JP2001299923A - 可撓性チューブおよびその製造方法 - Google Patents

可撓性チューブおよびその製造方法

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JP2001299923A
JP2001299923A JP2000124956A JP2000124956A JP2001299923A JP 2001299923 A JP2001299923 A JP 2001299923A JP 2000124956 A JP2000124956 A JP 2000124956A JP 2000124956 A JP2000124956 A JP 2000124956A JP 2001299923 A JP2001299923 A JP 2001299923A
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tube
flexible tube
flexible
annealing
axial direction
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Takashi Higashikubo
隆 東久保
Hirokazu Kuzushita
弘和 葛下
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押し込み性、トルク伝達性および追随性に優
れる上に、先端部側と基端部側との間での曲げ剛性の変
化率が従来よりも高く、さらに先端部付近でも座屈が生
じにくい耐キンク性に特に優れる可撓性チューブおよび
その製造方法を提供する。 【解決手段】 各々可撓性を有する略円筒状の内管3と
外管4とを、一または複数本の平角線状体11が網状に
編組されてなりかつ該内管3の軸線方向に対して各平角
線状体11の成す角度が該軸線方向に概ね沿って段階的
にまたは連続的に変化するような補強材を有する補強材
層を介在させて、内管3が外管4の内側となるようにし
て固着させてなるチューブ材を形成するチューブ材形成
工程と、チューブ材を50℃〜120℃で0.1時間〜
50時間アニールするアニール工程とを少なくとも有す
る可撓性チューブの製造方法および該製造方法によって
製造された可撓性チューブ1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造影用カテーテ
ル、ガイディングカテーテル、拡張用カテーテルなどの
カテーテルに好適な可撓性チューブおよびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】造影用カテーテル、ガイディングカテー
テル、拡張用カテーテルなどのカテーテルには、細く複
雑なパターンの血管系に迅速かつ確実な選択性をもって
挿入し得るような優れた操作性が要求される。このため
カテーテル用の可撓性チューブには、一本のチューブで
下記の特性を同時に満たすことが要求される。 (1)血管内を挿通させるために術者の押し込む力が術
者の手元側となるカテーテルの基端部から先端部に確実
に伝達され得る押し込み性 (2)基端部にて加えられた回転力が確実に先端部に伝
達され得るようなトルク伝達性 (3)曲がった血管内を先行するガイドワイヤに沿って
血管内壁を損傷することなく円滑に進み得るような追随
性 (4)目的箇所までチューブ先端部が到達し、ガイドワ
イヤを引き抜いた後でも血管の湾曲あるいは屈曲した部
分でチューブが座屈しないような耐キンク性
【0003】特開平6−134034号公報には、上記
の特性を満たすためのカテーテルチューブが開示されて
いる。該カテーテルチューブは、可撓性を有する内管お
よび外管が補強材層を介して接合された主要部と、補強
材層が介されずに内管および外管が接合される先端部と
を有するカテーテル本体を備える。前記補強材層は、主
要部に曲げ剛性を付与するためのものであり、線状体を
内管の外表面および外管の内表面に接するように格子状
に編組してなる。
【0004】さらに上記のカテーテルチューブでは、カ
テーテル本体の軸方向において曲げ剛性が段階的にまた
は連続的に変化するように、線状体のカテーテル本体の
軸に対する傾斜角度が該軸方向に段階的にまたは連続的
に変化するよう編組状態が設定される。カテーテルチュ
ーブの使用時において、先端部はその反対側の基端部側
と比較して曲げの頻度が高く、適度な剛性とともに適度
な柔軟性が要求される部分である。したがって上記編組
状態は、具体的には、カテーテルチューブの先端部側か
ら基端部側に向かうにつれて線状体の上記傾斜角度が小
さくなるように、換言するとカテーテル本体の曲げ剛性
が先端部側に向かうにつれて減少するように設定され
る。
【0005】しかしながら上記のカテーテルチューブを
