JP2001316312A - 高純度1,6−ヘキサンジオール - Google Patents

高純度1,6−ヘキサンジオール

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JP2001316312A JP2000069625A JP2000069625A JP2001316312A JP 2001316312 A JP2001316312 A JP 2001316312A JP 2000069625 A JP2000069625 A JP 2000069625A JP 2000069625 A JP2000069625 A JP 2000069625A JP 2001316312 A JP2001316312 A JP 2001316312A
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Mitsuo Konishi
満月男 小西
Koushirou Yokota
耕史郎 横田
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  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリカーボネートジオールやポリエステルポ
リオールなどのソフトセグメントとして、あるいはその
まま鎖延長剤として、ポリウレタンやポリエステル樹脂
等の原料に用いる際に重合反応速度を低下させる不純物
を含有しない1,6−ヘキサンジオールを提供する。 【解決手段】 1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンの
含有量が0.1重量%以下である1,6−ヘキサンジオ
ールであり、この1,6−ヘキサンジオールは、アジピ
ン酸を晶析分離したろ液に含まれるジカルボン酸混合物
を直接水素還元することにより得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度1,6−ヘ
キサンジオールに関するものであり、さらに詳しくはポ
リウレタンやポリエステル等の製造時の重合性を阻害す
る物質を含有しない1,6−ヘキサンジオールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】1,6−ヘキサンジオールは、ポリエス
テル樹脂や、ウレタンフォームやウレタン塗料、接着剤
の原料として有用な物質である。例えばポリウレタンの
原料としては、鎖延長剤としてそのまま用いることがで
き、またポリカーボネートジオールやポリエステルポリ
オール等の製造に用いソフトセグメントとして用いるこ
とができる。特に1,6−ヘキサンジオールから得られ
るポリカーボネートジオールから製造した熱可塑性ポリ
ウレタンは、耐加水分解性、耐熱性に優れるという特性
を持つことが知られている。さらに1,6−ヘキサンジ
オールと1,5−ペンタンジオールから得られる共重合
ポリカーボネートジオール(特公平5−029648号
公報参照)は、それを原料とする熱可塑性ポリウレタン
(特公平7−684号公報参照)が、1,6−ヘキサン
ジオールのみから得られるポリカーボネートジオールか
ら製造した熱可塑性ポリウレタンの欠点である柔軟性、
弾性回復性という点にも著しく優れており、更にポリウ
レタン繊維の製造に際しても容易に紡糸できるという点
で近年注目されている。
【0003】かかる1,6−ヘキサンジオールは、従
来、シクロヘキサンを空気酸化してシクロヘキサノン及
び/又はシクロヘキサノールを製造する際に副生するグ
ルタル酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸を含
むカルボン酸混合物を原料としてエステル化した後に銅
系の触媒を用いて水素化し、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオールとし、これを蒸留分離し
て製造されている(米国特許第3,268,588号明
細書)。しかしながら、本発明者らが検討した結果、上
記の方法で得られた1,6−ヘキサンジオールを原料と
してポリカーボネートジオールを製造し、これを原料と
してウレタン化反応を行うと重合速度が遅く、十分な分
子量が得られないこと、また鎖延長剤としてウレタン化
反応にそのまま用いた場合にも同様な問題があることが
わかった。また、ポリエステル製造時にも重合速度に同
様な影響が出てくるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリウレタ
ン製造時やポリエステル製造時等の重合速度を低下させ
る不純物を実質的に含有しない、高純度の1,6−ヘキ
サンジオールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らがウレタン化
反応において十分な重合速度が得られない原因について
種々検討したところ上記の従来法で得られた1,6−ヘ
キサンジオールには1,4−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンが0.5〜2重量%含まれていること、さらに1,4
−ジヒドロキシシクロヘキサンの含有量が少ない1,6
