JP2001261374A - リン酸ガラス層形成方法 - Google Patents

リン酸ガラス層形成方法

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JP2001261374A
JP2001261374A JP2000072716A JP2000072716A JP2001261374A JP 2001261374 A JP2001261374 A JP 2001261374A JP 2000072716 A JP2000072716 A JP 2000072716A JP 2000072716 A JP2000072716 A JP 2000072716A JP 2001261374 A JP2001261374 A JP 2001261374A
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phosphate
silicate
salts
layer
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JP2000072716A
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Yasuko Douya
康子 堂谷
Hiroshi Usui
寛 臼井
Hiroyuki Tomonaga
浩之 朝長
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ケイ酸塩ガラスとリン酸ガラス層を強固に接着
する。 【解決手段】Ca塩、Sr塩、Ba塩、Zn塩、Bi塩
およびリン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の塩ま
たはその塩の溶液を、リン酸ガラス層を形成すべき前記
ケイ酸塩ガラスの表面に塗布し、150℃以上に5分以
上保持することを特徴とするリン酸ガラス粉末を焼成し
てリン酸ガラス層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ酸塩ガラスの
表面にリン酸ガラス層を形成する方法、および、ケイ酸
塩ガラスとケイ酸塩ガラスその他の酸化物ガラスとの間
にリン酸ガラス層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管のパネルガラスとファンネル
ガラスとの接着、プラズマディスプレイパネル(PD
P)および蛍光表示管(VFD)における2枚のガラス
基板の接着等に使用されるガラス粉末として、電気絶縁
性を低下させるおそれがあるアルカリ金属酸化物を含有
しない、またはアルカリ金属酸化物を含有してもその含
有量が小さい無鉛リン酸ガラス粉末が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】リン酸ガラス粉末を、
リン酸ガラスの接着、ZnO−B23系ガラスの接着、
等に用いる場合、その接着は強固である。しかし、ブラ
ウン管のパネルガラスとファンネルガラスとの接着、P
DPおよびVFDにおける2枚のガラス基板の接着、
等、ケイ酸塩ガラスの接着をリン酸ガラス粉末を用いて
行う場合、その接着は必ずしも強固ではなかった。本発
明は、上記問題を解決する、ケイ酸塩ガラスの表面にリ
ン酸ガラス層を形成する方法、および、ケイ酸塩ガラス
とケイ酸塩ガラスその他の酸化物ガラスとの間にリン酸
ガラス層を形成する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ケイ酸塩ガラ
スの表面にリン酸ガラス粉末を塗布、焼成して該表面に
リン酸ガラス層を形成する方法であって、前記塗布を行
う前に、または前記塗布を行う時に、カルシウム塩、ス
トロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、ビスマス塩およ
びリン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の塩または
その塩の溶液を、リン酸ガラス層を形成すべき前記ケイ