用いて、JIS K 7203に規定される硬質プラス
チックの曲げ試験方法によって基端部側の曲げ剛性に対
する先端部側の曲げ剛性の割合である上記曲げ剛性の変
化率を測定したところ、測定値は0.7以上であった。
このような測定値では、上記曲げ剛性の変化が充分であ
るとは云えず、先端部側と基端部側との間でより曲げ剛
性の変化率の高いカテーテルチューブが望まれている。
またさらに上記カテーテルチューブは、特に先端部付近
において湾曲あるいは屈曲するように曲げたときに、座
屈が生じやすい問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の押し込み性、トルク伝達性および追随性に優れる上
に、先端部側と基端部側との間での曲げ剛性の変化率が
従来よりも高く、さらに先端部付近でも座屈が生じにく
い耐キンク性に特に優れる可撓性チューブおよびその製
造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、各々可撓性を有
する内管と外管とを一または複数本の平角線状体が網状
に編組されてなる補強材を有する補強材層を介在させて
固着させて形成されるチューブ材を50℃〜120℃で
0.1時間〜50時間アニールする方法で可撓性チュー
ブを製造することによって、優れた押し込み性、トルク
伝達性および追随性を備える上に、先端部側と基端部側
との間での曲げ剛性の変化率が従来よりも高く、さらに
先端部付近でも座屈が生じにくい耐キンク性に特に優れ
る可撓性チューブおよびその製造方法を提供することが
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は以下のとおりである。 (1)各々可撓性を有する略円筒状の内管と外管とを、
一または複数本の平角線状体が網状に編組されてなりか
つ該内管の軸線方向に対して各平角線状体の成す角度が
該軸線方向に概ね沿って段階的にまたは連続的に変化す
るような補強材を有する補強材層を介在させて、内管が
外管の内側となるようにして固着させてなるチューブ材
を形成するチューブ材形成工程と、チューブ材を50℃
〜120℃で0.1時間〜50時間アニールするアニー
ル工程とを少なくとも有することを特徴とする可撓性チ
ューブの製造方法。 (2)上記(1)に記載の製造方法によって得られた可
撓性チューブ。 (3)補強材が、内管の軸線方向に対して各平角線状体
の成す角度が一端部側から他端部側に向かって段階的に
または連続的に大きくなるように変化するように平角線
状体を編組してなるものであることを特徴とする上記
(2)に記載の可撓性チューブ。 (4)カテーテル用であることを特徴とする上記(2)
または(3)に記載の可撓性チューブ。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の可撓性チューブ
を、その製造方法と共に詳細に説明する。本発明の可撓
性チューブの製造方法は、基本的に、チューブ材を形成
するチューブ材形成工程と、該チューブ材をアニールす
るアニール工程とを有する。上記チューブ材は、各々可
撓性を有する内管と外管とを、一または複数本の平角線
状体が網状に編組されてなる補強材を有する補強材層を
介在させて、内管が外管の内側となるようにして固着さ
せてなるものである。チューブ材形成工程は、大きく分
けて内管形成工程と、補強材層形成工程と、外管
形成工程、の三つの工程を含有する。
【0010】内管形成工程ではまず、芯線を後述する
内管の材料で被覆して、芯線上に内管3を成形する。こ
の被覆および成形に用いられる装置としてはたとえば3
0mmφ押出機などが挙げられる。芯線としてはたとえ
ばSUS線、ニッケルメッキ軟銅線などが挙げられ、S
US線が特に好適に用いられる。
【0011】内管は、略円筒状の管部材に成形され、好
ましくは真円の円筒状に成形される。内管を形成する材
料としては、可撓性チューブとして成形した際に要求さ
れる程度の可撓性と剛性とを有するような材料であれば
特には限定されないが、好ましい材料としては、たとえ
ばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素
系樹脂、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン612な
どのポリアミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂などが挙げ
られ、中でもフッ素系樹脂が好ましい。このような内管
は、その内径が好ましくは0.3mm〜2.5mm、よ
り好ましくは0.5mm〜2.0mmとなるように、そ
の外径が好ましくは0.4mm〜2.6mm、より好ま
しくは0.6mm〜2.1mmとなるように形成され
