JP2001281930A - トナー用樹脂の製造方法 - Google Patents

トナー用樹脂の製造方法

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JP2001281930A
JP2001281930A JP2000097587A JP2000097587A JP2001281930A JP 2001281930 A JP2001281930 A JP 2001281930A JP 2000097587 A JP2000097587 A JP 2000097587A JP 2000097587 A JP2000097587 A JP 2000097587A JP 2001281930 A JP2001281930 A JP 2001281930A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、不純物が少なく効率的にトナー用
樹脂組成物を製造することができるトナー用樹脂組成物
の製造方法に関する。 【解決手段】 本発明のトナー用樹脂組成物の製造方法
は、ビニル系単量体を有機溶媒中でラジカル重合開始剤
の存在下でラジカル重合させるトナー用樹脂組成物の製
造方法であって、ラジカル重合温度が170℃以上であ
るとともに、上記ラジカル重合開始剤のうちの20モル
%以上が所定条件を満たすことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、副反応に伴う不純
物の生成が少なく所望の重量平均分子量を有するトナー
用樹脂を製造することができるトナー用樹脂の製造方法
に関する。
【0001】
【従来の技術】スチレン系単量体を主成分とした低重量
平均分子量のビニル系重合体は、電子写真のトナー用樹
脂として用いられ、トナーを加熱溶融させて紙上に定着
させる際、トナー用樹脂の熱流動性を向上させて定着性
を向上させる目的で用いられる。
【0002】上記低重量平均分子量のビニル系量重合体
はラジカル重合反応によって合成され、低重量平均分子
量のビニル系重合体の重合方法としては、例えば、ビニ
ル系単量体を有機溶媒中においてラジカル重合開始剤の
存在下で重合させる溶液重合法、ビニル系単量体とラジ
カル重合開始剤のみの存在下にラジカル重合反応を行な
う塊状重合法、有機溶媒中において或いは有機溶媒の非
存在下においてビニル系単量体をラジカル重合開始剤を
用いることなく熱重合反応によってラジカル重合させる
熱重合法等が挙げられる。
【0003】上記低重量平均分子量のビニル系重合体の
具体的な製造方法としては、例えば、特開昭61−11
4246号公報にはラジカル重合開始剤を多量に使用す
る方法が開示され、特開昭58−86558号公報には
連鎖移動剤等の分子量調整剤を添加する方法が開示さ
れ、これら製造方法の他にビニル系単量体の反応濃度を
低くする方法等が挙げられる。
【0004】しかしながら、上記特開昭61−1142
46号公報に記載の製造方法では、重合開始剤を多量に
用いることからラジカル重合開始剤の副反応に伴う不純
物やラジカル重合開始剤残渣が多くなって好ましくな
く、しかも、高価なラジカル重合開始剤を多量に用いる
ことから製造コストが上昇するといった問題があり、特
開昭58−86558号公報に記載の製造方法では、臭
気やオリゴマーの発生等の問題があり、しかも、上記と
同様に高価な連鎖移動剤を用いることから製造コストが
上昇するといった問題があり、ビニル系単量体の反応濃
度を低くすると一度の製造工程で得られる低重量平均分
子量のビニル系重合体の生産効率が低下し好ましくない
といった問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、不純物が少
なく効率的にトナー用樹脂を製造することができるトナ
ー用樹脂の製造方法に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のトナー用樹脂の
製造方法は、ビニル系単量体を有機溶媒中でラジカル重
合開始剤の存在下でラジカル重合させるトナー用樹脂の
製造方法であって、ラジカル重合温度が170℃以上で
あるとともに、上記ラジカル重合開始剤のうちの20モ
ル%以上が下記式2を満たすことを特徴とする。
【0007】
【式2】
【0008】上記ビニル系単量体としては、従来からト
ナー用樹脂に用いられているものであれば、特に限定さ
れるものではなく、例えば、スチレン、o−メチルスチ
レン、m−メチルスチレン、p−スチレン、α−メチル
スチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、p−n−ブチルスチレン、p−ter−ブチルス
チレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル
スチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシス
チレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、
