JP2007296007A - 医療用カテーテルチューブならびにその製造方法 - Google Patents

医療用カテーテルチューブならびにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、遠位部で優れた柔軟性、位置調整性、トルク伝達性、耐キンク性、耐圧性、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性等を有する医療用カテーテルチューブならびにその製造方法に関する。
【解決手段】医療用カテーテルチューブの近位部Aは、ガラス管にポリイミドを被覆した管と当該管を覆う樹脂外層とを含み、遠位部Bに含まれる補強材層(B)には、芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(aポリマー)を含み、鞘成分がポリエチレンナフタレート(bポリマー)を含む海成分と溶融異方性芳香族ポリエステル(cポリマー)を含む島成分とからなる海島構造を含む芯鞘複合繊維(B−1)を配置し、当該芯鞘複合繊維(B−1)を覆って、X線不透過性を有する粉粒体を含有する合成樹脂繊維(B−2繊維)と金属素線(B−3素線)とが編組されている。
【選択図】図21

Description

本発明は、遠位部で優れた柔軟性、位置調整性、トルク伝達性、耐キンク性、耐圧性、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性等を有する医療用カテーテルチューブならびにその製造方法に関する。
特に本発明はカテーテルチューブ近位部の剛性が高いことにより押し込み性が高く、かつ押し込みと引き抜きを繰り返す過程で、伸びてしまい位置調節性が低下することのなく、しかも高粘性を有する塞栓形成組成物を圧入する際に、カテーテルチューブ内の圧力が高まり、直径が太くなり壁強度が弱まることや破裂が生じない医療用カテーテルならびにその製造方法に関する。
カテーテルチューブは体内の腔、管、血管等に挿入する中空状の医療器具であり、例えば選択的血管造影剤等の液体の注入、血栓の吸引、閉塞状態にある血管の通路確保、血管拡張術等に用いられるもので、通常チューブ体からなっている。このようなカテーテルでは、細く複雑なパターンの血管系などに迅速かつ確実な選択性をもって挿入しうるような優れた操作性が要求される。
このようなカテーテルチューブの操作性について詳しく述べると、血管内等を挿入、引き出しなど、術者の操作が基部から先端部に確実に伝達されるための位置調整性や、内部に薬液等を流通させる際の耐圧性が必要とされる。この位置調節性にはカテーテルが伸びないという特性が必要である。また、カテーテルチューブの基部で加えられた回転力が確実に伝達されるためのトルク伝達性、血管内を前進させるために施術者の押し込み力が基端側から先端側に確実に伝達されうる押し込み性も必要となる。さらに複雑な形状に曲がった血管等を先行するガイドワイヤーに沿って円滑かつ血管内壁等を損傷することなく挿入、引き出しが行えるよう、カテーテルチューブの内面が滑性を呈するガイドワイヤー追随性とカテーテル外面の血液や組織に対する親和性が必要となる。加えて、目的とする位置までカテーテルチューブ先端が到達し、ガイドワイヤーを引き抜いた状態でも、血管の湾曲部、屈曲部でカテーテルチューブに折れ曲がりが生じない耐キンク性と、血管を傷つけず血管形状に応じた形状を保つ先端部の柔軟性が必要となる。
このような要求に応じた特性を付与するために一般的には、基部が比較的剛直で、先端部にかけて次第に柔軟性を有する構造、構成とするのがよいことが知られている。
上述のような特性のカテーテルチューブを得るために、内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けたり、編組を施した上で、外層を被覆してカテーテルチューブを構成する方法が知られている。
内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けるものとして、特許文献1では可撓性を有する内管および外管が補強材層を介して接合された部分を有するカテーテル本体を有し、前記補強材層は、線条体を格子状に形成したものであり、前記カテーテル本体の軸方向に沿って、前記線条体のカテーテル本体の軸に対する傾斜角度が連続的または段階的に変化するか、あるいは前記線条体の格子点のカテーテル本体軸方向の間隔が連続的または段階的に変化することによって曲げ剛性が大なる領域と曲げ剛性が小なる領域を形成するカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、この構成では補強材層は内層管上にコイル状に巻回させたのみでありカテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びて位置調節性が低下するということに対して配慮がない。さらにカテーテルチューブを用いた手技には押し込みと引き抜きが繰り返されるものであるが、特に押し込みの際に、カテーテル基部が補強材層を有する高ショアD樹脂管からなるといえども十分な強度を有するものではなく、目的位置に到達させることが難しい。さらにカテーテルチューブ内に粘性を有する塞栓形成組成物を圧入する際に、カテーテルチューブ内の圧力が高まり、直径が太くなるなどして、結果としてカテーテル全体の壁強度が弱まり、このことがカテーテルチューブを目的位置に到達させることをさらに困難なものとする場合がある。
