JP2001256974A - 非水電解質二次電池と該電池用合金およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池と該電池用合金およびその製造方法

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芳明 新田
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教之 禰宜
Hideya Kaminaka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Liの吸蔵・放出容量が非常に大きく、かつ吸
蔵水素に対する放出水素の比である放出効率にも優れ、
吸蔵・放出時の体積変化が抑制された非水電解質二次電
池用合金を提供する。 【解決手段】 SiとSnの二元系または、さらに長周期型
周期律表の2A族、3A族から2B族までの遷移元素、
3B族、Cを除く4B族、および5B族の元素から選ば
れた少なくとも1種の元素を含有する合金溶湯を、凝固
速度が100 ℃/sec以上となるガスアトマイズ法またはロ
ール急冷法で凝固させて、微細なSi相および/またはSn
相をコア相とする組織を持つ合金粉末を作製し、これを
酸 (例、HCl, HF/HNO3混酸) 水溶液中で浸漬処理して表
面酸化膜を除去する。この合金粉末はリチウム二次電池
の負極に用いると、高容量で充放電効率が高く、サイク
ル寿命に優れた電池が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Li等のアルカリ金
属を多量に吸蔵・放出することができる非水電解質二次
電池用合金に関し、より詳しくは、SiとSnを含む合金を
利用した、放電容量が高く、充放電サイクル寿命に優
れ、かつ充放電効率の高い非水電解質二次電池を作製す
ることができる、非水電解質二次電池用合金に関する。
本発明はまた、この合金の製造方法とこの合金を用いた
非水電解質二次電池にも関する。
【0002】
【従来の技術】携帯用の小型電気・電子機器の普及に伴
い、小型で高容量の二次電池となる、Liを活物質とする
非水電解質二次電池の開発が盛んに行われている。
【0003】Liは金属の中で最も卑な電位を示すので、
Liを負極活物質とする二次電池は、Ni−水素電池等の他
の二次電池と比較して、高電圧・高エネルギー密度の電
池となる。しかし、金属Liを負極活物質として用いる
と、充放電の繰り返しにより負極から金属Liがデンドラ
イト状に成長し、絶縁体であるセパレーターを貫通して
正極と短絡し、電池として使用できなくなるので、充放
電サイクル寿命と安全面に問題があった。
【0004】この問題に対処するため、金属Liの代わり
に、Liイオンを含む物質を電極に使用し、負極にはLiイ
オンを吸蔵・放出することができる炭素質材料を用いる
ことにより、リチウム二次電池が実用化された。この電
池では、充電中に正極のLi含有化合物 (例、LiCoO2) か
ら溶け出たLiイオンが負極の炭素質材料の層間にインタ
ーカレーションされ、LiC6という化合物を形成すること
で、負極の炭素質材料にLiイオンが吸蔵される。放電中
は、負極のLiC6からLiイオンが放出されて正極に戻る。
即ち、充放電中にLiイオンが正極と負極の間を往復する
だけであり (そのため、この種の電池はリチウムイオン
二次電池と呼ばれるようになった) 、負極でLiが金属と
して析出しないため、デンドライト成長に起因する上記
問題が避けられる。
【0005】実用化されたリチウム二次電池の負極に使
われている炭素質材料のうち、黒鉛系材料には、容量の
上限である理論的放電容量が372 mAh/g (Li の約1/1
0) と低いという問題がある。非黒鉛系材料も、実用化
されている材料では、放電容量は黒鉛系材料よりさらに
低くなる。非黒鉛系材料には、例えば600 mAh/g 以上と
いう高い放電容量を示すものが報告されているが、不可
逆的容量が大きく、電池設計の段階で大きなロスが出る
恐れがある上、充電容量のかなりの部分が放電されない
ので、充放電効率 (充電容量に対する放電容量の比) が
悪いという欠点がある。充放電効率が悪いと、充電に余
分な電気量が必要となり、電池のエネルギー効率が悪化
する。
【0006】そのため、高容量化、高寿命化、高効率化
を狙って、炭素質材料の代替として金属間化合物系の材
料開発が行われている。例えば、特開平9−63651 号公
報に開示されているMg−Ge合金は、恰も炭素質材料のよ
うに、Liを結晶格子内に吸蔵・放出することができるホ
スト材料として機能することが知られている。SiとNiま
たはFeとの金属間化合物を負極としたリチウム二次電池
は、特開平5−159780号、同7−240201号、同9−6365
1 号各公報に提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−63651 号公
報に開示されている金属間化合物の中には、Mg2Ge, Mg2
Pb, AlSbのように非常に高い充電容量を示すものがある
が、それに比べて充電容量は低く、充放電効率が悪いの
で、必ずしも放電容量の高い非水電解質二次電池を得る
ことができず、また充電に多量のエネルギーが必要とな
り、エネルギー効率が悪い。
【0008】特開平5−159780号、同7−240201号、同
9−63651 号各公報に提案されているSiとNiまたはFeと
の金属間化合物を用いた電池は、充放電効率は高いもの
の、充放電容量それ自体が十分に高くない。
【0009】本発明の課題は、Liの吸蔵・放出容量が従
来になく大きく、かつ吸蔵Liに対する放出Liの比である
放出効率にも優れている合金を提供することである。こ
のような合金を負極材料として用いた非水電解質二次電
池は、従来になく大きな放電容量と優れた放電効率を持
つことができるはずである。
【0010】本発明者等は、SiがLiと可逆的に金属間化
合物(Li22Si5等) を生成・分解することができ、この化
合物の生成・分解に伴うLiの吸蔵・放出を非水電解質二
次電池に用いた場合の充放電容量は、理論的には4199 m
Ah/gと、炭素質材の372 mAh/g と比べて遙かに大きいこ
とに着目して、急冷凝固により得られるSi相粒子をコア
とする包晶合金粉末からなる、非水電解質二次電池用負
極材料とその製造方法を先に提案した (特願平10−2539
81号) 。
【0011】この負極材料は、従来にない放電容量の大
きさと、優れた充放電サイクル寿命を持つものである
が、充放電効率 (同じ電流値での充電容量に対する放電
容量の比として測定される、充電電気量に対する放電電
気量の比、クーロン効率、アンペア・アワー効率とも呼
ばれる) が不足していることが判明した。
【0012】本発明は、本発明者らが先に提案した負極
材料の充放電効率を改善し、さらに放電容量や充放電サ
イクル寿命についても改善することにより、前述した課