3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体;メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリル酸のアルキルエステル;2−クロロエチル(メ
タ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メ
チル−α−クロロ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
ビスグリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールメタク
リレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、メタクリロキシエチルホスフェート等の(メタ)ア
クリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、α−エチル
(メタ)アクリル酸等のα−アルキル誘導体、クロトン
酸等のβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シ
トラコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカ
ルボン酸並びにそのモノエステル誘導体及びそのジエス
テル誘導体、コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエ
ステル、コハク酸モノメタクリロイルオキシエチルエス
テル、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド等が
挙げられ、スチレン系単量体を単独で或いはスチレン系
単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを併用するのが
好ましい。なお、上記(メタ)アクリル酸エステルの中
では、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好まし
い。
【0009】上記ラジカル重合開始剤としては、ラジカ
ル重合温度に応じて上記式2の条件を満たす10時間半
減期温度を有するラジカル重合開始剤を適宜選択して用
いればよく、このようなラジカル重合開始剤としては、
例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘ
キサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサ
イド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)バレラート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサ
イド類;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオ
キサイド類;t−ブチルパーオキソアセテート、t−ブ
チルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ
アセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパ
ーオキシエステル類などがあげられ、その他にも、ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,
3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロ
パーオキサイド等のR−O−OH(Rは炭素数6以上の
脂肪族又は芳香族炭化水素)で示される化合物等の過酸
化物系ラジカル重合開始剤、1,1’−アゾビス(シク
ロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シア
ノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’
−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロ
キシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミ
ド}、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−
2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス
(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,
2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロ
ピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2、4,4−ト
リメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(1−アセト
キシ−1−フェニルエタン)等のアゾ系ラジカル重合開