また、内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けるものとして、特許文献2のように、近位端、遠位端、およびこれら端部間を伸びる内腔を規定する通路を有する細長い管状部材を備えたカテーテルチューブであって、該細長い管状部材は、第1のカバー材料を有する外部管状カバーと同軸関係にある第1のライナー材料よりなる内部管状ライナーと、1つの回りを有し、該内部管状ライナーの外側にらせん状および同軸状に巻かれ、該外部管状カバーによって覆われる少なくとも1つの第1のリボン補強材とを備えるカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、この構成では補強材層は内層管上にコイル状に巻回させたのみでありカテーテルを押し込み、引き抜きを繰り返した際にカテーテルが伸びて位置調節性が低下するということに対して配慮がない。さらにカテーテルチューブを用いた手技には押し込みと引き抜きが繰り返されるものであるが、特に押し込みの際に、カテーテル基部が補強材層を有する高ショアD樹脂管からなるといえども十分な強度を有するものではなく、目的位置に到達させることが難しい。さらにカテーテルチューブ内に粘性を有する塞栓形成組成物を圧入する際に、カテーテルチューブ内の圧力が高まり、直径が太くなるなどして、結果としてカテーテル全体の壁強度が弱まり、このことがカテーテルチューブを目的位置に到達させることをさらに困難なものとする場合がある。
加えて、特許文献3のように、可撓性を有する管状のカテーテル本体と、該カテーテル本体の壁内に埋設された、補強効果を有するコイルとを備えたカテーテルであって、前記カテーテル本体は、前記カテーテルの最も先端側に位置する第1領域と、該第1領域よりも基端側に位置する第2領域とを備えており、前記コイルは、前記第1領域から前記第2領域にわたって延在しており、前記第2領域では、前記コイルが全長にわたって相対的に大きい巻きピッチで巻かれており、前記第1領域では、前記コイルが全長にわたって隣接する巻回同士が隔たりをなす相対的に小さい巻きピッチで巻かれており、かつ、該コイルの巻きピッチは先端側に向かって徐々に小さくなっており、前記第2領域に比べて前記第1領域でのカテーテルの剛性が小さくなるように構成したことを特徴とするカテーテルチューブが開示されている。
このカテーテルチューブは剛性の高い基部と柔軟性が高い先端部を形成することは可能であり、曲げ剛性のバランスを保つことはできるが、しかしながらカテーテルチューブを用いた手技には押し込みと引き抜きが繰り返されるものであるが、特に押し込みの際に、カテーテル基部が補強材層を有する高ショアD樹脂管からなるといえども十分な強度を有するものではなく、目的位置に到達させることが難しい。さらにカテーテルチューブ内に粘性を有する塞栓形成組成物を圧入する際に、カテーテルチューブ内の圧力が高まり直径が太くなるなどして、結果としてカテーテル全体の壁強度が弱まり、このことがカテーテルチューブを目的位置に到達させることをさらに困難なものとする場合がある。
さらに、内層管に補強材層を編組するものとして、特許文献4では近位領域、遠位領域、及びこれらの間を延伸する内腔を有する長尺状のシャフトと、この近位領域は内部平滑ポリマー層、補強層及び外部層を有することと、それぞれの層は遠位端を有することと、前記補強層は金属部材、及び複数のポリマー部材を有するブレードからなることと、各ポリマー部材は複数のモノフィラメントからなることとを有する脈管カテーテルが開示されている。
このカテーテルチューブは軸線方向にモノフィラメントの集合体を配し、伸びに対して配慮があるものの、使用しているモノフィラメントは液晶ポリマーからなり、編組(ブレード)を行う際に、フィブリル化に伴うほつれが生じやすく、生産性に劣るものである。
また、軸線方向に配置されるモノフィラメントの集合体は、編組される素線の間に織り込まれた構造をとるため、特殊な編組機を使用する必要があり、さらにこのことからカテーテル内孔面に凹凸が生じやすく、導通させるガイドワイヤーの挿入抵抗が大きくなる場合がある。
さらにカテーテルチューブを用いた手技には押し込みと引き抜きが繰り返されるものであるが、特に押し込みの際に、カテーテル基部が補強材層を有する高ショアD樹脂管からなるといえども十分な強度を有するものではなく、目的位置に到達させることが難しい。
さらに特許文献5では編組の編み目を近位部で粗に、遠位部で密とし、カテーテルチューブ内に粘性を有する塞栓形成組成物を圧入する際に生じる高圧に耐えるものとしているが、編組のピックを変化させることのみでは高圧に対して耐性を付与することは不充分であり、カテーテルの直径が太くなるなどして、結果としてカテーテル全体の壁強度が弱まり、このことがカテーテルチューブを目的位置に到達させることをさらに困難なものとする場合がある。
特開平06−134034号公報 特表平09−501094号公報 特開2001−218851号公報 特表2002−535049号公報 特表2006−501969号公報
本発明は、遠位部で優れた位置調整性、トルク伝達性、柔軟性、耐キンク性、耐圧性、押し込み性、X線視認性等を有する医療用カテーテルチューブを提供し、その製造方法を開示することにある。
特に本発明はカテーテルチューブ近位部で剛性が高いことにより押し込み性が高く、かつ押し込みと引き抜きを繰り返す過程で、伸びてしまい位置調節性が低下することのなく、しかも高粘性を有する塞栓形成組成物を圧入する際に、カテーテルチューブ内の圧力が高まり、直径が太くなり壁強度が弱まることや破裂が生じない医療用カテーテルならびにその製造方法に関する。
(1)本発明の一つの特徴は、近位部Aと遠位部Bを有する医療用カテーテルチューブであって、前記近位部Aは、ガラス管にポリイミドを被覆した管と当該管を覆う樹脂外層とを含み、前記遠位部Bは、前記カテーテルチューブの軸方向にわたって、内層管(A)と、当該内層管(A)を覆う補強材層(B)と、当該内層管(A)または補強材層(B)を覆う樹脂外層(C)とを備えており、前記補強材層(B)は、内層管(A)の軸線方向に、芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(aポリマー)を含み、鞘成分がポリエチレンナフタレート(bポリマー)を含む海成分と溶融異方性芳香族ポリエステル(cポリマー)を含む島成分とからなる海島構造を含む芯鞘複合繊維(B−1)を配置し、当該芯鞘複合繊維(B−1)を覆って、X線不透過性を有する粉粒体を含有する合成樹脂繊維(B−2繊維)と金属素線(B−3素線)とが編組されていること、を特徴とする医療用カテーテルチューブである。