題を解決することを目指したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、急冷凝固により得られるようなSi相
をコアとする包晶合金からなる負極材料について検討し
た結果、以下の知見を得た。
【0014】Si相の周囲にSn相が存在すると、Snそれ自
体が、Liと可逆的に生成・分解する化合物Li44Snを生成
するので、Liイオンを吸蔵・放出できる (容量 993mAh/
g)。Snは、Siに比べると靱性に富むので、Liイオンの吸
蔵・放出によるSi相の体積変化を弾力的に吸収して割れ
を抑制することができるので、容量向上に加え、サイク
ル寿命の向上ももたらす。
【0015】従って、合金にSi相とSn相の両方が存在す
ることが特に有利である。このような合金はSi相とSn相
のみが存在するものでもよい。或いは、コア相がSi相と
Sn相の一方または両方を含み、周囲をSiもしくはSnを含
む金属間化合物の相が包囲するのでもよい。
【0016】このような合金は、Liの吸蔵・放出容量の
大きな、微細なコア相を持つものを得ようとすると、ガ
スアトマイズ、ロール急冷法等の急冷凝固法を利用して
製造することができる。得られた合金が金属間化合物か
らなる相を含んでいる場合には、急冷歪みにより充放電
サイクル寿命に悪影響が出る恐れがあるので、急冷歪み
を除去する目的で通常は凝固した合金を熱処理する。
【0017】急冷凝固と熱処理は真空または不活性ガス
雰囲気中で行われるが、工業生産の設備では、程度の多
少はあっても、合金粉末の表面が酸化膜に被われること
は避けられない。
【0018】本発明者らは試みに、Si相をコアとする合
金について、表面酸化の程度が異なる粉末を用いてリチ
ウム二次電池を作製し、それぞれの充放電効率を調査し
た。結果は、表面酸化の程度の多い (酸化膜が厚い) サ
ンプルほど同一の充電容量に対する放電容量の値が小さ
くなった。
【0019】表面酸化膜が充放電効率を下げる理由は次
のように推定される:例えば、合金粉末の表面がSiの酸
化物であるSiO2で被われている場合、充電時に先ずSiO2
がSiに還元され、還元されたSiがLiと反応して、LiとSi
の金属間化合物を生成する。SiO2をSiに還元することに
要する電気量は不可逆的な充電容量となり、放電容量に
寄与しないので、充放電効率が悪化する。また、表面酸
化物が存在すると、粉末同士の接触抵抗が大きくなる。
この接触抵抗も充放電効率の低下に関与するものと考え
られる。
【0020】従って、上記の合金粉末の表面に生成した
酸化膜は除去する必要がある。この点についてさらに検
討した結果、この表面酸化膜の除去には酸水溶液に浸漬
することが有効であることを見いだした。また、こうし
て表面酸化膜を除去した合金を非水電解質二次電池に用
いた場合、充放電効率の優れた電池となることも確認し
て、本発明に至った。
【0021】ここに、本発明は、SiとSnを含む合金から
なる非水電解質二次電池用合金であって、Sn相とSi相
の一方または両方を含むA相と、該A相の周囲の少なく
とも一部を包囲する、SiもしくはSnと他の元素との金属
間化合物もしくは固溶体から構成されるB相、とからな
る合金であるか、またはSi相とその周囲の少なくとも
一部を包囲するSn相とからなるSi−Sn合金であり、この
合金が表面酸化膜の除去処理を受けていることを特徴と
する非水電解質二次電池用合金。但し、前記B相の他の
元素は長周期型周期律表の2A族、3A族から2B族ま
での遷移元素、3B族、Cを除く4B族、および5B族
の元素から選ばれた1種または2種以上である。
【0022】この非水電解質二次電池用合金は、(a) Si
とSnを含む合金溶湯を100 ℃/sec以上の凝固速度で冷却
して、Sn相とSi相の一方または両方を含むA相と、該
A相の周囲の少なくとも一部を包囲するSiもしくはSnを
含む金属間化合物もしくは固溶体からなるB相とからな
る合金、またはSi相とその周囲の少なくとも一部を包
囲するSn相とからなるSi−Sn合金を生成させる工程、お
よび(b) 得られた合金を酸水溶液に浸漬して表面酸化膜
を除去する工程、を含むことを特徴とする方法により製
造することができる。
【0023】工程(a) で生成した合金が前記の合金で
ある場合、この合金を工程(b) で酸水溶液に浸漬する前
に、B相の固相線温度より低温で熱処理する工程をさら
に含むことが好ましい。また、浸漬に用いる酸水溶液は
好ましくは塩酸水溶液、またはフッ酸と硝酸との混酸
(フッ硝酸)の水溶液であり、その濃度は0.05〜15質量
%の範囲内が好ましい。
【0024】本発明に係る上記合金は、Li等のアルカリ
金属を可逆的に吸蔵・放出することができ、リチウム二
次電池といった非水電解質二次電池の負極材料として有
用である。本発明によれば、この合金を負極材料として
用いた非水電解質二次電池も提供される。
【0025】本発明でいう非水電解質二次電池は、支持
電解質を有機溶媒に溶解した非水電解質を用いた二次電
池と、高分子電解質やゲル電解質等の非水電解質を用い
た二次電池の両者を包含する。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の非水電解質二次電池用合
金は、SiとSnを含む合金であって、Sn相とSi相の一方
または両方を含むA相と、該A相の周囲の少なくとも一
部を包囲する、SiもしくはSnと他の元素との金属間化合
物もしくは固溶体から構成されるB相、とからなる合金
であるか、またはSi相とその周囲の少なくとも一部を
包囲するSn相とからなるSi−Sn合金である。本発明の合
金は、コア相 (のA相またはのSi相) とマトリック
ス相 (のB相またはのSn相) とからなる合金であ
り、後述するように急冷凝固法により製造される。
【0027】Siおよび/またはSnを含むコア相とSnのマ
トリックス相は、Li22Si5 やLi44Sn等の金属間化合物の
生成を通して可逆的にLiを吸蔵・放出することができ
る。即ち、充電時にはLiと化合して上記化合物を生成
し、放電時にはこの化合物が解離してLiを放出する。上
記の金属間化合物の化学式からわかるように、SiやSnは
非常に多量のLiを吸蔵・放出することができ、非水電解
質二次電池にした場合の理論充放電容量が非常に高くな
る。
【0028】本発明の合金のコア相およびSnのマトリッ
クス相は、Li以外の他のアルカリ金属 (例、Na) もLiと
同様に吸蔵することができ、例えば、Liの代わりにNaを
用いても、非水電解質二次電池を作製することができ
る。しかし、二次電池にした場合に最も有利なアルカリ
金属は、最も卑で、イオン半径が比較的小さいLiである
ので、以下ではLiについて説明するが、他のアルカリ金
属でも原則として同じ説明があてはまる。
【0029】A相は、多量のLiを吸蔵・放出できるSiお
よび/またはSnのみから実質的になるものが好ましい
が、他の金属および/または非金属元素をさらに含有し
ていてもよい。但し、他の元素の割合は可及的に少ない
方が好ましい。
【0030】A相によるLiの吸蔵・放出に伴って、A相
