JP4661998B2 - 汚泥脱水方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥脱水方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、下水、し尿、産業排水などより生ずる生物処理汚泥が含まれる有機性汚泥を、安定して効率的に脱水することができる汚泥脱水方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市下水やし尿処理などから発生する生物処理汚泥を含む有機性汚泥は、有機物含有量の増加や腐敗などにより、汚泥脱水に必要な脱水剤の添加率が増加し、脱水ケーキの含水率が高く、汚泥処理量も低く抑えざるを得ないなど、難脱水化の傾向にある。これらの難脱水性汚泥に対しては、従来より、種々の脱水方法が試みられている。
例えば、特開昭63−158200号公報には、脱水ケーキの含水率が低く、ろ布剥離性が良好な汚泥の脱水方法として、無機凝集剤添加後のpH値が5〜8である有機質汚泥に対して両性有機高分子凝集剤を添加し、次いで脱水する汚泥の脱水方法が提案されている。また、特公平3−47160号公報には、生成するフロックの強度が大きく、脱水が容易で、ケーキの含水率が低く、懸濁物質の分離水への流出が少ない有機性汚泥の脱水法として、余剰汚泥に硫酸バンドなどの金属塩を使用して凝集処理し、さらに第4級アンモニウム基を有するカチオン性高分子凝集剤を添加して脱水する方法が提案されている。さらに、特公平6−239号公報には、汚泥の処理能力が大きく、懸濁物質の回収率が高く、ろ布からの脱水ケーキの剥離性が良好であり、脱水ケーキの含水量を低減することができる有機性汚泥の脱水方法として、有機性汚泥に無機凝集剤を添加し、さらに特定のコロイド当量値とアニオン量/カチオン量の比を有する両性有機高分子凝集剤を添加したのち、脱水する方法が提案されている。このような2種以上の薬剤を併用して脱水する方法は、難脱水性汚泥の脱水性改善に効果があり、広く用いられるようになっている。しかし、これらの従来の技術には、薬品コストが高い、効果に汎用性が乏しい、設備や作業が煩雑になるなどの問題点がある。
このために、下水、し尿、産業排水などから生ずる生物処理汚泥を含む有機性汚泥に広く適用することができ、少量の薬剤の添加により効果的に脱水して、フロックの強度が大きく、ろ布からの剥離性が良好で、含水率の低いケーキを得ることができる汚泥脱水方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水、し尿、産業排水などより生ずる生物処理汚泥が含まれる有機性汚泥を、安定して効率的に脱水することができる汚泥脱水方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機性汚泥に対して、第四級アンモニウム基を有するモノマー単位、(メタ)アクリルアミド単位及び第四級アンモニウム基を有するモノマー単位の数以上の(メタ)アクリル酸単位を有し、固有粘度が5dL/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおけるk'の値が30〜50dL2/g2であり、水溶液が特定の曳糸長と1rpm外挿粘度を有する両性ポリマー及び無機凝集剤を添加して脱水することにより、極めて良好で安定した脱水を行い得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)有機性汚泥に対して、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド単位、(メタ)アクリルアミド単位及びアクリル酸若しくはアクリル酸ナトリウム単位を有し、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの構造単位の数がアクリル酸若しくはアクリル酸ナトリウム構造単位の数未満であり、0.1モル/Lの塩酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が7〜8.3dL/gであり、ηsp/c=[η]+k'cにおける勾配k'の値が30〜40dL2/g2あり、30℃における0.4重量%水溶液の曳糸長が60〜70mmであり、30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度が2,000〜3,000mPa・sである両性ポリマー及び無機凝集剤を添加して脱水することを特徴とする汚泥脱水方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の汚泥脱水方法においては、有機性汚泥に対して、一般式[1]、一般式[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有し、一般式[1]で表される構造単位の数が一般式[3]で表される構造単位の数未満であり、0.1モル/Lの塩酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が5dL/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおける勾配k'の値が30〜50dL2/g2であり、30℃における0.4重量%水溶液の曳糸長が55〜75mmであり、30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度が1,500〜3,500mPa・sである両性ポリマーを添加して脱水する。
