JP2001264913A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JP2001264913A
JP2001264913A JP2000080536A JP2000080536A JP2001264913A JP 2001264913 A JP2001264913 A JP 2001264913A JP 2000080536 A JP2000080536 A JP 2000080536A JP 2000080536 A JP2000080536 A JP 2000080536A JP 2001264913 A JP2001264913 A JP 2001264913A
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silver halide
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nitrogen
halide photographic
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JP2000080536A
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Masami Sakurada
政美 桜田
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度かつ残色汚染の少ないハロゲン化銀写
真感光材料を提供する。 【解決手段】 分光吸収極大波長が500nm未満で光
吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500
nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子
を含有するハロゲン化銀写真乳剤を含むハロゲン化銀写
真感光材料において、特定構造の消色性シアニン色素を
含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分光増感されたハ
ロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ハロゲン化銀写真感光材料の
高感度化のために多大な努力がなされてきた。ハロゲン
化銀写真乳剤においては、ハロゲン化銀粒子表面に吸着
した増感色素が感材に入射した光を吸収し、その光エネ
ルギーをハロゲン化銀粒子に伝達することによって感光
性が得られる。したがって、ハロゲン化銀の分光増感に
おいては、ハロゲン化銀粒子単位粒子表面積あたりの光
吸収率を増加させることによってハロゲン化銀へ伝達さ
れる光エネルギ−を増大させることが出来、分光感度の
高感度化が達成されると考えられる。ハロゲン化銀粒子
表面の光吸収率を向上させるためには、単位粒子表面積
あたりの分光増感色素の吸着量を増加させればよい。
【0003】しかし、ハロゲン化銀粒子表面への増感色
素の吸着量には限界があり、単層飽和吸着(すなわち1
層吸着)より多くの色素発色団を吸着させるのは困難で
ある。
【0004】単層飽和より多くの色素発色団を吸着させ
るため、過去にいくつかの検討(例えば、ピー・ビー・
ギルマン・ジュニアー(P.B.Gilman,J
r.)ら、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・
エンジニアリング(Photographic Sci
ence and Engineering)第20巻
3号、第97貢(1976年)において、一層目にカチ
オン色素を吸着させ、さらに二層目にアニオン色素を静
電力を用いて吸着させた。)がなされたが、ハロゲン化
銀粒子単位粒子表面積あたりの光吸収率を十分に増加さ
せることはできておらず、高感化もできていないのが現
状である。
【0005】一方、光吸収率向上のために増感色素の吸
着量を増加させると、処理後に感光材料中に残存する増
感色素が無視できなくなり、色汚染を引き起こす(以下
残色)。特に、迅速処理では残色の程度が大きく、改良
が求められていた。
【0006】写真用色素の残色低減には、色素の親水性
を高めて写真処理時に処理液中に流し去ることが有効で
あることが広く知られている。しかし、増感色素の親水
性を高めると多層吸着させることが困難となり、残色と
吸着量の増加の両立は困難な課題である。
【0007】一方、写真処理液中の求核剤、求電子剤、
酸化剤、還元剤、その他の化学種と写真用色素との化学
反応によって、色素の色を消し去る検討も精力的に行わ
れている。しかしながら、添加剤によって写真性能を悪
化させずに色素の残色を低減させることは困難であるこ
とがこれまでの検討で明らかになっている。
【0008】また、特開平11−231457号(特願平
9−306403号)など、同一乳剤中に消色性の染料
と塩基プレカーサーとを共存させ、熱現像により塩基を
発生させて消色させるという技術が検討された。しかし
消色性の色素をハロゲン化銀粒子に吸着させた乳剤の場
合、塩基プレカーサーが感材中に存在すると、画質、写
真性、保存性などを悪化させるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、処理
後の残色が少ない消色性の増感色素を多層吸着させた、
高感度なハロゲン化銀写真感光材料を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題は下記の
(1)〜(8)により解決された。 (1) 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強
度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以
上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有
するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感光材料
において、下記一般式(I)で表される化合物を少なく
とも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料。 一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】式中、R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香
族基、−NR2124、−OR21または−SR21であり、
21およびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基
または芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合
して含窒素複素環を形成する;R2 は、水素原子、脂肪
族基または芳香族基であり;R3 は、脂肪族基であり;
1 は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;そし
て、Z1 およびZ2 は、それぞれ独立に5員または6員
の含窒素複素環を形成する原子団であって、含窒素複素
環には芳香族環が縮合していてもよく、含窒素複素環お
よびその縮合環は置換基を有していてもよい。 (2) ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の25%
以上が前記一般式(I)の化合物であるハロゲン化銀乳
剤を含有することを特徴とする、(1)に記載のハロゲ
ン化銀写真感光材料。 (3) 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強
度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以
上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有
するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感光材料
において、下記一般式(II)で表される化合物を少な
くとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真
感光材料。 一般式(II)
【0013】
【化4】
【0014】一般式(II)中、X21は、−NR24−、
−O−または−S−であり;R21およびR24は、それぞ
れ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基であるか、
あるいはR21とR24とが結合して含窒素複素環を形成す
る;R22は、水素原子、脂肪族基または芳香族基であ
り;R23は、脂肪族基であり;L21は、奇数個のメチン
からなるメチン鎖であり;そして、Z21およびZ22は、
それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成す
る原子団であって、含窒素複素環には芳香族環が縮合し
ていてもよく、含窒素複素環およびその縮合環は置換基
を有していてもよい。 (4) ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の25%
以上が前記一般式(II)の化合物であるハロゲン化銀
乳剤を含有することを特徴とする、(3)に記載のハロ
ゲン化銀写真感光材料。 (5) ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着
していることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに
