JP2002030192A - トナー用樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

トナー用樹脂組成物の製造方法

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JP2002030192A
JP2002030192A JP2001032605A JP2001032605A JP2002030192A JP 2002030192 A JP2002030192 A JP 2002030192A JP 2001032605 A JP2001032605 A JP 2001032605A JP 2001032605 A JP2001032605 A JP 2001032605A JP 2002030192 A JP2002030192 A JP 2002030192A
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resin composition
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JP2001032605A
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Toshiharu Furukawa
敏治 古川
Yuji Oya
勇二 大矢
Yoshiyuki Oguchi
善之 大口
Masaharu Yuzuriha
正春 棡葉
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂中の残存単量体量及び残存溶剤量が少な
い品質の優れたトナー用樹脂組成物の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 製造方法は、ビニル系低分子量重合体と
ビニル系高分子量重合体とを有機溶剤の存在下で混合す
るか、又は、ビニル系高分子量重合体の有機溶剤溶液中
にてビニル系低分子量重合体を重合する第1の工程、反
応系中に水又は水蒸気を供給し、撹拌しながら前記ビニ
ル系重合体中に水分を分散させる第2の工程、並びに、
反応系中に残存する有機溶剤、単量体及び低分子量の副
生成物から選ばれる少なくとも1種を除去する第3の工
程よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子写真等に使
用するトナー用樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真等において静電荷像を現像する
方法として、乾式現像方式が多用されている。この乾式
現像方式では、通常トナーはキャリアとよばれる鉄粉又
はガラスビーズ等との摩擦によって帯電し、これが感光
体上の静電潜像に電気的引力によって付着し、用紙上に
転写された後、熱ロール等によって定着されて永久可視
像となる。
【0003】定着の方法としては、トナーに対して離型
性を有する材料で表面を形成した加熱ローラーの表面
に、被定着シートのトナー画像を圧接触させながら通過
せしめることにより行う加熱ローラー法が多用されてい
る。この加熱ローラー法において、熱定着ローラー表面
とトナーが加圧下で溶融状態で接触するため、トナーの
一部が熱定着ローラー表面に付着し、それが複写用紙に
再転写するというオフセット現象が起こり易くなる。
【0004】このようなトナーのバインダー樹脂として
最も一般的に用いられるものは、スチレン系重合体であ
るが、トナーには、熱定着ローラーにトナーが付着し
て複写用紙を無駄に汚すことがないこと(耐オフセット
性)、トナーが強固に複写用紙の表面に付着できて可
視画像が脱落することがないこと(定着性)、トナー
の粒子が機器中で使用前に凝集しないこと(耐ブロッキ
ング性)等の諸性能が要求されている。
【0005】これらの諸性能を満足するためには、上記
バインダー樹脂は、高分子量重合体と低分子量重合体か
らなる、いわゆる二山の分子量分布を有するスチレン系
樹脂組成物とすることが有効である。即ち、高分子量重
合体は耐オフセット性、耐ブロッキング性に寄与する凝
集力を与え、低分子量重合体は定着性に寄与する流動性
を与える。
【0006】最近、上記諸性能に加えて、熱定着ローラ
ーによるトナー定着時に、バインダー樹脂の熱分解が起
こったり、残存溶剤や残存モノマーが熱により気化して
悪臭を放つ等の問題点が指摘され、バインダー樹脂中の
残存溶剤や残存モノマーの量規制が厳しくなっている。
【0007】上記悪臭の問題を解決するために、例え
ば、特開昭48−65945号公報、特開昭52−11
3737号公報には、予めトナー原料に香料を添加して
悪臭を防止する方法が開示されている。しかしながら、
これらの方法は、香料の芳香と悪臭が混ざり合って複雑
な臭いが発生するにすぎず、人によっては、むしろ香料
の香りを嫌う場合もあり、必ずしも有効な方法であると
はいえなかった。
【0008】さらに、特開昭55−15645号公報に
は、特定の構造を有する脱気装置によって、トナー用樹
脂組成物の残存モノマー量を減少させる方法が開示され
ているが、残存モノマー量を100ppm以下とするた
めには、加熱温度250〜280℃の高温にしなければ
ならず、この温度になると樹脂自体の熱分解によって残
存モノマー量が増加したり、樹脂中の高分子量重合体成
分が分子切断して分子量低下が起こることが考えられ
る。従って、このような樹脂を使用してトナー用樹脂を
製造すると、トナーの要求性能を十分に発現させること
ができないという問題点があった。
【0009】また、例えば特開平7−168392号公
報には、加熱、減圧された複数の脱気装置を直列に設置
して、残存溶剤の量を低減する方法が開示されている。
しかしながら、この方法は、高価な脱気装置を複数個必
要とするため、製造設備が大がかりなものとなり、コス
ト的に不利となるという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであって、その目的は、樹脂中に残存す
る有機溶剤量、単量体量及び低分子量の副生成物量が少
ない品質の優れたトナー用樹脂組成物の製造方法を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下、第1発明という)であるトナー用樹脂組成物の製造
