JP2006218085A - 医療用カテーテルチューブならびにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた位置調整性、トルク伝達性、柔軟性、耐キンク性、耐圧性、押し込み性等を有し、特に先端部が好適なX線視認性と同時に優れた柔軟性を発揮し、かつ術者が押し込み、引き抜きを繰り返す過程で、伸びてしまい位置調節性が低下することのない医療用カテーテルチューブ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内層管、補強材層、マーカー、外層管が一体となった医療用カテーテルチューブであって、補強材層を形成する素線が合成樹脂素線および/または金属素線からなり、粗いピッチで内層管上に素線をコイル状に巻回してから、さらにこの粗いピッチで巻回された素線と内層管を素線で編組して覆い、該補強材層と該外層管の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成した。
【選択図】図26
【解決手段】内層管、補強材層、マーカー、外層管が一体となった医療用カテーテルチューブであって、補強材層を形成する素線が合成樹脂素線および/または金属素線からなり、粗いピッチで内層管上に素線をコイル状に巻回してから、さらにこの粗いピッチで巻回された素線と内層管を素線で編組して覆い、該補強材層と該外層管の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成した。
【選択図】図26
Description
本発明は、優れた柔軟性、位置調整性、トルク伝達性、耐キンク性、耐圧性、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性等を有する医療用カテーテルチューブならびにその製造方法に関する。
特に本発明は先端部が好適なX線視認性と同時に優れた柔軟性を発揮し、かつ術者が押し込み、引き抜きを繰り返す過程で、伸びてしまい位置調節性が低下することのない医療用カテーテルならびにその製造方法に関する。
カテーテルチューブは体内の腔、管、血管等に挿入する中空状の医療器具であり、例えば選択的血管造影剤等の液体の注入、血栓の吸引、閉塞状態にある血管の通路確保、血管拡張術等に用いられるもので、通常チューブ体からなっている。このようなカテーテルでは、細く複雑なパターンの血管系などに迅速かつ確実な選択性をもって挿入しうるような優れた操作性が要求される。
このようなカテーテルチューブの操作性について詳しく述べると、血管内等を挿入、引き出しなど、術者の操作が基部から先端部に確実に伝達されるための位置調整性や、内部に薬液等を流通させる際の耐圧性が必要とされる。この位置調節性にはカテーテルが伸びないという特性が必要である。また、カテーテルチューブの基部で加えられた回転力が確実に伝達されるためのトルク伝達性、血管内を前進させるために施術者の押し込み力が基端側から先端側に確実に伝達されうる押し込み性も必要となる。さらに複雑な形状に曲がった血管等を先行するガイドワイヤーに沿って円滑かつ血管内壁等を損傷することなく挿入、引き出しが行えるよう、カテーテルチューブの内面が滑性を呈するガイドワイヤー追随性とカテーテル外面の血液や組織に対する親和性が必要となる。加えて、目的とする位置までカテーテルチューブ先端が到達し、ガイドワイヤーを引き抜いた状態でも、血管の湾曲部、屈曲部でカテーテルチューブに折れ曲がりが生じない耐キンク性と、血管を傷つけず血管形状に応じた形状を保つ先端部の柔軟性が必要となる。
このような要求に応じた特性を付与するために一般的には、基部が比較的剛直で、先端部にかけて次第に柔軟性を有する構造、構成とするのがよいことが知られている。
上述のような特性のカテーテルチューブを得るために、内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けたり、編組を施した上で、外層を被覆してカテーテルチューブを構成する方法が知られている。
内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けるものとして、特許文献1では可撓性を有する内管と外管が補強材層を介して接合された部分を有するカテーテル本体を有し、前記補強材層は、線条体を格子状に形成したものであり、前記カテーテル本体の軸方向に沿って、前記線条体のカテーテル本体の軸に対する傾斜角度が連続的または段階的に変化するか、あるいは前記線条体の格子点のカテーテル本体軸方向の間隔が連続的または段階的に変化することによって曲げ剛性が大なる領域と曲げ剛性が小なる領域を形成するカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、このカテーテルチューブでは剛性のある基部と柔軟性がある先端部を形成することはできるが、その剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えて、X線視認性を与えるマーカーについては具体的な記載が無く、カテーテル先端部の高度な柔軟性と同時にX線視認性を確保するという思想はない。さらに、カテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びるということに対して配慮がない。さらに、カテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びるということに対して配慮がない。
また、内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けるものとして、特許文献2のように、近位端、遠位端、そしてこれら端部間を伸びる内腔を規定する通路を有する細長い管状部材を備えたカテーテルチューブであって、該細長い管状部材は、第1のカバー材料を有する外部管状カバーと同軸関係にある第1のライナー材料よりなる内部管状ライナーと、1つの回りを有し、該内部管状ライナーの外側にらせん状あるいは同軸状に巻かれ、該外部管状カバーによって覆われる少なくとも1つの第1のリボン補強材とを備えるカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、この構成でもその剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらにその製造上、リボン補強材の弾性力により切断端が内部管状ライナーや外部管状カバーを突き破るなどの不具合が生じて生産性に劣る。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えてX線視認性を与えるマーカーについてはX線不透過性のバンドを用いるとしているが、どのような態様でそれを構成するかについては具体的な記載がない。さらに、カテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びるということに対して配慮がない。