−ヘキサンジオールをウレタン化反応に用いると高い重
合速度が得られることを見出し、本発明を完成したもの
である。すなわち、本発明は、(1)1,4−ジヒドロ
キシシクロヘキサンの含有量が0.1重量%以下である
ことを特徴とする1,6−ヘキサンジオール、(2)ポ
リウレタン製造の原料に用いることを特徴とする(1)
記載の1,6−ヘキサンジオール、である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。従来法に
より得られた1,6−ヘキサンジオール中に含まれる
1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンは、2個の2級O
H基を持つジオールであり、これを含む1,6−ヘキサ
ンジオールを原料としてポリカーボネートジオールを製
造すると2級OH基は反応性が低いためポリカーボネー
トジオールの末端基となり、このようなポリカーボネー
トジオールを用いてウレタン化反応を行った場合、重合
速度が遅く十分な分子量のポリウレタンを得ることがで
きないことがわかった。また、鎖延長剤としてそのまま
ウレタン化反応に用いた場合にも同じ理由により十分な
分子量のポリウレタンを得ることができないことがわか
った。更には、ポリエステルへの重合時にも重合速度に
影響が出てくることもわかった。
【0007】そこで本発明者らが鋭意検討した結果、
1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンの含有量が0.1
重量%以下である1,6−ヘキサンジオールがウレタン
化反応において高い重合反応性を示し、ポリウレタンの
原料として好適であることを見出したものである。ま
た、ポリエステルへの重合時にも重合速度に好ましい影
響が出てくることが判った。好ましくは、1,4−ジヒ
ドロキシシクロヘキサンの含有量は0.05重量%以下
である。医農薬原料等のファインケミカル原料として用
いる場合も、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン等の
不純物を実質的に含有しない1,6−ヘキサンジオール
が有用であることは言うまでもない。また、本発明の
1,6−ヘキサンジオール中の水分量は0.3重量%以
下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2重量
%以下である。水分が0.3重量%より多いと例えばポ
リカーボネートジオール製造時に触媒が失活したり、そ
のまま鎖延長剤として用いた場合に有機イソシアネート
と水分が反応し、分子量が上昇しないことなどが発生し
好ましくない。
【0008】また、δ−バレロラクトン、ε−カプロラ
クトン等のラクトン類、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒ
ドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸類、ペン
タノール、ヘキサノール等のモノアルコール類は、1,
6−ヘキサンジオール製造時に副生し、混入することが
考えられる化合物であるが、これらの化合物の含有量は
合わせて0.5重量%以下が好ましく、さらに好ましく
は0.3重量%以下である。なお、本発明の1,6−ヘ
キサンジオールは所望に応じて1,4−ブタンジオール
及び/又は1,5−ペンタンジオールが含まれていても
よい。例えば前記した共重合ポリカーボネートジオール
の原料としては、1,5−ペンタンジオールと1,6−
ヘキサンジオールの混合物を好ましく用いることができ
る。
【0009】従来法で製造した1,6−ヘキサンジオー
ル中に上記の不純物が含まれる理由は、その原料である
シクロヘキサンを空気酸化してシクロヘキサノン及び/
又はシクロヘキサノールを製造する際に副生するグルタ
ル酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸を含むカ
ルボン酸混合物の中に水素還元を受けて1,4−ジヒド
ロキシシクロヘキサンとなる不純物が含まれているため
と推定される。本発明の1,6−ヘキサンジオールを得
る方法としては、上記のシクロヘキサノン及び/又はシ
クロヘキサノールを製造する際に副生するアジピン酸を
低級アルコールを用いてエステル化した後に蒸留などの
方法により精製し、アジピン酸ジエステルの純度を9
9.9重量%以上とし、これを銅系の触媒を用いて水素
還元して1,6−ヘキサンジオールとしても良い。しか
しこの方法は、アジピン酸ジエステルの精製に多大の労
力を必要とすることとなる。
【0010】また、従来法により得られた1,6−ヘキ
サンジオールを蒸留等の方法によりさらに精製すること
は、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンの沸点が1,
6−ヘキサンジオールの沸点に近く難しい。1,6−ヘ
キサンジオールの原料となるアジピン酸としては、上記
シクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールを製造
する際の副生物の他に、シクロヘキサノン及び/又はシ
