JP2005171108A - 顔料水分散体の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶媒及び水を使用し、顔料水分散体の製造後に、使用した有機溶媒及び水を、例えば、顔料分散体の製造時に使用される有機溶媒等として容易に再利用することができ、更に、インクジェット記録用水系に使用した際に、印字ヨレがなく、耐水性に優れるインクジェット記録用顔料水分散体の製造法を提供すること。
【解決手段】(A)塩生成基を有する水不溶性ポリマーを、水100 重量部に対する20℃での溶解度が30重量部以下である有機溶媒に溶解させ、(B)前記工程(A)で得られた水不溶性ポリマー溶液、顔料、中和剤及び水を混合して分散処理し、(C)前記工程(B)で得られた顔料分散体から有機溶媒を除去することにより、顔料水分散体を製造し、(D)前記工程(C)で除去された有機溶媒を前記工程(A)の有機溶媒として用いて、更に前記工程(A)〜(C)を行うインクジェット記録インク用顔料水分散体の製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、顔料水分散体の製造法に関する。更に詳しくは、インクジェット記録用水系インクに好適に使用しうるインクジェット記録用顔料水分散体の製造法に関する。
インクジェットプリンターに使用されるインクには、耐水性や耐光性を向上させるために、近年、顔料インクが使用されている。
顔料インクの製造法としては、親水性有機溶媒と水との混合液中で顔料を微粒化(分散処理)し、次いで脱溶媒する方法(例えば、特許文献1参照)や、ポリマーの有機溶媒溶液中に着色剤を分散させ、これを水性媒体と混合して転相乳化を行い、有機溶媒を除去する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
これらの製造法においては、顔料インクの最終的形態は水系であるが、製造する際に有機溶媒が使用されているため、脱溶媒工程により、有機溶媒が除去されている。この脱溶媒工程において、減圧蒸留法を採用した場合、蒸留の際に有機溶媒とともに一部の水も同時に留出するため、有機溶媒と水との混合液が留去することになる。この混合液は、地球環境保護の観点及び生産コスト低減の観点から再利用することが望ましいが、この混合液を再利用した場合、純粋な有機溶媒又は水を使用した場合と対比して、配合組成にズレが生じたり、所望の顔料分散体が得られなくなることがある。
そこで、留出させた混合液を有機溶媒と水とに分離することが考えられているが、親水性有機溶媒を用いた場合には、分離施設が必要となるのみならず、煩雑な分離操作を要するので、生産性の面で好ましくない。
特開平8-218013号公報 特開平8-183920号公報
本発明は、有機溶媒及び水を使用し、顔料水分散体の製造後に、使用した有機溶媒及び水を、例えば、顔料分散体の製造時に使用される有機溶媒等として容易に再利用することができ、更に、インクジェット記録用水系に使用した際に、印字ヨレがなく、耐水性に優れるインクジェット記録用顔料水分散体の製造法を提供することを課題とする。
本発明は、
(A)塩生成基を有する水不溶性ポリマーを、水100 重量部に対する20℃での溶解度が30重量部以下である有機溶媒に溶解させ、
(B)前記工程(A)で得られた水不溶性ポリマー溶液、顔料、中和剤及び水を混合して分散処理し、
(C)前記工程(B)で得られた顔料分散体から有機溶媒を除去することにより、顔料水分散体を製造し、
(D)前記工程(C)で除去された有機溶媒を前記工程(A)の有機溶媒として用いて、更に前記工程(A)〜(C)を行うインクジェット記録インク用顔料水分散体の製造法
に関する。
本発明の製造法によれば、有機溶媒及び水を使用し、顔料水分散体の製造後に、使用した有機溶媒及び水を、例えば、顔料分散体の製造時に使用される有機溶媒等として容易に再利用することができ、更に、得られた顔料水分散体は、インクジェット記録用水系に使用した際に、印字ヨレがなく、耐水性に優れるという効果を奏する。
有機溶媒の中では、水100 重量部に対する20℃における溶解度が30重量部以下であり、該有機溶媒100 重量部に対する20℃における水の溶解度が30重量部以下であることを満足する有機溶媒が、水と有機溶媒とを分離して回収する観点から好ましい。この有機溶媒を用いた場合には、有機溶媒に富む成分と、水に富む成分との分離が容易となることから、該有機溶媒及び水をいずれも有効に再利用することができる。この有機溶媒の例としては、(a) ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、(b) ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;(c) 塩化メチレン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;(d) メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の水に難溶性のケトン系溶媒;(e)1- ブタノール、2-ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール等の水に難溶性のアルコール系溶媒等が挙げられる。
前記有機溶媒の中では、有機溶媒及び水を分離して回収し、再利用する観点から、水100 重量部に対する20℃での溶解度が3重量部以下である有機溶媒であって、該有機溶媒100 重量部に対する20℃での水の溶解度が3重量部以下であることを満足する有機溶媒が特に好ましい。この有機溶媒の例としては、前記(a) 芳香族炭化水素系溶媒、(b) 脂肪族炭化水素系溶媒及び(c) ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられる。
