JP2001297410A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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JP2001297410A
JP2001297410A JP2000109336A JP2000109336A JP2001297410A JP 2001297410 A JP2001297410 A JP 2001297410A JP 2000109336 A JP2000109336 A JP 2000109336A JP 2000109336 A JP2000109336 A JP 2000109336A JP 2001297410 A JP2001297410 A JP 2001297410A
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thin
head
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JP2000109336A
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Shogo Nasu
昌吾 那須
Ryuichi Nakagami
竜一 仲神
Tatsutoshi Suenaga
辰敏 末永
Yoshinobu Yoshiji
慶喜 吉次
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜磁気ヘッドのABS面に高硬度で耐摩耗
性に優れ、基板との密着性が高く、膜厚を薄くすること
が可能なDLC保護膜の成膜方法を提供する。 【解決手段】 Al2O3とTiCからなる基板でAB
S面を構成し、ABS面を炭素を含むプラズマでスパッ
タし、その後DLC膜を成膜することにより、ABS面
およびDLC膜中の炭素原子間に強固な結合力を得る。
第2の手段は前記ABS面を窒素プラズマでスパッタ
し、その後窒化炭素膜を保護膜として成膜することによ
り、ABS面および窒化炭素膜中の窒素原子間に強固な
結合力を得る。第3の手段は前記ABS面にFe,N
i,Co元素の一つを含むSiの中間層を形成し、その
後DLC膜を成膜することによりDLC膜の硬度が上が
り耐摩耗性が改善される。第4の手段はDLCスパッタ
時に基板に対し矩形波の高周波電圧を印可することによ
り、密着力が強く耐摩耗特性に優れた保護膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は磁気ディスク装置
などに使用され、高密度記録に適し、かつ、記録媒体と
の摺動面に耐久性・耐摩耗性に優れた保護膜を有する薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 磁気ディスク装置に用いられる浮上型
薄膜磁気ヘッドでは、ディスクの起動・停止が頻繁に行
われ、記録媒体と薄膜磁気ヘッドとの接触の機会が増大
し、ヘッド表面の摩耗、あるいは摩耗により生じる微粉
末に起因するディスクや磁気ヘッドのダメージが問題に
なっている。また、記録密度の増大に伴いその浮上量は
25nm程度まで極小化され、更に小さくすることが要
求されている。このため図8に示すように、従来からヘ
ッドの記録媒体との摺動面(ABS面)には保護膜が形
成されており、可能な限り薄く、しかも耐摩耗性・耐久
性に優れた保護膜を実現することが課題にされていた。
図8ではAl2O3とTiCを主成分とする基板51上
に、薄膜プロセスを用いて再生ヘッド#及び記録ヘッド
を順次形成したGMRヘッド52が形成され、記録媒体
との摺動面(ABS面)53上に保護膜54が形成され
るもので、保護膜54と前記ABS面53との結合力を
強固にするため、中間層55を設けることも提案されて
いる。このような薄膜磁気ヘッドの例として、特開平1