酸塩ガラスの表面に塗布し、前記焼成を行う前に、また
は前記焼成を行う時に、150℃以上に5分以上保持す
ることを特徴とするリン酸ガラス層形成方法を提供する
(第1発明)。
【0005】また、本発明は、第1のガラスの表面と第
2のガラスの表面の少なくともいずれか一方にリン酸ガ
ラス粉末を塗布し、該塗布層を介して第1のガラスと第
2のガラスとを接触させた状態で焼成して第1のガラス
と第2のガラスの間にリン酸ガラス層を形成する方法で
あって、前記第1のガラスがケイ酸塩ガラスであり、前
記第2のガラスがケイ酸塩ガラスまたはその他の酸化物
ガラスであり、前記塗布を行う前に、または前記塗布を
行う時に、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム
塩、亜鉛塩、ビスマス塩およびリン酸塩からなる群から
選ばれる1種以上の塩またはその塩の溶液を、リン酸ガ
ラス層を形成すべき前記ケイ酸塩ガラスの表面に塗布
し、前記焼成を行う前に、または前記焼成を行う時に、
150℃以上に5分以上保持することを特徴とするリン
酸ガラス層形成方法を提供する(第2発明)。
【0006】本発明者は、リン酸ガラス粉末を用いたケ
イ酸塩ガラスの接着が強固とならない原因が、ケイ酸塩
ガラスに塗布したリン酸ガラス粉末を焼成する際のケイ
酸塩ガラスとリン酸ガラスとの反応性が低いことにある
ことを見出し、本発明に至った。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるケイ酸塩ガラス
は、SiO2を必須成分として含有するガラスである
が、その含有量は5モル%以上であることが好ましい。
より好ましくは30モル%以上、特に好ましくは50モ
ル%以上、最も好ましくは60モル%以上である。ケイ
酸塩ガラスとして、ソーダライムシリカガラス等のR2
O−R’O−SiO2系ガラス、R2O−R’O−PbO
−SiO2系ガラス、R’O−B23−SiO2系ガラ
ス、石英ガラス、等が例示される。ここで、R2Oはア
ルカリ金属酸化物、R’Oはアルカリ土類金属酸化物を
それぞれ表わす。
【0008】本発明におけるリン酸ガラスは、P25
必須成分として含有するガラスであるが、その含有量は
5モル%以上であることが好ましい。より好ましくは1
5モル%以上、特に好ましくは20モル%以上である。
リン酸ガラスとして、SnO−ZnO−P25系ガラス
が例示される。また、本発明におけるリン酸ガラス粉末
は、前記リン酸ガラスの粉末である。
【0009】本発明において、リン酸ガラス粉末は、下
記酸化物基準のモル%表示で、 P25 15〜70、 SnO 0〜70、 ZnO 0〜45、 B23 0〜35、 MgO 0〜35、 CaO 0〜35、 SrO 0〜35、 BaO 0〜35、 SiO2 0〜10、 Al23 0〜10、 In23 0〜10、 WO3 0〜10、 Li2O 0〜10、 Na2O 0〜10、 K2O 0〜10、 から実質的になることが好ましい。
【0010】P25 15〜50、 SnO 20〜70、 ZnO 3〜30、 B23 0〜20、 MgO 0〜5、 CaO 0〜5、 SrO 0〜5、 BaO 0〜5、 SiO2 0〜5、 Al23 0〜5、 In23 0〜5、 WO3 0〜5、 Li2O 0〜5、 Na2O 0〜5、 K2O 0〜5、 から実質的になることがより好ましい。
【0011】リン酸ガラス粉末は、実質的に上記成分か
らなることが好ましいが、上記成分以外の成分を本発明
の目的を損なわない範囲で含有してもよい。そのような
成分の含有量の合計は20モル%以下であることが好ま
しい。より好ましくは10モル%以下である。
【0012】本発明におけるリン酸ガラス粉末のケイ酸
塩ガラス等のガラス表面への塗布は、たとえば、リン酸
ガラス粉末にビヒクルを添加してペースト化したもの
を、スクリーン印刷等の方法により前記ガラス表面に塗
布することによって行われる。前記ペーストには必要に
応じてフィラーを添加してもよい。
【0013】本発明におけるリン酸ガラス層の少なくと
も一方の面はケイ酸塩ガラスと接し、かつ、リン酸ガラ
ス層の該面とケイ酸塩ガラスは強固に接着している。前