記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (6) ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着
しており、かつ二層目の増感色素の構造が一層目の増感
色素と異なっていることを特徴とする(1)〜(5)の
いずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (7) (1)〜(6)に記載のハロゲン化銀乳剤に含
まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、
アスペクト比2以上100以下の平板状粒子で占められ
るハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする、(1)〜
(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (8) セレン増感されているハロゲン化銀粒子を含有
することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記
載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、増感色素によって分光増感されたハロ
ゲン化銀粒子を用いるハロゲン化銀写真感光材料であっ
て、光吸収強度が大きく残色の少ないことを特徴とする
ハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0016】本発明で用いられる、一般式(I)で表さ
れる化合物について詳細に説明する。
【0017】式(I)において、R1 は、水素原子、脂
肪族基、芳香族基、−NR2124、−OR21または−S
21である。R21およびR24は、それぞれ独立に水素原
子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21
24とが結合して含窒素複素環を形成する。R21は、脂
肪族基または芳香族基であることが好ましく、アルキル
基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル
基、アリール基または置換アリール基であることがさら
に好ましく、アラルキル基、置換アラルキル基、アリー
ル基または置換アリール基であることが最も好ましい。
24は、水素原子または脂肪族基であることが好まし
く、水素原子、アルキル基または置換アルキル基である
ことがさらに好ましい。R21とR24とが結合して形成す
る含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好
ましい。含窒素複素環は、窒素以外のヘテロ原子(例、
酸素原子、硫黄原子)を有していてもよい。R1 は、後
述する式(II)で定義するように、−NR2124、−O
21または−SR21であることが好ましい。本明細書に
おいて、「脂肪族基」とは、アルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、
置換アルキニル基、アラルキル基または置換アラルキル
基を意味する。本発明では、アルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基ま
たは置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換ア
ルキル基、アラルキル基または置換アラルキル基がさら
に好ましい。環状脂肪族基よりも鎖状脂肪族基が好まし
い。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。アルキル
基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、
1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であ
ることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も
好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、アルキル
基と同様である。
【0018】アルケニル基およびアルキニル基の炭素原
子数は、2乃至30であることが好ましく、2乃至20
であることがより好ましく、2乃至15であることがさ
らに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。
置換アルケニル基のアルケニル部分および置換アルキニ
ル基のアルキニル部分は、それぞれアルケニル基および
アルキニル基と同様である。アラルキル基の炭素原子数
は、7乃至35であることが好ましく、7乃至25であ
ることがより好ましく、7乃至20であることがさらに
好ましく、7乃至15であることが最も好ましい。置換
アラルキル基のアラルキル部分は、アラルキル基と同様
である。脂肪族基(置換アルキル基、置換アルケニル
基、置換アルキニル基、置換アラルキル基)の置換基の
例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原
子)、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、ス
ルホ基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、アルキルチオ基、アルキルチオカルボニル基、ア
リールオキシ基、アリールオキシカルボニル基およびカ
ルバモイル基が含まれる。カルボキシル基とスルホ基
は、塩の状態であってもよい。カルボキシル基およびス
ルホ基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオン
(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)が好まし
い。
【0019】本明細書において、「芳香族基」とは、炭
化水素芳香族基、及び複素芳香族基を意味する。これら
は、さらに炭化水素芳香族環、及び複素芳香族環同士が
縮合した多環縮合環、又は芳香族炭化水素環と芳香族複
素環が組み合わされた多環縮合環構造を持つ基であって
も良い。芳香族基に含まれる芳香族環として好ましく
は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナント
レン、フルオレン、トリフェニレン、ナフタセン、ビフ
ェニル、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾー
ル、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、
ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、インドール、
ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾフラン、
キノリジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キ
ノキサリン、キノキサゾリン、キノリン、カルバゾー
ル、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリ
ン、チアントレン、クロメン、キサンテン、フェノキサ
チイン、フェノチアジン、フェナジン等が挙げられる。
【0020】さらに好ましくは、上述の炭化水素芳香族
環であり、特に好ましくはベンゼン、ナフタレンであ
り、最も好ましくはベンゼンである。
【0021】また、これら芳香族基はさらに置換されて
いてもよく、置換基の例として、ハロゲン原子(フッ素
原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル基、ニトロ
基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アシル
基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル
チオ基、アルキルチオカルボニル基、アリールオキシ
基、アリールオキシカルボニル基およびカルバモイル基
が含まれる。カルボキシル基とスルホ基は、塩の状態で
あってもよい。カルボキシル基およびスルホ基と塩を形
成するカチオンは、アルカリ金属イオン(例、ナトリウ
ムイオン、カリウムイオン)が好ましい。
【0022】式(I)において、R2 は、水素原子、脂
肪族基または芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定
義は、前述した通りである。R2 は、水素原子または脂
肪族基であることが好ましく、水素原子またはアルキル
基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子
数が1乃至15のアルキル基であることがさらに好まし
く、水素原子であることが最も好ましい。式(I)にお
いて、R3 は、脂肪族基である。脂肪族基の定義は前述
した通りである。R3 は、置換アルキル基であることが
好ましい。合成が容易との観点では、R3 は、−CHR
2−CO−R1 と同じ定義を有する置換アルキル基であ
ることが特に好ましい。
【0023】式(I)において、L1 は、奇数個のメチ
ンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数
は、3、5、7または9であることが好ましく、3、5
または7であることがより好ましく、3または5である
ことがさらに好ましく、3であることが最も好ましい。
メチンは、置換基を有していてもよい。メチンの置換基
の例には、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、−NR