(2)本発明の別の特徴は、前記ガラス管が石英ガラスを含む前記医療用カテーテルチューブである。
(3)本発明の別の特徴は、前記近位部から遠位部にかけて、前記樹脂外層(C)を構成する樹脂のショアD硬度が段階的または連続的に小さくなることを特徴とする前記医療用カテーテルである。
(4)本発明の別の特徴は、前記遠位部の最先端には、前記内層管(A)と樹脂外層(C)のみからなる先端チップ部を有することを特徴とする前記医療用カテーテルチューブである。
(5)本発明の別の特徴は、前記先端チップ部より近位側に、前記内層管(A)と、補強材層(B)と、X線不透過性マーカーとを含むマーカー部を有する前記医療用カテーテルチューブである。
(6)本発明の別の特徴は、前記先端チップ部は、アール形状またはテーパー状に成形されていることを特徴とする、前記医療用カテーテルチューブである。
(7)本発明の別の特徴は、前記内層管(A)を構成する樹脂が、当該内層管(A)の中を通るガイドワイヤーに対して滑性を呈する樹脂からなる前記医療用カテーテルチューブである。
(8)本発明の別の特徴は、前記ガイドワイヤーに対して滑性を呈する樹脂が、フッ素系樹脂である前記医療用カテーテルチューブである。
(9)本発明の別の特徴は、前記樹脂外層(C)が、親水性コーティングされてなる、前記医療用カテーテルチューブである。
(10)本発明の一つの特徴は、医療用カテーテルチューブの製造方法であって、(i)前記カテーテルチューブの近位部Aにガラス管にポリイミドを被覆した管と当該管を覆う樹脂外層とを形成し、(ii)内層管(A)を用意し、(iii)該内層管(A)の軸線方向に、芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(aポリマー)からなり、鞘成分が海島構造を有する芯鞘複合繊維において該鞘成分を構成する海成分がポリエチレンナフタレート(bポリマー)からなり、島成分は溶融異方性芳香族ポリエステル(cポリマー)からなる複合繊維(B−1繊維)を配置し、さらに、当該複合繊維(B−1繊維)を覆って、X線不透過性を有する粉粒体を含有する合成樹脂繊維(B−2繊維)と金属素線(B−3素線)とを編組したものからなる補強材層(B)を形成し、(iv)前記補強材層(B)を樹脂外層(C)で被覆する、ことを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法である。
(11)本発明の一つの特徴は、内層管(A)と、当該内層管(A)を覆う補強材層(B)と、当該内層管(A)または補強材層(B)を覆う樹脂外層(C)とを備える医療用カテーテルチューブの製造方法であって、前記カテーテルチューブの近位部Aにガラス管にポリイミドを被覆した管と当該管を覆う樹脂外層とを形成し、前記補強材層(B)が形成された近位端から遠位端にかけて、前記樹脂外層(C)を構成する樹脂管をショアD硬度が段階的または連続的に小さくなるように配置し、これら補強材層(B)及び樹脂外外層(C)の全体をシュリンクチューブで覆い、加熱収縮させて一体化し、しかる後当該シュリンクチューブを剥がしてカテーテルチューブを得る製造方法である。
(12)本発明の一つの特徴は、医療用カテーテルチューブの製造方法であって、(i)近位部から遠位部にかけて、内層管(A)と、当該内層管(A)を覆う補強材層(B)と、当該内層管(A)または補強材層(B)を覆う樹脂外層(C)とによって一体化された当該遠位部の最先端における樹脂外層と補強材層とを剥がし、(ii)前記内層管(A)における前記樹脂外層と補強材層とが除去された部位の近位側にマーカーを配置し、(iii)前記マーカーが配置された部位に樹脂外層を配置し、シュリンクチューブで加熱一体化させ、前記内層管および樹脂外層のみからなる先端チップ部と、当該先端チップ部より近位側に内層管と補強材層とマーカーとからなるマーカー部とを形成する、ことを特徴とするカテーテルチューブの製造方法である。
本発明のその他の特徴およびその利点は、以下の実施形態および図面によって明らかにされる。
上述した課題を解決するための手段によって、本発明は遠位部で優れたガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性、基部から先端部にかけて連続的な柔軟性の変化があり、剛性と柔軟性の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性、また複雑な屈曲が生じた際にも折れ曲がりが生じない耐キンク性、耐圧性、ガイドワイヤー追随性、生産性等を有する医療用カテーテルチューブを提供できる効果がある。
特に本発明はカテーテルチューブ近位部の剛性が高く、押し込み性が高く、かつ押し込みと引き抜きを繰り返す過程で、伸びてしまい位置調節性が低下することのなく、しかも高粘性を有する塞栓形成組成物を圧入する際に、カテーテルチューブ内の圧力が高まり、直径が太くなり壁強度が弱まることや破裂が生じない医療用カテーテルチューブが得られるという効果がある。
以下に本発明の医療用カテーテルチューブの最良の形態・構造および製造方法を図面を使って説明する。これらの図は本発明の構成の特徴を模式的に示したものであり、各部分の長さや径に関しては、医療用カテーテルチューブとして好適に用いることができるものであれば、任意のものを用いることができる。図1に製造方法のフローチャートを示し、この図にしたがって本発明の形態・構造、および製造方法を説明する。本発明の形態・構造および製造方法は請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱することなく、適宜変更を加えることができる。
1.内層管形成
