JPH0978220A - 耐食性溶射皮膜 - Google Patents
耐食性溶射皮膜Info
- Publication number
- JPH0978220A JPH0978220A JP7230836A JP23083695A JPH0978220A JP H0978220 A JPH0978220 A JP H0978220A JP 7230836 A JP7230836 A JP 7230836A JP 23083695 A JP23083695 A JP 23083695A JP H0978220 A JPH0978220 A JP H0978220A
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- JP
- Japan
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- layer
- thermal spray
- thermal
- corrosion resistance
- corrosion
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- Pending
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 封孔処理を施さず、耐食性の良好な溶射皮膜
を提供する。 【解決手段】 基材３の表面に、下地層１として、Ａｌ
が５〜２０重量％と残部Ｎｉとからなる溶射層を、この
下地層１の上層２にセラミックスの溶射層を形成してな
る耐食性溶射皮膜。
を提供する。 【解決手段】 基材３の表面に、下地層１として、Ａｌ
が５〜２０重量％と残部Ｎｉとからなる溶射層を、この
下地層１の上層２にセラミックスの溶射層を形成してな
る耐食性溶射皮膜。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、腐食環境下、たと
えばエンジン内の冷却水に接している部分や船外機など
で使用される摺動部材の耐食性溶射皮膜に関する。
えばエンジン内の冷却水に接している部分や船外機など
で使用される摺動部材の耐食性溶射皮膜に関する。
【０００２】
【従来の技術】表面処理方法の一種として、溶融状態に
した微粉末などの溶射材料を素材に吹き付けて、皮膜を
形成する溶射法が利用されている。この方法は装置の取
り扱いが簡便で、短時間で皮膜形成ができるなど、他の
方法にない特徴をもっている。しかし、この方法によっ
て形成された溶射皮膜は、微粒子（数μｍ〜数１０μ
ｍ）の積層構造であるため、皮膜内に多くの気孔が存在
し、なかにはそれらの気孔が連続した状態で皮膜の表面
まで達している場合もあり、そのため耐食性を著しく低
下させている。図２はその状態を示し、ａは母材（基
材）、ｂは溶射されて積層した微粒子、ｃは気孔を示
す。よって、それらの気孔ｃを塞ぐため、溶射後に、封
孔処理、すなわち水ガラスなどの封孔剤を表面から滲み
込ませて、耐食性を確保する方法がとられている。
した微粉末などの溶射材料を素材に吹き付けて、皮膜を
形成する溶射法が利用されている。この方法は装置の取
り扱いが簡便で、短時間で皮膜形成ができるなど、他の
方法にない特徴をもっている。しかし、この方法によっ
て形成された溶射皮膜は、微粒子（数μｍ〜数１０μ
ｍ）の積層構造であるため、皮膜内に多くの気孔が存在
し、なかにはそれらの気孔が連続した状態で皮膜の表面
まで達している場合もあり、そのため耐食性を著しく低
下させている。図２はその状態を示し、ａは母材（基
材）、ｂは溶射されて積層した微粒子、ｃは気孔を示
す。よって、それらの気孔ｃを塞ぐため、溶射後に、封
孔処理、すなわち水ガラスなどの封孔剤を表面から滲み
込ませて、耐食性を確保する方法がとられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の溶
射方法では、溶射後に封孔処理の工程が必要となり、そ
れだけコストがかかる。また、このように処理した摺動
部材であっても摩耗によって皮膜の膜厚が減少してくる
と、隠れていた新たな気孔が現れ、そのため耐食性が低
下することがあるため、長時間の使用には不適当であ
る。即ち、すべての気孔が溶射皮膜の表面まで達してい
ることはありえないので、表面からおこなう封孔処理で
は、耐食性の低下を完全に防止することはできない。本
発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、前記問題点
