JP2001263358A - 玉軸受及びその潤滑方法 - Google Patents
玉軸受及びその潤滑方法Info
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Abstract
と共に、回転時における潤滑性能を持続させることがで
きる玉軸受を提供する。 【解決手段】 基油粘度15〜20×10-2m2/s、
ちょう度200〜230のチャーニングタイプのグリー
ス5をレース部1の転走面1aに配置すると共に、基油
粘度25〜35×10-2m2/s、ちょう度240〜2
70のチャネリングタイプのグリース6をリテーナ4に
配置した。このように構成することで、玉軸受の回転時
には、グリース6により軸受内部の潤滑油膜7を維持し
て潤滑を持続させることができると共に、玉軸受の停止
時には、グリース5により潤滑油膜を保護してフレッチ
ングを防止することができる。
Description
滑方法に関するもので、特に、軸受内部に性質の異なる
グリースを各々に配置することで、軸受停止時の耐フレ
ッチング性能と回転時の潤滑性とを併せもつ玉軸受及び
その潤滑方法に関する。
アウターレース1とインナーレース2との間の軸受内部
にグリースを塗布することで潤滑されており、玉軸受の
トルク伝達性能や耐フレッチング性能は塗布されたグリ
ースの特性に依存されている。例えば、HDD(ハード
ディスクドライブ)スピンドルモータ等の低トルク、低
ノイズを要求されている用途では、基油粘度25〜35
×10-2m2/s、ちょう度240〜270のチャネリ
ングタイプのグリースが主流として使われている。ま
た、このタイプのグリースは、軸受回転時の転動寿命を
維持する性能においても優れている。
HDD用途で最近要望されている玉軸受の停止時に発生
するフレッチングから軸受内部の接触面を保護するのに
は有効でなく、一般に、基油粘度15〜20×10-2m
2/s、ちょう度200〜230のチャーニングタイプ
のグリースが軸受の停止時における耐フレッチング性能
に優れていることが知られている。これは、粘度の高い
基油がボール3と転走面1a,2aとの接触面から排除
され易く、且つ該接触面に入り込みにくいことから接触
面の保護に有効でないのに対し、粘度の低い基油は、接
触面に入り込み易い性質により、接触面に油膜を形成し
て接触面を保護し、フレッチングを防止することによ
る。軸受の停止時における耐フレッチング性能は、上記
粘度(15〜20×10-2m2/s)のオイルを転走面
1a,2aに塗布することでも得られるが、性能が維持
される寿命が短く、また、軸受の回転時には攪拌されて
境界面から飛散してしまい潤滑を維持することができな
かった。
事情に鑑みてなされたもので、軸受停止時の耐フレッチ
ング性能と回転時の潤滑性とを併せもつ玉軸受及びその
潤滑方法を提供することを目的とする。
に、本発明のうち請求項1に記載の発明は、レース部に
潤滑面を保護するグリースを、リテーナ部に潤滑を維持
するグリースをそれぞれ配置したことを特徴とする。
するグリースにより軸受内部に形成される潤滑面が保護
されると共に、潤滑を維持するグリースにより潤滑面を
維持して、潤滑を持続させることができる。
は、潤滑面を保護するグリースの基油粘度は、潤滑を維
持するグリースの基油粘度より低いことを特徴とする。
時には、潤滑面を保護するグリースがレース部の接触面
に速やかに入り込み、潤滑面を保護することができる。
は、潤滑面を保護するグリースと潤滑を維持するグリー
スとを接近させて配置することを特徴とする。
るグリースから分離した潤滑油を速やかに潤滑面に供給
することができる。
は、潤滑面を保護するグリースは、基油粘度15〜20
×10-2m2/s、ちょう度200〜230のチャーニ
ングタイプのグリースであり、潤滑を維持するグリース
は、基油粘度25〜35×10-2m2/s、ちょう度2
40〜270のチャネリングタイプのグリースであるこ
とを特徴とする。
は、レース部に潤滑面を保護するグリースを配置すると
共に、リテーナ部に潤滑を維持するグリースを配置し
て、玉軸受の停止時に潤滑面を保護するグリースにより
潤滑面を形成し、玉軸受の回転時に潤滑を維持するグリ
ースにより潤滑を持続させることを特徴とする。
時には、潤滑を維持するグリースにより潤滑面を維持し
て潤滑を持続させることができ、また、玉軸受の停止時
には潤滑面を保護するグリースにより潤滑面を保護し
て、接触面におけるフレッチングを防止することができ
る。
は、潤滑面を保護するグリースと潤滑を維持するグリー
スとを接近させて配置し、玉軸受の回転時に潤滑を維持
するグリースが潤滑面に徐々に供給されることにより潤
滑を維持することを特徴とする。
時には、潤滑を維持するグリースから分離した潤滑油が