始剤等が挙げられ、R−O−OH(Rは炭素数6以上の
脂肪族又は芳香族炭化水素)で示される化合物が好まし
い。
【0010】なお、上記R−O−OHで示されるラジカ
ル重合開始剤において、R基は炭素数6以上の脂肪族又
は芳香族炭化水素に限定される。これは、R基の炭素数
が5以下であると、溶液重合時における有機溶媒やビニ
ル系単量体との溶解性が低下することがあるからであ
る。
【0011】上記式2は、ラジカル重合開始剤の10時
間半減期温度とラジカル重合温度との差が100℃以下
であることを意味する。このように、ラジカル重合開始
剤の10時間半減期温度とラジカル重合温度との差を1
00℃以下とするのは、ラジカル重合開始剤の10時間
半減期温度がラジカル重合温度より100℃を越えて低
い場合は、反応時のラジカル発生速度が速すぎて瞬時に
多量の開始剤ラジカルが発生するためオリゴマー成分が
多量に発生したり、ラジカル重合開始剤効率が低下する
ためであり、逆に、ラジカル重合開始剤の10時間半減
期温度がラジカル重合温度より100℃を越えて高い場
合は、消費されないで残留するラジカル重合開始剤が増
え、反応終了後も樹脂が加熱状態にさらされた時にラジ
カル種が発生し続けて樹脂の劣化を招くといった問題が
生じるからである。
【0012】上記ラジカル重合開始剤の使用量は反応温
度やラジカル重合開始剤中のラジカル発生機能のある官
能基の個数、目的とするビニル系重合体の分子量によっ
て決定される。一般的に、本発明におけるビニル系低分
子量重合体の重量平均分子量は2,000〜100,0
00が好ましい。
【0013】本発明において使用する全ラジカル重合開
始剤の量(上記式2の条件を満たさないラジカル重合開
始剤も含む)は、上記ラジカル重合開始剤から発生する
ラジカルの量が多くなるほど低い分子量になるので、上
記範囲の重量平均分子量を有するビニル系低分子量重合
体を得るには、ビニル系単量体1モルに対してラジカル
発生機能のある官能基が全て解離した場合の発生ラジカ
ル量が0.001〜0.5モルとなるよう調整すること
が好ましい。
【0014】ビニル系単量体1モルに対する発生ラジカ
ル量が0.001モル未満の場合は、得られるビニル系
重合体の分子量が大きくなりすぎて好ましくない。又、
ビニル系単量体1モルに対する発生ラジカル量が0.5
モルを越える場合は、得られるビニル系重合体中に多量
の開始剤残渣が不純物として存在したり、副反応が起こ
りやすくなるとともに、コスト面においても不利にな
る。
【0015】又、上記式2の条件を満たすラジカル重合
開始剤の他に上記式2の条件を満たさないラジカル重合
開始剤を併用してもよく、このような場合は、用いられ
るラジカル重合開始剤全体中、上記式2を満たすラジカ
ル重合開始剤量が20モル%以上となるように調整する
必要がある。
【0016】これは、上記式2を満たすラジカル重合開
始剤量がラジカル重合開始剤全体中において、20モル
%未満のときであって、ラジカル重合開始剤の10時間
半減期温度が反応温度より100℃を越えて低い場合に
は、反応時のラジカル発生速度が速すぎて瞬時に多量の
開始剤ラジカルが発生するためオリゴマー成分が多量に
発生したり、ラジカル重合開始剤効率が低下するために
好ましくなく、逆に、20モル%未満のときであって、
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が反応温度よ
り100℃を越えて高い場合には、消費されないで残留
するラジカル重合開始剤が増え、反応終了後も樹脂が加
熱状態にさらされた時にラジカル種が発生し続けて樹脂
の劣化につながるといった問題が発生するからである。
【0017】上記ビニル系単量体から得られる低重量平
均分子量のビニル系重合体には樹脂強度を向上させる目
的で架橋構造が付与されてもよく、ビニル系重合体に架
橋構造を付与する場合には架橋剤が添加され、このよう
な架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタン
ジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官
能の架橋剤;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、オリゴエステル(メタ)アクリレート、2,2-ビス
(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパ
ン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ト
リアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテー
ト、ジアリールクロレンデート等の多官能の架橋剤等が
挙げられる。
【0018】上記架橋剤の添加量は、多いと、得られる
トナー用樹脂の熱流動性が低下し、又、少ないと、樹脂
強度を向上させようとする目的が達成されないので、ビ
ニル系単量体1モルに対して0.0001〜0.01モ
ルが好ましい。
【0019】本発明では、上記ビニル系単量体を有機溶
媒中で特定条件を満たすラジカル重合開始剤の存在下1
