JPH11158631A - 保護膜およびその製造方法ならびに物品 - Google Patents
保護膜およびその製造方法ならびに物品Info
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- JPH11158631A JPH11158631A JP34592397A JP34592397A JPH11158631A JP H11158631 A JPH11158631 A JP H11158631A JP 34592397 A JP34592397 A JP 34592397A JP 34592397 A JP34592397 A JP 34592397A JP H11158631 A JPH11158631 A JP H11158631A
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Abstract
耐久性に優れた保護膜と、この保護膜を有する物品とを
提供する。 【解決手段】 炭素および水素を主成分とし、表面付近
がフッ化されている保護膜、およびこの保護膜が摺動部
に形成された物品。前記保護膜は、炭素および水素を主
成分とするDLC(ダイヤモンド状カーボン)薄膜を、
F2等のフッ素含有化合物のガスを含む雰囲気中に晒す
方法、または、前記DLC薄膜を、フッ素含有化合物の
ガスを含む雰囲気中でプラズマ処理する方法、または、
前記DLC薄膜を、Ar等の無機ガス中でプラズマ処理
した後、フッ素含有化合物のガスを含む雰囲気中に晒す
方法、により形成される。
Description
ヘッド、磁気記録媒体、光記録媒体等に適した保護膜
と、その製造方法と、前記保護膜を有する物品とに関す
る。
記録媒体、光記録媒体などの耐摩耗性向上や摩擦低減の
ために、各種保護膜が用いられている。例えば特開平1
−234214号公報には、ダイヤモンド状カーボン
(DLC)薄膜で被覆した金型が記載されている。
化水素ガスを原料とし、CおよびHを主成分とするもの
である。このようなDLC薄膜は、硬度が高く、摩擦が
低いという特徴があり、摺動部を有する物品の保護膜と
して特に有効である。DLC薄膜よりも硬度が高く摩擦
の低い保護膜としてはダイヤモンド薄膜があるが、ダイ
ヤモンド薄膜は、形成面を高温にしなければならず、ま
た、多結晶であるために結晶間で剥離しやすく脆い、と
いう問題がある。例えば、通常の磁気記録媒体や光記録
媒体は高温にすることが不可能であるため、これらの保
護膜としてダイヤモンド薄膜を使用することはできな
い。また、成形用金型は、高温処理により精度の低下や
構成材料の機械的特性の低下が生じるので、金型の保護
膜にもダイヤモンド薄膜を利用することはできない。
てフッ素置換の炭化水素などを用いて、C、H、Fを主
成分とする膜とすることが有効である。しかし、フッ素
を含むDLC膜は、硬度が不十分であり、耐久性が低い
という問題がある。
との密着性に優れ、摩擦が低く、しかも耐久性に優れた
保護膜と、この保護膜を有する物品とを提供することで
ある。
〜(10)のいずれかの構成により達成することができ
る。 (1) 炭素および水素を主成分とし、表面付近がフッ
化されている保護膜。 (2) 前記表面における水の接触角が100°以上で
ある上記(1)の保護膜。 (3) 物品の摺動部に設けられる上記(1)または
(2)の保護膜。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかの保護膜を製造
する方法であって、炭素および水素を主成分とする膜
を、フッ素含有化合物のガスを含む雰囲気中に晒すこと
により、前記膜の表面付近をフッ化する工程を有する保
護膜の製造方法。 (5) 前記フッ素含有化合物がF2である上記(4)
の保護膜の製造方法。 (6) 前記雰囲気の温度が200℃以下である上記