なお、前記有機溶媒のなかでは、水不溶性ポリマーの溶解性の観点から、トルエン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
有機溶媒の量は、水不溶性ポリマーを十分に溶解させる観点から、水不溶性ポリマーの樹脂固形分100 重量部に対して、好ましくは50重量部以上、より好ましくは100 〜500 重量部である。
水不溶性ポリマーは、20℃において、前記有機溶媒に本質的に可溶な水不溶性ポリマーであり、前記有機溶媒に溶解させて用いられる。
水不溶性ポリマーは、顔料分散体の分散安定性を高める観点から、塩生成基を有する。この場合、塩生成基は、中和剤により中和されていることが好ましい。
中和剤は、水不溶性ポリマーが有する塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を用いることができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。塩生成基を有する水不溶性ポリマーの中和度には、特に限定がないが、通常、得られる顔料分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜9となるように調整することが好ましい。
なお、塩生成基を任意の中和度で中和させた後の水不溶性ビニルポリマーの25℃の水に対する溶解度は、水系インクの低粘度化の観点から、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましい。
水不溶性ポリマーの例としては、ビニル系水不溶性ポリマー、ポリエステル系水不溶性ポリマー、ポリウレタン系水不溶性ポリマー等が挙げられる。水不溶性ポリマーの中では、ビニル系水不溶性ポリマーが好ましい。
塩生成基を有するビニル系水不溶性ポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(A)及び疎水性モノマー(B)を重合させることによって得られるものが好ましい。なお、本発明の課題を解決しうる範囲内であれば、他のモノマーを併用することもできる。
塩生成基含有モノマー(A)としては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが挙げられる。
アニオン性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸〔(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を意味する〕、スチレンカルボン酸、マレイン酸系モノマー〔無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸モノアミド、又はそれらの混合物を意味する〕、イタコン酸等が挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、例えば、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-(N',N'- ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサフェート等が挙げられる。これらの中では、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
疎水性モノマー(B)としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリレート類が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中では、耐水性及び耐擦過性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれた1種以上がより好ましい。
水不溶性ビニルポリマーにおける塩生成基含有モノマー(A)の含量(原料基準)は、得られる顔料水分散体の分散安定性の観点から、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜45重量%、更に好ましくは7〜40重量%である。
水不溶性ビニルポリマーにおける疎水性モノマー(B)の含量(原料基準)は、印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは5〜93重量%、より好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは15〜75重量%である。
水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、上記したモノマーを重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法に用いられる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。
極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物が好適である。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001 〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマーの重合条件は、ラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100 ℃、より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、好ましくは1〜20時間である。重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈殿、溶媒留去等の公知の方法により、生成したビニルポリマーを単離することができる。
