JP2000043057A - 合成樹脂用成形型およびその製造方法 - Google Patents
合成樹脂用成形型およびその製造方法Info
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Abstract
く冷却性能が良好であると共に軽量化を図ることが可能
で比較的安価な合成樹脂用成形型を提供する。 【解決手段】 成形型1は、鋳物である型本体1aと、
その型本体1aに溶射処理を施して形成され、且つ合成
樹脂材料に形を付与する成形面構成体20とを有する。
成形面構成体20は、Ni−Al系合金およびNi−C
r系合金の一方よりなる下地層と、その下地層上に在
り、且つCu系合金および純鉄の一方よりなる表面層2
2とより構成される。
Description
よびその製造方法に関する。
および可動型は、例えばJIS S45C等の機械構造
用炭素鋼より構成されている。また固定型および可動型
の製造に当っては前記炭素鋼よりなる素材に総削り出し
加工を施す、といった手段が採用されている。
よび可動型を前記炭素鋼より構成すると、それらの熱伝
導率が比較的低く冷却性能が悪いため、成形作業のサイ
クルタイムが長くなり、また両型の重量が大きいため、
それらの装置本体に対する組付けおよび取外し作業性が
悪い、という問題があった。
総削り出し加工を採用すると、多くの工数を必要とする
ためリードタイムが長くなり、両型の生産コストが高騰
する、という問題があった。
イクルタイムを短縮して成形品の生産能率を向上させる
ことができ、また軽量化の達成が容易で、比較的安価な
前記合成樹脂用成形型を提供することを目的とする。
鋳物である型本体と、その型本体に溶射処理を施して形
成され、且つ合成樹脂材料に形を付与する成形面構成体
とを有し、その成形面構成体は、Ni−Al系合金およ
びNi−Cr系合金の一方よりなる下地層と、その下地
層上に在り、且つCu系合金および純鉄の一方よりなる
表面層とより構成されている合成樹脂用成形型が提供さ
れる。
および純鉄の一方と、Ni−Al系合金およびNi−C
r系合金の一方とより構成すると、成形面およびその近
傍の熱伝導率が比較的高く冷却性能が良好となるので、
成形作業のサイクルタイムを短縮して成形品の生産能率
を向上させることが可能である。
ンホールが現出することがあるが、そのピンホールは成
形面構成体により被覆され、しかも成形面構成体の表面
を平滑化することは容易であるから、成形品の表面状態
も優れたものとなる。特に、表面層を純鉄より構成する
と、その補修の際の肉盛溶接性を向上させることができ
る、といった利点がある。
性は良好であって、高温下においても、その成形面構成
体が型本体から剥離することはない。このような良好な
付着性が得られるのは、下地層を構成するNi−Al系
合金等の一部が型本体に拡散している、下地層および表
面層間の界面に新たな合金層が形成されている、下地層
が、表面層の加熱および冷却時の応力緩和層として機能
している、等の理由に基づくものと考えられる。
わないように複数の肉抜き部を設けて、成形型の軽量化
を容易に達成することができ、その上、成形型のコスト
も比較的安価となる。
形型の生産コストを低減することが可能な前記製造方法
を提供することを目的とする。
型本体と、その型本体に付着して合成樹脂材料に形を付
与する成形面構成体とを備えた成形型を製造するに当
り、前記型本体を鋳造する工程と、前記型本体の成形面
構成体形成領域に溶射前加工を施す工程と、前記成形面
構成体形成領域にNi−Al系合金およびNi−Cr系
合金の一方を用いた溶射処理を施して下地層を形成し、
次いで、前記下地層表面にCu系合金および純鉄の一方
を用いた溶射処理を施して表面層を形成することによ
り、前記成形面構成体を前記下地層と表面層とより構成
する工程と、前記成形面構成体に仕上げ加工を施す工程
と、を用いる合成樹脂用成形型の製造方法が提供され
る。
って完成品に近い形状の型本体を得ることができるの
で、総削り出し加工を行う場合に比べ加工工数を激減
し、また鋳物に対する機械加工および手仕上げの容易性