の体積の膨張・収縮が起こる。この体積変化に起因して
A相の割れが起こり、A相が微粉化すると、Li吸蔵・放
出が阻害されるため、電池の充放電容量が低下し、充放
電サイクル寿命の低下につながる。A相の周囲をB相で
囲むことによりA相が体積変化に対して拘束され、その
割れと微粉化が抑制され、充放電サイクル寿命が改善さ
れる。また、Si相とSn相がともに存在すると、Li吸蔵に
よる体積膨張をSi相とSn相とで分散でき、部分的な破壊
を抑制できる。
【0031】B相は、A相粒子を完全に包囲していて
も、部分的に包囲していてもよい。部分的包囲でも、上
記拘束が効いていれば、包囲の目的は達成される。特に
工業的生産では、すべてのA相粒子が完全にB相で包囲
されたものを製造することは困難な場合があり、又その
確認も難しい。
【0032】コアのA相の周囲をB相で包囲する目的
は、A相の体積変化を拘束することであるので、原理的
には、B相はSiもしくはSnを含む必要はない。しかし、
A相とB相の密着性が低いと、周囲のB相が離脱してし
まい、A相を拘束するという目的を達成することができ
ない。密着性を考慮して、B相には、A相に含まれてい
るSiもしくはSnを含有させる。それにより、同じ原子の
相互拡散を通してA相とB相との密着性が改善される。
また、A相もしくはB相がSnを含むと、Snは柔らかく靱
性に富んでいるため、Liの吸蔵・放出による体積変化を
繰り返す過程で他相に密着したものとなる。
【0033】B相は、SiもしくはSnを含む金属間化合物
の1種もしくは2種以上からなる。B相が2種以上の物
質から構成される場合、その組織は特に制限されない。
例えば、ある物質がマトリックスをなし、このマトリッ
クス中に他の物質が分散した組織でもよく、あるいは全
ての物質が微細に混ざり合った組織でもよい。また、B
相がSiを含む固溶体であっても同様の効果が期待でき
る。
【0034】SiもしくはSnと金属間化合物もしくは固溶
体を形成する元素は、特に制限されるものではないが、
一般に長周期型周期律表の2A族 (アルカリ土類) 、3
A族から2B族までの遷移元素、3B族、Cを除く4B
族、ならびに5B族よりなる群から選ばれた1種以上の
元素である。この元素は、2A族のMgおよびCa、遷移元
素のYおよび希土類元素、Ti、V、Nb、Cr、W、Mn、F
e、Co、Ni、CuおよびCd、3B族元素のAl、4B族元素
のGe、ならびに5B族元素Pから選ばれた1種以上の元
素であることが好ましい。特に好ましいのは、Mg、Ca、
W、Fe、Co、Niである。
【0035】本発明の合金のA相とB相の割合は特に制
限されないが、A相は5〜99質量%、特に8〜95質量%
を占めることが好ましい。A相の割合が多すぎると、B
相が少なすぎて上記拘束が効きにくくなる。Liを吸蔵・
放出するA相が少なすぎると、Liの吸蔵・放出量、従っ
て電池の充放電容量が低下する。
【0036】なお、合金がSi−Sn二元合金である場合、
急冷凝固では、Si相がコア相(上記のA相に相当)、Sn
相がこのコア相を包囲するマトリックス相(上記のB相
に相当)となる組織の合金となる。この場合には、コア
相とマトリックス相の両方がLiを吸蔵することができる
ので、組成によっては非常に高い充放電容量を達成する
ことが可能となる。また、Liを吸蔵した場合の体積変化
がSi相とSn相とで異なり、Sn相は柔らかく靱性に富んで
いるため、コア相に加えてマトリックスであるSn相まで
もがLiを吸蔵しても、Liの吸蔵・放出に伴う体積変化が
抑制され、合金粒子の微粉化を抑制できる。
【0037】本発明の合金の粉末粒径は、100 μm以下
であることが好ましい。粒径が100μmを超える粉末を
非水電解質二次電池用の負極に用いると、負極の厚さが
大きく成りすぎる。粒径はより好ましくは5〜50μmの
範囲である。
【0038】この粉末の各粒子中に、コアのA相 (Si−
Sn合金の場合のSi相を含む, 以下同じ) は、1個だけ存
在していても、2個以上存在していてもよい。コアのA
相の粒径も特に制限されないが、0.01〜40μm、特に1
〜35μmの大きさであることが好ましい。A相が大きす
ぎると、これを包囲するB相 (Si−Sn合金の場合のSn相
を含む、以下同じ) による拘束が効きにくくなり、小さ
すぎると一般にB相の割合が大きくなりすぎ、表面酸化
がひどくなり、酸化膜の除去で失われる材料の割合が無
視できなくなる。
【0039】本発明の合金は、前述したように、急冷凝
固法により製造した合金を、酸水溶液に浸漬して表面酸
化膜を除去することにより製造することができる。次
に、この方法について説明する。
【0040】原料は、A相とB相とからなる合金を構成
する元素の混合物である。即ち、SiとSnとの混合物、ま
たはこれらの金属と他の金属との混合物である。所定組
成の合金となるように調整した原料を溶解し、得られた
溶湯を急冷すると、初晶として析出したA相のコアの周
囲をB相が少なくとも部分的に包囲した合金が得られ
る。
【0041】Siは他の金属より凝固温度が高いので、凝
固過程でSi相が最初に析出してコアのA相となる。Si−
Snの二元合金の場合に、SiとSnは金属間化合物を形成し
ないので、析出したSi相の周囲にSnが析出して、コアが
Si相、マトリックスがSn相の合金が得られる。さらに他
の元素を含有する場合には、Si相が最初に析出し、次に
SiもしくはSnを含む金属間化合物もしくはSiを含む固溶
体が固相線温度の高い順に析出し、最後にSn相が析出す
る。凝固後の組織ととしては、A相としてのSi相、Si相
の周囲を包囲するように析出したSn相、または独立して
析出したSn相の間を埋めるようにB相としてのSiもしく
はSnを含む金属間化合物もしくはSiを含む固溶体が析出
した組織になる。
【0042】A相の粒径は凝固速度に依存する。凝固速
度が100 ℃/sec未満であると、A相の粒径が大きくなり
すぎ、B相による体積変化への拘束が効きにくくなる。
凝固速度が100 ℃/sec以上になると、A相の粒径が小さ
くなり、後述する熱処理を適切な条件下で行っても、平
均粒径が40μm以下のA相を持つ合金を容易に製造する
ことができる。凝固速度の上限は特に制限されないが、
工業的には106 ℃/sec程度がコスト的にも量産技術とし
ての完成度から見ても上限と考えられる。
【0043】凝固速度が100 ℃/sec以上になるような冷
却方法は、製造技術の完成度、量産性、コスト等を考慮
すると、アトマイズ法またはロール急冷法が好ましい
が、回転電極法といった他の方法も採用できる。アトマ
イズ法は、ガスアトマイズ法と液体アトマイズ法のいず
れも可能であるが、球形に近い粒子が得られるガスアト
マイズ法の方が好ましい。なお、いずれの場合も、合金
の酸化を防ぐために、溶融および凝固環境を非酸化性の
雰囲気に保持する (例、真空または不活性ガス雰囲気中
で実施する) ことが好ましい。
【0044】ガスアトマイズ法では、所定組成の原料
を、通常は真空または不活性雰囲気で高周波誘導溶解炉
により溶解する。溶解した溶融物 (溶湯) を、給湯管を
