JP2001267244A - Iii族窒化物系化合物半導体の製造方法及びiii族窒化物系化合物半導体素子 - Google Patents

Iii族窒化物系化合物半導体の製造方法及びiii族窒化物系化合物半導体素子

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JP2001267244A
JP2001267244A JP2000071352A JP2000071352A JP2001267244A JP 2001267244 A JP2001267244 A JP 2001267244A JP 2000071352 A JP2000071352 A JP 2000071352A JP 2000071352 A JP2000071352 A JP 2000071352A JP 2001267244 A JP2001267244 A JP 2001267244A
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Masayoshi Koike
正好 小池
Seiji Nagai
誠二 永井
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貫通転位の抑制されたIII族窒化物系化合物半
導体の製造方法を提供する。 【解決手段】単結晶が成長しない温度で形成されたIII
族窒化物系化合物半導体から成る緩衝層と、単結晶が成
長する温度で形成されたIII族窒化物系化合物半導体層
とを1周期として任意周期繰り返し積層した基底層20
を形成する。基底層20の最上層であるIII族窒化物系
化合物半導体層31は、貫通転位の抑制された結晶性の
良い層となる。これをエッチングして段差を設け、段差
の側面を核として横方向エピタキシャル成長させれば、
段差を埋める部分は縦方向に伝搬する貫通転位をほとん
ど伝搬しない。これにより、段差を埋める部分上方のII
I族窒化物系化合物半導体の領域を極めて貫通転位の抑
制された領域とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、III族窒化物系化
合物半導体の製造方法及び半導体素子に関する。特に、
横方向エピタキシャル成長(ELO)成長を用いる、II
I族窒化物系化合物半導体の製造方法、及びその方法に
より得られたIII族窒化物系化合物半導体上に素子層を
形成して形成されたIII族窒化物系化合物半導体素子に
関する。尚、III族窒化物系化合物半導体とは、例えばA
lN、GaN、InNのような2元系、AlxGa1-xN、AlxIn1-xN、
GaxIn1-xN(いずれも0<x<1)のような3元系、AlxGay
In1- x-yN(0<x<1, 0<y<1, 0<x+y<1)の4元系を
包括した一般式AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0
≦x+y≦1)で表されるものがある。なお、本明細書にお
いては、特に断らない限り、単にIII族窒化物系化合物
半導体と言う場合は、伝導型をp型あるいはn型にする
ための不純物がドープされたIII族窒化物系化合物半導
体をも含んだ表現とする。
【従来の技術】
【0002】III族窒化物系化合物半導体は、例えば発
光素子とした場合、発光スペクトルが紫外から赤色の広
範囲に渡る直接遷移型の半導体であり、発光ダイオード
(LED)やレーザダイオード(LD)等の発光素子に応用され
ている。また、そのバンドギャップが広いため、他の半
導体を用いた素子よりも高温において安定した動作を期
待できることから、FET等トランジスタへの応用も盛
んに開発されている。また、ヒ素(As)を主成分としてい
ないことで、環境面からも様々な半導体素子一般への開
発が期待されている。このIII族窒化物系化合物半導体
では、通常、サファイアを基板として用い、その上に形
成している。この際、特開平9−199759号公報記
載の如く、多重層から成る層をバッファ層とするものも
公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、サファ
イア基板上にIII族窒化物系化合物半導体を形成する
と、サファイアとIII族窒化物系化合物半導体との格子
定数のミスフィットにより転位が発生し、このため素子
特性が良くないという問題がある。このミスフィットに
よる転位は半導体層を縦方向(基板面に垂直方向)に貫
通する貫通転位であり、III族窒化物系化合物半導体中
に109cm-2程度の転位が伝搬してしまうという問題があ
る。これは組成の異なるIII族窒化物系化合物半導体各
層を最上層まで伝搬する。これにより例えば発光素子の
場合、LDの閾値電流、LD及びLEDの素子寿命など
の素子特性が良くならないという問題があった。また、
他の半導体素子としても、欠陥により電子が散乱するこ
とから、移動度(モビリティ)の低い半導体素子となる
にとどまっていた。これらは、他の基板を用いる場合も
同様であった。
【0004】これについて、図9の模式図で説明する。
図9は、基板91と、その上に形成されたバッファ層9
2と、更にその上に形成されたIII族窒化物系化合物半
導体層93を示したものである。基板91としてはサフ
ァイアなど、バッファ層92としては窒化アルミニウム
(AlN)などが従来用いられている。窒化アルミニウム(Al
N)のバッファ層92は、サファイア基板91とIII族窒
化物系化合物半導体層93とのミスフィットを緩和させ
る目的で設けられているものであるが、それでも転位の
発生を0とすることはできない。この転位発生点900
から、縦方向(基板面に垂直方向)に貫通転位901が
伝播し、それはバッファ層92、III族窒化物系化合物
半導体層93をも貫いていく。こうして、III族窒化物
系化合物半導体層93の上層に、所望の様々なIII族窒
化物系化合物半導体を積層して半導体素子を形成しよう
とすると、III族窒化物系化合物半導体層93の表面に
達した転位902から、半導体素子を貫通転位が更に縦
方向に伝搬していくこととなる。このように、従来の技
術では、III族窒化物系化合物半導体層を形成する際、
転位の伝搬を阻止できないという問題があった。
【0005】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、貫通転位の発生を抑制し
たIII族窒化物系化合物半導体を製造することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、基板上にIII族窒化物系
