JP2001253003A - 断熱層付化粧シート及び断熱部材 - Google Patents

断熱層付化粧シート及び断熱部材

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JP2001253003A
JP2001253003A JP2000068655A JP2000068655A JP2001253003A JP 2001253003 A JP2001253003 A JP 2001253003A JP 2000068655 A JP2000068655 A JP 2000068655A JP 2000068655 A JP2000068655 A JP 2000068655A JP 2001253003 A JP2001253003 A JP 2001253003A
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insulating layer
heat insulating
heat
sheet
layer
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JP2000068655A
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English (en)
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Ryohei Nagata
良平 永田
Runa Nakamura
瑠奈 中村
Kimiharu Sato
公治 佐藤
Arimichi Ito
有道 伊東
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断熱性に優れ、且つ、薄くて可撓性に優れ、
基材の立体的な表面に良くフィットする断熱層付化粧シ
ート、及び、当該断熱層付化粧シートを用いて基材を被
覆してなる断熱部材を提供する。 【解決手段】 閉鎖された空洞を有する中空粒子、及
び、繊維をバインダー樹脂に配合し固化させてなる断熱
層を有する単層構造又は多層構造の断熱層部(1)と、
当該断熱層部の上に設けられた化粧層(4)とを有する
断熱層付化粧シート(101)、及び、当該断熱層付化
粧シート(101)を基材(7)上に直接又は他の層を
介して積層してなる断熱部材(102)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物、建具およ
び乗り物等の内装用又は外装用(以下、両者を総称して
「内外装用」と呼称する。)として用いられる断熱層付
化粧シート、及び、該断熱層付化粧シートを基材上に設
けてなる断熱部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、鉄、アルミニウム等の金属基
材、或いは、その他の基材の表面に、樹脂シートに装飾
処理を施した化粧シートを積層することにより、壁面板
等の内外装部材の表面を、木目等の絵柄や色調に化粧す
ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような化粧シー
ト、及び、化粧された内外装部材には、時として断熱性
が求められる。特に、鉄、アルミニウム等の金属基材を
用いた内外装部材は、一般に熱伝導率が高く、例えば、
アルミサッシの枠などは、夏季或いは冬季に冷暖房を行
う場合に保温効果が不十分であったり、冬季に暖房した
時に室内側に結露を生じるなどの問題がある。
【0004】また、化粧シートの断熱性が良好だとして
も、厚みが厚すぎると適用できる場所が限定されてしま
うので、化粧シートが薄くても十分な断熱性を有してい
ることが望まれる。
【0005】さらに、例えば化粧シートを窓枠の表面に
当該窓枠のコーナー部を跨いで被覆するような場合に
は、基材表面の凹凸やコーナー部などの形状にフィット
し且つ折り曲げても破損しないように、十分に可撓性を
有していることが望ましい。
【0006】本発明は、上記実状に鑑みて成し遂げられ
たものであり、その第一の目的は、薄くても十分な断熱
性を有する断熱層付化粧シート及び当該断熱層付化粧シ
ートで被覆した断熱部材を提供することにある。
【0007】また、本発明の第二の目的は、薄くても十
分な断熱性を有し、且つ、基材表面の形状によくフィッ
トする可撓性を有する断熱層付化粧シート及び当該断熱
層付化粧シートで被覆した断熱部材を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る断熱層付化
粧シートは、必須成分として閉鎖された空洞を有する中
空粒子、及び、繊維をバインダー樹脂に配合し固化させ
てなる断熱層を有する単層構造又は多層構造の断熱層部
と、当該断熱層部の上に設けられた化粧層とを有するこ
とを特徴とする。
【0009】本発明では、閉鎖された空洞を有する中空
粒子を断熱層に含有させることによって、断熱層内に大
量の独立気泡を形成することができるので高い断熱性が
得られ、しかも、樹脂を発泡させた断熱層と異なり独立
気泡のサイズと量を容易に調節できるので断熱性能のコ
ントロールが容易である。そのため、本発明の断熱層付
化粧シートの断熱層は、薄くても優れた断熱性を示す。
【0010】また、本発明では、中空粒子を含有する断
熱層の耐破断性、表面強度を高めるために、断熱層に繊
維を含有させる。そのため、本発明の断熱層付化粧シー
トの断熱層は、可撓性、耐屈曲性に優れている。
【0011】従って、本発明の断熱層付化粧シートは、
優れた断熱性を有すると共に、基材の表面形状に良くフ
ィットし、薄く、且つ、耐屈曲性にも優れている。そし
て、本発明の断熱層付化粧シートを用いて、何らかの基
材、特に、多角柱形状の部材や、表面凹凸を有する部材
のように立体的な表面を有する基材を被覆することによ
って、意匠性に優れ、且つ、断熱性に優れた断熱部材が
得られる。
【0012】前記バインダー樹脂100重量部に対し
て、前記中空粒子が20〜240重量部、及び、前記繊
維が10〜200重量部、配合されていることが好まし
い。
【0013】前記の中空粒子が、ポリアクリロニトリル
で形成され、密度が0.01〜0.07g/cm3の発
泡済みマイクロカプセルであることが好ましい。
【0014】前記の繊維が、0.3〜5デニールの太
さ、及び、1〜7mmの長さを有することが好ましい。
【0015】前記の繊維が、熱融着性繊維であることが
好ましい。本発明において、断熱層形成用塗工液に熱融
着性繊維を配合すると、当該塗工液を用いて形成した塗
工層又は含浸層を加熱すると、塗工層又は含浸層のマト
リックスに熱融着性繊維が融着し、得られた断熱層中に
三次元ネットワーク構造が形成されるので、断熱層の可
撓性、耐屈曲性を、さらに向上させることができる。
【0016】前記熱融着性繊維としては、その表面の少
なくとも一部が、熱可塑性樹脂で形成されているものを
用いることができる。
【0017】前記の繊維が、軸方向に空洞を有する中空
繊維であってもよい。繊維として中空繊維を用いると、
断熱層の気泡量を増加させることができるので、断熱性
をさらに向上させることができる。
【0018】前記繊維として、温度20℃、相対湿度9
5%における吸湿度が10%未満のものを用いると、断
熱層付き化粧シートを結露を生じる部分に適用した場合
に繊維の吸湿を避けることができ、吸湿による耐熱性の
低下を防止できる。
【0019】本発明の好ましい一態様によれば、前記の
断熱層部は、前記断熱層の少なくとも一面に当該断熱層
を支持する支持体を積層してなる多層構造を有してい
る。
【0020】このような多層構造の断熱層部のうち、前
記断熱層の少なくとも一面に支持体として通気性シート
が積層されてなり、且つ、断熱層の一部が、前記通気性
シートの表面から当該通気性シートの内部空隙に入り込
んでいるものの場合には、通気性シートと断熱性層の接
着性が良い。
【0021】前記の通気性シートとしては、不織布、特
に、太さ0.5〜7デニール、長さ10〜60mmの繊
維からなる不織布が好ましく用いられる。
【0022】また、不織布に熱融着性繊維が含有されて
いる場合には、断熱層部に熱プレスなどの加熱処理を行
うことにより、不織布と断熱層を熱接着することができ
る。
【0023】不織布として、軸方向に空洞を有する中空
繊維からなるものを用いると、断熱層部の断熱性が更に
向上する。
【0024】本発明においては、前記断熱層部と前記化
粧層の間、及び/又は、前記断熱層部の化粧層が設けら
れているのとは反対側に、防湿層がさらに設けられてい
てもよい。
【0025】本発明によれば、断熱性及び可撓性に優れ
る断熱層付き化粧シートを得ることができる。例えば、
前記断熱層の熱伝導率が、0.01〜0.5W/m・K
のものを得ることが可能であり、また、JIS K72
03に規定する曲げ試験において、屈曲部分の曲率半径
5.0mmで1.0Nの荷重を加えても破損しない断熱
層及び断熱層付き化粧シートを得ることが可能である。
【0026】本発明の好ましい一態様によれば、前記の
