JP2007137989A - 水系インクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有する混合物を、回転翼と撹拌槽を備えた混練装置を用いて、下記式(1)を満たす条件下で混練する工程を含む水系インクの製造方法、及びその方法で得られる水系インクである。
P/(C×L)≧ 3400 (1)
(式中、Pは正味所要動力[kW]、Cは回転翼先端と撹拌槽内壁との距離[m]、Lは回転翼の長さ[m]を示す。)
【選択図】なし
Description
そのため、混練機を用いて、顔料を含有する固形分濃度の高い混合物に強い剪断力を与え、顔料粒子の粒径をできるだけ小さくすることが検討されている。
また、少なくとも水に溶解又は自己分散可能な樹脂、顔料を含む混合物を混練する際に、混練機の負荷電流を、混練機の剪断速度で除した値が時間と共に増加した後、減少するように混練する水性顔料分散液用混練物の製造方法(特許文献2参照)が提案されている。
すなわち、本発明は、
〔1〕顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有する混合物を、回転翼と撹拌槽を備えた混練装置を用いて、下記式(1)を満たす条件下で混練する工程を含む、水系インクの製造方法。
P/(C×L)≧ 3400 (1)
(式中、Pは正味所要動力[kW]、Cは回転翼先端と撹拌槽内壁との距離[m]、Lは回転翼の長さ[m]を示す。)、及び
〔2〕前記〔1〕の製造方法で得られる水系インク、
を提供する。
次に、この混合物を、回転翼と撹拌槽を備えた混練装置を用いて、下記式(1)を満たす条件下で混練する。
P/(C×L)≧ 3400 (1)
(式中、Pは正味所要動力[kW]、Cは回転翼先端と撹拌槽内壁との距離[m]、Lは回転翼の長さ[m]を示す。正味所要動力は実所要動力から空転動力を差し引いた値である。)
以下、本発明の構成要素について、順次説明する。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーンオレンジ有機顔料等の有彩色顔料を用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメント・グリーン等の各品番製品が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクとしてはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
通常の顔料を自己分散型顔料とするには、アニオン性親水基又はカチオン性親水基の必要量を、公知の方法、例えば、酸によってカルボキシル基を導入する方法、過硫酸化合物の熱分解によってスルホン基を導入する方法、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基等を有するジアゾニウム塩化合物によってアニオン性親水基を導入する方法等により顔料表面に化学結合させればよい。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
塩生成基を有するポリマー(以下、単に「ポリマー」ということがある)としては、顔料を含有させることができる水不溶性ポリマー、又は顔料を分散させることができる水溶性ポリマーが挙げられる。これらの中では、水不溶性ポリマーが好ましい。水不溶性ポリマーを用いた場合には、顔料含有ポリマー粒子の水分散体が得られる。また、水溶性ポリマーを用いた場合には、顔料粒子の水分散体が得られる。したがって、水分散体としては、顔料含有ポリマー粒子又は顔料粒子(以下、総称して「分散粒子」ということがある)の水分散体を用いることができる。
ポリマーの重量平均分子量は、10,000〜300,000であることが印刷後のインクの耐久性を高める観点から好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイドを溶解したジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
水不溶性ポリマーとしては、塩生成基を有する、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水系分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
ここで、水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。上記溶解量は、該ポリマーが有する塩生成基の種類に応じて、酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量をいう。
水不溶性ポリマーは、十分な印字濃度を発現させる観点から、水不溶性グラフトポリマーであって、主鎖が、少なくとも塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と芳香環含有(メタ)アクリレートモノマー(b)由来の構成単位を含むポリマー鎖であり、側鎖が、少なくともスチレン系マクロマー(c)由来の構成単位を含むポリマー鎖であるものが好ましい。主鎖が、(a)成分由来の構成単位と(b)成分由来の構成単位を含有することで、塩生成基の運動性を高めることができると考えられる。
芳香環含有(メタ)アクリレートモノマー(b)としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ベンジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