介してアトマイズタンク内に滴下する。このタンク内は
通常不活性ガス雰囲気に保たれており、生成したアトマ
イズ粉末の酸化を防ぐようにしている。給湯管の近傍に
ガスアトマイズノズルが配置され、アトマイズ用ガスが
ノズルの孔またはスリットから、滴下中の溶湯に向けて
噴出される。溶湯は噴出ガスのエネルギーにより四散
し、凝固し、粉末化する。生成した粉末状の合金はアト
マイズタンクの下部より粉末収納装置にへ導かれ、収納
される。
【0045】ガスアトマイズ法で生成した粉末の粒径
は、滴下中の溶湯に与える噴出ガスのエネルギーが大き
くなるほど通常は小さくなる。噴出ガスのエネルギー
は、例えばガスの圧力や、ノズルの孔またはスリット大
きさや配置により調節できる。また、噴出ガスのエネル
ギーが同一であれば、単位時間当たりの溶湯の滴下量が
少ないほど粉末の粒径は小さくなるのが普通である。溶
湯の滴下量は、給湯管の内径や給湯管内の溶湯に加える
圧力により調節できる。
【0046】ロール急冷法は、所定組成の原料の溶湯を
冷却されている回転ロールの外周に薄く注ぎ、ロールに
よって抜熱して急冷する方法であり、単ロールと双ロー
ルのいずれも使用できる。溶湯は通常はタンディッシュ
に収容し、その底部のノズルから制御された量で注入さ
れる。ロール急冷法による合金の凝固速度は、ロールの
回転速度、溶湯の注入量等により制御することができ
る。
【0047】単ロール急冷法の場合、ロールの回転速度
は、外周の周速度で1×10-2〜6×102 m/秒の範囲内で
あることが多い。ロール径は、直径 100〜600 mmのもの
が比較的よく用いられている。実用的見地からは、ロー
ル直径 400〜600mm 、ロール周速6×10-2〜1.3 ×102
m/秒が好ましい。
【0048】ロールにより急冷されて凝固した合金は、
箔帯状または/あるいは片状をなしてロールから落下す
ることが多く、これを適当な収納装置に回収する。得ら
れた合金は一般に厚みが非常に薄いので、機械的な粉砕
手段 (例、ボールミル、ジェットミル等) で容易に粉末
にすることができる。この粉砕も含めて、ロール急冷法
も不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
【0049】凝固速度が100 ℃/sec以上の急冷凝固を経
て生成した合金は、B相が金属間化合物を含む場合 (即
ち、Si−Sn二元合金ではなく、さらに他の元素を含有す
る場合) 、急冷による歪みがあるため、使用中に微粉化
し易い。従って、この急冷歪みを取り除くために熱処理
を行うことが好ましい。合金を粉砕する場合には、熱処
理は粉砕前と粉砕後のいずれで行ってもよい。熱処理雰
囲気は、熱処理中の負極材料の酸化を防止するため、真
空または不活性ガス雰囲気といった非酸化性雰囲気中で
行うことが好ましい。
【0050】熱処理温度は、包囲層であるB相を構成す
る金属間化合物の固相線温度近くで、この固相線温度よ
り低温、好ましくは10℃以上低温で行う。なお、B相が
2以上の材料で構成される場合には、固相線温度が最も
低い金属間化合物 (通常はB相のマトリックスを形成す
る相) の固相線温度より低温、好ましくは10℃以上低温
で熱処理を行う。好ましい熱処理温度は、この固相線温
度より20℃以上低温である。
【0051】熱処理は、急冷歪みの解消に加えて、拡散
効果を生じ、A相とB相との密着性が向上する。この拡
散効果により、通常はコアのA相の粒径が大きくなる。
熱処理温度が前記固相線温度より高くなると、コアのA
相の粒径が大きくなり大きくなりすぎたり、場合によっ
ては粉末の焼結が起こる。熱処理温度の下限に関して
は、急冷歪みが除去されれば制限はないが、300 ℃以上
が望ましく、500 ℃以上がさらに好ましい。特に好まし
い熱処理温度の下限は、前記固相線温度より100℃低い
温度である。
【0052】B相が2以上の物質から構成される場合、
一部の物質が拡散によって消失し、B相の組織が変化す
る場合もある。熱処理の時間は特に制限されないが、通
常は1時間以上、特に2時間以上とすることが望まし
い。
【0053】上述したように、急冷凝固、粉砕、熱処理
などの合金製造の各工程を非酸化性雰囲気中で実施して
も、工業的な操業では合金の表面酸化を完全に防止する
ことは不可能であり、表面酸化膜で被われた合金が得ら
れ、この酸化膜によって非水電解質二次電池の充放電効
率が低下する。
【0054】本発明によれば、合金を酸水溶液に浸漬し
て表面酸化膜を除去することにより、充放電効率の低下
を避けることができる。この酸処理は、粉砕や熱処理な
どを全て終了した後で行うことが好ましい。酸水溶液に
浸漬した後で粉砕を行うと、粉砕時に酸化膜が形成さ
れ、再び酸水溶液への浸漬が必要となることがある。
【0055】合金を浸漬する酸水溶液の酸は、特に限定
されず、有機酸も使用することができるが、比較的短時
間の処理で目的を達成するには、強酸、特に無機強酸を
使用することが好ましい。好ましい酸水溶液はHCl 水溶
液およびHF/HNO3混酸水溶液である。これらの酸水溶液
の好ましい濃度は0.05〜15質量%、より好ましくは1〜
5質量%である。酸濃度が低すぎると、表面酸化膜の除
去に長時間を要し、実用的ではない。逆に、酸濃度が高
すぎると、酸化膜を除去した後に露出するA相と酸が反
応し、水素ガスの発生とともにA相の量が減少する可能
性がある。
【0056】HCl 水溶液の場合、所望により、HNO3、H2
SO4 、H2O2等といった他の酸もしくは酸化性成分を1種
もしくは2種以上を混合してもよい。また、いずれの酸
水溶液の場合も、反応を制御するために、グリセリン等
を混合してもよい。
【0057】浸漬処理に用いる酸水溶液:合金の質量比
は、2:1〜10:1、特に3:1〜6:1の範囲が好ま
しい。合金に対する酸水溶液の質量比が2より小さい
と、酸水溶液中の溶出イオン濃度が高くなりすぎ、浸漬
の効果が減ずる。酸水溶液の質量比が高すぎると、酸化
膜除去の反応は順調に進むが、生産性が低くなる。
【0058】酸水溶液の温度については特に制限するも
のではないが、温度が高くなりすぎると酸化膜除去の反
応が進みすぎ、露出したA相の量を減ずる可能性があ
る。一方、低くなりすぎると、反応が進みにくくなる。
好ましい酸水溶液の温度は20℃以上、50℃以下である。
浸漬時間は、合金から表面酸化膜が実質的に完全に除去
されるように設定する。必要な浸漬時間は、酸水溶液の
種類、濃度、温度等の条件によって大きく異なり、数分
程度で十分な場合もある。工業的観点からは、浸漬時間
が10時間以内となるようにすることが好ましい。
【0059】酸水溶液に浸漬した合金は、乾燥して保管
する。乾燥は100 ℃以下の低温で行うなら、空気中で行
ってもよく、もちろん不活性ガス等の非酸化性雰囲気中
で行ってもよい。同様に、保管も大気雰囲気と非酸化性
雰囲気のいずれでもよい。室温では大気中に放置して
も、表面酸化膜の形成はそれほど顕著ではない。保管が
長期に及ぶ場合には、非酸化性雰囲気中で保管する方が
好ましい。