まず、カテーテルの遠位部Bを形成するため、図2のように金属芯線1を準備する。この金属芯線はリール2に巻かれており、その外径は製造するカテーテルの内径とほぼ一致するものであり、材質としては金属メッキ銅線、あるいはステンレス線が好ましい。また図2以降では便宜上、左側を近位部とし、右側を遠位部としている。
続いて図3のように金属芯線上に内層管3を押出機4により押出被覆形成する。
この内層管の構成材料として、樹脂であれば特に限定されない。該内層管の材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド等の樹脂、およびその混合物が挙げられる。完成後の製品が内層管を通るガイドワイヤー等に対して優れた滑性を呈し、ガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性を得る観点からは、内層管の構成材料は、ポリテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系樹脂で構成することが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンを使用した際には、添加剤の乾燥等の処理を経てから、焼成を行う。「内層管(A)の中を通るガイドワイヤーに対して滑性を呈する樹脂」には、ポリテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系樹脂が含まれる。
金属芯線に被覆された内層管は金属芯線に対して、充分な被着力を有していることが好ましい。さらに後の外層管を被覆する工程で、内層管と外層管との被着力を高める目的で、化学的な方法(ナトリウムナフタリン+ジメチルエーテル等の脱フッ素薬剤の使用)、および/またはプラズマなどの電気的な方法で凹凸を形成したり、表面改質したりしてもよい。
2.補強材層形成
内層管を被覆した金属芯線は、図4のように編組機5にセットされる。編組機は内層管の軸線方向に後述のB−1繊維を供給する繊維供給部6と、内層管周方向にB−2繊維およびB−3素線を編組する機構部7からなる。この内層管周方向にB−2繊維およびB−3素線を編組する機構部は回転部分8が互いに逆向きに回転すると同時に、これに取り付けてあるボビン9が内層管を被覆した金属芯線に対して近づく動作と離れる動作を交互に繰り返すことにより編組がなされる。
2−1.B−1繊維
上記B−1繊維は、内層管の軸方向に配置されることにより、カテーテルとして使用する際に、しなやかさを損なうことなく、押し込み性を高め、また引き抜きを繰り返す過程で伸びてしまい位置調節性が低下することのないように伸び防止材として機能する。
このB−1繊維は断面が円形状のものを用いることが好ましく、また複数本のB−1繊維をフラットな状態に集合させて内層管上に配置することが好ましい。この際、B−1繊維の本数は2〜10本の集合体とすることが好ましい。さらにこのB−1繊維のフラットな状態での集合は内層管上に1〜4つ配置することが好ましい。
B−1繊維として特に好適に用いうるのは図5の断面概念図ならびに走査顕微鏡写真に示すような芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル10(aポリマー)からなり、鞘成分が海島構造を有する芯鞘複合繊維において該鞘成分を構成する海成分がポリエチレンナフタレート11(bポリマー)からなり、島成分は溶融異方性芳香族ポリエステル12(cポリマー)からなるものである。
本発明の実施形態で用いるB−1繊維の芯部分を構成する溶融異方性ポリエステル(aポリマー)は、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等から誘導される反復構成単位を有するものであるが、特に好ましくは下記化1に示される構成単位(P)が96〜55モル%、(Q)が4〜45モル%である芳香族ポリエステルである。
Figure 2007296007

本発明の実施形態に用いるB−1繊維の鞘部分の海成分(bポリマー)はポリエチレンナフタレートを用いたものである。また、本発明の実施形態に用いるB−1繊維の鞘部分の島成分(cポリマー)はaポリマーと同様の溶融異方性芳香族ポリエステルを用いることができ、aポリマーとcポリマーは同種であっても異種であっても良い。
好適に用いられるB−1繊維の直径として好ましくは5〜50μmのものを用いるのが好ましい。このようなB−1繊維は溶融異方性芳香族ポリエステルの芯が鞘で覆われている構造をとるために加工時に溶融液晶ポリマーの芯がフィブリル化して毛羽立ったりすることがない。
2−2.B−2繊維の一例(X線不透過性を有する粉粒体の含有)
B−2繊維として用いられるものはX線不透過性を有する粉粒体を含有する合成樹脂繊維が好ましい。この合成樹脂繊維は断面が円形状のものを用いることが好ましい。
B−2繊維の基材として用いられるものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ケブラーに代表される芳香族ポリアラミドなど、これらのうちのいずれかを含むポリマーアロイ、カーボンファイバー、グラスファイバーが挙げられる。これらの中で好ましいものは、基材としての引っ張り強度や加工性の面からポリエチレンナフタレートのようなポリエステルを用いることが好ましい。
B−2繊維の断面には、均一にX線不透過性を有する粉粒体が分散されているものを用いることができる。さらにその断面の中心近傍でX線不透過性を有する粉粒体が集中しているものを用いることができる。加えて、芯鞘構造を有し、芯部分にはX線不透過性を有する粉粒体が含まれ、鞘部分にはX線不透過性を有する粉粒体を含まないものを用いることができる。なお、芯鞘構造を有するものを用いる場合、芯部分の基材と鞘部分の基材とが同種であっても異種であってもよい。
好適に用いられるB−2繊維の直径としては5〜50μmのものを用いるのが好ましい。
