JP4242267B2 - ビニル系重合体組成物の製造方法 - Google Patents

ビニル系重合体組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定のビニル系モノマーと溶剤を含むビニル系重合体の連続溶液重合方法に関し、より詳しくは、ビニル系重合体を重合する際、反応器の気相部内壁に重合体スケールが付着することを防止したビニル系重合体組成物の製造方法に関する。
従来、ビニル系モノマーを攪拌機付反応器内で連続塊状重合あるいは連続溶液重合する方法が知られている。これら重合方法においては、反応熱の除去、安全および操作上の問題、重合装置上の制限等の理由により、反応器内の全空間を重合反応液で満たして重合を行うことは少なく、通常、気相部分が存在した状態で重合が行われる。
しかし、気相部分が存在した状態で重合を行った場合、気相中に存在するガス状のモノマーが反応器気相部で重合し、反応器の気相部内壁に多量の重合体スケールが付着することがある。このような重合体が付着すると、ノズルが閉塞したり、攪拌機の機能に障害が起こるなどの機械的異常の発生要因となることがある。また、重合体スケールの剥離スケールが製品中に混入して異常製品が発生することもある。しかも、この付着した重合体スケールの除去には多大な労力と時間を要する場合がある。このように、工場規模で生産を行う場合、反応器の気相部内壁への重合体の付着は大きな問題となる。
このような反応器気相部内壁への重合体スケールの付着防止方法として、特許文献1には、メタクリル酸メチルを主成分とするモノマーを連続塊状重合するに際し、モノマーの一部を反応液面、反応液面と接触している反応器壁面、および反応液面と接触している攪拌軸に一様に噴霧状態で吹き付けて供給させて重合を行う方法が開示されている。しかしながら、この方法によれば、反応器気相部壁面への重合体スケールの付着を抑制する効果は得られるものの、噴霧媒体として反応性の高いモノマーを使用した場合には、若干の重合体スケールの付着が生じる場合がある。
特開平7―149803号公報
本発明の目的は、反応器の気相部内壁への重合体スケールの付着を効果的に防止し、生産性よく高品質の製品を得ることが出来る連続溶液重合法によるビニル系重合体組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、溶剤の噴霧による供給に着目し鋭意検討を行った結果、簡略な工程により前述の問題点が解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、エポキシ基、水酸基および酸基からなる群より選ばれた1種以上の基を有するビニル系モノマーと、溶剤とを含む反応原料を連続的に槽型反応器に供給し、同時に反応液を連続的に抜き出してビニル系重合体組成物を製造する方法において、前記反応器内には、前記ビニル系モノマーおよび前記溶剤を含む反応液である液相部と、気相部とが存在し、該反応原料のうち該ビニル系モノマーの重合体が可溶である溶剤の一部または全部を、ビニル系モノマーとは別供給路から該反応器の気相部内壁に向けて噴霧しながら連続的に供給させて重合反応を行うことを特徴とするビニル系重合体組成物の製造方法である。
本発明によれば、連続溶液重合において重合体スケールの付着を防止できる上に、ビニル系重合体が使用される製品中の溶剤を噴霧溶剤として利用することにより、噴霧溶剤の分離、除去工程を別途設けることもなく、生産性よく高品質なビニル系重合体を得ることができる。
すなわち、本発明においては、ビニル系モノマーと溶剤を含む反応原料を連続溶液重合する際において、反応原料に含まれるビニル系重合体が可溶である溶剤の一部または全部を、別供給路により反応器の気相部内壁に向けて噴霧状に連続的に供給させ、反応器気相部内壁を常に洗い流すことにより、重合体スケールの生成を効果的に防止し、反応器気相部内壁への重合体スケールの付着を抑制できる。これにより、洗浄に用いた溶剤を分離することなく、極めて簡便な方法での重合体スケール付着抑制効果を得ることが可能となる。
ここで、重合体スケールとは、一般的な反応装置で見られる固形またはゲル状の付着物である。重合性のモノマーにおいては、気相中の反応性ガスが気相部壁面で滞留し、重合しながら凝集するために生成すると考えられている。従って、反応性物質を壁面に滞留させないことが重要である。そのためには、壁面に接する物質は常に更新されることが好ましい。さらに、壁面に接している溶液中の、反応性物質の濃度は低いことが好ましい。本願発明者らは、このような状況を鑑みて本発明を為すに至った。
一般的には、アルキルメタクリレートやスチレンなどは、重合体スケールの付着は多くはないが、エポキシ基、水酸基または酸基を有するビニル系モノマーでは、重合スケールの付着が多くなり、問題となっている。一般的に、エポキシ基は、開環しやすいために、重合体スケールが付着しやすい。さらに、重合体スケールが付着した際、高温にさらされることにより、エポキシ基が開環し架橋反応を起こし強固な重合体スケールとなるために、通常の方法では洗浄困難となる。また、水酸基、酸基を有するモノマーに関しては、理由は定かではないが、他のモノマーとの重合性や壁面との相互作用に起因すると思われる重合体スケールができやすい。
