JP2009141085A - 窒化物半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】格子欠陥が集中する領域を極力小さくし、どのようなデバイスにも適用できるようにした窒化物半導体素子を提供する。
【解決手段】成長用基板1上に選択成長用マスク11及びAlNバッファ層2が形成され、さらにノンドープGaN層3、n型GaN層4、MQW活性層5、p型GaN層6が順に積層されている。成長用基板1上に形成される選択成長用マスク11は、円形状又は多角形状の形状を有しており、選択成長用マスク11の周囲が成長用基板1で囲まれた島状に複数形成されている。このようにすることで、格子欠陥が集中する領域を極力小さくすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】成長用基板1上に選択成長用マスク11及びAlNバッファ層2が形成され、さらにノンドープGaN層3、n型GaN層4、MQW活性層5、p型GaN層6が順に積層されている。成長用基板1上に形成される選択成長用マスク11は、円形状又は多角形状の形状を有しており、選択成長用マスク11の周囲が成長用基板1で囲まれた島状に複数形成されている。このようにすることで、格子欠陥が集中する領域を極力小さくすることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、選択成長用マスクを備えた窒化物半導体素子に関する。
窒化ガリウム系化合物半導体、いわゆるIII−V族窒化物半導体(以下、窒化物半導体という)と呼ばれる半導体素子の開発が盛んである。窒化物半導体は、照明、バックライト等用の光源として使われる青色LED、多色化で使用されるLED、LD等に用いられている。窒化物半導体は、バルク単結晶の製造が困難なために、サファイア、SiC等の異種基板の上にMOCVD(有機金属気相成長法)を利用してGaNを成長させることが行われている。サファイア基板は、エピタキシャル成長工程の高温アンモニア雰囲気中の安定性にすぐれているので、成長用基板として特に用いられる。
MOCVD法によって窒化物半導体を製造する場合には、例えば、成長用基板としてサファイア基板を設置した反応室内に、反応ガスとして有機金属化合物ガスを供給し、結晶成長温度をおよそ900℃〜1100℃の高温で保持して、サファイア基板上にGaN半導体結晶のエピタキシャル層を成長させる。
しかし、サファイア基板等の成長用基板とGaNとでは、格子定数が異なるため、成長用基板上に成長させたGaN系半導体層においては、基板から上下方向に伸びる転位(格子欠陥)が存在している。この転位は、成長用基板上のGaNにのみ発生するのではなく、GaN上に形成される窒化物半導体層に伝播していき、積層欠陥を発生させてしまう。これらの格子欠陥は、p−n接合リーク、キャリア寿命の短縮、半導体層間に発生する応力によるクラックの発生等、デバイスに悪影響を及ぼす。
そこで、上記のような転位を低減する方法として、例えば、特許文献1に示されるように、選択横方向成長(ELO:Epitaxial Lateral Overgrowth)が良く知られている。ELOは、図11(a)に示すように、成長用基板31上にストライプ状の選択成長用マスク32aを形成し、GaN系半導体層を開口部に結晶成長させるものである。図11は、半導体層の積層方向の上面から見た図を示し、図11(a)は、多数形成されている選択成長用マスクのうち、便宜的に2つの選択成長用マスクのみを表わしている。
図11(a)の状態で、選択成長用マスク32a上には結晶成長が行われないため、図の矢印で示すように、開口部から選択成長用マスク32a上を横方向に成長する作用が発生し、基板中の貫通転位の上方伝播は阻止されるので、成長用基板31上に結晶成長させたGaN系半導体層の積層方向の結晶性を高めることができる。
上記ELOを用い転位密度を十分に低下させたGaNを形成し、横方向成長を利用して、広い面積の成長結晶層を得るようにし、この半導体層上にGaN系半導体層を積層して、デバイスを構成することが行われている。しかし、図12(a)に示すように、成長用基板31上のGaN層33は、連続して1つの半導体層となるが、開口部から横方向に成長してきた結晶同士が合わさる面に格子欠陥が集中してしまう。この格子欠陥が集中する面は、ストライプ状の選択成長用マスク32aを用いているため、ストライプ状に分布することになる。
