JP2001300599A - 汚泥脱水方法 - Google Patents
汚泥脱水方法Info
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Abstract
汚泥が含まれる有機性汚泥を、安定して効率的に脱水す
ることができる汚泥脱水方法を提供する。 【解決手段】有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般
式[2]及び一般式[3]で示される構造単位を有し、
一般式[1]で示される構造単位の数が一般式[3]で
示される構造単位の数未満であり、0.1モル/Lの塩
酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナト
リウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が
5dL/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおけ
る勾配k'の値が30〜50dL2/g2であり、30℃に
おける0.4重量%水溶液の曳糸長が55〜75mmであ
り、30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度
が1,500〜3,500mPa・sである両性ポリマーを添
加して脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。 【化1】
Description
する。さらに詳しくは、本発明は、下水、し尿、産業排
水などより生ずる生物処理汚泥が含まれる有機性汚泥
を、安定して効率的に脱水することができる汚泥脱水方
法に関する。
する生物処理汚泥を含む有機性汚泥は、有機物含有量の
増加や腐敗などにより、汚泥脱水に必要な脱水剤の添加
率が増加し、脱水ケーキの含水率が高く、汚泥処理量も
低く抑えざるを得ないなど、難脱水化の傾向にある。こ
れらの難脱水性汚泥に対しては、従来より、種々の脱水
方法が試みられている。例えば、特開昭63−1582
00号公報には、脱水ケーキの含水率が低く、ろ布剥離
性が良好な汚泥の脱水方法として、無機凝集剤添加後の
pH値が5〜8である有機質汚泥に対して両性有機高分子
凝集剤を添加し、次いで脱水する汚泥の脱水方法が提案
されている。また、特公平3−47160号公報には、
生成するフロックの強度が大きく、脱水が容易で、ケー
キの含水率が低く、懸濁物質の分離水への流出が少ない
有機性汚泥の脱水法として、余剰汚泥に硫酸バンドなど
の金属塩を使用して凝集処理し、さらに第4級アンモニ
ウム基を有するカチオン性高分子凝集剤を添加して脱水
する方法が提案されている。さらに、特公平6−239
号公報には、汚泥の処理能力が大きく、懸濁物質の回収
率が高く、ろ布からの脱水ケーキの剥離性が良好であ
り、脱水ケーキの含水量を低減することができる有機性
汚泥の脱水方法として、有機性汚泥に無機凝集剤を添加
し、さらに特定のコロイド当量値とアニオン量/カチオ
ン量の比を有する両性有機高分子凝集剤を添加したの
ち、脱水する方法が提案されている。このような2種以
上の薬剤を併用して脱水する方法は、難脱水性汚泥の脱
水性改善に効果があり、広く用いられるようになってい
る。しかし、これらの従来の技術には、薬品コストが高
い、効果に汎用性が乏しい、設備や作業が煩雑になるな
どの問題点がある。このために、下水、し尿、産業排水
などから生ずる生物処理汚泥を含む有機性汚泥に広く適
用することができ、少量の薬剤の添加により効果的に脱
水して、フロックの強度が大きく、ろ布からの剥離性が
良好で、含水率の低いケーキを得ることができる汚泥脱
水方法が求められていた。
尿、産業排水などより生ずる生物処理汚泥が含まれる有
機性汚泥を、安定して効率的に脱水することができる汚
泥脱水方法を提供することを目的としてなされたもので
ある。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機性汚泥に対
して、第四級アンモニウム基を有するモノマー単位、
(メタ)アクリルアミド単位及び第四級アンモニウム基を
有するモノマー単位の数以上の(メタ)アクリル酸単位を
有し、固有粘度が5dL/g以上であり、ηsp/c=
[η]+k'cにおけるk'の値が30〜50dL2/g2で
あり、水溶液が特定の曳糸長と1rpm外挿粘度を有する
両性ポリマーを添加して脱水することにより、極めて良
好で安定した脱水を行い得ることを見いだし、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、(1)有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般
式[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有し、
一般式[1]で表される構造単位の数が一般式[3]で
表される構造単位の数未満であり、0.1モル/Lの塩
酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナト
リウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が
5dL/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおけ
る勾配k'の値が30〜50dL2/g2であり、30℃に
おける0.4重量%水溶液の曳糸長が55〜75mmであ
り、30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度
が1,500〜3,500mPa・sである両性ポリマーを添
加して脱水することを特徴とする汚泥脱水方法、
水素、メチル基、エチル基又はベンジル基であり、3個
のR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、Xは酸
素又はイミノ基であり、Yはエチレン基、プロピレン
基、トリメチレン基又は2−ヒドロキシトリメチレン基
であり、Zは塩素、臭素、ヨウ素、1/2SO4又はC
