JP2001284817A - フェノール樹脂積層板及びその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂積層板及びその製造方法

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Ryoko Toyoda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異なる導体層間の導通抵抗信頼性に優れたフ
ェノール樹脂積層板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 複数の導体層を有すると共に、異なる導
体層間が銅ペーストで接続されたフェノール樹脂積層板
に関する。フェノール樹脂組成物中に酸化銅を還元させ
る有機成分を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異なる導体層間が
銅ペーストで接続されたフェノール樹脂積層板及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂積層板は、積層板の中で
は特に量産性に優れており、これまで種々の電子機器に
適用されている。最近では高密度実装がさらに進展し、
このようなフェノール樹脂積層板は、複数の導体層を有
する多層プリント配線板として利用されているものであ
る。
【0003】そして、このように複数の導体層を有する
フェノール樹脂積層板において、異なる導体層間を電気
的に接続する方法としては、積層基板にスルーホールや
ビアホールなどの接続用穴を設け、この穴の内壁に銅め
っき等のめっきを施してめっき層を形成して導通をとる
ものがある。
【0004】また、接続用穴の内壁に銅めっき等のめっ
きを施さず、樹脂系の導電ペーストでこの穴を充填して
導通をとる方法もある。
【0005】一般的にはこれらの方法が採られている
が、特に後者の方法は接続用穴を充填することで基板面
積を有効に利用し、実装密度を高めることができるもの
である。このとき導電ペーストとしては、銀を含有する
銀ペーストが用いられていたが、高密度実装が進展する
と絶縁層が薄くなったり、配線同士が近接したりするな
どして、マイグレーションによる絶縁性の低下や回路間
の短絡が発生し易くなって、高密度実装化を図る上で問
題となっていたものである。
【0006】そこで最近では、耐マイグレーション性に
優れる銅ペーストを導電ペーストとして用いて、上記の
問題を解決することが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、銅ペー
ストは酸化し易いものであり、酸化銅が形成されると異
なる導体層間の導通抵抗が高くなり、スルーホールやビ
アホールの信頼性が低下するといった問題があった。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、異なる導体層間の導通抵抗信頼性に優れたフェノ
ール樹脂積層板及びその製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
フェノール樹脂積層板は、複数の導体層を有すると共
に、異なる導体層間が銅ペーストで接続されたフェノー
ル樹脂積層板において、フェノール樹脂組成物中に酸化
銅を還元させる有機成分が含有されて成ることを特徴と
するものである。
【0010】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、酸化銅を還元させる有機成分がアルデヒド類、蟻
酸、シュウ酸から選ばれるものであって、フェノール樹
脂組成物の固形分に対して0.5〜4質量%含有されて
成ることを特徴とするものである。
【0011】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、フェノール樹脂組成物中にキシレン樹脂が配合
されて成ることを特徴とするものである。
【0012】また本発明の請求項4に係るフェノール樹
脂積層板の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかに記
載のフェノール樹脂積層板を製造するにあたって、複数
の導体層を有すると共に、フェノール樹脂組成物中に酸
化銅を還元させる有機成分を含有するフェノール樹脂積
層基板を作製し、次にこのフェノール樹脂積層基板に接
続用穴を設け、さらにこの接続用穴の内部に銅ペースト
を充填して異なる導体層間を接続することを特徴とする
ものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0014】まず本発明において、フェノール類として
