂塗料、瀝青質系樹脂塗料が挙げられる。これ
にAl粉末を適量(約0.5〜10mass%)添加した塗
料を使用する場合は、Alが熱処理過程で溶融して溶射
皮膜と融合し、溶射皮膜の耐高温酸化性を強化する。塗
膜の形成はスプレー塗布,浸漬法等により行なわれる。
膜厚は5〜150μm程度であればよい。
式的に示している。図1は、直管部(11)(12)(13)(14)
と曲管(21)(22)(23) とが溶接により交互に連結された
W字型の管路を有し、図2は直管(11)(12)と曲管(2
1)が連結されたU字型管路を有する例であり、管路の
一端側にバーナー(B)を備えている。図のバーナー
(B)は、外側の管を燃焼用空気ノズルとし、内側の管
から燃料を噴射する二重管構造であるが、燃焼用空気ノ
ズルとして複数本の細管を燃料噴射管と平行に配置され
る場合もある。溶射施工はバーナーの直接的な強熱作用
を受ける領域等の高温被曝部に行なう。例えば、バーナ
ーが設置される管端部の直管(11)等として溶射施工され
た管体、燃焼用空気ノズルとしてその外周面に溶射施工
されたもの等が使用される。溶射施工領域はこれに限定
されず、実機使用条件に応じて適宜選定される。
棒状試験片(直径15mm×長さ50mm)の全面をアルミナ粒
子でブラスト処理し、アーク溶射法でNi−Al合金の
溶射皮膜を形成したのち、皮膜表面に樹脂塗膜を塗布す
る。 熱衝撃試験用供試材:耐熱鋼(0.3C-23.0Cr-13.0Ni-
0.8Nb-Fe,mass%)の板状試験片(幅50mm×長さ50mm×
厚さ5,mm)の片側表面をアルミナ粒子でブラスト処理
し、アーク溶射法でNi−Al合金の溶射皮膜を形成し
たのち、皮膜表面に樹脂塗膜を塗布する。
し、試験後の「酸化増量」および「拡散層深さ」を測定
する。 (3)熱衝撃試験 供試材を電気炉(大気雰囲気)で加熱(950℃×30
min)した後、炉外に取出し水中に投入する加熱/冷
却を1サイクルとし、30サイクル反復実施する。試験
後、溶射皮膜の亀裂・剥離の発生状況、および試験後の
皮膜内部の性状を光学顕微鏡で観察する。
験結果を示す。「高温酸化試験結果」欄の「酸化増量」
は供試材の試験後の重量増加量、「拡散層深さ」は試験
後のAl−Fe合金層の層厚を示している。なお、比較
例No.11はNi−Al合金溶射皮膜のAl含有量が不
足し、No.12は過剰のAlを含有している例、No.13
およびNo.14は従来の代表的な耐熱性溶射材料を使用
した例である。
13,No.14(従来材溶射施工)は、基材への拡散層
深さは小さいものの、酸化増量が多いほか、皮膜が剥離
し、微細な亀裂が多数発生している。また、比較例No.
11(Ni−Al合金溶射)は、Al含有量の不足のた
め、皮膜が剥離すると共に、大きな亀裂が発生し、No.
12(Ni−Al合金溶射)は、皮膜の剥離・亀裂は認
められないが、Al含有量が過剰のため、拡散層の成長
が顕著である。これに対し、発明例では、酸化増量、拡
散層深さともに比較的小さく、皮膜の剥離、亀裂の発生
は全く認められず、健全な皮膜性状を維持している。
さ50mm)の全面をアルミナ粒子でブラスト処理したう
え、アンダーコート(Ni-Al合金)及びトップコート(A
l,Al-Si合金,MCrAlX合金)を溶射施工し、その後トッ
プコート表面に珪素系耐熱樹脂塗料を塗布して供試材を
得る。なお、トップコートは一層施工と複数層施工の2
通りとした。アンダーコートのNi-Al合金はアーク溶
射、トップコートのAlはアーク溶射、Al-Si合金およ
びMCrAlX合金はプラズマ溶射により施工した。比較例と
して、アンダーコートの溶射施工を省略した点を除いて
上記と同一条件による供試材を用意した。
保持し、試験後の「酸化増量」および「拡散層深さ」を
測定する。表2および表3に、各供試材の溶射皮膜構造
および高温酸化性試験結果を示す。 表中の「酸化増
量」は供試材の試験後の重量増加量、「拡散層深さ」は
試験後のAl−Fe合金層の層厚である。
とを対比すると、発明例の酸化増量は比較例のそれに比
し少量であり、特に拡散層の深さの増加は、比較例より
著しく微量である。この相違は、アンダーコート(Ni
−Al合金溶射皮膜)の有無による。発明例の上記物性
の改善効果は、アンダーコート(Ni−Al合金溶射皮
膜)がバリアー層として働き、トップコートから基材へ
のAlの拡散浸透が抑制防止されることにより得られ
る。
溶射皮膜(特にトップコート)の空洞化現象(Alの拡
散消失による)が認められるのに対し、発明例には殆ど
なく健全な緻密性を保持している。この相違もアンダー
コート(Ni−Al合金皮膜)の有無に基づくものであ
り、このことは下記の「熱衝撃試験」に示すように、溶
射皮膜の密着性に顕著な相違をもたらす。
ら切出した板状試験片(幅50mm×長さ50mm×厚さ5,mm)
の片側表面をアルミナ粒子でブラスト処理したうえ、ア
ンダーコート(Ni-Al合金)及びトップコート(Al,Al-
Si合金,MCrAlX合金)を溶射施工し、更にトップコート
の表面に珪素系耐熱樹脂塗料を塗布して供試材を得る。
を省略し、トップコートとして、(イ)発明例のトップ
コートと同一材種の溶射皮膜、(ロ)耐熱性溶射材料で