0−326406号公報ではAl2O3およびTiCを
主成分とする基板51を用い、ダイヤモンドライクカー
ボン(DLC)膜の保護膜54を形成し、前記DLC膜
の形成に際しプラズマ化学的気相成長法を用いて強固な
DLC膜を形成する方法が提案されている。また、DL
C膜中に添加物としてArを添加することで耐摩耗性の
改善を図る方法も提案されている。この方法ではAl2
O3・TiC基板とDLC保護膜との密着性が充分では
ないため、前記ABS面53とDLC膜54との間にS
iからなる中間層55を形成しDLC膜と基板との結合
力を強固にする方法、あるいは前記DLC膜を二層構造
にし、第一のDLC層でSiに対する密着性を、第二の
DLC層で耐摩耗性を改善することも提案されている。
【0003】また、中間層に添加物を入れることについ
ては、記録媒体の例ではあるが特開平9−54996号
公報には図9に示される光磁気記録用ディスクが提案さ
れている。本従来例の光磁気記録用ディスクでは基板5
7上に下部誘電体層58、記録層59、上部誘電体層6
0、反射層61が形成され、前記反射層61の上にSi
を主成分とする中間層62を形成し、中間層62を介し
てDLC保護層63が形成され、さらにその表面に潤滑
層64が形成された構成になっている。ここでDLC保
護層63の密着性を向上させるため、前記Si中間層6
2にO,N,Cを添加することが提案されている。ま
た、DLC保護層63の密着性や耐久性を改善するた
め、前記DLC保護層63にFe,Co,Ni,Cu,
Ti,Cr,等の金属元素あるいはN,O,F,Ar等
の気体元素を添加することも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら上記従
来の保護膜形成方法では高密度記録に必要な薄い膜厚
で、かつ密着性・耐久性・耐摩耗性とも優れた保護膜は
得られず、特にABS面を構成する基板の主成分の一つ
であるAl2O3とDLC膜との密着性が不充分で、記
録媒体とABS面との摩擦時にDLC膜が剥離し易く充
分な摩耗特性が得られないため、更なる改良が要望され
ている。
【0005】本発明は薄膜磁気ヘッドのABS面に膜厚
が充分薄くても密着性の優れたDLC保護膜を形成する
ことで、高密度記録に適し、しかも耐環境性・耐摩耗性
に優れたDLC保護膜を有する薄膜磁気ヘッドとその製
造方法を提供するものである。
【0006】
【問題を解決するための手段】 この目的を達成するた
めに第一の発明ではAl2O3とTiCを主成分とする
基板上に薄膜プロセスにより再生ヘッドおよび記録ヘッ
ドが順次形成された薄膜磁気ヘッドにおいて、ABS面
を構成する前記基板表面を炭素を含むプラズマでスパッ
タし、その後DLC膜を成膜するものである。この構成
によれば、ABS面を炭素を含むプラズマでスパッタす
ることにより前記基板中のAl2O3に炭素原子が付与
され、この炭素原子と後から成膜するDLC保護膜の炭
素との間に強い結合力が生じ、ABS面との密着性に優
れたDLC保護層が得られる。ABS面とDLC保護層
との密着性が良いため中間層が不要となり、保護膜の薄
膜化が可能になる。
【0007】さらに第二の発明ではAl2O3とTiC
を主成分とする基板上に薄膜プロセスにより再生ヘッド
および記録ヘッドが順次形成された薄膜磁気ヘッドにお
いて、ABS面を構成する前記基板表面を窒素プラズマ
でスパッタし、その後窒化炭素膜(窒化DLC膜)を保
護層として成膜するものである。この構成によれば、A
BS面を窒素プラズマでスパッタすることによりABS
面を構成する基板表面に窒素原子が付与され、この窒素
原子と後から成膜する窒化DLC膜中の窒素との間に強
い結合力が生じ、ABS面との密着性に優れたDLC保
護層が得られる。また、ABS面とDLC保護層との密
着性が良いため中間層が不要となり、保護膜の薄膜化が
可能になる。
【0008】さらに第三の発明ではAl2O3とTiC
を主成分とする基板上に薄膜プロセスにより再生ヘッド