56 、−OR5 および−SR5 が含まれる。R5 およ
びR6 は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳
香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義は前述した通
りである。メチンの置換基が結合して不飽和脂肪族環ま
たは不飽和複素環を形成してもよい。不飽和複素環より
も、不飽和脂肪族環の方が好ましい。形成する環は、5
員環または6員環であることが好ましく、シクロペンテ
ン環またはシクロヘキセン環であることがさらに好まし
い。メチンは、無置換であるか、あるいはメチンの置換
基が結合してシクロペンテン環またはシクロヘキセン環
を形成することが特に好ましい。式(I)において、Z
1 およびZ2 は、それぞれ独立に5員または6員の含窒
素複素環を形成する原子団である。含窒素複素環の例に
は、オキサゾール環、チアゾール環、セレナゾール環、
ピロリン環、イミダゾール環およびピリジン環が含まれ
る。6員環よりも5員環の方が好ましい。含窒素複素環
には、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環)が縮合し
ていてもよい。含窒素複素環およびその縮合環は置換基
を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子
(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル、
ニトロ、カルボキシル、スルホおよびアルキル基が含ま
れる。カルボキシルとスルホは、塩の状態であってもよ
い。カルボキシルおよびスルホと塩を形成するカチオン
は、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリ
ウムイオン)が好ましい。
【0024】式(I)で表わされる化合物は、アニオン
またはカチオンと塩を形成して用いることが好ましい。
式(I)で表わされる化合物が置換基として、カルボキ
シルやスルホのようなアニオン性基を有する場合は、色
素が分子内塩を形成することができる。それ以外の場合
は、分子外のアニオンまたはカチオンと塩を形成するこ
とが好ましい。アニオンおよびカチオンは一価または二
価であることが好ましく、一価であることがさらに好ま
しい。アニオンの例には、ハロゲンイオン(例、C
- 、Br- 、I- )、p−トルエンスルホン酸イオ
ン、エチル硫酸イオン、1,5−ジスルホナフタレンジ
アニオン、PF6 - 、BF4 - およびClO4 - が含ま
れる。カチオンの例には、水素イオン、アルカリ金属イ
オン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウ
ムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例、カルシウム
イオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン
(例、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウ
ムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイ
オン)などの有機イオンが含まれる。
【0025】前述したように、式(I)におけるR1
は、−NR2124、−OR21または−SR21であること
が好ましい。式(I)におけるR1 が、水素原子、脂肪
族基または芳香族基であると、処理液中の塩基の作用に
よる消色反応は迅速に進行するのであるが、色素がやや
不安定で、色素の保存中にも消色反応が若干進行すると
の問題がある。式(I)におけるR1 を、−NR
2124、−OR21または−SR 21とすると、色素の安定
性が向上する。そのような色素を、下記式(II)で表わ
す。
【0026】式(II)において、X21は、−NR24−、
−O−または−S−である。好ましくは、−NR24−、
−O−であり、より好ましくは、−O−である。R21
よびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または
芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含
窒素複素環を形成する。R21は、脂肪族基または芳香族
基であることが好ましく、アルキル基、置換アルキル
基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基また
は置換アリール基であることがより好ましく、アラルキ
ル基、置換アラルキル基、アリール基または置換アリー
ル基であることが更に好ましい。R24は、水素原子また
は脂肪族基であることが好ましく、水素原子、アルキル
基または置換アルキル基であることがさらに好ましい。
21とR24とが結合して形成する含窒素複素環は、5員
環または6員環であることが好ましい。含窒素複素環
は、窒素以外のヘテロ原子(例、酸素原子、硫黄原子)
を有していてもよい。式(II)において、R22は、水素
原子、脂肪族基または芳香族基である。R22は、水素原
子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子また
はアルキル基であることがより好ましく、水素原子また
は炭素原子数が1乃至15のアルキル基であることがさ
らに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0027】式(II)において、R23は、脂肪族基であ
る。R23は、置換アルキル基であることが好ましい。合
成が容易との観点では、R23は、−CHR22−CO−X
21−R21と同じ定義を有する置換アルキル基であること
が特に好ましい。式(II)において、L21は、奇数個の
メチンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの
数は、3、5、7または9であることが好ましく、3、
5または7であることがより好ましく、3または5であ
ることがさらに好ましく、3であることが最も好まし
い。メチンは、置換基を有していてもよい。メチンの置
換基の例には、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、−
NR2526、−OR25および−SR25が含まれる。R25
およびR26は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基また
は芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義は前述し
た通りである。メチンの置換基が結合して不飽和脂肪族
環または不飽和複素環を形成してもよい。不飽和複素環
よりも、不飽和脂肪族環の方が好ましい。形成する環
は、5員環または6員環であることが好ましく、シクロ
ペンテン環またはシクロヘキセン環であることがさらに
好ましい。メチンは、無置換であるか、あるいはメチン
の置換基が結合してシクロペンテン環またはシクロヘキ
セン環を形成することが特に好ましい。
【0028】式(II)において、Z21およびZ22は、
それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成す
る原子団である。含窒素複素環の例には、オキサゾール
環、チアゾール環、セレナゾール環、ピロリン環、イミ
ダゾール環およびピリジン環が含まれる。6員環よりも
5員環の方が好ましい。含窒素複素環には、芳香族環
(ベンゼン環、ナフタレン環)が縮合していてもよい。
含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していても
よい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩
素原子、臭素原子)、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキ
シル、スルホおよびアルキル基が含まれる。カルボキシ
ルとスルホは、塩の状態であってもよい。カルボキシル
およびスルホと塩を形成するカチオンは、アルカリ金属
イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)が好
ましい。Z21およびZ22として好ましくは、オキサゾー
ル環(好ましくは、置換基を有してよいオキサゾール
核、ベンゾオキサゾール核、ナフトオキサゾール核)又
はチアゾール環(好ましくは、置換基を有してよいチア
ゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核)
である。
【0029】式(II)で表わされる化合物は、アニオ
ンまたはカチオンと塩を形成して用いることが好まし
い。塩の形成については、式(I)で説明した通りであ
る。
【0030】次に、本発明で用いられる一般式(I)お
よび一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に
示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】本発明の色素は、エフ・エム・ハーマー
(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−
シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ
(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related C
ompounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(Joh
n Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1
964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著
「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・ト
ピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(H
eterocyclic Compounds-Special topics in heterocycl
ic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から
515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wi
ley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、197
7年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コ
ンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」
2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369
から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・
カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Com
pany Inc.)社刊、ニューヨーク、及び上述した特許・文
献(具体例の説明のために引用したもの)などに記載の
方法に基づいて合成することができる。
【0038】本発明においては、本発明の増感色素だけ
でなく、本発明以外の他の分光増感剤と併用しても良
い。この場合、本発明の増感色素の使用量は、添加する
全増感色素中、25%以上含有することが好ましく、3
0%以上含有することがより好ましく、60%以上含有
することがさらに好ましい。
【0039】本発明の増感色素(また、その他の増感色
素についても同様)を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添
加する時期は、これまで有用である事が認められている
乳剤調整の如何なる工程中であってもよい。例えば、米
国特許2、735、766号、同3、628、960
号、同4、183、756号、同4、225、666
号、特開昭58−184142号、同60−19674
9号等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形
成工程または/及び脱塩前の時期、脱塩工程中及び/ま
たは脱塩後から化学熟成の開始前迄の時期、特開昭58
−113920号等に開示されているように、化学熟成
の直前または工程中の時期、化学熟成後塗付迄の時期の
乳剤が塗布される前なら如何なる時期、工程に於いて添
加されてもよい。また米国特許4、225、666号、
特開昭58−7629号等に開示されているように、同
一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わ
せて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または
化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程
中と完了後とに分けるなとして分割して添加しても良
く、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの
種類をも変えて添加されても良い。
【0040】本発明の増感色素の添加量としては、ハロ
ゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン
化銀1モル当たり、1×10-6〜8×10-2モルで用い
ることができる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが
0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀1モル当
たり、2×10-6〜3.5×10-2モルの添加量が好ま
しく、7.5×10-6〜1.5×10-2モルの添加量が
より好ましい。但し、前述したように増感色素が多層吸
着するのに必要な量を添加する。
【0041】発明の増感色素は、直接乳剤中へ分散する
ことができる。また、これらはます適当な溶媒、例えば
メチルアルコール、エチルアルコール、メチルセルソル
ブ、アセトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合溶媒
などの中に溶解され、溶液の形で乳剤中へ添加すること
もできる。この際、塩基や酸、界面活性剤などの添加物
を共存させることもできる。また、溶解に超音波を使用
することもできる。また、この化合物の添加方法として
は米国特許第3、469、987号などに記載のごと
き、該化合物を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親
水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加す
る方法、特公昭46−24185号などに記載のごと
き、水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添
加する方法、米国特許第3、822、135号に記載の
ごとき、界面活性剤に化合物を溶解し、該溶液を乳剤中
へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のご
とき、レッドシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶
液を乳剤中へ添加する方法、特開昭50−80826号
に記載のごとき、化合物を実質的に水を含まない酸に溶
解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが用いられ
る。その他、乳剤中への添加には米国特許第2、91
2、343号、同3、342、605号、同2、99
6、287号、同3、429、835号などに記載の方
法も用いられる。
【0042】本発明の一般式(I)および一般式(I
I)で表される化合物は、処理液中の塩基の作用により
消色させることができる。本発明者の研究により、一般
式(I)および一般式(II)は、処理液中の塩基の作
用により分子中の活性メチレン基が脱プロトン化され、
それにより発生する求核種が分子内のメチレン鎖を求核
攻撃し、分子内閉環体を形成することにより消色するこ
とが見出された。従ってこの反応に使用可能な塩基とし
ては、色素中の活性メチレン基を脱プロトン化させるこ
とが出来る塩基であればいかなるものでもよい。また、
色素を消色させるための塩基は、処理工程中のいかなる
処理液に含まれていても良く、また色素を消色させる目
的で塩基を含む処理工程を新たに加えてもよい。分子内
閉環反応により新たに形成される環の環員数は特に限定
されないが、5及至7員環であることが好ましく、5員
環または7員環であることがより好ましい。このように
して形成される実質的に無色の化合物は、安定な化合物
であって、元の色素に戻ることはない。従って、本発明
の消色方法には、消色した物質が復色するとの問題はな
い。
【0043】本発明において光吸収強度とは、単位粒子
表面積あたりの増感色素による光吸収面積強度であり、
粒子の単位表面積に入射する光量をI0 、該表面で増感
色素に吸収された光量をIとしたときの光学濃度Log
(I0 /(I0 −I))を波数(cm-1)に対して積分
した値と定義する。積分範囲は5000cm-1から35
000cm-1までである。
【0044】本発明にかかわるハロゲン化銀写真乳剤
は、分光吸収極大波長が500nm以上の粒子の場合に
は光吸収強度が100以上、分光吸収極大波長が500
nm未満の粒子の場合には光吸収強度が60以上のハロ
ゲン化銀粒子を全ハロゲン化銀粒子投影面積の1/2以
上含むことが好ましい。また、分光吸収極大波長が50
0nm以上の粒子の場合には、光吸収強度は好ましくは
150以上、さらに好ましくは170以上、特に好まし
くは200以上、であり、分光吸収極大波長が500n
m未満の粒子の場合には、光吸収強度は好ましくは90
以上、さらに好ましくは100以上、特に好ましくは1
20以上である。上限は特にないが、好ましくは200
0以下、さらに好ましくは1000以下、特に好ましく
は500以下である。
【0045】また分光吸収極大波長が500nm未満の
粒子に関しては、分光吸収極大波長は350nm以上で
あることが好ましい。
【0046】光吸収強度を測定する方法の一例として
は、顕微分光光度計を用いる方法を挙げることができ
る。顕微分光光度計は微小面積の吸収スペクトルが測定
できる装置であり、一粒子の透過スペクトルの測定が可
能である。顕微分光法による一粒子の吸収スペクトルの
測定については、山下らの報告(日本写真学会、199
6年度年次大会講演要旨集、15ページ)を参照するこ
とができる。この吸収スペクトルから一粒子あたりの吸
収強度が求められるが、粒子を透過する光は上部面と下
部面の二面で吸収されるため、粒子表面の単位面積あた
りの吸収強度は前述の方法で得られた一粒子あたりの吸
収強度の1/2として求めることができる。このとき、
吸収スペクトルを積分する区間は光吸収強度の定義上は