方法は、スチレン系単量体単独又はスチレン系単量体と
(メタ)アクリル酸エステル系単量体との混合体を構成
成分とするビニル系単量体を有機溶剤中でラジカル重合
反応させて得られるビニル系低分子量重合体、及び、ス
チレン系単量体単独又はスチレン系単量体と(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体との混合体を構成成分とする
ビニル系単量体を重合反応させて得られるビニル系高分
子量重合体を含有するビニル系重合体からなるトナー用
樹脂組成物の製造方法であって、ビニル系低分子量重合
体とビニル系高分子量重合体とを有機溶剤の存在下で混
合するか、又は、ビニル系高分子量重合体の有機溶剤溶
液中にてビニル系低分子量重合体を重合する第1の工
程、反応系中に水又は水蒸気を供給し撹拌しながら前記
ビニル系重合体中に水分を分散させる第2の工程、並び
に、有機溶剤及び水分を含有するビニル系重合体が存在
する反応系を下記(1)式を満足する圧力及び温度に保
つことによって、反応系中に残存する有機溶剤、単量体
及び低分子量の副生成物から選ばれる少なくとも1種の
残存有機揮発成分を除去する第3の工程よりなることを
特徴とする。 反応系の温度における飽和水蒸気圧>反応系の圧力・・・・・(1)
【0012】請求項4記載の発明(以下、第4発明とい
う)であるトナー用樹脂組成物の製造方法は、有機溶
剤、単量体及び低分子量の副生成物から選ばれる少なく
とも1種の残存有機揮発成分を含有する、スチレン系単
量体単独又はスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体との混合体を構成成分とするビニル系重
合体からなるトナー用樹脂組成物の製造方法であって、
ビニル系重合体100重量部に対して残存有機揮発成分
10重量部以下を含有する混合物に凝縮器を備えた反応
器中で水分を添加し、反応器内の圧力と温度を下記
(1)式を満足する状態に保ちながら撹拌する工程、発
生した水蒸気と気化した残存有機揮発成分とを凝縮器に
導いて凝縮させ、凝縮した水分と残存有機揮発成分とを
分離し、上層部にある残存有機揮発成分を系外へ除去し
た後水分を含む下層溶液を反応器内に戻す工程1、及
び、凝縮した水分と残存有機揮発成分とを系外に除去す
る工程2からなることを特徴とする。 反応系の温度における飽和水蒸気圧>反応系の圧力 ・・・・・(1)
【0013】以下、本発明について説明する。第1発明
の製造方法によって得られるトナー用樹脂組成物は、ビ
ニル系低分子量重合体とビニル系高分子量重合体とを含
有するビニル系重合体からなる。
【0014】上記ビニル系低分子量重合体は、スチレン
系単量体単独又はスチレン系単量体と(メタ)アクリル
酸エステル系単量体との混合体を構成成分とするビニル
系単量体を有機溶剤中でラジカル重合反応させることに
より得られる。
【0015】上記スチレン系単量体としては、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチル
スチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチル
スチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシル
スチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシ
ルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチ
レン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン
などが挙げられる。これらの中でも特にスチレンが好適
に用いられる。
【0016】上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体
としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ド
デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2
−クロルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メ
タ)アクリレート、メチル−α−クロル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アク
リレート、ビスグリシジルメタクリレート、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールメタクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、メタクリロキシエチルホスフェート等が挙
げられる。これらの中で、特にメチルメタクリレート、
n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレートが好ましい。
【0017】本発明において、必要に応じて、上記スチ
レン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の
他に、その他のビニル系単量体が適宜添加されてもよ
い。上記その他のビニル系単量体としては、例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロ
トン酸等のアクリル酸、及び、これらのα−又はβ−ア
ルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、
イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、及び、これらのモ
ノ又はジエステル誘導体;コハク酸モノアクリロイルオ
キシエチルエステル、アリルアルコール、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、アクリルアミド;フェニル
マレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド
類;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪酸ビニ
ルエステル;塩化ビニル、エチレンなどが挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用され