は、特に限定されるものではなく、フェノールそのもの
の他に例えば、クレゾール等のアルキルフェノール、ビ
スフェノール等のフェノール化合物を用いることができ
る。これらは1種を単独で用いたり、2種以上を混合し
て用いたりすることができる。
【0015】フェノール樹脂を調製するにあたっては、
まず桐油と上記のフェノール類とを反応させ、次いでア
ルカリ触媒存在下でこの反応物にホルムアルデヒドを加
え、レゾール化させることによって得ることができる。
その他には、まず桐油と上記のフェノール類とを反応さ
せ、次いで酸触媒存在下でこの反応物にホルムアルデヒ
ドを加えてノボラック化させ、さらにアルカリ触媒存在
下でレゾール化させることによって得ることができる。
レゾール化やノボラック化を行うときに用いるアルカリ
触媒や酸触媒としては、特に限定されるものではなく、
公知のものを用いることができる。
【0016】そして、本発明に係るフェノール樹脂積層
板の製造に用いられるフェノール樹脂組成物は、上記の
フェノール樹脂を主成分として、酸化銅を還元させる有
機成分を含有させることによって調製されるものであ
る。このように酸化銅を還元させる有機成分を含有させ
ておくと、後述するフェノール樹脂積層板において、異
なる導体層間の電気的な接続に用いられる銅ペーストの
酸化を防止することができ、導通抵抗の増加を抑えるこ
とができるものである。なお、上記のフェノール樹脂組
成物中には、必要に応じてエポキシ樹脂、アミノ樹脂、
リン酸エステル等を添加することができる。
【0017】ここで、酸化銅を還元させる有機成分とし
ては、アルデヒド類、蟻酸、シュウ酸から選ばれるもの
を用いることが好ましく、これらのうちの1種を単独で
用いたり、2種以上を混合して用いたりすることができ
る。ここに挙げた有機成分は特に酸化銅を還元させ易
く、前述した銅ペーストの酸化をより一層防止すること
ができ、異なる導体層間の導通抵抗の増加を抑えること
ができるものである。なお、上記のアルデヒド類として
は、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、パラアセトアルデヒド、ブチル
アルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等
を用いることができる。
【0018】また、上記のような酸化銅を還元させる有
機成分は、フェノール樹脂組成物の固形分に対して0.
5〜4質量%含有されていることが好ましい。このよう
な有機成分の含有率が0.5質量%未満であると、銅ペ
ーストの酸化を防止することが困難となるおそれがあ
り、逆に4質量%を超えると、耐熱性が低下するおそれ
があるものである。
【0019】また上記のフェノール樹脂組成物中には、
さらにキシレン樹脂を配合させることが好ましい。この
ようにしておくと、後述するフェノール樹脂積層板にお
いて、樹脂成分から生じる銅ペーストを酸化させる成分
(例えば、フェノール類等の樹脂の未反応成分)を減少
させることができ、酸化銅の生成を阻止し、導通抵抗の
増加をより一層抑えることができるものである。なお、
キシレン樹脂の配合量は、フェノール樹脂組成物全量に
対して5〜25質量%に設定することが好ましい。
【0020】上記のようにしてフェノール樹脂組成物を
得ることができるものであり、これを溶剤や水などで希
釈することによって樹脂ワニスとして調製することがで
きる。そして、この樹脂ワニスを用いてプリプレグを調
製するにあたっては、2段含浸法や1段含浸法を採用す
ることができるものである。
【0021】2段含浸法は、まず上記の樹脂ワニスを基
材に含浸し、乾燥機中で120〜160℃程度の温度範
囲で、0.2〜2分程度乾燥することによって、1次含
浸処理を施したプリプレグを調製するものである。その
後、得られたプリプレグに再度上記の樹脂ワニスを含浸
し、乾燥機中で140〜170℃程度の温度範囲で、
0.5〜5分程度乾燥することによって、2次含浸処理
を施したプリプレグ、すなわち半硬化状態(B−ステー
ジ)のプリプレグを調製することができるものである。
なお、2段含浸法にあっては、酸化銅を還元させる有機
成分は、少なくとも1次含浸用又は2次含浸用のフェノ
ール樹脂組成物に含有されていればよく、両方に含有さ
せることもできる。
【0022】1段含浸法は、上記のように含浸処理を2
段階に分けて行わず、樹脂ワニスを基材に一度だけ含浸
し、乾燥機中で140〜170℃程度の温度範囲で、
0.5〜7分程度乾燥することによって、半硬化状態
(B−ステージ)のプリプレグを調製するものである。
【0023】ここで基材としては、クラフト紙、リンタ
ー紙等のパルプ紙、これらのパルプ紙に無機物や有機物
を混入させた改質紙、ガラスクロス、ガラスペーパー、