70℃以上のラジカル重合温度にてラジカル重合させて
低重量平均分子量のビニル系重合体からなるトナー用樹
脂を製造する。
【0020】上記ラジカル重合の反応温度、即ち、ラジ
カル重合温度は170℃以上に限定され、ビニル系単量
体の劣化反応が生ずるおそれがあることから170〜2
10℃が好ましい。このようにラジカル重合温度を17
0℃以上に調整することによって、比較的少ないラジカ
ル重合開始剤の量で低重量平均分子量のビニル系重合体
が得られ、特に、ビニル系単量体としてスチレンを用い
る場合にはスチレンの熱重合速度が増大して低重量平均
分子量の重合体を得ることができ、しかも、ラジカル重
合開始剤の添加量を少量とすることにより、得られるト
ナー用樹脂中に含まれるラジカル重合開始剤の残渣や副
反応による副生成物の含有量を抑えることができる。
【0021】又、上記有機溶媒としては、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水
素系有機溶剤;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等
の脂肪族炭化水素系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;エ
タノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコー
ル系有機溶剤、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;ジメチルスル
ホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げら
れ、上記有機溶媒の中で常圧下の沸点が170℃未満の
ものを使用する場合には反応系を加圧状態に保持して用
いられる。
【0022】上記ビニル系単量体をラジカル重合させた
後に加熱又は減圧によって有機溶媒を除去する必要があ
るが、この時、有機溶媒の常圧下における沸点が高い
と、得られたトナー用樹脂中から有機溶媒を完全に除去
することができずに得られるトナー用樹脂の品質が劣化
することがあるので、常圧下における沸点が150℃以
下の有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0023】又、上記ビニル系単量体や上記ラジカル重
合開始剤、必要に応じて添加される架橋剤等の反応系へ
の供給方法や供給条件については、特に限定されず、例
えば、有機溶媒中にビニル系単量体とラジカル重合開
始剤とを均一に溶解させたものを連続的に反応系に供給
する一方、得られたビニル系重合体を連続的に排出する
方法、ビニル系単量体とラジカル重合開始剤とを有機
溶媒中に溶解させたものを反応系に所定量づつ滴下、供
給するバッチ方式等が挙げられる。なお、後者のバッチ
方式を用いる場合には、ラジカル重合開始剤を有機溶媒
中に溶解させたものとビニル系単量体とを別々に反応系
に滴下するようにしてもよい。
【0024】上記の如くして得られたビニル系重合体、
即ち、トナー用樹脂の重量平均分子量は、高いと、得ら
れるトナー用樹脂が固くなりすぎて粉砕が困難になった
り、或いは、低温における加熱時の流動性が低下するこ
とがあり、又、低いと、得られるトナー用樹脂中のオリ
ゴマー成分が多くなって該トナー用樹脂のガラス転移温
度Tgが低くなり、トナー用樹脂の表面に粘着感が発現
して粉体として取り扱う場合にブロッキングが生じたり
粉体流動性が低下して取扱性が低下したりすることがあ
るので、2,000〜100,000が好ましい。
【0025】なお、上記トナー用樹脂の重量平均分子量
は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーによって
測定されたものをいい、具体的には、テトラヒドロフラ
ン(THF)をキャリヤー溶媒とし、校正試料として標
準ポリスチレン換算することによって測定されたものを
いう。
【0026】そして、上記トナー用樹脂を結着樹脂とし
て、これに離型剤、着色剤、電荷制御剤、必要に応じ
て、磁性粉等を分散混合した上で溶融混練し粉砕してト
ナーを製造することができる。上記離型剤としては、従
来からトナーで用いられているものであればよく、例え
ば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等
のオレフィン系ワックスの他に、パラフィン系ワックス
等が挙げられる。
【0027】又、上記着色剤としては、従来からトナー
で用いられているものであればよく、例えば、カーボン
ブラック、アニリンブラック、フタロシアニンブルー、
キノリンイエロー、ランプブラック、ローダミン−B、
キナクリドン等が挙げられ、通常、上記トナー用樹脂1
00重量部に対して1〜10重量部添加される。
【0028】上記電荷制御剤としては、正帯電用電荷制
御剤と負帯電用電荷制御剤とがあり、正帯電用電荷制御
剤としては、例えば、ニグロシン染料、アンモニウム
塩、ピリジニウム塩、アジン塩等が挙げられ、又、負帯
電用電荷制御剤としては、例えば、クロム錯体、鉄錯体
等が挙げられ、通常、上記トナー用樹脂100重量部に