加えて、特許文献3のように、可撓性を有する管状のカテーテル本体と、該カテーテル本体の壁内に埋設された、補強効果を有するコイルとを備えたカテーテルであって、前記カテーテル本体は、前記カテーテルの最も先端側に位置する第1領域と、該第1領域よりも基端側に位置する第2領域とを備えており、前記コイルは、前記第1領域から前記第2領域にわたって延在しており、前記第2領域では、前記コイルが全長にわたって相対的に大きい巻きピッチで巻かれており、前記第1領域では、前記コイルが全長にわたって隣接する巻回同士が隔たりをなす相対的に小さい巻きピッチで巻かれており、かつ、該コイルの巻きピッチは先端側に向かって徐々に小さくなっており、前記第2領域に比べて前記第1領域でのカテーテルの剛性が小さくなるように構成したことを特徴とするカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、このカテーテルチューブは剛性の高い基部と柔軟性が高い先端部を形成することは可能であり、曲げ剛性のバランスを保つことはできるが、多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。さらにこのカテーテルチューブは補強効果を有するコイルが全てX線不透過性の金属線からなり、先端部の柔軟性が不充分なものとなり、加えてX線視認性が過剰となり、施術時に術者の判断に支障をきたす場合がある。さらに、カテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びるということに対して配慮がない。
さらに、内層管に補強材層を編組するものとして、特許文献4では近位領域、遠位領域、及びこれらの間を延伸する内腔を有する長尺状のシャフトと、この近位領域は内部平滑ポリマー層、補強層及び外部層を有することと、それぞれの層は遠位端を有することと、前記補強層は金属部材、及び複数のポリマー部材を有するブレードからなることと、各ポリマー部材は複数のモノフィラメントからなることとを有する脈管カテーテルが開示されている。
しかしながらこのカテーテルチューブでは剛性のある基部と柔軟性がある先端部を形成することはできるが、その剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低い。加えて、X線視認性を与えるマーカーは金属薄板を内層管上に巻き覆うか金属管をかしめるしたものであり、このような構成をとるとマーカーおよびその周囲にわたって、カテーテル先端部の高度な柔軟性が確保できなくなる。また、このカテーテルチューブは伸びに対して配慮があるものの、その伸びを均等に抑制する構造とすることが困難なものであり、またその製造方法も煩瑣なものとなる。
また、内層管に補強材層として素線を編組するものとして、特許文献5では、金属芯線が挿入された熱可塑性樹脂からなるチューブ体の外周全体に亘って金属編組を連続的に被覆形成してトルク伝達部を連続的に形成した後、その外側から波長1.06μmのレーザー光を照射して上記編組の一部をその長さ方向に亘って間欠的に除去してそのチューブ体の長さ方向に亘って一定幅の挿入先端部を所定の間隔を隔てて複数形成し、その後、上記金属芯線を抜き取った後、上記各挿入先端部の端部で上記チューブ体を複数に分割して上記トルク伝達部の先端部に上記挿入先端部を連続的に形成するようにしたことを特徴とするカテーテルチューブの製造方法が開示されている。
しかしながら、波長1.06μmのレーザー光を照射して上記編組の一部をその長さ方向に亘って間欠的に除去する工程が非常に煩瑣なものとなる。さらにその後工程の金属芯線が挿入された熱可塑性樹脂からなるチューブ体の外周全体に亘って金属編組を連続的に被覆形成した後、このチューブ体を加熱軟化してその外面に上記編組をその厚さの1/2〜1/5程度食い込ませて固定化させてトルク伝達部を連続的に形成する際にも、チューブ体を加熱軟化して編組を食い込ませる際に金属編組の弾性力により、切断端が反ることによりチューブ表面に金属編組が飛び出すなどの不具合を生じ生産性に劣る。さらに剛性と柔軟性の傾斜制御も充分なものが得られない。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。さらに、カテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びるということに対して配慮がない。
加えて特許文献6ではマニホールドと、 マニホールドに接続された基端シャフト部と、基端シャフト部に比較して可撓性に富み、基端シャフト部の先端に連結された先端シャフト部と、先端シャフト部の周りに配備されたファイバー編組部とから成り、前記ファイバー編組部は、先端シャフト部上に配設され、かつ相互に交差し合ってピックを形成する多数のファイバーで構成され、インチあたり約70〜120のピックとなるように形成されたカテーテルが開示されている。
しかしながらこのカテーテルチューブは剛性傾斜の発現が、ピック間隔の変化と外層樹脂の硬度変化の配置が相まって生じるという発想はなく、剛性と柔軟性の傾斜制御も充分なものが得られない。しかも肉薄にすることに対しての特段の配慮が無く、さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。さらに、カテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びるということに対して配慮がない。
特許3310031号
特許2672714号
特開2001−218851号公報
特表2002−535049号公報
特開2000−225194号公報
特表平11−506369号公報
本発明は、優れた位置調整性、トルク伝達性、柔軟性、耐キンク性、耐圧性、押し込み性等を有する医療用カテーテルチューブを提供し、その製造方法を開示することにある。