てもよい。
【0018】また、上記その他のビニル系単量体は架橋
剤によって架橋構造を形成していてもよく、架橋構造を
形成するために用いられる架橋剤としては、例えば、ジ
ビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート等の2官能の架橋剤;ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロー
ルメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル
(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロ
キシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタ
レート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシア
ヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロ
レンデート等の多官能の架橋剤などが挙げられる。
【0019】上記トナー用樹脂組成物で用いられるビニ
ル系重合体は、ビニル系低分子量重合体とビニル系高分
子量重合体とを含有する。上記ビニル系低分子量重合体
は、例えば、ビニル系単量体を有機溶剤中において重合
開始剤の存在下でラジカル重合させる溶液重合法によっ
て得ることができる。
【0020】上記溶液重合法に用いられる有機溶剤とし
ては、特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系有機
溶剤;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族
炭化水素系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有
機溶剤;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル系有機溶剤;ジメチルスルホキシ
ド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、特にトルエン、キシレン、エチルベン
ゼン、メシチレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケト
ンが好ましい。上記有機溶剤の使用量は、ビニル系単量
体100重量部に対して5〜500重量部が好ましい。
【0021】上記ラジカル重合反応の反応温度は、使用
する重合開始剤の活性化温度や使用する有機溶剤の沸点
を考慮して決定されるが、分子量の低いビニル系重合体
を得るには、反応温度は高い方が有利であり、好ましく
は50〜250℃である。また、使用する有機溶剤の常
圧沸点よりも高い温度で反応する場合は、必要に応じ
て、加圧重合器を用いて大気圧以上の圧力下で重合反応
を行ってもよい。
【0022】上記ビニル系単量体のラジカル重合反応に
よって、ビニル系低分子量重合体を重合する条件は、特
に限定されないが、ビニル系単量体と重合開始剤、必要
に応じて、さらに有機溶剤を均一に混合したものを連続
的に供給、排出することによって連続的に反応させても
よく、バッチ式で反応させてもよい。バッチ式の場合
は、加熱下の反応器に定量的に重合開始剤を含む溶液を
滴下する滴下重合方式が安全性の点から好ましい。この
場合はビニル系単量体と重合開始剤、必要に応じて、さ
らに有機溶剤を加えて均一に混合したものを反応器に滴
下してもよく、重合開始剤を有機溶剤に溶解させたもの
とビニル系単量体とを別々に滴下してもよい。
【0023】上記重合開始剤としては、過酸化物系重合
開始剤又はアゾ系重合開始剤が用いられる。上記過酸化
物系重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトン
パーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メ
チルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセト
ンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バレラート等のパーオキシケタール類;
t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパ
ーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ
キサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド等のハイ
ドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオ
キサイド等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパ
ーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイ
ルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4
−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパー
オキサイド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジメ
トキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリ
ルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート
類;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパー
オキシベンゾエート、クミルパーオキシオクトエート等
のパーオキシエステル類などが挙げられ、これら以外
に、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレ
ート等が使用可能である。
【0024】また、上記アゾ系重合開始剤としては、例
