JP2001277048A - 異形管タップ加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異形管Ｐのタップ加工専用として、作業性の
向上及びコストダウンを図る。 【解決手段】 異形管Ｐを立てた状態で受口でもってチ
ャックにより支持し、その外側に対のタップ加工機４０
を設ける。チャック３０、３５は、爪３１を径方向に移
動させて受口を支持し、管径が変化しても、その移動量
を変化することにより適応する。チャックが所定角度回
転して、割り出しを行い、ドリル４８により下穴を、タ
ップ４９によりねじを切ってタップ穴を形成する。異形
管Ｐは、チャックから離れた左右の搬出入位置から交互
にその中間の受渡し位置にホルダー３０とともに移行さ
れ、ここからアーム６５により割り出し機３５に移載さ
れる。このとき、異形管Ｐはエアホールド式ホルダー３
０により支持されて移載される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、配管用異形管に
タップ加工する加工装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】水道等の配管するのに地中に埋設するダ
クタイル鋳鉄管があるが、このダクタイル鋳鉄管を繋ぎ
合わせる継手として異形管がある。この異形管は、地震
などによって発生する伸縮に適応するための種々の構造
の物がある。例えば、ＮＳ形異形管Ｐの場合は、図１１
（ｂ）に示す態様をしており、同図（ａ）に示すよう
に、その受口１に芯出し用ゴム２を介してロックリング
３を設け、直管などの挿し口７を挿し込む際、その先端
の突部８がロックリング３を挿し広げて乗り越えて継手
が構成され、その突部８のロックリング３と受口１の内
面壁１ａとの間における移動距離分、両管の伸縮を吸収
する。この管継手において、異形管Ｐの受口１には、屈
曲防止リング４が嵌められ、そのリング４はセットボル
ト５により挿し口７に圧接される。

【０００３】そのセットボルト５は、異形管Ｐの呼び径
別に、周囲均等４個所、同６個所、同８個所などと均等
分位にねじ込まれ、そのためのタップ穴６がその受口１
に形成される。そのタップ加工は、従来、中ぐり盤やマ
シニングセンターにより行っていた。図中、９は受口１
と挿し口７の間に嵌合されたゴム輪である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記中ぐり盤等におけ
る異形管Ｐのタップ加工は、その加工部に異形管Ｐを位
置決め固定する場合（セットする場合）、異形管Ｐのサ
イズ（呼び径）等に適合した専用治具を製作し、その治
具でもって異形管Ｐをセットしていた。

【０００５】しかし、ＮＳ形異形管においても、呼び径
（ｍｍ）：１００、１５０、２００、２５０の４種類、
形状：ストレート、９０度曲がり、４５度曲がり、２
２．５度曲がり、１１．２５度曲がり、５．６２５度曲
がりの６種類があって、合計２４種類となり、それらに
適合する治具がそれぞれ必要である。このため、種類が
変わるたびに、その治具をセットし直さなければなら
ず、作業が煩雑となっており、また、段取り換えの時間
ロスも馬鹿にならず、コスト高となって不経済であっ
た。

【０００６】この発明は、上記実情に鑑み、異形管のタ
ップ加工の専用装置を提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、この発明は、まず、異形管を立てた状態で受口でも
ってチャックにより支持し、そのチャックの外側にタッ
プ加工機を設けたのである。チャックは、一般に、周囲
に複数の爪を有し、その爪を径方向に移動させて被挟持
物を支持するものであり、被挟持物である異形管の径等
の大きさが変化しても、その移動量を変化することによ
り適応する。このため、異形管のサイズ（呼び径）等が
変わっても、その異形管を支持することができる。その
支持は、内側からでも外側からでもよい。爪の移動には
その移動量の変化に容易に対応し得るエア源が好まし
い。また、異形管は短くて立てることが可能であり、そ
の立てたことにより、曲管であっても、その周囲に作業
スペースを確保でき、その作業スペースができるチャッ
クの外側にタップ加工機が位置することとなる。

【０００８】つぎに、この発明は、上記チャックは、そ
の中心周りに回転かつ所要位置で停止可能とし、上記タ
ップ加工機のドリル及びタップはチャックの中心に選択
的に向かい得るようにしたのである。

【０００９】チャックが回転することにより、割り出し
を行うことができ、ドリル、タップがチャック中心を向
き得ることにより、ドリルにより下穴を開けてタップに
よりねじを切ってタップ穴を管の径方向に向けて形成す
ることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】この発明の実施形態としては、異
形管を立てた状態で受口でもって支持するチャックと、
そのチャックの外側に位置されたタップ加工機とから成
り、前記チャックは、その中心周りに回転かつ所要位置
で停止可能であり、前記タップ加工機はドリル及びタッ
プを有してそれらをチャックの中心に向かう加工位置に
セット可能である構成を採用し得る。

