JP2001089504A - 低分子量重合体の製造方法、低分子量重合体、トナーの製造方法及びトナー - Google Patents

低分子量重合体の製造方法、低分子量重合体、トナーの製造方法及びトナー

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JP2001089504A
JP2001089504A JP26602299A JP26602299A JP2001089504A JP 2001089504 A JP2001089504 A JP 2001089504A JP 26602299 A JP26602299 A JP 26602299A JP 26602299 A JP26602299 A JP 26602299A JP 2001089504 A JP2001089504 A JP 2001089504A
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weight polymer
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toner
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JP26602299A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Oguchi
善之 大口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 純度の高い低分子量重合体を安価に、かつ、
効率的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 スチレン系単量体単独を単量体原料とす
るか、又は、主成分のスチレン系単量体と(メタ)アク
リル酸エステル系単量体及び/又はその他のビニル系単
量体とを単量体原料とし、重合反応系の系中に、上記単
量体原料とラジカル重合開始剤との全量又は一部を投入
することにより低分子量重合体を製造する方法であっ
て、投入時間Ta と非投入時間Tnaが下記の式(1)を
満足する条件となるように、上記ラジカル重合開始剤の
全投入量を複数回に分割して投入する低分子量重合体の
製造方法。 Ta <tp <Tna・・・(1) (式中、tp は、重合反応系の温度pにおけるラジカル
重合開始剤の半減期)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真用トナー用樹
脂等に使用される低分子量重合体の製造方法、低分子量
重合体、トナーの製造方法及びトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系の単量体を主原料とした低分
子量重合体は、例えば、電子写真トナー用のバインダー
樹脂等として使用されており、トナーを加熱溶融させて
記録紙等に定着させる際のバインダー樹脂の熱流動性を
高め、その定着性を向上させるという機能を有する。
【0003】低分子量重合体は、通常のラジカル重合反
応によって合成される。このようなラジカル重合反応に
よって低分子量重合体を製造する方法としては、例え
ば、有機溶剤中において単量体原料を重合開始剤の存在
下で重合させる溶液重合法、単量体と重合開始剤のみの
存在下に重合反応を行うバルク重合法、有機溶剤の存在
又は非存在下に、重合開始剤を使用せず、スチレン単量
体の熱重合反応によって重合させる熱重合法等が挙げら
れる。
【0004】これらの重合法によって得られる重合体の
分子量を小さくし、熱溶融時の流動性調整機能を有する
樹脂を得る方法としては、例えば、特開昭61−114
246号公報に開示されているような、重合開始剤を多
量に使用する方法、特開昭58−86558号公報に開
示されるような、連鎖移動剤などの分子量調整剤を添加
する方法、反応系の単量体濃度を低くする方法等が挙げ
られる。
【0005】しかし、重合開始剤を多量に用いた場合
は、重合開始剤の副反応に伴う不純物や重合開始剤残査
の製品への混入が多くなって好ましくなく、また、重合
開始剤は、一般に他の使用原料に比べて高価なものであ
るために原料コストが上昇してしまうという問題があっ
た。
【0006】連鎖移動剤を用いた場合には、臭気やオリ
ゴマーの発生等の問題があり、さらに、連鎖移動剤は、
重合開始剤と同様に高価であるためコストの上昇を招
き、好ましくない。
【0007】特開平1−214873号公報に示されて
いるスチレン熱重合の手法は、重合開始剤を使用しない
方法であり、不純物混入等の問題は克服されるが、一方
で、オリゴマーと高分子量物との生成が避けられず、得
られる樹脂の分子量を精密にコントロールすることが困
難であるという問題があった。
【0008】そこで、得られる樹脂の分子量をコントロ
ールするために単量体濃度を下げ、多量の有機溶剤の共
存下で反応させる方法をとることもできるが、この場合
には、一工程で得られる樹脂量が少なくなり生産効率が
著しく低下してしまうという問題が発生してしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、純度の高い低分子量重合体を安価に、かつ、効率的
に製造する方法、及び、該方法により製造された低分子
量重合体、該低分子量重合体を用いたトナーの製造方法
及びトナーを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、スチレン系単
量体単独を単量体原料とするか、又は、主成分のスチレ
ン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び
/又はその他のビニル系単量体とを単量体原料とし、重
合反応系の系中に、前記単量体原料とラジカル重合開始
剤との全量又は一部を投入することにより低分子量重合
体を製造する方法であって、投入時間Ta と非投入時間
naが下記の式(1)を満足する条件となるように、前
記ラジカル重合開始剤の全量を複数回に分割して投入す
ることを特徴とする低分子量重合体の製造方法である。 Ta <tp <Tna・・・(1) (式中、tp は、重合反応系の温度pにおけるラジカル
重合開始剤の半減期)
【0011】本発明では、スチレン系単量体単独を単量
体原料とするか、又は、主成分のスチレン系単量体と
(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び/又はその他
のビニル系単量体とを単量体原料とする。
【0012】本発明に用いられるスチレン系単量体とし
ては特に限定されるものではないが、例えば、スチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレ
ン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレ
ン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレ
ン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルスチ
レン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、
p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等が挙
げられる。これらのなかでは、スチレンが好ましい。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0013】また、本発明で用いられる(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体としては特に限定されるものでは
ないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ド
デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエ
ステル;2−クロロエチル(メタ)アクリレート、フェ
ニル(メタ)アクリレート、メチル−α−クロル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、ビスグリシジルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールメタクリレート、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、メタクリロキシエチルホス
フェート等が挙げられる。これらのなかでは、メチルメ
タクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましい。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0014】また、本発明で用いられるその他のビニル
系単量体としては特に限定されるものではないが、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル
酸、クロトン酸等のアクリル酸、これらのα−アルキル
誘導体又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン
酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン
酸、これらのモノ又はジエステル誘導体;コハク酸モノ
アクリロイルオキシエチルエステル、アリルアルコー
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
アミド;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミ
ド等のマレイミド類;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニ
ル等の脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニル、エチレン等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0015】本発明の製造方法により得られる低分子量
重合体は、架橋構造をとっていてもよい。そのため、そ
の他のビニル系単量体として、架橋剤を用いることがで
きる。上記架橋剤としては特に限定されるものではない
が、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(#200、#400、#600)、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート等の2官能の架橋剤;ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロー
ルメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル
(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロ
キシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレ
ート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレ
ンデート等の多官能の架橋剤等が挙げられる。
【0016】主成分のスチレン系単量体100モルに対
する(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び、その
他のビニル系単量体との配合比は、0〜900モルであ
ることが好ましい。
【0017】本発明では、重合反応系の系中に、上記単
量体原料とラジカル重合開始剤との全量又は一部を投入
することにより、重合反応を行う。
【0018】上記単量体原料の重合反応は、有機溶媒中
において上記単量体原料をラジカル重合開始剤の存在下
で重合させる溶液重合法や、上記単量体原料とラジカル
重合開始剤のみの存在下に重合反応を行うバルク重合法
によって行われることが好ましい。
【0019】上記溶液重合法において用いられる有機溶
剤としては特に限定されないが、例えば、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水
素系有機溶剤;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等
の脂肪族炭化水素系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;エ
タノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコー
ル系有機溶剤;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;ジメチルスル
ホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ
る。
【0020】上記溶液重合法を用いる場合の有機溶剤の
使用量は、単量体100重量部に対して5〜500重量
部であることが好ましい。
【0021】上記単量体原料の重合に用いられるラジカ
ル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化
物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤等が使用される。
【0022】上記過酸化物系重合開始剤としては特に限
定されず、例えば,メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトア
セテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサ
イド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)バレラート等のパーオキシケタール類;t−ブチル
ハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、
p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパー
オキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブ
チルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等
のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイ
ド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキ
サイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロ
ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド
類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n
−プロピルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキ
シカーボネート等のパーオキシカーボネート類;t−ブ
チルパーアセテート、t−ブチルパーオキシピバレー
ト、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クミルパーオ
キシオクトエート等のパーオキシエステル類;アセチル
シクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート等が挙げら
れる。
【0023】本発明においては、バッチ方式により単量
体原料のラジカル重合反応を行い、加熱下の反応容器に
上記単量体原料とラジカル重合開始剤の全量又は一部を
投入する。
【0024】このうち、ラジカル重合開始剤の投入は、
投入時間Ta と非投入時間Tnaが下記の式(1)を満足
する条件となるように、上記ラジカル重合開始剤の全投
入量を複数回に分割して行う。 Ta <tp <Tna・・・(1) なお、tp は、重合反応系の温度pにおけるラジカル重
合開始剤の半減期を表す。
【0025】このような条件でラジカル重合開始剤を投
入することによって、各投入サイクルの初期の開始剤ラ
ジカルの発生量を大きくし、生成する低分子量重合体の
分子量を小さくすることができるため、従来のように多
量のラジカル重合開始剤を使用しなくとも、目的の低分
子量重合体を得ることができる。
【0026】本発明のラジカル重合開始剤の投入サイク
ルのうち投入時間Ta の条件は、Ta<tp であるが、
好ましくはTa <(tp /2)である。Ta が半減期t
p 以上に長い場合には、投入中に順次解裂して発生する
開始剤ラジカルの量が無視できないため、一気に開始剤
ラジカルを多量に発生させて単位時間当たりの開始剤ラ
ジカルの発生量を大きくすることができず、多量の高分
子量重合体が生成してしまう。
【0027】一方、ラジカル重合開始剤の供給を停止し
ている非投入時間Tnaの条件は、Tna>tp であるが、
好ましくはTna>2tp である。Tnaがtp 以下の長さ
であると、ラジカル重合開始剤の供給を停止している間
にも、無視できない量の開始剤ラジカルが漸次発生し続
け、この間に供給される単量体原料の重合反応が進行し
続け、次の投入サイクルが始まるときには既に単量体原
料が殆ど残存していない状態となる。このような状態に
なった場合には、次の投入サイクルにおいて投入される
ラジカル重合開始剤によって、大量の低分子量重合体を
生成させることができない。
【0028】ラジカル重合開始剤の使用量はラジカル重
合開始剤中のラジカル発生機能のある官能基の個数、目
的とする低分子量重合体の分子量によって決定される。
本発明では、単量体原料1モルに対する、ラジカル重合
開始剤の投入時間Ta と非投入時間Tnaとの合計時間T
m の間に供給されるラジカル重合開始剤の投入量は、
0.001〜0.5モルの開始剤ラジカルを与える量で
あることが好ましい。
【0029】単量体原料1モルに対するラジカル重合開
始剤の投入量が0.001モル未満の開始剤ラジカルを
与える量である場合には、得られる低分子量重合体の分
子量が高くなりすぎることがある。
【0030】一方、ラジカル重合開始剤の投入量が0.