えば、2,2'-アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2'-アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボ
ニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)
アゾ〕ホルムアミド、2,2'-アゾビス{2−メチル−
N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロ
キシエチル〕プロピオンアミド}、2,2'-アゾビス
〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミ
ド、2,2'-アゾビス〔N−ブチル−2−メチルプロピ
オンアミド)、2,2'-アゾビス〔N−シクロヘキシル
−2−メチルプロピオンアミド)、ジメチル2,2'-ア
ゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2'-アゾビ
ス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1'-アゾ
ビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げ
られる。
【0025】上記重合開始剤の使用量は、反応温度や、
重合開始剤中のラジカル発生機能のある官能基の個数、
目的とするビニル系低分子重合体の分子量によって決定
される。一般的に、本発明におけるビニル系低分子量重
合体の数平均分子量は、1,000〜30,000が好
ましい。上記重合開始剤から発生するラジカルの量が、
多くなるほど低い分子量になるので、上記範囲の数平均
分子量を有するビニル系低分子重合体を得るには、ビニ
ル系単量体1モルに対して0.001〜0.5モルの開
始剤ラジカル(開始剤中のラジカル発生機能のある官能
基が完全に解離するとした場合のラジカル発生量)を与
える量の重合開始剤が使用されることが好ましい。
【0026】使用量が単量体1モルに対する発生ラジカ
ル量が0.001モル未満の場合は、得られるビニル重
合体の分子量が大きくなり過ぎるので好ましくない。
又、0.5モルを超える場合は、得られるビニル重合体
中に多量の重合開始剤残渣が不純物として存在したり、
副反応が起こり易くなるだけでなく、余計なコストを支
払うことになる。
【0027】上記ビニル系低分子量重合体の数平均分子
量が1,000未満になると、ビニル系低分子量重合体
中にオリゴマー成分が多くなるため、ガラス転移温度
(Tg)が低くなり、得られる重合体表面に粘着性が発
現し、ブロッキングや粉体の流動性低下が起こり、取扱
い性が悪くなる。また、数平均分子量が30,000を
超えると、得られる低分子量重合体が固くなり過ぎて粉
砕が困難になると共に、加熱時の流動性が低下するため
定着性に悪影響を及ぼす。
【0028】上記ビニル系低分子量重合体に、耐オフセ
ット性や耐ブロッキング性を付与するために、ビニル系
高分子量重合体が併用される。ビニル系高分子量重合体
の数平均分子量は、50,000〜2,000,000
が好ましく、より好ましくは100,000〜1,00
0,000である。
【0029】上記数平均分子量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィ(GPC)により測定される値をい
う。GPCはテトラヒドロフラン(THF)をキャリヤ
ー溶剤として、また校正試料として標準ポリスチレン換
算によって求められる。
【0030】上記ビニル系低分子量重合体とビニル系高
分子量重合体との量比率は、ビニル系低分子量重合体1
0〜90重量部及びビニル系高分子量重合体90〜10
重量部が好ましく、より好ましくはビニル系低分子量重
合体50〜90重量部及びビニル系高分子量重合体50
〜10重量部である。
【0031】上記ビニル系高分子量重合体は、ビニル系
低分子量重合体と同様の構成成分を用いて、溶液重合の
他、懸濁重合、乳化重合、バルク重合等任意の方法によ
って製造することができる。中でも懸濁重合や乳化重合
は、重合系の粘度を低く抑えることが可能であり、効率
的に生産することができるので好ましい。
【0032】本発明の製造方法の第1の工程において、
上記ビニル系低分子量重合体とビニル系高分子量重合体
とを有機溶剤の存在下で混合するか、又は、ビニル系高
分子量重合体の有機溶剤溶液中にてビニル系低分子量重
合体を重合することにより、ビニル系重合体を得る。
【0033】上記ビニル系低分子量重合体とビニル系高
分子量重合体とを混合する方法は、例えば、溶液重合法
によって得られたビニル系低分子量重合体の有機溶剤溶
液に、ビニル系高分子量重合体又はその有機溶剤溶液を
添加して、撹拌混合する方法が挙げられる。上記高分子
量重合体を懸濁重合や乳化重合のように水系の重合法に
よって重合した場合は、重合時に使用した水の一部又は
全部を残して、そのまま低分子量重合体の有機溶剤溶液
と混合してもよく、この場合は後述の第2の工程を兼ね
ることになる。
【0034】また、上記ビニル系高分子量重合体の有機
溶剤溶液中にてビニル系低分子量重合体を重合する方法
は、例えば、高分子量重合体の一部又は全部を溶解した
有機溶剤溶液を加熱した系に、低分子量重合体の原料と
なる単量体と重合開始剤を徐々に滴下する方法が挙げら
れる。
【0035】本発明の製造方法の第2の工程において、
反応系中に水又は水蒸気を送り込み、撹拌を行いなが
ら、ビニル系重合体中に水分を分散させる。水蒸気を送
り込む場合は、構成成分の液面下に供給することが好ま
しい。構成成分の液面上に水蒸気を供給すると、水分と
有機揮発成分(有機溶剤、単量体等)が残存するビニル
系重合体との混合が十分に行われなくなる。ビニル系重
合体中に分散した水分は、残存する有機溶剤や単量体等
の有機揮発成分と共沸現象を引き起こすことによって、
容易に除去することができる。
【0036】反応系中に供給される水又は水蒸気の量
は、特に限定されないが、ビニル系重合体100重量部
に対して0.05重量部以上が好ましく、より好ましく
は0.2重量部以上である。
【0037】また、反応系中のビニル系重合体の溶融粘
度は5000Pa・s以下であることが好ましい。ビニ
ル系重合体の溶融粘度が5000Pa・sを超えると、
ビニル系重合体の撹拌混合が十分に行われなくなるた