記強固な接着を実現するために、本発明においては、リ
ン酸ガラス層を形成すべきケイ酸塩ガラスの表面に次の
ような処理(以下この処理を表面処理という。)が行わ
れる。すなわち、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バ
リウム塩、亜鉛塩、ビスマス塩およびリン酸塩からなる
群から選ばれる1種以上の塩またはその塩の溶液を、リ
ン酸ガラス層を形成すべき前記ケイ酸塩ガラスの表面に
塗布し、150℃以上に5分以上保持する処理が行われ
る。なお、本発明ではリン酸もリン酸塩に含める。
【0014】表面処理は、ケイ酸塩ガラスの表面にリン
酸ガラス粉末を塗布、焼成して該表面にリン酸ガラス層
を形成するリン酸ガラス焼成工程の前に行ってもよい。
また、表面処理は、リン酸ガラス焼成工程の中に組み込
んで行ってもよい。たとえば、前記リン酸ガラス粉末を
塗布する際に使用する塗布液中に、前記表面処理におい
て使用される溶液を混合し、この混合液をケイ酸塩ガラ
ス表面に塗布し、150℃以上に5分以上保持し、引続
きリン酸ガラス粉末の焼成を行ってもよい。
【0015】表面処理により、Ca、Sr、Ba、Z
n、BiおよびPからなる群から選ばれる1種以上を含
有する被膜がケイ酸塩ガラスの表面に形成され、ケイ酸
塩ガラスの表面状態が変化する。その結果、ケイ酸塩ガ
ラスに塗布したリン酸ガラス粉末を焼成する際のケイ酸
塩ガラスとリン酸ガラスの反応性が高くなり、ケイ酸塩
ガラスとリン酸ガラス層の接着が強固になると考えられ
る。
【0016】前記接着が強固になるメカニズムの詳細は
不明であるが、前記被膜中のCa、Sr、Ba、Zn、
BiまたはPが、リン酸ガラス粉末焼成時にリン酸ガラ
ス内部に拡散し、これによって前記接着が強固になって
いる可能性がある。また、前記被膜中のCa、Sr、B
aまたはZnは、前記焼成時に、ケイ酸塩ガラスとリン
酸ガラスの界面においてリン酸カルシウム、リン酸スト
ロンチウム、リン酸バリウムまたはリン酸亜鉛の結晶を
析出させ、これにより前記接着が強固になっている可能
性もある。
【0017】前記カルシウム塩としては、硝酸カルシウ
ム(融点:560℃)、塩化カルシウム(融点:770
℃)等が挙げられる。前記カルシウム塩溶液は、該溶液
を150℃以上に加熱したときに酸化カルシウムを形成
するものであることが好ましい。カルシウム塩溶液とし
て、塩化カルシウム溶液、硝酸カルシウム溶液、2−エ
チルヘキサン酸カルシウム溶液等が挙げられる。
【0018】前記ストロンチウム塩としては、水酸化ス
トロンチウム(融点:380℃)、ヨウ化ストロンチウ
ム(融点:400℃)、硝酸ストロンチウム(融点:5
70℃)等が挙げられる。前記ストロンチウム塩溶液
は、該溶液を150℃以上に加熱したときに酸化ストロ
ンチウムを形成するものであることが好ましい。ストロ
ンチウム塩溶液として、塩化ストロンチウム溶液、硝酸
ストロンチウム溶液、2−エチルヘキサン酸ストロンチ
ウム等が挙げられる。
【0019】前記バリウム塩としては、過酸化バリウム
(融点:450℃)、過塩素酸バリウム(融点:500
℃)、硝酸バリウム(融点:590℃)等が挙げられ
る。前記バリウム塩溶液は、該溶液を150℃以上に加
熱したときに酸化バリウムを形成するものであることが
好ましい。バリウム塩溶液として、塩化バリウム溶液、
硝酸バリウム溶液等が挙げられる。
【0020】前記亜鉛塩としては、酢酸亜鉛(融点:2
40℃)、塩化亜鉛(融点:280℃)、臭化亜鉛(融
点:390℃)等が挙げられる。前記亜鉛塩溶液は、該
溶液を150℃以上に加熱したときに酸化亜鉛を形成す
るものであることが好ましい。亜鉛塩溶液として、塩化
亜鉛溶液、硝酸亜鉛溶液、2−エチルヘキサン酸亜鉛、
亜鉛アセチルアセトナート等が挙げられる。このうち、
2−エチルヘキサン酸亜鉛は、適当な溶剤、たとえばブ
タノール、酢酸エチル、テルピネオール等を目的に応じ
て選択して加えることによりその粘度を調整でき、また
比較的低温、たとえば220℃で酸化亜鉛が形成され、
より好ましい。
【0021】前記ビスマス塩としては、トリフェニルビ
スマス(融点:80℃)、フッ化ビスマス(融点:15