X線不透過性を有する粉粒体としてタングステン系金属、白金系金属、金系金属を用いうる。タングステン系金属とは純タングステンの他、W−45Mo合金、W−5Mo−5Ni(Co、Fe)合金、W−Re系合金、W−ThO2合金、さらにはタングステンと銅、炭素などとの合金のことを表す。白金系金属とは白金や、白金とタングステン、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウムなどとの合金のことを表す。金系金属とは純金や、金と銅、銀、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウムなどとの合金のことを表す。さらに硫酸バリウムや酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、タングステン酸ビスマス、ビスマス−オキシクロライド等のX線不透過性を有する化合物粉粒体であっても良い。
これらX線不透過性を有する粉粒体の平均粒径は5μm以下であることが好ましく、さらには2μm以下であることが好ましい。
2−3.B−3素線
補強材層に用いられるB−3素線の金属素線の例示としてのステンレス素線はマルテンサイト系、フェライト系、二相系、オーステナイト系などいずれのステンレスを用いてもよいが、俗になまし線やバネ線と呼ばれる熱処理されたステンレス素線が好適に用いられる。
好適に用いられるB−3素線の直径としては5〜50μmのものを用いるのが好ましい。
カテーテル周方向のB−3素線の編組は、耐圧性を与えるとともに耐キンク性を付与するなどの役割を果たす。
編組の形態については1オーバー1アンダーや2オーバー2アンダーなど様々な形態があるが、カテーテルの補強材層として適切なものであればいずれの形態をとってもよい。
3.カテーテルチューブの近位部
続いて、補強材層が形成された後、カテーテルチューブの遠位部Bは図6のように適宜の長さに1本ずつに切断され、金属芯線1を抜いた上で再び金属芯線よりも若干直径が細いマンドレル13が挿入される。
ついで、図7のようにカテーテルチューブの近位部Aを構成する、表面がポリイミド14で被覆されたガラスチューブ15を用意する。ガラスチューブは、好適には、大径の石英ガラス管を溶融、延伸して、細径化されて製造される。このようにして製造された石英ガラスチューブは熱可塑性ポリイミドの押出コーティング法等により、ポリイミド層が被覆される。ポリイミドの被覆厚は適宜でよいが、耐キンク性、石英ガラスチューブの折れ防止の観点から3〜50μmとすることが好ましい。またその内径はマンドレル13の外径とほぼ一致することが好ましい。石英ガラスとはシリカとも呼称されるガラスである。また、石英ガラスに限らず、ソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)、鉛ガラス、硼珪酸(ほうけいさん)ガラスなどをガラスチューブの原料としてもよい。
このようにして製造されたポリイミドが被覆された石英ガラスチューブはその内面にフッ化水素酸水溶液(フッ酸)などのガラスを溶解できる液体を送通し、医療用カテーテルチューブとして使用される際にガイドワイヤーとの接触面積を減らし、ガイドワイヤーの通過性を高める目的で、粗面化しても良い。このように処理された石英ガラスチューブは内外面とも純水等で洗浄される。
さらに図8のように近位部Aを構成するポリイミドが被覆されたガラス管に、遠位部Bのマンドレル端が挿入された状態で接合される。この接合に際しては近位部Aと遠位部Bの接合面やその周囲を接着剤を使用しても接合強度を高める手段をとることが好ましい。
4.外層管配置
ついで、樹脂外層管の配置方法としては、あらかじめ押出成形により複数の硬度の異なる樹脂外層管を作製し、近位部付近には硬度が高い樹脂外層管を配置し、遠位部にゆくほど柔軟な樹脂外層管を配置して、これらの樹脂外層管をシュリンクチューブで覆い、ポリイミドが被覆されたガラス管、内層、補強材層、樹脂外層を一体化させる。
樹脂外層管は、近位部付近では剛性が高く、遠位部では柔軟性を有するよう、カテーテルとして必要な特性を満たすように何段階にもショアD硬度の異なるものを配置することが好ましい。またその直径は近位部から遠位部にかけて徐々に細くなるものであっても良いし、均一な細さであっても良い。それぞれの外層管となる樹脂管は適宜の長さに調節することができる。この樹脂外層管は近位部付近ではショアD硬度が高いものを配置するので、ガラス管の剛性と相まってカテーテルチューブとして形成された際には高い剛性を有するので、好適な押し込み性が発揮されるものである。近位部付近ではポリイミドが被覆されたガラスチューブがさらに外層となる樹脂管で覆われるために極度なキンクを与えない限り、容易に折れることはない。また、近位部Aはカテーテルチューブとして手技に用いられる際には、遠位部Bに比較して、大きな屈曲を加えられることは少ない。また、遠位部Bは内層管に補強材層が形成され、さらに柔軟な外層となる樹脂管で覆われるために高い柔軟性を有すると同時に、カテーテルチューブ内に塞栓物質等を圧入する際に、直径が太くなり壁強度が弱まることや破裂を防ぐものとなる。
図9では例示として外層となる樹脂管16a〜cの三種類のショアD硬度を有するものを密接させて配置した状態を示したが、カテーテルの近位部から遠位部にかけて徐々にショアD硬度が低くなるように配置する必要がある。すなわち外層管となる樹脂管のショアD硬度は図9において16a>16b>16cとなる。ショアD硬度は20〜80程度であるものが好適に用いられる。なお、本明細書にいうショアD硬度は、デュロメータタイプDでISO 7619に則って測定された値である。
外層管を形成する樹脂管の材質としてはポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマー、またはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが使用可能である。外層管となる樹脂管はショアD硬度の異なるエラストマーを混合し、押出成形することにより、硬度を調整することが可能である。