H3SO4であり、R3は水素又はメチル基であり、R4は
水素又はメチル基であり、Mは水素、アルカリ金属又は
アルカリ土類金属である。また、ηspは比粘度であり、
cはg/dL単位で表された濃度である。)、を提供する
ものである。さらに、本発明の好ましい態様として、
(2)無機凝集剤を併せて添加する第1項記載の汚泥脱
水方法、を挙げることができる。
は、有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般式[2]
及び一般式[3]で表される構造単位を有し、一般式
[1]で表される構造単位の数が一般式[3]で表され
る構造単位の数未満であり、0.1モル/Lの塩酸水溶
液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナトリウム
水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が5dL/
g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおける勾配
k'の値が30〜50dL2/g2であり、30℃における
0.4重量%水溶液の曳糸長が55〜75mmであり、3
0℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度が1,
500〜3,500mPa・sである両性ポリマーを添加し
て脱水する。
り、R2は水素、メチル基、エチル基又はベンジル基で
あり、3個のR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよ
く、Xは酸素又はイミノ基であり、Yはエチレン基、プ
ロピレン基、トリメチレン基又は2−ヒドロキシトリメ
チレン基であり、Zは塩素、臭素、ヨウ素、1/2SO
4又はCH3SO4である。
モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ
エチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アク
リロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムク
ロライド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ
プロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの(メ
タ)アクリロイルオキシアルキル第四級アンモニウム
塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアミン硫
酸塩又は塩酸塩、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジ
メチルアミン塩酸塩などの(メタ)アクリロイルオキシア
ルキル第三級アミン塩、(メタ)アクリロイルアミノプロ
ピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリ
ロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサ
ルフェートなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキル第
四級アンモニウム塩などを挙げることができる。これら
のモノマーは、1種を単独で用いることができ、あるい
は、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これ
らの中で、(メタ)アクリロイルオキシアルキル第四級ア
ンモニウム塩は脱水効果に優れるので好適に用いること
ができ、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニ
ウムクロライド及びメタクリロイルオキシエチルトリメ
チルアンモニウムクロライドを特に好適に用いることが
できる。一般式[2]において、R3は水素又はメチル
基である。一般式[2]で表される構造単位を与えるモ
ノマーは、(メタ)アクリルアミドである。アクリルアミ
ド及びメタクリルアミドは、それぞれ1種を単独で用い
ることができ、あるいは、両者を組み合わせて用いるこ
ともできる。
チル基であり、Mは水素、アルカリ金属又はアルカリ土
類金属である。一般式[3]で表される構造単位を与え
るモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウ
ム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸
カルシウムなどを挙げることができる。これらの中で、
アクリル酸及びアクリル酸ナトリウムを好適に用いるこ
とができる。本発明方法において用いる両性ポリマー
は、一般式[1]で表される構造単位の数が、一般式
[3]で表される構造単位の数未満である。一般式
[1]で表される構造単位の数が一般式[3]で表され
る構造単位の数以上であると、凝集が不十分となった
り、含水率が低下しないなど、十分な脱水効果が得られ
ないおそれがある。本発明方法に用いる一般式[1]、
一般式[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有
する両性ポリマーは、これらの構造単位以外の構造単位
を有することができる。一般式[1]、一般式[2]及
び一般式[3]以外の構造単位を与えるモノマーとして
は、例えば、ビニルピロリドン、マレイン酸、アクリル
酸メチルなどを挙げることができる。一般式[1]、一
般式[2]及び一般式[3]で表される構造単位以外の
構造単位は、20モル%以下であることが好ましく、1
0モル%以下であることがより好ましい。
1モル/Lの塩酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル
/Lの硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定
した固有粘度[η]が5dL/g以上、より好ましくは7