ガラスマット等を用いることができる。またプリプレグ
は樹脂分の含有量が40〜60質量%になるように調製
するのが好ましい。
【0024】上記のようにして調製したプリプレグを所
要枚数重ね、必要に応じてこのものの片側若しくは両側
に金属箔を重ね、これを140〜180℃、8.8〜1
1.8MPa、30〜90分の条件で加熱加圧して積層
成形することによって、プリント配線板に加工するため
のフェノール樹脂積層基板を製造することができる。こ
の金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔
等を用いることができる。
【0025】そして、本発明に係るフェノール樹脂積層
板は、上記のようにして製造したフェノール樹脂積層基
板にサブトラクティブ法やアディティブ法などの公知の
方法によって回路を形成すると共に、ドリルやパンチン
グ加工によってスルーホールなどの接続用穴を設け、こ
の接続用穴の内部に銅ペーストをスクリーン印刷などに
よって充填させるものである。銅ペーストとしては、特
に限定されるものではなく、公知のものを用いることが
できる。その後、充填した銅ペーストを140〜180
℃、35〜75分の条件で硬化させることによって、フ
ェノール樹脂積層板を得ることができる。
【0026】また、内層回路板の片側若しくは両側に所
要枚数のプリプレグを重ねると共に、その外側に金属箔
を配置し、これを加熱加圧して積層成形することによっ
て、多層プリント配線板に加工するための多層積層基板
を製造することもできる。このようにして製造した多層
積層基板の外側の金属箔に上記と同様にして回路を形成
すると共に、ドリルやパンチング加工によってビアホー
ルなどの接続用穴を設け、この接続用穴の内部に銅ペー
ストをスクリーン印刷などによって充填させる。その
後、充填した銅ペーストを140〜180℃、35〜7
5分の条件で硬化させることによって、多層積層板を得
ることができるものである。
【0027】このようにして製造されるフェノール樹脂
積層板や多層積層板は、基材に含浸したフェノール樹脂
組成物中に酸化銅を還元させる有機成分が含有されてい
るため、銅ペーストをスルーホールやビアホールなどの
接続用穴に充填するときや、充填後、半田浴に浸漬する
などして電子部品を実装するときなどにおいて、銅ペー
スト中に酸化銅が生成したとしても上記の有機成分によ
ってこの酸化銅は即座に還元されて銅として再生される
ものである。また樹脂成分から銅ペーストを酸化させる
成分が生じて酸化銅が生成されたとしても、周囲に酸化
銅を還元させる有機成分が存在することとなるため、こ
れによって酸化銅は即座に還元されて銅として再生され
るものである。
【0028】そして、本発明に係るフェノール樹脂積層
板は、銅ペーストが電気伝導性を高く維持し、異なる導
体層間の導通が極めて良好となると共に、耐マイグレー
ション性を有することから、絶縁性が低下したり、回路
間の短絡が発生したりすることがなくなり、さらなる高
密度実装が可能となるものである。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (実施例1)フェノール100質量部、37%ホルマリ
ン70質量部を反応させて、レゾール型フェノール樹脂
Aを得た。またメラミン100質量部、37%ホルマリ
ン100質量部を反応させて、メラミン樹脂Bを得た。
この樹脂A50質量部と樹脂B50質量部とを混合し、
水とメタノール水溶液で希釈して固形分20質量%の1
次含浸用のフェノール樹脂組成物を調製し、質量120
g/m2のクラフト紙に含浸させ、135℃の乾燥機内
で30秒間処理し、1m2当たりの質量が160g/m2
の1次含浸したプリプレグを得た。
【0030】一方、フェノール100質量部、37%ホ
ルマリン80質量部、桐油30質量部を反応させた桐油
変性フェノール樹脂を得た。この桐油変性フェノール樹
脂100質量部にトリフェニルホスフェート10質量
部、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂20
質量部、パラホルムアルデヒド2.0質量部を添加した
後、メタノールで希釈して固形分60質量%の2次含浸
用のフェノール樹脂組成物を得た。この2次含浸用のフ
ェノール樹脂組成物を上記の1次含浸したプリプレグに
含浸し、155℃の乾燥機で100秒間乾燥して、1m
2当たりの質量が260g/m2である2次含浸したプリ
プレグを得た。
【0031】次いで、2次含浸したプリプレグを8枚重
ね、最上層及び最下層に厚さ0.035mmの銅箔を配
して、圧力9.8MPa、温度160℃で60分間加熱
加圧して厚さ1.6mmの銅張積層板を作製した。
【0032】作製した銅張積層板に回路パターンを印刷
