JP2006034347A - 医療用カテーテルチューブならびにその製造方法 - Google Patents

医療用カテーテルチューブならびにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度を有すると同時に、多様なアクセス経路に応じた調子の設定が可能な医療用カテーテルチューブであって、容易かつ安価に製造できる医療用カテーテルチューブ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂管からなる内層管、柔軟性を調整しさらに耐キンク性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する線条体を内層管上に巻回あるいは編組してなる補強材層、柔軟性を有する樹脂管からなる外層管が一体となった医療用カテーテルチューブ。外層管は熱収縮チューブからなり、熱収縮チューブ原料樹脂のショアD硬度は基部から先端部にかけて一段階以上になるように配列される。補強材層が存在しない先端部を有し、該補強材層と該外層管の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする。
【選択図】 図27

Description

本発明は、優れた位置調整性、トルク伝達性、耐キンク性、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性等を有する医療用カテーテルチューブならびにその製造方法に関する。さらに容易で安価に製造できる医療用カテーテルチューブならびにその製造方法に関する。
カテーテルチューブは体内の腔、管、血管等に挿入する中空状の医療器具であり、例えば選択的血管造影剤等の液体の注入、血栓の吸引、閉塞状態にある血管の通路確保、血管拡張術等に用いられるもので、通常チューブ体からなっている。このようなカテーテルでは、細く複雑なパターンの血管系などに迅速かつ確実な選択性をもって挿入しうるような優れた操作性が要求される。
このようなカテーテルチューブの操作性について詳しく述べると、血管内等を挿入、引き出しなど、術者の操作が基部から先端部に確実に伝達されるための位置調整性や、内部に薬液等を流通させる際の耐圧性が必要とされる。また、カテーテルチューブの基部で加えられた回転力が確実に伝達されるためのトルク伝達性、血管内を前進させるために施術者の押し込み力が基端側から先端側に確実に伝達されうる押し込み性も必要となる。さらに複雑な形状に曲がった血管等を先行するガイドワイヤーに沿って円滑かつ血管内壁等を損傷することなく挿入、引き出しが行えるよう、カテーテルチューブの内面が滑性を呈するガイドワイヤー追随性とカテーテル外面の血液や組織に対する親和性が必要となる。加えて、目的とする位置までカテーテルチューブ先端が到達し、ガイドワイヤーを引き抜いた状態でも、血管の湾曲部、屈曲部でカテーテルチューブに折れ曲がりが生じない耐キンク性と、血管形状に応じた形状を保つ先端部の柔軟性が必要となる。
このような要求に応じた特性を付与するために一般的には、基部が比較的剛直で、先端部にかけて次第に柔軟性を有する構造、構成とするのがよいことが知られている。
上述のような特性のカテーテルチューブを得るために、内層管に補強材層として線条体をコイル状に巻回したり、編組を施した上で、外層を被覆してカテーテルチューブを構成する方法が知られている。
内層管に補強材層として線条体をコイル状に巻回させるものとして、特許文献1では可撓性を有する内管および外管が補強材層を介して接合された部分を有するカテーテル本体を有し、前記補強材層は、線条体を格子状に形成したものであり、前記カテーテル本体の軸方向に沿って、前記線条体のカテーテル本体の軸に対する傾斜角度が連続的または段階的に変化するか、あるいは前記線条体の格子点のカテーテル本体軸方向の間隔が連続的または段階的に変化することによって曲げ剛性が大なる領域と曲げ剛性が小なる領域を形成するカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、このカテーテルチューブでは剛性の高い基部と柔軟性が高い先端部を形成することはできるが、その剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらにこの柔軟性の傾斜を発現させるには比較的大きな内外径を有するカテーテルチューブとする必要性があり、カテーテルチューブ壁厚を薄くしようとした際に耐キンク性に劣る。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えて外管を接合する際には接着剤または溶剤などによって接着する方法などが示されており、製造工程として煩瑣なものとなる。
また、内層管に補強材層として線条体をコイル状に巻き付けるものとして、特許文献2のように、近位端、遠位端、およびこれら端部間を伸びる内腔を規定する通路を有する細長い管状部材を備えたカテーテルチューブであって、該細長い管状部材は、第1のカバー材料を有する外部管状カバーと同軸関係にある第1のライナー材料よりなる内部管状ライナーと、1つの回りを有し、該内部管状ライナーの外側にらせん状および同軸状に巻かれ、該外部管状カバーによって覆われる少なくとも1つの第1のリボン補強材とを備えるカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、この構成でもその剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらにその製造上、リボン補強材の弾性力により切断端が内部管状ライナーや外部管状カバーを突き破るなどの不具合が生じて生産性に劣る。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えて、外部管状カバーを形成する際に望ましい形態として外部管状カバーと内部管状ライナーとを加熱によりそれらの界面で混合させるものとしているが、このためには被覆押出成形などの手段が必要となり、製造工程としてこれも煩瑣なものとなる。