dL/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおける
勾配k'が30〜50dl2/g2、より好ましくは30〜
40dl2/g2である。両性ポリマーの濃度の異なる溶液
を数種調製し、あるいは、両性ポリマーの溶液を逐次希
釈しつつ、オストワルド粘度計、ウベローデ型粘度計、
キャノン−フェンスケ粘度計などの毛管粘度計を用い
て、溶媒の粘度及び濃度の異なる溶液の粘度を測定す
る。溶媒の粘度がη0、濃度c(g/dL)の溶液の粘度
がηであるとき、比粘度ηsp=(η−η0)/η0を濃度
cで除した商である粘度数ηsp/cを濃度cに対してプ
ロットすると、近似的にηsp/c=[η]+k'cで表
される直線が得られる。得られた直線をc→0に外挿し
た切片[η](dL/g)が固有粘度であり、直線の勾配
がk'(dL2/g2)である。固有粘度[η]が5dL/g
以上、勾配k'が30〜50dL2/g2の両性ポリマーを
添加することにより、汚泥が効果的に凝集して良好な脱
水性が得られる。両性ポリマーの固有粘度[η]が5dL
/g未満であっても、勾配k'が30〜50dL2/g2を
外れても、脱水性が不良となるおそれがある。勾配k'
が脱水性に影響する理由は明らかではないが、勾配k'
が小さいことは粘度の濃度依存性が小さいことを意味す
る。すなわち、濃度が高くなってもポリマー分子同士の
相互作用が小さいと考えられる。したがって、勾配k'
の小さいポリマーは、汚泥粒子とより反応しやすいポリ
マーであると考えることができる。
法に特に制限はなく、例えば、水溶液重合法、乳化重合
法、懸濁重合法などを挙げることができる。水溶液重合
法の場合、モノマー濃度が10〜80重量%であるよう
なモノマー水溶液を調製し、系内を不活性ガスで置換し
たのち、重合開始剤を加えて20〜60℃程度で数時間
重合を行うことが好ましい。使用する重合開始剤として
は、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二
硫酸アンモニウムなどのペルオキソ二硫酸塩、過酸化ベ
ンゾイルなどの有機過酸化物、アゾビスシアノバレリン
酸、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
などのアゾ系化合物などを挙げることができる。さら
に、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキ
ソ二硫酸アンモニウムなどの過酸化物と、亜硫酸水素ナ
トリウム、二亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄などの還元
剤を組み合わせたレドックス開始剤を使用することもで
きる。レドックス開始剤を用いることにより、あるい
は、連鎖移動剤を添加することにより、容易に勾配k'
が30〜50dL2/g2である両性ポリマーを得ることが
できる。本発明方法に用いる両性ポリマーは、モノマー
に光重合増感剤を加えたのち、紫外線などを照射する光
重合法によって製造することもできる。光重合増感剤と
しては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどを挙げること
ができる。これらの光重合増感剤は、1種を単独で用い
ることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用い
ることもできる。光重合増感剤を使用した光重合法によ
れば、容易に勾配k'が30〜50dL2/g 2である両性
ポリマーを得ることができる。
ける0.4重量%水溶液の曳糸長は55〜75mmであ
り、より好ましくは60〜70mmである。曳糸長は、例
えば、協和界面科学(株)製の曳糸長測定器などを用いて
測定することができる。ポリマーの0.4重量%水溶液
約100mLをビーカーに採り、曳糸長測定器のガラス製
回転楕円体をその長径に相当する液面下11mmまで浸漬
し、10〜15秒間浸漬を続けたのち、上昇速度15.
2mm/sで引き上げ、糸が切れるまでの液面からの上昇
距離を曳糸長とする。曳糸長は、ポリマーの分子量と分
子量分布の影響を受け、一般に、分子量が高くなるほ
ど、また、分子量分布が広くなるほど、曳糸長は長くな
る。有機性汚泥を脱水する場合、分子量が高く、分子量
分布が狭いポリマーが有効とされている。したがって、
脱水に供するポリマーの曳糸長には適正範囲があり、し
かもその範囲はポリマー組成によって異なる。ポリマー
中にアニオンモノマー単位をカチオンモノマー単位と同
数以上有する両性ポリマーは、30℃における0.4重
量%水溶液の曳糸長が55〜75mmであるとき、優れた
脱水効果を発揮する。
ける0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度は、1,500
〜3,500mPa・sであり、より好ましくは2,000〜
3,000である。1rpm外挿粘度は、JIS K 711
7に準じて測定することができる。ポリマーの0.2重
量%水溶液約500mLをビーカーに採り、B型粘度計を
用い、スピンドル回転数を変えて粘度を数点測定し、回
転数1rpmに外挿して1rpm外挿粘度を求める。スピンド
ルは、通常2号を用いるが、粘度によっては3号を用い
る場合もある。スピンドル回転数は、6、12、30及
び60rpmとし、スピンドル作動後、各々5分、3分、
2分、1分後の粘度を読み取る。1rpm外挿粘度は、ポ
リマー分子同士の相互作用の強弱を示す指標である。1
rpm外挿粘度が低いポリマーは、分子同士の相互作用が
弱く、凝集フロックが粗大化しない。1rpm外挿粘度の
高いポリマーは、分子同士の相互作用が強く、強撹拌し
ないと汚泥粒子と反応しない。したがって、脱水性能に
優れるポリマーは、ポリマー分子同士の相互作用とポリ
マー分子と汚泥粒子の反応性のバランスがよいポリマー
である。30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿
粘度が1,500〜3,500mPa・sのポリマーは、ポリ
マー分子同士の相互作用とポリマー分子と汚泥粒子の反
応性のバランスがよく、優れた脱水効果を発揮する。本