クロヘキサノールを硝酸酸化して得られるアジピン酸が
純度が高く、また工業的に生産されており入手が容易で
あり好ましく用いることができる。
【0011】アジピン酸を水素還元して1,6−ヘキサ
ンジオールを得る方法としては、低級アルコールを用い
てジエステルとした後に銅系の触媒を用いて水素還元す
る公知の方法を用いることができる。しかしルテニウム
−スズ系の触媒を用いてアジピン酸を直接水素還元する
方法がエステル化工程なしで1,6−ヘキサンジオール
を得ることができ好ましい。ルテニウム−スズ系の触媒
としては、公知のルテニウム−スズ系の触媒を用いるこ
とができる。例えば、Ru−Sn−Ptを活性炭に担持
した触媒(特開平11−60523号公報参照)等を用
いることができる。
【0012】さらに本発明者らが、鋭意検討した結果、
アジピン酸製造時に副生するジカルボン酸混合物を原料
として水素還元することによっても本発明の1,6−ヘ
キサンジオールが得られることを見出した。即ち、シク
ロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールを硝酸酸化
してアジピン酸を製造する際に副生するコハク酸、グル
タル酸、アジピン酸を直接又はエステルにした後に水素
還元してジオールとし、必要に応じて得られた1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオールを蒸留により分離し、本発明の1,6
−ヘキサンジオールを得ることができる。
【0013】上記のジカルボン酸混合物は水素還元に供
する前に含有する硝酸及び硝酸酸化の触媒として使用す
る銅及びバナジウムの除去処理を行うことが好ましい。
硝酸が存在すると水素還元で用いる触媒金属が溶液中に
溶解し、触媒の活性が経時的に低下する。硝酸の除去方
法としては、ジカルボン酸混合物の水溶液を常圧又は減
圧下で加熱し、水および大部分の硝酸を除去し、さらに
130℃〜180℃の温度で1分〜1時間加熱する方法
が簡便であり好ましい。ジカルボン酸混合物をさらに活
性炭、陰イオン交換樹脂などを用いて精製すると水素還
元における触媒活性が高くなり、また長期間安定にジオ
ールを得ることができ好ましい。
【0014】上記のジカルボン酸混合物を原料として水
素還元を行うことにより本発明の1,6−ヘキサンジオ
ールを得ることができる。水素還元の方法としては、ジ
カルボン酸混合物をメタノール、エタノールなどのアル
コール類でエステル化した後に銅系の触媒を用いて水素
と反応させても良いが、水存在下でルテニウム及びスズ
を含む触媒を用いてジカルボン酸混合物を水素により直
接水素還元する方法が工程数が短く好ましい。
【0015】ジカルボン酸混合物の直接水素還元に用い
るルテニウム及びスズを含む触媒としては、さらにレニ
ウム及び/又は白金を含む触媒が活性が高く好ましい。
また担体としては、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、ジルコニアなどの多孔性物質を用いることできる
が、この中でも特に活性炭が好ましい。水素還元におけ
る水の量としては、水素還元温度においてジカルボン酸
混合物が溶解していることが好ましく、さらに詳しくは
ジカルボン酸溶液の濃度が1重量%〜50重量%であ
る。温度は100℃〜300℃が好ましく、さらに好ま
しくは140℃〜250℃である。圧力は1MPa〜2
5MPaが好ましく、さらに好ましくは5MPa〜20
MPaである。反応時間は温度及び圧力条件により任意
に選択することができるが、水添反応の中間体であるラ
クトン類が0.5重量%以下であるような水素還元条件
を選択することが1,6−ヘキサンジオール精製系への
負荷を低減することができ好ましい。水素還元反応は回
分式でも連続式でも行うことができる。得られた1,6
−ヘキサンジオールは、所望に応じて例えば蒸留により
脱水及び精製することができる。
【0016】本発明の1,6−ヘキサンジオールを用い
てポリカーボネートジオールやポリエステルポリオー
ル、ポリエステル樹脂、さらにポリウレタンを製造する
方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
例えばポリカーボネートジオールの合成は、Polym
er Reviews 第9巻、第9〜20頁に記載さ
れている方法に従って、ジアルキルカーボネートと1,
6−ヘキサンジオールを一般的なエステル交換触媒を用
いて行うことができる。又無触媒で合成する方法として
はエチレンカーボネートまたはジフェニルカーボネート
を使用する方法が従来から知られており、これらの方法
も用いることができる。またポリエステルポリオール
は、ジカルボン酸例えばアジピン酸と1,6−ヘキサン
ジオールから無触媒または触媒存在下の脱水反応により
合成することができる。また、ジカルボン酸ジエステル
と1,6−ヘキサンジオールからエステル交換反応によ
っても合成することができる。
【0017】これらのポリカーボネートジオールあるい
はポリエステルポリオール等のポリオールからポリウレ
タンを製造する方法としては、ポリウレタン業界で公知
のウレタン化反応の技術が用いられる。例えば、該ポリ
オールと有機イソシアネートを常温〜200℃で反応さ