ある80%Ni−20%Cr合金(mass%)から溶射皮
膜、(ハ)耐熱性溶射材料である9%Ni−18%Cr−
Fe合金(mass%)から溶射皮膜を400μm厚に施工
したものを用意した。
を行なった後、炉外に取出し水中に投入する加熱/冷却
の操作を1サイクルとして、30サイクル反復実施す
る。加熱/冷却の反復過程における溶射皮膜の亀裂・剥
離の発生状況、および試験後の皮膜内部(Al-Fe金属間
化合物層)の性状を光学顕微鏡により観察した。表4お
よび表5に、各供試材の溶射皮膜構造および熱衝撃試験
結果を示す。
(表4)及び比較例No.91〜93(表5)は、溶射皮
膜の剥離はないものの、皮膜の内部(Al-Fe金属間化合
物層)に微細亀裂が多数発生している。この亀裂発生は
アンダーコート(Ni-Al合金皮膜)がないために、トッ
プコートから基材内部に対するAlの選択的な拡散浸透
を生じ、Al−Fe金属間化合物(硬耐熱鋼基材に比し
熱膨張率が小さい)の成長に起因して、基材との間に大
きな熱応力ガ発生したことによると考えられる。これら
の試験片は全て熱変形していたことから、内部亀裂の発
生に熱応力も大きな影響を与えていると考えられる。
4および75(表4)は、加熱/急冷6サイクル目で既
に皮膜の一部に剥離をきたし、試験終了時点では皮膜の
大部分が剥離している。また皮膜内部に多数に微細亀裂
が多数発生している。この皮膜剥離と内部亀裂の多数発
生は、溶射皮膜自体の基材に対する密着性、耐高温酸化
性に欠けることによる。
く、内部亀裂の発生はNo.61(表4)において1個所
認められたのみであり、良好な密着性を有している。こ
れは、トップコートの溶射皮膜が耐高温酸化性に優れて
いると共に、アンダーコートが存在することによるバリ
アー効果(トップコートから基材へのAlの選択的拡散
浸透の抑制効果)に依存するものである。
チューブ本体およびバーナー等の付属部品は、溶射皮膜
による被覆保護効果として、高温酸化雰囲気に対する卓
抜した酸化抵抗性を有する。その溶射皮膜はチューブ基
材に強固に密着結合しており、熱衝撃等を受けても容易
に剥離することがない。本発明のラジアントチューブ
は、長期に亙って安定に使用することができ、そのメン
テナンスの軽減,熱処理炉の操炉効率の改善、被加熱処
理材の加熱品質の向上、生産性向上等に大きな寄与をな
すものである。
Claims (5)
- 【請求項1】 管端部にバーナーを備えたラジアントチ
ューブのチューブ本体及び/又はバーナーの高温被曝部
表面を、3〜35mass%のAlを含有するNi−Al合
金からなる溶射皮膜で被覆してなる耐高温酸化性に優れ
たラジアントチューブ。 - 【請求項2】 溶射皮膜厚さは50〜800μmである
請求項1に記載のラジアントチューブ。 - 【請求項3】 管端部にバーナーを備えたラジアント
チューブのチューブ本体及び/又はバーナーの高温被曝
部表面に、 アンダーコートとして3〜35mass%のAlを含有する
Ni−Al合金からなる溶射皮膜を形成し、 これにトップコートとして、下記(a)(b)(c)の
いずれか1種の金属からなる溶射皮膜または2種以上の
金属からなる複数の溶射皮膜を形成してなる耐高温酸化
性に優れたラジアントチューブ。 (a)Al (b)0.5〜15mass%のSiを含有するAl−Si
合金 (c)MCrAlX合金 但し、MCrAlX合金における、Cr含有量は5〜1
0mass%、Al含有量は1〜29mass%であり、Mおよ
びXは下記の元素を表している。 M:75mass%以下のNi,70mass%以下のCo,3
0mass%以下のFeから選ばれる1種もしくは2種以上
の元素、 X:5mass%以下のY,10mass%以下のHf,1〜2
0mass%のTa,0.1〜14mass%のSi,0.1ma
ss%以下のB,0.25mass%以下のC,10mass%以
下のMn,3mass%以下のZr,5.5mass%以下の
W,5mass%以下のCs,5mass%以下のCe,5mass
%以下のLa,20mass%以下のPtから選ばれる1種
もしくは2種以上の元素。 - 【請求項4】 アンダーコートの溶射皮膜厚さは30〜
200μm、トップコートの溶射皮膜厚さ(複数種の溶
射皮膜からなる場合は合計膜厚)は100〜800μm
である請求項3に記載の耐高温酸化性に優れたラジアン
トチューブ。 - 【請求項5】 溶射施工後、溶射皮膜の表面を、珪素系
または瀝青質系樹脂塗膜で気密に被覆したうえ、300
〜800℃の温度域で加熱処理することにより溶射皮膜
を緻密化する請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐高
温酸化性に優れたラジアントチューブの製造方法。
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JP2000143317A JP4554762B2 (ja) | 2000-05-16 | 2000-05-16 | 耐高温酸化性に優れたラジアントチューブおよび製造方法 |
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