化粧層として、装飾処理を施した着色アクリル系樹脂シ
ート上に、JIS K7127における破断点伸度が1
00%以上である透明アクリル系樹脂シートが積層され
てなる断熱層付化粧シートが得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】(1)断熱層付化粧シート 本発明に係る断熱層付化粧シートは、必須成分として閉
鎖された空洞を有する中空粒子、及び、繊維をバインダ
ー樹脂に配合し固化させてなる断熱層を有する単層構造
又は多層構造の断熱層部と、当該断熱層部の上に設けら
れた化粧層とを有することを特徴とする。また、本発明
に係る断熱層付化粧シートには、必要に応じて、前記断
熱層部と前記化粧層の間、及び/又は、前記断熱層部の
化粧層が設けられているのとは反対側に、防湿層などの
他の層を設けてもよい。
【0028】(断熱層部)断熱層部は、断熱層のみから
なる単層構造であってもよいし、断熱層と他の層からな
る多層構造であってもよい。断熱層は、バインダー樹脂
に必須成分として閉鎖された空洞を有する中空粒子、及
び、繊維を配合し、固化させたものである。
【0029】バインダー樹脂としては、次に挙げるよう
な樹脂が使用できる。例えば、ニトロセルロース、酢酸
セルロース、酪酢酸セルロース、エチルセルロース、ポ
リアミド樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリ塩化ビニル樹
脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/酢
酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン、もしくは
アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、ユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン
樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベン
ツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、もしくはポリ
ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を例示することができ、
これらの樹脂を水または有機溶剤に溶解した樹脂溶液の
形にして使用することができる。
【0030】また、バインダー樹脂としては、スチレン
マレイン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂、
もしくはポリウレタン系樹脂のエマルジョンを使用する
ことができる。
【0031】さらにバインダー樹脂としては、天然ゴ
ム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタ
ンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロ
ピレンゴム、もしくはブロックコポリマーゴム(SB
S、SIS、SEBS等)の有機溶剤溶液またはラテッ
クスを使用することができる。
【0032】本発明では、閉鎖された空洞を有する中空
粒子を断熱層のバインダー樹脂中に配合する。本発明に
おいて閉鎖された空洞を有する中空粒子とは、外壁によ
り完全に閉鎖された空洞を有するか、又は、完全に閉鎖
されていないとしてもバインダー等の他の成分が実質的
に侵入できないように外壁により取り囲まれた空洞を有
する中空粒子を指す。このような中空粒子を用いること
によって、断熱層内に大量の独立気泡を形成することが
できるので高い断熱性が得られ、しかも、樹脂を発泡さ
せて気泡を形成した断熱層とは異なり、独立気泡のサイ
ズと量を容易に調節できるので断熱性能のコントロール
が容易である。そのため、薄くても優れた断熱性を有す
る断熱層が得られる。独立気泡を確実に得るためには、
完全に閉鎖された空洞を有する中空粒子を用いるのが好
ましい。
【0033】中空粒子としては、種々のものを使用する
ことができる。例えば、有機質の中空粒子としては、ア
クリル、もしくはアクリルニトリル等のアクリル樹脂、
またはポリスチレン樹脂等の合成樹脂を素材とするもの
が使用できる。また、無機質の中空粒子としては、例え
ば、工業的に得られるシリカ、アルミナ等を主成分とす
るもののほか、天然品である火山性のシラスバルーンの
ようなものを使用できる。また、後述する親水性や疎水
性の中空粒子も使用できる。
【0034】また、中空粒子としては、マイクロカプセ
ル型の発泡剤を予め発泡させた発泡済みのものを使用す
ることができる。マイクロカプセル型の発泡剤自体は、
アクリルニトリル等の樹脂で外壁が構成され、内容物と
してイソブタンもしくはネオペンタン等の低沸点炭化水
素を含んだものである。
【0035】ポリアクリロニトリルを用いてマイクロカ
プセルを形成すると、マイクロカプセルの外壁を薄く形
成でき、密度を非常に小さくできるので好ましい。ポリ
アクリロニトリルのマイクロカプセル型発泡剤の発泡済
みのものとしては、例えば、松本油脂製薬(株)製の中
空粒子(品番で、F−80ED、もしくはF−80E)
は、外壁がごく薄く、自身の密度が0.01g/cm3
〜0.07g/cm3と小さいので、断熱層の熱伝導性
を効果的に抑制し、好ましい。
【0036】一般的に入手が可能で、利用できる中空粒
子の粒径は、0.3〜300μmの範囲であり、これら
の中から選択して1種類、または2種類以上を使用す
る。
【0037】本発明では、中空粒子を含有する断熱層の
耐破断性、表面強度を高めるために、断熱層のバインダ
ー樹脂中に繊維を配合する。断熱層に繊維を配合するこ
とによって、当該断熱層を有する断熱層付化粧シート
に、優れた可撓性、耐屈曲性を付与することができ、当
該断熱層付化粧シートを適用したい部位の形状に容易に
合わせることができるようになる。断熱層に配合する繊
維は、0.3〜5デニールの太さ、及び、1〜7mmの
長さを有しているものが好ましい。
【0038】本発明によれば、熱伝導率が0.01〜
0.5W/m・Kで、しかも、JISK7203に規定
する曲げ試験において、屈曲部分の曲率半径5.0mm
で1.0Nの荷重を加えても破損しないような、断熱性
と屈曲性に優れた薄い断熱層を形成することも可能であ
る。
【0039】また、バインダー樹脂に上記の中空粒子と
共に上記繊維として熱融着性繊維を配合して断熱層形成
用塗工液を調製し、それを支持体に塗布又は含浸し、乾
燥などの方法で固化し、加熱すると、塗工層又は含浸層
のマトリックスに熱融着性繊維が融着し、得られた断熱
層中に三次元ネットワーク構造が形成されるので、断熱
層の可撓性、耐屈曲性を、さらに向上させることができ
る。
【0040】熱融着性繊維としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコ
ール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロ
ン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹
脂、または、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂
などの熱硬化性樹脂からなる単繊維を使用することがで
きる。また、熱融着性繊維の表面の少なくとも一部が熱
溶融しさえすれば周囲のマトリックスに融着できるの
で、表面の一部が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂で、好
ましくは熱可塑性樹脂で、形成されている複合繊維を熱
融着性繊維として使用してもよい。
【0041】また、複合繊維の中でも、当該繊維の表面
の一部が比較的溶融しやすい熱融着性樹脂からなる融着
性部位になっていると共に、比較的溶融し難い又は溶融
しない材料で形成された軸部分を備えたものは、周囲の
マトリックスに容易に融着する部分と、加熱によっても
溶融又は変形しにくい軸の部分が存在するため、良好な
三次元ネットワーク構造を形成することができて好まし
い。
【0042】そのような複合繊維としては、例えば、加
熱処理によって溶融可能な材料で形成された鞘部分と、
同じ加熱処理によって鞘部分と比べて溶融し難いか又は
溶融しない材料で形成された芯部分とを備える芯鞘構造
の複合繊維を例示することができる。より具体的には、
溶融温度又は軟化温度が互いに異なる2種の熱可塑性樹
脂を用いて、相対的に溶融温度又は軟化温度が高い樹脂
で芯部分を形成し、相対的に溶融温度又は軟化温度が低
い樹脂で鞘部分を形成した芯鞘構造の複合繊維を用いる
ことができ、その中では、鞘部分がポリエチレン又はポ
リエチレンテレフタレートで形成され、芯部分がポリエ
チレンテレフタレートで形成された芯鞘構造の複合繊維
が好ましく、鞘部分と芯部分が両方ともポリエチレンテ
レフタレート(PET)で形成されたものが特に好まし
い。
