JPH11348083A - 合成樹脂射出成形用金型およびその製造方法 - Google Patents

合成樹脂射出成形用金型およびその製造方法

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JPH11348083A
JPH11348083A JP15767298A JP15767298A JPH11348083A JP H11348083 A JPH11348083 A JP H11348083A JP 15767298 A JP15767298 A JP 15767298A JP 15767298 A JP15767298 A JP 15767298A JP H11348083 A JPH11348083 A JP H11348083A
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JP
Japan
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mold
molding
synthetic resin
forming
surface structure
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Application number
JP15767298A
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English (en)
Inventor
Yoshiji Nishi
好次 西
Keiichi Kikawa
圭一 木川
Yuji Furuyama
雄治 古山
Takayuki Shimamura
隆之 島村
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形面およびその近傍の熱伝導率が比較的高
く冷却性能が良好であると共に平滑な表面を有する成形
品を得ることが可能な合成樹脂射出成形用金型を提供す
る。 【解決手段】 成形型1は、鋳鉄鋳物である型本体1a
と、その型本体1aに溶射処理を施して形成され、且つ
合成樹脂材料に形を付与する積層構造の成形面構成体2
0とを有する。成形面構成体20の表面層22はCu系
合金よりなり、またその成形面7に開口する複数のピン
ホールの開口部の内径d1 はd1 ≦20μmに設定され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂の射出成形
に用いられる金型およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、射出成形機における固定金型およ
び可動金型は、例えばJIS S45C等の機械構造用
炭素鋼より構成されている。また固定金型および可動金
型の製造に当っては前記炭素鋼よりなる素材に総削り出
し加工を施す、といった手段が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら固定金型
および可動金型を前記炭素鋼より構成すると、それらの
熱伝導率が比較的低く冷却性能が悪いため、成形作業の
サイクルタイムが長くなり、また両型の重量が大きいた
め、それらの装置本体に対する組付けおよび取外し作業
性が悪い、という問題があった。
【0004】一方、固定金型および可動金型の製造にお
いて総削り出し加工を採用すると、多くの工数を必要と
するためリードタイムが長くなり、両金型の生産コスト
が高騰する、という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、成形作業のサ
イクルタイムを短縮して成形品の生産能率を向上させる
と共に平滑な表面を有する成形品を得ることができ、ま
た軽量化の達成が容易で、比較的安価な前記合成樹脂射
出成形用金型を提供することを目的とする。
【0006】前記目的を達成するため本発明によれば、
鋳鉄鋳物である型本体と、その型本体に溶射処理を施し
て形成され、且つ合成樹脂材料に形を付与する積層構造
の成形面構成体とを有し、その成形面構成体の表面層は
Cu系合金よりなり、またその成形面に開口する複数の
ピンホールの開口部の内径d1 がd1 ≦20μmである
合成樹脂射出成形用金型が提供される。
【0007】前記のように成形面構成体の表面層をCu
系合金より構成すると、成形面およびその近傍の熱伝導
率が比較的高く冷却性能が良好となるので、成形作業の
サイクルタイムを短縮して成形品の生産能率を向上させ
ることが可能であり、また表面層に所定の硬さを持たせ
てその耐久性を向上させ、さらに表面層に対する機械加
工およびエッチング処理によるしぼ付加工も容易であ
る。
【0008】その上、型本体は鋳鉄鋳物であって、その
表面にピンホールが現出することがあるが、そのピンホ
