JP2001286107A - 永久磁石ロータの製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 永久磁石ロータの組立を、リベットを使用し
たかしめ作業により行う装置において、内径精度のすぐ
れたロータを製造する。 【解決手段】 永久磁石ロータの製造装置において、該
製造装置は装置の支持台１８の中央部にロータ受台１４
を設け、このロータ受台１４上にかしめ組立を行うロー
タ１を置く構造となっていて、支持台の上部には鉄心加
圧シリンダ７、鉄心加圧シリンダ７に固定されかつ鉄心
加圧シリンダ７と連動して上下動作を行うかしめヘッド
１０とかしめシリンダ１１、かしめ作業終了後ロータ１
を取り出すための押出しシリンダ１３と押出しピン１
２、ロータ１の外径を固定するための外径押えリング
８、及び内径を固定するための内径シャフト９を有し、
かつ外径押えリング８はロータ１の半径方向に移動可能
な構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は永久磁石ロータの製
造装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】磁石挿入穴を有するロータ鉄心に永久磁
石を挿入し、ロータ鉄心の両端に永久磁石の脱出を防止
するための端板を設け、これら永久磁石及び端板を固定
するためリベットをもってロータ鉄心を貫通させ、その
後リベットの先端をかしめることにより形成される永久
磁石ロータは一般的に良く知られている。

【０００３】この構造を有するロータ１を組立る方法と
して従来は図１２に示すような装置が使用されている。

【０００４】図１２に示す従来の装置ではロータのかし
めを行う際にロータ鉄心の磁石挿入穴に永久磁石を挿入
し、両端面に端板を取付けた後リベットを貫通させる。
その後ロータ受け用ロータ受台にロータ鉄心を置き内径
シャフトを通して鉄心加圧シリンダでリベットを加圧し
てかしめ作業を行っている。

【０００５】また特開平６−１３３４７９号においては
ロータ鉄心を軸方向に加圧した状態で磁石挿入穴に永久
磁石を挿入する方法が記載されているが、かしめの方法
については触れてられていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の組立方法ではロ
ータの組立においてはリベットの長さ、ロータ鉄心の積
層枚数のばらつきなどにより、ロータ鉄心および端板の
厚さに対しリベットのかしめ長さがばらつき、リベット
のかしめ長さが長くなった場合には、かしめ時にリベッ
トが変形してロータの内径が曲がる問題が発生する。こ
の問題を解決するため、従来はロータの内径に内径シャ
フトを挿入した後、リベットをかしめることとしてい
る。しかしロータの内径だけを支えて、リベットをかし
める従来の方法ではリベットの曲がりを抑えることが出
来ないため、ロータの内径寸法の精度が著しく低下する
という問題がある。

【０００７】また特開平９−１３３４７９号の例では外
径の変形を防止するための外周保持リングを設けている
ものの、リベットかしめ時には外径保持リングは作用し
ていないためリベットかしめ時のリベットの曲がりは防
ぐことが出来ない。

【０００８】本発明はロータをリベットでかしめる際
に、ロータの内径精度を維持しながらかしめ、組立でき
ることを目的としたものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明永久磁石ロータ製造装置においては電磁鋼板
に永久磁石を装着する打抜穴を設け、これを多数積層し
たロータ鉄心に永久磁石を装着し、かつ永久磁石が軸方
向に脱出することを防ぐために非磁性体で構成される端
板を設け、これをリベットでかしめを行う構成の永久磁
石ロータを製造するために、製造装置の支持台中央部に
ロータ受台を設け、このロータ受台上にかしめ組立を行
うロータを置く構造とし、支持台の上部には鉄心加圧シ
リンダ、鉄心加圧シリンダに固定されかつ鉄心加圧シリ
ンダと連動して上下動作を行うかしめヘッドとかしめシ
リンダ、かしめ作業終了後ロータを取り出すための押出
しシリンダと押出しピン、ロータの外径を固定するため
の外径押えリング及びロータの内径を固定するための内
径シャフトを有し、かつ外径押えリングはロータの半径
方向に移動可能な構造とする。

【００１０】更に上記構成に加えてリベットのかしめ作
業を行うかしめシリンダ及びかしめシリンダに連結され
ているかしめヘッドを別に設け、かしめシリンダ及びか
しめヘッドをロータに対し反対側に位置する様に構成す
ることも可能である。

【００１１】上記構成の永久磁石ロータ製造装置では組
立時にロータの内径に内径シャフトを挿入すると共にロ
ータの外径には外径押えリングを挿入してかしめをおこ
なうためかしめ時のリベットの変形を最小限にすること
ができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例にもと
づき図面を参照して説明する。図１において本発明の永
久磁石ロータ製造装置は支持台１８の中央部にロータ受
台１４を設けこのロータ受台１４上にかしめ組立を行う
ロータ１を置く構造となっていて、支持台１８の上部に
は鉄心加圧シリンダ７、鉄心加圧シリンダ７に固定され
かつ鉄心加圧シリンダ７と連動して上下動作を行うかし
めヘッド１０とかしめシリンダ１１、かしめ作業終了後
ロータ１を取り出すための押出しシリンダ１３と押出し
ピン１２、ロータ１の外径を固定するための外径押えリ
ング８及びロータ１の内径を固定するための内径シャフ
ト９を有する。