化合物半導体をエピタキシャル成長により得るIII族窒
化物系化合物半導体の製造方法において、少なくとも3
層のIII族窒化物系化合物半導体層を有し、最上層を第
1のIII族窒化物系化合物半導体とする多重層から成る
基底層をエッチングにより、点状、ストライプ状又は格
子状等の島状態とし、段差を設ける工程と、エッチング
により形成された点状、ストライプ状又は格子状等の島
状態の第1のIII族窒化物系化合物半導体の段差の上段
の上面及び側面を核として、第2のIII族窒化物系化合
物半導体を縦及び横方向エピタキシャル成長させる工程
とを有することを特徴とする。尚、本明細書で基底層と
は、以下に示す如くエッチングの深さに関係なく、一体
として記述するために用いる用語である。また、ここで
島状態とは、エッチングにより形成された段差の上段の
様子を概念的に言うものであって、必ずしも各々が分離
した領域を言うものでなく、ウエハ上全体をストライプ
状又は格子状に形成するなどのように極めて広い範囲に
おいて段差の上段が連続していても良いものとする。ま
た、段差の側面とは必ずしも基板面及びIII族窒化物系
化合物半導体表面に対して垂直となるものを言うもので
なく、斜めの面でも良い。この際、段差の底部に底面の
無い、断面がV字状のものでも良い。これらは特に言及
されない限り以下の請求項でも同様とする。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法におい
て、基底層は、単結晶が成長しない温度で形成されたII
I族窒化物系化合物半導体から成る緩衝層と、単結晶が
成長する温度で形成されたIII族窒化物系化合物半導体
層とを1周期として任意周期繰り返し積層したものであ
ることを特徴とする。ここで単結晶が成長しないとは、
非晶質或いは多結晶となる場合を言う。
【0008】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法におい
て、緩衝層は、200〜600℃又は1000〜118
0℃において形成されたことを特徴とする。また、請求
項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載のII
I族窒化物系化合物半導体の製造方法において、緩衝層
は、AlxGa1-1N(0≦x≦1)であることを特徴とする。
【0009】また、請求項5に記載の発明は、エッチン
グは、段差の底部として基板面を露出させるものである
ことを特徴とする。
【0010】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至請求項5のいずれか1項に記載のIII族窒化物系化
合物半導体の製造方法において、段差の底部の幅と側面
の高さは、底部からの縦方向成長により段差が埋まるよ
りも、側面からの横方向成長により段差が塞がれる方が
早いよう形成されることを特徴とする。
【0011】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
乃至請求項6のいずれか1項に記載のIII族窒化物系化
合物半導体の製造方法において、段差の側面は、略全部
が{11−20}面であることを特徴とする。
【0012】また、請求項8に記載の発明は、第1のII
I族窒化物系化合物半導体と第2のIII族窒化物系化合物
半導体とが同組成であることを特徴とする。尚、ここで
同組成とは、ドープ程度の差(モル比1パーセント未満
の差)は無視するものとする。
【0013】また、請求項9に記載の発明は、請求項1
乃至請求項8のいずれか1項に記載の製造方法により製
造したIII族窒化物系化合物半導体層の、横方向エピタ
キシャル成長した部分の上層に形成されたことを特徴と
するIII族窒化物系化合物半導体素子である。
【0014】また、請求項10に記載の発明は、請求項
1乃至請求項9のいずれか1項に記載の製造方法により
製造したIII族窒化物系化合物半導体層の、横方向エピ
タキシャル成長した部分の上層に、異なるIII族窒化物
系化合物半導体層を積層することにより得られることを
特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子であ
る。
【0015】また、請求項11に記載の発明は、請求項
1乃至請求項10のいずれか1項に記載のIII族窒化物
系化合物半導体の製造方法に加えて、横方向エピタキシ
ャル成長した部分の上層以外を略全部除去することによ
り、III族窒化物系化合物半導体層を得ることを特徴と
するIII族窒化物系化合物半導体の製造方法である。
【0016】
【作用及び発明の効果】本発明のIII族窒化物系化合物
半導体の製造方法の概略を図1を参照しながら説明す
る。尚、図1では、従属請求項の説明及び理解を助ける
ため基板1を有する図を示しているが、本発明は、縦方
向に貫通転位を有するIII族窒化物系化合物半導体か
ら、縦方向の貫通転位の軽減された領域を有するIII族
窒化物系化合物半導体層を得るものであり、基板1は本
発明に必須の要素ではない。
【0017】図1の(a)のように、基底層として基板
上に形成された緩衝層、及びこの緩衝層上にエピタキシ
ャル成長したIII族窒化物系化合物半導体層を1周期と
して、複数周期形成された層を形成する。この時、緩衝
層21、23が単結晶が成長しない温度で形成されるの
で、緩衝層21、23が貫通転位を止める働きをし、最
上層のIII族窒化物系化合物半導体層31は上層程貫通
転位が抑制された、結晶性の良い層とすることができ
る。この、基底層20を点状、ストライプ状又は格子状
等の島状態にエッチングし、段差を設けて基板1面を露
出させる(図1の(a))。こうして、結晶性の良い段
差の上段のIII族窒化物系化合物半導体層31の上面及
び側面を核として、第2のIII族窒化物系化合物半導体
32を縦及び横方向エピタキシャル成長させることで段
差部分を埋めつつ、上方にも成長させることができる。
露出した基板1面からの縦方向成長が無い又は遅いなら
ば、第2のIII族窒化物系化合物半導体32が横方向エ
ピタキシャル成長した部分の上部は、III族窒化物系化
合物半導体層31が有する貫通転位の伝搬が抑制され、
埋められた段差部分に貫通転位の軽減された領域を作る
ことができる(請求項1、請求項2、請求項5)。一
方、段差の上段上方の部分も、多重層から成る基底層を
有しないでIII族窒化物系化合物半導体層を形成する場
合に比べて、大幅に貫通転位が抑制される。このよう