および記録ヘッドが順次形成された薄膜磁気ヘッドにお
いて、ABS面を構成する前記基板表面に少なくともN
i,Fe,Co元素の一つを含むSi層を形成し、その
Si層上にDLC膜を成膜するものである。この方法で
形成されたDLC膜は硬度が高く、摩擦特性に優れてお
り耐摩耗性が改善される。
【0009】さらに第4の発明では、前記第一から第三
の発明に記載の方法によりABS面を構成するAl2O
3・TiC基板表面の処理をした後DLC保護層を成膜
するにあたり、ECRプラズマCVDを用い前記基板に
対し矩形波の高周波電圧を印可しながら前記DLC保護
層を成膜する薄膜磁気ヘッドの製造方法である。この製
造方法によれば、DLC膜の成膜時に基板に対し矩形波
の高周波電圧が印加されるため、基板に衝突する炭素イ
オンの多くが同じ衝突エネルギーを持つことになる。衝
突エネルギーの小さい炭素イオンはDLC膜中に弱い結
合を作るが、本発明によれば衝突エネルギーの小さなイ
オンを大幅に減らすことができ、したがって強い結合力
を持つDLC膜の成膜が可能になり、耐摩耗性が向上す
る。
【0010】また本発明の薄膜磁気ヘッド製造方法で
は、ABS面に形成される保護層のABS面に対する密
着性が改善され、かつ、保護層の厚みを薄くすることが
可能になり、耐久性と耐摩耗性に優れ高密度記録にも優
れた薄膜磁気ヘッドの製造を可能にするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】 以下に本発明の具体的な実施の
形態を図1以下の図面にしたがい説明する。
【0012】図1は本発明の薄膜磁気ヘッドの構成を示
す断面図である。AL2O3とTiCを主成分とする基
板1上にAl2O3等の絶縁層2を介してGMRヘッド
8が形成されている。GMRヘッド8はFeNi等の磁
性材料よりなる下部シールド3および上部シールド5に
狭持される位置にGMR素子4を配した再生ヘッドと、
上部シールドを兼ねた下部磁気コア5と上部磁気コア6
および巻線7とで構成される記録ヘット゛とで構成され、そ
の厚みは数μm程度のものである。記録媒体との摺動面
(ABS面)9は流体力学的に求められた薄膜磁気ヘッ
ドを浮上させるためのパターンが形成されており、その
表面にDLC保護膜10、あるいは中間層11が形成さ
れる。薄膜磁気ヘッド全体は図2に示すように、ABS
面9の大部分はAl2O3とTiCを主成分とする前記
基板1で構成され、GMRヘッド部8はごく僅かな面積
を占めるにすぎない。したがってこの種薄膜磁気ヘッド
においては基板1とDLC保護膜10との密着性が重要
になるものである。
【0013】本発明の請求項1では、ABS面9に薄膜
磁気ヘッドを浮上させるためのパターンを形成した後、
ABS面9を炭素スパッタし、さらにその表面にDLC
保護膜を形成するものである。この方法によればABS
面の炭化により、ABS面を構成するAl2O3にスパ
ッタされた炭素原子あるいはTiC中の炭素原子と、そ
の後に形成されるDLC保護膜中の炭素原子とが強固に
結合し、基板との密着力に優れたDLC保護膜の形成が
可能になるものである。ABS面への炭素スパッタは例
えば図3に示す方法で行われる。スパッタ装置12内に
は接地された電極13が配され、また、電極13に対向
する位置に基板ホルダー14が配置され、基板ホルダ−
14上には前記ABS面の加工をした後の薄膜磁気ヘッ
ド15がABS面を電極13に向けた状態に取り付けら
れる。16は前記電極13と基板ホルダ14間に電圧を
印加するための電源である。このような配置のもとに、
排気装置17によりスパッタ装置内を10-4Paまで排
気し、ガス導入口18をとうして圧力0.01Paまで
炭化水素系ガスを導入し、その後圧力0.1PaまでA
rガスを導入して炭素ガスおよびArガスのプラズマを
発生させ、前記電極13と基板ホルダー14間に200
Wの電力を加えて3分間スパッターすることで、薄膜磁