5モルを超える場合には、得られる低分子量重合体中に
多量の開始剤残査が不純物として混入したり、副反応が
起こりやすくなって多種の不純物が混入してしまう。ま
た、この場合には高価なラジカル重合開始剤を多量に使
用するためコスト面においても不利である。
【0031】ラジカル重合開始剤を分割して投入する際
の投入時間Ta 、非投入時間Tna、これらの合計時間T
m は、それぞれのサイクル(T1 、T2 、・・・)にお
いて異なっていてもよく、同じあってもよいが、一回の
投入サイクルにおいて上記式(1)の時間条件を満たし
ている必要がある。また、各回の使用量も特に限定され
るものではなく、それぞれ異なってもよい。使用するラ
ジカル重合開始剤量と得られる低分子量重合体の分子量
との関係は、ラジカル重合開始剤の使用量が多いほど低
い分子量になる。
【0032】本発明において、ラジカル重合反応の温度
は使用するラジカル重合開始剤の活性化温度や溶液重合
法において使用する有機溶剤の沸点を考慮して決定され
るが、目的とする低分子量重合体を得るためには、反応
温度が高い方が有利であり、50〜250℃が好まし
い。また、使用する有機溶剤の常圧沸点よりも高い温度
で反応しようとする場合は、必要に応じて加圧重合器を
用いて大気圧以上の圧力下で重合反応を行ってもよい。
【0033】本発明では、上記ラジカル重合反応の反応
温度pは、使用するラジカル重合開始剤の半減期tp
0.5時間以下となる温度であることが好ましい。半減
期tp が0.5時間を超える温度では、投入直後に発生
する開始剤ラジカルの濃度が充分に高くならないため、
低分子量重合体を効率的に得ることが困難になる。より
好ましくは0.2時間以下である。
【0034】上記条件に適合する一例を挙げると、例え
ばラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド
を使用する場合は半減期が0.5時間以下となる温度は
約98℃以上であるから、98℃以上の温度で反応を行
う。またこの反応をトルエンの還流下112℃で行う場
合は、ベンゾイルパーオキサイドの112℃における半
減期t112 は、0.1時間であるから、ラジカル重合開
始剤の投入サイクルの条件として投入時間Ta は0.1
時間未満で行い、一方、非投入時間Tnaは0.1時間を
超えた値とする。
【0035】単量体原料の投入は、連続的に行ってもよ
いし、複数回に分割して間欠的に投入してもよい。この
うち複数回に分割して単量体原料を投入する場合には、
ラジカル重合開始剤の非投入時間Tnaの後期に開始剤ラ
ジカルがほぼ消費し尽くした状態で投入し、その後にラ
ジカル重合開始剤をTa <tp の条件に従って投入する
ことが好ましい。
【0036】本発明の製造方法により得られる低分子量
重合体の数平均分子量は、1000〜50000である
ことが好ましい。また、上記低分子量重合体をトナーと
して使用する場合には、その数平均分子量は、1000
〜7000がより好ましい。
【0037】数平均分子量が1000未満では、樹脂中
のオリゴマー成分が多くなるため、ガラス転移温度(T
g)が低くなり、得られる樹脂の表面に粘着感が発現
し、粉体として取り扱う場合のブロッキングの問題や粉
体流動性が低下したりして取扱いにくくなる。
【0038】一方、数平均分子量が50000を超える
と、樹脂が固くなり過ぎ、粉砕が困難になったり、加熱
時の流動性が低下して流動性調整剤として使用する場合
にはその機能が低下してしまうことがある。
【0039】本発明で、数平均分子量は、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーによって測定される。この
測定においては、テトラヒドロフラン(THF)をキャ
リヤー溶剤とし、校正試料として標準ポリスチレンを使
用し、その数平均分子量は、標準ポリスチレンにより求
められる。
【0040】得られた低分子量重合体は、加熱、減圧を
行うことにより、含まれる有機溶剤や残存単量体を系外
に除去し、製品とする。
【0041】本発明の製造方法により製造された低分子
量重合体もまた、本発明の一つである。本発明における
低分子量重合体は種々の用途に利用することができる
が、例えば、電子写真、複写機、プリンター等に使用さ
れるトナーのバインダー樹脂として好適に用いられる。
【0042】電子写真等において静電荷像を現像する方
式としては、乾式現像方式が多用されている。この乾式