さらに特許文献3では各々可撓性を有する略円筒状の内管と外管とを、内管が外管の内側となるように補強材層を介して固着してなる補強材層介在部を備える可撓性チューブであって、前記補強材層は、引張強さ500MPa〜2000MPaの一または複数本の平角線条体が網状に編組されてなりかつ該内管の軸線方向に対して各平角線条体の成す角度が該軸線方向に概ね沿って段階的にまたは連続的に変化するような補強材を有することを特徴とする可撓性チューブが開示されている。
しかしながらこのカテーテルチューブでも剛性の高い基部と柔軟性が高い先端部を形成することはできるが、その剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらにこの柔軟性の傾斜を発現させるには比較的大きな内外径を有するカテーテルチューブとする必要性があり、カテーテルチューブ壁厚を薄くしようとした際に耐キンク性に劣る。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えて、ここでも外管を形成する際には被覆押出成形などの方法を挙げており、製造工程として煩瑣なものとなる。
加えて、特許文献4のように、可撓性を有する管状のカテーテル本体と、該カテーテル本体の壁内に埋設された、補強効果を有するコイルとを備えたカテーテルであって、前記カテーテル本体は、前記カテーテルの最も先端側に位置する第1領域と、該第1領域よりも基端側に位置する第2領域とを備えており、前記コイルは、前記第1領域から前記第2領域にわたって延在しており、前記第2領域では、前記コイルが全長にわたって相対的に大きい巻きピッチで巻かれており、前記第1領域では、前記コイルが全長にわたって隣接する巻回同士が隔たりをなす相対的に小さい巻きピッチで巻かれており、かつ、該コイルの巻きピッチは先端側に向かって徐々に小さくなっており、前記第2領域に比べて前記第1領域でのカテーテルの剛性が小さくなるように構成したことを特徴とするカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、このカテーテルチューブは剛性の高い基部と柔軟性が高い先端部を形成することは可能であり、曲げ剛性のバランスを保つことはできるが、多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。ここで外層の形成は、予め押出成形によりチューブを製作しておき、内層管にコイルが巻回された状態の構造体に外層管となるチューブを被せ、さらに熱収縮チューブで覆い、加熱して収縮させた後にこの熱収縮チューブを剥離させるという煩雑な製造工程をとっている。
また、内層管に補強材層として線条体を編組するものとして、特許文献5では、金属芯線が挿入された熱可塑性樹脂からなるチューブ体の外周全体に亘って金属編組を連続的に被覆形成してトルク伝達部を連続的に形成した後、その外側から波長1.06μmのレーザー光を照射して上記編組の一部をその長さ方向に亘って間欠的に除去してそのチューブ体の長さ方向に亘って一定幅の挿入先端部を所定の間隔を隔てて複数形成し、その後、上記金属芯線を抜き取った後、上記各挿入先端部の端部で上記チューブ体を複数に分割して上記トルク伝達部の先端部に上記挿入先端部を連続的に形成するようにしたことを特徴とするカテーテルチューブの製造方法が開示されている。
しかしながら、波長1.06μmのレーザー光を照射して上記編組の一部をその長さ方向に亘って間欠的に除去する工程が非常に煩瑣なものとなる。さらにその後工程の金属芯線が挿入された熱可塑性樹脂からなるチューブ体の外周全体に亘って金属編組を連続的に被覆形成した後、このチューブ体を加熱軟化してその外面に上記編組をその厚さの1/2〜1/5程度食い込ませて固定化させてトルク伝達部を連続的に形成する際にも、チューブ体を加熱軟化して編組を食い込ませる際に金属編組の弾性力により、切断端が反ることによりチューブ表面に金属編組が飛び出すなどの不具合を生じ生産性に劣る。さらに剛性と柔軟性の傾斜制御も充分なものが得られない。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。
特許3310031号 特許2672714号 特開2001−299922号公報 特開2001−218851号公報 特開2000−225194号公報
本発明は、優れた位置調整性、トルク伝達性、柔軟性、耐キンク性、耐圧性、押し込み性等を有する医療用カテーテルチューブを提供し、その製造方法を開示することにある。
特に本発明の医療用カテーテルチューブは、種々の患部に使用されるゆえ、その対象部位へのアクセス経路も多様であるがために、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度を有すると同時に、多様なアクセス経路に応じた調子の設定が可能な医療用カテーテルチューブを提供し、その製造方法を開示することにある。
また本発明は内層、補強層、外層からなる3層構造のチューブの製造において、特に外層を熱収縮チューブで形成するという製造工程上の簡素化が図ることができるという利点があり、その製造方法を開示することにある。
