JP2001030000A - 汚泥脱水方法 - Google Patents
汚泥脱水方法Info
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Abstract
汚泥が含まれる有機性汚泥を、安定して効率的に脱水す
ることができる汚泥脱水方法を提供する。 【解決手段】有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般
式[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有し、
1規定の硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測
定した固有粘度が5dl/g以上であり、ηsp/c=
[η]+k'cにおける勾配k'の値が40dl2/g2以下
である両性ポリマーを添加して脱水することを特徴とす
る汚泥脱水方法。ただし、R1、R3及びR4は水素又は
メチル基であり、R2は水素、炭素数1〜2のアルキル
基又はベンジル基であり、XはO又はNHであり、Yは
炭素数2〜3のアルキレン基又はCH2CH(OH)CH2
であり、Zは塩素、臭素、ヨウ素、1/2SO4又はC
H3SO4であり、Mは水素、アルカリ金属又はアルカリ
土類金属である。 【化1】
Description
する。さらに詳しくは、本発明は、下水、し尿、産業排
水などより生ずる生物処理汚泥が含まれる有機性汚泥
を、安定して効率的に脱水することができる汚泥脱水方
法に関する。
する生物処理汚泥を含む有機性汚泥は、有機物含有量の
増加や腐敗などにより、汚泥脱水に必要な脱水剤の添加
率が増加し、脱水ケーキの含水率が高く、汚泥処理量も
低く抑えざるを得ないなど、難脱水化の傾向にある。こ
れらの難脱水性汚泥に対しては、従来より、種々の脱水
方法が試みられている。例えば、特開昭63−1582
00号公報には、脱水ケーキの含水率が低く、ろ布剥離
性が良好な汚泥の脱水方法として、無機凝集剤添加後の
pH値が5〜8である有機質汚泥に対して両性有機高分子
凝集剤を添加し、次いで脱水する汚泥の脱水方法が提案
されている。また、特公平6−239号公報には、汚泥
の処理能力が大きく、懸濁物質の回収率が高く、ろ布か
らの脱水ケーキの剥離性が良好であり、脱水ケーキの含
水量を低減することができる有機性汚泥の脱水方法とし
て、有機性汚泥に無機凝集剤を添加し、さらに特定のコ
ロイド当量値とアニオン量/カチオン量の比を有する両
性有機高分子凝集剤を添加したのち、脱水する方法が提
案されている。さらに、特公平3−47160号公報に
は、生成するフロックの強度が大きく、脱水が容易で、
ケーキの含水率が低く、懸濁物質の分離水への流出が少
ない有機性汚泥の脱水法として、余剰汚泥に硫酸バンド
などの金属塩を使用して凝集処理し、さらに第4級アン
モニウム基を有するカチオン性高分子凝集剤を添加して
脱水する方法が提案されている。このような2種以上の
薬剤を併用して脱水する方法は、難脱水性汚泥の脱水性
改善に効果があり、広く用いられるようになっている。
しかし、これらの従来の技術には、薬品コストが高い、
効果に汎用性が乏しい、設備や作業が煩雑になるなどの
問題点がある。このために、下水、し尿、産業排水など
から生ずる生物処理汚泥を含む有機性汚泥に広く適用す
ることができ、少量の薬剤の添加により効果的に脱水し
て、フロックの強度が大きく、ろ布からの剥離性が良好
で、含水率の低いケーキを得ることができる汚泥脱水方
法が求められていた。
尿、産業排水などより生ずる生物処理汚泥が含まれる有
機性汚泥を、安定して効率的に脱水することができる汚
泥脱水方法を提供することを目的としてなされたもので
ある。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機性汚泥に対
して、第4級アンモニウム基を有するモノマー単位、
(メタ)アクリルアミド単位及び(メタ)アクリル酸単位を
有し、固有粘度が5dl/g以上であり、ηsp/c=
[η]+k'cにおける勾配k'が40dl2/g2以下であ
る両性ポリマーを添加して脱水することにより、容易に
効果的な脱水を行い得ることを見いだし、この知見に基
づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、(1)有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般式
[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有し、1
規定の硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定
した固有粘度が5dl/g以上であり、ηsp/c=[η]
+k'cにおける勾配k'の値が40dl2/g2以下である
両性ポリマーを添加して脱水することを特徴とする汚泥
脱水方法、
水素、炭素数1〜2のアルキル基又はベンジル基であ