0℃)、臭化ビスマス(融点:220℃)、塩化ビスマ
ス(融点:230℃)等が挙げられる。前記ビスマス塩
溶液は、該溶液を150℃以上に加熱したときに酸化ビ
スマスを形成するもの、またはBi23系ガラスを形成
するものであることが好ましい。ビスマス塩溶液とし
て、硝酸ビスマス溶液、塩基性硝酸ビスマス溶液、ホウ
酸ビスマス溶液等が挙げられる。
【0022】前記リン酸塩としては、オルトリン酸(融
点:40℃)、ピロリン酸(融点:60℃)等のリン酸
が例示される。リン酸塩溶液として、リン酸溶液、リン
酸アンモニウム溶液等が挙げられる。
【0023】表面処理において、塩またはその溶液をケ
イ酸塩ガラス表面に塗布する方法として、ディップコー
ト、スピンコート、ディスペンサによる塗布、スクリー
ン印刷、刷毛塗り、へら塗り等が挙げられる。
【0024】また、表面処理における加熱工程、すなわ
ち150℃以上の温度に5分以上保持する工程は、ケイ
酸塩ガラスの表面状態を変化させ、リン酸ガラス粉末焼
成時のケイ酸塩ガラスとリン酸ガラスの反応性を高くす
るための必須工程である。前記温度が150℃未満で
は、前記反応性が高くならないおそれがある。好ましく
は200℃以上、より好ましくは300℃以上、特に好
ましくは400℃以上である。また、前記温度は該ケイ
酸塩ガラスのガラス転移点以下であることが好ましい。
典型的には800℃以下、より典型的には700℃以下
である。該ガラス転移点超ではケイ酸塩ガラスが変形す
るおそれがある。
【0025】また、前記温度に保持する時間が5分未満
では、前記反応性が高くならないおそれがある。好まし
くは10分以上、より好ましくは20分以上である。ま
た、前記時間は60分以下であることが好ましい。
【0026】表面処理をリン酸ガラス焼成工程の前に行
う場合、表面処理によってケイ酸塩ガラスの表面に形成
されたCa、Sr、Ba、Zn、BiおよびPからなる
群から選ばれる1種以上を含有する被膜と該ケイ酸塩ガ
ラスとの接着を強固にするために、該被覆表面にシリカ
層を形成することが好ましい。このシリカ層形成は、ケ
イ酸エチル(テトラエトキシシラン)、ケイ酸メチル等
のアルコキシドを用いてゾルゲル法により行うことが好
ましい。なお、前記シリカ層の厚さは50nm以上であ
ることが好ましい。より好ましくは100nm以上であ
る。
【0027】第1発明によれば、ケイ酸塩ガラス表面に
強固に接着するリン酸ガラス層を形成できる。リン酸ガ
ラス層を形成すべきケイ酸塩ガラス表面に対する表面処
理は必須である。第1発明は、ケイ酸塩ガラス表面のリ
ン酸ガラス層による被覆等に適用できる。
【0028】第2発明によれば、ケイ酸塩ガラス(第1
のガラス)とケイ酸塩ガラス(第2のガラス)の間に形
成したリン酸ガラス層を介して、ケイ酸塩ガラスとケイ
酸塩ガラスを強固に接着できる。また、ケイ酸塩ガラス
(第1のガラス)とケイ酸塩ガラス以外の酸化物ガラス
(第2のガラス)の間に形成したリン酸ガラス層を介し
て、ケイ酸塩ガラスとケイ酸塩ガラス以外の酸化物ガラ
スを強固に接着できる。
【0029】第2発明においては、リン酸ガラス層を形
成すべきケイ酸塩ガラス表面に対する表面処理は必須で
ある。また、第2発明においては、リン酸ガラス層の一
方の面は第1のガラスすなわちケイ酸塩ガラスと接し、
かつ、リン酸ガラス層の該面とケイ酸塩ガラスは強固に
接着している。リン酸ガラス層の他の面は第2のガラ
ス、すなわちケイ酸塩ガラスまたはケイ酸塩ガラス以外
の酸化物ガラスと接し、かつ、リン酸ガラス層の該面と
第2のガラスは強固に接着している。
【0030】第2発明は、ケイ酸塩ガラスとケイ酸塩ガ
ラスの接着、ケイ酸塩ガラスとケイ酸塩ガラス以外の酸
化物ガラスの接着等に適用できる。ブラウン管のパネル
ガラスとファンネルガラスはいずれもケイ酸塩ガラスで
あり、第2発明において、第1のガラスを前記パネルガ
ラスとし、第2のガラスを前記ファンネルガラスとする
発明はこれらの封着に好適である。
【0031】
【実施例】PDPガラス基板、VFDガラス基板等に使
用されているガラス基板Aと、ブラウン管のファンネル
ガラスBを用意した。ガラス基板Aのモル%表示の組成