本発明は、滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂管からなる内層管、柔軟性を調整しさらに耐キンク性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する線条体を内層管上に巻回あるいは編組してなる補強材層、および補強材層を覆い柔軟性を有する樹脂管からなる外層管が一体となった医療用カテーテルチューブであって、該カテーテルチューブが基部と先端部を有し、外層管は加熱するとその内外径が小さくなる熱収縮チューブからなるものであって、その熱収縮チューブ原料樹脂のショアD硬度は基部から先端部にかけて一段階以上になるように配列されているものであり、補強材層が存在しない先端部を有し、該補強材層と該外層管の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする医療用カテーテルチューブに関する。
また本発明の医療用カテーテルチューブは補強材層を形成する線条体の巻回が、端部が素線自身によりで内層管に対して固定され、その巻回が等傾斜角度および/または等間隔、および/または連続的および/または段階的に傾斜角度および/または間隔が変化するものであり、および/または折り返し部分を有するものである。
また本発明の前記医療用カテーテルチューブは、補強材層を形成する線条体の編組が基部から先端部にかけて一段階あるいは多段階で形成されている医療用カテーテルチューブに関する。
さらに本発明の医療用カテーテルチューブは、補強材層を形成する線条体の巻回あるいは編組の構造と、熱収縮チューブによって形成される外層管が、その原料樹脂のショアD硬度が基部から先端部にかけて段階的に小さくなるように配列することによって、多様な調子が設定できることを特徴とする。
また、本発明の前記医療用カテーテルチューブの 先端部が、補強材層が存在せず内層管と外層管のみが接合された最先端部分と、該最先端部よりも基部寄りの位置に、内層管と外層管との間に存在しX線不透過性のマーカーを有するものである。
さらに、本発明の前記医療用カテーテルチューブは内層管と外層管とが補強材層を介して接合されていることに特徴がある。
本発明の前記医療用カテーテルチューブは内層管がその中を通るガイドワイヤー等に対して滑性を呈する樹脂からなるものである。
また、本発明の前記医療用カテーテルチューブの最先端部において、外層管の外径が変化しアール形状またはテーパー状に成形され、および/または内層管の内外径が変化するものである。
本発明の前記医療用カテーテルチューブは、外層管が親水性コーティングされてなるものである。
また、本発明の前記医療用カテーテルの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、補強材層の形成は、前記内層管の外周に線条体供給部から供給される線条体を螺旋状に巻回し、前記内層管と前記線条体供給部との相対移動速度および/または相対回転速度を変えること、および/または前記内層管と前記線条体供給部の相対移動方向を変化させることにより、カテーテルチューブの軸方向に沿って、前記線条体のカテーテルチューブ軸に対する傾斜角度と間隔を連続的および/または段階的に変化させること、および/または折り返し部分を有するものであることを特徴とする。
また、本発明の前記医療用カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、熱収縮チューブによって形成される外層管はその原料樹脂のショアD硬度が一段階以上の配列となるように配置し、および該ショアD硬度を多段階とする際にはその配列が基部から先端部にかけて段階的に小さくなるように配置し、多様な調子が設定できることを特徴としている。
また、前記医療用カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、熱収縮チューブによって形成される外層管はその原料樹脂のショアD硬度が一段階以上の配列となるように配置し、および該ショアD硬度を多段階とする際には基部から先端部にかけて次第に小さくなるように配置し、その全体を加熱し、内層管、補強材層、外層管を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形された上で医療用カテーテルチューブ
を得る方法を特徴としている。
また、本発明の医療用カテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、熱収縮チューブによって形成される外層管はその原料樹脂のショアD硬度が一段階以上の配列となるように配置し、および該ショアD硬度を多段階とする際には基部から先端部にかけて次第に小さくなるように配置し、電熱ヒーターおよび/または高周波誘導によって加熱される金型内を通過させて、内層管、補強材層、外層管を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形して医療用カテーテルチューブを得る方法を特徴としている。
上述した課題を解決するための手段によって、本発明は優れたガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性、術者が回転力を与えた際のトルク伝達性、基部から先端部にかけて連続的な柔軟性の変化があり、剛性と柔軟性の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性、また複雑な屈曲が生じた際にも折れ曲がりが生じない耐キンク性、ガイドワイヤー追随性、生産性等を有する医療用カテーテルチューブを提供できる効果がある。
また本発明は内層、補強層、外層からなる3層構造のチューブの製造において、特に外層を熱収縮チューブで形成するために製造工程上の簡素化が図ることができるという効果がある。