5000cm -1から35000cm-1であるが、実験上
は増感色素による吸収のある区間の前後500cm-1
度を含む区間の積分で構わない。
【0047】また顕微分光法を用いないでも、粒子が重
なず、かつ、すきまがないように並べて、透過スペクト
ルを測定して求める方法も可能である。さらに光吸収強
度は増感色素の振動子強度と単位面積当たりの吸着分子
数で一義的に決定される値であり、増感色素の振動子強
度、色素吸着量および粒子表面積を求めれば光吸収強度
に換算することが出来る。増感色素の振動子強度は、増
感色素溶液の吸収面積強度(光学濃度×cm-1)に比例
する値として実験的に求めることが出来るので、1Mあ
たりの色素の吸収面積強度をA(光学濃度×cm-1)、
増感色素の吸着量をB(mol/molAg)、粒子表
面積をC(m2 /molAg)とすれば、次の式により
光吸収強度を誤差10%程度の範囲で求めることが出来
る。 0.156 ×A×B/C この式から光吸収強度を算出しても、前述の定義に基づ
いて測定された光吸収強度(Log(I0 /(I0
I)))を波数(cm-1)に対して積分した値)と実質
的に同じ値が得られる。
【0048】光吸収強度を増加させる方法には、色素発
色団を粒子表面上に一層より多く吸着させる方法や、色
素の分子吸光係数を増大させる方法、あるいは、色素占
有面積を小さくする方法があり、いずれの方法を用いて
もよいが、好ましくは色素発色団を粒子表面上に一層よ
り多く吸着させる方法である。ここで、色素発色団が粒
子表面上に一層より多く吸着した状態とは、ハロゲン化
銀粒子近傍に束縛された色素が一層より多く存在するこ
とを意味し、分散媒中に存在する色素を含まない。ま
た、色素発色団が粒子表面上に吸着した物質と共有結合
で連結されている場合でも、連結基が長く、色素発色団
が分散媒中に存在する場合には光吸収強度を増加させる
効果は小さく、一層より多い吸着とは見なされない。ま
た、色素発色団を粒子表面上に一層以上吸着させる、い
わゆる多層吸着においては、粒子表面に直接吸着してい
ない色素によって分光増感が生じることが必要であり、
そのためにはハロゲン化銀に直接吸着していない色素か
ら粒子に直接吸着した色素への励起エネルギー、又は電
子の伝達が必要となる。したがって、励起エネルギー、
又は電子の伝達が10段階を超えて起きる必要のある場
合には、最終的な励起エネルギー、又は電子の伝達効率
が低くなるため好ましくない。この1例は特開平2―1
13239などのポリマー色素のように色素発色団の大
部分が分散媒中に存在し、励起エネルギーの伝達が10
段階以上必要な場合が挙げられる。本発明においては、
励起エネルギーと電子のうち、励起エネルギーを伝達す
る場合が好ましい。本発明では一分子あたりの色素発色
団数は1から3が好ましい。
【0049】ハロゲン化銀粒子への色素発色団の吸着
は、好ましくは1.5層以上、さらに好ましくは1.7
層以上、特に好ましくは2層以上である。なお、上限は
特にないが、10層以下が好ましく、さらに好ましくは
5層以下である。
【0050】本発明においてハロゲン化銀粒子表面に発
色団が一層より多く吸着した状態とは、該乳剤に添加さ
れる増感色素のうち、ハロゲン化銀粒子表面の色素占有
面積が最も小さい色素によって到達する単位表面積あた
りの飽和吸着量を一層飽和被覆量とし、この一層飽和被
覆量に対して色素発色団の単位面積当たりの吸着量が多
い状態をいう。また、吸着層数は一層飽和被覆量を基準
とした時の吸着量を意味する。ここで、共有結合で色素
発色団が連結された色素の場合には、連結しない状態の
個々の色素の色素占有面積を基準とすることが出来る。
色素占有面積は、遊離色素濃度と吸着色素量の関係を示
す吸着等温線、および粒子表面積から求めることが出来
る。吸着等温線は、例えばエー・ハーツ(A.Her
z)らのアドソープション フロム アクエアス ソリ
ューション(Adsorption from Aqu
eous Solution)アドバンシーズ イン
ケミストリー シリーズ(Advances in C
hemistry Series)No.17、173
ページ(1968年)などを参考にして求めることが出
来る。
【0051】増感色素の乳剤粒子への吸着量は、色素を
吸着させた乳剤を遠心分離器にかけて乳剤粒子と上澄み
のゼラチン水溶液に分離し、上澄み液の分光吸収測定か
ら未吸着色素濃度を求めて添加色素量から差し引くこと
で吸着色素量を求める方法と、沈殿した乳剤粒子を乾燥
し、一定重量の沈殿をチオ硫酸ナトリウム水溶液とメタ
ノールの1:1混合液に溶解し、分光吸収測定すること
で吸着色素量を求める方法の2つの方法を用いることが
出来る。複数種の増感色素を用いている場合には高速液
体クロマトグラフィーなどの手法で個々の色素について
吸着量を求めることも出来る。上澄み液中の色素量を定
量することで色素吸着量を求める方法は、例えばダブリ
ュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ
フィジカル ケミストリー(Journal of
Physical Chemistry)第56巻、1
054ページ(1952年)などを参考にすることがで
きる。しかし、色素添加量の多い条件では未吸着色素ま
でも沈降することがあり、上澄み中の色素濃度を定量す
る方法では必ずしも正しい吸着量を得られないことがあ
った。一方沈降したハロゲン化銀粒子を溶解して色素吸
着量を測定する方法であれば乳剤粒子の方が圧倒的に沈
降速度が速いため粒子と沈降した色素は容易に分離で
き、粒子に吸着した色素量だけを正確に測定できる。こ
の方法が色素吸着量を求める方法として最も信頼性が高
い。
【0052】ハロゲン化銀粒子表面積の測定方法の一例
としては、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影
して、個々の粒子の形状とサイズを求め算出する方法が
ある。この場合、平板状粒子において厚みはレプリカの
影(シャドー)の長さから算出する。透過型電子顕微鏡
写真の撮影方法としては、例えば、日本電子顕微鏡学会
関東支部編「電子顕微鏡試料技術集」誠分堂新光社19
70年刊、バターワーズ社(Buttwrworth
s)、ロンドン、1965刊、ピー・ビー・ヒルシュ
(P.B.Hirsch)らのエレクトロン マイクロ
スコープ オブチンクリスタル(Electron M
icroscopy of Thin Crystal
s)を参考にすることができる。
【0053】他の方法としては、例えばエイ・エム・ク
ラギン(A.M.Kragin)らのらのジャーナル
オブ フォトグラフィック サイエンス(The Jo
urnal of Photographic Sci
ence)第14巻、185ページ(1966年)、ジ
ェイ・エフ・パディ(J.F.Paddy)のトランス
アクションズ オブ ザ ファラデ− ソサイアティ
(Transactions of the Fara
day Society)第60巻1325ページ(1
964年)、エス・ボヤー(S.Boyer)らのジュ
ナル デ シミフィジク エ デ フィジコシミ ビジ
ョロジク(Journal de Chimie Ph
ysique et de Physicochimi
e biologique)第63巻、1123ページ
(1963年)、ダブリュー・ウエスト(W.Wes
t)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー
(Journal of Physical Chem
istry)第56巻、1054ページ(1952
年)、エイチ・ソーヴエニアー(H.Sauvenie
r)編集、イー・クライン(E.Klein)らのイン
ターナショナル・コロキウム(Internation
al Coloquium)、リエージュ(Lieg
e)、1959年、「サイエンティフィック フォトグ
ラフィー(Scientific Photograp
hy)」などを参考にすることができる。
【0054】色素占有面積は上記の方法で個々の場合に
ついて実験的に求められるが、通常用いられる増感色素
の分子占有面積はほぼ80Å2付近であるので、簡易的
にすべての色素について色素占有面積を80Å2として
おおよその吸着層数を見積もることも出来る。
【0055】本発明において、ハロゲン化銀粒子に色素
発色団が多層に吸着している場合、ハロゲン化銀粒子に
直接吸着している、いわゆる1層目の色素発色団と2層
目以上の色素発色団の還元電位、及び酸化電位はいかな
るものでも良いが、1層目の色素発色団の還元電位が2層
目以上の色素発色団の還元電位の値から0.2vを引い
た値よりも、貴であることが好ましい。
【0056】還元電位、及び酸化電位の測定は、種々の
方法が可能であるが、好ましくは、位相弁別式第二高調
波交流ポーラログラフィーで行う場合であり、正確な値
を求めることができる。なお、以上の位相弁別式第二高
調波交流ポーラログラフィーによる電位の測定法はジャ
ーナル・オブ・イメージング・サイエンス(Journ
al of Imaging Science)、第3
0巻、第27頁(1986年)に記載されている。
【0057】また、2層目以上の色素発色団は、発光性
色素の場合が好ましい。発光性色素の種類としては色素
レーザー用に使用される色素の骨格構造を持つものが好
ましい。これらはたとえば、前田三男、レーザー研究、
第8巻、694頁、803頁、958頁(1980年)
及び第9巻、85頁(1981年)、及びF. Sehaefer
著、「Dye Lasers」、Springer(1973年)の中に整
理されている。
【0058】さらに、1層目の色素発色団のハロゲン化
銀写真感光材料中における吸収極大波長が2層目以上の
色素発色団の吸収極大波長よりも長波長であることが好
ましい。さらに、2層目以上の色素発色団の発光が1層