る。また内管の材料としては、ショアD硬度が好ましく
は40〜80、より好ましくは50〜70のものが用い
られる。
【0012】上記内管は、成形後に表面処理剤を用いて
表面処理が施される。上記表面処理剤としては、たとえ
ばテトラエッチ(潤工社製)などが好適に用いられる。
このようにして、チューブ材の内管が形成される。
【0013】続く補強材層形成工程では、上記内管
形成工程で形成された内管の外表面に平角線状体を螺旋
状に巻き付けて、網状に編組することによって補強材層
を形成する。なお本明細書中において「平角線状体」と
はその延在方向に垂直な断面形状が略長方形である線状
体をさす。また本明細書中においては、該断面の略長方
形において長辺に沿った方向を平角線状体の幅方向と
し、該長辺に対し略垂直な短辺に沿った方向を平角線状
体11の厚み方向とする。上記略長方形は長辺および短
辺の少なくともいずれかが曲線であるものも含有し、ま
た略正方形も含有する。該断面形状が略正方形である場
合は四つの辺のうちいずれかの辺に沿った方向を幅方向
とし、これに略垂直な方向を厚み方向とする。平角線状
体は、その厚み方向が該内管の径方向と略一致するよう
に網状に編組される。なお本明細書でいう「網状」と
は、たとえば複数本の平角線状体を内管の外表面に互い
に巻き付け方向を変えてたるむことなく螺旋状に巻き付
けることなどによって編組された平角線状体が互いに規
則的に交差するような編組状態をさす。補強材層は、た
とえば平角線状体が互いに規則的に交差することで、各
平角線状体に囲まれたいわば網目となる部分の形状が各
々菱形状となるように編組される。
【0014】該平角線状体は、好ましくは引張強さが5
00MPa〜2000MPa、より好ましくは1000
MPa〜1500MPaのものが用いられ、その材料と
してはSUS304、SUS316、SUS201、S
US303、SUS305、SUS309、SUS31
0などのステンレス鋼線などが挙げられ、特にSUS3
04が好ましい。平角線状体の大きさは、上記編組に適
するものであれば特には限定されないが、その幅が好ま
しくは40μm〜200μm、より好ましくは50μm
〜100μmであり、その厚みが好ましくは5μm〜5
0μm、より好ましくは20μm〜40μmである。ま
た平角線状体は、上記網状に編組されるならば用いる本
数は特には限定されず、一本であってもよいし、複数本
であってもよいが、特に好ましくは一本の平角線状体を
用いて編組する。
【0015】なお本発明において補強材は、内管の軸線
方向に対して各平角線状体の成す角度が該軸線方向に概
ね沿って変化するように該平角線状体が網状に編組され
る。上記角度の変化は、段階的であってもよく、また連
続的であってもよい。平角線状体の巻き付けは、たとえ
ば編組機などの装置を用いて、当分野において一般的に
行われている方法で行う。たとえば後述するような複数
個の領域において上記角度が段階的に変化するような構
成の可撓性チューブを得たいときには、内管の回転速度
を一定とした場合、内管の軸線方向に沿った移動の速度
を上記各領域のそれぞれの巻き付け位置において順次増
加させることによって、上記角度が各領域ごとに段階的
に変化するように平角線状体を編組することができる。
このようにして平角線状体が上記のように編組されてな
る補強材を有する補強材層が形成される。
【0016】続く外管形成工程では、補強材形成工
程で得られた芯線を含む内管に平角線状体を巻き付けた
ものを、後述する外管を形成する材料で、所定の外径と
なるように被覆する。該被覆に用いる装置としては、た
とえば20mmφ押出機、ディップコート装置などが挙
げられる。該被覆は、外管の内表面が平角線状体を介し
て内管の外表面と固着するようになされる。また外管の
内表面と内管の外表面および平角線状体との間に、ウレ
タン接着剤、エポキシ接着剤などの接着剤を介在させる
ことで上記固着を行ってもよい。このようにして外管が
内管の外側となるように補強材層を介して固着される。
【0017】外管も、内管と同様に円筒状の管部材に成
形されるが、好ましくは真円の円筒状に成形される。外
管を形成する材料としては、可撓性チューブとして成形
した際に要求される程度の可撓性と剛性とを有するよう
な材料であれば特には限定されないが、好ましい材料と
しては、たとえばポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポ
リエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられ、
後述するように本発明の製造方法で得られた可撓性チュ
ーブをカテーテルに用いる場合には、上記した中でも特
に抗血栓性に優れるポリウレタン樹脂が好ましい。この
ような外管は、その外径が好ましくは0.7mm〜4.