【0060】本発明に従って酸水溶液で浸漬処理した、
SiまたはSnを含むコアを持つ包晶合金から、当業者には
周知の電極の製造方法に従って電極を作製し、これを負
極に用いて非水電解質二次電池用負極を製造することが
できる。
【0061】電極を製造するには、本発明の合金の粉末
を、適当な結着剤と、必要に応じて導電性向上のために
適当な導電剤と、結着剤を溶解する溶媒と混合して、ペ
ースト状またはスラリー状の電極合剤を作製する。電極
合剤には、さらにフィラー、分散剤、圧力増強剤その他
の各種添加剤の1種もしくは2種以上を添加してもよ
い。この電極合剤を集電体となる電極基板の片面または
両面に塗着し、乾燥した後、ロール圧延、プレス等によ
る圧密化と、所定の大きさへの裁断、打ち抜き等を行っ
て、電極を作製する。
【0062】結着剤としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性
樹脂のいずれも使用できる。結着剤の例としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE) 、テ
トラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンもしくはクロ
ロトリフルオロエチレンと他のフッ素化もしくは非フッ
素化モノマーとの共重合体といったフッ素化ポリマー;
スチレンブタジエンゴム;エチレンとアクリル酸、メタ
クリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の
アクリレート系モノマーとの共重合体、もしくはこの共
重合体の (Na+) イオン架橋体 (アイオノマー) 、等が
挙げられる。カルボキシメチルセルロース、ポリビニル
アルコールなどの水溶性樹脂も結合剤または増粘剤とし
て使用することができる。
【0063】これらの中で本発明の合金と一緒に使用す
る結着剤として特に好ましいのは、スチレンブタジエン
ゴム、PVDF、エチレン−アクリレート系モノマー共重合
体もしくはその (Na+) イオン架橋体である。
【0064】溶媒は、結着剤が溶解するように、結着剤
に応じて選択される。例えば、N-メチルピロリドン(NM
P) 、ジメチルホルムアミド(DMF) 等の有機溶媒、ある
いは水が使用される。
【0065】導電剤は必ずしも添加する必要はないが、
添加した方がハイレート特性 (大電流で充電・放電した
ときの特性) が良好となる。導電剤は電子伝導性材料で
あれば特に制限されない。例えば、黒鉛、カーボンブラ
ック、炭素繊維等といった炭素質材料、Cu、Ni等の金属
粉末もしくは金属繊維、ポリフェニレン誘導体等の有機
導電性材料が例示される。好ましい導電剤は炭素質材料
である。炭素質材料は、その層間にLiイオンを吸蔵する
ことができるので、導電性に加えて、負極の容量にも寄
与することができ、また保液性にも富んでいるからであ
る。中でも人造黒鉛、アセチレンブラック、炭素繊維が
好ましい。導電剤の添加量は、合金に対して1〜50質量
%、特に1〜30質量%が好ましい。
【0066】集電体は、非水電解質二次電池の環境下で
化学変化を起こさない電子伝導体であれば特に制限され
ない。例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、
炭素、導電性樹脂、さらには銅やステンレス鋼の表面に
カーボン、ニッケルまたはチタンを被覆した材料などが
使用できる。好ましいのは、良導体である銅および銅合
金である。耐食性を高めるため、これらの材料の表面を
酸化して使用することもある。集電体の形態は、箔、フ
ィルム、シート、網、有孔板、多孔質体、発泡体、繊維
集合体などでよい。厚みは特に制限されないが、1〜50
0 μmが普通である。
【0067】こうして製造された電極を負極に用いて、
非水電解質二次電池を作製する。非水電解質二次電池の
代表例はリチウム二次電池であり、本発明に係る合金は
リチウム二次電池の負極材料として好適である。但し、
この合金は、ナトリウム等の他のアルカリ金属も吸蔵・
放出することができるので、理論的には、他の非水電解
質二次電池にも適用できる。
【0068】非水電解質二次電池は、基本構造として、
負極、正極、セパレータ、非水系の電解質を含んでい
る。負極は上記のように本発明に従って製造したものを
使用するが、他の正極、セパレータ、電解質については
特に制限されず、従来よりリチウム二次電池等の非水電
解質二次電池に公知のもの、或いは今後開発される材料
を適当に使用すればよい。
【0069】リチウム二次電池とする場合、正極は、Li
含有遷移金属化合物を正極活物質とするものが好まし
い。Li含有遷移金属化合物の例は、LiM1-XM'X O2 また
は LiM 2yM'y O4 (式中、0≦X, Y≦1、M とM'はそれ
ぞれBa、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、S
n、Sc、Yの少なくとも1種) で示される化合物であ
る。但し、遷移金属カルコゲン化物;バナジウム酸化物
およびそのリチウム化合物;ニオブ酸化物およびそのリ
チウム化合物;有機導電性物質を用いた共役系ポリマ
ー;シェブレル相化合物等の、Liを含有し、または含有
しない他の正極材料を用いることも可能である。正極活
物質の平均粒径は、特に制限されないが、1〜30μmの
範囲が好ましい。
【0070】正極も、上述した負極用の本発明の合金を
用いた電極と同じように、活物質の粉末を結着剤や導電
剤と一緒にペーストまたはスラリー化して電極合剤を調
製し、これを集電体に塗着し、圧密化して裁断するとい
う方法により製造するのが普通である。結着剤、導電
剤、集電体は、基本的には負極用に対して上述したのと
同様の材料を使用することができる。
【0071】結着剤の中で正極用に特に好ましいのはPV
DFおよびPTFEである。正極用に特に好ましい導電剤は人
造黒鉛およびアセチレンブラックである。導電剤の配合
量も基本的には上記と同様であるが、炭素質材料の場合
には2〜15質量%の範囲が好ましい。正極用に好ましい
集電体の材料はアルミニウムおよびアルミニウム合金で
ある。
【0072】リチウム二次電池の場合、一般的な非水電
解質は、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解
した溶液からなる。リチウム塩としては、例えば、LiCl
O4,LiBF4, LiAlCl4, LiPF6, LiAsF6, LiSbF6, LiSCN, L
iCl, LiBr, LiI, LiCF3SO3,LiC4F9SO3, LiCH3SO3, Li(C
F3SO2)2N, Li(CF2SO2)2, LiB(C6H5), LiB10Cl10,低級脂
肪族カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フ
ェニルホウ酸リチウム、イミド類等が例示され、1種も
しくは2種以上を使用することができる。特にLiPF6
含む電解質が好ましい。