現像方式では、トナーは、キャリアーと呼ばれる鉄粉、
ガラスビーズ等との摩擦によって帯電し、このトナーが
感光体上の静電潜像に電気的引力によって付着し、続い
て用紙上に転写され、熱ロール等によって定着されて永
久可視像となる。
【0043】定着の方法としては、トナーに対して離形
性を有する材料で表面が構成された熱定着ローラーの表
面に、被定着シートのトナー画像を圧接触させながら通
過せしめることにより行う加熱ローラー法が多用されて
いる。本発明の低分子量重合体は、上記加熱ローラー法
におけるトナーのバインダー樹脂として最適である。
【0044】この加熱ローラー法においては、熱定着ロ
ーラー表面とトナーとが加圧下に溶融状態で接触するた
め、トナーの一部が熱定着ローラー表面に付着し、それ
が紙に再転写される、いわゆるオフセット現象が起こり
やすいという問題がある。このような問題に対し、一般
には、本発明の低分子量重合体に耐オフセット性を付与
するために、高分子量重合体を併用して、トナー用樹脂
組成物を調製する。
【0045】本発明では、上記低分子量重合体と上記数
平均分子量が10万〜100万の高分子量重合体とから
なるトナー用樹脂組成物を用いてトナーを製造する。上
記高分子量重合体を製造するための原料として、前述の
低分子量重合体の製造に使用される単量体原料をいずれ
も使用することができる。
【0046】上記高分子量重合体の製造にあたっては、
前述の低分子量重合体の製造に適用される溶液重合法や
バルク重合法に加えて、懸濁重合法や乳化重合法等、任
意の方法を用いることができる。
【0047】本発明の低分子量重合体と上記高分子量重
合体の混合方法は特に限定されず、例えば、低分子量重
合体を溶融又は有機溶剤に溶解させたところへ高分子量
重合体又は高分子量重合体の有機溶剤溶液を混合しても
よい。また、どちらか一方の重合体の存在下に他方の重
合体を重合させてもよい。
【0048】低分子量重合体と高分子量重合体との混合
比率は、これらの物性値を満たすような割合であること
が好ましく、その割合は、一般に、低分子量重合体10
0重量部に対して5〜100重量部が好ましい。
【0049】トナーは、上記方法により調製したトナー
用樹脂組成物中に、離形剤、着色剤、帯電制御剤、さら
には必要に応じて磁性粉等を分散混合し、熱溶融混練し
た後粉砕することにより製造される。上記トナーの製造
方法により製造されたトナーも、本発明の一つである。
なお、上記離形剤はトナー用樹脂の重合時に分散させて
おいてもよい。
【0050】上記離形剤としては、例えば、ポリプロピ
レンワックス、ポリエチレンワックス等のオレフィン系
ワックスやパラフィン系ワックス等が挙げられる。
【0051】上記着色剤としては、例えば、カーボンブ
ラック、アニリンブラック、フタロシアニンブルー、キ
ノリンイエロー、ランプブラック、ローダミン−B、キ
ナクリドン等が挙げらる。通常、これらの着色剤は、樹
脂組成物100重量部に対して1〜10重量部添加され
る。
【0052】上記帯電制御剤には、正帯電用と負帯電用
との2種類がある。上記正帯電用電荷制御剤としては、
例えば、ニグロシン染料、アンモニウム塩、ピリジニウ
ム塩、アジン等が挙げられ、上記負帯電用電荷制御剤と
しては、例えば、クロム錯体、鉄錯体等が挙げられる。
通常、これらの電荷制御剤は、樹脂組成物100重量部
に対して0.1〜10重量部添加される。
【0053】上記トナー樹脂組成物のガラス転移点(T
g)が低くなると保存性が低下することがあるため、そ
のTgは、50℃以上であることが好ましい。また、上
記トナー用樹脂組成物のフロー軟化点(Tf)が高くな
ると定着性が低下することがあるため、Tfは145℃
以下であることが好ましい。
【0054】上記ガラス転移点は、JIS K 712
1の9.3「ガラス転移温度の求め方」に記載されてい
る中間点ガラス転移温度(Tmg)であり、同法に準拠
して測定される値である。
【0055】また、上記フロー軟化点は、図1に示した
解析用チャートのh/2に相当するフロー曲線上の点T
の温度を読みとることにより求められる値である。
【0056】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限
定されるものではない。
【0057】実施例1 還流冷却管とテフロン製攪拌羽根と二本の滴下ロートと