【化3】
一般式[1]において、R1は水素又はメチル基であり、R2は水素、メチル基、エチル基又はベンジル基であり、3個のR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、Xは酸素又はイミノ基であり、Yはエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基又は2−ヒドロキシトリメチレン基であり、Zは塩素、臭素、ヨウ素、1/2SO4又はCH3SO4である。
【0006】
一般式[1]で表される構造単位を与えるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル第四級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアミン硫酸塩又は塩酸塩、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルアミン塩酸塩などの(メタ)アクリロイルオキシアルキル第三級アミン塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキル第四級アンモニウム塩などを挙げることができる。これらのモノマーは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、(メタ)アクリロイルオキシアルキル第四級アンモニウム塩は脱水効果に優れるので好適に用いることができ、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド及びメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドを特に好適に用いることができる。
一般式[2]において、R3は水素又はメチル基である。一般式[2]で表される構造単位を与えるモノマーは、(メタ)アクリルアミドである。アクリルアミド及びメタクリルアミドは、それぞれ1種を単独で用いることができ、あるいは、両者を組み合わせて用いることもできる。
【0007】
一般式[3]において、R4は水素又はメチル基であり、Mは水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。一般式[3]で表される構造単位を与えるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸カルシウムなどを挙げることができる。これらの中で、アクリル酸及びアクリル酸ナトリウムを好適に用いることができる。
本発明方法において用いる両性ポリマーは、一般式[1]で表される構造単位の数が、一般式[3]で表される構造単位の数未満である。一般式[1]で表される構造単位の数が一般式[3]で表される構造単位の数以上であると、凝集が不十分となったり、含水率が低下しないなど、十分な脱水効果が得られないおそれがある。
本発明方法に用いる一般式[1]、一般式[2]及び一般式[3]で表される構造単位を有する両性ポリマーは、これらの構造単位以外の構造単位を有することができる。一般式[1]、一般式[2]及び一般式[3]以外の構造単位を与えるモノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、マレイン酸、アクリル酸メチルなどを挙げることができる。一般式[1]、一般式[2]及び一般式[3]で表される構造単位以外の構造単位は、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0008】
本発明方法に用いる両性ポリマーは、0.1モル/Lの塩酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度[η]が5dL/g以上、より好ましくは7dL/g以上であり、ηsp/c=[η]+k'cにおける勾配k'が30〜50dl2/g2、より好ましくは30〜40dl2/g2である。
両性ポリマーの濃度の異なる溶液を数種調製し、あるいは、両性ポリマーの溶液を逐次希釈しつつ、オストワルド粘度計、ウベローデ型粘度計、キャノン−フェンスケ粘度計などの毛管粘度計を用いて、溶媒の粘度及び濃度の異なる溶液の粘度を測定する。溶媒の粘度がη0、濃度c(g/dL)の溶液の粘度がηであるとき、比粘度ηsp=(η−η0)/η0を濃度cで除した商である粘度数ηsp/cを濃度cに対してプロットすると、近似的にηsp/c=[η]+k'cで表される直線が得られる。得られた直線をc→0に外挿した切片[η](dL/g)が固有粘度であり、直線の勾配がk'(dL2/g2)である。