り、3個のR2はそれぞれ同一であっても異なっていて
もよく、XはO又はNHであり、Yは炭素数2〜3のア
ルキレン基又はCH 2CH(OH)CH2であり、Zは塩
素、臭素、ヨウ素、1/2SO4又はCH3SO 4であ
り、R3は水素又はメチル基であり、R4は水素又はメチ
ル基であり、Mは水素、アルカリ金属又はアルカリ土類
金属である。また、ηspは比粘度であり、cはg/dl単
位で表された濃度である。)、を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、(2)無機凝集
剤を併せて添加する第(1)項記載の汚泥脱水方法、を挙
げることができる。
汚泥に対して、一般式[1]、一般式[2]及び一般式
[3]で表される構造単位を有し、1規定の硝酸ナトリ
ウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が5
dl/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおける
勾配k'の値が40dl2/g2以下である両性ポリマーを
添加して脱水するものである。
り、R2は水素、炭素数1〜2のアルキル基又はベンジ
ル基であり、3個のR2はそれぞれ同一であっても異な
っていてもよく、XはO又はNHであり、Yは炭素数2
〜3のアルキレン基又はCH2CH(OH)CH2であり、
Zは塩素、臭素、ヨウ素、1/2SO4又はCH3SO4
である。一般式[1]で表される構造単位を与えるモノ
マーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロ
イルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロラ
イド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロ
ピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの(メタ)ア
クリロイルオキシアルキル第4級アンモニウム塩、(メ
タ)アクリロイルオキシエチルジメチルアミン硫酸塩又
は塩酸塩、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチル
アミン塩酸塩などの(メタ)アクリロイルオキシアルキル
第3級アミン塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルト
リメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイル
アミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェ
ートなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキル第4級ア
ンモニウム塩などを挙げることができる。これらのモノ
マーは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2
種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中
で、(メタ)アクリロイルオキシアルキル第4級アンモニ
ウム塩を好適に用いることができ、アクリロイルオキシ
エチルトリメチルアンモニウムクロライド及びメタクリ
ロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド
を特に好適に用いることができる。
チル基である。一般式[2]で表される構造単位を与え
るモノマーは、(メタ)アクリルアミドである。アクリル
アミド及びメタクリルアミドは、それぞれ1種を単独で
用いることができ、あるいは、両者を組み合わせて用い
ることもできる。一般式[3]において、R4は水素又
はメチル基であり、Mは水素、アルカリ金属又はアルカ
リ土類金属である。一般式[3]で表される構造単位を
与えるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウ
ム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸
カルシウムなどを挙げることができる。これらの中で、
アクリル酸及びアクリル酸ナトリウムを好適に用いるこ
とができる。本発明方法に用いる一般式[1]、一般式
[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有する両
性ポリマーは、これらの構造単位以外の構造単位を有す
ることができる。一般式[1]、一般式[2]及び一般
式[3]以外の構造単位を与えるモノマーとしては、例
えば、ビニルピロリドン、マレイン酸、アクリル酸メチ
ルなどを挙げることができる。本発明方法に用いる一般
式[1]、一般式[2]及び一般式[3]で表される構
造単位を有する両性ポリマーは、一般式[1]で表され
る構造単位が10〜70モル%であることが好ましく、