【0043】また、加熱処理によって溶融可能な材料で
形成された第一の部分と、同じ加熱処理によって第一の
部分と比べて溶融し難いか又は溶融しない材料で形成さ
れた第二の部分からなる組み合わせ構造または海島構造
の複合繊維を用いることもできる。例えば、加熱処理に
よって溶融可能な材料で形成された第一の部分と、同じ
加熱処理によって第一の部分と比べて溶融し難いか又は
溶融しない材料で形成された第二の部分とを、繊維の軸
方向に沿って並行に配列し一体化したサイドバイサイド
構造の複合繊維を例示できる。より具体的には、溶融温
度又は軟化温度が互いに異なる2種の熱可塑性樹脂を用
いて、第一の部分と第二の部分とを形成したサイドバイ
サイド構造の複合繊維を用いることができ、その中で
は、ポリエチレンで形成された第一の部分とポリエチレ
ンテレフタレートで形成された第二の部分とを備えるハ
ーフハーフ構造の複合繊維が好ましい。
【0044】断熱層には、軸方向に空洞を有する中空繊
維を配合してもよい。繊維として中空繊維を用いると、
断熱層の気泡量を増加させることができるので、断熱性
をさらに向上させることができる。
【0045】断熱層付化粧シートを適用したい部位が、
結露を生じ易い場合には、断熱層の吸湿性が低いほど断
熱性能が安定する。そのため、結露を生じ易い部分に断
熱層付化粧シートを適用したい場合には、断熱層中の繊
維が結露によって吸湿するのを避けるべく、温度20
℃、相対湿度95%における吸湿度が10%未満の繊維
を選択して用いるのが好ましい。
【0046】上述したようなバインダー樹脂、閉鎖され
た空洞を有する中空粒子、及び、繊維を、溶剤に溶解又
は分散させて断熱層形成用塗工液を調製し、その塗工液
を支持体に塗布又は含浸などの方法で適用し、乾燥など
の方法で固化することにより、支持体上に保持された塗
工層の形の断熱層、又は、支持体に含浸した含浸層の形
の断熱層が得られる。また、支持体の種類によっては、
塗工液中の固形分の一部が支持体に含浸し、残りが支持
体の表面に塗工層の形で残留してなる断熱層が得られ
る。また、後述する化粧層の裏面側に、断熱層形成用塗
工液を塗布し、乾燥などの方法で固化することにより、
塗工層の形の断熱層を化粧層の裏面側に一体的に形成す
ることができる。また、バインダー樹脂の配合割合が比
較的多くて溶融押出し可能な場合には、必須成分として
バインダー樹脂、閉鎖された空洞を有する中空粒子、及
び、繊維を含有する断熱層形成用組成物を溶剤には溶解
せず、当該組成物を溶融押出しして単体の断熱層を形成
できる。
【0047】断熱層形成用塗工液を調製するための溶剤
としては、バインダー樹脂を溶解し、中空粒子及び繊維
を分散させるうえで支障がなく、当該塗工液を塗布もし
くは含浸などの方法で適用する際に支持体等の適用対象
物を損傷させず、適用後に乾燥や加熱等の方法で固化さ
せる際に、容易に除去できるものであれば制約はない。
【0048】溶剤としては、例えば、ネオペンタン、n
−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素、トリクロロエチレ
ン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、イソ
プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、も
しくはこれら以外の有機溶剤、または水が使用でき、単
独もしくは混合して使用される。
【0049】また、塗工液には、中空粒子の浮上または
沈降による分離を防止し、均一に分散させるために、増
粘剤を添加するのが好ましい。特に中空粒子として、マ
イクロカプセル型発泡剤の発泡済みのものを使用する時
は、このものの密度が小さいために、塗工液中に分散し
ても浮上してしまうが、増粘剤の配合により分散状態を
安定に維持することが可能になる。
【0050】水又は水溶性溶剤を用いる溶剤分散系の増
粘剤としては、金属石鹸、珪酸質増粘剤、もしくは重合
油等が使用でき、前二者は、具体的にはアルミニウムス
テアレート、ジンクステアレート、もしくはアルミニウ
ムオクテート等の金属石鹸、シリカゲル、ベントナイ
ト、特に有機ベントナイト等の珪酸質増粘剤である。
【0051】水分散系の増粘剤としては、珪酸系やベン
トナイト等の無機質増粘剤、セルロース誘導体、蛋白質
系、ポリアクリル酸塩系、もしくはビニル系等の有機質
増粘剤が使用でき、有機質増粘剤は、具体的にはメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、もしくはヒ
ドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼ
イン、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸アンモニウ
ム、もしくはアルギン酸ナトリウム等の蛋白質系、ポリ
アクリル酸ナトリウム、もしくはポリアクリル酸アンモ
ニウム等のポリアクリル酸塩系、またはポリビニルアル
コール等のビニル系である。また、アルカリ共存型のア
クリル樹脂系増粘剤は、アクリル樹脂溶液として供給さ
れ、アルカリ(アンモニア)添加により樹脂が膨潤して
増粘効果を生じるもので、塗布後の乾燥でアルカリ(ア
ンモニア)が除かれるため、塗膜となった状態で、増粘
剤に起因する影響が残らず、好ましい。
【0052】このほかの増粘剤としては、体質顔料と呼
ばれる沈降性炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミ
ナ、クレー、炭酸マグネシウム、石膏、カオリン、もし
くは水酸化アルミニウム等の体質顔料も使用できる。増
粘剤は、1種または2種以上を選択して使用することが
できる。
【0053】以上に説明した成分を混合することによっ
て、断熱層形成用塗工液が調製される。各成分の配合割
合は、バインダー樹脂100重量部に対して、中空粒子
を通常は20〜240重量部、より好ましくは50〜1
20重量部配合し、繊維を通常は10〜200重量部、
より好ましくは20〜100重量部配合する。溶剤は、
バインダー樹脂100重量部に対して、通常は500〜
5000重量部、より好ましくは1000〜2000重
量部配合し、当該溶剤に各成分を均一に溶解または分散
させる。また、増粘剤は、バインダー樹脂100重量部
に対して、通常は5〜50重量部、より好ましくは5〜
20重量部配合する。
【0054】上記の配合比において、中空粒子が20重
量部未満であると、断熱層の空隙率が低いために十分な
断熱性能が得られないことが多く、一方、240重量部
を超えると、相対的にバインダー樹脂の割合が少なくな
りすぎ、得られる断熱層の強度が低下することが多い。
【0055】また、繊維が10重量部未満であると、機
械的強度が十分に得られないことが多いし、通気性シー
ト上に断熱層形成用塗工液を塗布して吸引する後述の方
法によって断熱層を形成することも困難である。一方、
繊維が200重量部を超えると、断熱性能が極端に悪化
するので、所望の断熱性能が得られないことがある。
【0056】また、溶剤が500重量部未満であると、
塗工液の流動性が乏しくて塗布や含浸が円滑に行えず、
5000重量部を超えると、塗工液の粘度が低くなり、
中空粒子が分離しやすいので、塗布若しくは含浸が困難
になることが多い。
【0057】さらに、増粘剤が5重量部未満であると、
増粘効果が不十分なため、中空粒子の浮上が避けられ
ず、50重量部を超えると、増粘が過度になって塗布や
含浸等に支障が生じる上、相対的にバインダ樹脂の割合
が少なくなりすぎ、得られる断熱層の強度が低下するほ
か、使用する増粘剤の種類にもよるが、得られる断熱層
中において、中空粒子を取り囲むバインダー樹脂及び増
粘剤からなる部分の熱伝導性が上がるため、断熱性能が
低下し、好ましくない。
【0058】中空粒子は比較的丈夫なため、攪拌や圧縮
等の外力にも耐えるが、中空粒子を塗工液、特にエマル
ジョン系の塗工液に分散させる場合には、攪拌操作の際
に当該塗工液中に気泡が入り込みやすい。気泡は、断熱
性を向上させる意味で役立つので、意図的に気泡を発生
させたり、もしくは、マイクロカプセル型や分解型等の
化学発泡剤等を使用して発泡させ、気泡を発生させても
よい。中空粒子を伴わず、気泡のみでも断熱性を与える
ことは可能だが、制御の困難性があるので、気泡の過度
な発生を起こさせないようにすることが好ましい。
【0059】断熱層形成用塗工液の適用対象のうち、支
持体上に塗工液を塗布することにより塗工層を形成し得
る支持体としては、紙、プラスチック、金属等を素材と
するフィルム、シートもしくは板等が挙げられる。
【0060】ここで言う「塗工層を形成し得る支持体」
とは、断熱層形成用塗工液中の溶剤や水等の液体成分が
浸透可能であってもよいが、実質的に、断熱層形成用塗
工液の固形分を含めた全体が浸透せず、当該塗工液中の
固形分が基材上に残留するものを指す。
【0061】塗工層を形成し得る支持体上に塗工層の形
の断熱層を形成することにより、支持体上に断熱層が保
持されてなる積層体が得られる。形成された断熱層それ