ールは成形面構成体により被覆される。また成形面構成
体は溶射処理により形成されたものであるから、その表
面層は多孔質となって、その成形面には複数のピンホー
ルが開口するが、各ピンホールの開口部の内径d1 をd
1 ≦20μmに設定したので、射出成形過程において合
成樹脂材料が各ピンホールに進入することがなく、これ
により平滑な表面を有する成形品を得ることができる。
【0009】さらに鋳鉄鋳物である型本体に、その強度
を損わないように複数の肉抜き部を設けて、金型の軽量
化を容易に達成することができ、その上、金型のコスト
も比較的安価となる。
【0010】また本発明は、リードタイムを短縮して合
成樹脂射出成形用金型の生産コストを低減することが可
能な前記製造方法を提供することを目的とする。
【0011】前記目的を達成するため本発明によれば、
型本体と、その型本体に付着して合成樹脂材料に形を付
与する積層構造の成形面構成体とを備えた合成樹脂射出
成形用金型を製造するに当り、前記型本体を鋳鉄を用い
て鋳造する工程と、前記型本体の成形面構成体形成領域
に溶射前加工を施す工程と、前記成形面構成体形成領域
に溶射処理を施して前記成形面構成体を形成し、その成
形面構成体の表面層の形成に際し、溶射用Cu系合金粉
末として、その粒径d2 が10μm≦d2 ≦90μmで
あるものを用いる工程と、前記成形面構成体に仕上げ加
工を施す工程とを用いる合成樹脂射出成形用金型の製造
方法が提供される。
【0012】前記のような手段を採用すると、鋳造によ
って完成品に近い形状の型本体を得ることができるの
で、総削り出し加工を行う場合に比べ加工工数を激減
し、また鋳鉄鋳物に対する機械加工および手仕上げの容
易性もあって、リードタイムを大幅に短縮して金型の生
産コストを低減することができる。
【0013】また表面層は、溶射処理により形成された
ものであるから多孔質となるが、溶射用Cu系合金粉末
の粒径d2 を前記のように設定すると、その成形面に開
口する各ピンホールの開口部の内径d1 を、前記のよう
に射出成形において必要なd 1 ≦20μmにすることが
できる。ただし、Cu系合金粉末の粒径d2 がd2 <1
0μmでは、そのCu系合金粉末が溶射ガンの噴射口周
りに堆積し易く、それが塊となって落下するため成形面
の表面性状が悪化し、一方、d2 >90μmでは各ピン
ホールの開口部の内径d1 がd1 >20μmとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1,2,7において、合成樹脂
射出成形用金型としての固定金型1と、その固定金型1
に対して進退自在の可動金型2とは自動車用合成樹脂製
バンパの成形に用いられる。
【0015】図1〜6に明示するように、固定金型1の
合せ面3は、相対向する位置に在って、可動金型2の進
退方向aと交差関係にある一対の平坦面4と、両平坦面
4に両端をそれぞれ連結した帯状をなす凹形面5とより
なる。合せ面3に、一方の平坦面4から凹形面5を経て
他方の平坦面4に至るチャンネル6がU字形に折曲げ形
成され、そのチャンネル6の横断面凹形をなす内面は、
合成樹脂材料に形を付与する凹形成形面7として機能す
る。固定金型1に、成形面7の底部に開口するようにゲ
ート8が形成される。各平坦面4の外側に位置決め凸条
9が形成され、また各位置決め凸条9外側の平坦面10
に、位置決めピン孔11が開口する。
【0016】図1,2,7に明示するように可動金型2
の合せ面12は、固定金型1における両位置決め凸条9
内側の両平坦面4に合致する一対の平坦面131 と、両
平坦面131 に両端をそれぞれ連結され、且つ固定金型
1の凹形面5に合致する帯状をなす凸形面14とよりな
る。凸形面14に、一方の平坦面131 側から他方の平
坦面131 側に至る凸条15がU字形に折曲げ形成さ
れ、その凸状15の両端面15aと両平坦面131 との
間には所定の間隔が設けられている。その凸条15の表
面および凸形面14における凸条15のふもと部分は、
固定金型1の凹形成形面7に対応する凸形成形面16を
形成する。各平坦面131 の外側に、固定金型1の位置
決め凸条9に合致する位置決め凹条17が形成され、ま
た各位置決め凹条17の外側の平坦面132 からは、固
定金型1の各位置決めピン孔9に合致する位置決めピン
18が突出している。両位置決め凹条17内側の両平坦
面131 は、型本体2aに設けられたスライドコアsに
よりそれぞれ形成される。
【0017】図2〜4に明示するように、型締めを行う
と、可動金型2の凸形成形面16と固定金型1の凹形成
形面7との協働でバンパ成形用キャビティCが形成され
る。
【0018】固定金型1は、鋳鉄鋳物である型本体1a
と、その型本体1aに溶射処理を施して形成され、且つ
凹形成形面7を持つ積層構造の成形面構成体20とを有