した後、0.05mmφのスルーホールを形成し、銅ペ
ースト(タツタ電線社製「CD」)をスクリーン印刷に
より充填した。その後、充填した銅ペーストを160℃
の乾燥機で50分間加熱硬化させ、異なる導体層の回路
パターン間を銅ペーストで接続したフェノール樹脂積層
板を得た。 (実施例2)実施例1と同様にして1次含浸したプリプ
レグを得た。
【0033】一方、実施例1と同様にして得た桐油変性
フェノール樹脂100質量部にトリフェニルホスフェー
ト10質量部、テトラブロムビスフェノールA型エポキ
シ樹脂20質量部、蟻酸2質量部を添加して2次含浸用
のフェノール樹脂組成物を得た。この2次含浸用のフェ
ノール樹脂組成物を上記の1次含浸したプリプレグに含
浸し、実施例1と同様にして2次含浸したプリプレグを
得た。
【0034】次いで、2次含浸したプリプレグを8枚重
ね、最上層及び最下層に厚さ0.035mmの銅箔を配
して、実施例1と同様に加熱加圧して厚さ1.6mmの
銅張積層板を作製した。
【0035】作製した銅張積層板に回路パターンを印刷
した後、0.05mmφのスルーホールを形成し、銅ペ
ースト(タツタ電線社製「CD」)をスクリーン印刷に
より充填した。その後、実施例1と同様に銅ペーストを
加熱硬化させ、異なる導体層の回路パターン間を銅ペー
ストで接続したフェノール樹脂積層板を得た。 (実施例3)実施例1と同様にして1次含浸したプリプ
レグを得た。
【0036】一方、実施例1と同様にして得た桐油変性
フェノール樹脂100質量部にトリフェニルホスフェー
ト10質量部、テトラブロムビスフェノールA型エポキ
シ樹脂20質量部、蟻酸2質量部、キシレン樹脂10質
量部を添加して2次含浸用のフェノール樹脂組成物を得
た。この2次含浸用のフェノール樹脂組成物を上記の1
次含浸したプリプレグに含浸し、実施例1と同様にして
2次含浸したプリプレグを得た。
【0037】次いで、2次含浸したプリプレグを8枚重
ね、最上層及び最下層に厚さ0.035mmの銅箔を配
して、実施例1と同様に加熱加圧して厚さ1.6mmの
銅張積層板を作製した。
【0038】作製した銅張積層板に回路パターンを印刷
した後、0.05mmφのスルーホールを形成し、銅ペ
ースト(タツタ電線社製「CD」)をスクリーン印刷に
より充填した。その後、実施例1と同様に銅ペーストを
加熱硬化させ、異なる導体層の回路パターン間を銅ペー
ストで接続したフェノール樹脂積層板を得た。 (比較例1)実施例1と同様にして1次含浸したプリプ
レグを得た。なお、フェノール樹脂の調製時にホルマリ
ンを用いたが、このホルマリン中のホルムアルデヒド
は、フェノールやメラミンとは過不足無く反応して、酸
化銅を還元させる有機成分としては残存しなかった。
【0039】一方、実施例1と同様にして得た桐油変性
フェノール樹脂100質量部にトリフェニルホスフェー
ト10質量部、テトラブロムビスフェノールA型エポキ
シ樹脂20質量部を添加して2次含浸用のフェノール樹
脂組成物を得た。この2次含浸用のフェノール樹脂組成
物を上記の1次含浸したプリプレグに含浸し、実施例1
と同様にして2次含浸したプリプレグを得た。
【0040】次いで、2次含浸したプリプレグを8枚重
ね、最上層及び最下層に厚さ0.035mmの銅箔を配
して、実施例1と同様に加熱加圧して厚さ1.6mmの
銅張積層板を作製した。
【0041】作製した銅張積層板に回路パターンを印刷
した後、0.05mmφのスルーホールを形成し、銅ペ
ースト(タツタ電線社製「CD」)をスクリーン印刷に
より充填した。その後、実施例1と同様に銅ペーストを
加熱硬化させ、異なる導体層の回路パターン間を銅ペー
ストで接続したフェノール樹脂積層板を得た。
【0042】次に上記のようにして得られたフェノール
樹脂積層板について、スルーホール1穴あたりの抵抗を
測定することによって、導通抵抗を評価した。導通抵抗
の測定は、銅ペーストを硬化させたフェノール樹脂積層
板を半田浴に浸漬させる前、すわなち常態と、半田処理
(260℃、5秒間、ディップ2回)後のそれぞれにつ
いて行った。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1において、導通抵抗変化率とは、次式
に基づいて計算したものである。導通抵抗変化率(%)
=(半田処理後の導通抵抗/常態の導通抵抗−1)×1
00表1にみられるように、各実施例のものはいずれも
常態及び半田処理後の導通抵抗が小さく、電気伝導性が
良好であることが確認される。また実施例3のものにあ
っては、キシレン樹脂が配合されているため、導通抵抗
や導通抵抗変化率がさらに小さくなることが確認され
る。一方、比較例1のものは半田処理後の導通抵抗が常
態時の2倍になっており、電気伝導性が悪化しているこ
とが確認される。