を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、トルエン2
0重量部を投入し、窒素雰囲気下に110℃の液温まで
加熱した。一方、滴下ロートに、スチレン80重量部及
びn−ブチルアクリレート20重量部の均一な混合液
(以下、モノマー混合液という)を仕込み、別の滴下ロ
ートに、ベンゾイルパーオキサイド3.0重量部(モノ
マー1モルあたり0.0268モルの開始剤ラジカルを
発生させる量)及びトルエン20重量部の均一な混合液
(以下、重合開始剤溶液という)を仕込んだ。
【0058】次に、加熱終了後のセパラブルフラスコ
に、トルエン還流下、モノマー混合液を15分間に1
0.0重量部の一定速度で、2.5時間かけて連続的に
滴下した。また、モノマー混合液を15分間滴下した
後、すなわち、10.0重量部のモノマーが供給された
後、重合開始剤溶液の2.3重量部を3秒間で滴下し
た。その後15分間はモノマー混合液のみを一定速度で
滴下し、重合開始剤溶液は滴下せず、攪拌を続けて1回
目の重合開始剤投入サイクルを終了した。
【0059】同様のサイクル(モノマー混合液の連続滴
下の下、重合開始剤溶液2.3重量部を3秒間で滴下し
た後、重合開始剤溶液の滴下を15分間停止する工程)
を合計9回続けて行い、モノマー混合液を全て滴下し終
わった直後に、さらに重合開始剤溶液2.3重量部を3
秒間で滴下した。なお110℃におけるベンゾイルパー
オキサイドの半減期t110 は約7分である。
【0060】さらに、最後に、一時間そのまま攪拌を続
けて熟成を行った。熟成完了後に、フラスコ内の温度を
180℃まで徐々に上げながら、フラスコ内を10mm
Hg以下の圧力まで減圧して脱溶剤を行い、目的の低分
子量重合体を得た。次に、得られた低分子量重合体を、
下記の評価方法により評価した。結果を下記の表1に記
載した。
【0061】評価方法 (1)数平均分子量の測定 得られた低分子量重合体を、脱水操作を行ったテトラヒ
ドロフランに溶解させて、試料濃度を0.2重量%に調
節してから、0.45μmのフィルターで濾過を行いゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーの測定試料とし
た。
【0062】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
の装置は日本ミリポアリミテッド社製の「HTR−C」
を用い、カラムとしては昭和電工社製の「KF−800
P」を1本と「KF−806M」を2本と「KF−80
2.5」を1本とを直列につないで使用した。またキャ
リヤー溶媒にテトラヒドロフランを用い、測定温度は4
0℃とし、校正試料に標準ポリスチレンを使用した。
【0063】(2)微量不純物量の測定 ガスクロマトグラフィーを用いて、ラジカル重合開始剤
(ベンゾイルパーオキサイド)の分解副反応にともなう
不純物として、安息香酸の定量を行った。ガスクロマト
グラフィーの装置としてはガスクロマトグラフ「G−2
800」(柳本製作所株式会社製)を用い、充填剤を充
填した2mのカラムを温度250℃の条件下で測定し
た。
【0064】カラムの充填剤にはKOCL−DS(5
%)+H3 P04 (1%)(柳本製作所株式会社製)を
用い、減圧脱溶剤後の低分子量重合体をN,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)を溶媒として10重量%の濃
度のサンプルを調製し、このサンプル1.0μlをシリ
ンジで注入した。定量に当たっては、安息香酸標品の検
量線測定用サンプルを3点測定し最小二乗法にて検量線
を作成し定量した。
【0065】(3)トナーとしての評価 (i) トナー用樹脂組成物の調製 スチレン70重量部とn−ブチルアクリレート30重量
部とを重合して得られた数平均分子量が70万の高分子
量重合体の50重量%トルエン溶液60重量部と、上記
低分子量重合体100重量部を110℃に熱溶融させた
ものとをトルエンの還流下で30分間攪拌し、均一に混
合した。この混合液の入ったフラスコ内の温度を180
℃まで徐々に上げながら、10mmHg以下の圧力まで
減圧し脱溶剤を行い、目的のトナー用樹脂組成物を得
た。
【0066】(ii)トナーの調製 得られたトナー用樹脂組成物100重量部にカーボンブ
ラック(三菱化学社製、:カーボンブラックMA−10
0)5重量部と、帯電制御剤(保土谷化学工業社製、ス
ピロンブラックTRH)1重量部とを混合し、150℃