自体の強度や耐屈曲性が不十分な場合には、断熱層を支
持体によって補強する目的で、この積層体をそのまま断
熱層部として使用することができる。また、単層の断熱
層が必要な場合には、得られた積層体の支持体から断熱
層を剥離して用いることができる。
【0062】また、断熱層形成用塗工液の適用対象のう
ち、支持体内部に含浸層を形成し得る含浸性支持体とし
ては、天然繊維、合成繊維、ロックウール、ガラス繊
維、炭素繊維等の繊維を原料として製造された不織布、
フェルト、布、もしくはこれらの前記繊維を原料として
抄造された紙(特に低密度紙)、またはセラミックスシ
ート等が使用できる。
【0063】ここで言う「含浸性支持体」とは、断熱層
形成用塗工液全体が浸透可能なものを指す。ただし、支
持体の片面側から含浸を行った際に、断熱層形成用塗工
液が反対側の面まで到達しないような、厚みの全部には
含浸せず、厚みの一部に含浸するものも含める。
【0064】断熱層形成用塗工液を、上記のような適用
対象に適用する方法としては、公知の塗布方法もしくは
含浸方法を利用する。
【0065】塗布方法としては、粘度範囲、塗布量範囲
が広いロールコーティング、もしくはバーコーティング
が適しているが、その他の方法によってもよい。
【0066】含浸方法としては、断熱層形成用塗工液を
満たした槽の中に、含浸性支持体を浸す方法(いわゆる
ディッピング)によるか、公知の塗布手段により、含浸
性支持体の片側もしくは両側から塗布する方法による。
断熱層形成用塗工液が支持体に十分浸透してから、当該
支持体上に残った余分の塗工液を適宜なかき取り装置ま
たは除去装置、例えば、サクションドクター、ドクター
ロール、もしくは丸棒にワイヤーを巻き付けたワイヤー
バー等により、余剰分をかき取るか、もしくは除去し、
所定の量の断熱層形成用塗工液を含浸性支持体に含浸さ
せる。
【0067】断熱層形成用塗工液を基材に適用後、塗工
層または含浸層を乾燥等の方法で固化させると、断熱層
が得られる。断熱層形成用塗工液に配合される成分の素
材、特にバインダー樹脂の素材によっては、一旦、比較
的低温で乾燥させた後に比較的高温で乾燥させて固化し
たり、比較的低温で乾燥させた後に又は全く乾燥せずに
紫外線や電子線の照射により固化してもよい。
【0068】また、断熱層形成用塗工液中に熱融着性繊
維を配合している場合には、塗工層または含浸層を乾燥
等により固化させた後、加熱処理することによって熱融
着性繊維を周囲のマトリックスに融着させ、断熱層に優
れた耐破断性、可撓性、耐屈曲性を付与することができ
る。
【0069】断熱層形成用塗工液は、断熱効果を高める
ために可能な限り中空粒子の配合割合を大きくし、バイ
ンダー樹脂の配合割合を相対的に少なくするのが望まし
いが、バインダー樹脂の量が少ない断熱層形成用塗工液
を溶剤に溶解、分散すると、溶剤の配合割合が大きくな
るので、流動性が大きくなって塗工層のパターン又は形
状のコントロールが困難になり、且つ、乾燥に時間がか
かるようになる。従って、断熱層を形成する際の生産性
が悪くなる。また、断熱層形成用塗工液の乾燥時間が長
いと、乾燥中に中空粒子が塗膜内で分離しやすいので、
断熱層の均一性が悪くなる。断熱層形成用塗工液を用い
て含浸層の形の断熱層を形成する場合には、このような
問題は生じないが、塗工層の形の断熱層を形成したい場
合には、このような問題が生じる。
【0070】このような問題を避けるために、支持体と
して通気性シートを使用し、断熱層形成用塗工液を当該
通気性シート上に塗布し、形成した塗工層を、通気性シ
ートの反対面側から吸引して溶剤を除去し、その後、乾
燥させることにより塗工層の形の断熱層を形成するのが
好ましい。この方法によれば、支持体としての通気性シ
ート上に形成した塗工液の層から、短時間のうちに大部
分の液体成分を除去できるので、バインダー樹脂の配合
割合が少なくても、塗工層のパターン崩れを防止でき、
乾燥時間を短縮でき、さらには、中空粒子の分離を防止
できる。また、この方法は、断熱層を有する単層構造の
又は多層構造のシート状成形体を製造するのに適してい
る。
【0071】この方法で用いられる通気性シートは、当
該通気性シートの上に断熱層形成用塗工液を塗布して、
塗工層の形成面とは反対側の面から吸引処理した時に、
塗工層内の溶剤が吸引により除去されると共に、塗工層
の全ての或いはほとんどの固形分が当該シート上に残留
するものであれば、いかなるものを使用してもよい。
【0072】通気性シート上の塗工層を乾燥等により固
化して断熱層を形成後、当該断熱層を剥離して単層構造
の断熱層(断熱シート)として使用したい場合には、通
気性シートと断熱層の接着力が弱い方が望ましい。そこ
で、上述した「塗工層を形成し得る支持体」の中から、
塗工液の層に含まれている液体成分は吸引により容易に
通過できるが、塗工液の層に含まれている実質的に全て
の固形分が基材上に残留するものを使用すると、通気性
シートの繊維と断熱層の絡み合いが少ないので、接着力
は小さく、剥離しやすい。
【0073】一方、断熱層の強度や耐屈曲性を補うため
に、通気性シートと断熱層の積層体を、本発明における
多層構造の断熱層として使用したい場合には、支持体と
しての通気性シートと断熱層の接着力が大きい方が望ま
しい。そこで、上述した「含浸性支持体」の中から、塗
工液中の液体成分は吸引により容易に通過できると共
に、塗工液の層に含まれている固形成分は、その一部だ
けが含浸するが、大部分が基材上に塗工層の形で残存す
るものを使用すると、断熱層の一部が通気性シートの表
面から当該通気性シートの内部空隙に入り込んで、通気
性シートの繊維と断熱層の絡み合いが多くなり、剥離し
にくくなる。
【0074】断熱層が剥離し難い通気性シートとして
は、具体的には、不織布や合成紙などの中から、目の詰
まりすぎていない適度な通気性を有するものを選んで用
いるのが好ましい。不織布は、スパンボンド法、カード
法、エアーレイ法、湿式法など、いろいろな方法で製造
されるが、如何なる方法で製造されたものも用いること
ができる。
【0075】特に、太さ0.5〜7デニールで且つ長さ
10〜60mmの繊維からなる不織布は、断熱層形成用
塗工液の液体成分を容易に吸引できると共に、固形成分
が適度に含浸して不織布の繊維と断熱層が十分に絡み合
うが、固形成分の大部分は不織布上に残存して塗工層を
厚く形成できる。さらに、太さ0.5〜7デニールで且
つ長さ10〜60mmの繊維からなる不織布は、強度も
十分あるので、当該不織布上に断熱層を積層してなる断
熱層部を用いた本発明の断熱層付化粧シートを基材等の
表面に適用する際に、適用部位の形状に合わせやすい。
【0076】熱融着性繊維を含有する不織布の上に断熱
層形成用塗工液を塗布して断熱層を形成した後で熱プレ
スなどの加熱処理を行うと、不織布表面の熱融着性繊維
が断熱層に融着し、不織布と断熱層の接着力が強くな
る。熱融着性繊維としては、本発明の断熱層に配合し得
る熱融着性繊維と同じ素材のもの、すなわち各種の熱可
塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の単繊維、芯鞘構造、組み合
わせ構造、海島構造などの複合繊維を用いることができ
る。その中でも、鞘部分がポリエチレン又はポリエチレ
ンテレフタレートで形成され、芯部分がポリエチレンテ
レフタレートで形成された芯鞘構造の複合繊維が好まし
く、鞘部分と芯部分が両方ともポリエチレンテレフタレ
ート(PET)で形成されたものが特に好ましい。
【0077】通気性シートとして、軸方向に空洞を有す
る中空繊維からなる不織布を用いてもよい。中空繊維か
らなる不織布を断熱層の基材として用いると、断熱層の
断熱性に不織布による断熱効果が加わるので、断熱層部
の断熱性が向上する。
【0078】断熱層形成用塗工液を、上述したような通
気性シートのいずれかに塗布して塗工層を形成した後、
当該塗工層から液体成分を除去し、さらに乾燥等の手段
により固化して断熱層を形成する。バインダー樹脂の種
類によっては、塗工層を乾燥した後で或いは乾燥処理は
行わないで、紫外線等の照射により固化する場合もあ
る。
【0079】また、断熱層形成用塗工液に熱融着性繊維
を配合している場合には、塗工層を乾燥した後で熱プレ
スすると、熱融着性繊維が周囲のマトリックスに熱融着
して3次元ネットワーク構造を形成すると共に、断熱層
又は断熱層部の厚みを調節できる。
【0080】このようにして、断熱層の片面側に通気性
シートが積層された積層体が得られる。断熱層の表面強
度が足りない場合には、断熱層の両面に基材シートを積
層してもよい。例えば、第一の通気性シートとしての不
織布の上に断熱層形成用塗工液を塗布して塗工液の層を
形成し、第一の通気性シートの反対面側から吸引を行っ
て塗工層の液体成分を除去し、吸引後の塗工層の露出面
側に、当該塗工層の乾燥前又は乾燥後に第二の通気性シ
ートとして不織布を重ね、当該塗工層の乾燥後に積層体
を熱プレスすることにより、断熱層の両面に不織布が接
合した成形体が得られる。別の方法としては、第一の通