発明方法において、両性ポリマーの添加方法に特に制限
はないが、下水、し尿、産業排水の処理で生じる有機性
汚泥、すなわち、いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚
泥、消化汚泥、凝集沈殿・浮上汚泥及びこれらの混合物
を処理する場合には、0.1〜0.4重量%水溶液として
添加することが好ましい。両性ポリマーの添加量にも特
に制限はないが、汚泥固形分100重量部に対して両性
ポリマー1〜2重量部を添加することが好ましい。
独で汚泥脱水に使用することもできるが、鉄塩、アルミ
ニウム塩などの無機多価金属塩を含む無機凝集剤を併用
することが好ましい。無機凝集剤を併用することによ
り、脱水効果を高めることができる。併用する無機凝集
剤に特に制限はなく、例えば、塩化第二鉄、ポリ硫酸
鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどを挙
げることができる。併用する無機凝集剤の添加量に特に
制限はないが、汚泥固形分100重量部に対して無機凝
集剤10〜50重量部を添加することが好ましい。本発
明方法に用いる脱水機に特に制限はなく、例えば、遠心
力を利用する遠心脱水機、多数のロールの間に2枚のろ
布を連続的に移動させ、1台の機械で重力によるろ過と
圧搾及び圧縮による脱水を行うベルトプレス脱水機、ろ
布に付着させた汚泥中の水分を真空により吸引し脱水す
る真空脱水機、圧力をかけて圧搾することにより脱水す
る加圧脱水機などを挙げることができる。これらの中
で、ベルトプレス脱水機を特に好適に用いることができ
る。本発明の汚泥脱水方法によれば、従来の高分子凝集
剤を用いる脱水方法に比べて、脱水ケーキの含水率を低
減することができるとともに、汚泥性状の変動に対して
安定した処理が可能である。このような効果を奏するこ
とから、本発明の汚泥脱水方法は、下水、し尿、産業排
水の処理で生じる広範囲の有機性汚泥の処理に極めて有
用であり、特に従来脱水が困難であった有機分含有量
(VSS/SS)の高い汚泥、腐敗度の高い汚泥に対し
て、際だった効果を発揮する。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、製造例において、得られ
たポリマーの曳糸長と1rpm外挿粘度は、下記の方法に
より測定した。 (1)曳糸長 曳糸長測定器[協和界面科学(株)]を用いて、30℃に
おいて測定する。ポリマーの0.4重量%水溶液100m
Lをビーカーに採り、曳糸長測定器のガラス製回転楕円
体をその長径に相当する液面下11mmまで浸漬し、10
〜15秒間浸漬を続けたのち、上昇速度15.2mm/s
で引き上げ、糸が切れるまでの液面からの上昇距離を測
定する。 (2)1rpm外挿粘度 JIS K 7117に準じ、B型粘度計と2号又は3号
スピンドルを用い、ポリマーの0.2重量%水溶液につ
いて、30℃で測定する。スピンドル回転数60rpm、
30rpm、12rpm及び6rpmで粘度を測定し、回転数1r
pmに外挿して、1rpm外挿粘度を求める。また、実施例
及び比較例において、脱水ケーキの剥離性と造粒性は、
下記の基準により判定した。 (1)脱水ケーキの剥離性 良好:脱水ケーキの90重量%以上が剥離される。 やや劣る:脱水ケーキの60重量%以上90重量%未満
が剥離される。 不良:脱水ケーキの60重量%未満が剥離される。 (2)造粒性 良好:ポリマー添加量を増すとフロック径が大きくなっ
ていき、30秒撹拌後もフロック径を保っている。 やや劣る:ポリマー添加量を増すとフロック径は大きく
なるが、すぐにばらばらになってしまう。 不良:ポリマー添加量を増してもフロック径が大きくな
らない。 製造例1 アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド46.48g(0.24モル)、アクリルアミド1
9.90g(0.28モル)、アクリル酸20.18g
(0.28モル)及び脱イオン水108.44gを300
mLビーカーに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/
分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガス
を除去した。次いで、あらかじめ窒素ガスで置換した2
0cm角×10cm深さのガラス製フタ付きステンレス鋼製
容器にモノマー混合液を移し、ベンゾインイソプロピル
エーテル69.2mg(対モノマー800ppm)をメタノー
ル5mLに溶解した溶液を添加し、中心波長365nmの
紫外線を照射して光重合を行った。重合中、ステンレス
鋼製容器は15℃に保った。1時間後、ゲル状になった
ポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を
行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度
8.3dL/g、k'32.3dL2/g2、曳糸長61mm、1r
pm外挿粘度2,280mPa・sであった。このポリマー
を、ポリマーA−1とする。 製造例2 アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド34.86g(0.18モル)、アクリルアミド1
4.93g(0.21モル)、アクリル酸15.13g
(0.21モル)及び脱イオン水130.08gを300
mLビーカーに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/
分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガス
を除去した。次いで、あらかじめ窒素ガスで置換した2
0cm角×10cm深さのガラス製フタ付きステンレス鋼製
容器にモノマー混合液を移し、ベンゾインイソプロピル
エーテル39.0mg(対モノマー600ppm)をメタノー
ル5mLに溶解した溶液を添加し、中心波長365nmの
紫外線を照射して光重合を行った。重合中、ステンレス
鋼製容器は15℃に保った。1時間後、ゲル状になった
ポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を
行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度
7.8dL/g、k'39.3dL2/g2、曳糸長60mm、1r
pm外挿粘度2,980mPa・sであった。このポリマー
を、ポリマーA−2とする。 製造例3 アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド44.93g(0.232モル)、メタクリロイル
オキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド1.6
6g(0.008モル)、アクリルアミド19.90g
(0.28モル)、アクリル酸20.18g(0.28モ
ル)及び脱イオン水103.33gを300mLセパラブ
ルフラスコに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/
分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガス
を除去した。重合開始剤として、ペルオキソ二硫酸アン
モニウム4.77mg(対モノマー55ppm)と二亜硫酸ナ
トリウム3.03mg(対モノマー35ppm)を、それぞれ
脱イオン水5mLに溶解した溶液を添加し、20℃に加温
して熱重合を行った。重合中の最高温度は、60℃であ
った。15時間後にゲル状になったポリマーを取り出
し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマ
ーを得た。このポリマーは、固有粘度7.5dL/g、k'
37.4dL2/g2、曳糸長62mm、1rpm外挿粘度2,7
40mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーA−3
とする。 製造例4 ベンゾインイソプロピルエーテルの添加量を、259.
7mg(対モノマー3,000ppm)とした以外は、製造例
1と全く同じ条件でポリマーを製造した。得られたポリ
マーは、固有粘度4.9dL/g、k'20.2dL2/g2、
曳糸長45mm、1rpm外挿粘度1,660mPa・sであっ
た。このポリマーを、ポリマーB−1とする。 製造例5 製造例1と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、アクリルアミド、アクリル酸
及び脱イオン水を300mLセパラブルフラスコに採り、
氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30分間通気
し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。重合
開始剤として、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパ
ン)二塩酸塩[和光純薬工業(株)、V−50]86.6mg
(対モノマー1,000ppm)を添加し、40℃に加温し
て熱重合を行った。15時間後、ゲル状になったポリマ
ーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って
粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度8.5d
L/g、k'45.2dL2/g2、曳糸長76mm、1rpm外挿
粘度6,950mPa・sであった。このポリマーを、ポリ
マーB−2とする。 製造例6 製造例3と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチル
トリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド、
アクリル酸及び脱イオン水を300mLセパラブルフラス
コに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30
分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去し
た。重合開始剤として、2,2'−アゾビス(2−アミジ
ノプロパン)二塩酸塩[和光純薬工業(株)、V−50]
86.7mg(対モノマー1,000ppm)を添加し、40
℃に加温して熱重合を行った。15時間後、ゲル状にな
ったポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破
砕を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有
粘度7.0dL/g、k'52.8dL2/g2、曳糸長78m
m、1rpm外挿粘度2,420mPa・sであった。このポリ
マーを、ポリマーB−3とする。 製造例7 製造例3と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチル
トリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド、
アクリル酸及び脱イオン水を300mLセパラブルフラス
コに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30
分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去し
た。次いで、あらかじめ窒素ガスで置換した20cm角×
10cm深さのガラス製フタ付きステンレス鋼製容器にモ
ノマー混合液を移し、ベンゾインイソプロピルエーテル
86.7mg(対モノマー1,000ppm)をメタノール5m
Lに溶解した溶液を添加し、中心波長365nmの紫外
線を照射して光重合を行った。重合中、ステンレス鋼製
容器は15℃に保った。1時間後、ゲル状になったポリ
マーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行っ
て粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度8.