これは、へき開やスクライブにより、1枚のウエハから複数のデバイスに分離する場合、LD(レーザダイオード)のようなストライプ構造のデバイスには適しているが、LEDのような円形状や四角形状のデバイスでは、分離するときに欠陥が集中する領域が含まれる確率が高くなり、デバイスに悪影響を及ぼす。
特開2000−68599号公報
一方、格子欠陥の集中を分散させるために、三角形や六角形の開口パターンを有する選択成長用マスクを用いることが提案されている。図11(b)は、六角形の開口パターンを有する選択成長用マスクを用いる例で、便宜的に2つの開口部のみを示している。成長用基板31上に開口部30を有する選択成長用マスク32bを形成し、開口部30から結晶成長が開始される。開口部30の形状は六角形であるので、ELOを行った場合、横方向の成長は図の矢印で示すように、六角形の各辺にほぼ直角方向に成長していくので、2つの開口部30の間に位置し、相対する六角形の辺の中央部分に位置する境界面33bに向かって、右方向からの結晶成長と左方向からの結晶成長とが行われ、広い面積のGaN層33が得られる。
この場合、図11(a)と異なり、境界面33bは分散されるので、格子欠陥が集中する面は長い直線状のものとならず、格子欠陥集中面の面積は小さく分散され、ほぼ同形状になる。したがって、LEDや電子デバイスのようなデバイスに分離する場合には、図11(a)の場合よりは好ましい状態にはなるものの、図12(b)に示されるように、GaN層33の境界面33bに格子欠陥が集中することは変わらず、境界面33bの面積はある程度の大きさを有しており、また、成長条件等により、連続したGaN層とならない場合が多い。したがって、一枚のウエハから多数のデバイスに分離したときに、格子欠陥が集中する境界面33等を避けることは困難であることが多く、格子欠陥集中面が含まれる確率は高い。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、格子欠陥が集中する領域を極力小さくし、どのようなデバイスにも適用できるようにした窒化物半導体素子を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、成長用基板上に円形状又は多角形状の選択成長用マスクを、該選択成長用マスクの周囲が前記成長用基板で囲まれた島状に複数形成し、GaN系半導体結晶が前記選択成長用マスクを覆うように形成したことを特徴とする窒化物半導体素子である。
また、請求項2記載の発明は、前記選択成長用マスクの形状は三角形又は六角形であることを特徴とする請求項1記載の窒化物半導体素子である。
また、請求項3記載の発明は、前記三角形又は六角形の一辺は、成長用基板のA面と平行に形成されていることを特徴とする請求項2記載の窒化物半導体素子である。
また、請求項4記載の発明は、前記成長用基板とGaN系半導体結晶との間には、前記選択成長用マスクの直上を除き、AlNバッファ層が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子である。
また、請求項5記載の発明は、前記AlNバッファ層は、900℃以上の温度で形成されることを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体素子である。
本発明によれば、成長用基板上に円形状又は多角形状の選択成長用マスクを、該選択成長用マスクの周囲が前記成長用基板で囲まれた島状に複数形成し、GaN系半導体結晶が前記選択成長用マスクを覆うように形成しているので、選択成長によって成長したGaN系半導体結晶が、選択成長用マスクの中央部に向かって横方向成長する。すると、選択成長用マスクの中央部に転位又は格子欠陥が集まり、転位密度が高い領域をかなり小さくすることができるので、1枚のウエハから多数のデバイスに分離する場合でも、転位密度の高い領域を含まないように分離することが容易になる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明の1枚のウエハからなる窒化物半導体素子の断面構造の一例を示す。
窒化物半導体素子を構成する窒化物半導体は、既知のMOCVD法等によって形成する。ここで、窒化物半導体は、AlGaInN4元混晶を表し、いわゆるIII−V族窒化物半導体と呼ばれるもので、AlxGayInzN(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表すことができる。また、GaN系半導体とは、GaNのみからなる半導体、又は構成材料にGaNを含む半導体であり、上記AlGaInN4元混晶において、0<y≦1で表わされる。