で5分間溶融混練した後冷却、粗粉砕しさらにジェット
ミルで粉砕して約10μmの粉末とし、最後に疎水性シ
リカ微粉末(日本アエロジル社製、商品名:R972)
0.5重量部を混合してトナーを得た。
【0067】(iii) トナー物性の評価 (a) フロー軟化点(Tf) 島津製作所製の高化式フローテスターCFT−500D
を使用し、荷重:20Kg、ダイ:1mmφ×1mm、
昇温:3℃/分にて測定した。Tfは、図1に示された
解析用チャートのh/2に相当するフロー曲線上の点T
の温度を読みとることにより求めた。
【0068】(b) ガラス転移温度(Tg) JIS K 7121の9.3「ガラス転移温度の求め
方」に記載されている方法に準拠して測定した中間点ガ
ラス転移温度(Tmg)をTgとした。
【0069】実施例2 還流冷却管とテフロン製攪拌羽根と二本の滴下ロートと
を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、キシレン2
0重量部を投入し、窒素雰囲気下で140℃の液温まで
加熱した。一方、滴下ロートにスチレン80重量部、n
−ブチルアクリレート20重量部の均一なモノマー混合
液を仕込み、他方の滴下ロートにベンゾイルパーオキサ
イド3.0重量部とキシレン20重量部の均一な重合開
始剤溶液を仕込んだ。
【0070】次に、加熱終了後のセパラブルフラスコ
に、トルエン還流下、モノマー混合液を10分間に6.
67重量部の一定速度で、2.5時間かけて連続的に滴
下した。また、モノマー混合液を10分間滴下した後、
すなわち、6.67重量部のモノマーが供給された後、
重合開始剤溶液1.53重量部を3秒間で滴下した。そ
の後10分間はモノマー混合液のみを一定速度で滴下
し、重合開始剤溶液は滴下せず攪拌を続けて1回目の重
合開始剤投入サイクルを終了した。
【0071】同様のサイクル(モノマー混合液の連続滴
下の下、重合開始剤溶液1.53重量部を3秒間で滴下
した後、重合開始剤溶液の滴下を10分間停止する工
程)を合計14回続けて行い、モノマー混合液を全て滴
下し終わった直後に、さらに重合開始剤溶液1.53重
量部を3秒間で滴下した。なお140℃におけるベンゾ
イルパーオキサイドの半減期t140 は約25秒である。
【0072】さらに、最後に、一時間そのまま攪拌を続
けて熟成を行った。熟成完了後に、フラスコ内の温度を
180℃まで徐々に上げながら、フラスコ内を10mm
Hg以下の圧力まで減圧して脱溶剤を行い、目的の低分
子量重合体を得た。
【0073】実施例3 還流冷却管とテフロン製攪拌羽根と二本の滴下ロートと
を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、トルエン2
0重量部を投入し、窒素雰囲気下で110℃の液温まで
加熱した。一方、滴下ロートにスチレン80重量部、n
−ブチルアクリレート20重量部の均一なモノマー混合
液を仕込み、他方の滴下ロートにベンゾイルパーオキサ
イド3.0重量部とトルエン20重量部の均一な重合開
始剤溶液を仕込んだ。
【0074】次に、加熱終了後のセパラブルフラスコ
に、トルエン還流下、モノマー混合液を10秒間に1
0.0重量部滴下した。また、モノマー混合液を10秒
間滴下した後、すなわち、10.0重量部のモノマーが
供給された直後、重合開始剤溶液の2.3重量部を3秒
間で滴下する。その後15分間はいずれの滴下も行わず
トルエン還流下に攪拌を続けて1回目のサイクルを終了
した。
【0075】同様のサイクル(モノマー混合液10.0
重量部を10秒間で滴下、続けて重合開始剤溶液2.3
重量部を3秒間で滴下し、その後は15分間いずれの滴
下も行わない工程)を合計10回続けた。なお110℃
におけるベンゾイルパーオキサイドの半減期t110 は約
7分である。
【0076】さらに、最後に、一時間そのまま攪拌を続
けて熟成を行った。熟成完了後にフラスコ内の温度を1
80℃まで徐々に上げながら、フラスコ内を10mmH
g以下の圧力まで減圧して脱溶剤を行い、目的の低分子
量重合体を得た。
【0077】
【表1】
【0078】比較例1 還流冷却管とテフロン製攪拌羽根とを備えたガラス製の
セパラブルフラスコに、トルエン40重量部を投入し、
窒素雰囲気下で110℃の液温まで加熱した。一方、滴
下ロートに、スチレン80重量部及びn−ブチルアクリ
レート20重量部並びにベンゾイルパーオキサイド3.