ここで、ポリアミドエラストマーとは、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族または芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的であり、その他、前記ポリアミドと柔軟性に富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド、グラフト重合、ランダム重合等)や、前記ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
また、ポリエステルエラストマーとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルと、ポリエーテルまたはポリエステルとのブロック共重合体が代表的であり、その他、これらのポリマーアロイや前記飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。 好適に用いられる材料としては、その加工性、柔軟性の観点からポリアミドエラストマーが好ましく、例えばArkema社製のPEBAXなどがその代表として挙げられる。
5.カテーテル一体化
こののち、図10のように加熱することによりその径が縮小する性質を有するシュリンクチューブ17で全体を覆う。シュリンクチューブはポリテトラフルオロエチレンやパーフルオロエチレン−プロペンコポリマーなどを材質としていることが好ましい。
この後、シュリンクチューブがチューブが収縮する温度までヒーターで加熱させるか、高周波電磁波を与えて加熱し、内層管、補強材層、外層管を一体化する。
ついでカテーテル全体を覆っていたシュリンクチューブを剥がし、さらにカテーテルの遠位最先端部相当する位置の補強材層と樹脂外層の一部を取り除き、内層管が露出した状態にする。
6.マーカー取り付け
続いてX線不透過性金属からなるマーカーの配置方法を示すが、図11はカテーテル先端部を拡大して示したものであり、樹脂外層は18、補強材層の先端部分は19、内層管は20、マンドレルは21で表されている。
X線不透過性を有した金属からなるマーカーとしてX線不透過性金属管22は内層管上に補強材層に隣接して配置される。このX線不透過性金属管は内層管にかしめることによって固定される。金属管を使用するときはその厚みが5〜60μmのものが好ましい。
なお、X線不透過性マーカーは以下に示すいずれの場合も内層管最先端部には達しない箇所に配置される。
さらにX線不透過性を有した金属マーカーとしては図12のようにX線不透過性金属素線23をコイル状に巻回してもよい。X線不透過性金属線を使用するときにはその直径が5〜60ミクロンのものが好ましい。
加えて、X線不透過性を有した金属マーカーとして図13のような形状をした方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板24を、図14にカテーテル先端部を拡大して示すが25のように内層管上に巻き覆して配置してよい。金属薄板を使用するときはその厚みが5〜60μmのものが好ましい。この金属薄板は切れ目を入れることにより、好適な柔軟性が確保されるものである。
X線不透過性金属管、素線、薄板の材質としてはタングステン系金属、白金系金属、金系金属を用いうる。タングステン系金属とは純タングステンの他、W−45Mo合金、W−5Mo−5Ni(Co、Fe)合金、W−Re系合金、W−ThO2合金、さらにはタングステンと銅、炭素などとの合金のことを表す。白金系金属とは白金や、白金とタングステン、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウムなどとの合金のことを表す。金系金属とは純金や、金と銅、銀、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウムなどとの合金のことを表す。
加えて、図15のように、X線不透過性を有した金属マーカーとして、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、タングステン酸ビスマス、ビスマス−オキシクロライド、タングステン、金、白金等のX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブ26を内層管上に配置してもよい。ここで用いる樹脂としては軟質部とマーカー部に使用した第一外層樹脂管として使用するものと同様のものが好ましい。この配置の際にはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブを27のように軸方向に切れ目を入れて配置してもよいし、28のようにチューブ形態を保ったまま配置してもよい。X線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブの厚みとしては5〜60μmのものが好ましい。
続いて、図16のようにX線不透過性を有した金属マーカー、ならびに、図9の16aで示したものと同じショアD硬度を持つ柔軟な内層管、または、その内層管よりも小さいショアD硬度を有する外層管29を再び配置する。
さらに、この再び配置された外層管の周囲を図17のように加熱することによりその径が縮小する性質を有するシュリンクチューブ30で覆う。
この後、シュリンクチューブがチューブが収縮する温度までヒーターで加熱させるか、高周波電磁波を与えて加熱し、一体化させて、内層管とX線不透過性を有したマーカーそして樹脂外層からなるマーカー部、ならびに内層管と樹脂外層からなる先端チップ部を形成する。
このとき、シュリンクチューブの収縮により図18のように先端チップ部は、外形が変化し、アール状31に賦形される。シュリンクチューブの収縮のみでアール形状の付与が十分ではないときにはシュリンクチューブを剥がしたあと、砂入りゴム砥石などを取り付けたリューター等により先端チップ部を再加工しても良い。