め、水分の分散が難しく、ビニル系重合体中の残存有機
揮発性成分の除去が困難になるので好ましくない。
【0038】ビニル系重合体の溶融粘度を5000Pa
・s以下に保つためには、反応系の温度をある特定の温
度以上に保つことが必要になる。この温度はビニル系重
合体の組成や分子量、分子量分布によって異なるが、一
般に100℃以上であるものが多く、反応系をこのよう
な温度環境にするためには反応系を加圧状態にして飽和
水蒸気圧以上の圧力に保つことが好ましい。また、反応
系の温度はビニル系重合体の溶融粘度は5000Pa・
sにする温度以上、220℃以下であることが好まし
い。220℃を超えるとビニル系高分子量重合体鎖の切
断が起こって、耐オフセット性や耐ブロッキング性が低
下したり、高温に曝されるとビニル系重合体の分解が始
まるため、かえって分解反応による副生成物の量が増加
するばかりでなく、飽和水蒸気圧が非常に高くなるため
設備が大がかりなものとなって生産性が低下し、コスト
が上昇するので好ましくない。
【0039】上記溶融粘度は、JIS K 7210
(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)に基づいてフ
ローテスターによって測定される流れ値Q〔下式
(2)〕を用いて、下式(3)によって算出される値μ
をいう(以下、同じ)。
【0040】 Q(mL/s)=0.4/t ・・・・・(2) ここで、tは試験荷重による流れ開始後ピストンが3m
mから7mmへ降下する時間の平均値(s)を表す。
【0041】 μ(Pa・s)=〔(π×P×D4)/(128×L×Q)〕×10-3 ・・・・(3) ここで、Pは試験荷重(Pa)、Dはダイ半径(m
m)、Lはダイ長(mm)、Qは流れ値(mL/s)を
それぞれ表す。
【0042】本発明の製造方法の第3の工程において、
有機溶剤及び水分を含有するビニル系重合体が存在する
反応系を、下記(1)式を満足する圧力及び温度に保つ
ことによって、反応系中に残存する有機溶剤、単量体及
び低分子量の副生成物から選ばれる少なくとも1種の残
存有機揮発成分を除去する。 反応系の温度における飽和水蒸気圧>反応系の圧力 ・・・・・(1)
【0043】反応系中に送り込まれた水(又は水蒸気)
は、気化させて系外へ除去するために、反応系の圧力及
び温度を上記(1)式を満足する状態に保つ必要があ
る。反応系の圧力を反応系の温度における飽和水蒸気圧
より低く保つことによって、水の気化を促進することが
できる。このような状態を保つ方法としては、特に限定
されないが、例えば、反応系の圧力を一定に保ったま
ま温度を上昇させる方法、反応系の温度を一定に保っ
たまま圧力を下げる方法、反応系の温度を上昇させ、
かつ圧力を下げる方法等が挙げられる。
【0044】特に、上記ビニル系重合体における高分子
量重合体の含有割合が、10〜90重量部の範囲にある
場合は、温度が低下すると著しく粘度が上昇して、水分
とビニル系重合体の混合が十分に行われず、残存有機揮
発成分の除去が不十分となる。従って、第2の工程にお
いて述べたのと同じ理由によって、第3の工程において
もビニル系重合体の溶融粘度は5000Pa・s以下に
することが好ましく、反応系の温度としては、ビニル系
重合体の溶融粘度を5000Pa・sにする温度以上、
220℃以下であることが好ましい。この温度で水の飽
和蒸気圧より低い圧力に保つことによって水分を気化さ
せ、さらに真空ポンプ等によって水蒸気を含む気体成分
を系外へ排出することが好ましい。
【0045】圧力と温度の関係を上記(1)式の条件に
導くには、バッチ方式又は連続方式のいずれであっても
よいが、バッチ方式の場合は反応器内を一つの系と考
え、上記(1)式を満足するように圧力や温度を調節す
ればよい。また、連続方式の場合は、上記(1)式を満
足する圧力と温度に調節されたゾーンへビニル系重合体
を連続的に導くと同時に、有機揮発成分の除去処理を終
えたものを連続的に排出する方法をとればよい。
【0046】第3の工程において除去される低分子量の
副生成物とは、重合開始剤が分解する際に発生する残
渣、有機溶剤や単量体等が変質して生成する副生成物の
うち、分子量200程度以下の気化除去が可能な低分子
量物をいう。本発明においては、上記低分子量物と残存
する有機溶剤や単量体とをさらに含めた、回収可能な有
機物質を残存有機揮発成分と称する。
【0047】次に、第4発明について説明する。第4発
明のトナー用樹脂組成物の製造方法では、ビニル系重合
体として、有機溶剤、単量体及び低分子量の副生成物か
ら選ばれる少なくとも1種の残存有機揮発成分を含有す
るものが用いられる。
【0048】ビニル系重合体としては、単一ピークの分
子量分布を有するトナー用樹脂組成物の場合は、有機溶
剤中でラジカル重合することにより得られるビニル系重
合体をそのまま使用してもよく、懸濁重合や乳化など水
系の重合方法によって得られるビニル系重合体を有機溶
剤中に溶解させて使用してもよい。また、複数ピークの
分子量分布を有するトナー用樹脂組成物の場合は、第1
発明と同様、ビニル系低分子量重合体とビニル系高分子
量重合体とを有機溶剤の存在下で混合したビニル系重合
体、又は、ビニル系高分子量重合体の有機溶剤溶液中
で、ビニル系低分子量重合体を重合することにより得ら
れるビニル系重合体を用いてもよい。
【0049】上記有機溶剤としては、第1発明と同様の
ものが使用可能であるが、アルコール溶剤等のように水
溶性のものは、後述の凝縮器内で水と分離することが困
難なため好ましくない。
【0050】上記ビニル系重合体としてビニル系低分子
量重合体とビニル系高分子量重合体の混合物を使用する
場合は、第1発明と同様、ビニル系低分子量重合体10
〜90重量部及びビニル系高分子量重合体90〜10重
量部が好ましく、より好ましくはビニル系低分子量重合
体50〜90重量部及びビニル系高分子量重合体50〜
10重量部である。
【0051】本製造方法の工程1において、反応器中に
おいて、ビニル系重合体と有機溶剤、単量体及び低分子
量の副生成物から選ばれる少なくとも1種の残存有機揮
発成分との混合物に水分を添加し、反応器内の圧力と温
度を、第1発明と同様な理由により、下記(1)式を満
足する状態に保ちながら撹拌して分散させ、発生した水
蒸気と気化した残存有機揮発成分とを、例えば図1に示
した冷却コンデンサーと凝縮器とが接続された還流装置
に導いて凝縮させ、凝縮した水分と残存有機揮発成分と