0重量部の均一な混合液を仕込んだ。
【0079】次に、加熱終了後のセパラブルフラスコ
に、トルエン還流下、上記混合液を2.5時間かけて滴
下した。
【0080】滴下終了後、さらに、トルエンの還流下で
一時間そのまま攪拌を続けて熟成を行った。熟成完了後
にフラスコ内の温度を180℃まで徐々に上げながら、
フラスコ内を10mmHg以下の圧力まで減圧して脱溶
剤を行い、目的の低分子量重合体を得た。
【0081】比較例2 ベンゾイルパーオキサイドの量を3.0重量部から6.
0重量部(モノマー1モルあたり0.0536モルの開
始剤ラジカルを発生させる量)に変更したこと以外は比
較例1と同様にして目的の低分子量重合体を得た。
【0082】比較例3 滴下の方法を以下のように変更したこと以外は実施例1
と同様にして低分子量重合体を得た。
【0083】加熱終了後のセパラブルフラスコに、トル
エン還流下、モノマー混合液を3分間に2.0重量部の
一定速度で、2.5時間かけて連続的に滴下した。ま
た、モノマー混合液を3分間滴下した後、すなわち、
2.0重量部のモノマーが供給された後、重合開始剤溶
液の0.46重量部を3秒間で滴下した。その後3分間
はモノマー混合液のみを一定速度で滴下し、重合開始剤
溶液は滴下せず、攪拌を続けて1回目の開始剤投入サイ
クルを終了した。
【0084】同様のサイクル(モノマー混合液の連続滴
下の下、重合開始剤溶液0.46重量部を3秒間で滴下
した後、重合開始剤溶液の滴下を3分間停止する工程)
を合計49回続けて行い、モノマー混合液を全て滴下し
終わった直後に、さらに開始剤溶液0.46重量部を3
秒間で滴下した。
【0085】比較例4 ベンゾイルパーオキサイドの添加量を3.0重量部から
6.0重量部に変更し、滴下の方法を以下のように変更
した以外は比較例3と同様にして低分子量重合体を得
た。
【0086】加熱終了後のセパラブルフラスコに、トル
エン還流下、モノマー混合液を3分間に2.0重量部の
一定速度で、2.5時間かけて連続的に滴下した。ま
た、モノマー混合液を3分間滴下した後、すなわち、
2.0重量部のモノマーが供給された後、重合開始剤溶
液の0.52重量部を3秒間で滴下した。その後3分間
はモノマー混合液のみを一定速度で滴下し、重合開始剤
溶液は滴下せず、攪拌を続けて1回目の重合開始剤投入
サイクルを終了した。
【0087】同様のサイクル(モノマー混合液の連続滴
下の下、重合開始剤溶液0.52重量部を3秒間で滴下
した後、重合開始剤溶液の滴下を3分間停止する工程)
を合計49回続けて行い、モノマー混合液を全て滴下し
終わった直後に、さらに重合開始剤溶液0.52重量部
を3秒間で滴下した。
【0088】比較例5 滴下の方法を以下のように変更したこと以外は実施例2
(キシレン還流下の反応)と同様にして低分子量重合体
を得た。
【0089】加熱終了後のセパラブルフラスコに、トル
エン還流下、モノマー混合液を10分間に6.67重量
部の一定速度で、2.5時間かけて連続的に滴下した。
また、モノマー混合液を10分間滴下した後、すなわ
ち、6.67重量部のモノマーが供給された後、重合開
始剤溶液の1.53重量部を5分間で滴下した。その後
5分間はモノマー混合液のみを一定速度で滴下し、重合
開始剤溶液は滴下せず、攪拌を続けて1回目の重合開始
剤投入サイクルを終了した。
【0090】同様のサイクル(モノマー混合液の連続滴
下の下、重合開始剤溶液1.53重量部をモノマー混合
液と並行して5分間で滴下した後、重合開始剤溶液の滴
下を5分間停止する工程)を合計14回続けて行いモノ
マー混合液を全て滴下し終わった直後に、さらに重合開
始剤溶液1.53重量部を5分間で滴下した。
【0091】比較例6 ベンゾイルパーオキサイドの添加量を3.0重量部から
6.0重量部に変更し、滴下の方法を以下のように変更
したこと以外は比較例5と同様にして低分子量重合体を
得た。
【0092】加熱終了後のセパラブルフラスコに、トル
エン還流下、モノマー混合液を10分間に6.67重量
部の一定速度で、2.5時間かけて連続的に滴下した。
また、モノマー混合液を10分間滴下した後、すなわ
ち、6.67重量部のモノマーが供給された後、重合開
始剤溶液の1.73重量部を5分間で滴下した。その後
5分間はモノマー混合液のみを一定速度で滴下し、重合
開始溶液は滴下せず攪拌を続けて1回目の重合開始剤投
入サイクルを終了した。
【0093】同様のサイクル(モノマー混合液の連続滴
下の下、重合開始剤溶液1.73重量部をモノマー混合
液と並行して5分間で滴下後、重合開始剤溶液の滴下を
5分間停止する工程)合計14回続けて行い、モノマー
混合液を全て滴下し終わった直後に、さらに重合開始剤
溶液1.73重量部を5分間で滴下した。
【0094】
【表2】
【0095】上記表1に示した結果より明らかなよう
に、実施例1〜3において得られた低分子量重合体は、
ラジカル重合開始剤を上記した本発明の条件となるよう
に添加しているため、数平均分子量が5500〜620
0と充分に低く、トナー樹脂組成物中の熱溶融時の流動
性調整剤として適正に機能する分子量となっている。ま
た、微量不純物である安息香酸の残存量も少ない。
【0096】一方、上記表2に示した結果から明らかな