に、単結晶が成長しない温度で形成される緩衝層と単結
晶層を任意周期繰り返して形成したIII族窒化物系化合
物半導体の基底層の、最上層の結晶性の良い第1のIII
族窒化物系化合物半導層を核としてエピタキシャル成長
させることにより、全体として貫通転位を低減するとと
もに、極めて貫通転位の抑制された領域を有するIII族
窒化物系化合物半導を製造することが可能となる。これ
は、貫通転位が少ない領域を核として横方向エピタキシ
ャル成長させたことで、横方向エピタシキャル成長部は
相乗的に貫通転位の伝搬が抑制されることによる。
【0018】図1では、第2のIII族窒化物系化合物半
導体32が段差の底部からも縦方向エピタキシャル成長
しない図としたが、これは条件により任意である。これ
により段差の側面を核として横方向成長する部分は、貫
通転位が縦方向に伝搬しない。第1のIII族窒化物系化
合物半導体層31と第2のIII族窒化物系化合物半導体
32とはエピタキシャル成長により不連続面がほとんど
無いならば、絶縁体等によるマスクを有するものと比較
して縦方向(基板1面の法線方向)へ電流を流す際、不
連続部分により抵抗が生じることが無い。また、構造的
にも安定したものとすることができる。更に、絶縁体等
によるマスクの場合に生じる、貫通転位の絶縁体上の回
り込みも生じない。
【0019】基底層を形成する緩衝層は、200〜60
0℃の比較的低温で形成するか、又は逆に1000〜1
180℃で形成することが望ましい。これにより、貫通
転位を良く伝搬する単結晶層とならず、貫通転位を抑制
することができる(請求項3)。また、緩衝層としては
アルミニウム(Al)を含むIII族窒化物系化合物半導体を
用いることで多結晶層を容易に形成することができる。
これにより、横方向エピタキシャル成長の核となる単結
晶層において、貫通転位を抑制することができ、相乗効
果を大きくすることができる(請求項4)。
【0020】エッチングにより形成する段差は、段差の
底部の幅と側面の高さは、底部からの縦方向成長により
段差が埋まるよりも、側面からの横方向成長により段差
が塞がれる方が早いよう形成する、即ち、エピタキシャ
ル条件との関係から、そのように段差を設計することが
重要である(請求項6)。こうして、基板1面を露出し
なくても、段差の設計とエピタキシャル条件により、段
差を埋める第2のIII族窒化物系化合物半導体32への
貫通転位を抑制することができる。これを図2及び図3
に示す。図2は、段差の底部として、最上層のIII族窒
化物系化合物半導体層31直下の緩衝層23が露出して
いる場合を示す。また、図3は段差の底部が最上層のII
I族窒化物系化合物半導体層31である場合、即ち第1
のIII族窒化物系化合物半導体層31の厚さの中に段差
を設ける場合である。図2、図3のように、段差の底部
から縦方向エピタキシャル成長が生じる場合も段差の幅
と深さを設計することにより、段差の底部からの貫通転
位が伝搬する前に、段差の側面からの横方向エピタキシ
ャル成長により段差が塞がれるならば目的を達成するこ
とができる。尚、図2、図3いずれの場合も、段差の底
部から縦方向エピタキシャル成長が生じる条件の図を示
しているが、段差の底部から縦方向エピタキシャル成長
がほとんど生じない場合は図1と同様の成長となる。
【0021】上記の様な速い横方向エピタキシャル成長
は、III族窒化物系化合物半導体層31の段差の側面が
{11−20}面であるとき容易に実現可能である(請
求項7)。このとき例えば横方向エピタキシャル成長中
の成長面の少なくとも上部を{11−20}面のまま保
つことができる。また、第1のIII族窒化物系化合物半
導体と第2のIII族窒化物系化合物半導体とが同組成で
あるならば、速い横方向エピタキシャル成長は容易に実
現可能である(請求項8)。
【0022】以上のような方法により、第1のIII族窒
化物系化合物半導体層31から伝搬する貫通転位を抑制
し構造的に安定なものとする一方、不連続面による抵抗
増加を伴わないで第2のIII族窒化物系化合物半導体3
2を形成することができる。尚、図1では基板面に垂直
な側面を持つ段差を形成するものを示したが、本発明は
これに限られず、段差の側面は斜めの面でも良い。この
際、段差の底部に底面の無い、断面がV字状のものでも
良い。これらは以下の説明でも同様である。
【0023】上記の工程で得られたIII族窒化物系化合
物半導体層の、横方向エピタキシャル成長した部分の上
層に素子を形成することで、欠陥の少ない、移動度の大
きい層を有する半導体素子とすることができる(請求項
9)。
【0024】上記の工程で得られたIII族窒化物系化合
物半導体層の、横方向エピタキシャル成長した部分の上
層に発光素子を形成することで、素子寿命、或いはLD
の閾値の改善された発光素子とすることができる(請求
項10)。
【0025】また、上記の工程で得られたIII族窒化物
系化合物半導体層の、横方向エピタキシャル成長した部
分の上層のみをその他の層から分離することで、転位等
結晶欠陥の著しく抑制された結晶性の良いIII族窒化物
系化合物半導体を得ることができる(請求項11)。尚
「略全部除去」とは、製造上の簡便さから、一部貫通転
位の残った部分を含んでいたとしても本発明に包含され
ることを示すものである。
【0026】
【発明の実施の形態】図1に本発明のIII族窒化物系化
合物半導体の製造方法の実施の形態の一例の概略を示
す。基底層として基板上に形成された緩衝層、及びこの
緩衝層上にエピタキシャル成長したIII族窒化物系化合
物半導体層を1周期として、複数周期形成された層を使
用する。図1のように第1の緩衝層21、III族窒化物
系化合物半導体層22、第2の緩衝層23、III族窒化
物系化合物半導体層31をこの順に形成して基底層とす
る。この、第1のIII族窒化物系化合物半導体層31を
エッチングして段差を設ける。図1では段差の底部に基
板1面を露出させた例を示している(図1の(a))。
こうして、エッチングされなかった面を上段として、側
面及び段差の底部(下段面)が形成される。側面は例え
ば{11−20}面である。次に横方向エピタキシャル
成長する条件で、段差の側面及び上面を核として第2の
III族窒化物系化合物半導体32のエピタキシャル成長
を行う。有機金属成長法を用いれば、成長面を{11−
20}面に保ったまま横方向エピタキシャル成長が容易
に可能である。こうして、基板1面からの縦方向成長が
無いか又は極めて遅く、段差の側面の横方向成長が生じ
るならば、第2のIII族窒化物系化合物半導体32に
