JP2003151107A - 薄膜磁気ヘッドとその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドとその製造方法

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JP2003151107A
JP2003151107A JP2001350570A JP2001350570A JP2003151107A JP 2003151107 A JP2003151107 A JP 2003151107A JP 2001350570 A JP2001350570 A JP 2001350570A JP 2001350570 A JP2001350570 A JP 2001350570A JP 2003151107 A JP2003151107 A JP 2003151107A
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film
magnetic head
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diamond
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JP2001350570A
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English (en)
Inventor
Shogo Nasu
昌吾 那須
Hiroyuki Hasegawa
博幸 長谷川
Kenji Hasegawa
賢治 長谷川
Hiromi Takeda
裕美 武田
Takeshi Takahashi
高橋  健
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気テープに適用できる程度に耐摺動性に優
れた薄膜磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 下地膜の表面をフッ素含有炭素化合物ま
たは窒素含有化合物を含有する雰囲気に曝してから、フ
ッ素または窒素を添加したタイヤモンド状炭素(DL
C)膜を形成する。下地膜の基板側に酸素含有層を設け
ても耐摩耗性が向上する。この場合、酸素含有層は、下
地膜膜厚の10〜70%に相当するSiO x(ただし、
0<x<0.5)とする。酸素イオンによるアシスト処
理を行いながらDLC膜を成膜してもよい。下地膜の表
面に炭化水素を含有する雰囲気中でイオンビームを照射
してからDLC膜を成膜してもよい。下地膜の表面に金
属微粒子を形成してからDLC膜を形成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜磁気ヘッドと
その製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、デ
ジタルデータストリーマ(DDS)、ビデオシステムな
どテープ系の磁気記録媒体に対して薄膜磁気ヘッドを適
用するための同ヘッドの改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】DDSシステムやデジタルビデオシステ
ムなどのテープ系の記録媒体(磁気テープ)を用いた磁
気記録システムでは、バルク型磁気ヘッドが用いられて
いる。一方、ハードディスクシステムに用いられている
薄膜磁気ヘッドは、高い感度を有し、挟トラック化や高
い線記録密度を得る上でも有利である。ハードディスク
システムでは、薄膜磁気ヘッドはスライダーに設置さ
れ、ヘッドが磁気ディスクに対して浮上した状態で情報
の記録・再生が行われる。これに対し、磁気テープに情
報の記録・再生を行う磁気ヘッドは、磁気テープに常に
接触した状態で使用される。このため、磁気テープを用
いた磁気記録システムでは、磁気ヘッドが摩耗しやす
い。
【0003】バルク型磁気ヘッドに比べ、薄膜磁気ヘッ
ドは、構造上、電磁変換特性がヘッド摩耗の影響を受け
やすい。したがって、薄膜磁気ヘッドを磁気テープを用
いた磁気記録システムに適用するためには、ヘッド摩耗
への対策が必要となる。薄膜磁気ヘッドの表面に、保護
膜を形成することは公知である。保護膜としては、ダイ
ヤモンド状炭素(以下、「DLC」という)膜が知られ
ている。例えば、特開平10−68083号公報には、
フッ素を添加したDLC膜が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、発明者が検討
したところ、保護膜としてDLC膜を形成した薄膜磁気
ヘッドであっても、磁気テープに摺動させながら用いる
と短時間で保護膜が摩耗または剥離し、摺動面から感磁
性部が露出することが確認された。この原因の一つは、
磁気テープに適用する場合、ヘッドタッチを改善するた
めに、磁気ヘッドの摺動面に曲率が付与されることにあ
る。曲率が付与された摺動面ではヘッドとテープとの接
触面積が小さくなり、これに伴って圧力が増加する。
【0005】そこで、本発明は、磁気テープに適用でき
る程度に耐摺動性に優れた薄膜磁気ヘッドとその製造方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、磁気記録媒