以下に本発明の医療用カテーテルチューブの最良の形態および製造方法を図面を使って説明する。これらの図は本発明の構成の特徴を模式的に示したものであり、各部分の長さや径に関しては、医療用カテーテルチューブとして好適に用いることができるものであれば、任意のものとなっている。
まず、図1のように金属芯線に被覆された内層管を準備する。また図1では便宜上、左側を基部とし、右側を先端部としている。
この内層管の構成材料として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド等の樹脂、およびその混合物が挙げられるが、完成後の製品が内層管を通るガイドワイヤー等に対して優れた滑性を呈し、ガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性を得る観点からは、ポリテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で構成することが好ましい。
金属芯線に被覆された内層管は金属芯線に対して、充分な被着力を有していることが好ましい。さらに後の外層管を被覆する工程で、内層管と外層管との被着力を高める目的で、内層管表面に機械的な方法(軸方向とは直角な方向にサンドペーパーなどで内層管表面を擦るなどの手段)および/または化学的な方法(ナトリウムナフタリン+ジメチルエーテル等の薬剤の使用)、および/またはプラズマなどの電気的な方法で凹凸を形成したり、表面改質したりしてもよい。
また、内層管の先端部はその外径が最先端部に向かうにしたがって次第に小さくなるよう、機械的、化学的な手段を以て加工してもよい。
補強材層の形成は線条体を内層管上に巻回あるいは編組することによってなされる。
まず巻回方法について例示すると、図2、3のように線条体端部を線条体自身で巻き覆うことにより固定し、内層管の基部から線条体がほどけないようにして巻回を開始する。ここで図2は内層管の先端部から巻回を開始する際の模式図であり、図3は内層管の基部から巻回を開始する際の模式図である。このような内層管に対して線条体がほどけず、緩まないように巻回することによって空回りやズレなどの不具合が生じず、線条体を内層管に対して強く巻回することができる。
補強材層を形成する線条体の断面形状は、円形の素線を使用するか、五角形以下の多角形で平行な二辺が二組未満の素線を使用するか、円弧と弦からなる素線を使用するが、その例は図4に示すような形状であり、線条体に張力を与えながら巻回すれば、ほどけず、緩まないようにすることができる。
補強材層の巻回方法としては以下のような方法が採りうる。
すなわち、図5は内層管の先端部から線条体の巻回を開始し、基部に至って巻回を終端する方法である(ここでは0.5往復巻回と仮称する)。
図6は内層管の基部から巻回を開始し、先端部に達し、そこで折り返し、図7のように再び基部に戻って巻回を終端する方法である(ここでは1往復巻回と仮称する)。
図8のように内層管の先端部から線条体の巻回を開始し、基部で折り返し、さらに図9のように先端部方向に巻回し、先端には達しない位置で再び折り返し、図10のように基部に至って巻回を終端する方法である(ここでは1.5往復巻回と仮称する)。
図11のように内層管の基部から巻回を開始し、先端部に達し、そこで折り返して図12のように基部に達し、さらに折り返して図13のように先端部方向に巻回し、先端には達しない位置で折り返し、さらに図14のように基部に至って巻回を終端する方法である(ここでは2往復巻回と仮称する)。
図15のように内層管の先端部から巻回を開始し、基部に至って巻回を終端し、図16のように再度先端には達しない位置から巻回を開始し、基部にいたって巻回を終端する方法である(ここでは多段巻回と仮称する)。図15、16では巻回が二段階となる方法を示したが、これがより多段階となってもよい。
ここに掲げたいずれの方法でも各巻回は等傾斜角度および/または等間隔、および/または連続的および/または段階的に傾斜角度および/または間隔が変化するものである。さらにここで掲げたいずれの方法において線条体の間隔はaで示し、線条体の傾斜角度はθで示されるものである。線条体の間隔aおよび線条体の傾斜角度θは、先端部に近いほどaが小さく、θは大きな角度をとることが好ましい。
ついで補強材層の編組方法としては以下のような方法が採りうる。
図17では1本持ちの素線を編組した構造を示したが、図18のように2本持ちの素線を編組した構造とすることもできる。さらに図19のように第一段階の編組を基部から先端部まで形成し、次段階の編組を基部から先端部までには至らない個所まで形成することもできる。図19では二段階の編組形成としたが、これがより多段階となってもよい。
この補強層を構成する線条体の構成材料としては十分な補強効果が得られる程度の剛性を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、ステンレス鋼、銅、タングステン、白金(Pt)、金、Pt−Ir合金、Pt−W合金、Pt−Ni合金、ニッケル、チタン、ピアノ線、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Al合金、Cu−Zn合金、Cu−Zn−X合金(例えば、X=Be、Si、Sn、Al、Ga)のような超弾性合金、アモルファス合金等の各種金属材料や、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチレンテレフタレート(PPT)のようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール(PA)、ポリアリレート、ポリオキシメチレン(POM)、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物(EVOH)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ケブラーに代表される芳香族ポリアラミドなど、これらのうちのいずれかを含むポリマーアロイ、カーボンファイバー、グラスファイバーが挙げられる。これらの材料のうち、加工性、経済性、毒性がないこと等の理由からは、ステンレス鋼が好ましい。
なお、線条体は、上記材料等による単繊維または繊維の集合体(例えば単繊維を縒ったもの)のいずれでもよい。また、線条体の太さは、その構成材料との関係で必要かつ十分な補強効果が得られる程度のものとされ、例えば上記金属材料による場合は、直径5〜50μm程度とするのが好ましい。なお、線条体は、単一で用いても、複数本を束ねた状態で用いてもよい。
ここで、いずれの巻回あるいは編組方法を用いる場合でも十分な補強効果が得られる程度の剛性を有する線条体は、同時に弾性を有することがあるので、この終端は巻回あるいは編組がほどけるのを防止するためにアルミなどの塑性金属素線を巻回して固定した後に線条体を切断したり、シュリンクチューブを被覆後、加熱して収縮せしめ、固定した後に線条体を切断することが可能である。
かかる補強層を形成するための線条体の巻回方法は、内層管の外周に線条体供給部から供給される線条体を螺旋状に巻回し、前記内層管と前記線状体供給部の相対的位置を左右に変化させること、前記内層管と前記線条体供給部との相対移動速度および/または相対回転速度を変えることにより、カテーテルチューブの軸方向に沿って、前記線条体のカテーテルチューブ軸に対する傾斜角度および/または間隔を連続的および/または段階的に変化させることによってなされる。
また、上記の線条体の巻回は、線条体の供給部を固定し金属芯金に被覆された内層管を回転させることによっても達成し得るし、逆に金属芯金に被覆された内層管を固定し線条体の供給部を回転させることによっても達成しうる。さらに、巻回を行う際、内層管に巻回された線条体のずれを防止する観点から、線条体と内層管の間には一定の張力が保持され続けることが好ましい。
さらに上記の補強層を形成するための線条体の編組方法は、内層管の外周に複数同数本の線条体からなる組を二組互いに逆回転方向に編まれることによってなされる。また編組を多段階とする際には第一段階の編組を均一な間隔のピッチとし、次段階以上を第一段階と同様のピッチ、あるいは細かいピッチ、または粗いピッチで編組することが可能である。
続いて図20のようにX線不透過性のマーカーを配する(図では0.5往復巻きを代表させた)。補強材層を形成する線条体が既にX線不透過性を有する場合は、その先端部分をX線不透過性のマーカーとすることができる。また、補強材層とは別にX線不透過性のマーカーを設置する際には、位置としては補強材層に接して、その材質と形状、手段については、白金(Pt)、Pt−Ir合金、Pt−W合金、Pt−Ni合金、金、銀などの素線を巻き付けたり、白金(Pt)、金、Pt−Ir合金、Pt−W合金、Pt−Ni合金、銀などの管を配置したり、白金(Pt)、Pt−Ir合金、Pt−W合金、Pt−Ni合金、金、銀などの板を円筒形にして配置したり、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、タングステン酸ビスマス、ビスマス−オキシクロライド等の粉体を混練した樹脂チューブを配置してもよい。
次いで補強材層を形成する線条体がX線不透過性を有しないものを使用する場合には、図21のようにX線不透過性のマーカーを固定するために、これをかしめるか、および/または前記内層管と接着するか、前記補強材層と接着、溶着、溶接するか、および/またはX線不透過性のマーカーに接してアルミなどの塑性金属素線(丸線または角線)を巻回して固定し構造体を形成することが好ましい。
さらに図22のように外層管となる熱収縮チューブを基部から先端部にかけて配置する。この配置は熱収縮チューブの原料樹脂のショアD硬度が基部から先端部にかけて次第に小さくなるようにする。図22では熱収縮チューブの原料樹脂が四種類のショアD硬度を有するものを密接させて配置した状態を示したが、基部から先端部にかけて徐々にショアD硬度が低くなるように配置する必要がある。
外層管を形成する熱収縮チューブ原料樹脂のショアD硬度は20〜80程度であるものが好適に用いられる。一種類のショアD硬度を有する外層管のみを配置する際には、前記一種類のショアD硬度を有する外層管を複数本に分割した上で密接させて配置してもよい。
このように前記補強材の巻回の方法、長さ、間隔、傾斜角度と、外層管を形成する熱収縮チューブ原料樹脂のショアDの配列とその長さの設定とが相まって、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性が発揮される。さらに前記補強材の編組の段階設定、その長さ、ピッチ、外層管を形成する熱収縮チューブ原料樹脂のショアDの配列とその長さの設定とが相まって、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性が発揮される。
ここでいう調子とは図23のように先端部の高い柔軟性を有する領域の位置が異なっていることである。この図23において直線部分は先端部に比較して剛性は高いが柔軟性も同時に確保されていることを示している。多様な調子を設定できることによって、図23において、1号調に近いほど先端部の状況をダイレクトに感度よく伝えると同時にトルクの伝達能が高く、5号調に近いほど複雑な経路への侵入、深奥部への到達が行いやすくなるなどの使用上の事項に加え、多様な患部に対して施術者の手術方法の意図が反映され、かつ選択できるといった利点がある。