固有粘度[η]が5dL/g以上、勾配k'が30〜50dL2/g2の両性ポリマーを添加することにより、汚泥が効果的に凝集して良好な脱水性が得られる。両性ポリマーの固有粘度[η]が5dL/g未満であっても、勾配k'が30〜50dL2/g2を外れても、脱水性が不良となるおそれがある。勾配k'が脱水性に影響する理由は明らかではないが、勾配k'が小さいことは粘度の濃度依存性が小さいことを意味する。すなわち、濃度が高くなってもポリマー分子同士の相互作用が小さいと考えられる。したがって、勾配k'の小さいポリマーは、汚泥粒子とより反応しやすいポリマーであると考えることができる。
【0009】
本発明方法に用いる両性ポリマーの製造方法に特に制限はなく、例えば、水溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などを挙げることができる。水溶液重合法の場合、モノマー濃度が10〜80重量%であるようなモノマー水溶液を調製し、系内を不活性ガスで置換したのち、重合開始剤を加えて20〜60℃程度で数時間重合を行うことが好ましい。使用する重合開始剤としては、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウムなどのペルオキソ二硫酸塩、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物、アゾビスシアノバレリン酸、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などのアゾ系化合物などを挙げることができる。さらに、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウムなどの過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄などの還元剤を組み合わせたレドックス開始剤を使用することもできる。レドックス開始剤を用いることにより、あるいは、連鎖移動剤を添加することにより、容易に勾配k'が30〜50dL2/g2である両性ポリマーを得ることができる。
本発明方法に用いる両性ポリマーは、モノマーに光重合増感剤を加えたのち、紫外線などを照射する光重合法によって製造することもできる。光重合増感剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどを挙げることができる。これらの光重合増感剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。光重合増感剤を使用した光重合法によれば、容易に勾配k'が30〜50dL2/g2である両性ポリマーを得ることができる。
【0010】
本発明に用いる両性ポリマーの30℃における0.4重量%水溶液の曳糸長は55〜75mmであり、より好ましくは60〜70mmである。曳糸長は、例えば、協和界面科学(株)製の曳糸長測定器などを用いて測定することができる。ポリマーの0.4重量%水溶液約100mLをビーカーに採り、曳糸長測定器のガラス製回転楕円体をその長径に相当する液面下11mmまで浸漬し、10〜15秒間浸漬を続けたのち、上昇速度15.2mm/sで引き上げ、糸が切れるまでの液面からの上昇距離を曳糸長とする。
曳糸長は、ポリマーの分子量と分子量分布の影響を受け、一般に、分子量が高くなるほど、また、分子量分布が広くなるほど、曳糸長は長くなる。有機性汚泥を脱水する場合、分子量が高く、分子量分布が狭いポリマーが有効とされている。したがって、脱水に供するポリマーの曳糸長には適正範囲があり、しかもその範囲はポリマー組成によって異なる。ポリマー中にアニオンモノマー単位をカチオンモノマー単位と同数以上有する両性ポリマーは、30℃における0.4重量%水溶液の曳糸長が55〜75mmであるとき、優れた脱水効果を発揮する。
【0011】
本発明に用いる両性ポリマーの30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度は、1,500〜3,500mPa・sであり、より好ましくは2,000〜3,000である。1rpm外挿粘度は、JIS K 7117に準じて測定することができる。ポリマーの0.2重量%水溶液約500mLをビーカーに採り、B型粘度計を用い、スピンドル回転数を変えて粘度を数点測定し、回転数1rpmに外挿して1rpm外挿粘度を求める。スピンドルは、通常2号を用いるが、粘度によっては3号を用いる場合もある。スピンドル回転数は、6、12、30及び60rpmとし、スピンドル作動後、各々5分、3分、2分、1分後の粘度を読み取る。
1rpm外挿粘度は、ポリマー分子同士の相互作用の強弱を示す指標である。1rpm外挿粘度が低いポリマーは、分子同士の相互作用が弱く、凝集フロックが粗大化しない。1rpm外挿粘度の高いポリマーは、分子同士の相互作用が強く、強撹拌しないと汚泥粒子と反応しない。したがって、脱水性能に優れるポリマーは、ポリマー分子同士の相互作用とポリマー分子と汚泥粒子の反応性のバランスがよいポリマーである。30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度が1,500〜3,500mPa・sのポリマーは、ポリマー分子同士の相互作用とポリマー分子と汚泥粒子の反応性のバランスがよく、優れた脱水効果を発揮する。