(4)または(5)の保護膜の製造方法。 (7) 上記(1)〜(3)のいずれかの保護膜を製造
する方法であって、炭素および水素を主成分とする膜
を、フッ素含有化合物のガスを含む雰囲気中でプラズマ
処理することにより、前記膜の表面付近をフッ化する工
程を有する保護膜の製造方法。 (8) 上記(1)〜(3)のいずれかの保護膜を製造
する方法であって、炭素および水素を主成分とする膜
を、プラズマ処理した後、フッ素含有化合物のガスを含
む雰囲気中に晒すことにより、前記膜の表面付近をフッ
化する工程を有する保護膜の製造方法。 (9) 表面に上記(1)〜(3)のいずれかの保護膜
を有する物品。 (10) 摺動部に前記保護膜が設けられた上記(9)
の物品。
するDLC薄膜をプラズマCVD法やイオン化蒸着法、
スパッタ法などにより形成した後、フッ素ガス等のフッ
素含有化合物を含む雰囲気中に晒すか、このような雰囲
気中でプラズマ処理を施すか、Ar雰囲気中などでプラ
ズマ処理した後、フッ素ガス等のフッ素含有化合物を含
む雰囲気中に晒すことにより、表面付近がフッ素修飾さ
れた保護膜を得る。この保護膜は、フッ素処理前のDL
C薄膜に対し摩擦が著しく低く、また、撥水性も著しく
良好となる。しかも、全体にフッ素を含むDLC薄膜と
異なり、CおよびHを主成分とするDLC薄膜の表面付
近だけをフッ化したものは、硬度が高い。したがって、
本発明の保護膜は、摺動部を有する各種物品、例えば、
成形用金型、磁気ヘッド、磁気記録媒体、光記録媒体等
に好適である。
水の接触角は、一般の有機物と同等で50〜80°程度
であるが、フッ素処理を施すことにより100°以上と
なる。
が可能であることは、例えばJ.CHEM.SOC.FARADAY TRAN
S.,1995,91(18),3209-3212などに記載されているように
公知であるが、CおよびHを主成分とするDLC薄膜の
表面付近だけをフッ化できることは、本発明者らによっ
て初めて確認されたことである。また、CおよびHを主
成分とするDLC薄膜の表面付近をフッ素修飾した場合
に、実質的に硬度が低下しないことも、本発明者らが初
めて見いだしたことである。しかも、DLC薄膜はダイ
ヤモンド薄膜に比べ形成温度を低くでき、かつ、摩擦低
減のためのフッ化が室温付近で行えるため、形成対象の
制限が少なく、また、十分な密着強度が得られる。
膜を形成する。DLC薄膜表面付近のフッ化による摩擦
低減は、DLC薄膜の組成によらず実現するため、DL
C薄膜の具体的組成は特に限定されない。ただし、硬
度、耐摩耗性、密度等を十分に満足できるものとするた
めには、 式I C100-xHx において、好ましくは x=5〜40 とし、より好ましくは x=5〜30 とする。なお、xは原子比である。DLC薄膜には、C
およびHのほかにO、S、B、P、Si等が含まれてい
てもよいが、これらの元素は合計で10原子%以下であ
ることが好ましい。
り、DLCの特徴として、ラマン分光において1500
cm-1付近に主散乱ピークが存在するものである。
膜として十分な効果を示すように、適用対象に応じて適
宜決定すればよいが、通常、5nm〜10μm、好ましく
は50nm〜2μmとする。DLC薄膜が薄すぎると、保
護膜としての効果が不十分となりやすく、DLC薄膜が
厚すぎると、剥離しやすくなるため耐久性が低くなりや
すい。
Hvが、通常、1000〜8000程度、波長632nm
における屈折率が1.5〜2.4程度である。このよう
なDLC薄膜に後述するフッ素処理を施しても、Hvは
ほとんど変化せず、また、表面付近を除く領域の屈折率
もほとんど変化しない。
は、プラズマCVD法、イオン化蒸着法またはスパッタ
法を用いる。
平4−41672号公報等に記載されている。プラズマ
CVD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであ
ってもよいが、交流を用いることが好ましい。交流を用
いる場合、数ヘルツのものからマイクロ波帯域のものま
で利用可能である。また、ダイヤモンド薄膜技術(総合
技術センター発行)などに記載されているECRプラズ
マも利用可能である。
アス印加プラズマCVD法を用いることが好ましい。バ
イアス印加プラズマCVD法では、金型に負のバイアス
電圧を印加する。この方法については、例えば M.Nakay
ama et al,Journal of the Ceramic Society of Japan
Int.Edition Vol.98,607-609 (1990) 等に詳細に記載さ
れている。また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイ
アスを利用してもよい。以下、セルフバイアスについて
説明する。交流電源であるプラズマ電源を装置の電極に
接続すると、プラズマが発生する。このプラズマは電
子、イオン、ラジカルを含み、全体としては中性であ
る。しかし、プラズマ電源の周波数がオーディオ波(A
F)、高周波(RF)、マイクロ波(MW)になると、
イオンと電子とで移動度に差が生じるため、電圧を印加
した電極側(通常、アースしない側)に負電圧が生じ
る。これをセルフバイアス電圧という。バイアス電圧
は、好ましくは−10〜−2000V、より好ましくは
−50〜−1000Vとする。
する場合、原料ガスには、CおよびHを含む化合物を用
いることが好ましいが、Cを含む化合物とHを含む化合
物とを用いることもできる。CおよびHを含む化合物と
しては例えばCH4、C2H4、C2H6、C3H8、C6H6
等の炭化水素が、Cを含む化合物としては例えばCO、
CO2等が、Hを含む化合物としては例えばH2、H
2O、NH3等が挙げられる。また、CおよびHのいずれ
も含まない化合物、例えばNO、NO2、N2OなどNO
xで表される化合物や、N2などを、必要に応じて併用し
てもよい。
は、原料ガスの種類に応じて適宜決定すればよい。動作
圧力は、通常、0.01〜0.5Torr、投入電力は、通
常、10W〜5kW程度とすることが好ましい。
74507号公報、特開昭59−174508号公報等
に記載されているが、これらに記載されたイオン化蒸着
技術に限らず、イオン化ガスの加速が可能なものであれ
ば他の技術を利用してもよい。イオン化蒸着法に用いる
装置の好ましい例としては、例えば、実開昭59−17
4507号に記載されたイオン直進型またはイオン偏向
型のものが挙げられる。
Torr程度の高真空とする。この真空容器内には、交流電
源によって加熱されて熱電子を発生するフィラメント
と、このフィラメントを取り囲む対電極とを配置し、こ
れらの間に電圧Vdを印加する。また、フィラメントお
よび対電極を取り囲んで、イオン化ガス閉じこめ用の磁
界を発生する電磁コイルを配置する。原料ガスはフィラ
メントからの熱電子と衝突して、プラスの熱分解イオン
と電子とを生じ、この熱分解イオンはグリッドに印加さ
れた負電位Vaにより加速されて基板(保護膜を形成す
る物品)に衝突し、膜化する。このようなイオン化蒸着
法では、前記電圧Vd、電圧Vaおよびコイルから発生
する磁界を変更することにより、DCL薄膜の組成や膜
質を制御できる。本発明では、Vdは10〜500Vと
することが好ましく、Vaは−10〜−500Vとする
ことが好ましい。イオン化蒸着法では、基板に負のバイ
アス電圧を加えることが好ましい。ただし、バイアス電
圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。バイ
アス電圧は、好ましくは−10〜−2000V、より好
ましくは−50〜−1000Vである。
記したプラズマCVD法に用いる原料ガスと同様のもの
を用いればよい。原料ガスの流量はその種類に応じて適
宜決定すればよい。動作圧力は、通常、0.01〜0.