スチレン系マクロマーの数平均分子量は、保存安定性を高めるために共重合比を高めつつ粘度を低く抑える等の観点から、1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6、AS−6S、AN−6、AN−6S、HS−6、HS−6S等が挙げられる。
ポリマーの塩生成基を中和するための中和剤としては、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
中和剤の量は、特に限定がなく、通常、得られる顔料の水分散液の液性が中性から弱アルカリ性、例えば、pHが4.5 〜9.5 、好ましくは7〜9.5 となるような量であることが好ましい。なお、顔料等と中和剤とを混合する前には、予めポリマーの塩生成基を中和しておいてもよい。
有機溶媒は、特に限定はないが、アルコール系、ケトン系、エーテル系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、ハロゲン化脂肪族炭化水素系等の有機溶媒が好ましい。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられ、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン等が挙げられ、脂肪族炭化水素系溶媒としては、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられ、ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒としては、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等が挙げられる。
これらの中では、ポリマーの溶解性の観点から、アセトン及びメチルエチルケトンが特に好ましい。
使用する水は特に限定はなく、イオン交換水、蒸留水、超純水、水道水等を用いることができる。これらの中では、イオン交換水、蒸留水及び超純水が好ましい。
水の量は、顔料とのなじみやすさの観点から、有機溶媒100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは50〜500重量部である。
顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有する混合物(以下、「原料混合物」という)を混練装置に投入する際には、各原料成分をそれぞれ別々に混練装置に投入してもよく、各原料成分を予め別容器で混合した後、一括して混練装置に投入してもよく、また、ポリマー、有機溶媒、水及び中和剤を予め回転翼等で混合し、得られた混合物と顔料とを混練装置に投入してもよい。これらの中では、ポリマーの中和及び顔料のなじみやすさの点から、ポリマー、中和剤、有機溶媒及び水を混練装置内で混合するか、又はこれらの原料を予め別容器内で混合した後、混練装置に投入し、次いで顔料を投入することが好ましい。
原料混合物中には、顔料及びポリマー以外に、中和剤、有機溶媒及び水が存在しているため、混練時に顔料に対するポリマーの吸着力が強くなり、微粒子化を十分に行うことができる。
固形分濃度を変化させる方法は、対象とする原料混合物によって適宜選ぶことができるが、例えば、混練前半は低い固形分濃度で顔料、ポリマー、中和剤、有機溶媒及び水を均一に混合し、混練後半は高い固形分濃度で有効な剪断力を原料混合物に与えて顔料の微粒子化を十分に行う方法を好ましく用いることができる。また、ポリマー溶液を使用する場合、仕込み時のポリマー溶液の固形分濃度が低いと、ポリマー溶液の粘度は低くなり、仕込み時のハンドリング性に優れるので、仕込み時のポリマー溶液の固形分濃度が低いことも好ましい。
原料混合物の固形分濃度を増加させる方法としては、例えば、揮発成分を留出させる方法、混練物に固形分を追加する方法などが挙げられ、必要に応じてこれらの方法を組合せることができる。また原料混合物の固形分濃度を減少させる方法としては、混練物に揮発成分を追加する方法などが挙げられる。必要に応じて固形分濃度を増加させる方法と減少させる方法とを組合せてもよい。
また、混練装置に空気や窒素などのキャリアガスを吹き込むと、揮発成分の留出量のコントロールを容易におこなうことができる。キャリアガスとしては、窒素などの不活性ガスが、混合物に反応の影響を与えないので好ましい。キャリアガスの量は揮発成分の留出量から適宜選ぶことができる。
なお揮発成分の留出は連続的におこなってもよいし、間欠的におこなってもよい。
P/(C×L)≧ 3400 (1)
(式中、Pは正味所要動力[kW]、Cは回転翼先端と撹拌槽内壁との距離[m]、Lは回転翼の長さ[m]を示す。)
ここで、回転翼先端と撹拌槽内壁との距離(C)、及び回転翼の長さ(L)について、図1に双腕型ニーダーの例を示し、図2にプラネタリーミキサーの例を示し、図3に連続式混練機の例を示す。
混練装置の混練機の種類及び撹拌槽の容量が変わった場合でも式(1)の条件下で混練することにより同様の混練動力を付与することができるため、同様の混練物を得ることができる。
顔料とポリマーをなじませて粗大粒子の残存量を低減させる観点から、〔P/(C×L)〕の値は好ましくは3400以上、より好ましくは3500以上である。なお、〔P/(C×L)〕の上限値は特に限定されないが、所要動力を低減させる観点から500,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。