ように、比較例1、比較例3、及び、比較例5において
得られた重合体は、ラジカル重合開始剤を上記した本発
明の条件となるように添加していないため、数平均分子
量が13000〜16000と実施例で得られた低分子
量重合体に比較して大きくなっている。このような重合
体を、トナー用樹脂組成物に使用すると、軟化温度が高
くなり、より高い定着温度が必要となるため好ましくな
い。また、比較例2、比較例4、比較例6は、微量不純
物である安息香酸の残存量が実施例1〜3に比較して多
く、純度の低いものであった。また、高価な重合開始剤
の使用量が多いため、生産コストの面で不利である。
【0097】
【発明の効果】本発明の低分子量重合体の製造方法によ
れば、従来のように多量の重合開始剤を使用したり、臭
気や副反応を伴う連鎖移動剤等の添加剤を使用すること
なく、純度の高い低分子量重合体を安価に、かつ、効率
的に製造することができる。また、上記方法により製造
された低分子量重合体は、高分子量重合体と混合して樹
脂組成物を調製することにより、電子写真用トナー等と
して好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フロー軟化点(Tf)の評価を行うための解析
用チャートである。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AA01 AB02 CA04 EA06 4J002 BC041 BC042 BC071 BC072 BC081 BC082 BC091 BC092 BC111 BC112 BC121 BC122 FD090 FD100 FD160 GH00 4J011 AA01 BB02 BB07 BB08 4J100 AA02R AB02P AB03P AB04P AB07P AB08P AC03R AD03R AG04R AJ01R AJ02R AJ08R AJ09R AL03Q AL04Q AL05Q AL08Q AL08R AL09Q AL10Q AL11Q AM02R AM15R AM47R AM48R BA05P BA08Q BA15R BA16R BA31Q BA65Q BB01Q BC04R BC43P CA01 CA04 CA05 FA03 JA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体単独を単量体原料とす
    るか、又は、主成分のスチレン系単量体と(メタ)アク
    リル酸エステル系単量体及び/又はその他のビニル系単
    量体とを単量体原料とし、重合反応系の系中に、前記単
    量体原料とラジカル重合開始剤との全量又は一部を投入
    することにより低分子量重合体を製造する方法であっ
    て、投入時間Ta と非投入時間Tnaが下記の式(1)を
    満足する条件となるように、前記ラジカル重合開始剤の
    全投入量を複数回に分割して投入することを特徴とする
    低分子量重合体の製造方法。 Ta <tp <Tna・・・(1) (式中、tp は、重合反応系の温度pにおけるラジカル
    重合開始剤の半減期)
  2. 【請求項2】 単量体原料1モルに対する、投入時間T
    a と非投入時間Tnaの合計時間Tm の間に供給されるラ
    ジカル重合開始剤の投入量は、0.001〜0.5モル
    の開始剤ラジカルを与える量であることを特徴とする請
    求項1記載の低分子量重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合反応の温度は、使用するラジカル重
    合開始剤の半減期tp が0.5時間以下となる温度であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の低分子量重合
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の低分子量重合
    体の製造方法により製造されてなることを特徴とする低
    分子量重合体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の低分子量重合体と数平均
    分子量が10万〜100万の高分子量重合体とからなる
    トナー用樹脂組成物を用いることを特徴とするトナーの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のトナーの製造方法により
    製造されてなることを特徴とするトナー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008291141A (ja) * 2007-05-25 2008-12-04 Chugoku Marine Paints Ltd ハイソリッド型防汚塗料組成物、該組成物からなる塗膜、該塗膜で被覆された基材および防汚方法
JP2013237618A (ja) * 2012-05-11 2013-11-28 Hinoki Shinyaku Kk サーチュイン1(sirt1)遺伝子活性化剤

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