JP2007291166A - インクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体及びインクジェット記録用水性インク - Google Patents

インクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体及びインクジェット記録用水性インク Download PDF

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Abstract

【課題】より優れた耐擦過性の着色画像が得られるインクジェット記録用水性インク及びそれを調製するための水性顔料分散体を提供する。
【解決手段】カーボンブラック又は有機顔料(A)と、酸基含有エチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)と、塩基性物質(C)と、水(D)とを必須成分として含有してなるインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体において、前記共重合体(B)として、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体、及び前記した水性顔料分散体を含有してなるインクジェット記録用水性インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体及びインクジェット記録用水性インクに関する。
(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸の炭素原子数14〜20のアルコールエステル系単量体とを、必須成分として共重合して得られる共重合体を含有するインクジェット記録用水性インクは、よく知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、この様な共重合体を含むインクジェット記録用水性インクは、インクジェット用専用紙上における着色画像の耐擦過性が不充分であるという欠点があった。
特開2002−88285公報
本発明は、インクジェット用専用紙上における着色画像の耐擦過性に、より優れたインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
そこで本発明者等は、従来の共重合体に含有される、直鎖の長鎖アルキル基を分岐した長鎖アルキル基とすることにより、前記した課題が解決されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、カーボンブラック又は有機顔料(A)と、酸基含有エチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)と、塩基性物質(C)と、水(D)とを必須成分として含有してなるインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体において、前記共重合体(B)として、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体を提供する。
また本発明は、前記した水性顔料分散体を含有してなるインクジェット記録用水性インクを提供する。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルの重合単位を含有する共重合体を含有しているので、(メタ)アクリル酸の直鎖のアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルの重合単位を含有する共重合体を含有する場合に比べて、インクジェット用専用紙上において、より優れた耐擦過性の着色画像が得られるという格別顕著な効果を奏する。
また本発明の水性顔料分散体は、前記したインクジェット記録用水性インクを簡便に調製することが出来るという格別顕著な効果を奏する。
次に本発明を詳細に説明する。
本発明は、カーボンブラック又は有機顔料(A)と、酸基含有エチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)と、塩基性物質(C)と、水(D)とを必須成分として含有してなるインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体において、前記共重合体(B)として、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体である。
本発明では、酸基含有エチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)として、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体を用いることを特徴とする。
本発明においては、この様な水性顔料分散体に含有させる共重合体(B)を、(メタ)アクリル酸の直鎖アルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体ではなく、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体とすることで、インクジェット記録用専用紙上において、より優れた耐擦過性の着色画像を得る。
本発明におけるカーボンブラック又は有機顔料(A)としては、公知慣用のカーボンブラックや有機顔料がいずれも使用出来る。有機顔料としては、具体的には例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、インダンスレン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体である。
(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルとしては、例えば、iso−ドデシル(メタ)アクリレート〔iso−ラウリル(メタ)アクリレート〕、iso−オクタデシル(メタ)アクリレート〔iso−ステアリル(メタ)アクリレート〕等が挙げられる。中でも、着色画像の光沢の改良効果が優れる点で(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数15〜20のアルコールエステルを用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルは、質量換算で共重合体(B)を構成する全単量体を100部としたとき40〜90部、好ましくは65〜85部とすることが好ましい。
共重合体(B)における(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸とメタクリル酸とが挙げられる。