目の色素発色団の吸収と重なることが好ましい。また、
1層目の色素発色団はJ-会合体を形成した方が好まし
い。さらに、所望の波長範囲に吸収および分光感度を有
するためには、2層目以上の色素発色団もJ会合体を形
成していることが好ましい。
【0059】本発明において用いる用語の意味を以下に
記述する。 色素占有面積:色素一分子あたりの占有面積。吸着等温
線から実験的に求めることが出来る。共有結合で色素発
色団が連結された色素の場合には、連結しない状態の個
々の色素の色素占有面積を基準とする。簡易的には80
2 。 一層飽和被覆量:一層飽和被覆時の単位粒子表面積あた
りの色素吸着量。添加された色素のうち最小の色素占有
面積の逆数。 多層吸着:単位粒子表面積あたりの色素発色団の吸着量
が一層飽和被覆量よりも多い状態。 吸着層数:一層飽和被覆量を基準とした時の単位粒子表
面積あたりの色素発色団の吸着量。
【0060】本発明において感光機構をつかさどる写真
乳剤にはハロゲン化銀として臭化銀、ヨウ臭化銀、塩臭
化銀、ヨウ化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ臭塩化銀、塩化銀の
いずれを用いてもよいが、乳剤最外表面のハロゲン組成
が0.1mol%以上、さらに好ましくは1mol%以
上、特に好ましくは5mol%以上のヨードを含むこと
によりより強固な多層吸着構造が構築できる。
【0061】粒子サイズ分布は、広くても狭くてもいず
れでもよいが、狭い方がよりこのましい。
【0062】写真乳剤のハロゲン化銀粒子は、立方体、
八面体、十四面体、斜方十二面体のような規則的(regu
lar)な結晶体を有するもの、また球状、板状などのよ
うな変則的(irregular)な結晶形をもつもの、高次の
面((hkl)面)をもつもの、あるいはこれらの結晶
形の粒子の混合からなってもよいが、好ましくは平板状
粒子であり、平板状粒子については下記に詳細に記述す
る。高次の面を持つ粒子についてはJournal of Imaging
Science誌、第30巻(1986年)の247頁から2
54頁を参照することができる。
【0063】また、本発明に用いられるハロゲン化銀写
真乳剤は、上記のハロゲン化銀粒子を単独または複数混
合して含有していても良い。ハロゲン化銀粒子は、内部
と表層が異なる相をもっていても、接合構造を有するよ
うな多相構造であっても、粒子表面に局在相を有するも
のであっても、あるいは粒子全体が均一な相から成って
いても良い。またそれらが混在していてもよい。これら
各種の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型
でも、粒子内部に形成する内部潜像型のいずれでもよ
い。
【0064】本発明に使用するハロゲン化銀乳剤は、本
発明に開示する増感色素を吸着せしめた、より表面積/
体積比の高い平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。本発
明で好ましく用いられる平板乳剤は、アスペクト比(円
相当直径/粒子厚み)2以上100以下のハロゲン化銀
粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の50%(面積)以
上存在する乳剤であり、好ましくはアスペクト比5以上
80以下、より好ましくはアスペクト比8以上80以下
のハロゲン化銀粒子が、乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の
50%(面積)以上存在する乳剤であり、好ましくは6
0%以上、特に好ましくは85%以上存在する乳剤であ
る。平板状粒子の厚さは、0.2μm未満が好ましく、
より好ましくは0.1μm未満、更に好ましくは0.0
7μm未満である。この様な高アスペクト比で且つ薄い
平板粒子を調製する為に下記の技術が適用される。
【0065】本発明では、ハロゲン組成が塩化銀、臭化
銀、塩臭化銀、ヨウ臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀
の平板ハロゲン化銀粒子が好ましく使用される。平板粒
子は、(100)又は(111)かの主表面を持つもの
が好ましい。(111)主表面を有する平板粒子、以下
これを(111)平板と呼ぶ、は普通三角形か六角形の
面をもつ。一般的には分布がより均一になれば、より六
角形の面を持つ平板粒子の比率が高くなる。六角形の単
分散平板に関しては特公平5−61205に記載されて
いる。
【0066】(100)面を主表面に持つ平板状粒子、
以下(100)平板と呼ぶ、は長方形または正方形の形
も持つ。この乳剤においては針状粒子より、隣接辺比が
5:1未満の粒子が平板粒子と呼ばれる。塩化銀或いは
塩化銀を多く含む平板粒子ににおいては、(100)平
板粒子は本来(111)平板に比べて主表面の安定性が
高い。(111)平板の場合は、(111)主表面を安
定化させる事が必要であるが、それに関しては特開平9
−80660号、特開平9−80656号、米国特許第
5298388号に記載されている。
【0067】本発明において用いられる塩化銀或いは塩
化銀の含有率の高い(111)平板に関しては下記の特
許に開示されている。米国特許第4414306号、米
国特許第4400463号、米国特許第4713323
号、米国特許第4783398号、米国特許第4962
491号、米国特許第4983508号、米国特許第4
804621号、米国特許第5389509号、米国特
許第5217858号、米国特許第5460934号。
【0068】本発明に用いられる高臭化銀(111)平
板粒子に関しては下記の特許に記載されている。米国特
許第4425425号、米国特許第4425426号、
米国特許第443426号、米国特許第4439520
号、米国特許第4414310号、米国特許第4433
048号、米国特許第4647528号、米国特許第4
665012号、米国特許第4672027号、米国特
許第4678745号、米国特許第4684607号、
米国特許第4593964号、米国特許第472288
6号、米国特許第4722886号、米国特許第475
5617号、米国特許第4755456号、米国特許第
4806461号、米国特許第4801522、米国特
許第4835322号、米国特許第4839268号、
米国特許第4914014号、米国特許第496201
5号、米国特許第4977074号、米国特許第498
5350号、米国特許第5061609号、米国特許第
5061616号、米国特許第5068173号、米国
特許第5132203号、米国特許第5272048
号、米国特許第5334469号、米国特許第5334
495号、米国特許第5358840号、米国特許第5
372927号。
【0069】本発明に用いられる(100)平板に関し
ては、下記の特許に記載されている。 米国特許第43
86156号、米国特許第5275930号、米国特許
第5292632号、米国特許第5314798号、米
国特許第5320938号、米国特許第5319635
号、米国特許第5356764号、欧州特許第5699
71号、欧州特許第737887号、特開平6−308
648号、特開平9−5911号。
【0070】ハロゲン化銀乳剤は、一般に化学増感を行
なって使用する。化学増感としてはカルコゲン増感(硫
黄増感、セレン増感、テルル増感)、貴金属増感(例、
金増感)および還元増感を、それぞれ単独あるいは組み
合わせて実施する。本発明においては、少なくともセレ
ン増感されたハロゲン化銀乳剤が好ましい。即ちセレン
増感単独、セレン増感及び他のカルコゲン増感及び/又
は貴金属増感(特に金増感)との組合せが好ましいが、
とくに好ましくはセレン増感及び貴金属増感との組合せ
である。
【0071】セレン増感においては、不安定セレン化合
物を増感剤として用いる。不安定セレン化合物について
は、特公昭43−13489号、同44−15748
号、特開平4−25832号、同4−109240号、
同4−271341号および同5−40324号各公報
に記載がある。セレン増感剤の例には、コロイド状金属
セレン、セレノ尿素類(例、N,N−ジメチルセレノ尿
素、トリフルオロメチルカルボニル−トリメチルセレノ
尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミ
ド類(例、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェ
ニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例え
ば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオ
ロフェニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セ
レノフォスフェート類(例、トリ−p−トリルセレノフ
ォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェー
ト)、セレノケトン類(例、セレノベンゾフェノン)、
イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノ
エステル類およびジアシルセレニド類が含まれる。な
お、亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾー
ル類やセレニド類のような比較的安定なセレン化合物
(特公昭46−4553号および同52−34492号
各公報記載)も、セレン増感剤として利用できる。
【0072】硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を
増感剤として用いる。不安定硫黄化合物については、P.