特に本発明は先端部が好適なX線視認性と同時に優れた柔軟性を発揮し、かつ術者が押し込み、引き抜きを繰り返す過程で、伸びてしまうことにより位置調節性が低下することのない医療用カテーテルならびにその製造方法に関する。
本発明は、滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂管からなる内層管、耐キンク性、耐圧性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する素線を内層管上に配置してなる補強材層、X線不透過性を有した金属を内層管上に巻き覆うことによって配置されるマーカー、そして補強材層とマーカーを覆い柔軟性を有する樹脂管からなる外層管が一体となった医療用カテーテルチューブであって、該カテーテルチューブが基部、先端部と最先端部を有し、補強材層を形成する素線が合成樹脂素線および/または金属素線からなり、粗いピッチで内層管上に素線をコイル状に巻回してから、さらにこの粗いピッチで巻回された素線と内層管を素線で編組して覆い、該補強材層の先方に隣接する先端部に配置されたX線不透過性を有した金属からなるマーカーが曲げ変形に対して柔軟性を有するものであり、補強材層、マーカーが存在しない最先端部を有し、該補強材層と該外層管の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする医療用カテーテルチューブに関するものである。
また本発明は、X線不透過性を有した曲げ変形に対して柔軟性を有する金属からなるマーカーが、内層管上にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回したものか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆ったものか、あるいはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された医療用カテーテルチューブに関するものである。
また本発明は、補強材層を形成する合成樹脂素線が、溶融液晶ポリマーを内芯とし、屈曲性ポリマーを鞘とした合成繊維からなる医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明は、補強材層を形成する編組のピック間隔が基部から先端部にかけて、連続的または段階的に変化することを特徴とする医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明は、基部から先端部にかけて、外層管を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることを特徴とする医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明は、内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合されている医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明は、内層管がその中を通るガイドワイヤー等に対して滑性を呈する樹脂からなる医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明は、最先端部において、外層管の外径が変化しアール形状またはテーパー状に成形され、および/または内層管の内外径が変化する医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明は、外層管が親水性コーティングされてなる医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、補強材層は合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線を粗いピッチで内層管上にコイル状に巻回した上で、さらにこの粗いピッチで巻回された素線と内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管はこれを形成する樹脂管のショアD硬度を基部から先端部にかけて段階的に小さくなるように補強材層とマーカーが形成されている内層管上に配列し、それらの外周にシュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブを得る製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することと、外層管はこれを形成する樹脂管のショアD硬度の配列を多段階とし、各ショアD硬度部の長さを調整することにより多様な調子を設定し、シュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブを得る製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管は切り替え押出法によりショアD硬度を基部から先端部にかけて段階的または連続的に小さくなるように押出して外層管を得て、補強材層とマーカーが形成されている内層管上に配置し、それらの外周にシュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブ得る製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することと、外層管は切り替え押出法によりショアD硬度の配列を多段階とし、各ショアD硬度部の長さを調整することにより多様な調子を設定し、シュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブを得る製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、被覆切り替え押出成形により補強材層とマーカーが形成されている内層管上に外層を押出し、ショアD硬度の配列を多段階とし、該ショアD硬度配列が基部から先端部にかけて段階的または連続的に小さくなるように押出し、内層管、補強材層、X線不透過性マーカー、外層管を一体化せしめ医療用カテーテルを得る製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することと、被覆切り替え押出成形により補強材層とマーカーが形成されている内層管上に外層を押出し、ショアD硬度の配列を多段階とし、各ショアD硬度部の長さを調整することにより多様な調子を設定し、内層管、補強材層、X線不透過性マーカー、外層管を一体化せしめ医療用カテーテルを得る製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、X線不透過性マーカーは補強材層の先方に隣接する内層管上にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回するか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆ったものか、さらにはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された、先端部の柔軟性が確保されたことを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、
外層管の最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形した医療用カテーテルチューブの製造方法に関する。
外層管の最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形した医療用カテーテルチューブの製造方法に関する。
上述した課題を解決するための手段によって、本発明は優れたガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性、基部から先端部にかけて連続的な柔軟性の変化があり、剛性と柔軟性の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性、また複雑な屈曲が生じた際にも折れ曲がりが生じない耐キンク性、耐圧性、ガイドワイヤー追随性、生産性等を有する医療用カテーテルチューブを提供できる効果がある。
特に本発明は先端部が好適なX線視認性と同時に優れた柔軟性を発揮し、かつ術者が押し込み、引き抜きを繰り返す過程で、伸びてしまうことにより位置調節性が低下することのない医療用カテーテルならびにその製造方法に関する。
以下に本発明の医療用カテーテルチューブの最良の形態と構造、製造方法を図面を使って説明する。これらの図は本発明の構成の特徴を模式的に示したものであり、各部分の長さや径に関しては、医療用カテーテルチューブとして好適に用いることができるものであれば、任意のものを用いることが出来る。図1に製造方法のフローチャートを示し、この図にしたがって本発明の形態と構造、製造方法を説明する。本発明の形態と構造、製造方法は請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱することなく、適宜変更を加えることができる
まず、図2のように金属芯線1を準備する。この金属芯線はリール2に巻かれており、その外径は製造するカテーテルの内径とほぼ一致するものであり、材質としては金属メッキ銅線、あるいはステンレス線が好ましい。また図2以降では便宜上、左側を基部とし、右側を先端部としている。
まず、図2のように金属芯線1を準備する。この金属芯線はリール2に巻かれており、その外径は製造するカテーテルの内径とほぼ一致するものであり、材質としては金属メッキ銅線、あるいはステンレス線が好ましい。また図2以降では便宜上、左側を基部とし、右側を先端部としている。
続いて図3のように金属芯線上に内層管3を押出機4により押出被覆形成する。
この内層管の構成材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド等の樹脂、およびこれらの混合物が挙げられるが、完成後の製品が内層管を通るガイドワイヤー等に対して優れた滑性を呈し、ガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性を得る観点からは、ポリテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で構成することが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンを使用した際には、添加剤の乾燥等の処理を経てから、焼成を行う。
この内層管の構成材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド等の樹脂、およびこれらの混合物が挙げられるが、完成後の製品が内層管を通るガイドワイヤー等に対して優れた滑性を呈し、ガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性を得る観点からは、ポリテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で構成することが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンを使用した際には、添加剤の乾燥等の処理を経てから、焼成を行う。
金属芯線に被覆された内層管は金属芯線に対して、充分な被着力を有していることが好ましい。特に内層管にポリテトラフルオロエチレンを使用した際には、後の外層管を被覆する工程において、内層管と外層管との被着力を高める目的で、内層管表面に機械的な方法(サンドペーパーなどで内層管表面を擦るなどの手段)、化学的な方法(ナトリウムナフタリン+ジメチルエーテル等の脱フッ素薬剤の使用)、プラズマなどの電気的な方法で凹凸を形成したり、表面改質したりしてもよい。
この後、補強材層の形成を行う。まず、図4のような装置により、内層管が被覆された金属芯線に連続して、粗いピッチで素線の巻回を行う。
図5のように、この素線を巻回する際の粗いピッチPは100〜500mm、好ましくは200〜300mmとする。
この粗いピッチでの巻回は、カテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返す過程で伸びてしまうことにより位置調節性が低下することを防止するためのものである。
さらに図6のように素線を編組することにより補強材層を形成する。編組は編組機によってなされる。編組の形態については1オーバー1アンダーや2オーバー2アンダーなど様々な形態があるが、カテーテルの補強材層として適切なものであればいずれの形態をとってもよい。