成長用基板1上に選択成長用マスク11とAlNバッファ層2を積層し、それらの上にGaN系半導体結晶を結晶成長させるものである。成長用基板1上にAlNバッファ層2、ノンドープGaN層3、Siドープのn型GaN層4、MQW活性層5、Mgドープのp型GaN層6が順に積層されており、これらの各半導体層は、MOCVD法によって形成される。また、MQW活性層は、GaNからなる障壁層と、InX1Ga1−X1N(0<X1)からなる井戸層との多重量子井戸構造で構成される。ここで、GaN系半導体結晶には、ノンドープGaN層3〜p型GaN層6までの各半導体層が各々相当する。また、成長用基板1としてはサファイア基板等が用いられるが、その他にも六方晶構造(ウルツ鉱構造)を持つ基板であれば良い。
図2は、図1における成長用基板1と選択成長用マスク11との関係を詳しく示したものである。本発明で特徴的なのは、成長用基板1上に形成される選択成長用マスク11は、従来のように開口部を有するのではなく、閉じた形状であり、成長用基板1よりも面積の小さな選択成長用マスク11が、成長用基板1上に点在し、選択成長用マスク11の周囲が成長用基板1の露出した面で囲まれた島状に形成されていることである。また、選択成長用マスク11は、円形状や多角形状に形成される。図2は六角形状の選択成長用マスクの例を示している。また、選択成長用マスク11には、SiO2、Si3N4、ZrO2等の絶縁膜が用いられる。
ELOを行った場合、選択成長用マスク11の周囲が、成長用基板1の露出した面で囲まれていることにより、成長用基板1の露出した面から結晶成長が起こり、横方向へ成長が進むので、例えば、図4(a)のように成長が行われる。図4(a)は、図1の六角形状の選択成長用マスク11のうちの1つのマスクのみを代表的に取り出して、選択成長によって発生する作用を模式的に示したものである。
図4(a)に基づき説明すると、成長用基板1の露出した面から結晶成長が起こり、横方向に成長が進む。横方向の成長は、六角形の各辺に対しておよそ直角方向に発生するので、横方向成長の方向は20aのようになる。20aの横方向成長は、六角形の各辺すべてに対して発生するために図のようになる。すると、格子欠陥は横方向成長の方向20aに進んでいくので、最終的には、六角形のほぼ中心部に集約され、点線の部分で示すように、転位や欠陥が集束した領域(以下、転位束という)が形成される。このようにして、図2では、点在する選択成長用マスク11のすべてに対して六角形の中心部に転位が転位束として集約されるので、極めて狭い領域に格子欠陥を集中させることができ、転位密度が高い領域を狭い領域に閉じ込めることができる。
図3は、選択成長用マスク11の形状を三角形状にした場合の配置例を示す。成長用基板1上に選択成長用マスク11が複数形成されており、三角形状の選択成長用マスク11で囲まれた領域も三角形状になるように形成配置され、かつ、各選択成長用マスク11は接触しないように形成されている。すなわち、各選択成長用マスク11の周囲は、必ず、成長用基板1の露出した面で囲まれる島状に形成される。
図4(b)に、三角形状の選択成長用マスク11のうちの1つのマスクのみを取り出して、選択成長によって発生する作用を模式的に示す。選択成長用マスクの周囲は、成長用基板1の露出した面で囲まれているため、その領域から結晶成長が起こり、横方向に成長が進む。横方向の成長は、三角形の各辺に対しておよそ直角方向に発生するので、横方向成長の方向は20bのようになる。20bの横方向成長は、三角形の各辺すべてに対して発生するために図のようになる。したがって、図4(a)と同様、三角形の選択成長用マスク11の中心に転位が集束し、転位束が形成される。
ところで、図2では六角形状の選択成長用マスクのみを、図3では三角形状の選択成長用マスクのみを形成しているが、これら2種類の形状を混合したマスクパターンを形成するようにしても良い。また、図4で説明した作用に基づけば、選択成長用マスク11の形状は、図2、3に示す六角形状や三角形状だけでなく、円形状又は多角形状であれば良いことがわかる。円形状又は多角形状であれば、選択成長用マスクの中心領域に転位を集束させることができる。この場合でも、一種類の形状の選択成長用マスクパターンとするのではなく、円形と三角形、三角形と四角形と六角形といったように、複数種類の形状を混合した合成マスクパターンとしても良い。