20〜40モル%であることがより好ましい。また、一
般式[2]で表される構造単位は15〜80モル%であ
ることが好ましく、20〜60モル%であることがより
好ましい。一般式[3]で表される構造単位は3〜55
モル%であることが好ましく、5〜40モル%であるこ
とがより好ましい。一般式[1]、一般式[2]及び一
般式[3]で表される構造単位以外の構造単位は、20
モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であ
ることがより好ましい。
定の硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定し
た固有粘度[η]が5dl/g以上、より好ましくは6dl
/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおける勾
配k'が40dl2/g2以下、より好ましくは30dl2/g
2以下である。両性ポリマーの濃度の異なる溶液を数種
調製し、あるいは、両性ポリマーの溶液を逐次希釈しつ
つ、オストワルド粘度計、ウベローデ型粘度計、キャノ
ン−フェンスケ粘度計などの毛管粘度計を用いて、溶媒
の粘度及び濃度の異なる溶液の粘度を測定する。溶媒の
粘度がη0、濃度c(g/dl)の溶液の粘度がηである
とき、比粘度ηsp=(η−η0)/η0を濃度cで除した
商である粘度数ηsp/cを濃度cに対してプロットする
と、近似的にηsp/c=[η]+k'cで表される直線
が得られる。得られた直線をc→0に外挿した切片
[η](dl/g)が固有粘度であり、直線の勾配がk'
(dl2/g 2)である。固有粘度[η]が5dl/g以上、
勾配k'が40dl2/g2以下の両性ポリマーを添加する
ことにより、汚泥が効果的に凝集して良好な脱水性が得
られる。両性ポリマーの固有粘度[η]が5dl/g未満
であっても、勾配k'が40dl2/g2を超えても、脱水
性が不良となるおそれがある。本発明方法に用いる両性
ポリマーの製造方法に特に制限はなく、例えば、水溶液
重合法、乳化重合法、懸濁重合法などを挙げることがで
きる。水溶液重合法の場合、モノマー濃度が10〜80
重量%であるようなモノマー水溶液を調製し、系内を不
活性ガスで置換したのち、重合開始剤を加えて20〜6
0℃程度で数時間重合を行うことが好ましい。このよう
な重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、
過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、過酸化ベンゾイルなど
の有機過酸化物、アゾビスシアノバレリン酸、2,2'−
アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などのアゾ系
化合物などを挙げることができる。さらに、過酸化水
素、過硫酸カリウムなどの過酸化物と、重亜硫酸ナトリ
ウム、硫酸第一鉄などの還元剤を組み合わせたレドック
ス開始剤を使用することもできる。本発明方法に用いる
両性ポリマーは、モノマーに光重合増感剤を加えたの
ち、紫外線などを照射する光重合法によって製造するこ
ともできる。光重合増感剤としては、例えば、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピ
ルエーテルなどを挙げることができる。これらの光重合
増感剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、
2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ポリマーは、熱重合法によっても、光重合法によっても
製造することができる。光重合増感剤を使用した光重合
法によると、容易にk'の値の小さい両性ポリマーを得
ることができる。熱重合開始剤を使用した熱重合法を適
用する場合には、連鎖移動剤などを添加するか、あるい
は、レドックス開始剤を用いて重合を行うことが好まし
い。このk'に影響をおよぼす因子は明らかではない
が、k'の値が小さいということは、溶液粘度の濃度依
存性が小さいということである。すなわち、濃度が高く
なってもポリマー分子同士の相互作用が小さいと考えら
れる。したがって、ポリマー分子と汚泥粒子との反応性
が、ポリマー分子同士の反応性よりも勝っているものと
考えられる。本発明方法においては、下水、し尿、産業
排水などの処理により生じる有機性汚泥、すなわち、い
わゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝集
沈殿、浮上汚泥及びこれらの混合物に、両性ポリマーを
通常0.1〜0.4重量%水溶液として添加することが好
ましい。また、本発明方法においては、両性ポリマーを
単独で汚泥脱水に使用することもできるが、脱水効果面
からは、鉄塩、アルミニウム塩などの無機多価金属塩を
含む無機凝集剤を併用することが好ましい。併用する無
機凝集剤に特に制限はなく、例えば、塩化第二鉄、硫酸