ニーダーとしては、化学工学協会編「化学工学便覧」改訂五版(丸善株式会社発行)、917〜919頁に記載されているように、回分式と連続式とがあり、前者としては双腕型ニーダー等、後者としてはセルフクリーニング型ニーダー等が挙げられる。これらの中では、品種切替、槽内洗浄等の点から双腕型ニーダーが好ましい。
ニーダーの回転翼の種類に特に制限はない。具体的には、バンバリー型、シグマ型、ゼット型、スパイラル型(135°スパイラル型、180°スパイラル型)、フィッシュテイル型、鋸歯状型等の回転翼を用いることができる。これらの中では、バンバリー型が好ましい。
なお、双腕型ニーダーを用いた場合には、得られた混練物中に、粗大粒子が含まれる場合がある。この場合には、得られた混練物をさらにロールミルで混練することが好ましい。ロールミルとしては、2本ロールミルや3本ロールミルを用いることができる。その混練の際には、混練物の乾燥による凝集を回避するため、水を添加することが好ましい。
水及び/又は有機溶媒による希釈後の混練物の固形分濃度は、分散工程で処理しうる濃度であればよいが、通常10〜40重量%程度である。
希釈の際の媒体としては、通常、後工程で有機溶媒を除去することを考慮すれば、水が好ましい。混練物を希釈する際に使用する装置としては、例えば、ディスパーやバタフライミキサー等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーとしては、例えば、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するもの、処理液の流路の幅を調整しうる均質バルブを有するもの等が挙げられる。
処理液の流路が固定されたチャンバーを有する高圧ホモジナイザーとしては、例えば、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製、商品名)、ナノマイザー(ナノマイザー社製、商品名)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン製、商品名)等が挙げられる。また、均質バルブを有する高圧ホモジナイザーとしては、高圧ホモジナイザー(ラニー社製、商品名)、高圧ホモジナイザー(三丸機械工業株式会社製、商品名)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社製、商品名)等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーで分散する際の圧力は、所望の粒径を有する分散粒子を短時間で容易に得る観点から、好ましくは50MPa以上、より好ましくは80MPa以上である。
この水分散体を用いて水系インクを製造する際には、この水分散体から有機溶媒を除去することが好ましい。有機溶媒は、薄膜式減圧蒸留法、減圧蒸留法等により除去することができる。また、必要に応じて、遠心分離、フィルター濾過等により、この水分散体から粗大粒子を除去してもよい。
水分散体には、必要に応じて、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を添加することにより、水系インクを得ることができる。
水系インクにおける水分散体中の固形分の含有量は、印字濃度及び吐出安定性の観点から、水系インクに含まれている分散粒子の含有量が1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%となるように調整することが望ましい。
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、および表1に示す組成のモノマー混合物200重量部の10重量%(すなわち、20重量部)を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下漏斗に、表1に示す組成のモノマー混合物の残りの90重量%(すなわち、180重量部)を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン60重量部および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下漏斗内の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を反応容器に入れ、さらに65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの重量平均分子量を、溶媒として60mmol/Lのリン酸および50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有したジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、ポリスチレン換算として求めた。重量平均分子量は173,000であった。
得られたポリマー溶液にさらにメチルエチルケトンを加えて希釈、あるいはロータリーエバポレータでメチルエチルケトンを留出させることにより濃縮して、ポリマー溶液の濃度を調整した(表1参照)。
前記ポリマー溶液に5規定の水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を表1に示す組成となるように10Lニーダー(株式会社モリヤマ製SH10−10、撹拌槽容量10L、バンバリー型回転翼、回転翼の長さ0.26m、回転翼先端と撹拌槽内壁との距離2mm)に仕込み、15分間混合した。
次に、キナクリドン顔料(大日本インキ化学工業株式会社、商品名:ファストゲン スーパー マゼンタ RG)をこれに加えた。その際の固形分濃度は、78重量%であった。