体との摺動面を有し、この摺動面において基体上に下地
膜およびDLC膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッド
の改善を図ることとした。上記目的を達成するために、
本発明では、膜の付着力(密着性)を改善する手法、D
LC膜の硬度自体を改善する手法のいずれかを採用する
こととした。
【0007】本発明の第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下地膜の表面をフッ素含有炭素化合物を含有する雰
囲気に曝してから、この表面に、フッ素を添加したDL
C膜を形成することを特徴とする。この方法によれば、
下地膜の表面にフッ素含有基が固定されるため、下地膜
とフッ素を添加したDLC膜との密着力が向上する。フ
ッ素含有炭素化合物としては、例えば、CF4、CH
3、C26、C38およびC48から選ばれる少なく
とも1種を用いることができる。下地膜としては、シリ
コンまたはシリコン炭化物が好適である。
【0008】本発明の第2の製造方法は、上記下地膜の
表面を、窒素含有化合物を含む雰囲気に曝してから、こ
の表面に、窒素を添加したDLC膜を形成することを特
徴とする。この方法によれば、下地膜の表面に固定され
た窒素により、下地膜と窒素を添加したDLC膜との密
着力が向上する。窒素含有化合物としては、例えば、N
2およびNH3から選ばれる少なくとも1種を用いること
ができる。下地膜としては、シリコン窒化物が好適であ
る。
【0009】本発明の第3の製造方法は、上記下地膜
を、基体側から順に、シリコン含有原料を用いて酸素含
有雰囲気中で成膜したシリコンおよび酸素を含有する第
1下地層と、シリコン含有原料を用いて成膜したシリコ
ンからなる第2下地層とを含む膜として成膜することを
特徴とする。この方法によれば、酸素とシリコンとを含
有する第1下地層が基板と下地膜との付着力を改善す
る。酸素含有雰囲気としては、酸素含有プラズマが好適
である。
【0010】本発明の第4の製造方法は、基体の表面を
酸素プラズマで処理してから、この表面にシリコンを堆
積することにより、下地膜として、基体側の一部に酸素
を含有するシリコン層を形成することを特徴とする。こ
の方法によれば、基体の表面に予め形成された化学的に
活性な酸素皮膜層により、堆積されるシリコンの基体側
の一部が酸化され、第3の製造方法と同様、付着力を改
善する層が形成される。
【0011】第3または第4の方法により得ることがで
きる本発明の第1の薄膜磁気ヘッドは、下地膜が、基体
側から順に、シリコンおよび酸素を含有する第1下地層
と、シリコンからなる第2下地層とを含み、第1下地層
の膜厚が下地膜全体の膜厚の10%以上70%以下であ
り、第1下地層がSiOx(ただし、0<x<0.5)
により示されるシリコン酸化膜であることを特徴とす
る。
【0012】本発明の第5の製造方法は、炭化水素を原
料として、酸素イオンによるアシスト処理を行いながら
DLC膜を成膜することを特徴とする。この方法によれ
ば、DLC膜の硬度が向上する。炭化水素ガスを、例え
ばプラズマ状に分解してDLC膜を成膜しても膜中に水
素が残存することが多い。しかし、酸素イオンを照射し
ながら成膜を行えば、水素の残留を抑制できる。下地膜
としては、シリコン、シリコン窒化膜またはシリコン炭
化膜が好適である。
【0013】本発明の第6の製造方法は、下地膜の表面
に炭化水素を含有する雰囲気中でイオンビームを照射し
てから、この表面に、DLC膜を成膜することを特徴と
する。この方法は、下地膜の表面に炭素原子を核とした
島状構造が生成するため、SP3構造を有し、硬度が高
いDLC膜の形成に効果がある。炭化水素ガスとして
は、例えば、メタンおよびエチレンから選ばれる少なく
とも一方を用いることができる。
【0014】本発明の第7の製造方法は、下地膜の表面
に金属微粒子を形成してからDLC膜を形成することを
特徴とする。この方法は、下地膜の表面に金属の島状構
造が生成するため、SP3構造を有し、硬度が高いDL
C膜の形成に効果がある。金属微粒子としては、例え
ば、白金、金、ニッケルおよびコバルトから選ばれる少
なくとも1種を用いることができる。また、下地膜の表
面を窒素含有プラズマに接触させてから、この表面に金
属微粒子を形成してもよい。密着性を向上させるためで
ある。
【0015】第7の方法により得ることができる本発明
の第2の薄膜磁気ヘッドは、下地膜とDLC膜との界面
に、金属微粒子を含有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について説明する。保護膜として用いるDLC膜は、従
来からハードディスク用ヘッドの作製に適用されている
方法により成膜すればよい。成膜方法としては、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD
法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマCVD
法などが挙げられる。スパッタリング法では、グラファ