5Torr程度とすることが好ましい。
合、高周波スパッタ法を利用することが好ましい。そし
て、Cをターゲットとし、反応性ガスとしてH2、NH3
等を用いる反応性スパッタ法を利用することが好ましい
が、CおよびHを含むポリマーをターゲットとして用い
ることも可能である。なお、高周波スパッタ法におい
て、保護膜を形成する物品には、負のバイアス電圧を加
えることが好ましい。ただし、バイアス電圧を印加せず
にセルフバイアスを利用してもよい。バイアス電圧は、
好ましくは−10〜−2000V、より好ましくは−5
0〜−1000Vである。高周波スパッタ電力は、通
常、50W〜2kW程度とする。動作圧力は、通常、10
-5〜10-3Torrとすることが好ましい。
とより、保護膜を得る。
限定されず、所望の摩擦低減効果および撥水性向上効果
が得られ、かつ膜強度を損なわないように適宜決定すれ
ばよい。フッ素修飾の程度、すなわち、フッ素修飾の状
態やフッ素修飾が及ぶ範囲(保護膜表面からの深さ)な
どは、X線光電子分光(XPS)、フーリエ変換赤外分
光(FT−IR)、ラマン分光などによって確認するこ
とができる。
が、好ましい方法としては、第1にに、フッ素含有化合
物のガス(以下、処理ガスという)を含む雰囲気中にD
LC薄膜を晒す方法(以下、第1の方法という)、第2
に、上記処理ガスを含む雰囲気中においてDLC薄膜に
プラズマ処理を施す方法(以下、第2の方法という)、
第3に、Ar、N2、H2などの無機ガス雰囲気中でDL
C薄膜をプラズマ処理した後、上記処理ガスを含む雰囲
気中にDLC薄膜を晒す方法(以下、第3の方法とい
う)が挙げられる。第3の方法では、無機ガス雰囲気中
でプラズマ処理されたDLC薄膜表面の残存ラジカルが
活用できるので、表面付近のフッ化が容易となる。
C3F8などが好ましく、これらの2種以上を併用しても
よい。ただし、DLC薄膜にプラズマ処理を施さず、処
理ガスに単に晒す第1の方法では、少なくともF2を用
いることが好ましく、特に、F2を単独で用いることが
好ましい。
び雰囲気圧力は特に限定されず、フッ素修飾の程度が所
望のものとなるように適宜決定すればよい。第1の方法
および第3の方法において処理ガスに晒す際には、処理
温度を0〜200℃程度、特に20〜100℃として
も、十分な摩擦低減および撥水性向上が実現する。この
程度の温度範囲において、1気圧のフッ素ガス雰囲気中
に晒す処理を行う場合、処理時間は、通常、0.5〜1
00時間、好ましくは2〜50時間とすればよい。
ズマ処理の条件は特に限定されず、例えば、DLC薄膜
形成に用いるプラズマCVD法の条件を基本として、処
理ガスの種類などに応じて適宜決定すればよいが、通
常、動作圧力は0.01〜0.1Torrとすることが好ま
しく、基板(DLC薄膜)の温度は、通常、0〜200
℃の範囲内から選択することが好ましい。ただし、プラ
ズマ処理の際に処理ガス構成元素が実質的に膜化しない
条件であることが好ましい。なお、処理ガス中でのプラ
ズマ処理により、DLC薄膜表面がエッチングされるこ
とがあるが、エッチングが生じる条件であっても、DL
C薄膜表面のフッ素修飾が可能である。
すなわち、フッ素処理は室温付近で行えるため、表面に
DLC薄膜の形成が可能な物品であれば、本発明の保護
膜の形成が可能である。具体的な適用対象としては、本
発明の保護膜の特徴である高硬度、低摩擦、高撥水性等
が活かせる各種物品、例えば、セラミックス粉末やフェ
ライト粉末などを成形するための湿式成形装置、光ディ
スク等の樹脂基板を成形するための成形装置、磁気ヘッ
ド(ハードディスク用、ミニディスク用等)、磁気ディ
スク(ハードディスク、フロッピーディスク等)や磁気
テープなどの磁気記録媒体、光記録媒体(特に、表面を
ヘッドが摺動する構成のミニディスクなど)が挙げられ
る。
をさらに詳細に説明する。
成した。原料ガスにはCH4を用いた。これらのDLC
薄膜を100℃で真空乾燥した後、フッ素処理を行っ
た。処理温度は25〜50℃の範囲とし、処理雰囲気は
1気圧のフッ素ガスとし、処理時間は24時間とした。
は、フッ素処理前が65°、フッ素処理後が115°で
あった。
PS(ULVAC-PHI,Model 5600使用)、ラマン分光(Reni
shaw,Raman microscope System 3000 microscopes使
用)、FT−IR(日本分光,FT/IR-7000使用)によ
り、特性評価を行った。
フッ素処理前後におけるXPS−C1Sスペクトルを示