【0045】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るフ
ェノール樹脂積層板は、複数の導体層を有すると共に、
異なる導体層間が銅ペーストで接続されたフェノール樹
脂積層板において、フェノール樹脂組成物中に酸化銅を
還元させる有機成分が含有されて成るので、銅ペースト
の酸化が防止されて異なる導体層間の導通抵抗の増加を
抑えることができると共に、常態時や半田処理後のいず
れであっても常に良好な電気伝導性を示すことができる
ものである。
【0046】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、酸化銅を還元させる有機成分がアルデヒド類、蟻
酸、シュウ酸から選ばれるものであって、フェノール樹
脂組成物の固形分に対して0.5〜4質量%含有されて
成るので、特に酸化銅を還元させ易く、銅ペーストの酸
化をより一層防止することができ、異なる導体層間の導
通抵抗の増加を抑えることができるものである。
【0047】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、フェノール樹脂組成物中にキシレン樹脂が配合
されて成るので、樹脂成分から生じる銅ペーストを酸化
させる成分を減少させて酸化銅の生成を阻止することが
でき、異なる導体層間の導通抵抗の増加をより一層抑え
ることができるものである。
【0048】また本発明の請求項4に係るフェノール樹
脂積層板の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかに記
載のフェノール樹脂積層板を製造するにあたって、複数
の導体層を有すると共に、フェノール樹脂組成物中に酸
化銅を還元させる有機成分を含有するフェノール樹脂積
層基板を作製し、次にこのフェノール樹脂積層基板に接
続用穴を設け、さらにこの接続用穴の内部に銅ペースト
を充填して異なる導体層間を接続するので、銅ペースト
の酸化が防止されて異なる導体層間の導通抵抗の増加を
抑えることができると共に、常態時や半田処理後のいず
れであっても常に良好な電気伝導性を示すフェノール樹
脂積層板を得ることができるものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/03 630 H05K 1/03 630B 1/11 1/11 N (72)発明者 辻本 雅哉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 豊田 陵子 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB17A AB33A AH02B AK33B AR00A BA02 CA30B DC12 DG10 DG10B DH01B EH313 EJ083 EJ333 EJ821 EJ863 GB43 JG01 JG01A 5E317 AA21 AA24 BB04 BB12 CC25 CD27 CD32 GG11 5E346 CC13 CC32 FF18 GG28 HH31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の導体層を有すると共に、異なる導
    体層間が銅ペーストで接続されたフェノール樹脂積層板
    において、フェノール樹脂組成物中に酸化銅を還元させ
    る有機成分が含有されて成ることを特徴とするフェノー
    ル樹脂積層板。
  2. 【請求項2】 酸化銅を還元させる有機成分がアルデヒ
    ド類、蟻酸、シュウ酸から選ばれるものであって、フェ
    ノール樹脂組成物の固形分に対して0.5〜4質量%含
    有されて成ることを特徴とする請求項1に記載のフェノ
    ール樹脂積層板。
  3. 【請求項3】 フェノール樹脂組成物中にキシレン樹脂
    が配合されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記
    載のフェノール樹脂積層板。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のフェ
    ノール樹脂積層板を製造するにあたって、複数の導体層
    を有すると共に、フェノール樹脂組成物中に酸化銅を還
    元させる有機成分を含有するフェノール樹脂積層基板を
    作製し、次にこのフェノール樹脂積層基板に接続用穴を
    設け、さらにこの接続用穴の内部に銅ペーストを充填し
    て異なる導体層間を接続することを特徴とするフェノー
    ル樹脂積層板の製造方法。
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