【0073】有機溶媒としては、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等
の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カ
ーボネート類;ギ酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸
メチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロ
ラクトン等のγ−ラクトン類;1,2-ジメトキシエタン等
の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテ
ル類;その他ジメチルスルホキシド、ジオキソラン類、
アミド類、ニトリル類、スルホラン類等の各種の非プロ
トン性溶媒の1種もしくは2種以上を使用することが好
ましい。特に好ましい溶媒は、環状カーボネートと鎖状
カーボネートとの混合系、およびこれにさらに脂肪族カ
ルボン酸エステルを混合した系である。中でもエチレン
カーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒
が好ましい。
【0074】溶媒中の支持電解質の濃度は特に制限され
ないが、通常は 0.2〜2Mの範囲、特に 0.5〜1.5 Mの
範囲が好ましい。非水電解質は、液体 (溶液) ではな
く、固体であってもよい。非水電解質二次電池用の固体
電解質は、無機固体電解質と有機固体電解質とに大別さ
れる。無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化
物、酸素酸塩などが知られている。中でも、Li4SiO4, L
i4SiO4-LiI-LiOH, xLi3PO4-(1-x)Li4SiO4, Li2SiS3, Li
3PO4-Li2S-SiS2, 硫化リン化合物等が有効である。有機
固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポ
リアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルア
ルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロ
プロピレン等や、これらの誘導体、混合物、複合体等の
ポリマー材料が有効である。
【0075】非水電解質には、充放電特性を改善する目
的で、他の化合物を添加することができる。かかる化合
物として、トリエチルホスファイト、トリエタノールア
ミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム、
ピリジン、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘
導体、クラウンエーテル類、第四級アンモニウム塩、エ
チレングリコールジアルキルエーテル等が例示される。
【0076】セパレータは、正極と負極とを電気的に絶
縁する絶縁膜としての役割を果たす他、非水電解質の保
持にも寄与する。セパレータとしては、大きなイオン透
過度と適度の機械的強度を持ち、絶縁性の微多孔質薄膜
が用いられる。電池の安全性を高めるため、一定温度以
上になると細孔が閉塞して、抵抗を増大させる機能を持
つものが好ましい。
【0077】耐有機溶剤性と疎水性を考慮して、セパレ
ータにはポリオレフィン系ポリマーまたはガラス繊維か
ら作られた微多孔質シート、不織布、織布等を用いるこ
とが多い。セパレータの細孔径は、電極から離脱した材
料が透過しないように0.01〜1μm程度が好ましい。セ
パレータの厚みは一般には10〜300 μm程度である。そ
の空孔率は通常は30〜80%の範囲が好ましい。
【0078】リチウム二次電池の1種として、非水電解
液 (非水溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液) を吸収・
保持させたポリマー材料を正極合剤と負極合剤に含ま
せ、セパレータのポリマーにも同様の非水電解液を吸収
・保持させて、電池を構成したものがある。この場合の
有機電解液を吸収・保持させるポリマー材料としては、
特にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの
共重合体が好ましい。
【0079】非水電解質二次電池の形状は特に制限され
ず、円筒型、角形、コイン型、ボタン型、シート型、積
層型、偏平型、電気自動車用の大型等の何れでもよい。
本発明の非水電解質二次電池は、携帯情報端末、携帯電
子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自
動車、ハイブリッド電気自動車等に用いることができる
が、用途はこれらに限られるものではない。
【0080】本発明の非水電解質二次電池は、負極材料
して理論容量の高いコア相を有する包晶合金型の材料を
使用し、Liの吸蔵・放出時の体積変化が抑えられるた
め、充放電容量が高く、かつ充放電繰り返しのサイクル
寿命にも優れている。また、充放電効率を低下させる合
金表面の酸化膜が除去されているため、充放電効率も非
常に高くなるので、上記のいずれの用途に使用した場合
にも、優れた性能を示すことができる。
【0081】
【実施例】以下の実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらは例示であって、本発明を制限するもので
はない。実施例中、特に指定がなければ、%は質量%で
ある。
【0082】
【実施例1】本実施例では、本発明に係るSi基合金を製
造し、この合金のLi放出効率を評価するために、この合
金を用いて作製した電極の充放電容量を3極式セルで試
験した。
【0083】合金の製造 43%Ni−52%Si−5%Sn (以下、Ni52Si5Sn と表記す
る) 合金を構成するように原料を配合し、これを高周波
誘導溶解炉を用いてAr雰囲気中で溶融した後、溶湯から
Arガスアトマイズ法により合金粉末を調製した。
【0084】このArガスアトマイズ法の凝固速度につい
ては、上記合金粉末を作製するときと同じ条件を用いた
Arガスアトマイズ法で作製したCu−Al合金粉末のデンド
ライト二次アーム間の距離を測定する周知の方法で確認
した。その結果は 103〜105℃/secであり、100 ℃/sec
以上であった。
【0085】Arガスアトマイズ法で作製したNi52Si5Sn
合金粉末を分級して、平均粒径が30μmで、最大粒径が
100 μmに調整した。分級した合金粉末をAr雰囲気中、
Ni−Si金属間化合物の中で固相線温度が最も低いNiSi2
相の固相線温度(966℃) より低温の900 ℃で12時間熱処
理した。熱処理後の合金粉末の断面をエッチング後にS
EMで観察して合金組織を調べたところ、マトリックス
はNiSi2 相であり、その中にSi相が散在し、Si相の周囲
にはSn相が析出していた。従って、この合金は、Si相の