編み目の一つはピックと呼ばれ、このピックの間隔が図6のようにカテーテルの先端部で細かく、基部で粗くすることにより、後に述べる剛性と柔軟性の傾斜の調節あるいは調子を付与することが可能となる。図7に編組を拡大した模式図を示すがこの図の編み目pをピックと呼び、この編み目の間隔aをピック間隔と呼ぶ。
ピック間隔は細かくなるほど柔軟性を有し、粗くなるほど剛直性を有するものとなる。編組の持ち数、打ち数は適宜選択しうる。持ち数とはひとつのピックに含まれる素線の数のことであり、打ち数とは1周のピックの数を表す。
素線には合成樹脂素線とともに金属素線を用いうる。合成樹脂素線として特に好適に用いうるのは図8の断面概念図ならびに走査電子顕微鏡写真に示すような溶融液晶ポリマーの芯5に、溶融液晶ポリマーの島(鞘)6と屈曲性ポリマーの海(鞘)7が被覆されたものである。このような合成樹脂素線としては、溶融液晶ポリマーがポリアリレート、屈曲性ポリマーがポリエチレンナフタレートで形成されているものがある。好適に用いられる合成樹脂素線の直径として好ましくは5〜50μmのものを用いるのが好ましい。
本発明に用いられる他の合成樹脂素線としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ケブラーに代表される芳香族ポリアラミド等が挙げられる。また、これらのうちのいずれかを含むポリマーアロイ、カーボンファイバー、グラスファイバー等が挙げられる。
金属素線としては、ステンレス、銅、タングステン、ニッケル、チタン、ピアノ線、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Al合金、Cu−Zn合金、Cu−Zn−X合金(例えば、X=Be、Si、Sn、Al、Ga)のような超弾性合金、アモルファス合金等の各種金属素線が用いられ、これらの材料のうち、後に配置するX線不透過性マーカーの視認性を十分に確保するためにX線不透過性マーカーよりは視認性が低く、かつ加工性、経済性、毒性がないこと等の理由から、ステンレスの使用が好ましい。金属素線は、直径5〜50μm程度とするのが好ましい。
上記合成樹脂素線ならびに金属素線は、素線単独で用いてもよいし、または素線の集合体(例えば素線を撚ったものや束ねたもの)のいずれでもよい。
本発明においては、合成樹脂素線のみを用いてもよく、金属素線のみを用いてもよい。また、合成樹脂素線と金属素線を併せて用いてもよい。
補強材層が形成された後、これを内層管に固定させるために、ここでは図示しないが、結合層を設けてもよい。これは内層管に発生する微少な孔を塞いだり、耐破裂強度を増加させたりすることも目的のものであり、内層管上および編組された補強材層の上から柔軟なポリウレタンやポリウレタンディスパージョンあるいは柔軟な接着剤などを50〜5μmの厚みで塗布したり、スプレーでコーティングすることができる。
続いて図9のようにカテーテルの先端部と基部に相当する位置の内層管と補強材層を取り除き金属芯線が露出するようにしておく。
さらに図10はカテーテル先端部を拡大して示したものであり、8は金属芯線を示している。X線不透過性の金属線マーカー9を補強材層の先方に隣接させて内層管上に巻回して配置する。この巻回は金属線同士が接触する密着巻きでも、あるいは金属線同士に間隔を有するピッチ巻きのどちらでもよい。図9では補強材層と同方向の巻回としたが、逆方向の巻回とすることも勿論可能である。また、図12の11に示すように、図11のような形状をした方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー10を、カテーテル先端部に補強材層の先方に隣接させ内層管上に巻き覆して配置する。
これらのX線不透過性マーカーは金属線を使用する場合にはその直径が5〜50μmのものが好ましく、金属薄板を使用するときはその厚みが5〜30μmのものが好ましい。また、これらのX線不透過性マーカーは金属線を使用した場合も、金属薄板を使用したときも、好適な柔軟性が確保されるものである。X線不透過性マーカーの材質ついては、白金(Pt)、Pt−Ir合金、Pt−W合金、Pt−Ni合金、金、銀などのX線不透過性が高く、X線視認性が良好である金属が好適に用いられる。
また、図13のように、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、タングステン酸ビスマス、ビスマス−オキシクロライド等のX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブを補強材層の先方に隣接されて内層管上に配置してもよい。ここで用いる樹脂としては後述する外層管として使用するものと同様のものが好ましい。この配置の際にはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブを12のように軸方向に切れ目を入れて配置する。X線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブの厚みとしては5〜30μmのものが好ましい。また、後段で述べるように外層管の先端部をX線不透過性金属粉体を混練した樹脂で形成してもよい。またX線不透過性をマーカーは接着剤等を使用して適宜内層管に固定してもよい。
つぎに図1のフローチャートに示したようにA乃至DプロセスとEプロセスのいずれの製造方法もとることができるが、まずA乃至Dプロセスについて説明する。
Aプロセスはカテーテルを図14のように一本毎に切断する工程である。
引き続き、Bプロセスは外層管の配置する方法であり、図15のように外層管となる樹脂管13a〜dを基部から先端部にかけてそれを形成する樹脂管多段階のショアD硬度の有するものを配置する。図15では四種類のショアD硬度を有するものを密接させて配置した状態を示したが、基部から先端部にかけて徐々にショアD硬度が低くなるように配置する必要がある。すなわち外層管となる樹脂管のショアD硬度は図15において13a>13b>13c>13dとなる。ショアD硬度は20〜80程度であるものが好適に用いられる。一種類のショアD硬度を有する外層管のみを配置する際には、前記一種類のショアD硬度を有する外層管を複数本に分割して密接させて配置してもよい。内層管に補強材層が編組された構造体と外層管となる樹脂管との間にはごくわずかな間隔があることが好ましく、そのようにすれば補強材層を形成する素線のみだれが少ない。また、ショアD硬度の異なる外層管となる樹脂管は、ピック間隔が変化する位置とずらせて配置すれば、剛性と柔軟性の傾斜が緩やかに変化させることができる。さらにショアD硬度の配列を多段階にする際、各ショアD硬度部の長さを調整することにより、編組素線のピック間隔が変化することと相まって、多様な調子を設定することができる。