もあって、リードタイムを大幅に短縮して成形型の生産
コストを低減することができる。
用成形型としての、固定型1およびその固定型1に対し
て進退自在の可動型2は自動車用合成樹脂製バンパの射
出成形に用いられる。
せ面3は、相対向する位置に在って、可動型2の進退方
向aと交差関係にある一対の平坦面4と、両平坦面4に
両端をそれぞれ連結した帯状をなす凹形面5とよりな
る。合せ面3に、一方の平坦面4から凹形面5を経て他
方の平坦面4に至るチャンネル6がU字形に折曲げ形成
され、そのチャンネル6の横断面凹形をなす内面は、合
成樹脂材料に形を付与する凹形成形面7として機能す
る。固定型1に、成形面7の底部に開口するようにゲー
ト8が形成される。各平坦面4の外側に位置決め凸条9
が形成され、また各位置決め凸条9外側の平坦面10
に、位置決めピン孔11が開口する。
合せ面12は、固定型1における両位置決め凸条9内側
の両平坦面4に合致する一対の平坦面131 と、両平坦
面131 に両端をそれぞれ連結され、且つ固定型1の凹
形面5に合致する帯状をなす凸形面14とよりなる。凸
形面14に、一方の平坦面131 側から他方の平坦面1
31 側に至る凸条15がU字形に折曲げ形成され、その
凸条15の両端面15aと両平坦面131 との間には所
定の間隔が設けられている。その凸条15の表面および
凸形面14における凸条15のふもと部分は、固定型1
の凹形成形面7に対応する凸形成形面16を形成する。
各平坦面131 の外側に、固定型1の位置決め凸条9に
合致する位置決め凹条17が形成され、また各位置決め
凹条17の外側の平坦面132 からは、固定型1の各位
置決めピン孔9に合致する位置決めピン18が突出して
いる。両位置決め凹条17内側の両平坦面131 は、型
本体2aに設けられたスライドコアsによりそれぞれ形
成される。
と、可動型2の凸形成形面16と、固定型1の凹形成形
面7との協働でバンパ成形用キャビティCが形成され
る。
aに溶射処理を施して形成され、且つ凹形成形面7を持
つ成形面構成体20とを有する。その成形面構成体20
は、図4,6に明示するように、下地層21と、その下
地層21上に在る表面層22とより構成されている。
成材料としては、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄等の鋳鉄、
各種鋳造用Al合金、ZAS等の鋳造用Zn合金等が用
いられる。下地層21はNi−Al系合金およびNi−
Cr系合金の一方よりなり、Ni−Al系合金として
は、Ni−5wt%Al合金、Ni−7wt%Al−8
wt%Cr−5wt%Fe−5wt%Mo合金等が用い
られ、またNi−Cr系合金としてはNi−20wt%
Cr合金等が用いられる。表面層22はCu系合金およ
び純鉄の一方よりなり、Cu系合金としては、Cu−1
5.5wt%Ni−0.71wt%B−2.63wt%
Si合金、Cu−38wt%Ni合金、Cu−10wt
%Al−5wt%Ni合金、Cu−10wt%Al−1
wt%Fe合金、Cu−9.1wt%Al−3.8wt
%Fe−2.1wt%Ni−1wt%Mn合金等が用い
られる。
成体20は、凹形成形面7を持つ凹形主体としてのチャ
ンネル形主体23を有する。その主体23における開口
側、したがって両平坦面4に存するコ字形端面24の外
縁bおよび凹形面5に在って互に平行な両端面25の外
縁bには、外方へ折曲がるように、略フランジ状をなす
アンカ部26が無端状に形成される。そのアンカ部26
は、各平坦面4および凹形面5よりも凹んだ無端状凹部
27に付着する。このアンカ部27は、主体23を型本
体1aに留める効果を有する。
合金および純鉄の一方と、Ni−Al系合金およびNi
−Cr系合金の一方とより構成すると、凹形成形面7お
よびその近傍の熱伝導率が比較的高く冷却性能が良好と
なるので、成形作業のサイクルタイムを短縮してバンパ
の生産能率を向上させることが可能である。
にピンホールが現出することがあるが、そのピンホール
は成形面構成体20により被覆され、しかも成形面構成
体20の表面を平滑化することは容易であるから、バン
パの表面状態も優れたものとなる。