を解消した耐食性溶射皮膜を提供することを目的とす
る。
射方法では、溶射後に封孔処理の工程が必要となり、そ
れだけコストがかかる。また、このように処理した摺動
部材であっても摩耗によって皮膜の膜厚が減少してくる
と、隠れていた新たな気孔が現れ、そのため耐食性が低
下することがあるため、長時間の使用には不適当であ
る。即ち、すべての気孔が溶射皮膜の表面まで達してい
ることはありえないので、表面からおこなう封孔処理で
は、耐食性の低下を完全に防止することはできない。本
発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、前記問題点
を解消した耐食性溶射皮膜を提供することを目的とす
る。
【０００４】
【課題を解決するための手段】前記目的の添い、本発明
は基材の表面に、下地層として、Ａｌが５〜２０重量％
と残部Ｎｉとからなる溶射層を、この下地層の上層にセ
ラミックスの溶射層を形成することによって前記課題を
解消した。
は基材の表面に、下地層として、Ａｌが５〜２０重量％
と残部Ｎｉとからなる溶射層を、この下地層の上層にセ
ラミックスの溶射層を形成することによって前記課題を
解消した。
【０００５】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照
しながら詳細に説明する。本発明の耐食性溶射皮膜は図
１に示すように、溶射処理を施す基材３に対し、下地層
１と上層２とを溶射形成してなるものである。基材３は
アルミニウム合金、鉄合金及び其他慣用されている材料
であって、特に摺動面を有する摺動部材が適している。
下地層１の組成は、Ａｌが５〜２０重量％、残部Ｎｉと
からなる溶射層とする。溶射時に用いる溶射粉末はＡｌ
とＮｉの混合粉を用いるが、ＡｌとＮｉを一体に複合化
した粉末がより好ましい。この複合化した粉末とはＮｉ
粒子のまわりにＡｌをコーティングしたものなどをい
う。溶射粉末中のＡｌは低融金属であるため、皮膜形成
時（溶射時）には充分な溶融状態となって基材３の溶射
面に衝突するため、下地層１内の気孔の発生が抑制さ
れ、層内の気孔率が減少する。そしてこれを腐食環境下
で使用すると、Ａｌの酸化物をつくって若干の体積膨張
があり、そのため気孔を塞ぎ、基材３の腐食を防止する
作用がある。しかしＡｌが５重量％未満では、前記効果
が充分得られず、２０重量％を越えると基材３に対する
密着強さが低下する。従ってＡｌは５〜２０重量％の範
囲が最も好ましい。
しながら詳細に説明する。本発明の耐食性溶射皮膜は図
１に示すように、溶射処理を施す基材３に対し、下地層
１と上層２とを溶射形成してなるものである。基材３は
アルミニウム合金、鉄合金及び其他慣用されている材料
であって、特に摺動面を有する摺動部材が適している。
下地層１の組成は、Ａｌが５〜２０重量％、残部Ｎｉと
からなる溶射層とする。溶射時に用いる溶射粉末はＡｌ
とＮｉの混合粉を用いるが、ＡｌとＮｉを一体に複合化
した粉末がより好ましい。この複合化した粉末とはＮｉ
粒子のまわりにＡｌをコーティングしたものなどをい
う。溶射粉末中のＡｌは低融金属であるため、皮膜形成
時（溶射時）には充分な溶融状態となって基材３の溶射
面に衝突するため、下地層１内の気孔の発生が抑制さ
れ、層内の気孔率が減少する。そしてこれを腐食環境下
で使用すると、Ａｌの酸化物をつくって若干の体積膨張
があり、そのため気孔を塞ぎ、基材３の腐食を防止する
作用がある。しかしＡｌが５重量％未満では、前記効果
が充分得られず、２０重量％を越えると基材３に対する
密着強さが低下する。従ってＡｌは５〜２０重量％の範
囲が最も好ましい。
【０００６】残部にＮｉを用いたのは、Ｎｉを主成分と
する溶射被膜の密着性が優れていること、上層２（セラ
ミックス）と基材３との中間程度の熱膨張係数を有する
ために、上層２の残留応力による剥離を防止できるこ
と、基材３の鉄などより耐食性に優れていることなどに
よるものである。なお、前記組成の粉末に他の成分を加
えた場合には、前記効果は得られず、期待する耐食性は
得られない。また、この下地層１の膜厚は、１００μｍ
以下では、前記のような耐食性の確保が難しく、２００
μｍ以上では、皮膜の密着強さを減少させるため膜厚は
１００〜２００μｍの範囲とすることが好ましい。上層
２は耐摩耗性に優れたセラミックスで、たとえばホワイ
トアルミナ、などからなる溶射層であり、基材３上に下
地層１を溶射形成したあとに溶融したセラミックスを溶