第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アル
ミニウムなどを挙げることができる。本発明方法におい
て、汚泥に対する両性ポリマーの添加量は、汚泥固形分
に対して1〜2重量%であることが好ましい。また、併
用される無機凝集剤の添加量は、汚泥固形分に対して1
0〜50重量%であることが好ましい。本発明方法にお
いて、凝集された汚泥の脱水方法に特に制限はないが、
脱水機として、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機を好適
に用いることができる。本発明の汚泥脱水方法によれ
ば、従来の高分子凝集剤を用いる脱水方法に比べて、脱
水ケーキの含水率を低減することができるとともに、汚
泥性状の変動に対して安定処理が可能である。このよう
な効果を奏することから、本発明方法は、下水、し尿、
産業排水などの処理で生じる広範囲の有機性汚泥、すな
わち、いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚
泥、凝集沈殿、浮上汚泥及びこれらの混合物の処理に極
めて有用であり、特に従来脱水が困難であった有機分含
有量(VSS/SS)の高い汚泥や、腐敗度の高い汚泥
に対して際だった効果を発揮する。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、製造例において、ポリマ
ーの粘度は、1規定の硝酸ナトリウム水溶液(pH3)を
溶媒として30℃において測定し、c→0g/dlに外挿
して、固有粘度[η]と勾配k'の値を求めた。 製造例1 アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド46.5g(0.24モル)、アクリルアミド1
9.9g(0.28モル)、アクリル酸20.2g(0.2
8モル)及び脱イオン水108.4gを300mlビーカ
ーに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500ml/分で30
分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去し
た。あらかじめ窒素ガスで置換した20cm角×10cm深
さのガラス製フタ付きステンレス鋼製容器にモノマー混
合液を移し、ベンゾインイソプロピルエーテル52.0m
g(対モノマー600ppm)をメタノール5mlに溶解した
溶液を添加し、中心波長365nmの紫外線を照射して
光重合を行った。重合中、ステンレス鋼製容器は15℃
に保った。1時間後、ゲル状になったポリマーを取り出
し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマ
ーを得た。このポリマーの固有粘度は9.3dl/gであ
り、k'の値は29.4dl2/g2であった。このポリマー
をA−1とする。なお、アセトン精製は、ゲル状ポリマ
ーを5〜10mm角程度の大きさに裁断し、アセトン中に
投入してゲル中の水を除去する方法で行った。 製造例2 アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド34.8g(0.18モル)、アクリルアミド1
4.9g(0.21モル)、アクリル酸15.1g(0.2
1モル)及び脱イオン水130.1gを300mlビーカ
ーに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500ml/分で30
分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去し
た。あらかじめ窒素ガスで置換した20cm角×10cm深
さのガラス製フタ付きステンレス鋼容器にモノマー混合
液を移し、ベンゾインイソプロピルエーテル38.9mg
(対モノマー600ppm)をメタノール5mlに溶解した
溶液を添加し、中心波長365nmの紫外線を照射して
光重合を行った。重合中、ステンレス鋼製容器は15℃
に保った。1時間後、ゲル状になったポリマーを取り出
し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマ
ーを得た。このポリマーの固有粘度は7.8dl/gであ
り、k'の値は39.3dl2/g2であった。このポリマー
をA−2とする。 製造例3 アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド7.7g(0.04モル)、メタクリロイルオキシ
エチルトリメチルアンモニウムクロライド41.5g
(0.2モル)、アクリルアミド34.1g(0.48モ
ル)、アクリル酸5.8g(0.08モル)及び脱イオン
水100.8gを300mlセパラブルフラスコに採り、
氷浴中で窒素ガスを流量500ml/分で30分間通気
し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。連鎖