水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、本発明の製造法で得られた顔料水分散体をインクジェット記録用水系インクに用いる場合には、印刷後のインクの耐久性を高める観点から、10000 〜300000であることが好ましい。
水不溶性ポリマーの量は、顔料分散体における顔料の分散安定性を高める観点から、顔料100 重量部に対して、好ましくは10〜200 重量部、より好ましくは20〜50重量部である。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要により、それらに体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクでは、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ベリレン顔料、ベリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
水としては、特に限定がなく、通常用いられている市水、精製水等を用いることができる。水の量は、水不溶性ポリマー、顔料、有機溶媒及び水を含有する混合物を分散処理する際に、連続相を水にする観点から、有機溶媒100 重量部に対して、好ましくは100 〜500 重量部、より好ましくは150 〜300 重量部である。
本発明では、まず、塩生成基を有する水不溶性ポリマーを水100 重量部に対する20℃での溶解度が30重量部以下である有機溶媒に溶解させることにより、ポリマー溶液を調製する。次に、得られたポリマー溶液、顔料、有機溶媒、中和剤及び水を混合することにより、混合物を調製する。かかる混合物を製造する方法には、特に限定がなく、公知の方法であればよい。例えば、これらの成分をすべて一度に混合してもよく、あるいはこれらの成分をいくつかに分けて混合してもよい。混合の際には、混合装置を用いることができる。混合装置としては、例えば、ディスパー等の高速攪拌型分散機等が挙げられる。
混合物を分散処理する際には、分散装置を用いることができる。分散装置としては、例えば、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速回転型分散機等が挙げられる。これらの中では、無機不純物の混入量を低減する観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
高圧ホモジナイザーとしては、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するもの、処理液の流路の幅を調整しうる均等バルブを有するもの等が挙げられる。処理液の流路が固定されたチャンバーを有する高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製、商品名)、ナノマイザー(ナノマイザー社製、商品名)、アルティマイザー(スギノマシン社製、商品名)等が挙げられる。均質バルブを有する高圧ホモジナイザーとしては、高圧ホモジナイザー(ラニー社製、商品名)、高圧ホモジナイザー〔三丸機械工業(株)製、商品名〕、高圧ホモジナイザー(イズミフードマシナリ社製、商品名)等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーで分散する際の圧力は、所望の粒径を有する顔料分散体を短時間で容易に得ることができることから、50MPa 以上が好ましく、80MPa 以上がより好ましい。分散処理を1回行っただけでは、顔料の粒径が所望の粒径にならない場合には、適当な回数の分散処理を行うことが好ましい。
次に、得られた顔料分散体から有機溶媒及び必要により水を除去する。有機溶媒及び水を除去する方法には特に限定がない。通常、その除去方法としては、減圧蒸留法、特に薄膜式減圧蒸留法が加熱面積が広く、留出速度が大きい観点から好ましい。
なお、有機溶媒の除去量は、特に限定がなく、通常、実質的に有機溶媒全量を除去することが好ましい。除去された有機溶媒は、コンデンサー等により凝縮させ、回収タンクで回収することができる。
また、除去される水とは、有機溶媒を蒸留により除去する際に有機溶媒とともに留出する水、及び有機溶媒を除去した後の顔料水分散体の固形分濃度を任意の値に調整するために除去する水である。
本発明においては、水100 重量部に対する20℃での溶解度が30重量部以下である有機溶媒が用いられているので、蒸留によって回収された有機溶媒と水とを含む溶媒は、静置することにより、有機溶媒と水層との2層に層分離するため、有機溶媒と水とにそれぞれ分離させて回収することができる。
回収された有機溶媒は、例えば、前記混合物に含有される有機溶媒として、水不溶性ポリマーを調製する際に用いられる重合溶媒として、あるいは水不溶性ポリマーを溶解させる際の有機溶媒として好適に再利用することができる。
また、回収された水は、例えば、前記混合物に含有される水として好適に再利用することができる。
このように、本発明においては、回収された有機溶媒及び水は、分散体から除去し、回収し、再利用することができるので、廃液量の低減を図ることができる。
かくして顔料水分散体が得られるが、得られた顔料水分散体を例えば、インクジェット記録用水系インクに用いる場合には、必要に応じて、遠心分離、フィルター濾過等により、顔料水分散体から粗大粒子を除去してもよい。