気ヘッド15のABS面を構成する基板表面を炭化し
た。この工程を経ることで基板材料の主成分の一つであ
るAl2O3に炭素原子が付与される。ここで炭化水素
系ガスとしてはメタンガス、エチレンガス等従来からこ
の種DLC膜の形成に使用されるものであればいずれで
も使用可能である。続いて炭化されたABS面上にDL
C保護膜を形成するが、その形成方法の一例として図4
のECRプラズマCVD装置を用いる方法について説明
する。ECRプラズマCVD装置19内には基板ホルダ
ー20が配され、基板ホルダー20上にはABS面の炭
化工程を経た薄膜磁気ヘッド21が前記ABS面を表に
して取り付けられ、さらに高周波電源22が接続され
る。ECRプラズマCVD装置19にはマイクロ波発振
機23と導波管24が空洞共振器としてはたらく円筒状
プラズマ室26に接続されている。マイクロ波発振機か
らのマイクロ波周波数と、マグネット25からの磁束密
度を調節することにより、電子サイクロトロン共鳴が生
じ、共鳴により加速された電子と気体ガスとの衝突によ
りプラズマ室26には高密度のプラズマ29が得られ
る。イオン化されたプラズマガスは負電位の基板ホルダ
ー20に高速で引き寄せられ、基板ホルダー上の薄膜磁
気ヘッド21のABS面に所定の材料の薄膜が形成され
る。このような構成のもとに、排気装置27により装置
内の圧力を10-4Paまで排気した後、ガス導入口28
をとうしてメタンガスを圧力1.2Paになるよう導入
し、プラズマ室26内に高密度の炭素プラズマ29を発
生させ、マイクロ波発振機23の発振周波数2.45G
Hz、電力200W,また高周波電源22の発振周波数
13.56MHz、電力110Wの条件で前記薄膜磁気
ヘッド21のABS面にDLC保護膜を形成した。な
お、上記ABS面を炭化する工程と、炭化されたABS
面にDLC保護膜を形成する工程は、図3、図4の装置
を一体化し、通常用いられる搬送機により薄膜磁気ヘッ
ドを基板ホルダー14および基板ホルダー20の間を移
動させ、両工程を連続して行うよう構成されている。D
LC保護膜の形成には上記のECRプラズマCVD法に
限らず、通常のプラズマCVD法やスパッター法も使用
可能である。
【0014】本発明の請求項4は上記実施形態にしたが
う薄膜磁気ヘッドの製造方法である。
【0015】本発明の請求項2の実施形態について述べ
る。請求項2ではABS面9に薄膜磁気ヘッドを浮上さ
せるためのパターンを形成した後、前記ABS面を窒素
プラズマによりスパッタしてABS面に窒素原子を付与
した後、その上に窒化炭素膜の保護膜を形成するもので
ある。この方法により、ABS面を構成する基板中のA
l2O3あるいはTiC表面にスパッタ付与された窒素
原子と、後からスパッタされる窒化炭素膜中の窒素が強
固に結合し、基板との密着力の強い保護膜の形成が可能
になるものである。ABS面への窒素スパッタは図3の
スパッタ装置を用いて行った。基板ホルダー14上にA
BS面の加工を終えた薄膜磁気ヘッド15を取り付け、
スパッタ装置12内の圧力を排気装置17により10-4
Paまで排気した後、ガス導入口18より圧力0.05
Paになるよう窒素ガスを導入し、その後圧力0.1P
aまでArガスを導入して窒素ガスとArガスのプラズ
マを発生させ、電極13と基板ホルダー14間に200
Wの電力を印加しながら3分間スパッタすることで前記
ABS面に窒素原子を付与した。続いて図4のECRプ
ラズマCVD装置を用い窒化炭素膜を形成した。基板ホ
ルダー20上にABS面を窒素プラズマスパッタした薄
膜磁気ヘッド21を取りつけ、排気装置27により装置
内の圧力を10-4 Paまで排気した後、ガス導入口2
8をとうして圧力0.1Paまで窒素ガスを導入し、そ
の後圧力1.2Paまで炭化水素系ガスを導入し、プラ
ズマ室26内に高密度の窒素および炭素プラズマを発生
させ、マイクロ波発振機23の発振周波数2.45GH
z、電力200W、高周波電源22の発振周波数13.