移動剤としてチオ尿素0.13gを添加し、さらに重合
開始剤として過硫酸アンモニウム22.3mg(対モノマ
ー250ppm)と亜硫酸水素ナトリウム22.3mg(対モ
ノマー250ppm)をそれぞれ5mlずつの脱イオン水に
溶解して添加し、20℃に加温して熱重合を行った。1
5時間後、ゲル状になったポリマーを取り出し、アセト
ン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。
このポリマーの固有粘度は8.1dl/gであり、k'の値
は23.1dl2/g2であった。このポリマーをA−3と
する。
g(対モノマー3,000ppm)とした以外は、製造例1
と全く同じ条件で合成を行って粉末ポリマーを得た。こ
のポリマーの固有粘度は4.9dl/gであり、k'の値は
20.2dl2/g 2であった。このポリマーをB−1とす
る。 製造例5 製造例1と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、アクリルアミド、アクリル酸
及び脱イオン水を300mlセパラブルフラスコに採り、
氷浴中で窒素ガスを流量500ml/分で30分間通気
し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。重合
開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)
二塩酸塩(V−50)86.6mg(対モノマー1,000
ppm)を添加し、40℃に加温して熱重合を行った。1
5時間後、ゲル状になったポリマーを取り出し、アセト
ン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。
このポリマーの固有粘度は9.0dl/gであり、k'の値
は47.8dl2/g2であった。このポリマーをB−2と
する。 製造例6 製造例3と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチル
トリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド、
アクリル酸及び脱イオン水を300mlセパラブルフラス
コに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500ml/分で30
分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去し
た。重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノ
プロパン)二塩酸塩(V−50)89.1mg(対モノマー
1,000ppm)を添加し、40℃に加温して熱重合を行
った。15時間後、ゲル状になったポリマーを取り出
し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマ
ーを得た。このポリマーの固有粘度は8.3dl/gであ
り、k'の値は48.1dl2/g2であった。このポリマー
をB−3とする。 製造例7 重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノプロ
パン)二塩酸塩(V−50)267.3mg(対モノマー
3,000ppm)を添加した以外は製造例6と全く同じ条
件で重合を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーの
固有粘度は4.8dl/gであり、k'の値は33.8dl2/
g2であった。このポリマーをB−4とする。 製造例1〜7における重合方法、モノマー仕込み比、得
られた両性ポリマーの固有粘度とk'の値を第1表に示
す。
1〜A−3は、固有粘度5dl/g以上、k'の値40dl2
/g2以下という条件を満たすポリマーである。一方、
製造例4と製造例7で得られた両性ポリマーB−1とB
−4は、k'の値は40dl2/g2以下であるが、固有粘
度が5dl/g未満である。また、製造例5と製造例6で
得られた両性ポリマーB−2とB−3は、固有粘度は5
dl/g以上であるが、k'の値が40dl2/g2を超えて
いる。なお、実施例及び比較例において、フロック強度
と脱水ケーキの剥離性は、下記の方法により評価した。 (1)フロック強度 凝集した汚泥を100メッシュのナイロンろ布を敷いた
ヌッチェロートに注ぎ込み、ろ過後の汚泥を手に取り、
徐々に絞ってそのときの強度を以下の通り判定する。 ◎:1回の手絞りで、すぐに絞り込まれたケーキとな
り、最大握力で最後まで絞ることができる。 ○:1回の手絞りで、絞り込まれるが、最大握力では、
ケーキが指の間に侵入する。 △:4〜5回ゆっくり絞ると、水が抜け、固形状のケー
キが得られるが、握力を高めると、指の間から抜け出
る。 ×:手の中にケーキが残らず、ほとんど指の間から抜け
出る。 (2)脱水ケーキの剥離性 前記のろ過後の汚泥をろ布に取り、ベルトプレス用ろ布
(ポリエステル、杉綾織)及びスポンジではさみ、1.