外層管を形成する熱収縮チューブ原料樹脂としてはポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、フッ素系エラストマー、ポリオレフィン、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー等の各種エラストマー、またはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが使用可能である。
ここで、ポリアミドエラストマーとは、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族または芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的であり、その他、前記ポリアミドと柔軟性に富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド、グラフト重合、ランダム重合等)や、前記ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
また、ポリエステルエラストマーとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルと、ポリエーテルまたはポリエステルとのブロック共重合体が代表的であり、その他、これらのポリマーアロイや前記飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
フッ素系エラストマーとは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロエチレン−プロペンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマーなどが代表的であり、さらにはこれらの混合物をも含む概念である。
ポリオレフィンとは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が代表的なものであり、さらにはこれらの混合物をも含む概念である。
好適に用いられる材料としては、その加工性、柔軟性の観点からポリアミドエラストマーが好ましく、例えばelf atochem社製のPEBAXなどがその代表として挙げられる。
熱収縮チューブとは上に掲げた原料樹脂を押出成形などでチューブ状に成形し、しかる後電子線や放射線で架橋をおこない、さらにこのチューブを大きな径に引き延ばして製造されるものを示す。この熱収縮チューブは室温では引き延ばされた状態を保持するが、加熱をすると引き延ばされる前の形状に復帰するものである。
続いて、外層管の内周面が内層管の外周面、および補強層を形成する線条体、加えて隣接し外層管同士を密着接合し、一体化させる方法としては、図22の構成体全体をヒーター、または高周波電磁波を加えて加熱して外層管を形成する熱収縮チューブを収縮させて図24のように一体化させる。
さらに外層管最先端部をテーパー形状に成形に形成する必要があるときには図25のように内面がポリテトラフルオロエチレンに代表される非着性コーティングで被覆され、ヒーターで加熱できるような金型を用意し、図26のように該金型内に外層管最先端部を挿入して、その形状をテーパー形状とすることができる。
次いで図27のように金属芯金を引き抜くとカテーテルチューブが得られる。ここで基部端はその整形のために高速回転する円盤状のダイヤモンドカッターなどの手段で内層、補強層、外層を切断し、基部端断面を単一平面に仕上げることができる(図示しない)。
さらにここでは図示しないがカテーテルチューブ表面を親水性(または水溶性)高分子物質で覆われていることが好ましい。これにより、カテーテルチューブの外表面が血液または生理食塩水等に接触したときに、摩擦係数が減少して潤滑性が付与され、カテーテルチューブの摺動性が一段と向上し、その結果、押し込み性、追随性、耐キンク性および安全性が一段と高まる。親水性高分子物質としては、たとえば以下のような天然または合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。特に、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロンは、低い摩擦係数が安定的に得られるので好ましい。
特にフッ素系樹脂の熱収縮チューブで外層管を形成する際にはプラズマなどの電気的な方法で表面改質して親水性を付与した後に、さらに親水性高分子物質で覆うことが好ましい。
加えてここでは図示しないが、基部端に適切な形状のハブを取り付けて、目的とする最良の形態の医療用カテーテルチューブが得られる。
なお、その使用に際しては上述のまま使用してもよいし、必要があるならば、予め医療用カテーテルチューブの一部をヒーターやスチームなどで加熱し、湾曲部を形成しておくこともできる。
以下、本発明の医療用カテーテルチューブの具体例について説明する。
(実施例1)
図6、7に示した1往復巻回により補強層を形成し、外層となる熱収縮チューブで被覆して医療用カテーテルチューブを製造した。なお補強材層の製造は巻回機を用いて作成した。
カテーテルチューブ全体長:カテーテル基部端より1000mm。
補強材1往復巻回の領域:カテーテル基部端より998mmの位置まで。
マーカ設置領域:カテーテル基部端より998mmから999mmの位置まで1mmの幅のものを使用。
基部端より999mmから1000mmの位置では内層管と外層管が接着されたのみである。
内層管の内直径:0.42mm
内層管の外直径:0.48mm
内層管を構成する材料:ポリテトラフルオロエチレン
カテーテルチューブ完成後の外層管外直径:0.60mm
外層管を構成する熱収縮チューブ:
基端部より先端部の位置まで:elf atochem社Pebax4033(ショアD硬度40D)製