本発明によれば、このような重合体スケールの付着しやすいビニル系モノマーに対しても、ビニル系重合体が可溶である溶剤を噴霧することで、スケール付着を防止することが可能となる。
本発明に使用する溶剤としては、重合温度で不活性であれば特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、SS150(新日本石油化学(株)製)、SS100(新日本石油化学(株)製)のような芳香族系炭化水素類;酢酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネート、酢酸n−ブチルのようなエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;イソプロパノール、n−ブタノールのようなアルコール類等が挙げられる。
上記の溶剤のうち、芳香族系炭化水素類、エステル類が好ましい。さらに、芳香族系炭化水素類としては炭素数が9〜10の芳香族系炭化水素の混合物、エステル類としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル3−エトキシプロピオネートがより好ましい。このような溶剤を用いると、重合体スケール付着をより効果的に防止することが可能となる。
低沸点の溶剤を用いた場合、重合温度が高くなると、系内の圧力が高くなるために、槽型反応器の耐圧性を高める必要がある。このような問題は、高沸点の溶剤を用いることで、解決が可能となる。特に、エポキシ基、水酸基、酸基を有するビニル系モノマーは、重合温度が高くなるほど、スケール付着が多くなる傾向にあり、重合温度が130℃以上でスケールが顕著に付着してくるので、このような高温の重合でも槽型反応器の耐圧性を高めることを回避するためには、沸点が130℃以上の溶剤を用いることが好ましい。
溶剤の使用量は、最終的に得られるビニル系重合体が使用される製品の用途に応じて決めることが好ましい。ビニル系モノマー100質量部に対して200質量部以下の割合で反応原料に含まれることが好ましく、ビニル系モノマー100質量部に対して25〜100質量部の割合で反応原料に含まれることがさらに好ましい。
重合体スケールの付着を効果的に防止するためには、反応性物質を壁面に滞留させないことが重要であるが、反応性物質の反応性を低下させる方法もある。反応性物質の反応性を低下させる方法としては、例えば一般的な重合禁止剤を添加する方法がある。本発明においても、このような方法をとることも可能である。ただし本発明においては、このような方法をとることなく、すなわち原料以外の物質を用いることなく重合体スケールの付着を効果的に防止するという効果を得ることも可能である。
さらに、反応性物質の反応性を低下させる方法として、例えば、温度を下げる方法がある。この方法は非常に効果的である。すなわち、反応器の気相部壁面の温度を下げることで、重合体スケール付着の抑制効果は更に大きくなる。また、温度を下げることで反応性を低下させるだけでなく、気相部のガスを積極的に壁面で凝縮させる効果も期待できる。冷却温度は、重合温度より低ければ特に制限されないが、凝縮効果を大きくさせるためには反応器気相部の圧力における噴霧溶剤の沸点以下が好ましい。冷却方法としては、特に制限はなく、ジャケット式の反応器でジャケットに冷却媒体を流す方法、反応器壁面を、冷却媒体の流れるパイプで冷やす方法などがある。
本発明においては、例えば、攪拌装置、原料供給装置、反応生成物の抜き出し装置を備えた、一般的な連続槽型反応器を用いて、連続溶液重合を行うことができる。この連続溶液重合においては、重合終了後のシャットダウンでは反応原料供給を停止し、反応生成物を抜き出していく方法が一般的である。この方法の場合、反応生成物を抜き出した後の壁面で溶液が蒸発し、壁面が乾燥することで、重合体スケールが付着する場合がある。従って、シャットダウン時に、溶剤の噴霧を継続すれば、このような乾燥を防止することができ、重合体スケール付着抑制効果は更に大きくなるので好ましい。
本発明において、溶剤を噴霧して供給する方法としては、噴霧状、シャワー状、スリットからの供給等、壁面を濡らすものであれば、特に限定されない。ただし、濡れない箇所を少なくすることで重合体スケール付着抑制効果が大きくなるので、特に好ましい方法として、スプレーノズルを用いる方法が挙げられる。スプレーノズルとしては、フラットスプレーノズル、長円吹ノズル、楕円吹ノズル、角吹ノズル、ホロコーンノズル、フルコーンノズル、サイドスプレーノズル、多孔式ノズル等が挙げられる。反応器の形状、大きさに応じて、スプレーノズルを1個または2個以上を組み合わせて使用しても良い。スプレーノズルの材質は、耐食性を有するものであれば特に制限されず、通常、ステンレス鋼が用いられる。