このニーダーに蓋をし、密閉状態にして、ジャケットに1℃の冷却水を流し、53℃で160分間混練(回転数44rpm、正味所要動力2.5kW)して混練物を得た。
得られた混練物に、イオン交換水を加えながら、混練物濃度50〜60重量%にて3本ロールミルで混練した後、イオン交換水を加えて希釈し、混練物濃度25重量%とした後、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社製)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散処理物にイオン交換水を加えて分散処理物物濃度20重量%として攪拌した後、減圧下60℃で有機溶媒と一部の水を除去し、さらに平均孔径5μm のフィルター(日本ポール株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去し、固形分濃度が25重量%の顔料含有ポリマー粒子の水分散体を得た。
次に、得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散体32重量部、グリセリン10重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル7重量部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製、商品名)1重量部、プロキセルXL2(アビシア株式会社製)及びイオン交換水49.7重量部を混合し、水系インクを得た。
実施例1において、原料の仕込み量および混練時の条件を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして水系インクを製造した。
前記ポリマー溶液、5規定の水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を表1に示す組成となるように50Lの常圧式ニーダー(株式会社モリヤマ製G50−25)に仕込み、15分間混合した。
次に、キナクリドン顔料〔大日本インキ化学工業株式会社、商品名:ファストゲン スーパー マゼンタ RG〕をこれに加えた。その際の固形分濃度は、70重量%であった。
このニーダーに蓋をし、ジャケットに1℃の冷却水を流して混練を行いながら蓋に取り付けたガス導入ノズルから空気をキャリアガスとして50NL/分の流量でニーダー内に吹き込み、表1に示す固形分濃度になるまで蓋に取り付けたガス排出ノズルから揮発成分を留出させた。留出させながらの混練後、キャリアガスをストップして密閉状態にて表1に示す条件で混練して混練物を得た。
以下実施例1と同様にして水系インクを製造した。
実施例2において、ニーダーとして、撹拌槽容量300Lの常圧式ニーダー(株式会社トーシン製、TK300−100M)を用いて、混練時の条件を表1に示すように変更した他は、実施例2と同様にして水系インクを製造した。
(1)顔料含有ポリマー粒子の平均粒径
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS-8000(キュムラント解析)を用いて、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回、水の屈折率1.333、標準物質としてセラディン(Seradyn) 社製のユニフォーム・マイクロパーティクルズ(平均粒径204nm)を用いて測定した。
(2)印字光沢性
インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型番:PX-V600)を用いて、専用紙(写真用紙<光沢>、セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK)にベタ印字し〔印字条件:用紙種類;フォトプリント紙、モード設定;フォト〕、25℃で24時間放置後、20°の光沢を光沢計(日本電色株式会社製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG-1)で5回測定(25℃)し、その平均値を求め、以下の評価基準にしたがって評価した。
○:40以上
×:40未満
一方、比較例1〜3では、印字光沢性に優れた水系インクは得られないことが分かる。
Claims (6)
- 顔料、塩生成基を有するポリマー、該ポリマーを中和するための中和剤、有機溶媒及び水を含有する混合物を、回転翼と撹拌槽を備えた混練装置を用いて、下記式(1)を満たす条件下で混練する工程を含む、水系インクの製造方法。
P/(C×L)≧ 3400 (1)
(式中、Pは正味所要動力[kW]、Cは回転翼先端と撹拌槽内壁との距離[m]、Lは回転翼の長さ[m]を示す。) - 混合物の固形分濃度が50〜80重量%である、請求項1に記載の水系インクの製造方法。
- 混練をニーダーで行う、請求項1又は2に記載の水系インクの製造方法。
- ニーダーが、バンバリー型の回転翼を有する双腕型ニーダーである、請求項3に記載の水系インクの製造方法。
- 混合物を混練することによって得られた混練物を、水及び/又は有機溶媒で希釈し、希釈物中の固形分を分散させる分散工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の水系インクの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られる水系インク。
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