本発明方法において、両性ポリマーの添加方法に特に制限はないが、下水、し尿、産業排水の処理で生じる有機性汚泥、すなわち、いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝集沈殿・浮上汚泥及びこれらの混合物を処理する場合には、0.1〜0.4重量%水溶液として添加することが好ましい。両性ポリマーの添加量にも特に制限はないが、汚泥固形分100重量部に対して両性ポリマー1〜2重量部を添加することが好ましい。
【0012】
本発明方法においては、両性ポリマーを単独で汚泥脱水に使用することもできるが、鉄塩、アルミニウム塩などの無機多価金属塩を含む無機凝集剤を併用することが好ましい。無機凝集剤を併用することにより、脱水効果を高めることができる。併用する無機凝集剤に特に制限はなく、例えば、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。併用する無機凝集剤の添加量に特に制限はないが、汚泥固形分100重量部に対して無機凝集剤10〜50重量部を添加することが好ましい。
本発明方法に用いる脱水機に特に制限はなく、例えば、遠心力を利用する遠心脱水機、多数のロールの間に2枚のろ布を連続的に移動させ、1台の機械で重力によるろ過と圧搾及び圧縮による脱水を行うベルトプレス脱水機、ろ布に付着させた汚泥中の水分を真空により吸引し脱水する真空脱水機、圧力をかけて圧搾することにより脱水する加圧脱水機などを挙げることができる。これらの中で、ベルトプレス脱水機を特に好適に用いることができる。
本発明の汚泥脱水方法によれば、従来の高分子凝集剤を用いる脱水方法に比べて、脱水ケーキの含水率を低減することができるとともに、汚泥性状の変動に対して安定した処理が可能である。このような効果を奏することから、本発明の汚泥脱水方法は、下水、し尿、産業排水の処理で生じる広範囲の有機性汚泥の処理に極めて有用であり、特に従来脱水が困難であった有機分含有量(VSS/SS)の高い汚泥、腐敗度の高い汚泥に対して、際だった効果を発揮する。
【0013】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、製造例において、得られたポリマーの曳糸長と1rpm外挿粘度は、下記の方法により測定した。
(1)曳糸長
曳糸長測定器[協和界面科学(株)]を用いて、30℃において測定する。ポリマーの0.4重量%水溶液100mLをビーカーに採り、曳糸長測定器のガラス製回転楕円体をその長径に相当する液面下11mmまで浸漬し、10〜15秒間浸漬を続けたのち、上昇速度15.2mm/sで引き上げ、糸が切れるまでの液面からの上昇距離を測定する。
(2)1rpm外挿粘度
JIS K 7117に準じ、B型粘度計と2号又は3号スピンドルを用い、ポリマーの0.2重量%水溶液について、30℃で測定する。スピンドル回転数60rpm、30rpm、12rpm及び6rpmで粘度を測定し、回転数1rpmに外挿して、1rpm外挿粘度を求める。
また、実施例及び比較例において、脱水ケーキの剥離性と造粒性は、下記の基準により判定した。
(1)脱水ケーキの剥離性
良好:脱水ケーキの90重量%以上が剥離される。
やや劣る:脱水ケーキの60重量%以上90重量%未満が剥離される。
不良:脱水ケーキの60重量%未満が剥離される。
(2)造粒性
良好:ポリマー添加量を増すとフロック径が大きくなっていき、30秒撹拌後もフロック径を保っている。
やや劣る:ポリマー添加量を増すとフロック径は大きくなるが、すぐにばらばらになってしまう。
不良:ポリマー添加量を増してもフロック径が大きくならない。
製造例1
アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド46.48g(0.24モル)、アクリルアミド19.90g(0.28モル)、アクリル酸20.18g(0.28モル)及び脱イオン水108.44gを300mLビーカーに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。次いで、あらかじめ窒素ガスで置換した20cm角×10cm深さのガラス製フタ付きステンレス鋼製容器にモノマー混合液を移し、ベンゾインイソプロピルエーテル69.2mg(対モノマー800ppm)をメタノール5mLに溶解した溶液を添加し、中心波長365nmの紫外線を照射して光重合を行った。重合中、ステンレス鋼製容器は15℃に保った。1時間後、ゲル状になったポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度8.3dL/g、k'32.3dL2/g2、曳糸長61mm、1rpm外挿粘度2,280mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーA−1とする。
製造例2
アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド34.86g(0.18モル)、アクリルアミド14.93g(0.21モル)、アクリル酸15.13g(0.21モル)及び脱イオン水130.08gを300mLビーカーに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。次いで、あらかじめ窒素ガスで置換した20cm角×10cm深さのガラス製フタ付きステンレス鋼製容器にモノマー混合液を移し、ベンゾインイソプロピルエーテル39.0mg(対モノマー600ppm)をメタノール5mLに溶解した溶液を添加し、中心波長365nmの紫外線を照射して光重合を行った。重合中、ステンレス鋼製容器は15℃に保った。1時間後、ゲル状になったポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度7.8dL/g、k'39.3dL2/g2、曳糸長60mm、1rpm外挿粘度2,980mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーA−2とする。