反応原料に含まれるビニル系モノマーとしては、エポキシ基、水酸基および酸基からなる群より選ばれた1種以上の基を有するビニル系モノマーであれば特に限定はされず、最終的に得られるビニル系重合体の用途に応じて選べばよい。例えば、エポキシ基を有するビニルモノマー類、水酸基を有するモノマー類、酸基を有するモノマー類、炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン系モノマー類、エチレン性不飽和ニトリル類、ビニルエステル類、エチレン性不飽和塩基性ビニルモノマー類、N−アルコキシアルキル置換アミド基を有するα,β−不飽和ビニルモノマー類などが挙げられる。これらの中でも、スチレン系モノマー、上述したモノマー類の中のアクリル系モノマーが好適に用いられる。これは、塗料、粘着剤、コーティング剤などに使用されるビニル系重合体としては、スチレン系モノマーおよび/またはアクリル系モノマーを重合した重合体が好ましいためである。
エポキシ基を有するビニルモノマー類としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、特に好ましいエポキシ基を有するビニルモノマー類としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのβ−ブチロラクトン開環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン開環付加物、(メタ)アクリル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、(メタ)アクリル酸へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレン等の他の水酸基含有ビニルモノマー類等が挙げられる。特に好ましい水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等の一塩基酸または二塩基酸ビニルモノマー類、無水マレイン酸等の二塩基酸無水物ビニルモノマー類、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレエート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒドロフタレート、Y−(メタ)アクリロキシプロピルアシッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはY−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水酸基を無水コハク酸、無水フタル酸、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸でエステル化して末端にカルボキシル基を導入したコハク酸モノエステル、フタル酸モノエステル、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと二塩基酸無水物のモノエステル反応生成物等の長鎖カルボキシル基含有ビニルモノマー類、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、フマール酸モノメチル、フマール酸モノエチル、フマール酸モノブチル、フマール酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等の二塩基酸または二塩基酸無水物ビニルモノマーのモノエステル化物類等が挙げられる。特に好ましい酸基を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジクロシルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体類などが挙げられる。
これらの中でも、特に好ましいスチレン系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジクロシルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
エチレン性不飽和ニトリル類としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル等が挙げられる。
エチレン性不飽和塩基性ビニルモノマー類としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
N−アルコキシアルキル置換アミド基を有するα,β−不飽和ビニルモノマー類等としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−プロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