顔料水分散体に含まれている顔料の平均粒径は、インクジェットプリンターにおけるノズルの目詰まり防止及び保存安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5 μm、より好ましくは0.02〜0.3 μm、更に好ましくは0.04〜0.20μmである。かかる平均粒径は、例えば、高圧ホモジナイザーで分散処理する際の圧力及び処理回数を調整することにより、調整することができる。
インクジェット記録用水系インクは、前記顔料水分散体のみから構成されていてもよく、必要に応じて、顔料分散体に潤滑剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を添加することにより、得ることができる。
製造例1
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部、スチレン7.5 重量部、n-ドデシルメタクリレート3重量部、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート10重量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート〔新中村化学(株)製、商品名:NK エステルM40G〕20重量部、スチレンマクロマー〔東亜合成(株)製、商品名:AS-6(スチレン単独重合マクロマー、数平均分子量:6000 、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基)〕5重量部及びメルカプトエタノール0.2重量部からなる初期仕込みモノマーを仕込み、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、スチレン7.5 重量部、n-ドデシルメタクリレート5重量部、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート15重量部、メトキシポリエチレングリコール(4) メタクリレート20重量部、スチレンマクロマー〔東亜合成(株)製、商品名:AS-6(スチレン単独重合マクロマー、数平均分子量:6000 、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基)〕5重量部、メルカプトエタノール1.8 重量部、メチルエチルケトン60重量部及び2,2'- アゾビス(2,4- ジメチルバレロニトリル)1.2重量部からなる滴下モノマーを入れ、十分に窒素置換を行った。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2'- アゾビス(2,4- ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液の一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルバーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果、重量平均分子は、15000 であった。
得られた共重合体溶液を減圧乾燥させて水不溶性ポリマーを得た。
実施例1
<1サイクル目>
製造例1で得られた水不溶性ポリマー5重量部をトルエン15重量部に溶解させ、更にカーボンブラック(キャボット社製、商品名:Monarch 880) 5重量部を加え、ディスパーで30分間混合した。
更に、得られた混合物にイオン交換水30重量部及び50%グルコン酸水溶液5.2 重量部を添加し、ディスパーで30分間混合し、次いでマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製、商品名)で、150MPaの圧力で5パス分散処理し、顔料分散体を得た。
この顔料分散体52.2重量部に、更にイオン交換水20重量部を加え攪拌した後、ロータリーエバポレータを用いた減圧蒸留法にて、減圧下60℃でトルエンと一部の水を蒸発させることにより、固形分濃度が25重量%の顔料水分散体を得た。
得られた顔料水分散体を、平均孔径5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フィルム(株)製〕を取り付けた容量50mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子除去物を得た。
得られた粗大粒子除去物32重量部、グリセリン5重量部、尿素10重量部、アセチレングリコール・ポリエチレンオキサイド付加物〔川研ファインケミカル(株)製、商品名:アセチレノールEH〕1重量部及びイオン交換水52重量部を混合し、得られた混合液を平均孔径0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フィルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、水系インクを得た。
一方、顔料水分散体を調製する際に、蒸発させたトルエン及び水をコンデンサーにより凝縮させ、受槽に回収した。受槽内の凝縮物は、2層に分離していた。2層に分離した凝縮物の上層及び下層の一部をそれぞれガスクロマトグラフィで分析したところ、上層はトルエン99.95 重量%及び水0.05重量%であり、下層はトルエン0.04重量%及び水99.96 重量%であった。
<2サイクル目>
製造例1で得られた水不溶性ポリマー5重量部を1サイクル目で回収した凝縮物の上層15重量部に溶解させ、その溶液に更にカーボンブラック(キャボット社製、商品名:Monarch 880) 5重量部を加え、ディスパーで30分間混合した。
