JP2001299261A - ニンニクの無臭化方法及び健康食品 - Google Patents
ニンニクの無臭化方法及び健康食品Info
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Abstract
ること 【解決手段】 糖類及び窒素源を添加した生ニンニク水
性抽出液にサッカロマイセス・セレビジェ・レス・ガー
リック(FERM P-17806)を接種して発酵させてニンニク
抽出物を無臭化する
Description
及びそのニンニクを使用した健康食品に関するもので、
食品、医薬等の分野で利用される。
て広く用いられると共に、多数の有効成分が含まれてい
ることが知られている。近時は、動脈硬化、ガン予防の
視点からも注目されてきている。他方、ニンニクは強い
臭気を発し、刺激性、催涙性をも備えているため、その
まま食用に供するには抵抗がある。ニンニクの無臭成分
と悪臭成分とを化学的に分離することは困難である。量
的には前者が大半を占めているため、両者を分離するこ
となく共存させたまま無臭化を図ることが通例である。
様々な無臭化技術による無臭ニンニク製品が粉末、錠
剤、カプセル入りオイル、アルコール抽出液等の形態で
販売されているが、未だ完全に臭気を除去したニンニク
は出現していない。
作用である。そのためニンニク抽出液には、ほとんどの
微生物は生育できないと思われていたが、発明者らは、
ニンニクの抽出液に生育可能な野生の微生物を探索した
結果、ブドウ果皮より分離した酵母「サッカロマイセス
・セレビジェ・レス・ガーリック(Saccharomyces cere
visiae Res.Garlic)」(FERM P-17806)がニンニク抽出
液内でも強く発酵し且つ無臭化にも有効であるとの知見
を得た。
物の無臭化を図ることを課題としたものである。
技術的手段はニンニクの無臭化方法に関するもので、糖
類及び窒素源を添加した生ニンニク水性抽出液にサッカ
ロマイセス・セレビジェ・レス・ガーリック(FERM P-1
7806)を接種して発酵させてニンニク抽出物を無臭化す
ること、である。第二の技術的手段は食品に関するもの
で、上記技術的手段によって得られた発酵液の上清にシ
クロデキストリンを添加してニンニクの有効成分を包摂
乾燥させた粉末と、生育したサッカロマイセス・セレビ
ジェ・レス・ガーリックを乾燥させた菌体粉末との混合
物を主成分としたこと、である。
・ガーリック FERM P-17806(Saccharomyces cerevisi
ae Res.Garlic)は、1996年6月に大阪において、岡山産
のブドウ「巨峰」の果皮から菌株を分離したものであ
る。すなわち、加熱殺菌済の水にぶどうの果皮を投入し
た容器を震盪させて果皮に付着している菌体を水中に遊
離させ、この菌体を、120 ℃10分で殺菌したPGY寒天
培地(ペプトン0.5 %、酵母エキス0.3 %、麦芽エキス
0.3 %及びブドウ糖1%を含有−pH5.5 )に接種し、30
℃で7日間平板培養した。ついで、培地上に形成された
各コロニーから採取した菌株をさらに個別培養して純粋
の菌体となし、後述するニンニク抽出液に糖類及び窒素
源を混入させた培養液に各菌体を接種したところ、上記
の菌体のみが生き残った。
5〜6μの卵形で、出芽法によって増殖し、白色で光沢
はなく、色素は認められなかった。また、培地上の繁殖
において、球形の子嚢胞子の形成が認められた。この菌
体はpH3.5 〜6.5 、15〜35℃の範囲において生育が可能
であり、pH5.5、30℃において最も良く生育する性質を
有している。糖の資化性については、D−グルコース、
D−ガラクトース、シュークロース及びマルトースにつ
いては資化するものの、ラクトースについては資化性が
認められていない。上記の観察結果から、この菌体は、
Saccharomyces cerevisiaeの酵母の一つであると認めら
れた。なお、この酵母は、液体培地では、発酵中は混濁
状態であるが、発酵の終了と共に沈殿する下面酵母の性