す。図1における処理温度は、(b)が25℃、(c)
が30℃、(d)が40℃である。
のC1Sスペクトルは、明らかに2つのピーク(285e
V、287eV)から構成されている。O1Sスペクトルを
考慮すると、高エネルギー側のピークは>C=Oに帰属
できる。存在比O/Cは0.15である。
ッ素処理後のDLC薄膜のスペクトルでは、O/Cが
0.21〜0.37の範囲にあり、O/Cがフッ素修飾
によって減少する傾向にないことから、>C=Oの化学
種は置換されないことがわかる。
91eVのピークはそれぞれC−F結合およびC−F2結
合に帰属することができる。これらの図から、フッ素処
理温度が高くなるとF/Cが減少することが確認でき
る。F/Cの値は、0.70(25℃)、0.60(3
0℃)、0.41(40℃)、0.37(50℃)であ
る。このようなF/Cの減少は、フッ素処理温度が高温
になるほど非晶質部分の炭素の脱離(CF4ガス等によ
る)が生じやすくなることを示している。
による測定データをセンシティビティーファクターで補
正して得た原子比であり、膜の表面からの深さが1nmよ
り浅い領域での値である。
ペクトルを図2(a)に、このDLC薄膜を25℃でフ
ッ素処理したもののラマンスペクトルを図2(b)にそ
れぞれ示す。図2(a)では、DLCに特徴的な2つの
ラマン散乱ピークが1500cm-1付近(Gバンド:Grap
hitic Band)と1355cm-1付近(Dバンド:Disorder
ed Band)に観測される。Gバンドに対するDバンドの
強度比は、0.87である。一方、図2(b)における
GバンドとDバンドとのピーク位置は図2(a)とほぼ
同一であり、Gバンドに対するDバンドの強度比も図2
(a)とほぼ同一(0.89)である。この結果は、2
5〜50℃でフッ素処理を施したDLC薄膜のすべてに
ついてほぼ共通であった。したがって、フッ素修飾を行
ってもバルクの電子状態、構造は不変であると考えられ
る。
00cm-1付近および1300cm-1付近にブロードな吸収
が観測された。これらの吸収はそれぞれC−Fの伸縮振
動およびC−F2の伸縮振動に帰属され、XPSの結果
と併せてこれらの化学種の存在を裏付けている。
保護膜] 湿式成形用金型(超硬合金製)のキャビティ内面に、原
料ガスとしてCH4を用いたプラズマCVD法により、
厚さ0.5μmのDLC薄膜を形成した。投入パワーは
RF500W、動作圧力は0.05Torrとし、バイアス
電圧はセルフバイアスで−800Vとした。化学分析の
結果、このDLC薄膜の組成は、C0.77H0.23であっ
た。
に20℃で24時間放置することによりフッ素処理を施
して、保護膜を得た。この保護膜表面における水の接触
角は、117°であった。
1と同様にして作製した。この保護膜表面における水の
接触角は、65°であった。
膜] CH4とCF4とを原料ガスとし、投入パワーをRF50
0W、動作圧力を0.05TorrとしたプラズマCVD法
により、厚さ0.5μmのDLC薄膜を形成した。ただ
し、フッ素処理は施さなかった。この保護膜表面におけ
る水の接触角は、105°であった。
膜) 金型の温度を600℃とし、H2:CH4=96:4で4
0Torrの雰囲気中において、プラズマCVD法により厚
さ1μmのダイヤモンド薄膜を形成した。これに、1気
圧のF2雰囲気中に100℃で48時間放置することに
よりフッ素処理を施して、保護膜を得た。この保護膜表
面における水の接触角は、110°であった。
かったものである。
ラリーとフェライト粉末のスラリーとを繰り返し成形
し、金型の耐久寿命を調べた。耐久寿命は、キャビティ
内面の表面粗さが0.25μm以上となるまでのショッ
ト数で評価した。結果を表1に示す。なお、表面粗さの
増大は、保護膜の損傷や剥離、キャビティ内面の損傷な
どにより生じる。
3では、保護膜の硬度が不十分で保護膜自体が損傷して
しまい、フッ素処理ダイヤモンドからなる保護膜を設け
た金型No.4では、キャビティ内面と保護膜との密着強
度が低いため保護膜が剥離してしまい、保護膜を設けな
かった金型No.5では、キャビティ内面に損傷が生じて
しまった。
金型No.2について、摩擦および撥水性を評価するため
に、キャビティ内面にスラリーが付着するまでのショッ
ト数を調べた。結果を表2に示す。
No.2に比べ、フッ素処理DLC薄膜を保護膜とした金
型No.1では、保護膜表面へのスラリーの付着が著しく
抑えられることがわかる。
た後、0.05TorrのArガス雰囲気中において投入パ
ワーRF200Wで10分間プラズマ処理を施し、その