対して0.1〜10重量部添加される。
【0029】上記トナー用樹脂が乾式現像方式の電子写
真のトナーに用いられる場合には、得られるトナーの耐
ブロッキング性を向上させるために、重量平均分子量が
100万〜400万である高重量平均分子量のビニル系
重合体を添加してもよい。
【0030】又、上記高重量平均分子量のビニル系重合
体は、上述したビニル系単量体を汎用の重合方法により
重合させて製造することができる。なお、上記汎用の重
合方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸
濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。
【0031】上記低重量平均分子量のビニル系重合体と
上記高重量平均分子量のビニル系重合体とを混合する方
法としては、両者が均一に混合されれば、特に限定され
ず、例えば、低重量平均分子量のビニル系重合体と高
重量平均分子量のビニル系重合体とを別々に製造し、こ
れらを押出機、ロールミル等の汎用の溶融混練手段に供
給して両者を混合する方法、低重量平均分子量のビニ
ル系重合体と高重量平均分子量のビニル系重合体とを両
者が溶解可能なトルエン等の有機溶媒に溶解させて混合
する方法、低重量平均分子量のビニル系重合体の原料
となるビニル系単量体をトルエン等の有機溶媒中に溶解
させて、このビニル系単量体をラジカル重合させて低重
量平均分子量のビニル系重合体を製造した後、この反応
系に別途製造した高重量平均分子量のビニル系重合体を
添加して、低重量平均分子量のビニル系重合体と高重量
平均分子量のビニル系重合体とを混合する方法等が挙げ
られ、低重量平均分子量のビニル系重合体と高重量平均
分子量のビニル系重合体とをより均一に混合することが
できることから上記の方法が好ましく、上記の方
法がより好ましい。
【0032】又、上記の如く、高重量平均分子量のビニ
ル系重合体を添加する場合には、得られるトナー用樹脂
のガラス転移温度Tgやフロー軟化点Tfが後述する範
囲内となるように高重量平均分子量のビニル系重合体の
添加量を調整することが好ましく、具体的には、低重量
平均分子量のビニル系重合体100重量部に対して5〜
100重量部が好ましい。
【0033】即ち、上記トナー用樹脂のガラス転移温度
Tgは、低いと、トナーの保存性が低下することがある
ので、50℃以上となるように高重量平均分子量のビニ
ル系重合体の添加量を調整することが好ましく、又、上
記トナー用樹脂のフロー軟化点Tfは、高いと、トナー
の定着性が低下することがあるので、145℃以下とな
るように高重量平均分子量のビニル系重合体の添加量を
調整することが好ましい。
【0034】なお、上記トナー用樹脂のガラス転移温度
は、JIS K7121の9.3「ガラス転移温度の求
め方」に記載されている中間点ガラス転移温度(Tm
g)であって同法に準拠して測定される値であり、又、
上記トナー用樹脂のフロー軟化点は、図1に示された解
析用チャートのh/2に相当するフロー曲線上の点Tの
温度を読み取って求められる値である。
【0035】
【実施例】(実施例1〜3、比較例1〜3)ステンレス
製オートクレーブ反応器に表1に示した所定量のキシレ
ンを投入した上で上記オートクレーブ反応器内を窒素ガ
スにて置換し表1に示した圧力に加圧した後、表1に示
した重合温度に加温してキシレンを還流させた状態に保
持した。
【0036】しかる後、上記反応器内に表1に示した所
定量のスチレン及びアクリル酸n−ブチルからなる溶液
中に表1に示した所定量のラジカル重合開始剤を均一に
溶解させた混合溶液を2時間かけて滴下した。上記混合
溶液の滴下終了後、キシレンを還流させた状態を保持し
つつ更に30分間反応させた。得られた低重量平均分子
量のビニル系重合体の重量平均分子量を下記の方法で測
定し、その結果を表1に示した。
【0037】一方、スチレン80重量部とアクリル酸n
−ブチル20重量部とを懸濁重合により重合させて重量
平均分子量600,000の高重量平均分子量のビニル
系重合体を得た。そして、この高重量平均分子量のビニ
ル系重合体30重量部をキシレン60重量部に溶解さ
せ、この溶液を上記反応器内に2時間かけて均一に混合
した。
【0038】次に、上記反応器内の温度を180℃に保
持しつつ該反応器内の圧力を徐々に大気圧まで低下させ
てキシレンを気化させ除去した後、更に、1330Pa
以下に減圧して残留キシレンを完全に気化させて除去
し、トナー用樹脂を得た。
【0039】得られたトナー用樹脂における低重量平均
分子量のビニル系重合体の重量平均分子量、微量不純物
量、ガラス転移温度及びフロー軟化点を下記に示した方
法で測定し、その結果を表1に示した。
【0040】(重量平均分子量)高重量平均分子量のビ
ニル系重合体を添加する前の低重量平均分子量のビニル
系重合体をテトラヒドロフランに該ビニル系重合体濃度
が0.2重量%となるように調整しつつ溶解させた後、
0.45μmのフィルターで濾過してゲルパーミネーシ
ョンクロマトグラフィーの測定試料を作製した。
【0041】ゲルパーミネーションクロマトグラフィー