先端チップ部をテーパー状に賦形する際には、シュリンクチューブを収縮させてから、さらに図19のような加熱金型32を用いて図20のように接触、加熱してテーパー状33に賦形させる。金型によるテーパー形状の付与が十分ではないときにはシュリンクチューブを剥がしたあと、砂入りゴム砥石などを取り付けたリューター等により先端チップ部を再加工しても良い。
7.親水性コーティング例
ついで、図示しないが、全体のシュリンクチューブを剥いてから、カテーテルチューブ表面を親水性(または水溶性)高分子物質で覆うことが好ましい。これにより、カテーテルチューブの外表面が血液または生理食塩水等に接触したときに、摩擦係数が減少して潤滑性が付与され、カテーテルチューブの摺動性が一段と向上し、その結果、押し込み性、追随性、耐キンク性および安全性が一段と高まる。親水性高分子物質としては、たとえば以下のような天然または合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。特に、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロンは、低い摩擦係数が安定的に得られるので好ましい。
8.カテーテルチューブの取得
最後に、図21のようにマンドレルを引き抜き、基部端は整形のために高速回転する円盤状のダイヤモンドカッターなどの手段で内層、補強層、外層を切断し、基部端断面を単一平面に仕上げて、カテーテルチューブが得られる。
このカテーテルチューブは、ショアDの異なる樹脂外層の長さの設定により、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性が発揮される。ここでいう調子とは図22のように先端部の高い柔軟性を有する領域の位置が異なっていることである。あるいは曲げ強度が変化する位置が異なっているとも表現できる。この図22において直線部分は先端部に比較して剛性は高いが柔軟性も同時に確保されていることを示している。多様な調子を設定できることによって、図22において、1号調に近いほど先端部の状況をダイレクトに感度よく伝えると同時にトルクの伝達能が高く、5号調に近いほど複雑な経路への侵入、深奥部への到達が行いやすくなるなどの使用上の事項に加え、多様な患部に対して施術者の手術方法の意図が反映され、かつ選択できるといった利点がある。
さらに、内層管をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂で構成した際には、この内孔をプラズマ放電処理等の電気的な手段をもって、適度に親水化をはかることができる。
加えてここでは図示しないが、基部端に適切な形状のハブを取り付けて目的とする最良の形態の医療用カテーテルチューブが得られる。
なお、その使用に際しては上述のまま使用してもよいし、必要があるならば、予め医療用カテーテルチューブの一部をヒーターや蒸気などで加熱し、湾曲部を形成しておくこともできる。
図1は、本発明の実施形態としてのカテーテルチューブの製造方法を示すフローチャートである。 図2は、リールに巻かれた金属芯線を示す。 図3は、内層管を押出機により連続被覆形成する工程を示す。 図4は、編組機により内層管の軸方向にB−1繊維を配置し、さらに内層管の周方向にB−2繊維を編組することにより補強材層を形成する工程を示す。 図5は、B−1繊維として好適に用いられる素線の断面構造を示す。 図6は、カテーテルを一本ずつ切断した状態を示す。 図7は、近位部を構成する表面がポリイミドで被覆されたガラスチューブを示す。 図8は、近位部を構成するポリイミドが被覆されたガラス管に、遠位部の金属芯線の端部が挿入され接合された状態を示す。 図9は、外層となるショアD硬度の異なる樹脂管を密接させて配置した状態を示す。 図10は、シュリンクチューブで全体を覆った状態を示す。 図11は、カテーテル遠位部を拡大し、さらにX線不透過性金属管マーカーを配した状態を示す。 図12は、カテーテル先端にX線不透過性金属素線マーカーを巻回した状態を示す。 図13は、方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカーを示す。 図14は、方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカーをカテーテル先端に配置した状態を示す。 図15は、X線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブをカテーテル先端に配置した状態を示す。 図16は、樹脂外層管を配置した状態を示す。 図17は、シュリンクチューブで樹脂外層管を覆った状態を示す。 図18は、シュリンクチューブが収縮し内層管、X線不透過性を有する金属からなるマーカー、樹脂外層管が一体化し、先端チップ部がアール状に賦形された状態を示す。 図19は、先端チップ部賦形用加熱金型を示す。 図20は、先端チップ部賦形金型に接触、加熱賦形させた状態を示す。 図21は、金属芯線を引き抜き、基部端断面を仕上げた状態を示す。 図22は、調子を表す概念図を示す。
符号の説明
1 金属芯線
2 リール
3 内層管
4 押出機
5 編組機
6 B−1繊維を供給する繊維供給部
7 B−2素線を編組する機構部
8 回転部分
9 ボビン
10 溶融異方性芳香族ポリエステルの芯
11 ポリエチレンナフタレートの海(鞘)
12 溶融異方性芳香族ポリエステルの島(鞘)
13 マンドレル
14 ポリイミド
15 ガラスチューブ
16a 高ショアD硬度外層管
16b 中ショアD硬度外層管
16c 低ショアD硬度外層管
17 シュリンクチューブ
18 樹脂外層
19 補強材層の先端部分
20 内層管
21 マンドレル
22 X線不透過性金属管
23 X線不透過性金属素線
24 方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板