0kg/cm2の圧力で1分間圧搾したのち、ろ布を剥がし
たとき、剥離し得る脱水ケーキ重量の全体に対する割合
により判定する。 ◎:脱水ケーキを完全に剥離することができる。 ○:脱水ケーキの90重量%以上100重量%未満が剥
離される。 △:脱水ケーキの60重量%以上90重量%未満が剥離
される。 ×:脱水ケーキの60重量%未満が剥離される。
した。消化汚泥の性状は、pH6.9、電気伝導率205
mS/m、SS1.61重量%、VSS/SS74.5重
量%、繊維分/SS2.5重量%であった。汚泥200m
lを容量300mlのビーカーにとり、家庭用ハンドミキ
サー[松下電器産業(株)、MK−22]で回転数350
rpm、5秒間撹拌した。20重量%塩化第二鉄水溶液を
塩化第二鉄濃度が5,000mg/リットルになるように
添加して、さらに20秒間撹拌した。この液に、純水で
濃度0.2重量%に溶解した両性ポリマーA−1の水溶
液を、両性ポリマーA−1の濃度が400mg/リットル
になるよう速やかに添加したのち、5秒間撹拌した。次
いで、ナイロンろ布を敷いたブフナーロートに内径50
mmの硬質塩化ビニル製円筒を置き、その中へ凝集した汚
泥を一気に注ぎ込み、20秒後の重力ろ液量を測定した
ところ、120mlであった。ナイロンろ布上に堆積した
汚泥は、1回の手絞りですぐに絞り込まれたケーキとな
り、最大握力で最後まで絞ることができ、フロック強度
は優れていた。ろ過後の汚泥をベルトプレス用ろ布に取
り、0.5kg/cm2の圧力で1分間圧搾を行って脱水ケー
キを得た。得られた脱水ケーキの含水率は、81.2重
量%であった。 実施例2 両性ポリマーA−1の代わりに両性ポリマーA−2を用
いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。20秒後の
重力ろ液量は、116mlであった。ナイロンろ布上に堆
積した汚泥は、1回の手絞りですぐに絞り込まれたケー
キとなり、最大握力で最後まで絞ることができ、フロッ
ク強度は優れていた。脱水ケーキの含水率は、81.8
重量%であった。 比較例1 両性ポリマーA−1の代わりに両性ポリマーB−1を用
いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。20秒後の
重力ろ液量は、80mlであった。ナイロンろ布上に堆積
した汚泥は、4〜5回ゆっくり絞ると、水が抜け、固形
状のケーキが得られるが、握力を高めると指の間から抜
け出て、フロック強度は不良であった。脱水ケーキの含
水率は、83.9重量%であった。 比較例2 両性ポリマーA−1の代わりに両性ポリマーB−2を用
いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。20秒後の
重力ろ液量は、110mlであった。ナイロンろ布上に堆
積した汚泥は、2〜3回ゆっくり絞ると、絞り込まれた
が、最大握力では、ケーキが指の間に侵入し、フロック
強度はやや不良であった。脱水ケーキの含水率は、8
2.5重量%であった。 実施例1〜2及び比較例1〜2の結果を、第2表に示
す。
化汚泥に両性ポリマーA−1又はA−2と塩化第二鉄を
添加した実施例1〜2においては、20秒後の重力ろ液
量が多くろ過性が良好であり、凝集汚泥のフロック強度
に優れ、脱水ケーキの含水率も低い。これに対して、固
有粘度の低い両性ポリマーB−1を用いた比較例1及び
k'の値の大きい両性ポリマーB−2を用いた比較例2
においては、20秒後の重力ろ液量が少なくろ過性が劣
り、凝集汚泥のフロック強度が不良であり、脱水ケーキ
の含水率も高い。 実施例3(ベルトプレス型脱水機適用机上試験) 水産団地の余剰汚泥を、凝集ろ過試験及び圧搾試験に供
した。用いた余剰汚泥の性状は、pH6.54、電気伝導
率124mS/m、SS2.39重量%、VSS/SS
76.3重量%、繊維分/SS0.5重量%であった。汚
泥200mlを300mlのビーカーに採取し、20重量%
塩化第二鉄水溶液を塩化第二鉄濃度が1,000mg/リ
ットルになるように添加し、スパーテルを用いて350
rpmの回転数で20秒間撹拌し、さらに純水で濃度0.2