製造例3
アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド44.93g(0.232モル)、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド1.66g(0.008モル)、アクリルアミド19.90g(0.28モル)、アクリル酸20.18g(0.28モル)及び脱イオン水103.33gを300mLセパラブルフラスコに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。重合開始剤として、ペルオキソ二硫酸アンモニウム4.77mg(対モノマー55ppm)と二亜硫酸ナトリウム3.03mg(対モノマー35ppm)を、それぞれ脱イオン水5mLに溶解した溶液を添加し、20℃に加温して熱重合を行った。重合中の最高温度は、60℃であった。15時間後にゲル状になったポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度7.5dL/g、k'37.4dL2/g2、曳糸長62mm、1rpm外挿粘度2,740mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーA−3とする。
製造例4
ベンゾインイソプロピルエーテルの添加量を、259.7mg(対モノマー3,000ppm)とした以外は、製造例1と全く同じ条件でポリマーを製造した。得られたポリマーは、固有粘度4.9dL/g、k'20.2dL2/g2、曳糸長45mm、1rpm外挿粘度1,660mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーB−1とする。
製造例5
製造例1と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド、アクリル酸及び脱イオン水を300mLセパラブルフラスコに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。重合開始剤として、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩[和光純薬工業(株)、V−50]86.6mg(対モノマー1,000ppm)を添加し、40℃に加温して熱重合を行った。15時間後、ゲル状になったポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度8.5dL/g、k'45.2dL2/g2、曳糸長76mm、1rpm外挿粘度6,950mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーB−2とする。
製造例6
製造例3と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド、アクリル酸及び脱イオン水を300mLセパラブルフラスコに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。重合開始剤として、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩[和光純薬工業(株)、V−50]86.7mg(対モノマー1,000ppm)を添加し、40℃に加温して熱重合を行った。15時間後、ゲル状になったポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度7.0dL/g、k'52.8dL2/g2、曳糸長78mm、1rpm外挿粘度2,420mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーB−3とする。
製造例7
製造例3と同量のアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド、アクリル酸及び脱イオン水を300mLセパラブルフラスコに採り、氷浴中で窒素ガスを流量500mL/分で30分間通気し、モノマー混合液中の溶存酸素ガスを除去した。次いで、あらかじめ窒素ガスで置換した20cm角×10cm深さのガラス製フタ付きステンレス鋼製容器にモノマー混合液を移し、ベンゾインイソプロピルエーテル86.7mg(対モノマー1,000ppm)をメタノール5mLに溶解した溶液を添加し、中心波長365nmの紫外線を照射して光重合を行った。重合中、ステンレス鋼製容器は15℃に保った。1時間後、ゲル状になったポリマーを取り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得た。このポリマーは、固有粘度8.1dL/g、k'32.3dL2/g2、曳糸長82mm、1rpm外挿粘度2,720mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーB−4とする。