イトなどの炭素系ターゲットを直接スパッタリングして
膜を成膜すればよいが、この方法では硬度が高いDLC
膜を得にくい。イオンプレーティング法では、高硬度の
膜を得ることができるが、生産性に懸念が残る。したが
って、プラズマを利用した成膜方法、例えばプラズマC
VD法を適用することが好ましい。特に、ECRプラズ
マCVD法によれば、一般に、原料ガスとしてメタンを
使用すると24GPa、エチレンガスを使用すると30
GPa程度の硬度の膜が得られる。
【0017】なお、本明細書における膜の強度は、ナノ
インデンテーションによる方法で求めたものである。
【0018】DLC膜の膜厚は、1nm以上30nm以
下が好適である。膜厚が厚すぎると、磁気的スペーシン
グが大きくなってヘッドの再生出力を損なうおそれがあ
り、膜厚が薄すぎると、膜として十分に成長していない
ために偏摩耗が発生したり耐食性が劣化する場合があ
る。特に言及しない場合であっても、DLC膜には、フ
ッ素などその他の元素を添加してもかまわない。
【0019】保護膜などを形成する基板としては、通
常、予め所定の形状に加工されたフェライトが用いられ
る。テープ用ヘッドでは、上記のように、摺動面に曲率
が付与されることが多い。
【0020】下地膜は、基板とDLC膜との間の付着力
を向上させるために用いられる。下地膜としてはシリコ
ンを含有する膜が好適であり、上記のように、適宜、シ
リコン、シリコン窒化物、シリコン炭化物などからなる
膜が用いられる。下地膜の膜厚は、特に制限されない
が、0.2nm以上5nm以下が好適である。下地膜が
厚すぎると、硬質のDLC膜の性質が発揮できなくなる
場合があり、逆に薄すぎると、付着力が低下して耐摩耗
性膜として機能しなくなるおそれがある。
【0021】以下、本発明の実施形態について、図面を
参照しながらその具体例とともに説明する。 (第1の実施形態)本実施形態では、本発明の第1の方
法について説明する。
【0022】図4は、ECRプラズマCVD装置の概要
を示す図である。この装置には、プラズマ室7、ECR
プラズマ8を生成するマイクロ波発信機4、励磁用のマ
グネット6、マイクロ波をプラズマ室7に導く導波管5
が配置されている。基板10は、プラズマ室7内の基板
ホルダー9に保持されており、高周波電源3により基板
バイアスが印加される。原料ガスや添加ガスは、ガス導
入口1からプラズマ室7内に導入される。
【0023】図5は、スパッタリング装置の概要を示す
図である。この装置には、スパッタ室11、アースされ
たターゲット12が配置されている。基板14は、スパ
ッタ室11内の基板ホルダー13に保持されており、バ
イアス電圧電源15から基板バイアスが印加される。雰
囲気ガスは、ガス導入口16からスパッタ室11内に導
入される。図4に示したECRプラズマCVD装置と図
5に示したスパッタリング装置とは、真空を破ることな
くスパッタ室とプラズマ室とを基板が移動できるよう
に、互いに接続されている。
【0024】基体としては、Mn−Znフェライトを使
用した。サイズは2mm角、厚み0.3mmである。こ
のフェライト基材の一面を研磨テープで研磨して曲率を
付与し、テープとの摺動面とした。この基体は、以下に
説明する各形態においても使用した。
【0025】まず、スパッタリング装置において、フェ
ライトの摺動面上に、下地膜として膜厚約2nmのシリ
コンまたはシリコン炭化層を成膜した。次いで、同じス
パッタ室内に、CF4、CHF3、C26、C38または
48をガス導入口より導入し、アルゴンガスと混合し
た。引き続き、放電してプラズマを生成させ、上記フッ
素含有炭素化合物含有プラズマで下地膜表面の処理を行
った。
【0026】DLC膜の成膜は、真空中でプラズマ室に
基板を移動して行った。成膜は、原料ガスおよび添加ガ
スをガス導入口より導入し、マイクロ波発信機でプラズ
マを生成させ、マグネットにより磁場を発生させ、原料
ガスのプラズマを基板側に引き出し、同時に、基板ホル
ダーに高周波電源により基板バイアスを印加して行っ
た。原料ガスとしては、メタンガスを用いた。また、添
加ガスとして下地層表面の処理に添加したガスと同じガ
スを使用した。これらのガスの量は、流量によって制御
し、原料ガスのメタンガスの流量に対する割合を制御し
た。ガス圧は0.66Pa、入力電力は200W、高周
波バイアス電力は200Wとした。DLCと下地膜の全
膜厚は30nmとした。
【0027】こうして形成した膜を評価するため、基体
を金属製ヘッドベースに固定し、回転シリンダーに設置
した後、DVCPRO用ドライブにセットした。そし
て、実際にドライブを作動させ、100時間走行後、光
学顕微鏡を用いて表面観察で行い、DLC膜の耐摩耗性
を測定した。耐摩耗性は、剥離した面積(剥離面積)の
割合により評価した。ここで、使用したテープは、厚さ
約7μmの金属蒸着(ME)テープである。作動時の環
境は、温度25℃、湿度50%で一定とした。なお、比
較のため、下地膜表面のプラズマ処理を行わずに形成し
た膜についても同様に特性を評価した。結果を表1に示
す。