コアの周囲がNiSi相とNiSi2 相とで包囲された合金組織
を有する。Si相の平均粒径 (SEM写真で無作為に選ん
だ100 個のSi相の粒径の平均値) は約5μmであった。
【0086】熱処理した合金粉末に、HCl 水溶液または
フッ硝酸 (質量比1:3のHF/HNO3混酸) 水溶液を用い
た酸水溶液浸漬処理を表1に示す種々の条件で施した。
酸水溶液の温度は30℃の一定とした。酸処理した合金粉
末を大気中60℃で乾燥した。大気中で1時間経過してか
ら、この合金粉末を用いて下記に説明するように電極を
作製し、Li放出能力を評価した。
【0087】3極式セル試験 合金粉末にその10%のアセチレンブラックと10%のPVDF
(ポリフッ化ビニリデン) を添加した後、NMP (N−メチ
ルピロリドン) を適宜加えて混合・攪拌し、スラリーを
作製した。
【0088】このスラリーを、ドクターブレードを用い
て30μm厚の電解銅箔に塗着し、乾燥後に13 mm 径に打
ち抜いてプレス加工をし、電極を作製した。この電極の
銅箔上の電極合剤の厚みは約100 μmであった。この合
剤に含まれる合金質量を、アルキメデス法で求めた合剤
体積と合剤組成および合金の比重から算出した。
【0089】この電極を用いて、対極と参照極にそれぞ
れLi金属を配置し、非水電解質3極式セルを作製した。
電解液としては、エチレンカーボネートとジメトキシエ
タンの体積比で1:1混合溶媒中に支持電解質のLiPF6
を1M濃度で溶解した非水溶液を使用した。測定は、グ
ローブボックスのような不活性雰囲気を維持できる装置
内で、雰囲気露点を約−70℃に保持して、25℃で行っ
た。
【0090】まず、1/10充電 (10時間で満充電になる電
流値) で0Vになるまで充電を行い、次いで同じ電流値
で2Vになるまで放電を行って、この時の1サイクル目
の放電容量と、放電容量/充電容量×100 で算出される
充放電効率を求めた。結果を、酸水溶液への浸漬処理を
行わなかったサンプルでの結果と一緒に表1に併記す
る。
【0091】
【表1】 表1からわかるように、合金を酸水溶液に浸漬処理せず
に、そのまま電極を作製した場合には、Liの充放電効率
が77%と低かった。即ち、吸蔵されたLiのうち23%は放
出されない不可逆的な吸蔵であった。
【0092】一方、本発明に従って酸水溶液で浸漬処理
を行うと、放電容量を低下させずに(場合によりやや増
大する) 、充放電効率が85%以上に増大した。充放電効
率は、酸水溶液の濃度が0.2 %以上であれば90%以上に
なった。特に、酸水溶液の濃度が5質量%以上になる
と、95〜97%という非常に高い充放電効率を得ることが
でき、Liのほとんどが放出可能な可逆的な吸蔵となっ
た。
【0093】
【実施例2】表2に示す合金組成となる原料を用いて、
実施例1と同様にArガスアトマイズ法により合金粉末を
作製し、分級した後、表2に示す温度で熱処理し、酸水
溶液での浸漬処理を行った。但し、No. 14以下のSn−Si
二元合金の場合には、金属間化合物が生成しなかったた
め、アトマイズ粉の熱処理は省略した。酸水溶液の浸漬
条件は、表1のサンプルDと同じ (1%HCl 水溶液中に
15分間) であった。
【0094】合金粉末の組織を調べたところ、いずれも
コアのSi粒子がマトリックス中に析出している組織を持
つ合金であった。コアのSi相の平均粒径は、いずれの合
金についても30μm以下と微細であった。Sn−Si二元合
金以外の場合のB相を構成する主要な金属間化合物とそ
の固相線温度を表2に併記する。表2からわかるよう
に、熱処理温度はいずれもこの固相線温度より低温であ
った。
【0095】これらの各合金粉末を用いて、実施例1と
同様に電極の作製と3極式セル試験を実施し、放電容量
と充放電効率を求めた。試験結果を、酸水溶液への浸漬
処理を行わなかった場合の結果と一緒に表2に示す。
【0096】
【表2】 表2に示すように、いずれの合金系についても、酸水溶
液での浸漬処理を行うことにより、放電容量を全く或い
はほとんど低下させず、充放電効率を著しく向上させる
ことができた。
【0097】
【実施例3】表3に示す合金組成となる原料を用いて、
実施例1および2と同様にArガスアトマイズ法により合
金粉末を作製し、分級した後、表3に示す温度で熱処理
し、酸水溶液での浸漬処理を行った。但し、No.6のSn−
Si二元合金では金属間化合物が生成しなかったため、ア
トマイズ粉の熱処理は省略した。酸水溶液の浸漬条件
は、表1のサンプルDと同じ (1%HCl 水溶液中に15分
間) であった。この合金粉末を用いて電極を作製し、こ
れを負極とする非水電解質リチウム二次電池の性能を評
価した。
【0098】図1に本実施例で作製した円筒型電池の縦
断面図を示す。この電池では、正極板5および負極板6
がセパレータ7を介して複数回渦巻状に巻回されて電池
ケース1内に収納されている。そして、上記正極板5か
らは正極リード5aが引き出されて封口板2に接続され、
負極板6からは負極リード6aが引き出されて、電池ケー
ス1の底部に接続されている。8は絶縁リングで、極板
群4の上下部にそれぞれ設けられている。3は絶縁パッ
キンである。
【0099】電池ケースやリード板は、非水電解液に耐
性のある電子伝導性の金属または合金を用いることがで
きる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブ
デン、銅、アルミニウム等の金属またはそれらの合金が
使用できる。電池ケースにはステンレス鋼板、Al−Mn合
金板が適しており、正極リードはアルミニウム、負極リ
ードはニッケルが最適である。
【0100】電池ケースに電解液を注入し、封口板でケ
ースを密閉すると電池缶が完成する。このとき、封口板
には図示のように安全弁を設置したり、安全素子を設け
ることができる。安全素子の例は、ヒューズ、バイメタ
ル、PTC素子などの過電流防止素子である。また、電
池ケースの内圧上昇の対策として、安全弁の他に、電池
ケースに切込みを入れる、ガスケットもしくは封口板に
亀裂を入れる、リード板との切断、といった手段を講ず
ることもできる。さらに、充電器に過充電や過放電対策
を組み込んだ保護回路を備えるか、独立に接続させても
よい。過充電対策として、電池内圧の上昇により電流を
遮断する方式も利用できる。このとき、内圧を挙げる化
合物を電極合剤または電解質中に含有させてもよい。内
圧を挙げる化合物としては、Li2CO3、LiHCO3、Na2CO3
NaHCO3、CaCO3 、MgCO3 等の炭酸塩が挙げられる。電池
ケース、封口板、リード板の溶接には、電気溶接、レー
ザー溶接、超音波溶接等が利用できる。封口用シール剤
として、アスファルト等のシール剤を使用できる。
【0101】負極板は次のようにして作製した。表3に
示す合金組成の本発明の合金粉末75%、導電剤のアセチ
レンブラック20%、結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVD
F)5%の混合物を脱水N-メチルピロリドン(NMP) 中で攪