は、SiO2:72、Al23:1、MgO:5、Ca
O:9、Na2O:13、であり、ソーダライムシリカ
ガラスである。また、その50〜250℃における平均
線膨張係数αは85×10-7/℃である。
【0032】ファンネルガラスBのモル%表示の組成
は、SiO2:62、Al23:3、MgO:3、Ca
O:5、SrO:1、PbO:12、Na2O:8、K2
O:6、であり、R2O−R’O−PbO−SiO2系ガ
ラスである。また、そのαは100×10-7/℃であ
る。
【0033】ガラス基板Aを切断、研削、研磨して、表
面が鏡面研磨されたガラス板A(厚さ:2mm、大き
さ:40mm×40mm)を用意した。また、ファンネ
ルガラスBを切断、研削、研磨して、表面が鏡面研磨さ
れたガラス板B(厚さ:2mm、大きさ:40mm×4
0mm)を用意した。
【0034】次に、ガラス板Aまたはガラス板Bに対
し、以下のような表面処理を行い試験体1〜6を作製し
た。また、表面処理を行わないガラス板Aを試験体7と
した。試験体1〜6は実施例、試験体7は比較例であ
る。
【0035】(試験体1)エタノールと質量百分率表示
濃度が85%のリン酸水溶液とを体積比1:1で混合し
た溶液に、ガラス板Aを浸漬した。次に、ガラス板Aを
90mm/分の速度で引き上げ、150℃で30分乾燥
後490℃に30分保持した。その後冷却し、水で洗浄
し乾燥した。
【0036】(試験体2)質量百分率表示濃度が10%
の硝酸カルシウム水溶液1mLを、ガラス板Aの表面に
刷毛塗りした。次に、110℃で30分乾燥し、その後
600℃に30分保持した。その後冷却し、水で洗浄し
乾燥した。
【0037】(試験体3)質量百分率表示濃度が10%
の塩化亜鉛水溶液1mLを、ガラス板Aの上の表面に刷
毛塗りした。次に、110℃で30分乾燥し、その後6
00℃に30分保持した。その後冷却し、水で洗浄し乾
燥した。
【0038】(試験体4)2−エチルヘキサン酸亜鉛:
8g、リノール酸:5g、1−ブタノール:1g、トル
エン:3g、酢酸エチル:19g、を混合して亜鉛塩溶
液を作製した。また、10gのケイ酸エチルと82gの
エタノールと質量百分率表示濃度が1%の硝酸水溶液7
gとを混合してケイ酸塩溶液を作製した。
【0039】前記亜鉛塩溶液にガラス板Aを浸漬した。
次に、ガラス板Aを90mm/分の速度で引き上げ、1
50℃で30分乾燥後450℃に30分保持し、その後
冷却した。この冷却したガラス板に、前記ケイ酸塩溶液
により、1500rpmの条件で5秒間スピンコート
し、その後450℃に30分保持し、冷却した。なお、
このケイ酸塩溶液によるスピンコートは、前記亜鉛塩溶
液によって形成された被膜のガラス板からの剥離を防止
するために行われた。このスピンコートにより形成され
たシリカ層の厚さは100nmであった。
【0040】(試験体5)2gの2−エチルヘキサン酸
亜鉛と1gのα−テルピネオールとを混合し、亜鉛塩溶
液を作製した。次に、この亜鉛塩溶液をシリコーンゴム
製のへらでガラス板Aの一方の表面の全面に薄く塗布
し、150℃で30分乾燥後450℃に30分保持し、
その後冷却した。この冷却したガラス板に、試験体4の
作製に際して行ったと同じケイ酸塩溶液によるスピンコ
ートを行い、その後450℃に30分保持し、冷却し
た。このスピンコートにより形成されたシリカ層の厚さ
は100nmであった。
【0041】(試験体6)ガラス板Aの代わりにガラス
板Bを用いた以外は試験体5の作製と同様にして試験体
6を作製した。次に、表のP25からIn23までの欄
にモル%で表示するリン酸ガラス粉末1〜5を作製し
た。すなわち、調合した原料をふた付きの石英ルツボに
入れて1100℃に30分保持し、得られた溶融ガラス
をステンレス鋼製ローラに流し込んでフレーク状にし、
このフレーク状ガラスをアルミナ製ボールミルで105
分粉砕してガラス粉末とした。
【0042】このリン酸ガラス粉末1〜5と試験体1〜
7の膨張係数と接着性について、以下のように測定・評
価した。なお、リン酸ガラス粉末1についてはフィラー
であるコージライト粉末と混合したもの(混合粉末1)
を、リン酸ガラス粉末5についてはフィラーであるメタ