以上がBプロセスである。
外層管を配置する別法として、Cプロセスでは、外層管となる樹脂管の作成方法・配置として、複数台の押出機を一つの押出金型につなぎ、ショアD硬度の異なる樹脂を、この複数台の押出機を順次、運転・停止させることによってショアD硬度が段階的に変化する樹脂管を作成し、これを図16のように内層管に補強材層が編組された構造体に配置してもよい。また、弁機構を有する金型に複数台の押出機をつなぎ、連続的に押出をしながら、順次ショアD硬度の異なる樹脂を押出流路内に導入・排出を切り替えながらショアD硬度が段階的に変化する樹脂管を作成し、これを図16のように内層管に補強材層が編組された構造体に配置してもよい。この際、外層管は基端部に近づくほど高ショアD硬度、先端側に近づくほど低ショアD硬度のものとなるように配置する必要がある。さらにショアD硬度の配列を多段階にする際、各ショアD硬度部の長さを調整することにより、編組素線のピック間隔が変化することと相まって、多様な調子を設定することができる。
以上がCプロセスである。
外層管を形成する樹脂管の材質としてはポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマー、またはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが使用可能である。
ここで、ポリアミドエラストマーとは、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族または芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的であり、その他、前記ポリアミドと柔軟性に富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド、グラフト重合、ランダム重合等)や、前記ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
また、ポリエステルエラストマーとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルと、ポリエーテルまたはポリエステルとのブロック共重合体が代表的であり、その他、これらのポリマーアロイや前記飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
好適に用いられる材料としては、その加工性、柔軟性の観点からポリアミドエラストマーが好ましく、例えばelf atochem社製のPEBAXなどがその代表として挙げられる。
こののち、Dプロセスとして、図17のように加熱することによりその径が縮小する性質を有するシュリンクチューブ14をカテーテル全体に配置する。シュリンクチューブはポリテトラフルオロエチレンやパーフルオロエチレン−プロペンコポリマーなどを材質としていることが好ましい。
この後、シュリンクチューブがチューブが収縮する温度までヒーターで加熱させるか、および/または高周波電磁波を加えて加熱し内層管、補強材層、外層管を一体化する。さらにこの一体化を厳密に行うために、図18のようにシュリンクチューブで覆われた全体を円形の穴が開いている加熱金型15に通過させてもよい。
このとき、シュリンクチューブの収縮により図19のように外層管となる樹脂管先端部がアール状16に賦形される。外層管となる樹脂管先端部をテーパー状に賦形する際には、シュリンクチューブを収縮させてから、さらに図20のような加熱金型17を用いて図21のように接触、加熱してテーパー状18に賦形させる。
ついで、図22のようにシュリンクチューブを剥いて、必要に応じてカテーテル先端部と基端部の内層管、補強材層、外層管を切断・調整する。
以上がDプロセスである。
Eプロセスは、長く、つながったカテーテルに切替押出により、外層管を連続的に被覆する。ショアD硬度が一段階以上となるように外層管を被覆押出し、およびショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度が基部から先端部にかけて次第に小さくなるように外層管を被覆押出して形成し、内層管、補強材層、外層管を一体化せしめる。
この際、多段階、たとえば4段階のショアD硬度の樹脂を被覆する際には、図23のように一つの押出金型19に4台の押出機20をつなぎ、目標外径になるように制御しながら、順次この4台の押出機を運転・停止させて被覆し、外層管を形成することができる。また、ここでは図示しないが、弁機構を有する金型に4台の押出機をつなぎ、連続的に押出をしながら、順次ショアD硬度の異なる樹脂を押出流路内に導入・排出を切り替えながら被覆して外層管を形成することもできる。さらにショアD硬度の配列を多段階にする際、各ショアD硬度部の長さを調整することにより、編組素線のピック間隔が変化することと相まって、多様な調子を設定することができる。
しかるのち、先端部と基部に相当する位置の外層管を取り除き、内層管の先端が露出するようにしてから、カテーテルを一本ずつ切断する。
つづいて、図24にカテーテル先端部を拡大して示すが、外層管の最先端部分21をシュリンクチューブ22で覆う。なお、23はX線不透過性マーカーである。この先端部を加熱すると、既に図19で示したのと同様にアール状16に賦形され、さらに図20のような加熱金型17を用いて図21のように接触、加熱すればテーパー状18のように賦形される。
この賦形が終了してからシュリンクチューブは除去されて、カテーテルは図25のような状態となる。
以上がEプロセスである。
ついで、Fプロセスとして、ここでは図示しないがカテーテルチューブ表面を親水性(または水溶性)高分子物質で覆われていることが好ましい。これにより、カテーテルチューブの外表面が血液または生理食塩水等に接触したときに、摩擦係数が減少して潤滑性が付与され、カテーテルチューブの摺動性が一段と向上し、その結果、押し込み性、追随性、耐キンク性および安全性が一段と高まる。親水性高分子物質としては、たとえば以下のような天然または合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。特に、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロンは、低い摩擦係数が安定的に得られるので好ましい。