製造例8
重合中の最高温度が40℃を超えないように、重合中、重合容器気相に冷却した窒素ガスを通気した以外は、製造例3と全く同じ条件でポリマーを製造した。得られたポリマーは、固有粘度7.8dL/g、k'44.9dL2/g2、曳糸長54mm、1rpm外挿粘度1,400mPa・sであった。このポリマーを、ポリマーB−5とする。
製造例1〜8で得られた両性ポリマーA−1〜A−3及びB−1〜B−5のモノマー仕込み組成と、ポリマーの物性を第1表にまとめて示す。
【0014】
【表1】
【0015】
製造例1〜3で得られたポリマーA−1〜A−3は、固有粘度5dL/g以上、k'30〜50dL2/g2、曳糸長55〜75mm、1rpm外挿粘度1,500〜3,500mPa・sという条件を満たすポリマーである。製造例4で得られたポリマーB−1は、固有粘度5dL/g未満、k'30dL2/g2未満、曳糸長55mm未満である。製造例5で得られたポリマーB−2は、曳糸長が75mmを超え、1rpm外挿粘度が3,500mPa・sを超える。製造例6で得られたポリマーB−3は、k'が50dL2/g2を超え、曳糸長が75mmを超える。製造例7で得られたポリマーB−4は、曳糸長が75mmを超える。製造例8で得られたポリマーB−5は、曳糸長55mm未満、1rpm外挿粘度1,500mPa・s未満である。
実施例1
下水処理場の余剰汚泥を用いて、ベルトプレス脱水機適用机上試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH8.4、電気伝導率92mS/m、SS0.74重量%、VSS/SS86.7重量%、繊維分/SS6.4重量%であった。
汚泥200mLを300mLビーカーに採り、ハンドミキサーを用いて350rpmで撹拌しながら、塩化第二鉄を濃度1,500mg/Lになるように添加し、さらに20秒間撹拌した。次いで、ポリマーA−1の0.2重量%水溶液5mLを添加し、スパーテルを用いて180rpmの回転数で30秒間撹拌した。
ナイロンろ布を敷いたブフナーロートに内径5cmの塩ビ製円筒を置き、その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込んだ。20秒後の重力ろ液量は、126mLであった。さらに、ナイロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用ろ布に採り、98kPaの圧力で1分間圧搾を行った。ナイロンろ布からの脱水ケーキの剥離性は、良好であった。脱水ケーキの含水率は、82.0重量%であった。
圧搾後のケーキ径と乾燥後のケーキ重量から、ケーキ1cm2あたりの重量を求め、ベルトプレス型脱水機への換算係数3を掛けて処理量を算出すると、汚泥の予測処理量は78kg/m・hとなった。
実施例2
ポリマーA−1の代わりに、ポリマーA−2を用いた以外は、実施例1と同様にして試験を行った。20秒後の重力ろ液量は、122mLであった。脱水ケーキの剥離性は良好であり、含水率は81.9重量%であった。汚泥の予測処理量は、72kg/m・hとなった。
比較例1
ポリマーA−1の代わりに、ポリマーB−1を用いた以外は、実施例1と同様にして試験を行った。20秒後の重力ろ液量は、42mLであった。脱水ケーキの剥離性は良好であり、含水率は82.7重量%であった。汚泥の予測処理量は、46kg/m・hとなった。
比較例2
ポリマーA−1の代わりに、ポリマーB−2を用いた以外は、実施例1と同様にして試験を行った。20秒後の重力ろ液量は、74mLであった。脱水ケーキの剥離性は良好であり、含水率は81.9重量%であった。汚泥の予測処理量は、58kg/m・hとなった。
実施例1〜2及び比較例1〜2の結果を、第2表に示す。
【0016】
【表2】
【0017】
第2表に見られるように、実施例1〜2で用いたポリマーA−1とポリマーA−2は、20秒後の重力ろ液量が多く、優れた脱水性能を有し、実機においても処理量が多いことが予測される。特に、ポリマーA−1は脱水性能に優れている。これに対して、比較例1〜2で用いたポリマーB−1とポリマーB−2は、脱水性能が不十分である。
実施例3
浄水管理センターの余剰汚泥を用いて、ベルトプレス脱水機適用机上試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH6.43、電気伝導率738mS/m、SS0.73重量%、VSS/SS86.2重量%、繊維分/SS18.5重量%であった。
汚泥200mLを300mLビーカーに採り、ハンドミキサーを用いて350rpmで撹拌しながら、塩化第二鉄を濃度1,500mg/Lになるように添加し、さらに20秒間撹拌した。次いで、ポリマーA−3の0.2重量%水溶液3mLを添加し、スパーテルを用いて180rpmの回転数で30秒間撹拌した。