1dL/g、k'32.3dL2/g2、曳糸長82mm、1rpm
外挿粘度2,720mPa・sであった。このポリマーを、
ポリマーB−4とする。 製造例8 重合中の最高温度が40℃を超えないように、重合中、
重合容器気相に冷却した窒素ガスを通気した以外は、製
造例3と全く同じ条件でポリマーを製造した。得られた
ポリマーは、固有粘度7.8dL/g、k'44.9dL2/g
2、曳糸長54mm、1rpm外挿粘度1,400mPa・sであ
った。このポリマーを、ポリマーB−5とする。製造例
1〜8で得られた両性ポリマーA−1〜A−3及びB−
1〜B−5のモノマー仕込み組成と、ポリマーの物性を
第1表にまとめて示す。
A−3は、固有粘度5dL/g以上、k'30〜50dL2/
g2、曳糸長55〜75mm、1rpm外挿粘度1,500〜
3,500mPa・sという条件を満たすポリマーである。
製造例4で得られたポリマーB−1は、固有粘度5dL/
g未満、k'30dL2/g2未満、曳糸長55mm未満であ
る。製造例5で得られたポリマーB−2は、曳糸長が7
5mmを超え、1rpm外挿粘度が3,500mPa・sを超え
る。製造例6で得られたポリマーB−3は、k'が50d
L2/g2を超え、曳糸長が75mmを超える。製造例7で
得られたポリマーB−4は、曳糸長が75mmを超える。
製造例8で得られたポリマーB−5は、曳糸長55mm未
満、1rpm外挿粘度1,500mPa・s未満である。 実施例1 下水処理場の余剰汚泥を用いて、ベルトプレス脱水機適
用机上試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH8.4、
電気伝導率92mS/m、SS0.74重量%、VSS
/SS86.7重量%、繊維分/SS6.4重量%であっ
た。汚泥200mLを300mLビーカーに採り、ハンドミ
キサーを用いて350rpmで撹拌しながら、塩化第二鉄
を濃度1,500mg/Lになるように添加し、さらに2
0秒間撹拌した。次いで、ポリマーA−1の0.2重量
%水溶液5mLを添加し、スパーテルを用いて180rpm
の回転数で30秒間撹拌した。ナイロンろ布を敷いたブ
フナーロートに内径5cmの塩ビ製円筒を置き、その中へ
凝集した汚泥を一気に注ぎ込んだ。20秒後の重力ろ液
量は、126mLであった。さらに、ナイロンろ布上に堆
積した汚泥をベルトプレス用ろ布に採り、98kPaの圧
力で1分間圧搾を行った。ナイロンろ布からの脱水ケー
キの剥離性は、良好であった。脱水ケーキの含水率は、
82.0重量%であった。圧搾後のケーキ径と乾燥後の
ケーキ重量から、ケーキ1cm2あたりの重量を求め、ベ
ルトプレス型脱水機への換算係数3を掛けて処理量を算
出すると、汚泥の予測処理量は78kg/m・hとなっ
た。 実施例2 ポリマーA−1の代わりに、ポリマーA−2を用いた以
外は、実施例1と同様にして試験を行った。20秒後の
重力ろ液量は、122mLであった。脱水ケーキの剥離性
は良好であり、含水率は81.9重量%であった。汚泥
の予測処理量は、72kg/m・hとなった。 比較例1 ポリマーA−1の代わりに、ポリマーB−1を用いた以
外は、実施例1と同様にして試験を行った。20秒後の
重力ろ液量は、42mLであった。脱水ケーキの剥離性は
良好であり、含水率は82.7重量%であった。汚泥の
予測処理量は、46kg/m・hとなった。 比較例2 ポリマーA−1の代わりに、ポリマーB−2を用いた以
外は、実施例1と同様にして試験を行った。20秒後の
重力ろ液量は、74mLであった。脱水ケーキの剥離性は
良好であり、含水率は81.9重量%であった。汚泥の
予測処理量は、58kg/m・hとなった。実施例1〜2
及び比較例1〜2の結果を、第2表に示す。
用いたポリマーA−1とポリマーA−2は、20秒後の
重力ろ液量が多く、優れた脱水性能を有し、実機におい
ても処理量が多いことが予測される。特に、ポリマーA
−1は脱水性能に優れている。これに対して、比較例1
〜2で用いたポリマーB−1とポリマーB−2は、脱水
性能が不十分である。 実施例3 浄水管理センターの余剰汚泥を用いて、ベルトプレス脱
水機適用机上試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH
6.43、電気伝導率738mS/m、SS0.73重量
%、VSS/SS86.2重量%、繊維分/SS18.5
重量%であった。汚泥200mLを300mLビーカーに採