気性シートである不織布の上に断熱層形成用塗工液を塗
布して塗工液の層を形成し、当該塗工液の層の上に第二
の通気性シートとして不織布を重ね、両面から吸引処理
を行い、乾燥等により固化させ、必要に応じて熱プレス
を行うと、断熱層の両面に不織布が強く接合した成形体
が得られる。
【0081】断熱層部の形態としては、塗工層の形(非
含浸タイプ)の断熱層のみからなる単層構造の断熱層
部、含浸性支持体内に浸透・固化してなる含浸層の形の
断熱層のみからなる断熱層部、塗工層の形の断熱層の片
面又は両面に支持体が積層された断熱層部、塗工層の形
の断熱層の片面又は両面に支持体として通気性シートが
積層され且つ断熱層の一部が通気性シートの表面から含
浸して当該通気性シートの内部空隙に入り込んでいる断
熱層部などが例示できる。
【0082】本発明の断熱層付化粧シートには、如何な
る形の断熱層部を用いてもよいが、断熱層を構成する成
分割合が同じならば、塗工層の形(非含浸タイプ)の断
熱層の方が、含浸層の形の断熱層よりも断熱性に優れる
ので、通常は、塗工層の形の断熱層を有する断熱層部を
用いる。塗工層の形の断熱層の場合には、断熱層中の各
成分の配合割合にもよるが、十分な断熱性と可撓性を得
るために、断熱層を0.2〜10mm程度の厚さに形成
するのが好ましい。また、本発明で用いられる断熱層
は、繊維、特に熱融着性繊維を配合されているおかげで
断熱層それ自体が強度、耐屈曲性、可撓性に優れている
ので、断熱層のみからなる単層構造の断熱層部を用いる
ことができる。また、断熱層付化粧シートを適用したい
基材や場所によっては、断熱層を補強するために、当該
断熱層を支持体で保持してなる多層構造の断熱層部を用
いることができる。
【0083】(防湿層)また、本発明においては、断熱
層付化粧シート及び後述する断熱部材の内部に湿気を透
過させないようにするために、必要に応じて、断熱層部
と化粧層の間(表側)、断熱層部の化粧層が設けられて
いるのとは反対側(裏側)、或いは、断熱層部の表裏両
側に、防湿層を設けてもよい。
【0084】かかる防湿層としては、例えば、ポリエチ
レン(高密度、中密度または高密度)、ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂(厚
さ100μmでの透湿抵抗率が50g/m2/d程度の
もの)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩
化ビニル、またはポリ塩化ビニリデン等の透湿抵抗率の
低い樹脂材料、好ましくは透湿抵抗率が25g/m2
d以下の材料からなるのが好ましい。また、前記防湿層
の厚さは、通常20〜100μm程度が好ましい。
【0085】また、断熱層部の表側、裏側或いは表裏両
側に、アルミニウムやシリカ等の金属や金属酸化物から
なる防湿層を、真空蒸着法、CVD(Chemical
Vapor Deposition)法、スパッタリ
ング法等の手法を用いて形成することもできる。あるい
は、上記した防湿性の樹脂層と防湿性の金属又は金属酸
化物の層との積層体からなる防湿層(例えば、シリカを
蒸着した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートのシート
等)などを用いることもできる。
【0086】(化粧層)本発明の断熱層付化粧シートに
おいては、前記断熱層部の上に、直接又は防湿層等の他
の層を介して、化粧層が積層される。化粧層の基材層と
しては、例えば、次のようなものを例示できる。
【0087】a) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の
ポリオレフィン系樹脂、 b) ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)ア
クリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重
合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、
(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル
−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体
等のアクリル樹脂、(ここで、(メタ)アクリルとは、
アクリルまたはメタクリルの意味で用いる。)、 c) ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレー
ト共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の
ポリエステル樹脂、 d) ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロ
ン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体)、ポリスチレンなどのその他の樹脂、 e) ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アル
ミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機繊維、或い
は、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の有機樹脂繊維
からなる織布または不織布、及び、 f) 杉、桧、楢、樫などの樹木の薄板(突板)。
【0088】また、これらの単層のほか、2層以上の積
層体を基材層として用いることもできる。なお、上記例
示のうち、樹脂は一般に透湿抵抗の高い材料であるが、
特に基材層の防湿性を要する場合には、ポリエチレン、
ポリ塩化ビニリデン等の透湿抵抗のより高い材料を選ぶ
のが好ましい。
【0089】化粧層の基材層は、通常、厚さ20〜20
0μm程度であり、基材層自体の意匠外観が十分な場合
には、そのまま用いることができるが、通常は、基材層
に装飾処理を施す。
【0090】装飾処理としては、基材表面に絵柄層、金
属薄膜層等を形成したり、基材層表面に凹凸模様を施し
たり、或いは、基材層が樹脂の場合には、染料、顔料等
の着色剤を練り込んだり、或いは、これらの組み合わせ
を挙げることができる。
【0091】着色剤としては、次のようなものを例示で
きる。
【0092】a) チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群
青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラッ
ク等の無機顔料、 b) イソインドリノンイエロー、ハンザイエロー、キ
ナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシ
アニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラ
ック等の有機顔料(或いは染料を含む)、 c) アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料
(或いは染料を含む)、及び、 d) 二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の真珠光
沢(パール)顔料等。
【0093】これらは、粉末或いは鱗片状箔片として樹
脂中に添加、分散せしめられる。
【0094】絵柄層は、グラビア印刷、オフセット印
刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷
等の公知の印刷法を用い、インキ(或いは染料)にて、
絵柄(模様)を形成する。
【0095】絵柄としては、木目、石目、布目、皮紋絵
柄、幾何学図形、文字、記号、或いは、全面ベタ等があ
る。
【0096】絵柄を印刷するインキ或いは塗料として
は、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポ
リプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース樹脂等を
用い、これらの1種又は2種以上の混合物に、前記列挙
したような公知の着色剤を添加したものを用いることが
できる。
【0097】凹凸模様はエンボス加工により形成するこ
とができ、特に熱可塑性樹脂の基材層に凹凸模様を付す
場合にはエンボス加工が代表的な手法であるが、ヘアラ
イン加工等のその他の方法も利用可能である。エンボス
加工は、基材層を加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦
形し、冷却固化するもので、公知の枚葉式、或いは、輪
転式のエンボス機が用いられる。
【0098】エンボス模様としては、木目導管溝、石坂
表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャ、梨
地、砂目、ヘアライン、万線条溝、煉瓦積又はタイル貼
りの目地溝などがある。