射して形成する。なお、下地層１と上層２の二層の厚さ
は、合計で少なくとも１５０μｍ以上であることが望ま
しい。これ以下の膜厚では充分な耐食性を確保すること
は困難である。
する溶射被膜の密着性が優れていること、上層２（セラ
ミックス）と基材３との中間程度の熱膨張係数を有する
ために、上層２の残留応力による剥離を防止できるこ
と、基材３の鉄などより耐食性に優れていることなどに
よるものである。なお、前記組成の粉末に他の成分を加
えた場合には、前記効果は得られず、期待する耐食性は
得られない。また、この下地層１の膜厚は、１００μｍ
以下では、前記のような耐食性の確保が難しく、２００
μｍ以上では、皮膜の密着強さを減少させるため膜厚は
１００〜２００μｍの範囲とすることが好ましい。上層
２は耐摩耗性に優れたセラミックスで、たとえばホワイ
トアルミナ、などからなる溶射層であり、基材３上に下
地層１を溶射形成したあとに溶融したセラミックスを溶
射して形成する。なお、下地層１と上層２の二層の厚さ
は、合計で少なくとも１５０μｍ以上であることが望ま
しい。これ以下の膜厚では充分な耐食性を確保すること
は困難である。
【０００７】
【実施例】１００×５０×５ｍｍのＳＰＣＣ板の基材
に、プラズマ溶射装置を用い、次の仕様と条件によって
溶射層を形成した。 供給電流 ８００Ａ アークガス圧（Ａｒ） ５０ｐｓｉｇ 補助ガス圧（Ｈｅ） ５０ｐｓｉｇ パウダーガス圧（Ａｒ） ４０ｐｓｉｇ 溶射距離 １３０ｍｍ 使用した溶射粉 ＮｉにＡｌをコーティング
（Ｎｉ８０重量％、Ａｌ２０重量％）した、粒径１０〜
５３μｍのもの。 前記基材に対し約１５０μｍの厚さでＮｉ−２０％Ａｌ
の組成からなる下地層を溶射形成し、これにホワイトア
ルミナを約５０μｍの厚さに溶射した。なお、効果を確
認するため、本発明の実施例以外に表１に示す組成Ａ〜
Ｆ（実施例はＤ）の下地層を同じ要領で形成し、比較試
験を実施した。
に、プラズマ溶射装置を用い、次の仕様と条件によって
溶射層を形成した。 供給電流 ８００Ａ アークガス圧（Ａｒ） ５０ｐｓｉｇ 補助ガス圧（Ｈｅ） ５０ｐｓｉｇ パウダーガス圧（Ａｒ） ４０ｐｓｉｇ 溶射距離 １３０ｍｍ 使用した溶射粉 ＮｉにＡｌをコーティング
（Ｎｉ８０重量％、Ａｌ２０重量％）した、粒径１０〜
５３μｍのもの。 前記基材に対し約１５０μｍの厚さでＮｉ−２０％Ａｌ
の組成からなる下地層を溶射形成し、これにホワイトア
ルミナを約５０μｍの厚さに溶射した。なお、効果を確
認するため、本発明の実施例以外に表１に示す組成Ａ〜
Ｆ（実施例はＤ）の下地層を同じ要領で形成し、比較試
験を実施した。
【０００８】
【表１】 上記試料の溶射面以外を樹脂によりマスキングし、５％
塩水による塩水噴霧試験を行い、赤錆の発生状態を調査
した。結果を表２に示す。
塩水による塩水噴霧試験を行い、赤錆の発生状態を調査
した。結果を表２に示す。
【０００９】
【表２】 以上から、赤錆の発生時間とそれが全面に生ずる時間に
おいて、Ｄ（実施例）が格段に長く、著しく耐食性に優
れていることがわかる。
おいて、Ｄ（実施例）が格段に長く、著しく耐食性に優
れていることがわかる。
【００１０】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、下地層に
低融合金のＡｌを使用するため、溶射皮膜形成時には溶
射粉は充分な溶融状態となって基材に衝突して気孔の発
生を抑制し、また腐食環境下では酸化物をつくって若干
の体積膨張によって気孔を塞ぐため、基材の腐食が防止
できる。したがって、従来のように溶射皮膜の摺動面が
使用中の摩耗によって耐食性が低下するということはな
い。また、封孔処理をおこなわないので、従来の封孔処
理の作業と設備が不要となり製造コストを下げることが
できる。
低融合金のＡｌを使用するため、溶射皮膜形成時には溶
射粉は充分な溶融状態となって基材に衝突して気孔の発
生を抑制し、また腐食環境下では酸化物をつくって若干
の体積膨張によって気孔を塞ぐため、基材の腐食が防止
できる。したがって、従来のように溶射皮膜の摺動面が
使用中の摩耗によって耐食性が低下するということはな
い。また、封孔処理をおこなわないので、従来の封孔処
理の作業と設備が不要となり製造コストを下げることが
できる。
【図１】本発明に係る耐食性溶射皮膜の概略説明図であ
る。
る。
【図２】従来の溶射皮膜の断面説明図である。 １ 下地層 ２ 上層 ３ 基材
Claims (3)