補強材層を構成する線条体:ステンレス鋼(SUS304)断面円形、直径30μm。
このカテーテルチューブの基端部にハブを取り付けて、基端部より890mmの位置から直径3mmの金属棒に5回巻き付けて固定し、基端部にハブを取り付けそのカテーテルチューブ全体を37℃の体温付近に設定した恒温下の温水中に没し、ハブより注射器を用いて食紅で染色した生理食塩水を0.2cc/minの速度で注入した。
この結果、生理食塩水は連続的に安定して先端部より放出されて、温水中から取り出した際にも5回巻き付け部分にはキンクが生じていないことが確認された。
(実施例2)
図6、7に示した1往復巻きにより補強材を巻回し、医療用カテーテルチューブを製造した。なお補強材層の製造は巻回機を用いて作成した。外層管はシュリンクチューブを用いて一体化させた。
カテーテルチューブ全体長:カテーテル基部端より1000mm。
補強材1往復巻回の領域:カテーテル基部端より998mmの位置まで。
マーカ設置領域:カテーテル基部端より998mmから999mmの位置まで1mmの幅のものを使用。
基部端より999mmから1000mmの位置では内層管と外層管が接着されたのみである。
内層管の内直径:0.42mm
内層管の外直径:0.49mm
内層管を構成する材料:ポリテトラフルオロエチレン
カテーテルチューブ完成後の外層管外直径:0.58mm
外層管を構成する熱収縮チューブ:
基端部〜700mmの領域:elf atochem社Pebax6333製(ショアD硬度63D)
基端部より700mm〜900mmの領域:elf atochem社Pebax4033製(ショアD硬度40D)
基端部より900mm〜1000mmの領域:elf atochem社Pebax2533製(ショアD硬度25D)
補強材層を構成する線条体:ステンレス鋼(SUS304)断面円形、直径14μm。
このカテーテルチューブの基端部にハブを取り付けて、基端部より890mmの位置から直径3mmの金属棒に5回巻き付けて固定し、基端部にハブを取り付けそのカテーテルチューブ全体を37℃の体温付近に設定した恒温下の温水中に没し、ハブより注射器を用いて食紅で染色した生理食塩水を0.8cc/minの速度で注入した。
この結果、生理食塩水は連続的に安定して先端部より放出されて、温水中から取り出した際にも5回巻き付け部分にはキンクが生じていないことが確認された。
(比較例1)
実施例1で内層管、外層管の構成は変えずに線条体の巻回による補強材層を設けないチューブを作成した。
このカテーテルチューブの基端部にハブを取り付けて、基端部より890mmの位置から直径3mmの金属棒に5回巻き付けて固定し、基端部にハブを取り付けそのカテーテルチューブ全体を37℃の体温付近に設定した恒温下の温水中に没し、ハブより注射器を用いて食紅で染色した生理食塩水を0.2cc/minの速度で注入した。
この結果、生理食塩水は断続的に不安定にしか先端部より放出されず、温水中から取り出した際にも5回巻き付け部分にはキンクが生じいることが確認された。
(比較例2)
実施例2で内層管、外層管の構成は変えずに線条体の巻回による補強材層を設けないチューブを作成した。
このカテーテルチューブの基端部にハブを取り付けて、基端部より890mmの位置から直径3mmの金属棒に5回巻き付けて固定し、基端部にハブを取り付けそのカテーテルチューブ全体を37℃の体温付近に設定した恒温下の温水中に没し、ハブより注射器を用いて食紅で染色した生理食塩水を0.8cc/minの速度で注入した。
この結果、生理食塩水は断続的に不安定にしか先端部より放出されず、温水中から取り出した際にも5回巻き付け部分にはキンクが生じいることが確認された。
金属芯金に被覆されたPTFEチューブの模式図 内層管の先端部から線条体の巻回を開始する際の模式図 内層管の基部から線条体の巻回を開始する際の模式図 本発明に用いる線条体断面の例 0.5往復巻回を形成した際の模式図 1往復巻回を第一段階を形成した際の模式図 1往復巻回の第二段階を形成した際の模式図 1.5往復巻回の第一段階を形成した際の模式図 1.5往復巻回の第二段階を形成した際の模式図 1.5往復巻回の第三段階を形成した際の模式図 2往復巻回の第一段階を形成した際の模式図 2往復巻回の第二段階を形成した際の模式図 2往復巻回の第三段階を形成した際の模式図 2往復巻回の第四段階を形成した際の模式図 多段巻回の第一段階を形成した際の模式図 多段巻回の第二段階を形成した際の模式図 1本持ちの素線を編組した際の模式図 2本持ちの素線を編組した際の模式図 多段階に編組を形成した際の模式図 補強材層に接してX線不透過性のマーカーを配置したことを示す模式図 X線不透過性のマーカーを固定するために、これをかしめるか、あるいは/さらに、X線不透過性のマーカーに接してアルミなどの塑性金属素線を巻回して固定することを示す模式図 外層管を形成する熱収縮チューブを基部から先端部にかけて配置したことを示す模式図。 本発明の医療用カテーテルチューブの調子の概念図 加熱することにより外層管を形成する熱収縮チューブが収縮し、内層、補強層、外層が一体化されたことを示す模式図 最先端部賦形金型と医療用チューブの最先端部 賦形金型によってテーパー形状に成形される医療用チューブの最先端部 金属芯金を引き抜き、目的とするカテーテルチューブが完成したことを示す模式図。
符号の説明
a 線条体の間隔
θ 線条体の傾斜角度
1 X線不透過性のマーカー
2 X線不透過性のマーカーを固定するためのアルミなどの塑性金属素線の巻回部
3 構成する外層管のうち最高ショアD硬度を有する熱収縮チューブ 4 構成する外層管のうち高ショアD硬度を有する熱収縮チューブ
5 構成する外層管のうち低ショアD硬度を有する熱収縮チューブ