は、段差の底部からの貫通転位がほとんど伝搬しない
(図1の(b))。こうして、段差の両側面の横方向成
長がエッチングされた部分の上方で合体するよう、エッ
チング形状と横方向エピタキシャル成長条件とを設定す
ることで、エッチングされた上部の第2のIII族窒化物
系化合物半導体32には貫通転位が極めて抑制された領
域を形成することができる(図1の(c))。尚、基板
1を露出させる場合は、次に述べる基板1を露出させな
い場合に比べて第1のIII族窒化物系化合物半導体層の
厚さを薄くできる
【0027】また、図2のように、段差の底部として、
第2の緩衝層23が露出するものでも良い。更には、図
2の(a)のような工程の段階で、III族窒化物系化合
物半導体層31の厚さより浅いエッチングをして段差の
底部がIII族窒化物系化合物半導体層31とする製造方
法(図3)でも良い。いずれも段差の下段上方に形成さ
れるIII族窒化物系化合物半導体層32は、主に段差の
上段の最上層のIII族窒化物系化合物半導体層31を核
とした横方向エピタキシャル成長により形成され、縦方
向に伝搬する貫通転位の抑制された領域とすることがで
きる。その他、効果はすでに述べた図1の場合と同様で
ある。尚、段差の底部からの縦方向成長が避けられない
場合は、段差の深さと幅の関係を、縦方向成長により段
差が埋められるよりも横方向エピタキシャル成長により
塞がれる方が早いよう設計する。
【0028】上記の発明の実施の形態としては、次の中
からそれぞれ選択することができる。
【0029】基板上にIII族窒化物系化合物半導体を順
次積層を形成する場合は、基板としてはサファイア、シ
リコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、スピネル(MgAl2O4)、Zn
O、MgOその他の無機結晶基板、リン化ガリウム又は砒化
ガリウムのようなIII-V族化合物半導体あるいは窒化ガ
リウム(GaN)その他のIII族窒化物系化合物半導体等を用
いることができる。
【0030】III族窒化物系化合物半導体層を形成する
方法としては有機金属気相成長法(MOCVD又はMOVPE)が
好ましいが、分子線気相成長法(MBE)、ハライド気相
成長法(Halide VPE)、液相成長法(LPE)等を用いて
も良く、各層を各々異なる成長方法で形成しても良い。
【0031】例えばサファイア基板上にIII族窒化物系
化合物半導体積層する際、結晶性良く形成させるため、
サファイア基板との格子不整合を是正すべくバッファ層
を形成することが好ましい。他の基板を使用する場合も
バッファ層を設けることが望ましい。バッファ層として
は、低温で形成させたIII族窒化物系化合物半導体AlxGa
yIn1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0≦x+y≦1)、より好ま
しくはAlxGa1-xN(0≦x≦1)が用いられる。このバッフ
ァ層は単層でも良く、組成等の異なる多重層としても良
い。バッファ層の形成方法は、380〜420℃の低温で形成
するものでも良く、逆に1000〜1180℃の範囲で、MOC
VD法で形成しても良い。また、DCマグネトロンスパ
ッタ装置を用いて、高純度金属アルミニウムと窒素ガス
を原材料として、リアクティブスパッタ法によりAlNか
ら成るバッファ層を形成することもできる。同様に一般
式AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0≦x+y≦1、組
成比は任意)のバッファ層を形成することができる。更
には蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレー
ション法、ECR法を用いることができる。物理蒸着法
によるバッファ層は、200〜600℃で行うのが望ましい。
さらに望ましくは300〜600℃であり、さらに望ましくは
350〜450℃である。これらのスパッタリング法等の物理
蒸着法を用いた場合には、バッファ層の厚さは、100〜3
000Åが望ましい。さらに望ましくは、100〜400Åが望
ましく、最も望ましくは、100〜300Åである。多重層と
しては、例えばAlxGa1-xN(0≦x≦1)から成る層とGaN
層とを交互に形成する、組成の同じ層を形成温度を例え
ば600℃以下と1000℃以上として交互に形成するなどの
方法がある。勿論、これらを組み合わせても良く、多重
層は3種以上のIII族窒化物系化合物半導体AlxGayIn
1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1,0≦x+y≦1)を積層しても良
い。一般的には緩衝層は非晶質であり、中間層は単結晶
である。緩衝層と中間層を1周期として複数周期形成し
ても良く、繰り返しは任意周期で良い。繰り返しは多い
ほど結晶性が良くなる。
【0032】バッファ層及び上層のIII族窒化物系化合
物半導体は、III族元素の組成の一部は、ボロン(B)、タ
リウム(Tl)で置き換えても、また、窒素(N)の組成一部
をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)
で置き換えても本発明を実質的に適用できる。また、こ
れら元素を組成に表示できない程度のドープをしたもの
でも良い。例えば組成にインジウム(In)、ヒ素(As)を有
しないIII族窒化物系化合物半導体であるAlxGa1-xN(0
≦x≦1)に、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)よりも原
子半径の大きなインジウム(In)、又は窒素(N)よりも原
子半径の大きなヒ素(As)をドープすることで、窒素原子
の抜けによる結晶の拡張歪みを圧縮歪みで補償し結晶性
を良くしても良い。この場合はアクセプタ不純物がIII
族原子の位置に容易に入るため、p型結晶をアズグロー
ンで得ることもできる。このようにして結晶性を良くす
ることで本願発明と合わせて更に貫通転位を100乃至
1000分の1程度にまで下げることもできる。バッフ
ァ層とIII族窒化物系化合物半導体層とが2周期以上で
形成されている基底層の場合、各III族窒化物系化合物
半導体層に主たる構成元素よりも原子半径の大きな元素
をドープすると更に良い。なお、発光素子として構成す
る場合は、本来III族窒化物系化合物半導体の2元系、
若しくは3元系を用いることが望ましい。
【0033】n型のIII族窒化物系化合物半導体層を形
成する場合には、n型不純物として、Si、Ge、Se、Te、