さらに、図26のように金属芯金を引き抜き、基部端は整形のために高速回転する円盤状のダイヤモンドカッターなどの手段で内層、補強層、外層を切断し、基部端断面を単一平面に仕上げて、カテーテルチューブが得られる。
このカテーテルチューブは編組のピック間隔、等ピック間隔部分の長さ、ショアDの異なる樹脂管の配置とその長さの設定とが相まって、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性が発揮される。ここでいう調子とは図27のように先端部の高い柔軟性を有する領域の位置が異なっていることである。あるいは曲げ強度が変化する位置が異なっているとも表現できる。この図27において直線部分は先端部に比較して剛性は高いが柔軟性も同時に確保されていることを示している。多様な調子を設定できることによって、図27において、1号調に近いほど先端部の状況をダイレクトに感度よく伝えると同時にトルクの伝達能が高く、5号調に近いほど複雑な経路への侵入、深奥部への到達が行いやすくなるなどの使用上の事項に加え、多様な患部に対して施術者の手術方法の意図が反映され、かつ選択できるといった利点がある。
さらに、内層管をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂で構成した際には、この内孔をプラズマ放電処理等の電気的な手段をもって、適度に親水化をはかることができる。
加えてここでは図示しないが、基部端に適切な形状のハブを取り付けてHプロセスが終わり目的とする最良の形態の医療用カテーテルチューブが得られる。
なお、その使用に際しては上述のまま使用してもよいし、必要があるならば、予め医療用カテーテルチューブの一部をヒーターや蒸気などで加熱し、湾曲部を形成しておくこともできる。
1 金属芯線
2 リール
3 内層管
4 押出機
5 溶融液晶ポリマーの芯
6 溶融液晶ポリマーの島(鞘)
7 屈曲性ポリマーの海(鞘)
8 金属芯線
9 X線不透過性金属線マーカー
10 方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー
11 巻き覆された方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー
12 切れ目を入れたX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブ
13a 最高ショアD硬度外層管
13b 高ショアD硬度外層管
13c 低ショアD硬度外層管
13d 最低ショアD硬度外層管
14 シュリンクチューブ
15 円形の穴が開いている加熱金型
16 アール状賦形部
17 加熱金型
18 加熱賦形されたテーパー状先端部
19 押出金型
20 押出機
21 外層管の最先端部分
22 シュリンクチューブ
23 X線不透過性マーカー
P 粗く巻回された素線のピッチ
a 編組のピック
p ピック間隔
2 リール
3 内層管
4 押出機
5 溶融液晶ポリマーの芯
6 溶融液晶ポリマーの島(鞘)
7 屈曲性ポリマーの海(鞘)
8 金属芯線
9 X線不透過性金属線マーカー
10 方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー
11 巻き覆された方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー
12 切れ目を入れたX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブ
13a 最高ショアD硬度外層管
13b 高ショアD硬度外層管
13c 低ショアD硬度外層管
13d 最低ショアD硬度外層管
14 シュリンクチューブ
15 円形の穴が開いている加熱金型
16 アール状賦形部
17 加熱金型
18 加熱賦形されたテーパー状先端部
19 押出金型
20 押出機
21 外層管の最先端部分
22 シュリンクチューブ
23 X線不透過性マーカー
P 粗く巻回された素線のピッチ
a 編組のピック
p ピック間隔
Claims (18)
- 滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂管からなる内層管、耐キンク性、耐圧性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する素線を内層管上に配置してなる補強材層、X線不透過性を有した金属を内層管上に巻き覆うことによって配置されるマーカー、そして補強材層とマーカーを覆い柔軟性を有する樹脂管からなる外層管が一体となった医療用カテーテルチューブであって、該カテーテルチューブが基部、先端部と最先端部を有し、
補強材層を形成する素線が合成樹脂素線および/または金属素線からなり、
粗いピッチで内層管上に素線をコイル状に巻回してから、さらにこの粗いピッチで巻回された素線と内層管を素線で編組して覆い、
該補強材層の先方に隣接する先端部に配置されたX線不透過性を有した金属からなるマーカーが曲げ変形に対して柔軟性を有するものであり、
補強材層、マーカーが存在しない最先端部を有し、
該補強材層と該外層管の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする
医療用カテーテルチューブ。 - X線不透過性を有した曲げ変形に対して柔軟性を有する金属からなるマーカーが、内層管上にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回したものか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆ったものか、あるいはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された請求項1記載の医療用カテーテルチューブ。
- 補強材層を形成する合成樹脂素線が、溶融液晶ポリマーを内芯とし、屈曲性ポリマーを鞘とした合成繊維からなる請求項1、2記載の医療用カテーテルチューブ。
- 補強材層を形成する編組のピック間隔が基部から先端部にかけて、連続的または段階的に変化することを特徴とする請求項1、2、3記載の医療用カテーテルチューブ。