0mm、より好ましくは0.9mm〜2.5mmである
ように形成される。また外管の材料としては、ショアD
硬度が好ましくは40〜80、より好ましくは50〜7
0のものが用いられる。
【0018】また内管および/または外管の構成材料
中、好ましくは外管の構成材料中には、使用時にX線透
視下で可撓性チューブの位置を確認できるようにX線造
影剤が混練される。該X線造影剤としては、たとえば白
金、金、銀、タングステンまたはこれらの合金による金
属粉末、硫酸バリウム、酸化ビスマスまたはそれらのカ
ップリング化合物などが挙げられる。
【0019】なお内管および外管の各径は、該チューブ
の軸線方向に沿ってそれぞれ一定であってもよく、また
該軸線方向に沿ってそれぞれの好適な径の範囲内で変化
してもよい。たとえば後述するように本発明の可撓性チ
ューブが、平角線状体の該軸線方向に対して成す角度が
段階的に変化する構成の場合、上記平角線状体の角度が
変化する前後や、先端部と補強材層介在部とが連なる境
界の前後において、内管の外径または外管の外径が該軸
線方向に沿って先端部に向かって漸減したり、内管の内
径が同様に先端部に向かって漸増したりするように成形
されてもよい。
【0020】上記のようなチューブ材形成工程を経てチ
ューブ材を形成した後、アニール工程を行う。該アニー
ル工程では、空気循環式オーブンなどの装置を用いて、
アニール換言すれば焼きなましを行う。アニールの温度
条件としては、50℃〜120℃、好ましくは80℃〜
105℃である。またアニール時間は0.1時間〜50
時間、好ましくは3時間〜24時間である。
【0021】アニール工程を経た後、芯線引き抜き機な
どを用いて、内管から芯線を引き抜くことで、本発明の
可撓性チューブを製造することができる。
【0022】このような本発明の製造方法によって製造
された可撓性チューブの好適な例を図1および図2に、
該可撓性チューブを用いたカテーテルの好適な例を図3
に示す。図1は本発明の好ましい一例の可撓性チューブ
1の補強材層介在部2を一部切り欠いた状態で模式的に
示す側面図であり、図2は図1の可撓性チューブ1の内
管3の軸線方向Aに対して垂直な仮想一平面における切
断面線I−Iからみた簡略化した断面図であり、図3は
図1の可撓性チューブ1を用いたカテーテル6の好まし
い一例を簡略化して示す図である。図1および図2に示
すように本発明の可撓性チューブ1は、可撓性を有する
真円の円筒状の内管3および外管4と、それらの間に介
在される補強材層5とを有する補強材層介在部2を備え
る。内管3と外管4とは、内管3が外管4の内側となる
ように、内管3の外表面3aと外管4の内表面4aとの
間に補強材層5を介して固着される。本発明の可撓性チ
ューブ1は、カテーテル用として特に好適に用いられ
る。なお、内管3、外管4および可撓性チューブ1の各
軸線方向は、共に同じ方向Aであるものとする。
【0023】図3に示すように、可撓性チューブ1は上
記の補強材層介在部2以外に、補強材層介在部2の一端
部分2aに連なる先端部7を備える。該先端部7は補強
材層介在部2とは異なり、内管3と外管4との間に補強
材層5を介在しない。カテーテル6に用いる場合、補強
材層介在部2の上記一端部分2aとは反対側の他端部分
2bには、ハブ8が装着される。図1および図2に示す
ように可撓性チューブ1は、その内部に管腔10が形成
されている。該管腔10は、可撓性チューブ1の基端部
9から上記先端部7にかけて連なる。該管腔10は、上
記の内管3の内部空間に相当し、本発明の可撓性チュー
ブ1をカテーテルに用いる場合には薬液などの流路とな
るものである。血管への挿入時には、該管腔10内にガ
イドワイヤが挿通される。ハブ8は、管腔10内への薬
液などの注入口および前記ガイドワイヤの挿入口として
機能し、また、可撓性チューブ1を操作する際の把持部
としても機能する。
【0024】なお本発明の可撓性チューブでは、上述の
ように該チューブの軸線方向に対して成す角度が該軸線
方向に概ね沿って段階的にまたは連続的に変化するよう
各平角線状体を編組することによって、該軸線方向にお
ける曲げ剛性が段階的にまたは連続的に変化するように
調整される。したがって上記曲げ剛性の変化は内管3お
よび外管4に用いる構成材料の剛性の差異によって調整
しなくてもよく、内管3および外管4を同一の材料で構
成してもよい。内管3および外管4を同一の材料で構成
する場合には、可撓性チューブ1の製造をより容易とす
ることができるとともに、製造コストもより安価とする
ことができる。
【0025】このような内管3と外管4との間に介在さ
れる補強材層5は、複数本の平角線状体11が網状に編
組されてなる補強材12を有する。図1には、上記角度