C等IV族元素又はVI族元素を添加することができる。ま
た、p型不純物としては、Zn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等II
族元素又はIV族元素を添加することができる。これらを
複数或いはn型不純物とp型不純物を同一層にドープし
ても良い。
【0034】横方向エピタキシャル成長としては成長面
が基板に垂直となるものが望ましいが、基板に対して斜
めのファセット面のまま成長するものでも良い。この
際、段差の底部に底面の無い、断面がV字状のものでも
良い。
【0035】横方向エピタキシャル成長としては、横方
向エピタキシャル成長面の少なくとも上部と基板面とは
垂直であることがより望ましく、更にはいずれもIII族
窒化物系化合物半導体の{11−20}面であることが
より望ましい。
【0036】エッチングする際は、深さと幅の関係か
ら、横方向エピタキシャル成長により塞がれるように段
差を設ける。この時、基板面又は緩衝層等の組成の異な
る底面からの縦方向成長が少なくとも初期段階において
無い、又は極めて遅いことも利用すると良い。
【0037】段差の下段を形成する際は基板を露出させ
るようにエッチングすることが最も望ましいが、基板を
露出させず、緩衝層が露出するよう基底層中でエッチン
グを止めても良い。この時、組成比や結晶性のことなる
緩衝層として次のようにすることが望ましい。緩衝層
を、AlN、AlxGa1-xN又はAlxGayIn1-x-yN(x≠0)からな
る層とし、第1のIII族窒化物系化合物半導体をGaNとす
るならば、AlN、AlxGa1- xN又はAlxGayIn1-x-yN(x≠0)
からなる異なる層は、Cl2、BCl3などの塩素を含むプラ
ズマエッチングの際ストッパ層として働くので好都合で
ある。これにより、緩衝層を段差の底部とした場合、そ
こからの縦方向成長を抑えて第1のIII族窒化物系化合
物半導体層側面からの横方向成長を促進させる条件を容
易に設定することができる。これは、段差の設計をも容
易とし、段差の深さを浅いものとすることができる。
【0038】基板上に積層するIII族窒化物系化合物半
導体層の結晶軸方向が予想できる場合は、III族窒化物
系化合物半導体層のa面({11−20}面)又はm面
({1−100}面)に垂直となるようストライプ状に
マスク或いはエッチングを施すことが有用である。な
お、島状、格子状等に、上記ストライプ及びマスクを任
意に設計して良い。横方向エピタキシャル成長面は、基
板面に垂直なものの他、基板面に対し斜めの角度の成長
面でも良い。III族窒化物系化合物半導体層のa面とし
て(11−20)面を横方向エピタキシャル成長面とす
るには例えばストライプの長手方向はIII族窒化物系化
合物半導体層のm面である(1−100)面に垂直とす
る。例えば基板をサファイアのa面又はc面とする場合
は、どちらもサファイアのm面がその上に形成されるII
I族窒化物系化合物半導体層のa面と通常一致するの
で、これに合わせてエッチングを施す。点状、格子状そ
の他の島状とする場合も、輪郭(側壁)を形成する各面
が{11−20}面とすることが望ましい。
【0039】エッチングマスクは、多結晶シリコン、多
結晶窒化物半導体等の多結晶半導体、酸化珪素(SiOx)、
窒化珪素(SiNx)、酸化チタン(TiOX)、酸化ジルコニウム
(ZrO X)等の酸化物、窒化物、チタン(Ti)、タングステン
(W)のような高融点金属、これらの多層膜をもちいるこ
とができる。これらの成膜方法は蒸着、スパッタ、CV
D等の気相成長法の他、任意である。
【0040】エッチングをする場合は反応性イオンビー
ムエッチング(RIBE)が望ましいが、任意のエッチ
ング方法を用いることができる。基板面に垂直な側面を
有する段差を形成するのでないものとして、異方性エッ
チングにより例えば段差の底部に底面の無い、断面がV
字状のものを形成しても良い。
【0041】上記の貫通転位の抑制された領域を有する
III族窒化物系化合物半導体の、全体或いは貫通転位の
抑制された領域を中心としてその上部にFET、発光素
子等の半導体素子を形成することができる。発光素子の
場合は、発光層は多重量子井戸構造(MQW)、単一量
子井戸構造(SQW)の他、ホモ構造、ヘテロ構造、ダ
ブルヘテロ構造のものが考えられるが、pin接合或い
はpn接合等により形成しても良い。
【0042】上述の、貫通転位の抑制された領域を有す
るIII族窒化物系化合物半導体の、例えば基板1、バッ
ファ層2及びエッチングにより段差を設けた貫通転位の
抑制されていない部分を除去して、III族窒化物系化合
物半導体基板とすることができる。この上にIII族窒化
物系化合物半導体素子を形成することが可能であり、或
いはより大きなIII族窒化物系化合物半導体結晶を形成
するための基板として用いることができる。除去方法と
しては、メカノケミカルポリッシングの他、任意であ
る。
【0043】以下、発明の具体的な実施例に基づいて説
明する。実施例として発光素子をあげるが、本発明は下
記実施例に限定されるものではなく、任意の素子に適用
できるIII族窒化物系化合物半導体の製造方法を開示し
ている。
【0044】本発明のIII族窒化物系化合物半導体は、
有機金属化合物気相成長法(以下「MOVPE」と示す)に
よる気相成長により製造された。用いられたガスは、ア
ンモニア(NH3)とキャリアガス(H2又はN2)とトリメチル
ガリウム(Ga(CH3)3,以下「TMG」と記す)とトリメチ
ルアルミニウム(Al(CH3)3,以下「TMA」と記す)、ト
リメチルインジウム(In(CH3)3,以下「TMI」と記
す)、シクロペンタジエニルマグネシウム(Mg(C
5H5)2、以下「Cp2Mg」と記す)である。
【0045】〔第1実施例〕本実施例の工程を図1に示
す。有機洗浄及び熱処理により洗浄したa面を主面と
し、単結晶のサファイア基板1上に、温度を400℃まで
低下させて、H2を10L/min、NH3を5L/min、TMAを20μmol
/minで約3分間供給して第1のAlN層(第1の緩衝層)2
1を約40nmの厚さに形成した。次に、サファイア基板1
の温度を1000℃に保持し、H2を20L/min、NH3を10L/mi
n、TMGを300μmol/minで導入し、膜厚約0.3μmのGaN層
(中間層)22を形成した。次に温度を400℃まで低下
させて、H2を10L/min、NH3を5L/min、TMAを20μmol/min
で約3分間供給して第2のAlN層(第2の緩衝層)23を