拌して、スラリーを調製した。このスラリーを、集電体
となる厚さ0.015 mmの銅箔の表面の塗着し、乾燥後、ロ
ール圧延し、切断して、厚さ0.2 mm、幅37mm、長さ300
mmの負極板を得た。この負極板中の合金の充填量は約12
〜14gの範囲であった。
【0102】一方、正極板は、コバルト酸リチウム(LiC
oO2)の粉末85%、導電剤のアセチレンブラック10%、結
着剤のPVDF5%の混合物から、上記の負極板と同様にし
て作製した。但し、正極板の集電体としては負極用の銅
箔と同じ厚みのアルミニウム箔を用いた。
【0103】電解液としては、エチレンカーボネートと
エチルメチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒
に、LiPF6 を1.5 M濃度で溶解した溶液を使用した。作
製した電池は、直径18 mm 、高さ650 mmの円筒型電池で
あった。
【0104】これらの電池を、100 mAの定電流で4.2 V
まで充電した後、100 mAの定電流で2.5 Vまで放電し、
放電容量と充放電効率 (放電容量/充電容量×100)を求
めた。また、同様に作製した別の電池を用いて、100 mA
の定電流で電圧4.2 V、放電終止電圧25Vで充放電サイ
クル試験を行い、1サイクル目の充放電容量を測定する
とともに、500 サイクル後の放電容量を測定し、1サイ
クル目の放電容量に対する500 サイクル目の放電容量の
割合(%) をサイクル寿命として求めた。測定は全て25℃
で行った。これらの試験結果を表3に示す。
【0105】
【表3】 表3からわかるように、本発明のSi−Sn含有包晶合金を
負極材料とする非水電解質リチウム二次電池は、放電容
量、充放電効率、サイクル寿命の全てが良好であった。
【0106】
【発明の効果】ガスアトマイズ法といった急冷凝固法に
より製造され、最後に酸水溶液による浸漬処理を施し
た、本発明の非水電解質二次電池用のSi+Sn含有合金
は、合金中のSi相とSn相のLi吸蔵能力が高く、かつ不可
逆的なLi吸蔵の原因となる表面酸化膜が除去されている
ため、多量のLiを吸蔵して、吸蔵されたLiのほとんどを
放出することができる。また、コア相の周囲が拘束され
ているため、Li吸蔵・放出に基づく体積変化が抑制さ
れ、Li吸蔵・放出を繰り返しても、微粉化しにくく、Li
吸蔵能力を長期間保持できる。
【0107】そのため、この合金をリチウム二次電池の
ような非水電解質二次電池の負極材料として使用する
と、放電容量が高く、かつ充放電効率が85%以上、好ま
しくは90%以上という二次電池を作製することができ
る。充放電効率が高いと、充電に要する電気量が低減
し、エネルギー効率の高い電池となる。また、この非水
電解質二次電池は、充放電繰り返し寿命にも優れてい
る。従って、本発明によりリチウム二次電池で代表され
る非水電解質二次電池の性能が著しく向上し、その用途
拡大につながるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製したリチウム二次電池の構造を示
す略式縦断面図である。
【符号の説明】
1:電池ケース、2:封口板、3:絶縁パッキン、4:
極板群、5:正極板、6:負極板、7:セパレータ、
8:絶縁リング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 30/04 C22C 30/04 (72)発明者 新田 芳明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 禰宜 教之 尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工業株式 会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 上仲 秀哉 尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工業株式 会社エレクトロニクス技術研究所内 Fターム(参考) 4E004 DB02 DB03 TA06 TB02 TB04 5H029 AJ03 AK03 AL11 AM03 AM04 AM05 AM07 AM12 AM16 BJ02 BJ14 5H050 AA08 BA17 CA02 CA07 CA08 CA09 CA11 CA19 CB11 FA17 FA18 GA02 HA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiとSnを含む合金からなる非水電解質二
    次電池用合金であって、Sn相とSi相の一方または両方
    を含むA相と、該A相の周囲の少なくとも一部を包囲す
    る、SiもしくはSnと他の元素との金属間化合物もしくは
    固溶体から構成されるB相、とからなる合金であるか、
    またはSi相とその周囲の少なくとも一部を包囲するSn
    相とからなるSi−Sn合金であり、この合金が表面酸化膜
    の除去処理を受けていることを特徴とする非水電解質二
    次電池用合金。但し、前記B相の他の元素は長周期型周
    期律表の2A族、3A族から2B族までの遷移元素、3
    B族、Cを除く4B族、および5B族の元素から選ばれ
    た1種または2種以上である。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の合金を負極材料として
    用いた非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 下記工程を含むことを特徴とする、非水
    電解質二次電池用合金の製造方法: (a) SiとSnを含む合金溶湯を100 ℃/sec以上の凝固速度
    で冷却して、Sn相とSi相の一方または両方を含むA相
    と、該A相の周囲の少なくとも一部を包囲するSiもしく
    はSnを含む金属間化合物もしくは固溶体からなるB相と
    からなる合金、またはSi相とその周囲の少なくとも一
    部を包囲するSn相とからなるSi−Sn合金を生成させる工
    程、および (b) 得られた合金を酸水溶液に浸漬して表面酸化膜を除
    去する工程。
  4. 【請求項4】 工程(a) で生成した合金が前記の合金
    であり、この合金を工程(b) で酸水溶液に浸漬する前
    に、B相の固相線温度より低温で熱処理する工程をさら
    に含む、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 酸水溶液が塩酸水溶液であるか、または
    フッ酸と硝酸との混酸水溶液である、請求項3または4
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 酸水溶液の濃度が0.05〜15質量%であ
    る、請求項5に記載の法。
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