0の付着性は良好であって、高温下においても、その成
形面構成体20が型本体1aから剥離することはない。
度を損わないように複数の肉抜き部28を設けて、その
軽量化を容易に達成することができ、また固定型1のコ
ストも比較的安価となる。
が採用される。
1aを、例えば鋳鉄を用いて鋳造する。
1aの成形面構成体形成領域29に溶射前加工を施す。
この加工は、皮むき、成形面構成体20の厚さを考慮し
た研削、無端状凹部27の形成等を行う機械加工および
粗面化を行うサンドブラスト処理またはショットブラス
ト処理を含む。
構成体形成領域29に、例えばNi−Al系合金を用い
た溶射処理を施して厚さ50〜300μmの下地層21
を形成し、次いで、図6に示すように、下地層21表面
に、例えばCu系合金を用いた溶射処理を施すことによ
り、厚さ1〜2.5mmの表面層22を形成して、それら
下地層21と表面層22とより成形面構成体20を構成
する。
施す。この加工には、成形面構成体20の厚さ調整のた
めの機械加工、研磨加工等が含まれる。
な機械加工等は、例えば前記(2)または(4)工程で
行われ、最終的には各種部品の組付けが行われる。
り完成品に近い形状の型本体1aを得ることができるの
で、従来の総削り出し加工を行う場合に比べ加工工数を
激減し、リードタイムを大幅に短縮して固定型1の生産
コストを低減することができる。
も、前記同様に例えば鋳鉄を用いて鋳造される。その型
本体2aは、機械加工および研磨加工を施された後、各
種部品を組付けられて使用に供される。このように可動
型2には成形面構成体20は用いられない。これは、可
動型20の凸形成形面16がバンパの、人目に付かない
内面側を成形するものであるからである。
明する。
S FCD600)を用いて鋳造し、次いで型本体1a
の成形面構成体形成領域29に前記溶射前加工を施し
た。このような型本体1aを複数用意した。
領域29に、粒径45〜106μmのNi−5wt%A
l合金粉末を用いた溶射処理を施して、厚さ約100μ
mの下地層21を形成した。
(ミラーサーマル社製、SG−100)が用いられた。
これは、後述の各種表面層22の形成にも同様に用いら
れた。溶射条件は、電流:800A;作動ガス:Ar圧
0.35MPa、He圧0.7MPa;キャリヤガス:
Ar圧0.28MPaに設定された。
u系合金粉末を用いた溶射処理を施して、厚さ約1.5
mmの表面層22を形成した。
u系合金粉末の組成および粒径を示し、また表2は溶射
条件を示す。
加工を施した。
て射出成形を行ったところ、各例1〜5について平滑な
外面を有するバンパを得ることができた。射出成形条件
は、成形材料:ポリプロピレン(出光石油化学社製、商
品名SP850)、型締め圧:45MPa;射出圧:1
00MPa;型温:40℃;成形材料温度:200℃に
設定された。
の付着性を調べるため、各型本体1aを成形材料温度で
ある200℃を超えるように加熱したが、各型本体1a
からの成形面構成体20の剥離は生じなかった。比較の
ため、型本体1aにサンドブラスト処理を施した後、表
1の例1と同様のCu系合金を溶射したところ、型本体
1aの温度が200℃に達したときCu系合金層は剥離
した。このことから下地層21の効果が明らかである。
μm以下の純鉄粉末を用いた溶射処理を施して、厚さ約
1.5mmの表面層22を形成した。この場合にも、Cu
系合金よりなる表面層22と同様の効果が得られた。
るしぼ付加工は次のような方法で行われる。
層22上に、未硬化のアクリル系光硬化性樹脂よりなる
樹脂層32を塗布形成する。
層32上に多数の微小円形部dをマスキングしたスクリ
ーン33を載せる。
リーン33を介して樹脂層32に光Lを照射する。これ
により、樹脂層32において、光照射を受けた部分eは
硬化すると共に表面層22に付着し、一方、光照射を受
けなかった部分fは未硬化のままに保たれる。
層32に洗浄処理を施して未硬化の光硬化性樹脂を洗い
流す。これにより、表面層22上には、多数の微小円形
部dに対応する多数の微小孔部gを備えた樹脂層32が
残置される。
層22および樹脂層32を塩化第2鉄を含むエッチング
液34中に浸漬する。