56GHz、電力110Wの条件で前記薄膜磁気ヘッド
21のABS面に窒化炭素膜を5nmの膜厚になるよう
形成した。上記方法によりABS面に窒化炭素膜を形成
し、保護膜の摩耗特性を測定したところ、5nmという
極めて薄い保護膜の厚さにもかかわらず、従来の保護膜
に比較し耐摩耗特性が二倍以上改善されることが明らか
になった。本発明によればABS面に窒素を与えること
で窒化炭素膜とABS面の密着性が良くなるため、中間
層が不用になり保護膜全体の厚さを薄くできるものであ
る。
【0016】本発明の請求項5は上記実施形態にしたが
う薄膜磁気ヘッドの製造方法である。
【0017】本発明の請求項3の実施形態について述べ
る。請求項3ではABS面に薄膜磁気ヘッドを浮上させ
るためのパターンを形成した後、前記ABS面にSiか
らなる中間層を設け、その中間層内にFe,Ni,Co
の金属原子のいずれかを添加し、前記中間層上にDLC
保護膜が形成された構造になっている。Fe,Ni,C
o等を添加されたSi層の成膜は図5に示す平行平板型
のスパッタ装置により行われる。スパッタ室30内には
ターゲットホルダー31が配され、Siを主成分とし、
Fe,Ni,Coの少なくとも1種類が含まれるターゲ
ット32が取り付けられている。ターゲット32に対向
する位置に基板ホルダー33が配され、ABS面に薄膜
磁気ヘッドを浮上させるためのパターンが形成された薄
膜磁気ヘッド34が取り付けられる。基板ホルダー33
には高周波発振機35が接続され、またターゲットホル
ダ31の背面にはマグネット36が配されている。この
ような構成の基に、スパッタ室30内を10-4Paまで
排気した後Arガスを0.1Paになるまで導入し、高
周波発振機35より周波数13.56MHz、電力20
0Wを加えてArプラズマを発生させスパッタを行っ
た。SiおよびFe,Ni,Coのいずれかの金属元素
を含むターゲット表面はArプラズマでスパッタされ、
ターゲット表面から放出された粒子が基板ホルダー上の
磁気ヘッドABS面に高速で衝突付着することにより、
ABS面にはFe,Ni,Coのいずれかを含んだSi
膜が形成される。このようにして形成されたSiを主成
分とし、Fe,Ni,Coのいずれかを含む中間層の上
に、前記の方法によりDLC保護膜を形成する。中間層
Si層中にFe,Ni,Co原子を添加することで、中
間層上に形成されるDLC保護膜は硬度が上がり優れた
耐摩耗特性を示した。
【0018】本発明の請求項6は上記実施形態にしたが
う薄膜磁気ヘッドの製造方法である。
【0019】本発明の請求項7の実施形態について述べ
る。請求項7では薄膜磁気ヘッドのABS面にDLC保
護膜を形成する際に、図4で示すECRプラズマスパッ
タ法を用い、基板ホルダー20に接続される高周波発振
機22から矩形波の高周波電圧を印可しながらスパッタ
するものである。高周波バイアスの場合、基板表面に負
の自己バイアス電圧が励起されるため、基板表面の矩形
波電圧は図6のように負側にバイアスされた形になり、
負電圧Vを調整することでDLC保護膜の膜特性を制御
できる。プラズマ室26内に発生した高密度の炭素プラ
ズマは、基板側の負電圧により加速され、基板ホルダー
上の薄膜磁気ヘッドのABS面に衝突してDLC保護膜
が成膜されるが、従来のサイン波に対し矩形波にするこ
とでプラズマイオンは実効的には一定の電圧で加速され
るため、基板への衝突エネルギーを一定にすることが可
能になる。したがって成膜されるDLC保護膜は均質な
膜質を有し、負電圧Vの調節により耐摩耗特性の最適点
を得ることができる。図4のECRプラズマスパッタ装
置を用い、装置内を10-4Paまで排気後圧力0.6P
aになるよう炭化水素系ガスを導入し、マイクロ波発振
機23の発振周波数2.45GHz、電力110W、高
周波電源22の発振周波数13.56MHz、負電圧V
を種々変えてDLC保護膜を成膜した。このようにして
試作した薄膜磁気ヘッドの摩耗特性を測定したところ、
負電圧Vが200〜400Wで良好な摩耗特性が得られ
た。
【0020】
【発明の効果】 本発明の方法により形成された各種保
護膜について、図7に示す試験装置を使用し摩耗試験を
実施した。なお図7(b)は図7(a)の要部拡大図で
ある。図7の試験装置では市販されている直径3.5イ
ンチのハードディスク用磁気ディスク37を用いた。A
l2O3およびTiCを主成分とする基板38からなる
ABS面43に摩耗測定用パターン39が形成され、前