【0028】 (表1) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― サンプル 下地膜 添加ガス ガス量(sccm) 処理時間(秒)剥離面積(%) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例1 Si CF4 10 20 0 実施例2 Si CF4 10 40 0 実施例3 Si CF4 20 20 0 実施例4 SiC CF4 10 20 0 実施例5 SiC CF4 10 40 0 実施例6 Si CHF3 10 20 0 実施例7 SiC CHF3 10 20 0 実施例8 Si C26 10 20 0 実施例9 SiC C26 10 20 5以下 実施例10 Si C38 10 20 10以下 実施例11 SiC C38 10 20 5以下 実施例12 Si C48 10 20 10以下 実施例13 SiC C48 10 20 10以下 比較例1 Si − − − 50以上 比較例2 SiC − − − 80以上 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0029】(第2の実施形態)本実施形態では、本発
明の第2の方法について説明する。第1の実施形態と同
じ装置を用いてフェライト基体上に下地膜とDLC膜と
を形成した。下地膜としては、厚さ約2nmのシリコン
膜または窒化シリコン膜を成膜した。次いで、同じスパ
ッタ室で窒素またはアンモニアガスを導入してアルゴン
ガスと混合し、放電によりプラズマを生成し、シリコン
膜(シリコン窒化膜)表面のプラズマ処理を行った。
【0030】引き続き、真空中でプラズマ室に基板を移
動し、第1の実施形態と同様にしてDLC膜を形成し
た。下地膜とDLC膜との合計膜厚も同じとした。ただ
し、添加ガスとしては窒素ガスを使用した。こうして形
成した膜を第1の実施形態と同様にして評価した。結果
を表2に示す。
【0031】 (表2) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― サンプル 下地膜 ガス ガス量(sccm) 処理時間(秒) 剥離面積(%) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例14 SiN N2 10 60 0 実施例15 SiN N2 20 40 0 実施例16 SiN N2 20 30 0 実施例17 SiN N2 10 20 0 実施例18 Si NH3 10 20 0 実施例19 Si NH3 10 20 5以下 比較例3 Si − − − 50以上 比較例4 SiN − − − 80以上 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0032】(第3の実施形態)本実施形態では、本発
明の第3および第4の方法について説明する。第1の実
施形態と同じ装置を用いてフェライト基体上に下地膜と
DLC膜とを形成した。下地膜として2種類の方法によ
り厚さ約2nmのシリコン膜を成膜した。第1の方法
(酸素ガス添加)では、アルゴンガス中に酸素ガスを添
加した状態で成膜を開始し(アルゴンガス9sccmに
対して酸素ガス1sccm;圧力10Pa)、続いて酸
素ガスを添加しない無酸素雰囲気中でシリコンを成膜し
た。第2の方法(酸素プラズマ処理)では、予めフェラ
イト基体の摺動面を酸素ガスプラズマで処理した。酸素
ガスプラズマは、アルゴンガス90sccmに対して酸
素ガスを10sccmの割合で供給し、処理電力200
W、処理時間60秒とした。
【0033】引き続き、真空中でプラズマ室に基板を移
動し、DLC膜を形成した。下地膜とDLC膜との合計
膜厚は第1の実施形態と同じとした。ただし、プラズマ
室には添加ガスを導入せず、メタンガスのみを供給し
た。こうして形成した膜を第1の実施形態と同様にして
評価した。また、下地膜における酸素含有層の膜厚を触
針式膜厚測定器により測定し、この酸素含有層における
酸素含有量をESCA(Energy Spectroscopy of Chemi
cal Analysis)により測定してSiOxに換算した。結
果を表3に示す。
【0034】 (表3) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― サンプル 酸素含有層 Si層 含有層 含有層 SiOx 剥離面積 (nm) (nm) 比率(%) 形成方法 換算x値 (%) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例20 0.5 1.5 25 酸素添加 0.3 0 実施例21 1.0 1.0 50 酸素添加 0.2 0 実施例22 2.0 1.0 66.7 酸素添加 0.4 0 実施例23 2.0 2.0 50 酸素添加 0.3 0 実施例24 4.0 2.0 66.7 酸素添加 0.1 0 実施例25 1.0 2.0 33.3 フ゜ラス゛マ処理 0.1 0 実施例26 0.3 1.7 15 フ゜ラス゛マ処理 0.1 0 実施例27 2.0 1.0 66.7 フ゜ラス゛マ処理 0.1 0 比較例5 0 2.0 0 ― 0 50以上 比較例6 3.0 1.0 75 酸素添加 0.3 50以上 比較例7 2.0 0 100 酸素添加 0.2 100 比較例8 2.5 1.0 71.4 フ゜ラス゛マ処理 0.1 30以上 比較例9 1.0 1.0 50 酸素添加 0.5 50以上 比較例10 1.0 1.0 50 フ゜ラス゛マ添加 0.6 50以上 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0035】(第4の実施形態)本実施形態では、本発