- 基部から先端部にかけて、外層管を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることを特徴とする請求項1、2、3、4記載の医療用カテーテルチューブ。
- 内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合されている請求項1、2、3、4、5記載の医療用カテーテルチューブ。
- 内層管がその中を通るガイドワイヤー等に対して滑性を呈する樹脂からなる請求項1、2、3、4、5、6記載の医療用カテーテルチューブ。
- 最先端部において、外層管の外径が変化しアール形状またはテーパー状に成形された請求項1、2、3、4、5、6、7記載の医療用カテーテルチューブ。
- 外層管が親水性コーティングされてなる請求項1、2、3、4、5、6、7、8記載の医療用カテーテルチューブ。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、補強材層は合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線を粗いピッチで内層管上にコイル状に巻回した上で、さらにこの粗いピッチで巻回された素線と内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管はこれを形成する樹脂管のショアD硬度を基部から先端部にかけて段階的に小さくなるように補強材層とマーカーが形成されている内層管上に配列し、それらの外周にシュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブを得る製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することと、外層管はこれを形成する樹脂管のショアD硬度の配列を多段階とし、各ショアD硬度部の長さを調整することにより多様な調子を設定し、シュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブを得る製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管は切り替え押出法によりショアD硬度を基部から先端部にかけて段階的または連続的に小さくなるように押出して外層管を得て、補強材層とマーカーが形成されている内層管上に配置し、それらの外周にシュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブ得る製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することと、外層管は切り替え押出法によりショアD硬度の配列を多段階とし、各ショアD硬度部の長さを調整することにより多様な調子を設定し、シュリンクチューブを被覆、加熱収縮させて内層管と外層管とが補強材層とマーカーを介して接合され、冷却後シュリンクチューブを剥がし、医療用カテーテルチューブを得る製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、被覆切り替え押出成形により補強材層とマーカーが形成されている内層管上に外層を押出し、ショアD硬度の配列を多段階とし、該ショアD硬度配列が基部から先端部にかけて段階的または連続的に小さくなるように押出し、内層管、補強材層、X線不透過性マーカー、外層管を一体化せしめ医療用カテーテルを得る製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、内層管を覆う合成樹脂素線と金属素線、または合成樹脂素線か金属素線による編組のピック間隔が基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することと、被覆切り替え押出成形により補強材層とマーカーが形成されている内層管上に外層を押出し、ショアD硬度の配列を多段階とし、各ショアD硬度部の長さを調整することにより多様な調子を設定し、内層管、補強材層、X線不透過性マーカー、外層管を一体化せしめ医療用カテーテルを得る製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、X線不透過性マーカーは補強材層の先方に隣接する内層管上にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回するか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆ったものか、さらにはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された、先端部の柔軟性が確保されたことを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
- 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成し、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを形成した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、
外層管の最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形した医療用カテーテルチューブの製造方法。
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Cited By (6)
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JPWO2008056625A1 (ja) * | 2006-11-07 | 2010-02-25 | 株式会社カネカ | 医療用カテーテルチューブ |
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2005
- 2005-02-10 JP JP2005034375A patent/JP2006218085A/ja active Pending
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