する。その成形面構成体20は、図4,6に明示するよ
うに、Ni−Al系合金よりなる下地層21と、その下
地層21上に在り、且つCu系合金よりなる表面層22
とより構成されている。成形面構成体20、したがって
表面層22は溶射処理により形成されたものであるから
多孔質であり、その成形面7には複数のピンホールが開
口する。この場合、各ピンホールの開口部の内径d1
1 ≦20μmに設定される。
【0019】図1,5,6に明示するように、成形面構
成体20は、凹形成形面7を持つ凹形主体としてのチャ
ンネル形主体23を有する。その主体23における開口
側、したがって両平坦面4に存するコ字形端面24の外
縁bおよび凹形面5に在って互に平行な両端面25の外
縁bには、外方へ折曲がるように、略フランジ状をなす
アンカ部26が無端状に形成される。そのアンカ部26
は、各平坦面4および凹形面5よりも凹んだ無端状凹部
27に付着して主体23を型本体1aに留める効果を有
する。
【0020】前記のように成形面構成体20の表面層2
2をCu系合金より構成し、また下地層21をNi−A
l系合金より構成すると、凹形成形面7およびその近傍
の熱伝導率が比較的高く冷却性能が良好となるので、成
形作業のサイクルタイムを短縮してバンパの生産能率を
向上させることが可能であり、また表面層22に所定の
硬さを持たせてその耐久性を向上させ、さらに表面層2
2に対する機械加工およびエッチング処理によるしぼ付
加工も容易である。
【0021】その上、型本体1aは鋳鉄鋳物であって、
その表面にピンホールが現出することがあるが、そのピ
ンホールは成形面構成体20により被覆され、しかも成
形面構成体20の表面層22における各ピンホールの開
口部の内径d1 をd1 ≦20μmに設定したので、射出
成形過程において合成樹脂材料が各ピンホールに進入す
ることがなく、これにより人目に付く外面を平滑にした
バンパを得ることができる。この場合、射出成形条件
は、例えば、成形材料であるポリプロピレンの温度20
0〜220℃、型締め圧43〜50MPa、射出圧40
〜50MPa、型温20〜40℃、射出時間3〜4sec
に設定される。
【0022】さらに型本体1aに対する成形面構成体2
0の付着性は良好であって、型本体1aの温度が200
℃を超えても、その型本体1aから成形面構成体20が
剥離することはない。このような良好な付着性が得られ
るのは、下地層21を構成するNi−Al系合金の一部
が型本体1aに拡散している、下地層21および表面層
22間の界面に新たな合金層が形成されている、下地層
21が、表面層22の加熱および冷却時の応力緩和層と
して機能している、等の理由に基づくものと考えられ
る。
【0023】なお、型本体1aにサンドブラスト処理を
施した後Cu系合金を溶射したところ、型本体1aの温
度が200℃に達したときCu系合金層は剥離した。
【0024】さらに型本体1aは鋳鉄鋳物であるからそ
の強度を損わないように複数の肉抜き部28を設けて、
固定金型1の軽量化を容易に達成することができ、また
固定金型1のコストも比較的安価となる。
【0025】固定金型1の製造に当っては次のような方
法が採用される。
【0026】(1) 図8(a)に示すように、型本体
1aを鋳鉄を用いて鋳造する。鋳鉄としては、ねずみ鋳
鉄、球状黒鉛鋳鉄等が用いられる。
【0027】(2) 図8(b)に示すように、型本体
1aの成形面構成体形成領域29に溶射前加工を施す。
この加工は、皮むき、成形面構成体20の厚さを考慮し
た研削、無端状凹部27の形成等を行う機械加工および
粗面化を行うサンドブラスト処理を含む。
【0028】(3) 図8(c)に示すように、成形面
構成体形成領域29にNi−Al系合金粉末を用いた溶
射処理を施して厚さ約100μmの下地層21を形成
し、次いで、図6に示すように、下地層21表面にCu
系合金粉末を用いた溶射処理を施すことにより、厚さ約
1.5mmの表面層22を形成して、成形面構成体20を
下地層21と表面層22とより構成する。
【0029】Ni−Al系合金としては、Ni−5wt
%Al合金、Ni−20wt%Cr合金、Ni−7wt
%Al−8wt%Cr−5wt%Fe−5wt%Mo合
金等が用いられ、Cu系合金としては、Cu−15.5
wt%Ni−0.71wt%B−2.63wt%Si合
金、Cu−38wt%Ni合金、Cu−10wt%Al
−5wt%Ni合金、Cu−10wt%Al−1wt%
Fe合金、Cu−9.1wt%Al−3.8wt%Fe
−2.1wt%Ni−1wt%Mn合金等が用いられ
る。またCu系合金粉末の粒径d2 は、表面層22にお
ける各ピンホールの開口部の内径d1 をd1 ≦20μm
にすべく、10μm≦d2 ≦90μmに設定される。
【0030】(4) 成形面構成体20に仕上げ加工を