重量%に溶解した両性ポリマーA−3の水溶液を、両性
ポリマーA−3の濃度が100mg/リットルになるよう
に添加し、スパーテルを用いて180rpmの回転数で3
0秒間撹拌した。次いで、ナイロンろ布を敷いたブフナ
ーロートに内径50mmの硬質塩化ビニル製円筒を置き、
その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込み、20秒後の重
力ろ液量を測定したところ、165mlであった。ろ過後
のナイロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用ろ布
に取り、1.0kg/cm2の圧力で1分間圧搾を行って脱水
ケーキを得た。得られた脱水ケーキはろ布から完全に剥
離し、その含水率は79.8重量%であった。 比較例3 両性ポリマーA−2の代わりに両性ポリマーB−3を用
いた以外は、実施例3と同じ操作を行った。20秒後の
重力ろ液量は、150mlであった。脱水ケーキは、約8
0重量%がろ布から剥離した。脱水ケーキの含水率は、
82.0重量%であった。 比較例4 両性ポリマーA−2の代わりに両性ポリマーB−4を用
いた以外は、実施例3と同じ操作を行った。20秒後の
重力ろ液量は、120mlであった。脱水ケーキは、約9
5重量%がろ布から剥離した。脱水ケーキの含水率は、
80.3重量%であった。実施例3及び比較例3〜4の
結果を、第3表に示す。
汚泥に両性ポリマーA−3と塩化第二鉄を添加した実施
例3においては、20秒後の重力ろ液量が多くろ過性が
良好であり、脱水ケーキの剥離性に優れ、脱水ケーキの
含水率も低い。これに対して、k'の値の大きい両性ポ
リマーB−3を用いた比較例3及び固有粘度の低い両性
ポリマーB−4を用いた比較例4においては、20秒後
の重力ろ液量が少なくろ過性が劣り、脱水ケーキの剥離
性が不良であり、脱水ケーキの含水率も高い。
高分子凝集剤を用いる脱水方法に比べて、脱水ケーキの
含水率を低減することができ、汚泥性状の変動に対して
安定した処理が可能である。このような効果を奏するこ
とから、本発明方法は、下水、し尿、産業排水などの処
理で生じる広範囲の有機性汚泥、すなわち、いわゆる生
汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝集沈殿、浮
上汚泥及びこれらの混合物の処理に極めて有用であり、
特に従来脱水が困難であった有機分含有量(VSS/S
S)の高い汚泥や、腐敗度の高い汚泥に対して際だった
効果を発揮する。
Claims (1)
- 【請求項1】有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般
式[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有し、
1規定の硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測
定した固有粘度が5dl/g以上であり、ηsp/c=
[η]+k'cにおける勾配k'の値が40dl2/g2以下
である両性ポリマーを添加して脱水することを特徴とす
る汚泥脱水方法。 【化1】 (ただし、式中、R1は水素又はメチル基であり、R2は
水素、炭素数1〜2のアルキル基又はベンジル基であ
り、3個のR2はそれぞれ同一であっても異なっていて
もよく、XはO又はNHであり、Yは炭素数2〜3のア
ルキレン基又はCH 2CH(OH)CH2であり、Zは塩
素、臭素、ヨウ素、1/2SO4又はCH3SO 4であ
り、R3は水素又はメチル基であり、R4は水素又はメチ
ル基であり、Mは水素、アルカリ金属又はアルカリ土類
金属である。また、ηspは比粘度であり、cはg/dl単
位で表された濃度である。)
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- 1999-07-19 JP JP20497399A patent/JP3606119B2/ja not_active Expired - Fee Related
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