記摩耗測定用パターン39の表面に本発明の各種方法に
より厚さ5nmの保護膜40を形成した試料41を作成
した。前記試料41をサスペンション42の先端に取り
付け、所定の圧力を加えながら前記試料41を磁気ディ
スク37の外周部に当接し、前記試料が磁気ディスク表
面に接触する状態で磁気ディスク37を3600rpm
で回転させ、5万回転後の前記摩耗測定要パターン39
の表面に形成された保護膜40の摩耗量を測定した。測
定結果は表1に示され、本発明による保護膜は従来のD
LC保護膜に対し2倍以上の耐摩耗性を有することが明
らかになった。
【0021】
【表1】
【0022】第一の発明ではABS面を構成する基板表
面を炭素を含むプラズマでスパッタすることにより、基
板中のAl2O3に炭素原子が付与され、この炭素原子
と後から成膜するDLC膜中の炭素原子との間に強い結
合力が生じ、ABS面との密着性に優れたDLC保護膜
が得られる。したがって摩耗特性に優れ、かつ中間層等
が不要になることで保護膜の薄膜化が可能になる。
【0023】第二の発明ではABS面を構成する基板表
面を窒素プラズマでスパッタすることにより、ABS面
を構成する基板表面に窒素原子が付与され、この窒素原
子と後から成膜する窒化DLC膜中の窒素原子との間に
強い結合力が生じ、ABS面との密着性に優れたDLC
保護膜が得られる。したがって摩耗特性に優れ、かつ中
間層等が不要になることで保護膜の薄膜化が可能にな
る。
【0024】第三の発明ではABS面を構成する基板表
面にFe,Ni,Co原子の一つを含むSiの中間層を
形成し、その上にDLC保護膜を形成するもので、この
構成により耐摩耗特性に優れたDLC保護膜を有する薄
膜磁気ヘッドが得られた。
【0025】第四の発明ではABS面を構成する基板表
面にDLC保護膜を形成するにあたり、ECRプラズマ
CVDを用い、前記基板に対し矩形波の高周波電圧を印
加して成膜するため、基板に衝突する炭素イオンの多く
が同じ衝突エネルギを持つ。衝突エネルギーの小さい炭
素イオンはDLC膜中に弱い結合を作るが、本発明によ
れば衝突エネルギーの最適化が可能になり、強い結合力
を持つDLC膜の成膜が可能になり耐摩耗性が向上す
る。
【0026】本発明によればDLC保護膜の膜厚全体を
薄くすることが可能になり、高密度記録に適した薄膜磁
気ヘッドが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜磁気ヘッドの要部を示す図
【図2】本発明の薄膜磁気ヘッドABS面の概略を示す
【図3】本発明の実施例で使用するスパッタ装置を示す
【図4】本発明の実施例で使用するECRプラズマCV
D装置を示す図
【図5】本発明の実施例で使用するスパッタ装置を示す
【図6】本発明の実施の形態7を示す図
【図7】摩耗試験装置の概略を示す図
【図8】従来例を説明するための薄膜磁気ヘッド断面概
略図
【図9】光ディスク保護膜の従来構成例を示す図
【符号の説明】
1、38、51 基板 2 絶縁層 3 下部シールド 4 GMR素子 5 上部磁気シールドを兼ねた下部磁気コア 6 上部磁気コア 7 巻線 8,52 GMRヘッド 9、43、53 ABS面 10、40、54 DLC保護膜 11,55 中間層 12 スパッタ装置 13 電極 14、20、33 基板ホルダー 15、21、34 薄膜磁気ヘッド 16 直流電源 17、27 排気装置 18、28 ガス導入口 19 ECRプラズマCVD装置 22、35 高周波電源 23 マイクロ波発振機 24 導波管 25、36 マグネット 26 プラズマ室 29 プラズマ 30 スパッタ室 31 ターゲットホルダー 32 ターゲット 37 磁気ディスク 39 摩耗測定用パターン 41 試料 42 サスペンション 57 基板 58 下部誘電体層 59 記録層 60 上部誘電体層 61 反射層 62 中間層 63 DLC保護層 64 潤滑層 V 矩形波の負電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末永 辰敏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 吉次 慶喜 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D033 BA15 BA52 BB43 CA03 DA03 5D034 BA02 BA19 BB12 CA01 DA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナと炭化チタンを主成分とする基