【0099】さらに必要に応じて、凹凸模様の凹部に公
知のワイピング法(特公昭58−14312号公報等参
照)によって、着色インキを充填することもできる。着
色インキは前記と同様のものを使用することができる。
ただし、耐摩耗性の点で、2液硬化型ウレタン樹脂をバ
インダーとするものが好ましい。
【0100】装飾処理の金属薄膜は、アルミニウム、ク
ロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着法、スパッ
タリング法等の方法により化粧層の基材層表面に成膜さ
れる。該金属薄膜は、基材層の表面全体に設けてもよい
し、或いは、部分的に、例えばパターン状に設けてもよ
い。
【0101】さらに、本発明の断熱層付化粧シートにお
いては、必要に応じて、前記絵柄層の上に表面保護や装
飾処理のための表面保護層を形成することもできる。表
面保護層は、例えば、通気性を有するアクリル系樹脂や
不織布等で形成することができる。また、表面保護層は
複数の層からなる多層構造を有していてもよい。
【0102】また、前記基材層、絵柄層、又は表面保護
層中には、耐候(光)性を付与するために、ベンゾトリ
アゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート
系、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等の各種紫外
線吸収剤、及び/又は、ヒンダードアミン系ラジカル捕
捉剤等の光安定剤を添加することもできる。
【0103】なお、化粧層の構成として、意匠外観、耐
候性、及び、曲げ加工適性ともに良好であるものの例と
しては、装飾処理を施した着色アクリル系樹脂シート上
に、JIS K7127における破断点伸度が100%
以上である透明アクリル系樹脂シートを積層してなる積
層シートが挙げられ、この積層シートを断熱層に近い側
から、着色アクリル系樹脂シート、透明アクリル系樹脂
シートの順に積層する。
【0104】着色アクリル系樹脂シートの着色は、透明
着色、不透明着色のいずれでもよい。使用するアクリル
系樹脂としては、後述する透明アクリル系樹脂シートと
同様のものを用いることが曲げ加工適性上好ましいが、
前記列記のような通常のアクリル樹脂を用いてもよい。
これは、化粧層全層の曲げ加工適性は、最低限表面の透
明アクリル系樹脂シートの方で確保できるためである。
着色するには、耐候性のある塗料、顔料等の着色剤を所
定量添加するのが好ましい。厚さは、20〜150μm
程度とする。着色剤は、前記列記したようなものの中か
ら選択すればよい。
【0105】着色アクリル系樹脂シートに積層される透
明アクリル系樹脂シートは、JISK7127における
破断点伸度(引張り破壊伸び)が100%以上であるこ
とが特徴的である。すなわち、前記透明アクリル系樹脂
シートの破断点伸度を向上せしめて、Vカット加工、ラ
ッピング加工等の室温乃至低温(シートの軟化温度未
満)下での成形加工時の耐衝撃性、耐亀裂性を向上せし
めるものである。また、透明としては、無色透明、艶消
透明のいずれでもよい。
【0106】ここで、JIS K7127における破断
点伸度とは、4号形試験片を用いて、引っ張り試験速度
50mm/minでの破断時伸度を言う。一般的には、
破断時伸度は、樹脂のガラス転移点が低いほど大きくな
る。従って、本発明の透明アクリル系樹脂シートには、
ガラス転移点の低いアクリル樹脂を用いるのが好まし
い。一般的には、重合度が低いものほどガラス転移点は
低くなる。また、同じアクリル系樹脂でも、ポリ(メ
タ)アクリル酸メチルよりも、ポリ(メタ)アクリル酸
ブチルの方がガラス転移点は低くなる。また、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルの単独重合体よりも、共重
合体の方がガラス転移点は低くなる。ただし、あまりに
ガラス転移点の低いものを用いる場合には、樹脂シート
の巻き取り工程においてブロッキング(シートの表裏同
士が貼り付く現象)が発生しやすくなる傾向がある。
【0107】また、必要に応じて、アクリル系樹脂シー
ト中には、耐候性、透明性を阻害しない範囲で、例え
ば、アクリルゴム(アクリル酸ブチル−アクリロニトリ
ル共重合体等)、水素添加ジエンゴム等の耐候性、透明
性の高いゴムを添加することができる。この添加によっ
て、透明アクリル系樹脂シートの破断点伸度を増加させ
ることができるほか、シートに耐衝撃性を付与すること
もできる。添加量は、通常、5重量%以下とするが、適
宜、化粧シートに要求される性能に応じて加減すること
ができる。
【0108】さらに、前記アクリル系樹脂には、炭酸カ
ルシウム、クレー、アルミナ、タルク等の粒子からなる
無機充填剤、シリカ等の粒子からなる艶消し剤等を添加
することもできる。添加量は、1〜60重量部、より好
ましくは1〜30重量部程度である。
【0109】またさらに、前記着色アクリル系樹脂及び
透明アクリル系樹脂には、各種添加剤、補強材、充填
剤、例えば、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安
定剤、帯電防止剤等を添加することができる。
【0110】難燃剤は、化粧シートに耐燃性を付与する
ために添加されるものであり、例えば、塩化パラフィ
ン、トリクレジルホスフェート、塩素化油、テトラクロ
ロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラブ
ロモビスフェノールA、ジブロモプロピルホスフェー
ト、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、
酸化アンチモン、含水アルミナ、硼酸バリウム等があ
る。
【0111】酸化防止剤は、の酸化分解を抑制するため
に添加され、例えば、アルキルフェノール類、アミン
類、キノン類などを用いることができる。
【0112】紫外線吸収剤、光安定剤は、化粧シートを
形成する樹脂に、より良好な耐候性(耐光性)を付与す
る目的で添加され、その添加量は、紫外線吸収剤、光安
定剤ともに、通常、0.1〜5重量%程度が好ましい。
【0113】前記の紫外線吸収剤としては、例えば、ベ
ンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール
系、アクリロニトリル系等の各種紫外線吸収剤を挙げる
ことができる。特に好ましいものとして、可視光線に対
する透明性の点から、分子中に水酸基を有する有機系の
化合物を使用することができる。
【0114】例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t
ert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミ
ル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチ
ル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の
2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の
ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸
フェニル、4−tert−ブチルフェニルサリチレート
等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤を挙げることが
できる。
【0115】そのほかに、ベンゾトリアゾール骨格にア
クリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫
外線吸収剤等を用いることもできる。また、粒径0.2
μm以下の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無
機物を用いることもできる。これらのうち、吸収波長と
着色性の問題を考慮して、ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤の使用が特に好ましい。
【0116】光安定剤としては、ビス−(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等の
ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジ
カル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
【0117】また、前記着色アクリル系樹脂シート及び
透明アクリル系樹脂シートの片面又は両面に、必要に応
じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマーコート
処理(アンカーコート処理)、オゾン処理、酸処理、脱
脂処理、表面粗面処理、塩化第二銅等の薬品による活性
化処理等の公知の易接着処理を施すことができる。
【0118】本発明において、前記着色アクリル系樹脂