を凝縮器に導いて分離する。 反応系の温度における飽和水蒸気圧>反応系の圧力 ・・・・・(1)
【0052】上記ビニル系重合体に分散した水分は、残
存有機揮発成分と共沸現象を引き起こすことによって、
反応器から容易に除去することができる。凝縮器内で
は、凝縮した残存有機揮発成分と水分とが互いに相溶し
ないため静置することによって、残存有機揮発成分から
なる上層部と、凝縮した水分を主体とする下層溶液にそ
れぞれ分離する。下層溶液は管路によって反応器内へ戻
され、凝縮した残存有機揮発成分は系外へ除去される。
従って、凝縮器としては、両者の分離が可能な高低差の
あるタンクや配管等のゾーンを有するものが好ましく、
この高低差を有するゾーンの下部から水分を主体とする
下層溶液を導き出して反応器内へ戻すことができ、残存
有機揮発成分は高低差を有するゾーンの上部から系外へ
排出することができる。
【0053】上記混合物における残存有機揮発成分の含
有量は、ビニル系重合体100重量部に対して10重量
部以下、好ましくは3重量部以下となるように調節す
る。残存有機揮発成分の含有量が10重量部を超える
と、工程1及び工程2において残存有機揮発成分を完全
に除去することが困難となる。残存有機揮発成分の含有
量を10重量部以下に調節するには、反応容器内を十分
に加熱して残存有機揮発成分を気化させて系外へ排出す
る。加熱のみでなく反応器内の圧力を大気圧以下に減圧
してもよい。
【0054】上記工程1において、ビニル系重合体と共
に添加された有機溶剤のほぼ全量が系外へ排出された時
点で工程2の操作を行い、凝縮器内で凝縮した水分及び
残存有機揮発成分を共に系外へ除去する。
【0055】上記工程1及び2において、第1発明と同
様の理由により、添加する水分の量はビニル系重合体1
00重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、よ
り好ましくは0.2重量部以上である。ビニル系重合体
におけるビニル系高分子量重合体の含有量が10〜90
重量部の場合、上記式(2)及び(3)によって測定さ
れるビニル系重合体の溶融粘度は、第1発明と同様の理
由により、5000Pa・s以下が好ましい。また、ビ
ニル系重合体における残存有機揮発物質の量は、第1発
明と同様の理由により、400ppm以下とすることが
好ましい。
【0056】上記ビニル系重合体からなるトナー用樹脂
組成物は、ガラス転移温度(Tg)が50〜110℃、
フロー軟化点(Tf)が50〜110℃であることが好
ましい。Tg、Tfが、上記範囲より低くなるとトナー
用樹脂組成物の保存性が低下することがあり、上記範囲
より高くなると定着性が低下することがある。尚、上記
Tgは、JIS K 7121の9.3「ガラス転移温
度の求め方」に記載されている中間点ガラス転移温度
(Tmg)であり、同法に準拠して測定される値であ
る。上記Tfは、解析用チャートのh/2に相当するフ
ロー曲線上の点Tの温度を読み取って求められる値であ
る。
【0057】上記ビニル系重合体からなるトナー用樹脂
組成物をトナー用バインダー樹脂として使用する場合
は、トナー用樹脂組成物に、離型剤、着色剤、帯電制御
剤、さらに必要に応じて、磁性粉等を分散混合し、熱溶
融混練した後粉砕することによって製造することができ
る。尚、離型剤はトナー用樹脂組成物の重合時に分散さ
せておいてもよい。
【0058】上記離型剤としては、例えば、ポリプロピ
レンワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィ
ン系ワックスや、パラフィン系ワックスが挙げられる。
【0059】上記着色剤としては、例えば、カーボンブ
ラック、クロームイエロー、アニリンブラック、フタロ
シアニンブルー、キノリンイエロー、ランプブラック、
ローダミンB、キナクリドン等が挙げられる。着色剤の
添加量は、上記トナー用樹脂組成物100重量部に対し
て1〜10重量部が好ましい。
【0060】上記帯電制御剤としては、正電荷用と負電
荷用との2種類がある。正電荷用としては、例えば、ニ
グロシン染料、アンモニウム塩、アジン等が挙げられ、
負電荷用としては、例えば、クロム錯体、鉄錯体等が挙
げられる。帯電制御剤の添加量は、上記トナー用樹脂組
成物100重量部に対して0.1〜10重量部が好まし
い。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例及び比較
例を示す。 (実施例1)還流冷却管とテフロン(登録商標)製撹拌
羽根を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、キシレ
ン40重量部を投入し、窒素雰囲気下で液温140℃ま
で昇温した。次いで、スチレン80重量部、n−ブチル
アクリレート20重量部、及び、ベンゾイルパーオキサ
イド5.5重量部の均一混合液を、キシレンの還流下で
2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、キシレンの還
流下で1時間撹拌を続けて熟成を行った。得られたビニ
ル系低分子量重合体の分子量を下記の方法で測定したと
ころ、数平均分子量が5,000であった。得られたビ
ニル系低分子量重合体のキシレン溶液に、懸濁重合によ
って、スチレン80重量部及びn−ブチルアクリレート
20重量部を重合して得られた、数平均分子量30万の
ビニル系高分子量重合体30重量部をキシレン30重量
部に溶解した溶液を加えて、キシレンの還流下1時間撹
拌混合を行った。
【0062】上記で得られたビニル系重合体(低分子量
重合体+高分子量重合体)のキシレン溶液を、フラスコ
内に窒素気流を流しながら180℃まで徐々に加熱して
キシレンを留去させて、仕込みキシレン量のうち65重
量部を回収した時点で、液温を95℃まで冷却した。こ
こに、水を10重量部加えて、水を還流させながら1時
間十分に撹拌を続けて分散させた後、真空ポンプで減圧
しながら温度を徐々に180℃まで1時間かけて上昇さ
せ、さらに180℃に保ったままで2時間減圧を続けて
水を含めた揮発分を溜去した。このビニル系重合体の溶
融粘度は95℃では22000Pa・s、180℃では
60Pa・sであった。
【0063】得られたビニル系重合体(トナー用樹脂組
成物)に含まれる残存有機揮発成分の量を、下記のガス
クロマトグラフィーにて測定したところ、キシレン12