層22における各微小孔部gに対応する部分に凹部35
を形成する。
に、図10(a)〜(e)工程を1サイクルとして、こ
れを、さらに3サイクル行うと共に各サイクル毎に各微
小孔部gの内径を縮小し、これによりエッチングによる
凹部35の深さを漸次増加させて、図11(e)に示す
ような円錐形凹部35を得る。
可動型2にも設けられる。また成形型は射出成形法以外
の成形法にも当然に適用される。
とによって、成形作業のサイクルタイムを短縮して成形
品の生産能率を向上させることができ、また軽量化の達
成が容易で、比較的安価な合成樹脂用成形型を提供する
ことができる。
採用することによって、リードタイムを短縮して成形型
の生産コストを低減することが可能な製造方法を提供す
ることができる。
を示す斜視図である。
る。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 鋳物である型本体(1a)と、その型本
体(1a)に溶射処理を施して形成され、且つ合成樹脂
材料に形を付与する成形面構成体(20)とを有し、そ
の成形面構成体(20)は、Ni−Al系合金およびN
i−Cr系合金の一方よりなる下地層(21)と、その
下地層(21)上に在り、且つCu系合金および純鉄の
一方よりなる表面層(22)とより構成されていること
を特徴とする合成樹脂用成形型。 - 【請求項2】 前記成形面構成体(20)は、成形面
(7)を備えた凹形主体(23)と、前記凹形主体(2
3)の開口側に、外方へ折曲がるように形成されて、そ
の凹形主体(23)の剥離を防止するアンカ部(26)
とを有する、請求項1記載の合成樹脂用成形型。 - 【請求項3】 型本体(1a)と、その型本体(1a)
に付着して合成樹脂材料に形を付与する成形面構成体
(20)とを備えた成形型を製造するに当り、前記型本
体(1a)を鋳造する工程と、前記型本体(1a)の成
形面構成体形成領域(29)に溶射前加工を施す工程
と、前記成形面構成体形成領域(29)にNi−Al系
合金およびNi−Cr系合金の一方を用いた溶射処理を
施して下地層(21)を形成し、次いで、前記下地層
(21)表面にCu系合金および純鉄の一方を用いた溶
射処理を施して表面層(22)を形成することにより、
前記成形面構成体(20)を前記下地層(21)と表面
層(22)とより構成する工程と、前記成形面構成体
(20)に仕上げ加工を施す工程と、を用いることを特
徴とする合成樹脂用成形型の製造方法。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2001323361A (ja) * | 2000-05-16 | 2001-11-22 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐高温酸化性に優れたラジアントチューブおよび製造方法 |
JP2002225036A (ja) * | 2001-01-30 | 2002-08-14 | Honda Motor Co Ltd | 樹脂製品成形用金型およびその製造方法 |
JP2002307449A (ja) * | 2001-04-17 | 2002-10-23 | Honda Motor Co Ltd | 樹脂製品成形用金型の製造方法 |
US7601389B2 (en) | 2002-08-01 | 2009-10-13 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Metal material and method for production thereof |
JP2010201846A (ja) * | 2009-03-05 | 2010-09-16 | Kanto Auto Works Ltd | 射出成形用金型の温度調節構造 |
-
1999
- 1999-04-09 JP JP10315399A patent/JP4030223B2/ja not_active Expired - Fee Related
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