約40nmの厚さに形成した。次に、サファイア基板1の温
度を1000℃に保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMG
を300μmol/minで導入し、膜厚約1μmのGaN層31を形
成した。こうして、膜厚約40nmの第1のAlN層(第1の
緩衝層)21、膜厚約0.3μmのGaN層(中間層)22、
膜厚約40nmの第2のAlN層(第2の緩衝層)23、膜厚
約1μmのGaN層31から成る基底層20を形成した。一
般的には緩衝層は非晶質であり、中間層は単結晶であ
る。緩衝層と中間層を1周期として複数周期形成しても
良く、繰り返しは任意周期で良い。繰り返しは多いほど
結晶性が良くなる。
【0046】次にハードベークレジストマスクを使用し
て、反応性イオンビームエッチング(RIBE)を用い
た選択ドライエッチングにより、幅1μm、間隔1μm、深
さ1.4μmのストライプ状にエッチングした。これによ
り、基底層20の幅1μm、段差1.4μmの上段と、幅1μm
の基板1面の露出した下段の底部とが交互に形成された
(図1)。この時、深さ1.4μmの段差を形成する側面
は、GaN層31の{11−20}面とした。
【0047】次に、サファイア基板1の温度を1150℃に
保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを5μmol/min
で導入し、基底層20の深さ1.4μmの段差を形成する側
面である{11−20}面を核としてGaN層32を横方
向エピタキシャル成長により形成した。この時、段差の
上面からも縦方向エピタキシャル成長が一部生じた。こ
うして主に{11−20}面を成長面とする横方向エピ
タキシャル成長により段差が埋められ、表面が平坦とな
った。こののち、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを30
0μmol/minで導入し、GaN層32を成長させ、GaN層31
とGaN層32とを合計2μmの厚さとした。GaN層32の、
GaN層31の深さ1.4μmの段差の底部上方に形成された
部分は、段差の上面上方に形成された部分に比して貫通
転位が著しく抑えられた。これは、サファイア基板1上
にGaNは高温では成長しにくいので、GaN層32は主に段
差を形成する基底層20、特にGaN層31を核として成
長することによる。また、段差を形成するGaN層31の
厚さも薄くできる。
【0048】〔第2実施例〕本実施例では、第1実施例
とほぼ同様の基底層について、第2のAlN層(第2の緩
衝層)23を段差の底部として露出させて横方向エピタ
キシャル成長させた。この工程を図2に示す。第1実施
例と同様に、膜厚約40nmの第1のAlN層(第1の緩衝
層)21、膜厚約0.3μmのGaN層(中間層)22、膜厚
約40nmの第2のAlN層(第2の緩衝層)23を形成し、
次に膜厚約2μmのGaN層31を形成した。こうして基底
層20を形成した。
【0049】次にハードベークレジストマスクを使用し
て、反応性イオンビームエッチング(RIBE)を用い
た選択ドライエッチングにより、幅1μm、間隔1μm、深
さ2μmのストライプ状にエッチングした。これにより、
GaN層31の幅1μm、段差2μmの上段と、幅1μmの第2
のAlN層(第2の緩衝層)23が露出した面(下段の底
部)とが交互に形成された(図2)。この時、深さ2μm
の段差を形成する側面は、GaN層31の{11−20}
面とした。
【0050】次に、サファイア基板1の温度を1150℃に
保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを5μmol/min
で導入し、GaN層31の深さ2μmの段差を形成する側面
である{11−20}面を核としてGaN層32を横方向
エピタキシャル成長により形成した。この時、段差の上
面と、底部からも縦方向エピタキシャル成長が一部生じ
た。こうして主に{11−20}面を成長面とする横方
向エピタキシャル成長により段差が埋められ、表面が平
坦となった。こののち、H2を20L/min、NH3を10L/min、T
MGを300μmol/minで導入し、GaN層32を成長させ、GaN
層31とGaN層32とを合計3μmの厚さとした。GaN層3
2の、GaN層31の深さ2μmの段差の底部上方に形成さ
れた部分は、段差の上面上方に形成された部分に比して
貫通転位が著しく抑えられた。
【0051】〔第3実施例〕本実施例では、第2実施例
とほぼ同様の基底層について、GaN層31を底部として
横方向エピタキシャル成長させた。この工程を図3に示
す。第2実施例と同様に、膜厚約40nmの第1のAlN層
(第1の緩衝層)21、膜厚約0.3μmのGaN層(中間
層)22、膜厚約40nmの第2のAlN層(第2の緩衝層)
23、膜厚約3μmのGaN層31からなる基底層20を形
成した。
【0052】次にハードベークレジストマスクを使用し
て、反応性イオンビームエッチング(RIBE)を用い
た選択ドライエッチングにより、幅1μm、間隔1μm、深
さ約2μmのストライプ状にエッチングした。これによ
り、GaN層31の幅1μm、段差2μmの上段と、幅1μmのG
aN層31の下段の底部とが交互に形成された(図3)。
この時、深さ2μmの段差を形成する側面は、GaN層31
の{11−20}面とした。
【0053】次に、サファイア基板1の温度を1150℃に
保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを5μmol/min
で導入し、基底層20の深さ2.3μmの段差を形成する側
面である{11−20}面を核としてGaN層32を横方
向エピタキシャル成長により形成した。この時、段差の
上面と、底部からも縦方向エピタキシャル成長が一部生
じた。こうして主に{11−20}面を成長面とする横
方向エピタキシャル成長により段差が埋められ、表面が
平坦となった。こののち、H2を20L/min、NH3を10L/mi
n、TMGを300μmol/minで導入し、GaN層32を成長さ
せ、GaN層31とGaN層32とを合計4μmの厚さとした。
GaN層32の、GaN層31の深さ2μmの段差の底部上方に
形成された部分は、段差の上面上方に形成された部分に
比して貫通転位が著しく抑えられた。
【0054】〔第4実施例〕本実施例では、第1実施例
において、GaN層31を形成する際、TMIをドープしてGa