Glafkides 著 Chemie et Physique Photographique (Pa
ul Montel 社刊、1987年、第5版)、Research Dis
closure 誌307巻307105号に記載がある。硫黄
増感剤の例には、チオ硫酸塩(例、ハイポ)、チオ尿素
類(例、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N
−エチル−N′−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ
尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオア
ミド類(例、チオアセトアミド)、ローダニン類(例、
ジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチル−
ローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例、トリメ
チルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、
4−オキ類(例、トリメチルフォスフィンスルフィ
ド)、チオヒダントイン類、4−オキソーオキサゾリジ
ン−2−チオン類、ジポリスルフィド類(例、ジモルフ
ォリンジスルフィド、シスチン、ヘキサチオカン−チオ
ン)、メルカプト化合物(例、システィン)、ポリチオ
ン酸塩および元素状硫黄が含まれる。活性ゼラチンも硫
黄増感剤として利用できる。
【0073】テルル増感においては、不安定テルル化合
物を増感剤として用いる。不安定テルル化合物について
は、カナダ国特許800958号、英国特許12954
62号、同1396696号各明細書、特開平4−20
4640号、同4−271341号、同4−33304
3号および同5−303157号各公報に記載がある。
テルル増感剤の例には、テルロ尿素類(例、テトラメチ
ルテルロ尿素、N,N′−ジメチルエチレンテルロ尿
素、N,N′−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォ
スフィンテルリド類(例、ブチル−ジイソプロピルフォ
スフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、
トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジフェ
ニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド
類(例、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、
ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテル
リド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルボモイル)
テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、イ
ソテルロシアナート類、テルロアミド類、テルロヒドラ
ジド類、テルロエステル類(例、ブチルヘキシルテルロ
エステル)、テルロケトン類(例、テルロアセトフェノ
ン)、コロイド状テルル、(ジ)テルリド類およびその
他のテルル化合物(例、ポタシウムテルリド、テルロペ
ンタチオネートナトリウム塩)が含まれる。
【0074】貴金属増感においては、金、白金、パラジ
ウム、イリジウムなどの貴金属の塩を増感剤として用い
る。貴金属塩については、P.Glafkides 著 Chemie et P
hysique Photographique (Paul Montel 社刊、1987
年、第5版)、Research Disclosure 誌307巻307
105号に記載がある。金増感が特に好ましい。前述し
たように、本発明は金増感を行なう態様において特に効
果がある。青酸カリウム(KCN)を含む溶液で乳剤粒
子上の増感核から金を除去できることは、フォトグラフ
ィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photo
graphic Science and Engineering)Vol 19322(1
975)やジャーナル・イメージング・サイエンス(Jou
rnal of Imaging Science)Vol 3228(1988)で
述べられている。これらの記載によれば、シアンイオン
がハロゲン化銀粒子に吸着した金原子または金イオンを
シアン錯体として遊離させ、結果として金増感を阻害す
る。本発明に従い、シアンの発生を抑制すれば、金増感
の作用を充分に得ることができる。
【0075】金増感剤の例には、塩化金酸、カリウムク
ロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化
金および金セレナイドが含まれる。また、米国特許26
42361号、同5049484号および同50494
85号各明細書に記載の金化合物も用いることができ
る。還元増感においては、還元性化合物を増感剤として
用いる。還元性化合物については、P.Glafkides 著 Che
mie et Physique Photographique(Paul Montel 社刊、
1987年、第5版)、Research Disclosure 誌307
巻307105号に記載がある。還元増感剤の例には、
アミノイミノメタンスルフィン酸(二酸化チオ尿素)、
ボラン化合物(例、ジメチルアミンボラン)、ヒドラジ
ン化合物(例、ヒドラジン、p−トリルヒドラジン)、
ポリアミン化合物(例、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン)、塩化第1スズ、シラン化合物、レ
ダクトン類(例、アスコルビン酸)、亜硫酸塩、アルデ
ヒド化合物および水素ガスが含まれる。また、高pHや
銀イオン過剰(いわゆる銀熟成)の雰囲気によって、還
元増感を実施することもできる。還元増感は、ハロゲン
化銀粒子の形成時に施すのが好ましい。
【0076】増感剤の使用量は、一般に使用するハロゲ
ン化銀粒子の種類と化学増感の条件により決定する。カ
ルコゲン増感剤の使用量は、一般にハロゲン化銀1モル
当り10-8〜10-2モルであり、10-7〜5×10-3
ルであることが好ましい。貴金属増感剤の使用量は、ハ
ロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルであることが
好ましい。化学増感の条件に特に制限はない。pAgは
一般に6〜11であり、好ましくは7〜10である。p
Hは4〜10であることが好ましい。温度は40〜95
°Cであることが好ましく、45〜85°Cであること
がさらに好ましい。
【0077】本発明に用いられる写真乳剤の調製法等に
ついては特開平10−239789号の第63欄36行
〜第65欄2行等が適用できる。また、カラ−カプラ−
等の添加剤、写真感光材料への添加剤等、本発明が適用
さる感光材料の種類、感光材料の処理等については特開
平10−239789号の第65欄3行〜第73欄13
行等が適用できる。
【0078】
【実施例】次に本発明をより詳細に説明するため、以下
に実施例を示すが、本発明はそれらに限定されるもので
はない。
【0079】実施例1 (ヨウ臭化銀平板粒子乳剤の調整)1.2リットルの水
に臭化カリウム6.4gと平均分子量が1万5千以下の
低分子量ゼラチン6.2gを溶解させ30℃に保ちなが
ら16.4%の硝酸銀水溶液8.1mlと23.5%の臭
化カリウム水溶液7.2mlを10秒にわたってダブルジ
ェット法で添加した。次に11.7%のゼラチン水溶液
をさらに添加し75℃に昇温し40分間熟成させた後、
32.2%の硝酸銀水溶液370mlと、17%臭化カリ
ウムと3%ヨウ化カリウムの混合水溶液を、銀電位を−
20mVに保ちながら10分間にわたって添加し、1分間
物理熟成後温度を35℃に下げた。このようにして平均
投影面積経2.32μm、厚み0.09μm、直径の変
動係数15.1%の単分散ヨウ臭化銀平板乳剤(比重
1.15)を得た。この後凝集沈殿法により可溶性塩類
を除去した。再び温度を40℃に保ち、ゼラチン45.