潤滑面に速やかに供給されるので、軸受の高回転時にお
いても潤滑面を維持して、玉軸受の潤滑を持続させるこ
とができる。
びその潤滑方法を図1ないし図3に基づいて説明する。
まず、本実施の形態の玉軸受の概略について説明する。
本実施の形態の玉軸受は、図3に示すように、レース部
としてのアウターレース1及びインナーレース2と、リ
ング状に形成され複数のボール3を回転自在に保持する
リテーナ4とを具備しており、アウターレース1とイン
ナーレース2とにリテーナ4を介在させて、リテーナ4
に保持された複数のボール3をアウターレース1の転走
面1aとインナーレース2の転走面2aとに転走させる
ことにより、アウターレース1とインナーレース2とを
相対移動させる構造になっている。また、本実施の形態
の玉軸受は、図1に示すように、アウターレース1の転
走面1aに塗布したグリース5(以下、グリースA5と
呼ぶ)と、リテーナ4に塗布したグリース6(以下,グ
リースB6と呼ぶ)とにより、軸受内部の転走面1a,
2a、リテーナ4及びボール3の表面に、潤滑面として
の潤滑油膜7を形成して軸受内部を潤滑する構造になっ
ている。
びグリースB6の詳細について説明する。まず、アウタ
ーレース1の転走面1aに塗布されるグリースA5につ
いて説明する。グリースA5は、表1に示すように、基
油粘度が15〜20×10-2m2/s(40℃)、ちょ
う度が200〜230で剪断されることにより攪拌され
る、いわゆるチャーニングタイプのグリースを使用す
る。これにより、グリースA5は、玉軸受の停止時に
は、粘度の小さい基油がボール3と転走面1a,2aと
の間に入り込み、接触面に速やかに潤滑油膜7を形成す
ることにより、接触面のフレッチングを防止すると共
に、玉軸受の回転時には、チャーニング挙動となること
で飛散して、グリースの攪拌抵抗が抑制されることによ
り回転トルクを減少させる構造になっている。
6について説明する。グリースB6は、表1に示すよう
に、グリースA5と比較して、基油粘度が25〜35×
10 -2m2/s(40℃)と大きく、且つちょう度が2
40〜270と硬く、剪断されることで層状化しその層
の間隙に分離した潤滑油が介入される、いわゆるチャネ
リングタイプのグリースを使用する。これにより、グリ
ースB6は、玉軸受の回転時には、リテーナ4が高速回
転されることで遠心力を受け、この遠心力によりチャネ
リング挙動となり基油粘度が大きい潤滑油を徐々に分離
させ、この分離させた潤滑油を徐々に潤滑油膜7に供給
することで、軸受内部の潤滑油膜7を維持し、軸受内部
の潤滑を持続させる構造になっている。
玉軸受及びその潤滑方法の作用を説明する。まず、玉軸
受の回転時には、リテーナ4に塗布されたグリースB6
は、リテーナ4が高速回転されることで遠心力を受ける
ことでチャネリング挙動となり、粘度の大きい潤滑油を
分離させる。そして、グリースB6は、分離した潤滑油
を潤滑油膜7に徐々に供給することで潤滑面としての潤
滑油膜7を維持し、ボール3と転走面1a,2aとの境
界面の潤滑を持続させることができる。また、グリース
B6をグリースA5に接近させて配置することで、グリ
ースB6から分離した潤滑油を速やかに潤滑油膜7に供
給することができ、軸受の高回転時における境界面にお
ける油膜切れを防止することができる。また、玉軸受の
停止時には、基油粘度が小さいグリースA5が転走面1
a,2aとボール3との隙間に入り込むことにより、接
触面に速やかに潤滑油膜7が形成されるので、外部から
の振動により生じる接触面のフレッチングを防止するこ
とができる。
基油粘度が小さく、且つチャーニングタイプのグリース
A5をアウターレース1の転走面1aに配置すると共
に、基油粘度が大きく、且つチャネリングタイプのグリ
ースB6をリテーナ4に配置した。したがって、玉軸受
の回転時には、グリースB6がチャネリング挙動となり
粘度の大きい潤滑油を分離させ、該潤滑油が潤滑面とし
ての潤滑油膜7に徐々に供給されるので、潤滑油膜7を
維持して潤滑を持続させることができる。また、グリー
スB6をグリースA5に接近させて配置したので、グリ
ースB6から分離した潤滑油を潤滑油膜7に速やかに供
給して、特に、軸受の高回転時における潤滑油膜7の油
膜切れを防止して、境界面の潤滑を持続させることがで
きる。
は、粘度の小さい潤滑油をボール3と転走面1a,2a
との間の接触面に速やかに入り込ませることで、潤滑面
としての潤滑油膜7を形成し接触面を保護するので、静
止時の外部からの振動によるフレッチングを防止するこ
とができる。
れば、潤滑面を保護するグリースをレース部の転走面に
配置すると共に、潤滑を維持するグリースをリテーナに
配置したので、軸受の回転時には、潤滑を維持するグリ
ースから分離させた潤滑油を潤滑面としての潤滑油膜に