施す。この加工には、成形面構成体20の厚さ調整のた
めの機械加工、研磨加工等が含まれる。
【0031】なお、位置決めピン孔11の形成等の必要
な機械加工等は、例えば前記(2)または(4)工程で
行われ、最終的には各種部品の組付けが行われる。
【0032】前記のような手段を採用すると、鋳造によ
り完成品に近い形状の型本体1aを得ることができるの
で、従来の総削り出し加工を行う場合に比べ加工工数を
激減し、リードタイムを大幅に短縮して固定金型1の生
産コストを低減することができる。
【0033】図9に示すように、可動金型2の型本体2
aも、前記同様の鋳鉄を用いて鋳造される。その型本体
2aは、機械加工および研磨加工を施された後、各種部
品を組付けられて使用に供される。このように可動金型
2には成形面構成体20は用いられない。これは、可動
金型20の凸形成形面16がバンパの、人目に付かない
内面側を成形するものであるからである。
【0034】次に、固定金型1の具体的製造例について
説明する。
【0035】(a) 型本体1aを球状黒鉛鋳鉄(JI
S FCD600)を用いて鋳造し、次いで型本体1a
の成形面構成体形成領域29に前記溶射前加工を施し
た。このような型本体1aを複数用意した。
【0036】(b) 各型本体1aの成形面構成体形成
領域29に、粒径45〜106μmのNi−5wt%A
l合金粉末を用いた溶射処理を施して、厚さ約100μ
mの下地層21を形成した。
【0037】溶射機としては、ガン型プラズマ溶射機
(ミラーサーマル社製、SG−100)が用いられた。
これは、後述の各種表面層22の形成にも同様に用いら
れた。溶射条件は、電流:800A;作動ガス:Ar圧
0.35MPa、He圧0.7MPa;キャリヤガス:
Ar圧0.28MPaに設定された。
【0038】(c) 各下地層21上に、各種組成のC
u系合金粉末を用いた溶射処理を施して、厚さ約1.5
mmの表面層22を形成した。
【0039】表面層22の例1〜3において、表1はC
u系合金粉末の組成および粒径を示し、また表2は溶射
条件を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】(d) 各表面層22の例1〜3に仕上げ
加工を施した。
【0043】表面層22の例1〜3について、その成形
面7に開口するピンホールの開口部の内径d1 を測定し
たところ、それらの内径d1 はd1 ≦20μmであるこ
とが判明した。内径d1 の測定は、テストピースについ
て顕微鏡を用いて行ったが、実体顕微鏡、走査型電子顕
微鏡等も用いられる。
【0044】比較例として、表1の例1と同一組成であ
るが、粒径d2 が46μm≦d2 ≦107μmであるC
u系合金粉末を用いて形成された表面層22を持つ固定
金型1を前記と同様の方法で製造し、その成形面7の状
態を調べたところ、開口部の内径d1 がd1 >20μ
m、例えば230μm,270μmといったように大き
なピンホールが成形面7全体に亘って分布していること
が判明した。
【0045】その後、各固定金型1と前記可動金型2を
用いて射出成形を行ったところ、表面層22の各例1〜
3に対応するバンパ外面は平滑であったが、比較例に対
応するバンパ外面は荒れていることが判明した。射出成
形条件は、成形材料:ポリプロピレン(出光石油化学社
製、商品名SP850)、型締め圧:45MPa;射出
圧:45MPa;型温:40℃;成形材料温度:200
℃に設定された。
【0046】固定金型1のCu系合金製表面層22に対
するしぼ付加工は次のような方法で行われる。
【0047】(1) 図10(a)に示すように、表面
層22上に、未硬化のアクリル系光硬化性樹脂よりなる
樹脂層32を塗布形成する。
【0048】(2) 図10(b)に示すように、樹脂
層32上に多数の微小円形部dをマスキングしたスクリ
ーン33を載せる。
【0049】(3) 図10(c)に示すように、スク
リーン33を介して樹脂層32に光Lを照射する。これ
により、樹脂層32において、光照射を受けた部分eは
硬化すると共に表面層22に付着し、一方、光照射を受
けなかった部分fは未硬化のままに保たれる。
【0050】(4) 図10(d)に示すように、樹脂
層32に洗浄処理を施して未硬化の光硬化性樹脂を洗い
流す。これにより、表面層22上には、多数の微小円形
部dに対応する多数の微小孔部gを備えた樹脂層32が
残置される。
【0051】(5) 図10(e)に示すように、表面
層22および樹脂層32を塩化第2鉄を含むエッチング
液34中に浸漬する。
【0052】(6) 図11(a)に示すように、表面
層22における各微小孔部gに対応する部分に凹部35
を形成する。
【0053】(7) 図11(b)〜(d)に示すよう
に、図10(a)〜(e)工程を1サイクルとして、こ
れを、さらに3サイクル行うと共に各サイクル毎に各微