【００１１】この構成の異形管タップ加工装置は、チャ
ックで異形管を支持し、ドリルを加工位置にセットして
下穴を形成し、つぎにタップを加工位置にセットしてね
じ切りを行い、その後、異形管のタップ穴数に応じた
数、例えば６個であれば、チャックを６０度ごとに回転
させて、ドリルとタップを交互に作用させて、タップ穴
を形成する。

【００１２】この構成において、上記タップ加工機を上
記チャックに対し対称位置に２台設ければ、タップ加工
時間が半減する。このとき、異形管のタップ穴は一般に
偶数のため、２台の加工機は同時に加工作業を行い得
る。

【００１３】また、上記タップ加工機に異形管に対向し
てその径を認識するセンサーを設け、このセンサーによ
り、上記ドリル及びタップの進行距離を制御するように
すれば、異形管の径が変わっても、そのセンサーによっ
てその変化が認識されて円滑にタップ加工を行い得る。

【００１４】これらの実施形態において、上記チャック
に離れて上記異形管の搬出入エリアを設け、この搬出入
エリアは左右に搬出入部を有するとともにその中間に受
渡し部を有して、対のテーブルが両搬出入部と受渡し部
を交互に移動可能となっており、前記チャックは、異形
管を支持するホルダーと、そのホルダーが着脱可能な回
転かつ所要位置で停止可能な割出し機とから成り、上記
テーブルには前記ホルダーが着脱可能で、上記受渡し位
置とチャック間には前記ホルダーを支持して両者間にそ
のホルダーを受渡す手段を設けた構成を付加し得る。

【００１５】このような構成にすれば、後述の実施例の
ごとく、タップ加工時に異形管の搬出入の段取りを行う
ことができる等により、異形管のタップ加工が連続的に
行われ、その作業が円滑になされる。

【００１６】この構成において、上記ホルダーはエアー
ホルダー式チャックとするとよい。エアーホルダー式チ
ャックは、チャック内部にエアーチャージタンクを有
し、外部からのホースから逆止弁を介してエアーを供給
すると爪が作用して異形管をチャッキングするとともに
タンク内にエアーがチャージされて、ホースを外しても
そのチャッキングを保持し、開閉弁を開ければ、チャー
ジ圧が排出されてチャッキングが解放されるものであ
り、ホルダーの移動につれてホースを動かす必要がない
からである。

【００１７】

【実施例】一実施例を図１乃至図４に示し、この実施例
は、基台１０上の前後に門型フレーム１１、１１が設け
られ、この両フレーム１１、１１の上梁両端に前後フレ
ーム１２、１２が架設されている。基台の上面前側の搬
出入エリアにガイド台２０ａを介してリニアガイド２０
が設けられ、このガイド２０のスライダー２１の両端に
載置台（テーブル）２２ａ、２２ｂが設けられている。
スライダー２１はサーボモータ２３駆動のねじ軸２４に
ねじ合っており、ねじ軸２４の回転により左右に移動し
て、載置台２２ａ、２２ｂを両端の搬出入位置（搬出入
部）Ａ、Ｂ及びその中央の受渡し位置（受渡し部）Ｃに
交互に位置させる。載置台２２ａ、２２ｂには異形管Ｐ
のホルダー３０が着脱自在となっており、ホルダー３０
は載置台２２ａ、２２ｂの上面のピン２５にその下面が
嵌合することにより位置決めされる。

【００１８】ホルダー３０は、爪３１が中心周りの三等
分位にあって径方向に移動可能であり、内部にエアーチ
ャージタンクを有して、外部からのホースを接続して逆
止弁を介し圧縮空気を注入すると、そのエアー圧で爪３
１が移動して異形管Ｐを内側から支持するとともに、タ
ンク内にエアーがチャージされてホースを外してもその
支持を保持し、開閉弁を解放すれば、チャージ圧が排出
されて支持が開放されるものである。このため、異形管
Ｐをホルダー３０に支持した状態で任意の位置に移行し
得る。

【００１９】基台１０の上面後側の加工エリアにはその
中央に割り出し機３５が設けられ、この割り出し機３５
は、所要角度の回転を行ない、例えば、後述のタップ加
工時、タップ穴６が４個の場合は９０度づつ、同６個の
場合は６０度づつ、同８個の場合は４５度づつ、それぞ
れ回転して異形管Ｐを所要回転させて割出しを行う。ま
た、この割り出し機３５も、ホルダー３０が着脱自在と
なっており、ホルダー３０はピン３６にその下面が嵌合
することにより位置決めされる。