徐々に供給して潤滑を持続させることができると共に、
軸受の停止時には、潤滑面を保護するグリースにより潤
滑面としての潤滑油膜を保護してフレッチングを防止す
ることができ、これにより、低振動及び低ノイズが長期
間持続される玉軸受を提供することができる。
によれば、潤滑面を保護するグリースの基油粘度を潤滑
を維持するグリースの基油粘度よりも低くしたので、玉
軸受の停止時には、潤滑面を保護するグリースがボール
と転走面との間の接触面に速やかに入り込み、潤滑油膜
を形成して接触面を保護することができ、外部からの振
動により生じるフレッチングを防止することができる。
によれば、潤滑面を保護するグリースと潤滑を維持する
グリースとを接近させて配置したので、玉軸受の回転時
には、潤滑面としての潤滑油膜に、潤滑を維持するグリ
ースから分離した潤滑油が速やかに供給され、境界面の
潤滑油膜を維持することができ、境界面における潤滑を
持続させることができる。
によれば、潤滑面を保護するグリースに基油粘度15〜
20×10-2m2/s、ちょう度200〜230のチャ
ーニングタイプのグリースを使用して、潤滑を維持する
グリースに基油粘度25〜35×10-2m2/s、ちょ
う度240〜270のチャネリングタイプのグリースを
使用したので、玉軸受の回転時には、潤滑を維持するグ
リースがチャネリング挙動となり、基油粘度が大きい潤
滑油を分離させる。そして、該潤滑油が徐々に潤滑油膜
に供給されることにより、境界面の潤滑油膜を維持して
境界面の潤滑を持続させることができ、低振動及び低ノ
イズが長期間持続される玉軸受を提供することができ
る。また、玉軸受の停止時には、潤滑面を保護するグリ
ースが、粘度が小さい潤滑油をボールと転走面との接触
面に速やかに入り込ませることで潤滑油膜を形成して、
静止時における接触面を保護するので、外部からの振動
によるフレッチングを防止することができる。
によれば、レース部の転走面に潤滑面を保護するグリー
スを配置すると共に、リテーナ部に潤滑を維持するグリ
ースを配置して、玉軸受の回転時には、潤滑を維持する
グリースにより境界面における潤滑油膜を維持して潤滑
を持続させ、また、玉軸受の停止時には、潤滑面を保護
するグリースによりボールと転走面との接触面に潤滑油
膜を形成して、玉軸受を潤滑するようにしたので、軸受
回転時における境界面の潤滑を持続させることができる
と共に、軸受停止時における接触面のフレッチングを防
止することができる。
によれば、潤滑面を保護するグリースと潤滑を維持する
グリースとを接近させて配置して、潤滑を維持するグリ
ースから分離させた潤滑油を潤滑面としての潤滑油に供
給するようにして、軸受の回転時における境界面を潤滑
させたので、境界面の潤滑油膜に潤滑油を速やかに供給
して、軸受の高回転時においても、油膜切れが生じてし
まうようなことを防止でき、境界面の潤滑を持続させる
ことができる。
内部に形成された潤滑油膜を示す図である。
内部のグリースの配置を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 レース部に潤滑面を保護するグリース
を、リテーナ部に潤滑を維持するグリースをそれぞれ配
置したことを特徴とする玉軸受。 - 【請求項2】 前記潤滑面を保護するグリースの基油粘
度は、前記潤滑を維持するグリースの基油粘度より低い
ことを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。 - 【請求項3】 前記潤滑面を保護するグリースと前記潤
滑を維持するグリースとを接近させて配置することを特
徴とする請求項1または2に記載の玉軸受。 - 【請求項4】 前記潤滑面を保護するグリースは、基油
粘度15〜20×10-2m2/s、ちょう度200〜2
30のチャーニングタイプのグリースであり、前記潤滑
を維持するグリースは、基油粘度25〜35×10-2m
2/s、ちょう度240〜270のチャネリングタイプ
のグリースであることを特徴とする請求項1ないし3の
いずれかに記載の玉軸受。 - 【請求項5】 レース部に潤滑面を保護するグリースを
配置すると共に、リテーナ部に潤滑を維持するグリース
を配置して、玉軸受の停止時に潤滑面を保護するグリー
スにより潤滑面を形成し、玉軸受の回転時に潤滑を維持
するグリースにより潤滑を持続させることを特徴とする
玉軸受の潤滑方法。 - 【請求項6】 前記潤滑面を保護するグリースと前記潤
滑を維持するグリースとを接近させて配置し、玉軸受の
回転時に前記潤滑を維持するグリースが潤滑面に徐々に
供給されることにより潤滑を維持することを特徴とする
請求項5に記載の玉軸受の潤滑方法。
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