    板上に、磁気抵抗効果素子層とこの磁気抵抗効果素子層
    に検出電流を与える主電極層とで構成される読み出しヘ
    ッドと、前記読み出しヘッドの上部に絶縁層を介して形
    成される下部コア層と、前記下部コア層と磁気ギャップ
    を介して形成される上部コア層と、両コア層に磁界を与
    えるコイル層とで構成される記録ヘッドを有する薄膜磁
    気ヘッドにおいて、記録媒体との対向面(ABS面)を構
    成する前記基板表面にアルミナの炭化層を形成し、その
    表面にダイヤモンド状カーボン保護層(DLC保護層)
    を形成してなる薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 アルミナと炭化チタンを主成分とする基
    板上に、磁気抵抗効果素子層とこの磁気抵抗効果素子層
    に検出電流を与える主電極層とで構成される読み出しヘ
    ッドと、前記読み出しヘッドの上部に絶縁層を介して形
    成される下部コア層と、前記下部コア層と磁気ギャップ
    を介して形成される上部コア層と、両コア層に磁界を与
    えるコイル層とで構成される記録ヘッドを有する薄膜磁
    気ヘッドにおいて、記録媒体との対向面(ABS面)を
    構成する前記基板表面にアルミナの窒化層を形成し、そ
    の表面に窒素を含むDLC保護層を形成してなる薄膜磁
    気ヘッド。
  3. 【請求項3】 アルミナと炭化チタンを主成分とする基
    板上に、磁気抵抗効果素子層とこの磁気抵抗効果素子層
    に検出電流を与える主電極層とで構成される読み出しヘ
    ッドと、前記読み出しヘッドの上部に絶縁層を介して形
    成される下部コア層と、前記下部コア層と磁気ギャップ
    を介して形成される上部コア層と、両コア層に磁界を与
    えるコイル層とで構成される記録ヘッドを有する薄膜磁
    気ヘッドにおいて、記録媒体との対向面(ABS面)にSi
    を主成分とし少なくともNi,Fe,Co元素の一つを含む中間
    層を形成し、その表面にDLC保護層を形成してなる薄
    膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 アルミナと炭化チタンを主成分とする基
    板上に薄膜プロセスにより記録ヘッドと再生ヘッドが形
    成され、磁気ディスク装置に使用される薄膜磁気ヘッド
    の製造方法であって、記録媒体との対向面(ABS面)
    を構成する前記基板表面を炭素含有プラズマで炭化する
    工程と、炭化後の前記基板表面にDLC保護層を形成す
    る工程を含む薄膜磁気ヘッド製造方法。
  5. 【請求項5】 アルミナと炭化チタンを主成分とする基
    板上に薄膜プロセスにより記録ヘッドと再生ヘッドが形
    成され、磁気ディスク装置に使用される薄膜磁気ヘッド
    の製造方法であって、記録媒体との対向面(ABS面)
    を構成する前記基板表面を窒素プラズマでプラズマ処理
    する工程と、プラズマ処理後の前記基板表面に窒素を含
    むDLC保護膜を形成する工程とを含む薄膜磁気ヘッド
    製造方法。
  6. 【請求項6】 アルミナと炭化チタンを主成分とする基
    板上に薄膜プロセスにより記録ヘッドと再生ヘッドが形
    成され、磁気ディスク装置に使用される薄膜磁気ヘッド
    の製造方法であって、記録媒体との対向面(ABS面)
    を構成する前記基板表面にシリコンを主成分とする中間
    層を形成する工程と、前記中間層中に少なくともNi,
    Fe,Co元素の一つを添加する工程と、添加後の前記
    基板表面にDLC保護膜を形成する工程とを含む薄膜磁
    気ヘッド製造方法。
  7. 【請求項7】 電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラ
    ズマスパッタ法を用い、前記基板に矩形波の高周波電圧
    を印加しながらDLC保護膜を成膜することを特徴とす
    る請求項4、5、6記載の薄膜磁気ヘッド製造方法。
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