ナイロンろ布を敷いたブフナーロートに内径5cmの塩ビ製円筒を置き、その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込んだ。20秒後の重力ろ液量は、160mLであった。さらに、ナイロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用ろ布に採り、98kPaの圧力で1分間圧搾を行った。ナイロンろ布からの脱水ケーキの剥離性は、良好であった。脱水ケーキの含水率は、85.5重量%であった。汚泥の予測処理量は、66kg/m・hとなった。
比較例3
ポリマーA−3の代わりに、ポリマーB−3を用いた以外は、実施例3と同様にして試験を行った。20秒後の重力ろ液量は、140mLであった。脱水ケーキの剥離性はやや劣り、含水率は86.2重量%であった。汚泥の予測処理量は、55kg/m・hとなった。
比較例4
ポリマーA−3の代わりに、ポリマーB−4を用いた以外は、実施例3と同様にして試験を行った。20秒後の重力ろ液量は、138mLであった。脱水ケーキの剥離性は不良であり、含水率は86.3重量%であった。汚泥の予測処理量は、51kg/m・hとなった。
比較例5
ポリマーA−3の代わりに、ポリマーB−5を用いた以外は、実施例3と同様にして試験を行った。20秒後の重力ろ液量は、126mLであった。脱水ケーキの剥離性は不良であり、含水率は86.3重量%であった。汚泥の予測処理量は、58kg/m・hとなった。
実施例3及び比較例3〜5の結果を、第3表に示す。
【0018】
【表3】
【0019】
第3表に見られるように、実施例3で用いたポリマーA−3は、20秒後の重力ろ液量が多く、優れた脱水性能を有し、実機においても処理量が多いことが予測される。これに対して、比較例3〜5で用いたポリマーB−3、ポリマーB−4及びポリマーB−5は、20秒後の重力ろ液量がやや少なく、脱水ケーキの剥離性が劣り、脱水ケーキの含水率もやや高く、実機における処理量も少ないことが予測される。
実施例4
浄水センターの余剰汚泥を用いて、造粒濃縮/ベルトプレス脱水機机上試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH6.1、電気伝導率344mS/m、SS1.10重量%、VSS/SS84.2重量%、繊維分/SS4.3重量%であった。
汚泥200mLを300mLビーカーに採り、ハンドミキサーを用いて750rpmで撹拌しながら、塩化第二鉄を濃度1,500mg/Lになるように添加し、さらに20秒間撹拌した。次いで、ポリマーA−1の0.2重量%水溶液8mLを添加し、スパーテルを用いて180rpmの回転数で30秒間撹拌した。
フロック上面が液面に出る程度まで、ナイロンろ布を用いて上澄液をデカンテーションし、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーA−1の0.2重量%水溶液4mLを添加し、汚泥をビーカー壁面に押しつけるように撹拌して造粒を行った。造粒性は、良好であった。次に、ナイロンろ布を敷いたブフナーロートに内径5cmの塩ビ製円筒を置き、その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込んでろ過した。ナイロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用ろ布に採り、98kPaの圧力で1分間圧搾を行った。ナイロンろ布からの脱水ケーキの剥離性は、良好であった。脱水ケーキの含水率は、83.5重量%であった。汚泥の予測処理量は、120kg/m・hとなった。
実施例5
ポリマーA−1の水溶液の代わりに、ポリマーA−2の0.2重量%水溶液6mLを添加し、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーA−2の0.2重量%水溶液4mLを添加した以外は、実施例4と同様にして試験を行った。造粒性は、良好であった。脱水ケーキの剥離性は良好であり、含水率は83.7重量%であった。汚泥の予測処理量は、110kg/m・hとなった。
比較例6
ポリマーA−1の水溶液の代わりに、ポリマーB−1の0.2重量%水溶液10mLを添加し、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−1の0.2重量%水溶液4mLを添加した以外は、実施例4と同様にして試験を行った。しかし、造粒しなかったので、重力ろ過以降の試験には進まなかった。
比較例7
ポリマーA−1の水溶液の代わりに、ポリマーB−2の0.2重量%水溶液8mLを添加し、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−2の0.2重量%水溶液4mLを添加した以外は、実施例4と同様にして試験を行った。しかし、造粒しなかったので、重力ろ過以降の試験には進まなかった。
実施例4〜5及び比較例6〜7の結果を、第4表に示す。ただし、ポリマーの添加量は、汚泥200mLに対する1回目と2回目との添加量の合計で示した。
【0020】
【表4】
【0021】
第4表に見られるように、実施例4〜5で用いたポリマーA−1とA−2は、造粒性が良好であり、優れた脱水性能を有し、実機においても処理量が多いことが予測される。これに対して、比較例3〜5で用いたポリマーB−1とB−2では、造粒しない。
実施例6