また、上述したビニル系モノマーの中の特に好ましいアクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
重合工程では、重合促進剤として重合開始剤を反応原料に含有させて反応器に供給することもできる。
重合開始剤としては、重合温度で分解してラジカルを発生できれば特に制限されず、例えば、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスバレロニトリル、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、レドックス系重合開始剤等が挙げられ、このような重合開始剤の使用量には特に制限はなく、重合温度や目的とする重合体添加率によって適宜決定されるが、通常、ビニル系モノマー100質量部に対して0.001〜12質量部の割合で含まれるものが好ましい。
本発明では、最終的に得られるビニル系重合体が使用される製品が溶剤を含むため、ビニル系重合体を得た後に、ビニル系重合体から溶剤を分離、除去しなくてもよい。このようにすることより、多大な手間、多量のエネルギーを必要とする溶剤の除去が不要となり、ビニル系重合体の製造に要するコストがさらに低下する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。以下の記載において「部」は「質量部」を意味する。
[実施例1]
攪拌翼、原料供給ライン、重合物排出ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた連続式槽型反応器を用い、スチレン10部、i―ブチルメタクリレート35部、グリシジルメタクリレート35部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部に、溶剤としてSS150(新日本石油化学(株)製)10部、更に重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーブチルD)5部を添加した反応原料を、220℃、1.0MPaに保たれた反応器に滞在時間が10分となるように連続的に供給し、重合した。それと同時に、噴霧溶剤としてSS150を20部別供給路にてスプレーノズル1個を使用し、反応器気相部壁面に噴霧状に供給した。また、反応器内から反応重合体をギアポンプで連続的に抜き出した。3時間の定常運転を行ったところ、反応器内には若干の膜状の汚れはあったが、重合体スケールの付着は見られなかった。
[実施例2]
反応器気相部を冷却ジャケットにより冷却したこと以外は、実施例1と同様にして重合反応を行った。3時間の定常運転を行ったところ、反応器内には若干の膜状の汚れはあったが、重合体スケールの付着は見られなかった。
[実施例3]
攪拌翼、原料供給ライン、重合物排出ライン、窒素加圧ライン、温調装置、気相部の冷却ジャケットを備えた連続式槽型反応器を用い、スチレン75部、n―ブチルアクリレート20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート5部に、溶剤としてSS150を10部、更に重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド4部を添加した反応原料を、220℃、1.0MPaに保たれた反応器に滞在時間が10分となるように連続的に供給し、重合した。それと同時に、噴霧溶剤としてSS150を10部別供給路にてスプレーノズル1個を使用し、冷却ジャケットにより冷却された反応器気相部壁面に噴霧状に供給した。また、反応器内から反応重合体をギアポンプで連続的に抜き出した。3時間の定常運転を行ったところ、反応器内には重合体スケールの付着は見られなかった。
[実施例4]
実施例3と同じ連続式槽型反応器を用い、スチレン35部、メチルメタクリレート35部、無水マレイン酸30部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20部、更に重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド6部を添加した反応原料を、200℃、1.0MPaに保たれた反応器に滞在時間が10分となるように連続的に供給し、重合した。それと同時に、噴霧溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20部を別供給路にてスプレーノズル1個を使用し、冷却ジャケットにより冷却された反応器気相部壁面に噴霧状に供給した。また、反応器内から反応重合体をギアポンプで連続的に抜き出した。4時間の定常運転を行ったところ、反応器内には重合体スケールの付着は見られなかった。
[比較例1]