リン酸カルシウム粉末およびシリカ粉末と混合したもの
(混合粉末5)を、それぞれ前記測定・評価に用いた。
この混合の割合は、表のガラス粉末からシリカ粉末まで
の欄に質量百分率表示で示す。
【0043】膨張係数(単位:10-7/℃):リン酸ガ
ラス粉末2〜4については、溶融ガラスをステンレス鋼
製板の上に流し出し、ガラス転移点近傍で徐冷後、直径
2mm、長さ20mmの棒状に加工し、示差熱膨張計に
より50〜250℃における平均線膨張係数を測定し
た。混合粉末1、5については、この粉末をプレス成形
して表に示す焼成温度(単位:℃)および焼成時間(単
位:分)で焼成し、得られた焼成体を直径2mm、長さ
20mmの棒状に加工し、示差熱膨張計により50〜2
50℃における平均線膨張係数を測定した。これら平均
線膨張係数と、試験体のガラスの50〜250℃におけ
る平均線膨張係数との差の絶対値は30×10-7/℃以
下であることが好ましい。
【0044】接着性:リン酸ガラス粉末2〜4、混合粉
末1、5、各3.5gを加圧成形して直径12.7mm
の円柱状に加工した。この円柱状加工物を試験体1〜7
の表面に載せ、表に示す焼成温度および焼成時間で焼成
した。この円柱状加工物の焼成体が試験体から剥離して
いないものを○、剥離しているものを×で示す。
【0045】
【表1】
【0046】さらに、本発明を29型カラーテレビ用ブ
ラウン管のパネルガラスとファンネルガラスの封着に適
用した。パネルガラスのモル%表示の組成は、Si
2:71、Al23:1、MgO:1、CaO:1、
SrO:6、BaO:4、Na2O:9、K2O:6、Z
rO2:1、であり、R2O−R’O−SiO2系ガラス
である。ファンネルガラスの組成は、ファンネルガラス
Bの組成と同じである。
【0047】まず、比較例として、パネルガラスとファ
ンネルガラスのいずれにも表面処理を行うことなく、混
合粉末1によりパネルガラスとファンネルガラスを封着
しガラスバルブ1を作製した。
【0048】このガラスバルブ1の封着強度を調べるた
めにガラスバルブ1の内外に水による圧力差を与え、ガ
ラスバルブ1が破壊する圧力差を測定しようとした。し
かし、前記測定のための水の注入作業中にパネルガラス
とファンネルガラスとに分離した。すなわち、ガラスバ
ルブ1の封着強度があまりに小さく、封着強度の測定に
至らなかった。
【0049】次に、実施例として、パネルガラスとファ
ンネルガラスのいずれにも表面処理とシリカ層形成を行
い、混合粉末1によりパネルガラスとファンネルガラス
を封着しガラスバルブ2を作製した。前記表面処理およ
びシリカ層形成は以下のように行った。
【0050】2−エチルヘキサン酸亜鉛とα−テルピネ
オールとを質量比2:1で混合し亜鉛塩溶液を作製し
た。この亜鉛塩溶液を、パネルガラスとファンネルガラ
スの封着すべき面にシリコーンゴム製のへらで薄く塗布
した。次に、150℃で30分乾燥後、450℃に30
分保持する表面処理を行い、冷却した。次に、試験体4
に用いたものと同じケイ酸塩溶液を用いて、1500r
pmの条件で5秒間スピンコートし、その後450℃に
30分保持し、冷却した。これにより、厚さ100nm
のシリカ層が形成された。
【0051】ガラスバルブ2の封着強度を調べるため
に、ガラスバルブ2の内外に水による圧力差を与え、ガ
ラスバルブ2が破壊する圧力差を測定した。該圧力差は
0.3MPa以上であることが好ましいが、ガラスバル
ブ2の該圧力差は0.4MPaであった。すなわち、パ
ネルガラスとファンネルガラスの封着(接着)が強固で
あることが確認された。
【0052】
【発明の効果】本発明を用いることにより、ケイ酸塩ガ
ラスの表面に強固に接着しているリン酸ガラス層を形成
できる。また、ケイ酸塩ガラスとケイ酸塩ガラスその他
の酸化物ガラスとをリン酸ガラス層を介して強固に接着
できる。たとえば、リン酸ガラス層を介してブラウン管