り、ハンドミキサーを用いて350rpmで撹拌しなが
ら、塩化第二鉄を濃度1,500mg/Lになるように添
加し、さらに20秒間撹拌した。次いで、ポリマーA−
3の0.2重量%水溶液3mLを添加し、スパーテルを用
いて180rpmの回転数で30秒間撹拌した。ナイロン
ろ布を敷いたブフナーロートに内径5cmの塩ビ製円筒を
置き、その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込んだ。20
秒後の重力ろ液量は、160mLであった。さらに、ナイ
ロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用ろ布に採
り、98kPaの圧力で1分間圧搾を行った。ナイロンろ
布からの脱水ケーキの剥離性は、良好であった。脱水ケ
ーキの含水率は、85.5重量%であった。汚泥の予測
処理量は、66kg/m・hとなった。 比較例3 ポリマーA−3の代わりに、ポリマーB−3を用いた以
外は、実施例3と同様にして試験を行った。20秒後の
重力ろ液量は、140mLであった。脱水ケーキの剥離性
はやや劣り、含水率は86.2重量%であった。汚泥の
予測処理量は、55kg/m・hとなった。 比較例4 ポリマーA−3の代わりに、ポリマーB−4を用いた以
外は、実施例3と同様にして試験を行った。20秒後の
重力ろ液量は、138mLであった。脱水ケーキの剥離性
は不良であり、含水率は86.3重量%であった。汚泥
の予測処理量は、51kg/m・hとなった。 比較例5 ポリマーA−3の代わりに、ポリマーB−5を用いた以
外は、実施例3と同様にして試験を行った。20秒後の
重力ろ液量は、126mLであった。脱水ケーキの剥離性
は不良であり、含水率は86.3重量%であった。汚泥
の予測処理量は、58kg/m・hとなった。実施例3及
び比較例3〜5の結果を、第3表に示す。
たポリマーA−3は、20秒後の重力ろ液量が多く、優
れた脱水性能を有し、実機においても処理量が多いこと
が予測される。これに対して、比較例3〜5で用いたポ
リマーB−3、ポリマーB−4及びポリマーB−5は、
20秒後の重力ろ液量がやや少なく、脱水ケーキの剥離
性が劣り、脱水ケーキの含水率もやや高く、実機におけ
る処理量も少ないことが予測される。 実施例4 浄水センターの余剰汚泥を用いて、造粒濃縮/ベルトプ
レス脱水機机上試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH
6.1、電気伝導率344mS/m、SS1.10重量
%、VSS/SS84.2重量%、繊維分/SS4.3重
量%であった。汚泥200mLを300mLビーカーに採
り、ハンドミキサーを用いて750rpmで撹拌しなが
ら、塩化第二鉄を濃度1,500mg/Lになるように添
加し、さらに20秒間撹拌した。次いで、ポリマーA−
1の0.2重量%水溶液8mLを添加し、スパーテルを用
いて180rpmの回転数で30秒間撹拌した。フロック
上面が液面に出る程度まで、ナイロンろ布を用いて上澄
液をデカンテーションし、スパーテルで凝集フロックを
破壊したのち、さらにポリマーA−1の0.2重量%水
溶液4mLを添加し、汚泥をビーカー壁面に押しつけるよ
うに撹拌して造粒を行った。造粒性は、良好であった。
次に、ナイロンろ布を敷いたブフナーロートに内径5cm
の塩ビ製円筒を置き、その中へ凝集した汚泥を一気に注
ぎ込んでろ過した。ナイロンろ布上に堆積した汚泥をベ
ルトプレス用ろ布に採り、98kPaの圧力で1分間圧搾
を行った。ナイロンろ布からの脱水ケーキの剥離性は、
良好であった。脱水ケーキの含水率は、83.5重量%
であった。汚泥の予測処理量は、120kg/m・hとな
った。 実施例5 ポリマーA−1の水溶液の代わりに、ポリマーA−2の
0.2重量%水溶液6mLを添加し、スパーテルで凝集フ
ロックを破壊したのち、さらにポリマーA−2の0.2
重量%水溶液4mLを添加した以外は、実施例4と同様に
して試験を行った。造粒性は、良好であった。脱水ケー
キの剥離性は良好であり、含水率は83.7重量%であ
った。汚泥の予測処理量は、110kg/m・hとなっ
た。 比較例6 ポリマーA−1の水溶液の代わりに、ポリマーB−1の
0.2重量%水溶液10mLを添加し、スパーテルで凝集
フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−1の0.