シートの表面には装飾処理が施される。装飾処理は、前
記列記のものと同様のものを採用できる。ただし、装飾
処理に用いるインキ或いは塗料に使用するバインダーと
しては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ア
クリル樹脂、或いは、これらの混合物系を用いることが
できる。両者を混合する場合には、アクリル樹脂/塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体=1/9から9/1の範囲
が好ましい。
【0119】特に、耐候性、印刷適性、及び、曲げ加工
適性の点から、アクリル樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体=6/4から9/1の範囲が好ましい。
【0120】塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体中の酢酸
ビニル含有率は、1〜20重量%程度、平均重合度は4
00〜900程度であり、必要に応じて、さらにマレイ
ン酸、ビニルアルコール等のカルボキシル基或いは水酸
基を有する単量体を共重合させたものでもよい。
【0121】用いられるアクリル樹脂は上記に同じであ
り、両者を混合する場合は、アクリル系樹脂シートがア
クリルフィルムであるので、耐有機溶剤性が悪く、シー
トが膨潤又は溶解しやすいので、ベタ印刷は好ましくな
い。また、これに前記列記した顔料を添加したものを用
いる。
【0122】(断熱層付化粧シートの層構成)本発明に
係る断熱層付化粧シートは、必須成分として閉鎖された
空洞を有する中空粒子、及び、繊維をバインダー樹脂に
配合し固化させてなる断熱層を有する単層構造又は多層
構造の断熱層部の片側に、化粧層を積層した層構成を有
しており、必要に応じて、前記断熱層部と前記化粧層の
間、及び/又は、前記断熱層部の化粧層が設けられてい
るのとは反対側に、防湿層などの他の層を設けてもよ
い。
【0123】隣接し合う各層同士は、熱圧着により直接
接着されていてもよいし、ドライラミネーション、ウェ
ットラミネーション、熱ラミネーション等の方法により
接着剤層を介して接着されていてもよい。また、断熱層
付化粧シート中の一層を構成するシート状成形体の上
に、塗工液を塗布し固化したり、或いは、塗工用組成物
を溶融押出しすることによって、隣接する層を一体的に
形成してもよい。また、断熱層部の片側だけに支持体が
積層されている場合には、断熱層部の支持体側の面を上
にして化粧層の裏面と向き合わせてさせても良いし、当
該断熱層部の支持体側の面を下にして化粧層から遠ざけ
てもよい。
【0124】本発明の断熱層付化粧シートの例を図1乃
至図6に示す。図1は、バインダー樹脂に中空粒子2と
繊維3を配合し固化させてなる塗工層の形の断熱層のみ
からなる単層構造の断熱層部1の上に、基材層4a中に
顔料4bを分散してなる化粧層4を積層した構造の断熱
層付化粧シート101Aの模式的断面図である。
【0125】図2は、支持体である不織布1bの上に塗
工層の形の断熱層1aが保持され且つ断熱層1aの一部
が不織布の空隙に含浸して入り込んでなる2層構造の断
熱層部1の上に、基材層4aと絵柄層4cからなる化粧
層4を、断熱層部1の断熱層1aが化粧層4の基材層4
aと向き合うようにして積層した構造の断熱層付化粧シ
ート101Bの模式的断面図である。
【0126】図3は、支持体である不織布1bの上に塗
工層の形の断熱層1aが保持され且つ断熱層1aの一部
が不織布の空隙に含浸して入り込んでなる2層構造の断
熱層部1の上に、基材層4aの表面にエンボス模様4d
を施してなる化粧層4を、断熱層部1の不織布1bが化
粧層4の裏面と向き合うようにして、接着剤層5を介し
て積層した構造の断熱層付化粧シート101Cの模式的
断面図である。
【0127】図4は、塗工層の形の断熱層1aの両面に
支持体である不織布1b、1cが積層され、且つ、不織
布1bには断熱層1aの一部が含浸して入り込んでお
り、一方、不織布1cは断熱層1aに熱圧着されてなる
3層構造の断熱層部1の上に、基材層4aの表側表面に
エンボス加工を施した後、該エンボス加工により形成さ
れたエンボス凹部に着色インキ4eを充填し、さらに、
同じ表面に絵柄層4cを設けてなる化粧層4を、断熱層
部1の含浸された不織布1bが化粧層4の基材層4aと
向き合うようにし、且つ、接着剤層5を介して積層した
構造の断熱層付化粧シート101Dの模式的断面図であ
る。
【0128】図5は、塗工層の形の断熱層のみからなる
単層構造の断熱層部1の上に、第一の接着剤層5aを介
して防湿層6を積層し、該防湿層6の上に第二の接着剤
層5bを介して、基材層4a中に顔料4bを分散してな
る化粧層4を積層した構造の断熱層付化粧シート101
Eの模式的断面図である。
【0129】図6は、塗工層の形の断熱層のみからなる
単層構造の断熱層部1の上に、基材層4aと絵柄層4c
からなる化粧層4を、断熱層部1と基材層4aとが向き
合うようにし且つ第一の接着剤層5aを介して積層し、
さらに、断熱層部1の裏側に第二の接着剤層5bを介し
て防湿層6を積層した構造の断熱層付化粧シート101
Fの模式的断面図である。
【0130】なお、以上に示したのは、あくまでも本発
明の断熱層付化粧シートの実施形態の例示であり、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で、層構成を変更できること
は言うまでもない。
【0131】(断熱層付化粧シートの製造)次に、本発
明の断熱層付化粧シートの一般的な製造方法を、図1乃
至図6に例示した化粧シートを例にとり、説明する。
【0132】図1の断熱層付化粧シートは、例えば、次
のような方法により製造することができる。先ず、顔料
4bにより着色してなる化粧層用シートを用意し、必要
に応じて、該化粧層用シートの片面(断熱層部を接合す
る側の面)又は両面にコロナ放電処理等の易接着処理を
施す。次いで、すでに説明した方法により、断熱層のみ
からなる断熱層部用シートを別途作製する。そして、化
粧層用シートと断熱層部用シートを熱圧着することによ
って、図1の断熱層付化粧シート101Aが得られる。
【0133】また、上記した化粧層用シートの裏面側
に、すでに説明した断熱層形成用塗工液を直接塗布し、
乾燥などの方法で固化させることによっても、化粧層の
裏面側に断熱層が積層された図1の断熱層付化粧シート
101Aが得られる。
【0134】図2の断熱層付化粧シートを製造する場合
には、先ず、グラビア印刷法によって絵柄層4cを設け
た化粧層用シートを用意し、必要に応じて、該化粧層用
シートの片面(断熱層部を接合する側の面)又は両面に
コロナ放電処理等の易接着処理を施す。次いで、図1の
断熱層付化粧シート101Aを製造する場合と同様に、
断熱層のみからなる断熱層部用シートを化粧層用シート
の裏面側に熱圧着するか、或いは、断熱層形成用塗工液
を化粧層用シートの裏面側に直接塗布し、乾燥などの方
法で固化させることによって、図2の断熱層付化粧シー
ト101Bが得られる。
【0135】図3の断熱層付化粧シートを製造する場合
には、先ず、熱可塑性樹脂からなるシートの表面にエン
ボス模様4dを付した化粧層用シートを用意し、必要に
応じて、該化粧層用シートの片面(断熱層部を接合する
側の面)又は両面にコロナ放電処理等の易接着処理を施
す。次いで、すでに説明した方法により、支持体である
不織布1bの上に塗工層の形の断熱層1aが保持され且
つ断熱層1aの一部が不織布の空隙に含浸して入り込ん
でなる2層構造の断熱層部用シートを別途作製する。そ
して、化粧層用シートと断熱層部用シートを、化粧層用
シートの非エンボス模様側と断熱層部用シートの不織布
側が向き合うようにし、且つ、2液硬化型ウレタン樹脂
等の2液硬化型接着剤を介してドライラミネートするこ
とにより、図3の断熱層付化粧シート101Cが得られ
る。なお、化粧層用シートと断熱層部用シートは、熱圧
着により接合してもよいが、熱圧着を行うとエンボス模
様の消失が起きやすいため、ドライラミネーションによ
って接合するのが好ましい。
【0136】図4の断熱層付化粧シートを製造する場合
には、先ず、熱可塑性樹脂からなるシートの表面にエン
ボス凹部を形成し、そのエンボス凹部にワイピングイン
キ等の着色インキ4eを充填し、さらにグラビア印刷に
より絵柄層4cを付して、化粧層用シートを作製する。
必要に応じて、この化粧層用シートの片面(断熱層部を
接合する側の面)又は両面にコロナ放電処理等の易接着
処理を施す。次いで、すでに説明した方法により、塗工
層の形の断熱層1aの両面に支持体である不織布1b、
1cが積層され、且つ、不織布1bには断熱層1aの一
部が含浸して入り込んでおり、一方、不織布1cは断熱
層1aに熱圧着されてなる3層構造の断熱層部用シート
を別途作製する。そして、化粧層用シートと断熱層部用
シートを、化粧層用シートの非エンボス模様側と断熱層
部用シートの不織布1b側が向き合うようにし、且つ、
2液硬化型ウレタン樹脂等の2液硬化型接着剤を介して