その他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等のベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレートの様なアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
その他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの様な(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを併用すると、水性媒体中での分散安定性付与の点で好ましい。
必要であれば、更にプロトンが露出した構造の燐酸基を含有するモノエチレン性不飽和単量体を併用することも出来る。この様な単量体としては、例えば、ビニルホスホン酸、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシモノ(ε−カプロラクトシキシ)エチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシジ(ε−カプロラクトシキシ)エチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシトリ(ε−カプロラクトシキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の共重合体(B)は、燐酸基とポリオキシアルキレン基の機能を分離させて、燐酸モノマーとしてのアシッドホスホシキアルキルモノ(メタ)アクリレートと、前記したその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体としてのアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとを組合せて用いたこれらの重合単位を含有する共重合体であっても良いが、各官能基の機能が統合された、燐酸基とポリオキシアルキレン基とを一分子中に含有する燐酸モノマーであるアシッドホスホキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを用いたこれの重合単位を含有する共重合体であることが、専用紙における着色画像の光沢性をより高められる点で好ましい。アシッドホスホシキアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、アシッドホスホシキエチルモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホシキプロピルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合制御の容易さの観点から、本発明における好適な前記燐酸基を含有するモノエチレン性不飽和単量体は、アシッドホスホキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートであり、これに該当するモノマーとしては、例えば、アシッドホスホキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。親水性を高める観点からは、アシッドホスホキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートに含有されるポリオキシアルキレン骨格は、ポリオキシエチレン骨格のみ又はポリオキシエチレンを主体としたポリオキシアルキレン骨格であることが好ましい。燐酸モノマーとしては、ユニケミカル株式会社のPhosmer(ホスマー)M、同PE、同PP等や、米国デュポン社製のモノマーが挙げられる。
共重合体(B)は、ジアリール−2−(メタ)アクロイルオキシアルキルホスフェートの重合単位を含有していても良い。これは、燐酸由来の原子団を含有するが、それが酸として機能し難い様に、プロトンをアリール基で置換し末端封鎖された構造を有する。このアリール基としては、例えば、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル基等が挙げられる。
ジアリール−2−(メタ)アクロイルオキシアルキルホスフェートとしては、下記式で表される様な、例えば、ジフェニル−2−(メタ)アクロイルオキシエチルホスフェートが、大八化学工業株式会社製MR−260として知られている。
Figure 2007291166
共重合体(B)は、例えば、酸価40〜220mgKOH/g、中でもより水に分散させた際の分散性や分散安定性及び印字の光沢性により優れる点で、酸価70〜160mgKOH/gであることが好ましい。ここで酸価とは、共重合体の不揮発分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を言う。理論酸価は、用いた酸基含有エチレン性不飽和単量体の使用量に基づいて算術的に求めることも出来る。酸価が低すぎる場合には顔料分散性が低下するので好ましくない。酸価が高すぎる場合には、着色画像の耐水性が低下するのでやはり好ましくない。共重合体(B)を該酸価の範囲内とするには、(メタ)アクリル酸を必須として必要に応じて併用されるその他の酸基含有エチレン性不飽和単量体を、前記酸価の範囲内となる様に含めて共重合すれば良い。
本発明における共重合体(B)は、前記必須の単量体の三元共重合体であっても更にその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体との四元以上の多元共重合体であっても良い。
本発明で用いる共重合体(B)は、モノエチレン性不飽和単量体の重合単位のみの線状(リニアー)共重合体であっても、各種の架橋性を有するエチレン性不飽和単量体を極少量共重合させ、一部架橋した部分を含有する共重合体であっても良い。
この様な架橋性を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートや、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明における共重合体(B)の分子量としては特に制限されないが、例えば、皮膜形成性の観点から、重量平均分子量5,000〜1000,000、中でも、低粘度で取り扱いが容易な点で、5,000〜20,000であることが好ましい。
本発明では、共重合体(B)において、用いる各単量体の反応率等は略同一と考えて、各単量体の仕込割合を、各単量体の重合単位の質量換算の含有割合と見なすものとする。本発明における共重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することが出来る。この際には、公知慣用の重合開始剤、連鎖移動剤(重合度調整剤)、界面活性剤及び消泡剤を併用することも出来る。
共重合体(B)における中和された酸基は、通常30〜100%、特に70〜100%の範囲に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。