質を有していた。
ると、酵母の繁殖が旺盛となって強く発酵し、ニンニク
の抽出成分を損なうことなくニンニク特有の臭気を徐々
に薄め、やがては殆どの臭いが取り除かれた。サッカロ
マイセス・セレビジェ・レス・ガーリックをニンニク抽
出液で発酵させるには、糖類及び窒素源の添加が必要で
ある。糖類としては、ブドウ糖、蔗糖、麦芽糖、砂糖等
を好適に使用できるが、乳糖は資化されないため使用す
ることができない。窒素源としては、ペプトン、ポリペ
プトン、コラーゲンペプチド、カザミノ酸を好適に使用
できるが、コラーゲンペプチドを使用した場合には味も
良好であり、窒素源としては最も好ましい素材である。
ーリックを発酵させて無臭化したニンニク抽出液(発酵
液)の上清を取り出し、これにシクロデキストリン添加
してニンニクの有効成分を包摂し乾燥させた粉末を得る
一方、発酵によってニンニク抽出液内で生育したサッカ
ロマイセス・セレビジェ・レス・ガーリックを乾燥させ
て菌体粉末を形成し、両粉末の混合物を主成分とした健
康食品では、発酵後のニンニク抽出液内におけるすべて
の有効成分を無臭状態でそのまま食品とすることができ
る。
ンニク抽出液を得た。固形分を除き上清に水を加えて30
lとした。これをフィチン酸でpH5.0 にして培養液を作
成した。 ii)抽出液の発酵 次いでブドウ糖及びコラーゲンペプチドを加えると共
に、サッカロマイセス・セレビジェ・レス・ガーリック
を接種し、500 ml容のフラスコ内で30℃で静置培養し
た。結果は表−1のとおりであった。
糖及びコラーゲンペプチドを加えた培地では、酵母は増
殖し盛んに発酵した(a)参照)。ブドウ糖を10gに減ら
すと酵母の増殖はより盛んとなった(b)参照)。a)b)に
よって得られた発酵液からは、ニンニク臭は認められな
かったが、若干のアルコール臭が認められた。これは発
酵過程においてエチルアルコールが発生したためであ
る。なお、この二つの発酵結果から、a)の培地では糖の
濃度が若干高いことを示している。上記の培地からコラ
ーゲンペプチドを除去したものでは、酵母の増殖は微弱
となり、ニンニク臭が消えることはなかった。(c)参
照)。比較例として、最も発酵状態が良好であったb)の
培地にサッカロマイセス・セレビジェ種に属する他の酵
母IFO-0202−d)・IFO-0222−e)・IFO-0224−f)(いずれ
も財団法人発酵研究所から分譲されたものを使用)を接
種したが、酵母の増殖は認められなかった。
にシクロディキストリン20gを加え、スプレードライヤ
で乾燥すると、粉末25gが得られた。なお、発酵液に含
まれていたエチルアルコールは、スプレードライヤで乾
燥する際に蒸散し除去されていた。他方、培養菌体を集
めてデシケーター内に放置しておくと、自然に乾燥して
菌体の粉末が得られた。両者をそのまま混合して粉末状
の健康食品が得られた。
る結果、ニンニク抽出液に対して酵母を接種してそのま
ま置いておくだけで無臭化作業を行えるため、無臭化作
業を極めて容易に行える利点があり、ニンニクの多数の
栄養成分を医薬品や食品にそのまま素材として利用する
ことができる。また、発酵後のニンニク抽出液の有効成
分は、ニンニクの有効成分の他に酵母自体が高タンパク
のものであるため、極めて栄養価の高い食品が得られる
利点もある。
Claims (2)
- 【請求項1】糖類及び窒素源を添加した生ニンニク水性
抽出液にサッカロマイセス・セレビジェ・レス・ガーリ
ック(FERM P-17806)を接種して発酵させるニンニク抽
出物の無臭化方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の発酵液の上清にシクロデ
キストリンを添加してニンニクの抽出成分を包摂し乾燥
させた粉末と、生育したサッカロマイセス・セレビジェ
・レス・ガーリック(FERM P-17806)を乾燥させた菌体
粉末との混合物を主成分とした健康食品。
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