【００１３】ここでかしめヘッド１０及びロータ受台１
４はリベットのかしめを直接行うため焼き入れを行った
鋼材で形成され、内径シャフト９及び外径押えリング８
についても鋼材で形成すること望ましい。

【００１４】外径押えリング８の内径寸法はロータ１の
外径寸法が６０ｍｍ程度の場合、０．０５ｍｍないし
０．２ｍｍ程度ロータ１の外径寸法に対し大きくして、
ロータ１の外径寸法の変化が極力少なくなるようにする
とともに、内径シャフト９の外径はロータ１の内径寸法
が２０ｍｍ程度の場合、内径シャフト９の外径寸法に対
し、０．００５ｍｍないし０．０１５ｍｍ程度大きくし
てロータ１の内径寸法の変化も小さくする。

【００１５】また図５に示すように外径押えリング８と
鉄心押えヘッド１６の外径との間には０．５ｍｍないし
１．０ｍｍの隙間ｔ１が設けてあり、また外径押えリン
グ８とリングガイド１５の内径との間には同じく０．５
ｍｍないし１．０ｍｍの隙間ｔ２が設けてある。さらに
内径シャフト９の先端部と外径押えリング８の先端部は
内径シャフト９の方が５ｍｍ程度長くなるよう差ｈが設
定されている。

【００１６】この永久磁石ロータ製造装置の動作を図
６、７及び８を用いて説明する。図６はロータ１をかし
める前の状態を示し、図７はロータ１をかしめ中の状態
を示し、図８はロータ１をかしめた後にロータ１を内径
シャフト９及び外径押えリング８から押出す状態を示
す。

【００１７】ロータ１を組立る工程は以下の通りであ
る。ロータ鉄心３に永久磁石４を装着しロータ鉄心３の
軸側両端に端板５を取付け、さらにリベット６を挿入し
たロータ組立品をロータ受台１４の上に設置する（図６
参照）。この状態で図７に示すように鉄心加圧シリンダ
７が下降すると、最初に内径シャフト９の先端がロータ
鉄心３の内径に挿入される。さらに鉄心加圧シリンダ７
が下降すると外径押えリング８がロータ鉄心３の外径に
挿入される（図７参照）。

【００１８】しかしながら内径シャフト９と外径押えリ
ング８を同時にロータ鉄心３に挿入しようとすると、内
径シャフト９と外径押えリング８の軸中心が必ずしも完
全に一致していないこと、またロータ鉄心３においても
ロータ鉄心の内径と外径の軸中心が一致していないこと
から、内径シャフト９ないし外径押えリング８挿入が出
来ないことが発生する。この場合内径シャフト９が折れ
たり、あるいは鉄心に無理に挿入されるために、内径シ
ャフト９が抜けなくなることや、外径押えリング８が破
損するなどの問題が起こり、生産活動に大きな支障をき
たすことなる。

【００１９】このため本発明においては、内径シャフト
９はベース１７に固定されているが外径押えリング８は
ベース１７に直接固定されるのではなく、鉄心押えヘッ
ド１６とリングガイド１５により支えられる構造となっ
ている。

【００２０】さらに図５に示すように外径押えリング８
と鉄心押えヘッド１６の外径との間には０．５ｍｍない
し１．０ｍｍの隙間ｔ１が設けてあって、また外径押え
リング８とリングガイド１５の内径との間にも０．５ｍ
ｍないし１．０ｍｍの隙間ｔ２が設けてあり、内径シャ
フト９の先端部と外径押えリング８の先端部は内径シャ
フト９の方が５ｍｍ程度長くなるよう差ｈが設定されて
いる。

【００２１】このような構造となっているため、内径シ
ャフト９の挿入後に外径押えリング８がロータ鉄心３の
外径に挿入される時には、ロータ鉄心３の内径と外径の
ずれを吸収し、自動的に最適な位置でロータ鉄心３の外
径を押えることが出来る。

【００２２】この結果ロータ鉄心３、永久磁石４、端板
５及びリベット６は内径シャフト９及び外径押えリング
８によって固定され、さらに鉄心加圧シリンダが下降し
４，０００ｋｇから６，０００ｋｇの力で加圧すること
によりリベット６はかしめ作業が行われ、ロータ鉄心
３、永久磁石４及び端板５はリベット６により一体化さ
れ組立作業は終了する。

【００２３】かしめ作業終了後、鉄心加圧シリンダ７が
上昇する際に押出しシリンダ１３が作動し押出しピン１
２が下降する。この押出しピン１２の下降動作によりロ
ータ１は外径押えリング８から押出され製造装置から取
り出される（図８参照）。