2重量%水溶液4mLを添加した以外は、実施例4と同様
にして試験を行った。しかし、造粒しなかったので、重
力ろ過以降の試験には進まなかった。 比較例7 ポリマーA−1の水溶液の代わりに、ポリマーB−2の
0.2重量%水溶液8mLを添加し、スパーテルで凝集フ
ロックを破壊したのち、さらにポリマーB−2の0.2
重量%水溶液4mLを添加した以外は、実施例4と同様に
して試験を行った。しかし、造粒しなかったので、重力
ろ過以降の試験には進まなかった。実施例4〜5及び比
較例6〜7の結果を、第4表に示す。ただし、ポリマー
の添加量は、汚泥200mLに対する1回目と2回目との
添加量の合計で示した。
用いたポリマーA−1とA−2は、造粒性が良好であ
り、優れた脱水性能を有し、実機においても処理量が多
いことが予測される。これに対して、比較例3〜5で用
いたポリマーB−1とB−2では、造粒しない。 実施例6 化学工場の余剰汚泥と凝沈汚泥の混合汚泥を用いて、造
粒濃縮/ベルトプレス脱水機机上試験を行った。用いた
汚泥の性状は、pH6.6、電気伝導率307mS/m、
SS1.53重量%、VSS/SS45.4重量%、繊維
分/SS0.7重量%であった。汚泥200mLを300m
Lビーカーに採り、ハンドミキサーを用いて750rpmで
撹拌しながら、ポリ硫酸鉄を濃度3,000mg/Lにな
るように添加し、さらに20秒間撹拌した。次いで、ポ
リマーA−3の0.2重量%水溶液12mLを添加し、ス
パーテルを用いて180rpmの回転数で30秒間撹拌し
た。フロック上面が液面に出る程度まで、ナイロンろ布
を用いて上澄液をデカンテーションし、スパーテルで凝
集フロックを破壊したのち、さらにポリマーA−3の
0.2重量%水溶液6mLを添加し、汚泥をビーカー壁面
に押しつけるように撹拌して造粒を行った。造粒性は、
良好であった。次に、ナイロンろ布を敷いたブフナーロ
ートに内径5cmの塩ビ製円筒を置き、その中へ凝集した
汚泥を一気に注ぎ込んでろ過した。ナイロンろ布上に堆
積した汚泥をベルトプレス用ろ布に採り、98kPaの圧
力で1分間圧搾を行った。ナイロンろ布からの脱水ケー
キの剥離性は、良好であった。脱水ケーキの含水率は、
81.3重量%であった。汚泥の予測処理量は、128k
g/m・hとなった。 比較例8 ポリマーA−3の水溶液の代わりに、ポリマーB−3の
0.2重量%水溶液14mLを添加し、スパーテルで凝集
フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−3の0.
2重量%水溶液7mLを添加した以外は、実施例6と同様
にして試験を行った。造粒性は、やや劣っていた。脱水
ケーキの剥離性は良好であり、含水率は81.4重量%
であった。汚泥の予測処理量は、115kg/m・hとな
った。 比較例9 ポリマーA−3の水溶液の代わりに、ポリマーB−4の
0.2重量%水溶液16mLを添加し、スパーテルで凝集
フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−4の0.
2重量%水溶液8mLを添加した以外は、実施例6と同様
にして試験を行った。造粒性は、不良であった。脱水ケ
ーキの剥離性は良好であり、含水率は81.7重量%で
あった。汚泥の予測処理量は、110kg/m・hとなっ
た。 比較例10 ポリマーA−3の水溶液の代わりに、ポリマーB−5の
0.2重量%水溶液12mLを添加し、スパーテルで凝集
フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−5の0.
2重量%水溶液6mLを添加した以外は、実施例6と同様
にして試験を行った。造粒性は、やや劣っていた。脱水
ケーキの剥離性は良好であり、含水率は82.3重量%
であった。汚泥の予測処理量は、110kg/m・hとな
った。実施例6及び比較例8〜10の結果を、第5表に
示す。ただし、ポリマーの添加量は、汚泥200mLに対
する1回目と2回目との添加量の合計で示した。
たポリマーA−3は、造粒性が良好であり、優れた脱水
性能を有し、実機においても処理量が多いことが予測さ
れる。これに対して、比較例8〜10で用いたポリマー
B−3、B−4及びB−5は、造粒性が劣り、実機にお
ける処理量も少ないことが予測される。
高分子凝集剤を用いる脱水方法に比べて、脱水ケーキの
含水率を低減することができるとともに、汚泥性状の変
動に対して安定した処理が可能である。このような効果
を奏することから、本発明の汚泥脱水方法は、下水、し
尿、産業排水の処理で生じる広範囲の有機性汚泥(いわ
ゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝集沈
殿、浮上汚泥及びこれらの混合物)処理に極めて有用で
あり、特に従来脱水が困難であった有機分含有量(VS
S/SS)の高い汚泥、腐敗度の高い汚泥に対して、際
だった効果を発揮する。
Claims (1)
- 【請求項1】有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般
式[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有し、
一般式[1]で表される構造単位の数が一般式[3]で
表される構造単位の数未満であり、0.1モル/Lの塩
酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナト
リウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が
5dL/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおけ
る勾配k'の値が30〜50dL2/g2であり、30℃に
おける0.4重量%水溶液の曳糸長が55〜75mmであ
り、30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度
が1,500〜3,500mPa・sである両性ポリマーを添
加して脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。 【化1】 (ただし、式中、R1は水素又はメチル基であり、R2は
水素、メチル基、エチル基又はベンジル基であり、3個
のR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、Xは酸
素又はイミノ基であり、Yはエチレン基、プロピレン
基、トリメチレン基又は2−ヒドロキシトリメチレン基
であり、Zは塩素、臭素、ヨウ素、1/2SO4又はC
H3SO4であり、R3は水素又はメチル基であり、R4は
水素又はメチル基であり、Mは水素、アルカリ金属又は
アルカリ土類金属である。また、ηspは比粘度であり、
cはg/dL単位で表された濃度である。)
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