- 【請求項１】 基材の表面に、下地層として、Ａｌが５
〜２０重量％と残部Ｎｉとからなる溶射層を、この下地
層の上層にセラミックスの溶射層を形成してなる耐食性
溶射皮膜。 - 【請求項２】 前記下地層となる溶射層の膜厚が１００
〜２００μｍであることを特徴とする請求項１に記載の
耐食性溶射皮膜。 - 【請求項３】 前記下地層と上層の膜厚が１５０μｍ以
上であることを特徴とする請求項１に記載の耐食性溶射
皮膜。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7230836A JPH0978220A (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 耐食性溶射皮膜 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7230836A JPH0978220A (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 耐食性溶射皮膜 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0978220A true JPH0978220A (ja) | 1997-03-25 |
Family
ID=16914048
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7230836A Pending JPH0978220A (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 耐食性溶射皮膜 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0978220A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001323361A (ja) * | 2000-05-16 | 2001-11-22 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐高温酸化性に優れたラジアントチューブおよび製造方法 |
| JP2005350730A (ja) * | 2004-06-10 | 2005-12-22 | Kitakyushu Foundation For The Advancement Of Industry Science & Technology | 耐食性に優れたマグネシウム材 |
| JP2007119924A (ja) * | 2006-11-30 | 2007-05-17 | Tocalo Co Ltd | プラズマ処理容器内用高純度溶射皮膜被覆部材およびその製造方法 |
| JP2007126752A (ja) * | 2006-12-08 | 2007-05-24 | Tocalo Co Ltd | プラズマ処理容器内部材およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-09-08 JP JP7230836A patent/JPH0978220A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001323361A (ja) * | 2000-05-16 | 2001-11-22 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐高温酸化性に優れたラジアントチューブおよび製造方法 |
| JP2005350730A (ja) * | 2004-06-10 | 2005-12-22 | Kitakyushu Foundation For The Advancement Of Industry Science & Technology | 耐食性に優れたマグネシウム材 |
| JP2007119924A (ja) * | 2006-11-30 | 2007-05-17 | Tocalo Co Ltd | プラズマ処理容器内用高純度溶射皮膜被覆部材およびその製造方法 |
| JP2007126752A (ja) * | 2006-12-08 | 2007-05-24 | Tocalo Co Ltd | プラズマ処理容器内部材およびその製造方法 |
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