の装置は日本ミリポアリミテッド社製の「HTR−C」
を、カラムとしては昭和電工社製の「KF−800P」
1本、「KF−806M」2本、「KF−802.5」
1本を直列につないで使用した。又、キャリヤー溶媒と
してはテトラヒドロフランを用い、測定温度は40℃、
校正試料として標準ポリスチレンを使用した。
【0042】(微量不純物量の測定)ラジカル重合開始
剤の分解副反応にともなう不純物として、1,1,3,
3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドについ
ては、1,1,3,3−テトラメチルブチルアルコー
ル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルについては
テトラメチルサクシノニトリル、クメンハイドロパーオ
キサイドについては2−フェニル−2−プロパノールの
定量を行った。
【0043】即ち、柳本製作所株式会社製のガスクロマ
トグラフ「G−2800」を用い、充填剤が充填された
1mのカラムを温度100℃に15分間保持した後、1
0℃/分の割合で200℃まで昇温し、200℃に保持
した状態で測定した。使用したカラムの充填剤としては
ポリエチレングリコール20M、20%(柳本製作所株
式会社製)を用い、サンプル調製は高重量平均分子量の
ビニル系重合体を添加する前の低重量平均分子量のビニ
ル系重合体を脱溶剤化した上でN,N−ジメチルホルム
アミド(DMF)を溶媒として10重量%の濃度に調整
し、このサンプル6.0μlをシリンジで注入した。定
量に当たっては、検量線測定用サンプルを3点測定し最
小二乗法にて検量線を作成し定量した。
【0044】(フロー軟化点Tf)高化式フローテスタ
ー(島津製作所製 商品名「CFT−500D」)を用
いて、荷重:20Kg、ダイ:1mmφ×1mm、昇
温:3℃/分の条件にて測定した。Tfの評価は、図1
に示された解析用チャートのh/2に相当するフロー曲
線上の点Tの温度を読みとって求めた。
【0045】次に、上記の如くして得られたトナー用樹
脂を用いて下記の要領でトナーを作製し、トナーの保存
性を下記の方法で測定した。
【0046】(トナーの作成)上記で得られたトナー用
樹脂100重量部にカーボンブラック(三菱化学工業社
製 商品名「カーボンブラックMA−100」)6.5
重量部、ワックス(三洋化成工業社製 商品名「ビスコ
ール660P」)4重量部及び電荷制御剤(保土谷化学
工業社製 商品名「スピロンブラックTRH」)1.5
重量部を添加混合して更に150℃で5分間溶融混練し
た後、冷却、粗粉砕し、続いて、ジェットミルで微粉砕
して粒子径約10μmのトナー粒子とし、このトナー粒
子に疎水性シリカ(日本アエロジル社製 商品名「アエ
ロジルR972」)0.3重量%を添加混合してトナー
を作成した。
【0047】(保存性)上記の如くして得られたトナー
20gを内容積150mlのボトルに充填、密栓して5
0℃の恒温槽中に48時間放置した後、トナーのケーキ
ング状態(固まりの発生状態)目視観察し、下記基準に
より保存性を判定した。 ◎ 固まりの発生は全く認められなかった ○ 固まりの発生が少し認められたが、揺すると容易
に崩れた。 △ 固まりの発生がかなり認められた × 固まりの発生が大量に認められた
【0048】
【表1】
【0049】上記評価結果から明らかなように、全ての
サンプルの低分子量重合体の重量平均分子量が約5,0
00で同等のものであるにもかかわらず、本発明の製造
方法によって得られたトナー用樹脂はそのガラス転移温
度Tg及びフロー軟化点Tfが高くトナーの保存性が良
好である。これは、本発明の製造方法によって得られる
低分子量重合体中に含まれるオリゴマー成分が少ないた
めであると考えられる。又、本発明の製造方法では使用
するラジカル重合開始剤の量が少ないために、得られる
トナー用樹脂中に含まれる不純物が少なく、トナー化時
の画像濃度低下等の画像特性に対する悪影響が生じにく
いと考えられる。更に、高価なラジカル重合開始剤を多
量に使用する必要がないので生産コストの面でも非常に
有利である。
【0050】
【発明の効果】本発明のトナー用樹脂の製造方法によれ
ば、不純物の少ない低重量平均分子量のビニル系重合体
からなるトナー用樹脂を得ることができ、このトナー用
樹脂を用いて得られたトナーは優れた画像特性を有す
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体を有機溶媒中でラジカル
    重合開始剤の存在下でラジカル重合させるトナー用樹脂
    組成物の製造方法であって、ラジカル重合温度が170
    ℃以上であるとともに、上記ラジカル重合開始剤のうち
    の20モル%以上が下記式1を満たすことを特徴とする
    トナー用樹脂の製造方法。 【式1】
  2. 【請求項2】 化学式R−O−OH(Rは炭素数6以上
    の脂肪族又は芳香族炭化水素)で示されるラジカル重合
    開始剤を用いることを特徴とする請求項1に記載のトナ
    ー用樹脂の製造方法。
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