【００２４】図２に示される実施例では、リベット６の
かしめ作業を行うかしめシリンダ１１及びかしめシリン
ダ１１に連結されているかしめヘッド１０を設け、かし
めシリンダ１１及びかしめヘッド１０はロータ１に対し
反対側に位置する構成となっている。上記以外の構成は
図１の実施例と同じである。

【００２５】図９は図２の実施例におけるかしめ前の状
態を表す図、同じく図１０はかしめ中の状態を表す図、
また図１１はかしめ後ロータ鉄心がかしめ治具から離れ
た状態を表す図である。

【００２６】図９において、ロータ鉄心３はロータ受台
１４の上に置かれる（図９参照）。次に図１０に示すよ
うに内径シャフト９、外径押えリング８、押出しピン１
２、及び押出しシリンダ１３を含む治具が鉄心加圧シリ
ンダ７により降下させられ、ロータ鉄心３の外径及び内
径をそれぞれ外径押えリング８及び内径シャフト９で支
えた状態でロータ１を押える。このときも図１の実施例
と同様外径押えリング８は自動的に最適な位置でロータ
１に挿入される。この状態では鉄心加圧シリンダは５，
０００ｋｇないし７，０００ｋｇの力でロータ１を押え
るためロータ１は内径、外径が固定されるだけでなく積
層方向（軸方向）についても強力に押え込まれた状態と
なっている。

【００２７】次に図１０に示すように、かしめヘッド１
０がかしめシリンダ１１により上昇し、リベット６のか
しめを行う。この時かしめヘッドはかしめシリンダによ
り４，０００ｋｇないし６，０００ｋｇの力を受けるよ
う設定されている。かしめ終了後かしめヘッド１０は下
降し、外径押えリング８及び内径シャフト９も上昇して
かしめ工程は終了する。以降の工程は図１の実施例と同
じである。

【００２８】

【発明の効果】本発明の永久磁石ロータ製造装置ではロ
ータ鉄心を外径及び内径または外径、内径及び積厚方向
（軸方向）に強固に保持した状態でリベットのかしめを
行うことができる。

【００２９】このためリベットの曲がりを最小限に押え
る事が出来て、ロータの内径寸法が精度良く組立可能と
なり不良の減少、生産性の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す全体図。

【図２】本発明の他の実施例を示す全体図。

【図３】永久磁石ロータの構成を示す分解図。

【図４】永久磁石ロータの断面図。

【図５】本発明のロータ押え部分の詳細図。

【図６】本発明によるかしめ前状態を示す詳細図。

【図７】本発明によるかしめ中状態を示す詳細図。

【図８】本発明によるかしめ後の状態を示す詳細図。

【図９】本発明の他の実施例によるかしめ前状態を示す
詳細図。

【図１０】本発明の他の実施例によるかしめ中状態を示
す詳細図。

【図１１】本発明によるかしめ後の状態を示す詳細図。

【図１２】従来の実施例を示す詳細図。

【符号の説明】

１ ロータ ２ 磁石挿入穴 ３ ロータ鉄心 ４ 永久磁石 ５ 端板 ６ リベット ７ 鉄心加圧シリンダ ８ 外径押えリング ９ 内径シャフト １０ かしめヘッド １１ かしめシリンダ １２ 押出しピン １３ 押出しシリンダ １４ ロータ受台 １５ リングガイド １６ 鉄心押えヘッド １７ ベース １８ 支持台

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電磁鋼板に永久磁石を装着する打抜穴
   （２）を設け、これを多数積層したロータ鉄心（３）に
   永久磁石（４）を装着し、かつ永久磁石（４）が軸方向
   に脱出することを防ぐために非磁性体で構成される端板
   （５）を設け、これをリベット（６）でかしめを行う構
   成の永久磁石ロータの製造装置において、該製造装置は
   支持台（１８）の中央部にロータ受台（１４）を設け、
   このロータ受台（１４）上にかしめ組立を行うロータ
   （１）を置く構造となっていて、支持台（１８）の上部
   には鉄心加圧シリンダ（７）、鉄心加圧シリンダ（７）
   に固定されかつ鉄心加圧シリンダ（７）と連動して上下
   動作を行うかしめヘッド（１０）とかしめシリンダ（１
   １）、かしめ作業終了後ロータ（１）を取り出すための
   押出しシリンダ（１３）と押出しピン（１２）、ロータ
   （１）の外径を固定するための外径押えリング（８）及
   びロータ（１）の内径を固定するための内径シャフト
   （９）を有し、かつ外径押えリング（８）はロータ
   （１）の半径方向に移動可能な構造を有する永久磁石ロ
   ータの製造装置。
2. 【請求項２】 リベット（６）のかしめ作業を行うかし
   めシリンダ（１１）及びかしめシリンダ（１１）に連結
   されているかしめヘッド（１０）を有し、かしめシリン
   ダ（１１）及びかしめヘッド（１０）はロータ（１）に
   対し反対側に位置することを特徴とする請求項１記載の
   永久磁石ロータの製造装置。