次に、選択成長用マスク11の形状としては、三角形状と六角形状が特に良いことを説明する。1枚のウエハを分割して多数のデバイスにするには、選択成長により成長用基板1上に形成される半導体層は繋がっていなければならないが、成長条件によっては図12(b)に示すように、隙間が開いてしまうことがある。確実に半導体層を連続した結晶構造とするために、縦方向の成長レートよりも横方向の成長レートが大きくなるように設定しておきたい。
GaN系半導体は、(0001)方位のウルツ鉱型(六方晶)の結晶構造(図8の結晶構造)を持ち、Gaのカチオン元素が成長表面方向になる結晶極性(c軸方向に成長)を有している。したがって、成長用基板としてのサファイア基板のC面(0001)に積層されたGaN系半導体層は、すべてC面が成長表面方向となる。その場合、図2の六角形状の選択成長用マスクであれば、六角形の一辺L1をA面と平行になるように、図3の三角形状の選択成長用マスクであれば、三角形の一辺L2をA面と平行になるように配置すれば、選択成長によって成長する結晶は、ほとんど横方向にのみ成長を行うので、全体が一つに繋がり、連続した半導体層になる。
ここで、図8に示されるように、A面とは六角柱の上面又は底面の六角形の頂点を1つ置きに結んだ線に沿って垂直方向に切り出した面になるので、3つのA1方向と3つのA2方向が存在する。したがって、上記の六角形の一辺L1をA面と平行になるように、三角形の一辺L2をA面と平行になるように配置するとは、例えば、図2のL1方向と図8のA1方向又はA2方向とを平行にすれば良い。または、図3のL2方向と図8のA1方向又はA2方向とを平行にすれば良い。
上記のように配置すると、選択成長用マスクが三角形状の場合、図8のA1方向又はA2方向からわかるように、選択成長用マスクの各辺がすべてA面に平行となる。一方、選択成長用マスクが六角形状の場合、GaN系半導体結晶やサファイア基板の結晶構造は、図8に示されるように、六角柱形状なので、C面成長とすると、やはり、六角形状の選択成長用マスクの各辺がすべてA面に平行となる。なお、選択成長用マスクの形状は、転位束の形成や各辺をA面に平行にするためには、正六角形又は正三角形とすることがさらに望ましい。
以上のように構成することで、転位や欠陥を狭い領域に集束させることができるとともに、確実に連続した1枚のウエハを形成することができるので、1枚のウエハから転位や欠陥が高密度に分布している領域を避けて、LEDデバイスや電子デバイス、さらにはLDデバイス等の各デバイスについて、多数のデバイスを分離作製できる。
次に、図1の窒素物半導体素子の製造方法を説明する。まず、成長用基板1としてサファイア基板1をMOCVD(有機金属化学気相成長)装置に入れ、水素ガスを流しながら、1050℃程度まで温度を上げ、サファイア基板1をサーマルクリーニングする。次に、選択成長用マスク11を形成する。選択成長用マスク11はSiO2等の絶縁膜で形成され、スパッタにより絶縁膜をサファイア基板1に形成した後、フォトリソグラフィにより、所定の形状(六角形や三角形等)にレジストを所定個数形成し、CF4ガスを40cc/分で流し、プラズマ出力300W、圧力3パスカルでプラズマを発生させてドライエッチングを行った後、レジストを除去して所定形状の選択成長用マスク11を図5のように形成する。選択成長用マスク11の配置位置は前述した通り、図2又は3のように配置し、一辺がA面に平行になるようにする。
その後、再びMOCVD装置に入れ、900℃以上の適切な温度に設定し、高温AlNバッファ層2を例えば膜厚30Å程度成長させる。低温AlNバッファ層ではなく、高温AlNバッファ層とすると、AlNバッファ層2の横方向成長は起こらないので、選択成長用マスク11上へは、AlNバッファ層2は堆積せずに、図6に示すように選択成長用マスク11の間を埋めるように形成される。
AlNバッファ層2の作製については、AlNバッファ層2上に表面モフォロジーの良いGaN系半導体結晶を形成するために、例えば、AlNバッファ層2のAl原料として用いるトリメチルガリウム(TMA)を先に反応室に供給して連続的に流しておき、その後、N原料として用いるアンモニア(NH3)を間欠的に供給するようにしても良い。このとき、NH3/TMAのモル比はいずれも約2600とする。
その後、成長温度を1020℃〜1040℃にし、TMAの供給を停止し、例えば、トリメチルガリウム(TMGa)を20μモル/分供給し、ノンドープGaN層3を積層する。その後、n型ドーパントガスとしてシラン(SiH4)を供給してn型GaN層4を成長させる。次に、TMGa、シランの供給を停止し、アンモニアと水素の混合雰囲気中で基板温度を700℃〜800℃の間に下げて、トリメチルインジウム(TMIn)を200μモル/分、トリエチルガリウム(TEGa)を20μモル/分供給して、MQW活性層5のInGaN井戸層を積層し、TMInの供給のみを停止してアンドープGaNからなる障壁層を積層する。そして、GaN障壁層とInGaN井戸層との繰り返しにより多重量子井戸構造とする。