共重合体(B)を中和する塩基性物質(C)としては、公知慣用のものがいずれも使用出来、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの様な無機塩基性物質や、トリエチルアミン、アルカノールアミンの様な有機塩基性物質を用いることが出来る。
本発明の水性顔料分散体は、これらカーボンブラック又は有機顔料(A)、共重合体(B)、塩基性物質(C)とを水(D)中に含有してなる。本発明における水(D)としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等、pH6.5〜7.5かつ遊離イオンを含有しない水が好ましい。
本発明の水性顔料分散体では、質量基準で、共重合体(B)不揮発分/有機顔料(A)は、0.2〜2.0であることが好ましい。この共重合体(B)/有機顔料(A)は、中でも0.2〜1.0であることがより好ましく、特に0.20〜0.65であることが最も好ましい。この比率が低すぎる場合には、着色画像の耐擦過性と水性インク自体の保存安定性が低下し、逆に高すぎる場合には水性インクの粘度が高くなり、その吐出安定性が損なわれる傾向があり好ましくない。
本発明の水性顔料分散体は、例えば、有機顔料(A)と、共重合体(B)と、塩基性物質(C)と、水(D)とを必須成分として混合することで調製することが出来る。ここでは、単純な混合分散の他、転相乳化法や酸析法を採用することも出来る。
水性顔料分散体や水性顔料インクにおいては、共重合体(B)に基づく酸基により顔料粒子と共重合体との相互作用をより強く働かせて分散粒子の分散安定性等を高め、共重合体(B)を分散粒子の最外層に位置させることにより、専用紙上における着色画像の光沢や耐擦過性を高めることが、より効果的である。従って、転相乳化法や酸析法により製造される水性顔料分散体は、その他の方法により製造される水性顔料分散体に比べ、分散粒子の分散安定性が高いだけでなく、着色画像の光沢や耐擦過性も良好となるので好ましい。また、水性顔料分散体の粘度も低くすること出来る。インクジェット記録方式では、ノズルからインク液滴を飛ばすためにはそれが低粘度であることが望まれることから、それを調製するための水性顔料分散体自体の粘度も低いことが好まれる。
本発明では、有機顔料(A)、共重合体(B)、塩基性物質(C)及び水(D)からなる混合物を任意の順序で混合し分散する工程を必須として含ませることが好ましい。水(D)は、水100%であるのが最適ではあるが、水と有機溶剤との混合物であって、質量換算で水を60%以上含有する水性媒体であっても良い。水溶性有機溶剤を水に併用することにより、分散工程における液粘度を低下させることが出来る場合がある。
水溶性有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール(IPA)、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素原子数が3〜6のケトン及び炭素原子数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は、前記共重合体溶液として用いられても良く、別途独立に分散工程中において前記混合物中に含有させても良い。
本発明における水性顔料分散体の調製に当たっては、最適には、質量換算で有機顔料(A)100部当たり、共重合体(B)の不揮発分20〜65部かつ水溶性有機溶剤を含む水性媒体235〜280部となる様に、前記した原料を用いて製造することが出来る。
分散工程において用いることの出来る分散装置としては、既に公知の種々の方式による装置がいずれも使用出来、特に限定されるものではない。この様な分散装置としては、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式の分散装置を挙げることが出来る。
こうした分散工程を実施することで、共重合体(B)を含有する液媒体中に有機顔料(A)が分散した状態が形成される。
分散工程に引き続き、分散工程において水溶性有機溶剤を使用した場合に、これを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程(蒸留工程)を実施することが出来る。本発明の水性顔料分散体としては水溶性有機溶剤を含まないものが臭気がなく、作業環境を良好と出来る点で好ましい。
水性顔料分散体は、分散到達レベル、分散所要時間及び分散安定性の全ての面で、より優れた特性を発揮させるに当たって、前記した通り、有機顔料(A)と共重合体(B)とは、より相互作用が強く働き分散していることが好ましい。この水性顔料分散体は、分散粒子径がメジアン径で200nm以下となる様に調製されることが好ましい。
本発明の水性顔料分散体は、前記した通り、有機顔料(A)と、共重合体(B)と、塩基性物質(C)と、水(D)とを必須成分として混合することで調製することが出来る。この混合は、各成分を任意の順序にて、混合して撹拌することにより容易に調製することが出来る。
こうして得られた水性顔料分散体は、そこに、インクジェット記録用水性インクの技術分野で公知慣用となっている各種添加剤、液媒体を含有させることにより、インクジェット記録用水性インクとすることが出来る。具体的には、水性顔料分散体は、質量基準で、顔料固形分1〜10%となる様に水やその他の液媒体で希釈することで、インクジェット記録用水性インクとすることが出来る。粗大粒子や過小粒子の除去や、分散粒子の粒子径分布を調整するために、超遠心分離やミクロフィルターによる濾過を更に行っても良い。
こうして得られたインクジェット記録用水性インクは、公知慣用の被記録媒体に印字記録することが出来る。この際の被記録媒体としては、例えば、PPC紙の様な普通紙、写真用紙(光沢)、写真用紙(絹目調)等の様なインクジェット用専用紙、OHPフィルムの様な合成樹脂フィルム、アルミニウム箔の様な金属箔等の各種フィルム・シートが挙げられる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
<合成例1>
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にMEK550部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置より、iso−ステアリルアクリレート378部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート37.5部、メタクリル酸84.5部および「パーブチル(登録商標)O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)40.0部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させた後、MEKの一部を減圧留去し、不揮発分を50%に調整し、酸価110、重量平均分子量14,500の共重合体S−1のMEK溶液を得た。