N:In層31とした。インジウム(In)のドープ量は約1×1
016/cm3とした。こののち、第1実施例とほぼ同様にエ
ッチング及びGaNの横方向エピタキシャル成長を行った
(図4)。主に結晶性の良いGaN:In層31を核として横
方向成長したGaN層32は第1実施例のそれよりも貫通
転位がやや小さくなった。また、GaN:In層31上部に縦
方向成長したGaN層32は、第1実施例のそれよりも貫
通転位が約1/100に低減された。
【0055】〔第5実施例〕第1実施例と同様に形成し
たウエハ上に、次のようにして図5に示すレーザダイオ
ード(LD)100を形成した。但し、GaN層32の形
成の際、シラン(SiH 4)を導入して、GaN層32をシリ
コン(Si)ドープのn型GaNから成る層とした。尚、図を
簡略とするため、GaN層31とGaN層32を合わせて単に
GaN層103と記載する。
【0056】サファイア基板101、AlNから成るバッ
ファ層102、GaN層とn型GaN層の2段のGaN層103
から成るウエハ上に、シリコン(Si)ドープのAl0.08Ga
0.92Nから成るnクラッド層104、シリコン(Si)ドー
プのGaNから成るnガイド層105、MQW構造の発光
層106、マグネシウム(Mg)ドープのGaNから成るpガ
イド層107、マグネシウム(Mg)ドープのAl0.08Ga0.92
Nから成るpクラッド層108、マグネシウム(Mg)ドー
プのGaNから成るpコンタクト層109を形成した。次
にpコンタクト層109上に金(Au)から成る電極110
Aを、GaN層とn型GaN層の2段のGaN層103が露出す
るまで一部エッチングしてアルミニウム(Al)から成る電
極110Bを形成した。このようにして形成したレーザ
ダイオード(LD)100は素子寿命及び発光効率が著
しく向上した。
【0057】〔第6実施例〕第1実施例と同様に形成し
たウエハ上に、次のようにして図6に示す発光ダイオー
ド(LED)200を形成した。但し、GaN層32の形
成の際、シラン(SiH 4)を導入して、GaN層32をシリ
コン(Si)ドープのn型GaNから成る層とした。尚、図を
簡略とするため、GaN層31とGaN層32を合わせて単に
GaN層203と記載する。
【0058】サファイア基板201、AlNから成るバッ
ファ層202、GaN層とn型GaN層の2段のGaN層203
から成るウエハ上に、シリコン(Si)ドープのAl0.08Ga
0.92Nから成るnクラッド層204、発光層205、マ
グネシウム(Mg)ドープのAl0.08Ga 0.92Nから成るpクラ
ッド層206、マグネシウム(Mg)ドープのGaNから成る
pコンタクト層207を形成した。次にpコンタクト層
207上に金(Au)から成る電極208Aを、GaN層とn
型GaN層の2段のGaN層203が露出するまで一部エッチ
ングしてアルミニウム(Al)から成る電極208Bを形成
した。このようにして形成した発光ダイオード(LE
D)200は素子寿命及び発光効率が著しく向上した。
【0059】〔応用〕本発明の応用例として、第2のGa
N層32の貫通転位の低減されていない領域をさらにエ
ッチングし、更にGaN層を横方向エピタキシャル成長さ
せることも有用である。図7は、第1のGaN層31、第
2のGaN層32のエッチングをする位置の模式図であ
る。図7の(a)のように、ストライプ状にエッチング
をして、段差の上段のGaN層31(図で斜線)の部分
と、Bで示した段差の底部とを形成する。図7の(b)
のように、図7の(a)でBで示した段差を埋めたGaN
層32を残し、ストライプ状にエッチングをして、Aで
示した段差の底部とを形成する。こうしてGaN層33を
段差の上段となった第2のGaN層32を核として横方向
エピタキシャル成長すると、図7の(c)のように、Ga
N層31から貫通転位を伝搬している部分である31と
示した領域、横方向エピタキシャル成長したGaN層32
の上部で貫通転位が抑制された32と示した領域、横方
向エピタキシャル成長したGaN層33の上部で貫通転位
が抑制された33と示した領域とが形成される。これに
より、ウエハのほぼ全面にわたって、貫通転位の低減さ
れた領域を形成することが可能である。尚、GaN層32
のエッチング深さは任意として良く、貫通転位を有する
下層の基底層の一部又は全部をエッチングしても良い。
実施例1のように基板面上のGaN層32を横方向エピタ
キシャル成長により形成し、次に、核とした基底層20
をエッチングして、横方向エピタキシャル成長により貫
通転位の抑制された部分を核としてGaN層33を横方向
成長させれば、基板1を剥離しやすく、且つ全体として
貫通転位の抑制されたGaN基板を形成することも可能で
ある。これらにより、全面にわたって貫通転位の抑制さ
れたIII族窒化物系化合物半導体基板を得ることもでき
る。尚、GaN層32をエッチングして段差を形成し、そ
れを核としてGaN層33を横方向成長させる場合は、本
発明の横方向成長に限られない。例えば底部にマスクを
形成し、底部からの縦方向成長を遮断し、横方向成長を
確実なものとしても良い。
【0060】〔エッチングの変形〕また、図8は、3組
の{11−20}面により、島状に段差の上段を形成す
る例である。図8の(a)は、3組の{11−20}面
で形成される外周をも示しているが、これは理解のため
簡略化した模式図であり、実際には島状の段差の上段は
ウエハ当たり数千万個形成して良い。図8の(a)で
は、島状の段差の上段に対し、段差の底部Bは3倍の面
積を有する。図8の(b)では、島状の段差の上段に対
し、段差の底部Bは8倍の面積を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るIII族窒化物系化
合物半導体の製造工程を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施例に係るIII族窒化物系化
合物半導体の製造工程を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施例に係るIII族窒化物系化
合物半導体の製造工程を示す断面図。
【図4】本発明の第4の実施例に係るIII族窒化物系化
合物半導体の製造工程を示す断面図。
【図5】本発明の第5の実施例に係るIII族窒化物系化
合物半導体発光素子の構造を示す断面図。
【図6】本発明の第6の実施例に係るIII族窒化物系化
合物半導体発光素子の構造を示す断面図。
【図7】第1のIII族窒化物系化合物半導体のエッチン
グの他の例を示す模式図。