のパネルガラスとファンネルガラスを強固に封着でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G059 AA07 AC20 CA03 CB09 4G061 AA02 BA11 CA02 CB04 CB13 CC03 CD02 CD06 DA01 DA06 DA07 DA09 DA14 DA26 DA43 4G062 AA08 AA09 AA15 BB09 CC10 DA01 DA02 DA03 DB01 DB02 DB03 DC01 DC02 DC03 DC04 DC05 DD04 DD05 DD06 DE01 DE02 DE03 DE04 DE05 DF01 EA01 EA02 EA03 EA10 EB01 EB02 EB03 EC01 EC02 EC03 ED01 ED02 ED03 ED04 ED05 EE01 EE02 EE03 EE04 EE05 EF01 EF02 EF03 EF04 EF05 EG01 EG02 EG03 EG04 EG05 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FE02 FE03 FE04 FE05 FE06 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH06 HH07 HH08 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM10 MM25 MM27 NN33 PP06 PP13 PP14 5C032 AA02 BB04 BB10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケイ酸塩ガラスの表面にリン酸ガラス粉末
    を塗布、焼成して該表面にリン酸ガラス層を形成する方
    法であって、前記塗布を行う前に、または前記塗布を行
    う時に、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム
    塩、亜鉛塩、ビスマス塩およびリン酸塩からなる群から
    選ばれる1種以上の塩またはその塩の溶液を、リン酸ガ
    ラス層を形成すべき前記ケイ酸塩ガラスの表面に塗布
    し、前記焼成を行う前に、または前記焼成を行う時に、
    150℃以上に5分以上保持することを特徴とするリン
    酸ガラス層形成方法。
  2. 【請求項2】第1のガラスの表面と第2のガラスの表面
    の少なくともいずれか一方にリン酸ガラス粉末を塗布
    し、該塗布層を介して第1のガラスと第2のガラスとを
    接触させた状態で焼成して第1のガラスと第2のガラス
    の間にリン酸ガラス層を形成する方法であって、前記第
    1のガラスがケイ酸塩ガラスであり、前記第2のガラス
    がケイ酸塩ガラスまたはその他の酸化物ガラスであり、
    前記塗布を行う前に、または前記塗布を行う時に、カル
    シウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、ビ
    スマス塩およびリン酸塩からなる群から選ばれる1種以
    上の塩またはその塩の溶液を、リン酸ガラス層を形成す
    べき前記ケイ酸塩ガラスの表面に塗布し、前記焼成を行
    う前に、または前記焼成を行う時に、150℃以上に5
    分以上保持することを特徴とするリン酸ガラス層形成方
    法。
  3. 【請求項3】第1のガラスがケイ酸塩ガラスであるブラ
    ウン管のパネルガラスであり、第2のガラスがケイ酸塩
    ガラスであるブラウン管のファンネルガラスである請求
    項2に記載のリン酸ガラス層形成方法。
  4. 【請求項4】リン酸ガラス粉末が、下記酸化物基準のモ
    ル%表示で、 P25 15〜70、 SnO 0〜70、 ZnO 0〜45、 B23 0〜35、 MgO 0〜35、 CaO 0〜35、 SrO 0〜35、 BaO 0〜35、 SiO2 0〜10、 Al23 0〜10、 In23 0〜10、 WO3 0〜10、 Li2O 0〜10、 Na2O 0〜10、 K2O 0〜10、 から実質的になる請求項1、2または3に記載のリン酸
    ガラス層形成方法。
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