0ppm、スチレン170ppm、n−ブチルアクリレ
ート10ppm、及び安息香酸50ppmであり、合計
量は350ppmであった。
【0064】・数平均分子量の測定方法 得られたビニル系低分子量重合体及びビニル系高分子量
重合体を、脱水操作を行ったTHFに溶解させて、試料
濃度を0.2重量%に調節してから、0.45μmのフ
ィルターで濾過を行い、GPC用測定試料とした。GP
C装置は、GPCは装置として、日本ミリポアリミテッ
ド社製「HTR−C」を使用し、カラムには昭和電工社
製「KF−800P」1本、「KF−806M」2本、
及び「KF−802.5」1本を直列につないで使用し
た。また、キャリヤー溶媒としてTHFを用い、測定温
度は40℃、校正試料として標準ポリスチレンを用い
た。
【0065】・ビニル系重合体の溶融粘度の測定 島津製作所社製の高化式フローテスター「CFT−50
0D」〔荷重5kg、シリンダー断面積0.0001m
2 、ピストンのストローク4→7mm、ダイ(ノズル)
1mmφ×1mm〕を使用し、一定温度で測定した。
【0066】・残存化学物質の測定方法 残存化学物質の定量はガスクロマトグラフィーを用いて
行った。装置としては、柳本製作所製ガスクロマトグラ
フ「G−2800」を用い、充填剤を充填した2mのカ
ラムを温度250℃の条件下で測定した。使用したカラ
ムの充填剤としては、残存溶剤や残存単量体については
ポリエチレングリコールを用い、重合開始剤(ベンゾイ
ルパーオキサイド)の分解副反応に伴う安息香酸等の極
性基を有する物質については、柳本製作所製「KOCL
−DS+H3 P04 、5+1%」を用いた。サンプル調
製は減圧脱溶剤後のビニル系低分子量重合体を、N,N
−ジメチルホルムアミド(DMF)を溶媒として10重
量%の濃度とし、このサンプル1.0μlをシリンジで
注入した。定量にあたっては、標準品の検査線測定用サ
ンプルを3点測定し、最小自乗法に検査線を作成して定
量した。
【0067】(実施例2)実施例1で用いた反応容器に
替えて、ステンレス鋼製のオートクレーブを用い、ビニ
ル系高分子量重合体を数平均分子量が70万のものに変
更して、実施例1と同様にビニル系低分子量重合体と混
合した。仕込みキシレン量のうち65重量部を180℃
まで徐々に加熱して回収した時点で、反応系を密閉して
系内に水10重量部を加えて圧力を0.6MPaに調整
した。このときのビニル系重合体組成物の温度は150
℃であり、溶融粘度は950Pa・sであった。このま
ま、水を還流させて1時間十分に攪拌を続けて分散させ
た後、真空ポンプで減圧しながら温度を徐々に180℃
まで20分間かけて上昇させ、さらに180℃に保った
ままで2時間減圧を続けて水を含めた揮発分を溜去し
た。ビニル系重合体組成物の180℃における溶融粘度
は170Pa・sであった。得られたビニル系重合体組
成物(トナー用樹脂組成物)に含まれる残存有機揮発成
分を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィーにて
測定したところ、キシレン10ppm、スチレン40p
pm及び安息香酸10ppmであり、合計量60ppm
であった。尚、n−ブチルアクリレートは検出されなか
った。
【0068】(比較例1)実施例1と同様の方法によ
り、ビニル系低分子量重合体とビニル系高分子量重合体
からなるビニル系重合体のキシレン溶液を得た。これを
フラスコ内に窒素気流を流しながら180℃まで徐々に
加熱して、180℃で約2時間保ったままキシレンを溜
去させた後、真空ポンプで減圧しながら温度180℃に
保ったままで1時間減圧を続けて、水を含めた揮発分を
溜去した。得られたビニル系重合体(トナー用樹脂組成
物)に含まれる残存有機揮発成分の量を、上記測定方法
にて測定したところ、キシレン580ppm、スチレン
720ppm、n−ブチルアクリレート110ppm及
び安息香酸1200ppmであり、合計量は2610p
pmであった。
【0069】(実施例3)ガラス製のセパラブルフラス
コに代えて、図1に示した構成の還流装置及びステンレ
ス鋼製の撹拌羽を備えたオートクレーブを使用したこと
以外は、実施例1と同様にして、得られたビニル系重合
体(低分子量重合体+高分子量重合体)のキシレン溶液
をオートクレーブ内に窒素気流を流しながら180℃ま
で徐々に加熱してキシレンを留去させ、仕込みキシレン
量のうち68重量部を回収した時点でオートクレーブを
密閉系とし水10重量部を加えた後、150℃、0.4
5MPa(150℃における飽和水蒸気圧は0.476
MPa)の条件で水を還流させながら1時間撹拌を続
け、水を十分に分散させた。
【0070】この間、オートクレーブ内で気化した水蒸
気及び残存有機揮発成分を図1に示した還流装置に導
き、冷却コンデンサーで水蒸気及び残存有機揮発成分を
液化させた後凝縮器に移送した。凝縮器では、液化した
残存有機揮発成分が上層部に、液化した水分を主体とす
る溶液が下層部に分離するので、上層部の残存有機揮発
成分を管路から系外へ除去し、水分を主体とする下層溶
液を管路によりオートクレーブ内へ戻した。
【0071】次いで、真空ポンプで減圧しながらオート
クレーブ内の温度を徐々に1時間かけて180℃まで上
昇させ、さらに180℃に保ったままで4時間減圧を続
けて水を含めた揮発分を留去した。ビニル系重合体の溶
融粘度は150℃で100Pa・s、180℃で60P
a・sであった。
【0072】得られたビニル系重合体(トナー用樹脂組
成物)に含まれる残存有機揮発成分の量を、実施例1と
同様にしてガスクロマトグラフィーで測定したところ、
キシレン38ppm、スチレン41ppm、n−ブチル
アクリレート8ppm、及び安息香酸23ppmであ
り、合計量は110ppmであった。
【0073】(実施例4)図1に示した構成の還流装置
及びステンレス鋼製の撹拌羽を備えたオートクレーブを
使用し、ビニル系高分子量重合体として数平均分子量7
0万を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ビ
ニル系重合体(低分子量重合体+高分子量重合体)のキ
シレン溶液を調製した。得られたビニル系重合体(低分
子量重合体+高分子量重合体)のキシレン溶液をオート
クレーブ内に窒素気流を流しながら180℃まで徐々に
加熱してキシレンを留去させ、仕込みキシレン量のうち