が段階的に変化する場合を示している。可撓性チューブ
1の軸線方向Aに対して各平角線状体11の成す角度が
段階的に変化する場合、補強材層介在部2は軸線方向A
に沿った複数個の領域に分けられる。図1では、たとえ
ば補強材層介在部2を、該可撓性チューブ1の先端部7
側から基端部9側に向かって順に先端側領域14と中間
領域15と基端側領域16との三つの領域に分けた態様
を示す。
【0026】このような可撓性チューブ1において、図
1に示すように先端側領域14の平角線状体11が上記
軸線方向Aに対して角度θ1を成し、中間領域15の平
角線状体11が上記軸線方向Aに対して角度θ2を成
し、基端側領域16の平角線状体11が上記軸線方向A
に対して角度θ3を成すとき、θ1>θ2>θ3の関係
が成り立つ。上記角度θ1は、好ましくは50°〜90
°、より好ましくは60°〜80°の範囲から選ばれ、
上記角度θ2は、好ましくは35°〜65°、より好ま
しくは45°〜55°の範囲から選ばれ、上記角度θ3
は、好ましくは10°〜50°、より好ましくは20°
〜40°の範囲から選ばれる。
【0027】補強材層5において、平角線状体11の上
記角度が小さいほど、編組された平角線状体11の延在
方向が可撓性チューブ1の軸線方向Aと平行に近くな
る。補強材12は、平角線状体11の延在方向が可撓性
チューブ1の軸線方向Aに対して平行に近づく程、その
補強効果は高まり、補強材層介在部2に付与される曲げ
剛性が大きくなる。したがって平角線状体11の角度を
上記のように設定することで、中間領域15は基端側領
域16よりも曲げ剛性が小さくなり、先端側領域14は
中間領域15よりも曲げ剛性が小さくなり、補強材層5
の存在しない先端部7においては、先端側領域14より
もさらに曲げ剛性が小さくなる。言い換えれば、可撓性
チューブ1は、基端部9側から先端部7側に向かうにつ
れて順次柔軟性が増すように構成される。
【0028】このような構成の場合、補強材層介在部2
は、前記先端側領域14における曲げ剛性を1とした場
合に、前記中間領域15における曲げ剛性が好ましくは
1〜3、より好ましくは1.5〜2.5となるように、
前記基端側領域16における曲げ剛性が好ましくは2〜
5、より好ましくは3〜4となるように実現される。
【0029】上記先端側領域14、中間領域15および
基端側領域16の上記軸線方向Aに沿った長さは、その
用途に応じて適宜選択されるが、たとえば可撓性チュー
ブの全長が110cmであるとき、上記先端側領域14
の長さが1cm〜10cm、中間領域15の長さが10
cm〜40cm、基端側領域16の長さが50cm〜8
0cmである。
【0030】以上のように本発明の可撓性チューブ1
は、基端部9側から先端部7側に向かうにつれて曲げ剛
性が小さくなるように構成される。このように全体にわ
たって適度な柔軟性を有し、特に先端部7側において柔
軟性の高い構成であるので、カテーテルに用いた場合に
は血管内壁などに与える刺激が極めて少なく、血管内を
先行するガイドワイヤに沿って血管内壁を損傷すること
なく円滑に進み得るような追随性に優れた可撓性チュー
ブ1を提供することができる。さらに本発明における可
撓性チューブ1は、上記のようにチューブ材を50℃〜
120℃で0.1時間〜50時間の条件下でアニールす
るアニール工程を経て製造されてなるものである。この
ようなアニールを施すことによって、従来のようにアニ
ールを施されずに製造された可撓性チューブと比較し
て、先端部側と基端部側との間の曲げ剛性の変化率のよ
り高い可撓性チューブ1を得ることができる。具体的に
は、JIS K 7203に規定される硬質プラスチッ
クの曲げ試験方法によって測定される基端部の曲げ剛性
に対する先端部の曲げ剛性の割合が0.7未満であるよ
うな可撓性チューブを得ることができる。これによっ
て、従来よりもさらにすぐれた追随性を備える可撓性チ
ューブ1を提供することができる。
【0031】また本発明の可撓性チューブ1は、血管内
を挿通させるために術者の押し込む力が術者の手元側と
なる可撓性チューブ1の基端部9から先端部7に確実に
伝達され得、かつ基端部9にて加えられた回転力が確実
に先端部7に伝達され得るに充分な剛性をチューブ1全
体にわたって有し、特に基端部9側では剛性の高い構成
である。したがって優れた押し込み性およびトルク伝達
性を発揮することができる可撓性チューブ1を提供する
ことができる。
【0032】またさらに上記アニール工程を経て製造さ
れた可撓性チューブは、該アニール工程を経ずに製造さ
れた可撓性チューブと比較して、どの部分で湾曲あるい
は屈曲するように曲げても座屈が生じにくい。したがっ
て従来座屈が生じてしまいやすかった先端部7付近にお