【００２０】割り出し機３５の両側の対称位置にはタッ
プ加工機４０が設けられている。このタップ加工機４０
は、ガイド台４１ａの上に前後方向のリニアガイド４１
を設け、そのスライダ４２上にさらにガイド台４３ａを
介してリニアガイド４３を設け、そのスライダ４４にタ
ップ加工部を有している。各スライダ４２、４４はそれ
ぞれサーボモータ４５、４６によりねじ軸４５ａ（スラ
イダ４４のねじ軸は図示せず）を介して移動する。タッ
プ加工部は後部に駆動モータ４７、前部にドリル４８、
タップ４９を並列に有し、上面には近接スイッチから成
るセンサー５０を有する。このセンサー５０は前後の位
置調整が可能である。

【００２１】上記前後フレーム１２、１２間には前後に
動くスライダ６１が架設され、このスライダ６１は、サ
ーボモータ６２駆動のねじ軸６３にねじ合っており、サ
ーボモータ６２により、ねじ軸６３を介して前後に移動
する。スライダ６１の下面両側に下向きのガイド６４が
設けられ、このガイド６４、６４間にアーム６５が昇降
自在に嵌められている。その案内はレール６４ａと摺動
片６５ａによって行われる。アーム６５はスライダ６１
上のシリンダ６６によって昇降される。このとき、バラ
ンスシリンダ６７によってその作用がスムースになされ
る。

【００２２】アーム６５はその下部が内側に向いた爪６
８となっており、図５、図６の上昇位置から鎖線の下降
位置になって、ホルダー３０に対応し、その後、上昇す
ると、図７に示すようにその爪６８でホルダー３０を持
ち上げて（受取って）所要位置に移動可能となる。割り
出し機３５、載置台２２ａ、２２ｂ上の所要位置に至れ
ば、図７の状態から下降することにより、ホルダー３０
を、それらの上に載置して図６鎖線のごとくホルダー３
０から爪６８を離し、その状態で前後に動くことによ
り、ホルダー３０を受渡す。

【００２３】この実施例は以上の構成であり、つぎにそ
の作用について説明する。いま、図９（ａ）に示すよう
に、作業者が搬出入位置Ａにおいて、異形管Ｐ₁ を載置
台２２ａにセットして、この装置を作動させると、同図
（ｂ）に示すように、スライダ２１は右方に移動し、異
形管Ｐ₁ は受渡し位置Ｃに位置するとともに、載置台２
２ｂが搬出入位置Ｂに至る。その載置台２２ｂに作業者
は別の異形管Ｐ₂ をセットする（同図（ｃ））。一方、
受渡し位置Ｃの異形管Ｐ₁ はアーム６５により受取られ
て（同図（ｃ））、割り出し機３５上にセットされる。

【００２４】割り出し機３５上の異形管Ｐ₁ には両タッ
プ加工機４０が進行し、センサー５０でその径を確認し
た後、まず、ドリル４８が回転しながら進行して、下穴
６ａを形成する（図１０（ａ））。このとき、タップ穴
６が６個の異形管Ｐ₁ であれば、２ツの下穴６ａを形成
後、ドリル４５が退去し、割り出し機３５の６０度回転
後、再びドリル４８が進行して下穴６ａを形成し（同図
（ｂ））同様にして計６個の下穴６ｃを形成する（同図
（ｃ））。

【００２５】つぎに、スライダ４２が前後に動いてタッ
プ４９が下穴６ａに対応して進行し、下穴６ａにねじを
切ってタップ穴６を形成する（同図（ｄ））。この後、
下穴６ａの形成と同様に、割り出し機３５の回転とタッ
プ４９の進退の伴う回転によってタップ穴６が計６個形
成される（同図（ｅ）、（ｆ））。

【００２６】タップ穴の形成が終了すれば、アーム６５
が割り出し機３５からその異形管Ｐ ₁ 付きのホルダー３
０を受取って受渡し位置Ｃの載置台２２ａに受渡す（図
９（ｄ））。すると、スライダ２１は左方に移動してそ
の加工済の異形管Ｐ₁ を搬出入位置Ａに位置するととも
に、他の載置台２２ｂ上の異形管Ｐ₂ を受取り位置Ｃに
位置させる（同図（ｅ））。載置台２２ａ上の加工済異
形管Ｐ₁ は作業者がホルダー３０から取外し、受取り位
置Ｃの異形管Ｐ₂ はホルダー３０とともにアーム６５に
よって割り出し機３５上に移行される（同図（ｆ））。
その移行された異形管Ｐ₂ は、上述と同様な作用によ
り、タップ穴６が形成されて再び受取り位置Ｃに移行さ
れ、搬出入位置Ａの載置台２２ａには作業者により新た
な異形管Ｐ ₃ がセットされる（同図（ｇ））。