せることによりNCO末端のポリウレタンプレポリマー
が生成する。これは、所望に応じて空気中の水分と反応
して硬化する一液型の無溶剤接着剤、シーラントとして
使用できる。またこのプレポリマーと別のポリオール、
公知の架橋剤と組み合わせて二液型の注型材等に用いる
ことができる。
【0018】有機イソシアネートとしては、2,4−ト
リレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシア
ネート、及びその混合物(TDI)、ジフェニルメタン
−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフタレン
−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジ
メチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(T
ODI)、粗製TDI、ポリメチレンポリフェニルイソ
シアネート、フェニレンジイソシアネート、粗製MDI
等の公知の芳香族ジイソシアネートや、キシリレンジイ
ソシアネート(XDI)等の公知の芳香脂肪族ジイソシ
アネートや4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイ
ソシアネート(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(I
PDI)、シクロヘキサンジイソシアネート等の公知の
脂肪族ジイソシアネート及びこれらのイソシアネート類
のイソシアヌレート化変成品、カルボジイミド化変成
品、ビュレット化変成品等を用いることができる。ま
た、ポリエステルポリオール、ポリエステル樹脂は可塑
剤、接着剤等にも用いられる。
【0019】又、上記ポリオールとポリイソシアネート
及び必要に応じて鎖延長剤を使用して、ワンショット
法、プレポリマー法、RIM法等の方法を用いて架橋型
もしくは熱可塑性のポリウレタンを製造することができ
る。これらの製造法においては、三級アミンやスズ、チ
タン、鉛等の有機金属塩に代表される公知の重合触媒
(例えば、岩田敬治著「ポリウレタン樹脂」日刊工業新
聞社刊 第23〜32頁(1969)参照)を用いるこ
とも可能である。又、これらの反応を溶媒を用いて行っ
てもよく、好ましい溶媒としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソ
ブチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、ベンゼ
ン、トルエン、エチルセルソルブ等が挙げられる。ま
た、本発明の1,6−ヘキサンジオールはそのままの形
でポリウレタン製造時の鎖延長剤としても用いることが
できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例などを用い
てさらに詳細に説明する。なお、1,6−ヘキサンジオ
ールの分析は、ガスクロマトグラフィーによって行っ
た。分析方法は以下のとおりである。 ガスクロマトグラフィーの分析条件:カラム;DB−W
AX(J&W社製)、30m、膜厚0.25μm、昇温
条件:60℃〜250℃、検出器:FID。これに1,
6−ヘキサンジオール濃度が数重量%に調整した溶液を
用いて分析した。また、ポリカーボネートジオール及び
ポリウレタンの分子量分析はGPCを用いて分析した。
【0021】
【実施例1】<1,6−ヘキサンジオールの製造>アジ
ピン酸製造設備から得られた副生ジカルボン酸混合物の
水溶液を約120℃の温度に1時間加熱した後、さらに
170℃〜175℃に30分間攪拌保持した。残った固
体をイオン交換水で38重量%水溶液とした。この水溶
液1000gとスチレン系陽イオン交換樹脂(オルガノ
(株)製、商品名:アンバーライトIR120B)30
0gを室温で2時間接触させた後濾過し、ろ液を水素還
元の原料とした。ジカルボン酸の濃度は38重量%であ
り、ジカルボン酸の組成は、コハク酸20重量%、グル
タル酸50重量%、アジピン酸30重量%であった。上
記のジカルボン酸混合物を塩化白金酸・6水和物と塩化
錫(II価)と3塩化ルテニウム・3水和物及び担体と
しての活性炭から含浸、乾燥、水素による還元処理を経
て調整した6.0重量%ルテニウム−5.0重量%錫−
3.5重量%白金を活性炭に担持した触媒を用いて直接
水素還元した。
【0022】SUS316(ステンレス鋼)製1000
mlオートクレーブに上記ジカルボン酸水溶液600g
と上記触媒10gを仕込み、室温下でオートクレーブ内
の雰囲気を窒素置換した後、水素を2MPa圧入し、1
80℃まで昇温した。180℃に達した時点で水素をさ
らに圧入し15MPaとした。この圧力で30時間水素
還元反応を行った。水素還元反応後、反応液と触媒を濾
過により分離し、分離した触媒と上記のジカルボン酸混
合物600gを再度オートクレーブに仕込み、同条件に
て水素還元反応を行った。この水素還元反応を合計10
回繰り返して、水添反応液約6kgを得た。
【0023】上記水添反応液を常圧下で109℃に加熱
し、水の大部分を留去した。次に残った液を12段の蒸
留塔を用いて蒸留し、水及びペンタノール等の低沸化合