6 構成する外層管のうち最低ショアD硬度を有する熱収縮チューブ

Claims (13)

  1. 滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂管からなる内層管、柔軟性を調整しさらに耐キンク性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する線条体を内層管上に巻回あるいは編組してなる補強材層、および補強材層を覆い柔軟性を有する樹脂管からなる外層管が一体となった医療用カテーテルチューブであって、
    該カテーテルチューブが基部と先端部を有し、
    外層管は加熱するとその内外径が小さくなる熱収縮チューブからなるものであって、その熱収縮チューブ原料樹脂のショアD硬度は基部から先端部にかけて一段階以上になるように配列されているものであり、
    補強材層が存在しない先端部を有し、
    該補強材層と該外層管の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする
    医療用カテーテルチューブ。
  2. 補強材層を形成する線条体の巻回が、端部が線条体自身によりで内層管に対して固定され、その巻回が等傾斜角度および/または等間隔、および/または連続的および/または段階的に傾斜角度および/または間隔が変化するものであり、および/または折り返し部分を有するものである請求項1の医療用カテーテルチューブ。
  3. 補強材層を形成する線条体の編組が基部から先端部にかけて一段階あるいは多段階で形成されている請求項1の医療用カテーテルチューブ。
  4. 補強材層を形成する線条体の巻回あるいは編組の構造と、熱収縮チューブによって形成される外層管が、その原料樹脂のショアD硬度が基部から先端部にかけて段階的に小さくなるように配列することによって、多様な調子が設定できることを特徴とする請求項1、2、3記載の医療用カテーテルチューブ。
  5. 先端部が、補強材層が存在せず内層管と外層管のみが接合された最先端部分と、該最先端部よりも基部寄りの位置に、内層管と外層管との間に存在しX線不透過性のマーカーを有する請求項1、2、3、4記載の医療用カテーテルチューブ。
  6. 内層管と外層管とが補強材層を介して接合されている請求項1、2、3、4、5記載の医療用カテーテルチューブ。
  7. 内層管がその中を通るガイドワイヤー等に対して滑性を呈する樹脂からなる請求項1、2、3、4、5、6記載の医療用カテーテルチューブ。
  8. 最先端部において、外層管の外径が変化しアール形状またはテーパー状に成形され、および/または内層管の内外径が変化する請求項1、2、3、4、5、6、7記載の医療用カテーテルチューブ。
  9. 外層管が親水性コーティングされてなる請求項1、2、3、4、5、6、7、8記載の医療用カテーテルチューブ。
  10. 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、補強材層の形成は、前記内層管の外周に線条体供給部から供給される線条体を螺旋状に巻回し、前記内層管と前記線条体供給部との相対移動速度および/または相対回転速度を変えること、および/または前記内層管と前記線条体供給部の相対移動方向を変化させることにより、カテーテルチューブの軸方向に沿って、前記線条体のカテーテルチューブ軸に対する傾斜角度と間隔を連続的および/または段階的に変化させること、および/または折り返し部分を有するものであることを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
  11. 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、熱収縮チューブによって形成される外層管はその原料樹脂のショアD硬度が一段階以上の配列となるように配置し、および該ショアD硬度を多段階とする際にはその配列が基部から先端部にかけて段階的に小さくなるように配置し、多様な調子が設定できることを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
  12. 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、熱収縮チューブによって形成される外層管はその原料樹脂のショアD硬度が一段階以上の配列となるように配置し、および該ショアD硬度を多段階とする際には基部から先端部にかけて次第に小さくなるように配置し、その全体を加熱し、内層管、補強材層、外層管を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形された上で医療用カテーテルチューブを得る製造方法。
  13. 請求項1〜9に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、内層管の外周に補強材層を形成した後、熱収縮チューブによる外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、熱収縮チューブによって形成される外層管はその原料樹脂のショアD硬度が一段階以上の配列となるように配置し、および該ショアD硬度を多段階とする際には基部から先端部にかけて次第に小さくなるように配置し、電熱ヒーターおよび/または高周波誘導によって加熱される金型内を通過させて、内層管、補強材層、外層管を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形して医療用カテーテルチューブを得る製造方法。
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