まま大気開放せずに、1気圧のF2雰囲気中において2
0℃で12時間フッ素処理を行って、保護膜を有する金
型を得た。
等の耐久性、低摩擦特性、高撥水性が得られた。
例2の金型No.1と同様にして、金型を作製した。プラ
ズマ処理の際には、処理ガスにCF4を用い、投入パワ
ーをRF300Wとし、動作圧力を0.03Torrとし、
バイアス電圧はセルフバイアスで−100Vとした。
等の耐久性、低摩擦特性、高撥水性が得られた。
金型No.1に設けた保護膜を形成した。ただし、膜厚は
10nmとした。
した。また、比較のために、保護膜を設けない薄膜ヘッ
ドについても同様な評価を行った。この結果、保護膜を
設けることにより、摩擦係数が0.50から0.22ま
で低下することがわかった。
に設けた保護膜を形成した。ただし、膜厚は10nmとし
た。
境に1週間保存して、耐食性を評価した。また、比較の
ために、保護膜を設けない磁気テープについても同様な
評価を行った。この結果、腐食による磁気特性の低下率
が、保護膜なしのものでは20%であったのに対し、保
護膜を設けたものでは10%であり、半減することがわ
かった。
である。
スペクトルを示すグラフであり、(a)は未処理のも
の、(b)は25℃で処理したもの、(c)は30℃で
処理したもの、(d)は40℃で処理したものである。
トルを示すグラフであり、(a)は未処理のもの、
(b)は25℃で処理したものである。
Claims (10)
- 【請求項1】 炭素および水素を主成分とし、表面付近
がフッ化されている保護膜。 - 【請求項2】 前記表面における水の接触角が100°
以上である請求項1の保護膜。 - 【請求項3】 物品の摺動部に設けられる請求項1また
は2の保護膜。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの保護膜を製造
する方法であって、炭素および水素を主成分とする膜
を、フッ素含有化合物のガスを含む雰囲気中に晒すこと
により、前記膜の表面付近をフッ化する工程を有する保
護膜の製造方法。 - 【請求項5】 前記フッ素含有化合物がF2である請求
項4の保護膜の製造方法。 - 【請求項6】 前記雰囲気の温度が200℃以下である
請求項4または5の保護膜の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかの保護膜を製造
する方法であって、炭素および水素を主成分とする膜
を、フッ素含有化合物のガスを含む雰囲気中でプラズマ
処理することにより、前記膜の表面付近をフッ化する工
程を有する保護膜の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜3のいずれかの保護膜を製造
する方法であって、炭素および水素を主成分とする膜
を、プラズマ処理した後、フッ素含有化合物のガスを含
む雰囲気中に晒すことにより、前記膜の表面付近をフッ
化する工程を有する保護膜の製造方法。 - 【請求項9】 表面に請求項1〜3のいずれかの保護膜
を有する物品。 - 【請求項10】 摺動部に前記保護膜が設けられた請求
項9の物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34592397A JPH11158631A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 保護膜およびその製造方法ならびに物品 |
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JP34592397A JPH11158631A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 保護膜およびその製造方法ならびに物品 |
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JP34592397A Pending JPH11158631A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 保護膜およびその製造方法ならびに物品 |
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---|---|
JP (1) | JPH11158631A (ja) |
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