得られた混合物に、1サイクル目で回収した下層14.9重量部、イオン交換水15.1重量部及び50%グルコン酸水溶液5.2 重量部を添加し、ディスパーで30分間混合し、次いで1サイクル目と同様にしてマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製、商品名)で、150MPaの圧力で5パス分散処理し、顔料分散体を得た。
次に、1サイクル目と同様にして、顔料分散体を処理することにより、顔料水分散体及び水系インクを得た。
実施例2
<1サイクル目>
実施例1において、トルエン15重量部の代わりに、メチルエチルケトン(以下、MEK という)15重量部を用いた以外は、実施例1の1サイクル目と同様にして顔料分散体を得た。
次に、実施例1と同様にしてMEK と一部の水を蒸発させ、固形分濃度が25重量%の顔料水分散体を得た。得られた顔料水分散体を用いて、実施例1と同様の処理を行い、水系インクを得た。
蒸発させたMEK 及び水をコンデンサーにより凝縮させ、受槽に回収した。受槽内の凝縮物は、2層に分離していた。2層に分離した凝縮物の上層及び下層の一部をそれぞれガスクロマトグラフィで分析したところ、上層はMEK91.2 重量%及び水8.8 重量%であり、下層はMEK22.1 重量%及び水77.9重量%であった。
<2サイクル目>
製造例1で得られた水不溶性ポリマー5重量部を1サイクル目で回収した凝縮物の上層12.2重量部に溶解させ、得られた溶液に更にカーボンブラック(キャボット社製、商品名:Monarch 880)5重量部を加え、ディスパーで30分間混合した。
得られた混合物に、更に1サイクル目で回収した下層17.7重量部、イオン交換水12.3重量部及び50%グルコン酸水溶液5.2 重量部を添加し、ディスパーで30分間混合し、次いで1サイクル目と同様にしてマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製、商品名)で、150MPaの圧力で5パス分散処理し、顔料分散体を得た。
次に、1サイクル目と同様にして、顔料分散体を処理することにより、顔料水分散体及び水系インクを得た。
比較例1
<1サイクル目>
実施例1において、トルエン15重量部の代わりに、有機溶媒としてアセトン15重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして顔料分散体を得た。
次に、実施例1と同様にしてアセトンと一部の水を蒸発させ、固形分濃度が25重量%の顔料水分散体を得た。
蒸発させたアセトン及び水はコンデンサーにより凝縮し、受槽に回収した。得られた凝縮物は、分層せず、均一な溶液であった。
凝縮物の一部をガスクロマトグラフィで分析したところ、アセトン50.1重量%及び水49.9重量%であった。
<2サイクル目>
製造例1で得られた水不溶性ポリマー5重量部を1サイクル目で回収した凝縮物15重量部に溶解させようとしたが、水不溶性ポリマーが溶解せず、均一な混合物が得られなかった。
実施例1〜2及び比較例1で得られた顔料水分散体の平均粒径を平均粒径測定装置(コールター社、商品名:N4)で測定した。また、水系インクについて、下記方法により印字物のヨレ及び耐水性を調べた。その結果を表1に示す。
(1) 印字物のヨレ
市販のヒューレット・パッカード(HEWLETT PACKARD) 社製のバブルジェットプリンター(型番:Desk Jet-720C)を用い、罫線を印刷したときのヨレの度合いを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:ヨレなし
○:殆どヨレなし
△:少しヨレあり
×:ヨレあり
(2) 耐水性
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度を測定後、静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を式:
〔残存率〕=(〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
[評価基準]
○:残存率95%以上
△:残存率85%以上95%未満
×:残存率85%未満
Figure 2005171108
表1に示された結果から、各実施例では、特定の有機溶媒が用いられているので、1サイクル目で回収した有機溶媒及び水を再利用しても、1サイクル目と同等の平均粒径を有する顔料水分散体が得られ、また、印字特性も1サイクル目と同等であることがわかる。したがって、1サイクル目で回収された有機溶媒及び水は、いずれも2サイクル目における混合物に含有される有機溶媒及び水として再利用することができることがわかる。
本発明の製造法によって得られた顔料水分散体は、水系インク、なかでも特にインクジェット記録用水系インクに好適に使用しうるものである。

Claims (2)

  1. (A)塩生成基を有する水不溶性ポリマーを、水100 重量部に対する20℃での溶解度が30重量部以下である有機溶媒に溶解させ、
    (B)前記工程(A)で得られた水不溶性ポリマー溶液、顔料、中和剤及び水を混合して分散処理し、
    (C)前記工程(B)で得られた顔料分散体から有機溶媒を除去することにより、顔料水分散体を製造し、
    (D)前記工程(C)で除去された有機溶媒を前記工程(A)の有機溶媒として用いて、更に前記工程(A)〜(C)を行うインクジェット記録インク用顔料水分散体の製造法。
  2. 減圧蒸留法により、前記分散体から有機溶媒を除去する請求項1記載の製造法。
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