いても座屈が生じにくいので、ガイドワイヤを引き抜い
た後でも血管の湾曲あるいは屈曲した部分でチューブが
座屈しにくい耐キンク性に優れるカテーテルに好適な可
撓性チューブ1を提供することができる。
【0033】平角線状体11を用いた可撓性チューブ
は、該平角線状体11の厚みと同じ径の丸線を用いた可
撓性チューブよりも径方向の圧縮強さが大きくなるた
め、補強材層5の厚みが大きくなることなく耐キンク性
を向上することができる。
【0034】上記の態様では、該可撓性チューブの先端
部は、内管と外管との間に補強材層が介在されない構成
であったけれども、本発明においては先端部にも補強材
層が介在されていてもよい。このような場合には、先端
部における平角線状体の上記軸線方向Aに対する角度
は、先端側領域14における上記角度θ1よりも大きく
なるように実現される。
【0035】また図1に示した態様では、補強材層介在
部2は、三つの領域、すなわち先端側領域14、中間領
域15および基端側領域16に分けられたけれども、こ
のような三つの領域への分割には限定されず、基端部9
側から先端部7側に向かうにつれて柔軟性が順次増加す
る構成であるならば、二個の領域に分割される構成であ
ってもよくまた四個以上の領域に分割されるような構成
であってもよい。
【0036】また上記のように先端部7側から基端部9
側へ向かって段階的に剛性が増加するような構成であっ
たけれども、本発明はこれに限定されず、先端部7側か
ら基端部9側へ向かって連続的に剛性が増加するような
構成であってもよい。
【0037】また本発明の可撓性チューブにおいて、基
本的には、先端部側から基端部側へ向かって段階的にま
たは連続的に剛性が増加するような構成であるけれど
も、必ずしもそうである必要はなく、たとえば本発明を
中間領域で予め湾曲するような湾曲部を備える可撓性チ
ューブで実現する場合には、中間領域における剛性が基
端側領域の剛性よりも大きくなるように形成されてもよ
い。
【0038】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。 実施例1 図1および図2に示した構成の可撓性チューブ1の試作
品を、上述した製造方法によって10個作製した。該チ
ューブ1の各部の条件は以下のとおりである。なお、平
角線状体11の編組には、超小型高速度編組機を用い
た。 可撓性チューブ1の全長:110cm 先端側領域14の長さ:10cm 中間領域15の長さ:20cm 基端側領域16の長さ:70cm 先端部7の長さ:10cm 内管3の内径R1:1.20mm 内管3の外径R2:1.28mm 外管4の外径R3:1.65mm 内管3の構成材料:フッ素系樹脂(テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、
ショアD硬度:60) 外管4の構成材料:X線造影剤(酸化ビスマス)入りポ
リウレタン樹脂(脂肪族系熱可塑性ポリウレタンエラス
トマー、ショアD硬度:60) 内管3の表面処理剤:テトラエッチ(潤工社製) 平角線状体11の構成材料:SUS304 平角線状体11の幅:89μm 平角線状体11の厚み:22μm 角度θ1:70° 角度θ2:45° 角度θ3:30° アニール温度:80℃ アニール時間:16時間
【0039】実施例2 アニール温度を105℃としてアニールを行った以外
は、実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を
10個作製した。
【0040】実施例3 アニール温度を60℃としてアニールを行った以外は、
実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を10
個作製した。
【0041】実施例4 アニール時間を0.5時間としてアニールを行った以外
は、実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を
10個作製した。
【0042】実施例5 アニール温度を115℃としてアニールを行った以外
は、実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を
10個作製した。
【0043】実施例6 アニール時間を48時間としてアニールを行った以外
は、実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を
10個作製した。
【0044】比較例1 アニール温度を40℃としてアニールを行った以外は、
実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を10
個作製した。
【0045】比較例2 アニール時間を0.05時間としてアニールを行った以