【図8】第1のIII族窒化物系化合物半導体のエッチン
グの更に別の例を示す模式図。
【図9】III族窒化物系化合物半導体を伝搬する貫通転
位を示す断面図。
【符号の説明】
1、101、201 基板 2、102、202 バッファ層(異なる層) 20 基底層 21 基底層を形成する第1緩衝層 22 基底層を形成する中間層 23 基底層を形成する第2緩衝層(異なる層) 31 第1のIII族窒化物系化合物半導体(層) 32 第2のIII族窒化物系化合物半導体(層) 103、203 n-GaN層 104、204 n-AlGaNクラッド層 105 n-GaNガイド層 106、205 発光層 107 p-GaNガイド層 108、206 p-AlGaNクラッド層 109、207 p-GaN層 110A、208A p電極 110B、208B n電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F041 AA03 AA40 AA44 CA04 CA05 CA33 CA40 CA46 CA65 CA75 5F045 AA03 AA04 AA05 AB09 AB14 AB17 AC07 AC08 AD06 AD07 AD08 AD09 AD10 AD14 AD15 AF02 AF04 AF06 AF09 BB12 CA09 DA53 HA12 5F073 AA45 AA51 AA74 CA07 CB05 CB07 DA05 DA07 DA35 EA29

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にIII族窒化物系化合物半導体を
    エピタキシャル成長により得るIII族窒化物系化合物半
    導体の製造方法において、 少なくとも3層のIII族窒化物系化合物半導体層を有
    し、最上層を第1のIII族窒化物系化合物半導体とする
    多重層から成る基底層をエッチングにより、点状、スト
    ライプ状又は格子状等の島状態とし、段差を設ける工程
    と、 前記エッチングにより形成された点状、ストライプ状又
    は格子状等の島状態の前記第1のIII族窒化物系化合物
    半導体の段差の上段の上面及び側面を核として、第2の
    III族窒化物系化合物半導体を縦及び横方向エピタキシ
    ャル成長させる工程とを有することを特徴とするIII族
    窒化物系化合物半導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基底層は、単結晶が成長しない温度
    で形成されたIII族窒化物系化合物半導体から成る緩衝
    層と、単結晶が成長する温度で形成されたIII族窒化物
    系化合物半導体層とを1周期として任意周期繰り返し積
    層したものであることを特徴とする請求項1に記載のII
    I族窒化物系化合物半導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記緩衝層は、200〜600℃又は1
    000〜1180℃において形成されたことを特徴とす
    る請求項2に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記緩衝層は、AlxGa1-1N(0≦x≦1)で
    あることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のII
    I族窒化物系化合物半導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記エッチングは、段差の底部として基
    板面を露出させるものであることを特徴とする請求項1
    乃至請求項4のいずれか1項に記載のIII族窒化物系化
    合物半導体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記段差の底部の幅と側面の高さは、底
    部からの縦方向成長により段差が埋まるよりも、側面か
    らの横方向成長により段差が塞がれる方が早いよう形成
    されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれ
    か1項に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記段差の側面は、略全部が{11−2
    0}面であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の
    いずれか1項に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1のIII族窒化物系化合物半導体
    と前記第2のIII族窒化物系化合物半導体とが同組成で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか
    1項に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に
    記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法により製
    造した前記III族窒化物系化合物半導体層の、横方向エ
    ピタキシャル成長した部分の上層に形成されたことを特
    徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項8のいずれか1項
    に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法により
    製造した前記III族窒化物系化合物半導体層の、横方向
    エピタキシャル成長した部分の上層に、異なるIII族窒
    化物系化合物半導体層を積層することにより得られるこ
    とを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項8のいずれか1項
    に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法に加え
    て、横方向エピタキシャル成長した部分の上層以外を略
    全部除去することにより、前記III族窒化物系化合物半
    導体基板を得ることを特徴とするIII族窒化物系化合物
    半導体基板の製造方法。
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