<合成例2>
iso−ステアリルアクリレート378部を、同量のアルキル基が直鎖のラウリルメタクリレートに変更した以外は上記合成例1と同様にして、酸価110、重量平均分子量46,000の共重合体S−2のMEK溶液を得た。
(水性顔料分散体の製造)
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、ファーストゲン(登録商標)ブルー TGR〔大日本インキ化学工業(株)製β型銅フタロシアニン顔料。C.I.ピグメント ブルー15:3。〕1000gと、合成例1で得た共重合体S−1溶液600部、20%水酸化カリウム水溶液165部、MEK100部および水2605部を仕込み、攪拌、混合した。混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により4時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。
分散終了後、混合槽より分散原液を抜き採り、次いで水10,000部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。
ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、MEKの全量と水の一部を留去した。室温まで放冷後、ディスパー(TKホモディスパー20型、特殊機化工業(株)製)にて分散し、さらに水を加えて不揮発分を調整して、平均粒径197nmの不揮発分20%の水性顔料分散体S−1を得た。
<比較例1>(水性顔料分散体の製造)
合成例1で得た共重合体S−1溶液に代えて、同量の合成例2で得た共重合体S−2溶液を用いる以外は上記実施例1と同様にして、平均粒径181nmの不揮発分20%の水性顔料分散体S−2を得た。
(ピエゾ方式インクジェット記録用水性顔料インクの適性評価)
特開平7−228808号公報記載の実施例1を参考にして、本発明の実施例1の水性顔料分散体を用いてピエゾ方式インクジェット記録用水性顔料インクを調製した。インク組成を以下に示す。
水性顔料分散体(実施例1) 28.0部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0部
ジエチレングリコール 15.0部
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 0.8部
水 46.2部
(インクジェット記録用水性顔料インクの性能評価)
上記にて調製したインクジェット記録用水性顔料インクを、市販のピエゾ方式インクジェットプリンタ(MJ−8000C型、セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに充填し、各種の被記録媒体に印字した。下記の評価方法に従い、インクジェット用専用紙における光沢と、耐擦過性についての評価を行った。
(光沢の評価)
専用紙である、インク受理層を有する写真用紙(光沢)〔セイコーエプソン(株)製〕に、DUTY60%、80%及び100%(ベタ)にて印字した。BYKガードナー社製ヘイズグロスメータを用いて、得られた印字物表面の各20°グロス値を測定した。得られた各グロス値の合計値を、表中に光沢として表示した。これで専用紙特性としての光沢を判定した。
(耐擦過性の評価)
専用紙である、写真用紙(絹目調)〔セイコーエプソン(株)製〕を用いて評価を行った。同写真用紙にベタ印字を行い、印字直後、5分後及び10分乾燥後にそれぞれ印字部を指で擦過し、こすれ具合を目視で評価した。評価基準を以下に記す。
A:印字は全くとれない
B:印字は殆どとれず、下地は汚れない
C:印字が擦りとられるが、下地は汚れない
D:印字が擦りとられ、下地が汚れる
E:印字が顕著に擦りとられ、下地もひどく汚れる
表中、左側のアルファベットが印字直後、真中のそれが5分乾燥後、右側のそれが10分乾燥後の評価結果である。
〔比較例2〕
実施例1の水性顔料分散体に代えて、上記の比較例1の水性顔料分散体を用いてピエゾ方式インクジェット記録用水性顔料インクを調製し、同様に評価した。
これらの各評価項目の測定結果は、まとめて表1に示した。
表1
Figure 2007291166
上記表1からわかる通り、同一酸価での実施例2と比較例2との対比より、長鎖アルキル基部分が分岐した構造である重合単位を含有する共重合体を用いた本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、長鎖アルキル基部分が直鎖構造である重合単位を含有しない共重合体を用いた従来のインクジェット記録用水性顔料インクに比べて、耐擦過性が著しく改良されていることが明白である。また印字された着色画像の光沢にも改良が見られる。

Claims (3)

  1. カーボンブラック又は有機顔料(A)と、酸基含有エチレン性不飽和単量体とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体(B)と、塩基性物質(C)と、水(D)とを必須成分として含有してなるインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体において、前記共重合体(B)として、(メタ)アクリル酸の分岐したアルキル基を含有する総炭素原子数10〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸とその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを必須成分として重合してなる共重合体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体。
  2. 前記共重合体(B)が、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸の炭素原子数15〜20のアルコールエステルと(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとを必須成分として重合してなる共重合体を含有する請求項1記載の水性顔料分散体。
  3. 請求項1または2のいずれか一項に記載の水性顔料分散体を含有してなるインクジェット記録用水性インク。
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JP2015052058A (ja) * 2013-09-06 2015-03-19 キヤノンファインテック株式会社 インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド、及びインクジェット記録装置

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