【００２７】以後、図９（ｈ）→（ｉ）→（ｋ）→
（ｌ）→（ｍ）→（ａ）→と繰り返されて、異形管Ｐ
（Ｐ₁ 、Ｐ₂ 、Ｐ₃ 、Ｐ₄ 、Ｐ₅ ……）のタップ加工が
行われる。

【００２８】この実施例において、ストロークの一定の
ものにおいては、サーボモータによるねじ駆動に代え
て、シリンダ駆動とすることができ、また、ドリル４８
に段付きドリルを使用すれば、タップ穴６の面取りを行
うことができる。この発明は、ＮＳ形に限らず、各種異
形管Ｐのタップ穴加工に採用し得ることは勿論である。

【００２９】

【発明の効果】この発明は、以上のように構成して、タ
ップ穴加工専用としたので、異形管のタップ穴加工が円
滑となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例の正面図

【図２】同実施例の平面図

【図３】同実施例の一部欠如した右側面図

【図４】同実施例の切断平面図

【図５】同実施例の切断右側面図

【図６】同実施例の作用説明用切断正面図

【図７】同実施例の作用説明用切断正面図

【図８】同実施例の作用説明用切断正面図

【図９】同実施例の異形管の搬出入作用図

【図１０】同実施例のタップ加工作用図

【図１１】（ａ）は管継手の一例の要部断面図、（ｂ）
は異形管の一例の断面図

【符号の説明】

Ａ、Ｂ 異形管搬出入位置（搬出入部） Ｃ 異形管受渡し位置（受渡し部） Ｐ、Ｐ₁ 、Ｐ₂ … 異形管 １ 受口 ６ タップ穴 ６ａ 下穴 ２０ リニアガイド ２２ａ、２２ｂ ホルダー載置台 ２３ リニアガイド用サーボモータ ３０ 異形管移載用ホルダー ３１ チャック爪 ３５ 割り出し機 ４０ タップ加工機 ４１、４３ リニアガイド ４５、４６ リニアガイド用サーボモータ ４７ ドリル・タップ用モータ ４８ ドリル ４９ タップ ６１ 移載スライダ ６２ 移載スライダ用サーボモータ ６５ 異形管昇降用アーム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 育幸 大阪市西区北堀江１丁目12番19号 株式会 社栗本鐵工所内 Ｆターム(参考） 3C036 JJ05 JJ10 LL01

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 異形管Ｐを立てた状態で受口１でもって
   支持するチャックと、そのチャックの外側に位置された
   タップ加工機４０とから成り、前記チャックは、その中
   心周りに回転かつ所要位置で停止可能であり、前記タッ
   プ加工機４０はドリル４８及びタップ４９を有してそれ
   らをチャックの中心に向かう加工位置に選択的にセット
   可能である異形管タップ加工装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、上記タップ加工機４
   ０を上記チャックに対し対称位置に２台設けたことを特
   徴とする異形管タップ加工装置。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、上記タップ加
   工機４０に異形管Ｐに対向してその径を認識するセンサ
   ー５０を設け、このセンサー５０の信号により、上記ド
   リル４８及びタップ４９の進行距離を制御するようにし
   たことを特徴とする異形管タップ加工装置。
4. 【請求項４】 請求項１乃至３のいずかにおいて、上記
   チャックに離れて上記異形管Ｐの搬出入エリアを設け、
   この搬出入エリアは左右に搬出入部Ａ、Ｂを有するとと
   もにその中間に受渡し部Ｃを有して、対のテーブル２２
   ａ、２２ｂが両搬出入部Ａ、Ｂと受渡し部Ｃを交互に移
   動可能となっており、 上記チャックは、異形管Ｐを支持するホルダー３０と、
   そのホルダー３０が着脱可能な回転かつ所要位置で停止
   可能な割出し機３５とから成り、上記テーブル２２ａ、
   ２２ｂには前記ホルダー３０が着脱可能で、上記受渡し
   位置Ｃとチャック間には前記ホルダー３０を支持して両
   者間にそのホルダー３０を受渡す手段６５を設けたこと
   を特徴とする異形管タップ加工装置。
5. 【請求項５】 上記ホルダー３０をエアーホルダー式チ
   ャックとしたことを特徴とする請求項４に記載の異形管
   タップ加工装置。