明の第5の方法について説明する。図6に本形態に使用
したプラズマCVD装置を示す。第1の実施形態で使用
したプラズマCVD装置にさらにイオン源18が設置し
てある。イオン源から発生するイオンビームは基板10
に照射されるようにその位置が調整されている。
【0036】第1の実施形態と同様にして、フェライト
の摺動面上に、下地膜として膜厚約2nmのシリコン層
を成膜した。次いで、真空中でプラズマ室7に基板を移
動し、ガス導入口1よりメタンガスをプラズマ室7に導
入し、マイクロ波発振機4を作動させてプラズマを生成
させる。また、イオン源18に酸素ガスを流して酸素イ
オンビームを生成させる。そして、基板ホルダー9に高
周波電源3でバイアスを印加すると同時に酸素イオンビ
ームを照射しながら膜厚約30nmのDLC膜を成膜し
た。
【0037】酸素イオンの流量による膜硬度の変化を図
1に示す。酸素イオンを照射すると、DLC膜の硬度
は、照射しない場合(24GPa)と比較して向上した
(35GPa)。酸素イオンの量が過大となると、DL
C膜中の炭素が酸化されて奪わるため、膜質が劣化す
る。したがって、酸素イオンの照射は、炭素の消失によ
る膜強度の劣化が、水素の消失による膜強度の向上を上
回らない範囲で行うとよい。DLC膜の原料としてメタ
ンガスを用いた場合、メタン流量に対する酸素流量の比
率は0.01〜0.1が好適である。
【0038】(第5の実施形態)本実施形態では、本発
明の第6の方法について説明する。イオンビームの照射
には、図6に示した装置を用いてもよいが、図7に示し
たように図4のCVD装置の別室に設置したイオン源1
8を用いてもよい。本形態では、図7のイオンビーム装
置を使用した。
【0039】下地膜として膜厚約2nmのシリコン層
を、第1の実施形態と同様にスパッタリング法により形
成した後、真空状態を保ったまま、イオンビーム処理室
17に基板を移動した。次いで、ガス導入口21より、
メタンまたはエチレンガスを導入し、アルゴンガスをイ
オン源として、炭化水素(メタンまたはエチレン)とア
ルゴンとが混合されたイオンビームを発生させ、このイ
オンビームで基板の表面を処理した。その後、真空状態
を保ったまま、プラズマ室7(図4)に基板を移動さ
せ、メタンを原料として膜厚約28nmのDLC膜を成
膜した。
【0040】イオンビームの処理時間による膜硬度の変
化を図2に示す。炭化水素ガスと不活性ガスとを混合し
たイオンビームによる処理を行うと、DLC膜の硬度は
大きくなった。炭化水素の量が過大となると、膜質の軟
質化が生じる。
【0041】(第6の実施形態)本実施形態では、本発
明の第7の方法について説明する。本実施形態では、第
1の実施形態と同じ装置を用いてフェライト基体上に下
地膜とDLC膜とを形成した。下地膜として膜厚約2n
mのシリコン層を形成した後、同じスパッタ室で白金、
金、コバルトの金属超微粒子を下地膜表面に形成した。
その後、膜厚約28nmのDLC膜を形成した。金属超
微粒子を形成するためのスパッタリングはアルゴンガス
中で行い、超微粒子の形成時間を変化させてDLC膜の
硬度を測定した。図3に結果を示す。形成時間を20秒
までとするとDLC膜の硬度が向上した。
【0042】形成時間が短いと、下地表面での金属は超
微粒子として存在し、金属触媒的な役割でDLC膜の硬
度の増大に寄与する。一方、形成時間が長くなると、金
属は島状構造から連続的な膜状に成長するため、硬度が
増大しなくなる。
【0043】(第7の実施形態)本実施形態では、引き
続き、本発明の第7の方法について説明する。金属超微
粒子を下地層表面に形成する前に、アルゴンガスに窒素
またはアンモニアガスを混合したプラズマで処理を行っ
た点を除いては、第6の実施形態と同様にして成膜を行
い、第1の実施形態と同様にして耐摩耗性を評価した。
結果を表4に示す。
【0044】 (表4) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― サンプル 金属微粒子 ガス ガス流量 処理時間 剥離面積 (scmm) (秒) (%) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例28 Pt 窒素 10 30 0 実施例29 Pt 窒素 20 20 0 実施例30 Pt アンモニア 20 30 0 実施例31 Pt アンモニア 10 20 0 実施例32 Au 窒素 10 20 0 実施例33 Au アンモニア 10 20 5以下 実施例34 Co 窒素 10 20 0 実施例35 Co アンモニア 10 20 0 実施例36 Pt ― ― ― 40以上 実施例37 Au ― ― ― 30以上 実施例38 Co ― ― ― 40以上 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁気テープに適用できる程度に耐摺動性に優れた薄膜磁
気ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一形態(第4の実施形態)における
膜硬度と酸素流量との関係を示す図である。
【図2】 本発明の一形態(第5の実施形態)における
膜硬度とイオンビーム処理時間との関係を示す図であ
る。
【図3】 本発明の一形態(第6の実施形態)における
膜硬度と金属超微粒子の形成時間との関係を示す図であ
る。
【図4】 ダイヤモンド状炭素膜の形成に用いうる成膜
装置(プラズマCVD装置)の概要を示す図である。
【図5】 下地膜の形成に用いうる成膜装置(スパッタ
リング装置)の概要を示す図である。
【図6】 イオンビームを照射しながらダイヤモンド状
炭素膜を形成できる成膜装置(プラズマCVD装置)の
概要を示す図である。
【図7】 イオンビームによる処理に用いる装置の概要
を示す図である。
【符号の説明】
1、16、21 ガス導入口 2 ECRプラズマCVD装置 3 高周波電源 4 マイクロ波発信機 5 導波管 6 マグネット 7 プラズマ室 8 プラズマ 9、13、19 基板ホルダー 10、14、20 基板 11 スパッタ室 12 ターゲット 15 バイアス電圧電源 17 イオンビーム処理室 18 イオン源
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 賢治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 武田 裕美 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 高橋 健 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D033 BA11 BA15 CA03 DA01 DA02 DA03 DA31

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記摺
    動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭素
    膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドの製造方法であ
    って、前記下地膜の表面を、フッ素含有炭素化合物を含
    有する雰囲気に曝してから、前記表面に、フッ素を添加
    したダイヤモンド状炭素膜を形成することを特徴とする
    薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 フッ素含有炭素化合物が、CF4、CH
    3、C26、C38およびC48から選ばれる少なく
    とも1種である請求項1に記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 下地膜として、シリコンまたはシリコン
    炭化物を成膜する請求項1または2に記載の薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記摺
    動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭素
    膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドの製造方法であ
    って、前記下地膜の表面を、窒素含有化合物を含む雰囲
    気に曝してから、前記表面に、窒素を添加したダイヤモ
    ンド状炭素膜を形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  5. 【請求項5】 窒素含有化合物が、N2およびNH3から
    選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 下地膜として、シリコン窒化物を成膜す
    る請求項4または5に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記摺
    動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭素
    膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドであって、前記
    下地膜が、前記基体側から順に、シリコンおよび酸素を
    含有する第1下地層と、シリコンからなる第2下地層と
    を含み、前記第1下地層の膜厚が下地膜全体の膜厚の1
    0%以上70%以下であり、前記第1下地層がSiOx
    (ただし、0<x<0.5)により示されるシリコン酸
    化膜であることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記摺
    動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭素
    膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドの製造方法であ
    って、前記下地膜を、前記基体側から順に、シリコン含
    有原料を用いて酸素含有雰囲気中で成膜したシリコンお
    よび酸素を含有する第1下地層と、シリコン含有原料を
    用いてシリコンからなる第2下地層とを含む膜として成
    膜することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 酸素含有雰囲気が、酸素含有プラズマで
    ある請求項8に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記
    摺動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭
    素膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドの製造方法で
    あって、前記基体の表面を酸素プラズマで処理してか
    ら、前記表面にシリコンを堆積することにより、前記下
    地膜として、前記基体側の一部に酸素を含有するシリコ
    ン層を形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
  11. 【請求項11】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記
    摺動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭
    素膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドの製造方法で
    あって、炭化水素を原料として、酸素イオンによるアシ
    スト処理を行いながら前記ダイヤモンド状炭素膜を成膜
    することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 下地膜として、シリコン、シリコン窒
    化膜またはシリコン炭化膜を成膜する請求項11に記載
    の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記
    摺動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭
    素膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドの製造方法で
    あって、前記下地膜の表面に炭化水素を含有する雰囲気
    中でイオンビームを照射してから、前記表面に、前記ダ
    イヤモンド状炭素膜を成膜することを特徴とする薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 炭化水素が、メタンおよびエチレンか
    ら選ばれる少なくとも一方である請求項13に記載の薄
    膜磁気ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記
    摺動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭
    素膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドであって、前
    記下地膜と前記ダイヤモンド状炭素膜との界面に、金属
    微粒子を含有することを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】 金属微粒子が、白金、金、ニッケルお
    よびコバルトから選ばれる少なくとも1種である請求項
    15に記載の薄膜磁気ヘッド。
  17. 【請求項17】 磁気記録媒体との摺動面を有し、前記
    摺動面において基体上に下地膜およびダイヤモンド状炭
    素膜がこの順に形成された薄膜磁気ヘッドの製造方法で
    あって、前記下地膜の表面に金属微粒子を形成してから
    前記ダイヤモンド状炭素膜を形成することを特徴とする
    薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 金属微粒子が、白金、金、ニッケルお
    よびコバルトから選ばれる少なくとも1種である請求項
    15に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 下地膜の表面を窒素含有プラズマに接
    触させてから、前記表面に金属微粒子を形成する請求項
    17または18に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  20. 【請求項20】 ダイヤモンド状炭素膜をプラズマCV
    D法で成膜する請求項1〜6、8〜14および17〜1
    9のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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