溶剤の噴霧状供給を行わず、反応原料内の溶剤(SS150)の量を30部に増量したこと以外は、実施例1と同様にして重合反応を行った。3時間の定常運転後、反応器内を観察した結果、反応器気相部壁面、硬い層状の重合体スケールの付着が見られた。また、攪拌軸部に固形の重合体スケールの付着が見られた。この重合体スケール2gをアセトン、トルエン、SS150、各15gに浸漬し、25℃で5時間保持したが、どの溶剤においても全く溶解しなかった。
[比較例2]
溶剤の噴霧状供給を行わず、反応原料内の溶剤(SS150)の量を30部に増量したこと以外は、実施例2と同様にして重合反応を行った。3時間の定常運転後、反応器内を観察した結果、気相部の冷却ジャケット部に若干の膜状の重合体スケールの付着が見られた。また、気相部の冷却されていない部分に硬い膜状の重合体スケールの付着が見られた。さらに、攪拌軸部に、固形の重合体スケールの付着が見られた。
[比較例3]
噴霧媒体として溶剤の代わりに、重合開始剤を含まない反応原料130部中の20部を噴霧状に供給したこと以外は、実施例1と同様にして重合反応を行った。反応器内を観察した結果、反応器気相部壁面に若干の膜状の重合体スケールの付着が見られた。また、攪拌軸部に、若干の固形の重合体スケールの付着が見られた。
[評価結果]
以上説明した結果から明らかなように、実施例1では噴霧媒体として溶剤を使用しているため、反応器気相部壁面を洗い流す効果が大きく、運転後に重合体スケールの付着は見られなかったが、若干の膜状の汚れが確認できた。また、実施例2〜4では、実施例1に加えて反応器気相部のジャケット冷却をあわせることにより、気相部壁面において、重合体スケール抑制効果が大きく、重合体スケールの付着は見られなかったが、液相部では若干の膜状の汚れが確認できた。重合体スケールの付着、汚れは確認されなかった。
これに対し、比較例1では噴霧媒体が無いので、反応器気相部壁面を洗い流すことができず、また、気相部の冷却を行っていないため気相部に存在するガス状のモノマーの凝縮を効果的に行うことができず、反応器気相部壁面にて凝縮されモノマーが壁面に滞留し続け、異常重合を起こし、気相部壁面のほぼ全面に溶剤に不溶な重合体スケールを形成してしまった。比較例2では、冷却ジャケットの効果により冷却部分での重合体スケールの抑制効果が見られた。しかし、気相部の冷却されていない部分、攪拌軸部には重合体スケールの付着が確認された。比較例3では、噴霧媒体として反応原料を用いたため、反応器気相部壁面を洗い流す効果はあるものの、噴霧媒体自体が反応性の液体なので反応器気相部壁面、攪拌軸部において若干の重合体スケールの付着が確認され、完全に重合体スケールの付着を防止するには至らなかった。
それら実施例1〜4および比較例1〜3の評価結果を、まとめて下記表1に示す。
Figure 0004242267

Claims (9)

  1. エポキシ基、水酸基および酸基からなる群より選ばれた1種以上の基を有するビニル系モノマーと、溶剤とを含む反応原料を連続的に槽型反応器に供給し、同時に反応液を連続的に抜き出してビニル系重合体組成物を製造する方法において、
    前記反応器内には、前記ビニル系モノマーおよび前記溶剤を含む反応液である液相部と、気相部とが存在し、該反応原料のうち該ビニル系モノマーの重合体が可溶である溶剤の一部または全部を、ビニル系モノマーとは別供給路から該反応器の気相部内壁に向けて噴霧しながら連続的に供給させて重合反応を行うことを特徴とするビニル系重合体組成物の製造方法。
  2. 溶剤が、芳香族系炭化水素類および/またはエステル類である請求項1記載のビニル系重合体の製造方法。
  3. 溶剤が、沸点130℃以上の芳香族系炭化水素類および/またはエステル類である請求項2記載のビニル系重合体の製造方法。
  4. 芳香族系炭化水素類が、炭素数が9〜10の芳香族系炭化水素の混合物である請求項2または3記載のビニル系重合体の製造方法。
  5. エステル類が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよび/またはエチル3−エトキシプロピオネートである請求項2〜4の何れか一項記載のビニル系重合体の製造方法。
  6. 反応器の気相部壁面を気相部の圧力における噴霧溶剤の沸点以下に冷却する請求項1〜5の何れか一項記載のビニル系重合体の製造方法。
  7. エポキシ基を有するビニル系モノマーが、グリシジル(メタ)アクリレートである請求項1〜6の何れか一項記載のビニル系重合体の製造方法。
  8. 水酸基を有するビニル系モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび/または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである請求項1〜7の何れか一項記載のビニル系重合体の製造方法。
  9. 酸基を有するビニル系モノマーが、無水マレイン酸である請求項1〜8の何れか一項記載のビニル系重合体の製造方法。
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