化学工場の余剰汚泥と凝沈汚泥の混合汚泥を用いて、造粒濃縮/ベルトプレス脱水機机上試験を行った。用いた汚泥の性状は、pH6.6、電気伝導率307mS/m、SS1.53重量%、VSS/SS45.4重量%、繊維分/SS0.7重量%であった。
汚泥200mLを300mLビーカーに採り、ハンドミキサーを用いて750rpmで撹拌しながら、ポリ硫酸鉄を濃度3,000mg/Lになるように添加し、さらに20秒間撹拌した。次いで、ポリマーA−3の0.2重量%水溶液12mLを添加し、スパーテルを用いて180rpmの回転数で30秒間撹拌した。
フロック上面が液面に出る程度まで、ナイロンろ布を用いて上澄液をデカンテーションし、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーA−3の0.2重量%水溶液6mLを添加し、汚泥をビーカー壁面に押しつけるように撹拌して造粒を行った。造粒性は、良好であった。次に、ナイロンろ布を敷いたブフナーロートに内径5cmの塩ビ製円筒を置き、その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込んでろ過した。ナイロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用ろ布に採り、98kPaの圧力で1分間圧搾を行った。ナイロンろ布からの脱水ケーキの剥離性は、良好であった。脱水ケーキの含水率は、81.3重量%であった。汚泥の予測処理量は、128kg/m・hとなった。
比較例8
ポリマーA−3の水溶液の代わりに、ポリマーB−3の0.2重量%水溶液14mLを添加し、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−3の0.2重量%水溶液7mLを添加した以外は、実施例6と同様にして試験を行った。造粒性は、やや劣っていた。脱水ケーキの剥離性は良好であり、含水率は81.4重量%であった。汚泥の予測処理量は、115kg/m・hとなった。
比較例9
ポリマーA−3の水溶液の代わりに、ポリマーB−4の0.2重量%水溶液16mLを添加し、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−4の0.2重量%水溶液8mLを添加した以外は、実施例6と同様にして試験を行った。造粒性は、不良であった。脱水ケーキの剥離性は良好であり、含水率は81.7重量%であった。汚泥の予測処理量は、110kg/m・hとなった。
比較例10
ポリマーA−3の水溶液の代わりに、ポリマーB−5の0.2重量%水溶液12mLを添加し、スパーテルで凝集フロックを破壊したのち、さらにポリマーB−5の0.2重量%水溶液6mLを添加した以外は、実施例6と同様にして試験を行った。造粒性は、やや劣っていた。脱水ケーキの剥離性は良好であり、含水率は82.3重量%であった。汚泥の予測処理量は、110kg/m・hとなった。
実施例6及び比較例8〜10の結果を、第5表に示す。ただし、ポリマーの添加量は、汚泥200mLに対する1回目と2回目との添加量の合計で示した。
【0022】
【表5】
【0023】
第5表に見られるように、実施例6で用いたポリマーA−3は、造粒性が良好であり、優れた脱水性能を有し、実機においても処理量が多いことが予測される。これに対して、比較例8〜10で用いたポリマーB−3、B−4及びB−5は、造粒性が劣り、実機における処理量も少ないことが予測される。
【0024】
【発明の効果】
本発明の汚泥脱水方法によれば、従来の高分子凝集剤を用いる脱水方法に比べて、脱水ケーキの含水率を低減することができるとともに、汚泥性状の変動に対して安定した処理が可能である。このような効果を奏することから、本発明の汚泥脱水方法は、下水、し尿、産業排水の処理で生じる広範囲の有機性汚泥(いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝集沈殿、浮上汚泥及びこれらの混合物)処理に極めて有用であり、特に従来脱水が困難であった有機分含有量(VSS/SS)の高い汚泥、腐敗度の高い汚泥に対して、際だった効果を発揮する。
Claims (1)
- 有機性汚泥に対して、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド単位、(メタ)アクリルアミド単位及びアクリル酸若しくはアクリル酸ナトリウム単位を有し、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの構造単位の数がアクリル酸若しくはアクリル酸ナトリウム構造単位の数未満であり、0.1モル/Lの塩酸水溶液を用いてpH3に調整した1モル/Lの硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が7〜8.3dL/gであり、ηsp/c=[η]+k'cにおける勾配k'の値が30〜40dL2/g2あり、30℃における0.4重量%水溶液の曳糸長が60〜70mmであり、30℃における0.2重量%水溶液の1rpm外挿粘度が2,000〜3,000mPa・sである両性ポリマー及び無機凝集剤を添加して脱水することを特徴とする汚泥脱水方法。
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