25 巻き覆された方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板
26 X線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブ
27 切れ目を入れたX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブ
28 切れ目を入れないX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブ
29 樹脂外層管
30 シュリンクチューブ
31 アール状賦形された軟質部
32 加熱金型
33 テーパー状賦形された軟質部

Claims (12)

  1. 近位部Aと遠位部Bを有する医療用カテーテルチューブであって、
    前記近位部Aは、ガラス管にポリイミドを被覆した管と当該管を覆う樹脂外層とを含み、
    前記遠位部Bは、前記カテーテルチューブの軸方向にわたって、内層管(A)と、当該内層管(A)を覆う補強材層(B)と、当該内層管(A)または補強材層(B)を覆う樹脂外層(C)とを備えており、
    前記補強材層(B)は、内層管(A)の軸線方向に、
    芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(aポリマー)を含み、鞘成分がポリエチレンナフタレート(bポリマー)を含む海成分と溶融異方性芳香族ポリエステル(cポリマー)を含む島成分とからなる海島構造を含む芯鞘複合繊維(B−1)を配置し、
    当該芯鞘複合繊維(B−1)を覆って、X線不透過性を有する粉粒体を含有する合成樹脂繊維(B−2繊維)と金属素線(B−3素線)とが編組されていること、
    を特徴とする医療用カテーテルチューブ。
  2. 前記ガラス管が石英ガラスを含む請求項1の医療用カテーテルチューブ
  3. 前記近位部から遠位部にかけて、前記樹脂外層(C)を構成する樹脂のショアD硬度が段階的または連続的に小さくなることを特徴とする請求項1または2のいずれかの医療用カテーテル。
  4. 前記遠位部の最先端には、前記内層管(A)と樹脂外層(C)のみからなる先端チップ部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの医療用カテーテルチューブ。
  5. 前記先端チップ部より近位側に、前記内層管(A)と、補強材層(B)と、X線不透過性マーカーとを含むマーカー部を有する請求項1〜4のいずれかの医療用カテーテルチューブ。
  6. 前記先端チップ部は、アール形状またはテーパー状に成形されていることを特徴とする、請求項4または5の医療用カテーテルチューブ。
  7. 前記内層管(A)を構成する樹脂が、当該内層管(A)の中を通るガイドワイヤーに対して滑性を呈する樹脂からなる請求項1〜6のいずれかの医療用カテーテルチューブ。
  8. 前記ガイドワイヤーに対して滑性を呈する樹脂が、フッ素系樹脂である、請求項1〜7のいずれかの医療用カテーテルチューブ。
  9. 前記樹脂外層(C)が、親水性コーティングされてなる、請求項1〜8のいずれかの医療用カテーテルチューブ。
  10. 医療用カテーテルチューブの製造方法であって、
    (i)前記カテーテルチューブの近位部Aにガラス管にポリイミドを被覆した管と当該管を覆う樹脂外層とを形成し、
    (ii)内層管(A)を用意し、
    (iii)該内層管(A)の軸線方向に、芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(aポリマー)からなり、鞘成分が海島構造を有する芯鞘複合繊維において該鞘成分を構成する海成分がポリエチレンナフタレート(bポリマー)からなり、島成分は溶融異方性芳香族ポリエステル(cポリマー)からなる複合繊維(B−1繊維)を配置し、さらに、当該複合繊維(B−1繊維)を覆って、X線不透過性を有する粉粒体を含有する合成樹脂繊維(B−2繊維)と金属素線(B−3素線)とを編組したものからなる補強材層(B)を形成し、
    (iv)前記補強材層(B)を樹脂外層(C)で被覆する、
    ことを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
  11. 内層管(A)と、当該内層管(A)を覆う補強材層(B)と、当該内層管(A)または補強材層(B)を覆う樹脂外層(C)とを備える医療用カテーテルチューブの製造方法であって、
    前記カテーテルチューブの近位部Aにガラス管にポリイミドを被覆した管と当該管を覆う樹脂外層とを形成し、
    前記補強材層(B)が形成された近位端から遠位端にかけて、前記樹脂外層(C)を構成する樹脂管をショアD硬度が段階的または連続的に小さくなるように配置し、これら補強材層(B)及び樹脂外外層(C)の全体をシュリンクチューブで覆い、加熱収縮させて一体化し、しかる後当該シュリンクチューブを剥がしてカテーテルチューブを得る製造方法。
  12. 医療用カテーテルチューブの製造方法であって、
    (i)近位部から遠位部にかけて、内層管(A)と、当該内層管(A)を覆う補強材層(B)と、当該内層管(A)または補強材層(B)を覆う樹脂外層(C)とによって一体化された当該遠位部の最先端における樹脂外層と補強材層とを剥がし、
    (ii)前記内層管(A)における前記樹脂外層と補強材層とが除去された部位の近位側にマーカーを配置し、
    (iii)前記マーカーが配置された部位に樹脂外層を配置し、シュリンクチューブで加熱一体化させ、前記内層管および樹脂外層のみからなる先端チップ部と、当該先端チップ部より近位側に内層管と補強材層とマーカーとからなるマーカー部とを形成する、
    ことを特徴とするカテーテルチューブの製造方法。

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