6g、1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム水溶
液を10ml、水167ml、さらに5%フェノール10ml
を添加し、pAgを8.30、pHを6.16に調整し
た。この乳剤を、最適感度となるようにチオシアン酸カ
リウム、塩化金酸、ペンタフルオロフェニル−ジフェニ
ルフォスフィンセレニドおよびチオ硫酸ナトリウムを添
加し、55℃で50分間熟成した。色素占有面積を80
Åとしたときのこの乳剤の一層飽和被覆量は1.42×
10-3mol/molAg であった。
【0080】上記のようにして得られた乳剤を50℃に
保ちながら表1に示した第色素を添加して60℃で3
0分間攪拌した後第2色素(及び第3色素)を添加し、
さらに60℃で60分間攪拌した。
【0081】
【表1】
【0082】色素吸着量は、得られた液体乳剤を10、
000rpmで10分間遠心沈降させ、沈殿を凍結乾燥
した後、沈殿0.05gを25%チオ硫酸ナトリウム水
溶液25mlとDMFを加えて50mlにした。この溶液を
高速液体クロマトグラフィーで分析し、色素濃度を定量
して求めた。
【0083】単位面積当たりの光吸収強度の測定は、得
られた乳剤をスライドガラス上に薄く塗布し、カールツ
アイス株式会社製の顕微分光光度計MSP65を用いて
以下の方法でそれぞれの粒子の透過スペクトルおよび反
射スペクトルを測定して、吸収スペクトルを求めた。透
過スペクトルのリファレンスは粒子の存在しない部分
を、反射スペクトルは反射率の分かっているシリコンカ
ーバイドを測定してリファレンスとした。測定部は直径
1μmの円形アパチャー部であり、粒子の輪郭にアパー
チャー部が重ならないように位置を調整して14000
cm-1(714nm)から28000cm-1(357n
m)までの波数領域で透過スペクトル及び反射スペクト
ルを測定し、1−T(透過率)−R(反射率)を吸収率
Aとして吸収スペクトルを求めた。ハロゲン化銀の吸収
を差し引いて吸収率A’とし、−Log(1−A’)を
波数(cm-1)に対して積分した値を1/2にして単位
表面積あたりの光吸収強度とした。積分範囲は1400
0cm-1から28000cm -1までである。この際、光
源はタングステンランプを用い、光源電圧は8Vとし
た。光照射による色素の損傷を最小限にするため、一次
側のモノクロメータを使用し、波長間隔は2nm、スリ
ット幅を2.5nmに設定した。
【0084】また得られた乳剤にゼラチン硬膜剤、及び
塗布助剤を添加し、塗布銀量が3.0g−Ag/m2
なるように、セルロースアセテートフィルム支持体上
に、ゼラチン保護層とともに同時塗布した。得られたフ
ィルムをタングステン電球(色温度2854°K)に対
して連続ウエッジ色フィルターを通して1秒間露光し
た。色フィルターとして色素側を励起するマイナス青露
光用の富士ゼラチンフィルターSC−50(富士フイル
ム(株)製)を用いて500nm以下の光を遮断し、資
料に照射した。露光した資料は下記に示す方法で処理工
程を施した。下記の現像液を用いて20℃で10分間現
像し、下記の定着を20℃で4分間、水洗1を20℃で
5分間、さらに水洗2を20℃で5分間行い、最後に乾
燥処理を行った処理を処理Aとする。また、水洗1の代
わりに、水酸化ナトリウムで調整したpH11の水溶液
を用いて20℃で5分間処理した以外は処理Aと同じ処
理方法を処理Bとする。
【0085】現像液 メトール 2g ハイドロキノン 8g 亜硫酸ナトリウム 90g 臭化カリウム 5g 炭酸ナトリウム1水塩 50.25g 水を加えて 1リットル pH 9.8 定着液処方 チオ硫酸アンモニウム 170g 亜硫酸ナトリウム(無水) 15g ほう酸 7g 氷酢酸 15ml カリ明ばん 20g エチレンジアミン四酢酸 0.1g 酒石酸 3.5g 水を加えて 1リットル 現像、その他の処理を行ったフィルムは富士自動濃度計
で光学濃度を測定し、感度は被り+0.2の光学濃度を
与えるのに要した光量の逆数で、実験No.1の感度を10
0としたときの相対値で示した。また、写真処理前の分
光吸収極大波長における光学濃度をG0とし、写真処理
後の分光吸収極大波長における光学濃度をG1 とし、残
色率=G1 /G0 として残色の程度を評価した。この値
が低いほど処理後の残色汚染が小さいことを表す。結果
を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
【化11】
【0088】表2で示されるように、本発明によって、
高い吸着量・吸着層数・光吸収強度・高い分光感度を得
たのに加えて、残色率が低い値になり、特に処理Bにお
いて効果の高いことがわかる。なお、表2の塗布フイル
ムの分光吸収極大波長はいずれも、500nm以上であ
った。
【0089】実施例2 実施例1と同様な比較を、特開平8−29904号の実
施例5のカラーネガ感剤の系、特開平7−92601
号、同11−160828号の実施例1のカラー反転感
材の系、特開平6−347944の実施例1のカラーペ
ーパーの系、特開平8−122954号の実施例1のX
線感材の系で評価して行った。その結果、いずれの場合
も本発明で規定されている高い光吸収強度と、本発明の
実施例1と同様の低い残色率が得られることを確認し
た。
【0090】
【発明の効果】本発明の実施例1、2から、残色の少な
い消色性増感色素が多層吸着した、高感度のハロゲン化
銀写真感光材料を得ることができることが分かる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分光吸収極大波長が500nm未満で光
    吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500
    nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子
    を含有するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感
    光材料において、下記一般式(I)で表される化合物を
    少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀
    写真感光材料。 一般式(I) 【化1】 式中、R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−NR
    2124、−OR21または−SR21であり、R21およびR
    24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族
    基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含窒素複
    素環を形成する;R2 は、水素原子、脂肪族基または芳
    香族基であり;R3 は、脂肪族基であり;L1 は、奇数
    個のメチンからなるメチン鎖であり;そして、Z1 およ
    びZ2 は、それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素
    環を形成する原子団であって、含窒素複素環には芳香族
    環が縮合していてもよく、含窒素複素環およびその縮合
    環は置換基を有していてもよい。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の
    25%以上が前記一般式(I)の化合物であるハロゲン
    化銀乳剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載
    のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 分光吸収極大波長が500nm未満で光
    吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500
    nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子
    を含有するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感
    光材料において、下記一般式(II)で表される化合物
    を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化
    銀写真感光材料。 一般式(II) 【化2】 一般式(II)中、X21は、−NR24−、−O−または
    −S−であり;R21およびR24は、それぞれ独立に水素
    原子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21
    とR24とが結合して含窒素複素環を形成する;R22は、
    水素原子、脂肪族基または芳香族基であり;R23は、脂
    肪族基であり;L21は、奇数個のメチンからなるメチン
    鎖であり;そして、Z21およびZ22は、それぞれ独立に
    5員または6員の含窒素複素環を形成する原子団であっ
    て、含窒素複素環には芳香族環が縮合していてもよく、
    含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していても
    よい。
  4. 【請求項4】 ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の
    25%以上が前記一般式(II)の化合物であるハロゲ
    ン化銀乳剤を含有することを特徴とする、請求項3に記
    載のハロゲン化銀写真感光材料。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多
    層吸着していることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  6. 【請求項6】 ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多
    層吸着しており、かつ二層目の増感色素の構造が一層目
    の増感色素と異なっていることを特徴とする、請求項1
    〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6に記載のハロゲン化銀乳剤
    に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上
    が、アスペクト比2以上100以下の平板状粒子で占め
    られるハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする、請求
    項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材
    料。
  8. 【請求項8】 セレン増感されているハロゲン化銀粒子
    を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか
    に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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