MQW活性層5成長後、成長温度を1020℃〜1040℃に上昇させて、Ga原子の原料ガスであるトリメチルガリウム(TMGa)、窒素原子の原料ガスであるアンモニア(NH3)、p型不純物Mgのドーパント材料であるCP2Mg(ビスシクロペンタジエチルマグネシウム)を供給し、p型GaN層6を成長させる。
各半導体層の製造については、キャリアガスの水素又は窒素とともに、トリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMIn)などの各半導体層の成分に対応する反応ガス、n型にする場合のドーパントガスとしてのシラン(SiH4)、p型にする場合のドーパントガスとしてのCP2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)等の必要なガスを供給して、700℃〜1200℃程度の範囲で順次成長させることにより、所望の組成で、所望の導電型の半導体層を、必要な厚さに形成することができる。
図9は、図3のように、三角形状の選択成長用マスク11をサファイア基板上に配置して、上記の製造方法のように、AlNバッファ層2を形成した後、ノンドープGaN層3を選択成長させた。選択成長用マスク11にはSiO2を用いた。図9(a)は、サファイア基板上に選択成長用マスク11を形成した後に、6μm四方の視野で、撮影した光学顕微鏡画像である。白っぽい領域がサファイア基板が露出している部分を表わし、黒っぽい領域が選択成長用マスクの部分を表わす。図9(b)はノンドープGaN層3を選択成長させた後に、20μm四方の視野で撮影した光学顕微鏡画像である。この画像からわかるようにやや濃淡に差ができているものの、ノンドープGaN層3はすべて繋がって連続している。
一方、図10は、図11(b)のように、三角形状の開口部を有する選択成長マスクをサファイア基板上に形成し、AlNバッファ層を形成した後、ノンドープGaN層を選択成長させた従来の方法によるものである。図10(a)は、サファイア基板上に選択成長用マスクを形成した後に、6μm四方の視野で、撮影した光学顕微鏡画像である。白っぽい領域がサファイア基板が露出している部分を表わし、黒っぽい領域が選択成長用マスクの部分を表わす。図9(a)と比較して濃淡が逆転していることがわかる。図10(b)はノンドープGaN層を選択成長させた後に、20μm四方の視野で撮影した光学顕微鏡画像である。この画像では非常に黒っぽい部分が現われており、これが隙間を表わす。したがって、従来の手法では連続したGaN系半導体層を形成することが困難であることがわかる。
本発明の方法で作製した窒化物半導体素子から分離して1個のデバイスとした例を図7に示す。図7は、図1のウエハを分割し、p電極7とn電極8を形成してLEDとした例の拡大図であるが、図に示すように、選択成長用マスク11の転位が集中する転位束を避けて、選択成長用マスク11の一部を切り取るような形状に分離することが容易に行える。
1 成長用基板
2 AlNバッファ層
3 ノンドープGaN層
4 n型GaN層
5 活性層
6 p型GaN層
2 AlNバッファ層
3 ノンドープGaN層
4 n型GaN層
5 活性層
6 p型GaN層
Claims (5)
- 成長用基板上に円形状又は多角形状の選択成長用マスクを、該選択成長用マスクの周囲が前記成長用基板で囲まれた島状に複数形成し、GaN系半導体結晶が前記選択成長用マスクを覆うように形成したことを特徴とする窒化物半導体素子。
- 前記選択成長用マスクの形状は三角形又は六角形であることを特徴とする請求項1記載の窒化物半導体素子。
- 前記三角形又は六角形の一辺は、成長用基板のA面と平行に形成されていることを特徴とする請求項2記載の窒化物半導体素子。
- 前記成長用基板とGaN系半導体結晶との間には、前記選択成長用マスクの直上を除き、AlNバッファ層が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記AlNバッファ層は、900℃以上の温度で形成されることを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体素子。
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