65重量部を回収した時点で、オートクレーブを密閉系
にし水10重量部を加えた後、150℃、0.6MPa
(150℃における飽和水蒸気圧は0.476MPa)
に調整した。このときのビニル系重合体の温度は150
℃であり、溶融粘度は950Pa・sであった。このま
ま水を還流させながら1時間撹拌を続け、水を十分に分
散させた。次いで、真空ポンプで減圧しながらオートク
レーブ内の温度を徐々に20分間かけて180℃まで上
昇させ、さらに180℃に保ったままで4時間減圧を続
けて水を含めた揮発分を留去した。ビニル系重合体の1
80℃における溶融粘度は170Pa・sであった。
【0074】得られたビニル系重合体(トナー用樹脂組
成物)に含まれる残存有機揮発成分の量を、実施例1と
同様にしてガスクロマトグラフィーで測定したところ、
キシレン17ppm、スチレン38ppm及び安息香酸
14ppmであり、合計量は69ppmであった。尚、
n−ブチルアクリレートは検出されなかった。
【0075】
【発明の効果】本発明のトナー用樹脂組成物の製造方法
は、上述の通りであり、得られるトナー用樹脂組成物は
製造工程で溶剤を除去する大がかりな設備を用いなくて
も、残存有機揮発成分の残留量が著しく低減することが
可能であり、臭気や作業環境の悪化を招くことがないト
ナー用樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3及び4で使用される還流装置を示す説
明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/087 G03G 9/08 325 4J100 381 (72)発明者 棡葉 正春 滋賀県甲賀郡水口町泉1259 積水化学工業 株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AB02 CA02 EA06 EA07 4F070 AA17 AA18 AA32 AC76 AC83 FA04 FA17 FB08 4J002 BC03W BC03X BC07W BC07X GH00 GT00 4J011 PA65 PA69 PC02 4J026 AA16 AA17 AA45 BA04 BA05 BA06 BA27 BB01 BB03 DB02 DB09 DB12 DB13 DB23 DB24 EA02 EA04 GA06 GA08 4J100 AB02P AB03P AB04P AB08P AL03Q AL04Q AL05Q AL08Q AL09Q AL10Q AL66Q BA08Q BA31Q BA65Q BB01Q BC43Q BC54Q CA01 CA04 DA01 GB02 GB03 JA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体単独又はスチレン系単
    量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体との混合体
    を構成成分とするビニル系単量体を有機溶剤中でラジカ
    ル重合反応させて得られるビニル系低分子量重合体、及
    び、スチレン系単量体単独又はスチレン系単量体と(メ
    タ)アクリル酸エステル系単量体との混合体を構成成分
    とするビニル系単量体を重合反応させて得られるビニル
    系高分子量重合体を含有するビニル系重合体からなるト
    ナー用樹脂組成物の製造方法であって、ビニル系低分子
    量重合体とビニル系高分子量重合体とを有機溶剤の存在
    下で混合するか、又は、ビニル系高分子量重合体の有機
    溶剤溶液中にてビニル系低分子量重合体を重合する第1
    の工程、反応系中に水又は水蒸気を供給し撹拌しながら
    前記ビニル系重合体中に水分を分散させる第2の工程、
    並びに、有機溶剤及び水分を含有するビニル系重合体が
    存在する反応系を下記(1)式を満足する圧力及び温度
    に保つことによって、反応系中に残存する有機溶剤、単
    量体及び低分子量の副生成物から選ばれる少なくとも1
    種の残存有機揮発成分を除去する第3の工程よりなるこ
    とを特徴とするトナー用樹脂組成物の製造方法。 反応系の温度における飽和水蒸気圧>反応系の圧力 ・・・・・(1)
  2. 【請求項2】 ビニル系重合体が、数平均分子量1,0
    00〜30,000のビニル系低分子量重合体10〜9
    0重量部、及び、数平均分子量50,000〜2,00
    0,000のビニル系高分子量重合体90〜10重量部
    からなることを特徴とする請求項1記載のトナー用樹脂
    組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記第2の工程及び第3の工程を、トナ
    ー用樹脂組成物の溶融粘度が5000Pa・s以下とな
    る温度条件で行うことを特徴とする請求項1又は2記載
    のトナー用樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機溶剤、単量体及び低分子量の副生成
    物から選ばれる少なくとも1種の残存有機揮発成分を含
    有する、スチレン系単量体単独又はスチレン系単量体と
    (メタ)アクリル酸エステル系単量体との混合体を構成
    成分とするビニル系重合体からなるトナー用樹脂組成物
    の製造方法であって、反応器内でビニル系重合体100
    重量部に対して残存有機揮発成分10重量部以下を含有
    する混合物に水分を添加し、反応器内の圧力と温度を下
    記(1)式を満足する状態に保ちながら撹拌して分散さ
    せ、発生した水蒸気と気化した残存有機揮発成分とを冷
    却して凝縮させ、凝縮した水分を反応器内に戻す工程1
    と、凝縮した水分及び残存有機揮発成分を系外に排出す
    る工程2とからなることを特徴とするトナー用樹脂組成
    物の製造方法。 反応系の温度における飽和水蒸気圧>反応系の圧力 ・・・・・(1)
  5. 【請求項5】 工程1及び工程2を、トナー用樹脂組成
    物の溶融粘度が5000Pa・s以下となるような温度
    条件で行うことを特徴とする請求項4記載のトナー用樹
    脂組成物の製造方法。
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