外は、実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品
を10個作製した。
【0046】比較例3 アニール温度を130℃としてアニールを行った以外
は、実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を
10個作製した。
【0047】比較例4 アニール時間を60時間としてアニールを行った以外
は、実施例1と同様にして、可撓性チューブの試作品を
10個作製した。
【0048】比較例5 アニール工程を行わなかった以外は、実施例1と同様に
して、可撓性チューブの試作品を10個作製した。
【0049】曲げ剛性変化率試験 各々10個ずつ作製した実施例および比較例の試供品
を、JIS K 7203に規定される硬質プラスチッ
クの曲げ剛性試験方法によって基端部側の曲げ剛性に対
する先端部側の曲げ剛性の割合である上記曲げ剛性の変
化率を測定した。該測定値が0.7未満のものを○、該
測定値が0.7以上のものを×とした。
【0050】耐キンク性試験 各々10個ずつ作製した実施例および比較例の試供品
を、それぞれ先端側領域の中心の位置で160°に折り
曲げ、座屈が生じるかどうかを試験した。座屈が生じな
っかたものを○、座屈数が1/10以上であったものを
×とした。結果を表1に示す。
【0051】曲げ剛性試験 JIS K 7203に規定される試験方法によって曲
げ剛性の試験を行った。各試供品の先端側領域および基
単側領域をそれぞれ5cm長に切断し、三点曲げにより
2mmたわみ時の荷重を測定しこれを曲げ剛性とした。
各試供品の先端側領域については曲げ剛性が0.3N以
下の場合には追随性が充分であるとして○、0.3Nを
超える場合には追随性に劣るとして×とした。また各試
供品の基端側領域については曲げ剛性が0.6N以上の
場合には押し込み性およびトルク伝達性が充分であると
して○、0.6N未満の場合には押し込み性およびトル
ク伝達性に劣るとして×とした。なお該試験は、試験速
度が1mm/min、支持点間の距離が30mm、試験
温度が23℃の条件で行った。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、押し込み性、トルク伝達性および追随性に優れ
る上に、先端部側と基端部側との間での曲げ剛性の変化
率が従来よりも高く、さらに先端部付近でも座屈が生じ
にくい耐キンク性に特に優れる可撓性チューブおよびそ
の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一例の可撓性チューブ1の補
強材層介在部2を一部切り欠いた状態で模式的に示す側
面図である。
【図2】図1の可撓性チューブ1の内管3の軸線方向A
に対して垂直な仮想一平面における切断面線I−Iから
みた簡略化した断面図である。
【図3】図1の可撓性チューブ1を用いたカテーテル6
の好ましい一例を示す図である。
【符号の説明】
1 可撓性チューブ 2 補強材層介在部 3 内管 4 外管 5 補強材層 6 カテーテル 7 先端部 9 基端部 11 平角線状体 12 補強材 14 先端側領域 15 中間領域 16 基端側領域

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々可撓性を有する略円筒状の内管と外
    管とを、一または複数本の平角線状体が網状に編組され
    てなりかつ該内管の軸線方向に対して各平角線状体の成
    す角度が該軸線方向に概ね沿って段階的にまたは連続的
    に変化するような補強材を有する補強材層を介在させ
    て、内管が外管の内側となるようにして固着させてなる
    チューブ材を形成するチューブ材形成工程と、 チューブ材を50℃〜120℃で0.1時間〜50時間
    アニールするアニール工程とを少なくとも有することを
    特徴とする可撓性チューブの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法によって得ら
    れた可撓性チューブ。
  3. 【請求項3】 補強材が、内管の軸線方向に対して各平
    角線状体の成す角度が一端部側から他端部側に向かって
    段階的にまたは連続的に大きくなるように変化するよう
    に平角線状体を編組してなるものであることを特徴とす
    る請求項2に記載の可撓性チューブ。
  4. 【請求項4】 カテーテル用であることを特徴とする請
    求項2または3に記載の可撓性チューブ。
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