物をを留去した。塔底の液は、次に35段の蒸留塔を用
いて減圧下に蒸留し、第一流分として1,4−ブタンジ
オール及び微量の1,5−ペンタンジオールを含む留分
を得、次に釜温度を上げ、減圧度を下げて1,5−ペン
タンジオールが主成分である第二留分を得た。1,4−
ブタンジオールと1,5−ペンタンジオールを蒸留した
後の塔底の液は、10段の蒸留塔を用いて減圧下に蒸留
して1,6−ペンタンジオール及び微量の1,5−ブタ
ンジオールを含む留分を得た。得られた1,6−ヘキサ
ンジオールは476gであった。ガスクロマトグラフィ
ーによる分析から純度は99.1%であり、他の含有物
は、1,4−ブタンジオール0.07重量%、1,5−
ペンタンジオール0.43重量%であり、1,4−ジヒ
ドロキシシクロヘキサンは0.01重量%以下であるこ
とを確認した。
【0024】<ポリカーボネートジオールの製造>攪拌
機、温度計、分留管を備えた反応器に上記で得られた
1,6−ヘキサンジオール236g(2.0mol)を
加え、70℃〜80℃で金属ナトリウム1.84g
(0.08mol)を攪拌下に添加した。ナトリウムが
完全に反応した後、ジエチルカーボネート236g
(2.0mol)を導入した。常圧で反応温度を95℃
〜100℃に上昇させるとエタノールが留出し始めた。
徐々に温度を上昇させ6時間で160℃とした。この間
約10%のジエチルカーボネートを含むエタノールが留
出した。その後更に反応器の圧力を10mmHg以下と
し、エタノールを抜き出しながら強攪拌下200℃にて
4時間反応させた。生成したポリマーは冷却後ジクロロ
メタンに溶解させ、希酸で中和した後、無水硫酸ナトリ
ウムで脱水してから、溶媒を蒸留除去し、更に2〜3m
mHg、140℃で数時間乾燥させた。得られた1,6
−ヘキサンジオールのポリカーボネートジオールは、常
温で白色固体であり、OH価は50.0mg/KOHで
あった。
【0025】<ポリウレタンの製造例>得られた1,6
−ヘキサンジオールのポリカーボネートジオール14.
4gをジメチルホルムアミド90.0gに溶解させ、ジ
フェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI
と略す)2.50g(MDIとポリカーボネートジオー
ルの当量比が1.56)を添加し、50℃で1.5時間
混合した。反応液を室温まで冷却後、エチレンジアミン
0.20gをジメチルホルムアミド30gに溶かした液
を添加し、30分間混合した。得られたポリウレタンの
分子量をGPCで分析したところポリスチレン換算でM
nが6.60万、Mwが14.5万であった。得られた
ポリウレタンの引張り強さは34MPa、伸びは530
%であった。(JIS−K6251、3号ダンベル、試
料は2mm厚のプレスシートを用いた。)
【0026】
【比較例1】市販の1,6−ヘキサンジオールをガスク
ロマトグラフィーで分析したところ1,6−ペンタンジ
オールの純度は、98.1%で1.4重量%の1,4−
ジヒドロキシシクロヘキサン(cis及びtrans)
を含んでいた。これを用いて実施例1と同様の方法で
1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネートジオール
を合成した。得られたポリカーボネートジオールは、常
温で白色固体であり、OH価は68.3mg/KOHで
あった。
【0027】このポリカーボネートジオールを実施例1
と同様にMDIとポリカーボネートジオールの当量比が
1.56となるように10.6gを用いて実施例1と同
様にしてポリウレタンを合成した。得られたポリウレタ
ンの分子量をGPCで分析したところポリスチレン換算
でMnが5.74万、Mwが12.2万であった。得ら
れたポリウレタンの引張り強さは22MPa、伸びは3
60%であった。(JIS−K6251、3号ダンベ
ル、試料は2mm厚のプレスシートを用いた。)
【0028】
【発明の効果】本発明は、ポリウレタン製造時やポリエ
ステル製造時等の重合速度を低下させる不純物である
1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンを実質的に含有し
ない、高分子量のポリウレタン等のポリマー製造の原料
として好適な1,6−ヘキサンジオールを提供すること
を可能にした。
フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC41 AC46 BD10 BD70 BE20 FE11 FG29 4H039 CA65 CB40 4J034 CA01 CA04 CB03 CC03 DA01 DF02 HA01 HA06 QA07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンの
    含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする1,
    6−ヘキサンジオール。
  2. 【請求項2】 ポリウレタン製造の原料に用いることを
    特徴とする請求項1記載の1,6−ヘキサンジオール。
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