小孔部gの内径を縮小し、これによりエッチングによる
凹部35の深さを漸次増加させて、図11(e)に示す
ような円錐形凹部35を得る。
【0054】なお、必要に応じて、成形面構成体20は
可動金型2にも設けられる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば前記のように構成するこ
とによって、成形作業のサイクルタイムを短縮して成形
品の生産能率を向上させると共に平滑な表面を有する成
形品を得ることができ、また軽量化の達成が容易で、比
較的安価な合成樹脂射出成形用金型を提供することがで
きる。
【0056】また本発明によれば、前記構成の合成樹脂
射出成形用金型を製造するに当り、前記のような手段を
採用することによって、リードタイムを短縮して生産コ
ストを低減することが可能な製造方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固定金型の斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】型締め時の要部拡大断面図である。
【図5】固定金型における型本体と成形面構成体との関
係を示す斜視図である。
【図6】図2の要部拡大図である。
【図7】可動金型の断面図である。
【図8】固定金型の製造方法説明図である。
【図9】可動金型用型本体の断面図である。
【図10】表面層に対するしぼ付加工法の説明図であ
る。
【図11】しぼ付加工による凹部形成過程の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 固定金型(合成樹脂射出成形用金型) 1a 型本体 7 凹形成形面(成形面) 20 成形面構成体 21 下地層 22 表面層 23 チャンネル形主体(凹形主体) 26 アンカ部 29 成形面構成体形成領域
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】Ni−Al系合金としては、Ni−5wt
%Al合金、Ni−7wt%Al−8wt%Cr−5w
t%Fe−5wt%Mo合金等が用いられ、Cu系合金
としては、Cu−15.5wt%Ni−0.71wt%
B−2.63wt%Si合金、Cu−38wt%Ni合
金、Cu−10wt%Al−5wt%Ni合金、Cu−
10wt%Al−1wt%Fe合金、Cu−9.1wt
%Al−3.8wt%Fe−2.1wt%Ni−1wt
%Mn合金等が用いられる。またCu系合金粉末の粒径
2 は、表面層22における各ピンホールの開口部の内
径d1 をd1 ≦20μmにすべく、10μm≦d2 ≦9
0μmに設定される。なお、下地層21をNi−20w
t%Cr合金粉末を用いて形成することも可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島村 隆之 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鉄鋳物である型本体(1a)と、その
    型本体(1a)に溶射処理を施して形成され、且つ合成
    樹脂材料に形を付与する積層構造の成形面構成体(2
    0)とを有し、その成形面構成体(20)の表面層(2
    2)はCu系合金よりなり、またその成形面(7)に開
    口する複数のピンホールの開口部の内径d1 がd1 ≦2
    0μmであることを特徴とする合成樹脂射出成形用金
    型。
  2. 【請求項2】 前記成形面構成体(20)は、成形面
    (7)を備えた凹形主体(23)と、前記凹形主体(2
    3)の開口側に、外方へ折曲がるように形成されて、そ
    の凹形主体(23)の剥離を防止するアンカ部(26)
    とを有する、請求項1記載の合成樹脂射出成形用金型。
  3. 【請求項3】 型本体(1a)と、その型本体(1a)
    に付着して合成樹脂材料に形を付与する積層構造の成形
    面構成体(20)とを備えた合成樹脂射出成形用金型を
    製造するに当り、前記型本体(1a)を鋳鉄を用いて鋳
    造する工程と、前記型本体(1a)の成形面構成体形成
    領域(29)に溶射前加工を施す工程と、前記成形面構
    成体形成領域(29)に溶射処理を施して前記成形面構
    成体(20)を形成し、その成形面構成体(20)の表
    面層(22)の形成に際し、溶射用Cu系合金粉末とし
    て、その粒径d2 が10μm≦d2 ≦90μmであるも
    のを用いる工程と、前記成形面構成体(20)に仕上げ
    加工を施す工程と、を用いることを特徴とする合成樹脂
    射出成形用金型の製造方法。
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