ドライラミネートすることにより、図4の断熱層付化粧
シート101Dが得られる。
【0137】図5の断熱層付化粧シートを製造する場合
には、先ず、顔料4bにより着色してなる化粧層用シー
トを用意し、必要に応じて、該化粧層用シートの片面
(断熱層部を接合する側の面)又は両面にコロナ放電処
理等の易接着処理を施す。また、すでに説明した方法に
より、断熱層のみからなる断熱層部用シートを別途作製
する。さらに、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシ
ート等の樹脂シートにアルミニウム又はシリカ等の金属
又は金属酸化物の薄膜を真空蒸着法やCVD法、スパッ
タリング法等により積層した防湿層用シートを用意す
る。次いで、断熱層部用シートの上に防湿層用シート
を、2液硬化型ウレタン樹脂等の2液硬化型接着剤を介
してドライラミネートする。そして、防湿層の露出面上
に化粧層用シートを、同様の2液硬化型接着剤を介して
ドライラミネートすることにより、図5の断熱層付化粧
シート101Eが得られる。なお、この場合には、化粧
層4と防湿層6の間、防湿層6と断熱層部1の間に、プ
ライマー層等の易接着性層を形成することが好ましい。
【0138】図6の断熱層付化粧シートを製造する場合
には、先ず、グラビア印刷法によって絵柄層4cを設け
た化粧層用シートを用意し、必要に応じて、該化粧層用
シートの片面(断熱層部を接合する側の面)又は両面に
コロナ放電処理等の易接着処理を施す。次いで、断熱層
のみからなる断熱層部用シート、及び、防湿層用シート
を用意する。次いで、化粧層用シートの非印刷面側に断
熱層部用シートを、2液硬化型ウレタン樹脂等の2液硬
化型接着剤を介してドライラミネートする。そして、断
熱層部用シートの露出面側に防湿層用シートを、同様の
2液硬化型接着剤を介してドライラミネートすることに
より、図6の断熱層付化粧シート101Fが得られる。
【0139】(2)断熱部材 以上のようにして得られる本発明の断熱層付化粧シート
を、所望の基材の表面に直接又は他の層を介して貼着す
ることにより被覆すると、本発明の断熱部材が得られ
る。また、すでに所定の場所に設置、固定された基材上
に、本発明の断熱層付化粧シートを直接又は他の層を介
して貼着することにより、該基材に断熱効果及び表面装
飾効果を付与することができる。前記他の層としては、
例えば、接着剤層が挙げられる。本発明の断熱部材の基
材としては、例えば、中空又は中実の平板、湾曲した曲
面板等の板、円柱、多角柱等の柱状物等の、各種形状の
ものを用いることができる。また、断熱部材の基材の材
質としては、例えば、金属、木材、樹脂、セラミクス等
の、各種のものを用いることができる。特に、それ自体
の熱伝導率の高い金属基材の表面を本発明の断熱層付化
粧シートで被覆すると、断熱性の向上が著しい。金属と
しては、鉄、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミ
ニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金、銅、真
鍮、チタニウム等を挙げることができる。
【0140】本発明の断熱部材の一例を図7に示す。図
7は、前記図6に示した断熱層付化粧シート101Fの
防湿層6側に、第三の接着剤層5cを介して、板状の金
属基材7を設けた断熱部材102Aの断面模式図であ
る。
【0141】また、図8は、中空の多角柱体であって、
その一つの面が軸方向に切り裂かれて開口部8となった
形状の金属基材7の表面側(外側)に、接着剤層5を介
して、表面に木目絵柄層を付した化粧層4と断熱層のみ
からなる断熱層部1とを有する断熱層付化粧シート10
1Gを積層した断熱部材102Bの斜視図である。
【0142】なお、図8に示す金属基材7のような多角
形状の基材の複数の側面上に断熱層付化粧シートを積層
するための方法としては、特公昭61−5895号公報
等に開示されているラッピング加工が代表的であるが、
そのほかに、特公昭60−58014号公報等に開示の
真空プレス法、特開昭48−47972号公報等に開示
のVカット加工法等も適用できる。
【0143】これらの断熱部材102A及び102B
は、例えば、金属基材7の外側に接着剤を全面塗布した
後、本発明の化粧シート101F又は101Gを、該化
粧シートの裏面(化粧層2を有していない側の面)に貼
着させることにより製造することができる。
【0144】用いることのできる接着剤としては、金属
基材と化粧シートを接着できるものであれば、特に制限
はない。例えば、2液硬化型ウレタン樹脂系、2液硬化
型エポキシ樹脂系等の2液反応硬化型接着剤、熱硬化型
ポリエステル系、フェノール樹脂系等の熱硬化性接着
剤、ポリ酢酸ビニル系、アクリル樹脂系、ポリエチレン
系等の熱可塑性接着剤を例示することができる。
【0145】
【実施例】以下において本発明を、実施例を通じてさら
に詳述する。
【0146】(実施例1) (1)断熱層部用シートの作製 先ず、水93重量部を攪拌しながら、ポリアクリロニト
リル中空粒子(松本油脂製薬製、品番F−80E)を固
形分として2.3重量部、バインダー樹脂としてのアク
リル樹脂(中央理化工業製、品番ET−84)を固形分
として3.8重量部、アルカリ樹脂系増粘剤(中央理化
工業製、品番FK−610)を固形分として0.7重量
部、及び、25%アンモニア水0.8重量部(固形分
0.2重量部)を、この順序で投入して、中間調製液を
調製した。なお、上記配合割合は、水を除いて固形分ベ
ースである。
【0147】この中間調製液(固形分7重量%)に、さ
らに、当該混合液の固形分4.5gに対して、PET−
PET芯鞘構造を有し、太さ1.5デニール、長さ5m
mの繊維を1.35gを加え、ミキサーにて攪拌混合
し、さらに水を加えて固形分濃度1重量%の水系の断熱
層形成用塗工液を得た。
【0148】網状シートの上に、坪量20g/m2で且
つPET−PET芯鞘構造のバインダー繊維を含む不織
布を固定し、当該不織布の表面に上記の断熱層形成用塗
工液を(塗工量93.6g/m2)塗布し、同様の不織
布を塗工層の上にかぶせた後、得られた積層体の下側か
ら吸引して液体成分を除去した。吸引後、積層体をプレ
ス成形し、110℃にてドラム乾燥機で乾燥した。乾燥
後、積層体を150℃で10秒間ヒートプレス処理を行
った。こうして、断熱層の両面に不織布を積層した3層
構造の断熱層部用シートを得た。
【0149】(2)化粧層用シートの作製 厚み80μmの着色したメタクリル酸エステル樹脂フィ
ルム(共和レザー(株)製)を下地として、その上に杉
柾の柄をグラビア印刷した。インキの樹脂バインダーと
しては、アクリル樹脂と塩化ビニル/酢酸ビニル共重合
体樹脂の混合系を用いた。その後、杉柾の印刷面上に、
破断点伸度120%、厚み50μmの透明アクリル系樹
脂フィルム(三菱レーヨン(株)製)を加熱軟化させ、
エンボスロールを用いて熱ロールプレスすることによ
り、ダブリング(二層の貼り合わせ)を行うと共に、表
面に導管溝状の凹凸模様を施して化粧層用シートを得
た。
【0150】(3)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 上記化粧層用シートの裏面に、ウレタン二液硬化型接着
剤(大日本精化(株)製、セイカボンドE295(主
剤)、C57N(硬化剤))を50g/m2塗布し、ド
ライラミネート法により上記断熱層部用シートを貼り合
わせ、本発明に係る断熱層付化粧シートを得た。
【0151】(実施例2) (1)断熱層部用シートの作製 網状シートの上に、実施例1で用いたものと同様の不織
布を固定し、当該不織布の表面に実施例1で用いたもの
と同様の断熱層形成用塗工液を同量塗工した後、得られ
た2層構造の積層体の不織布側から吸引して液体成分を
除去した。吸引後、積層体をプレス成形し、110℃に
てドラム乾燥機で乾燥した。乾燥後、積層体を150℃
で10秒間ヒートプレス処理を行った。こうして、断熱
層の片面に不織布を積層した2層構造の成形体を得た。
その後、この成形体から不織布を剥離し、断熱層のみか
らなる単層の断熱層部用シートを得た。
【0152】(2)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 実施例1で用いたのと同様の化粧層用シートの裏面に、
上記断熱層部用シートを実施例1と同様の方法で貼り合
わせて、本発明に係る断熱層付化粧シートを得た。
【0153】(実施例3) (1)断熱層部用シートの作製 実施例2において得られた不織布を剥離する前の2層構
造の成形体を、そのまま断熱層部用シートとして用い
た。
【0154】(2)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 実施例1で用いたのと同様の化粧層用シートの裏面に、
上記断熱層部用シートを実施例1と同様の方法で貼り合
わせて、本発明に係る断熱層付化粧シートを得た。
【0155】(実施例4) (1)断熱層部用シートの作製 網状シートの上に、実施例1で用いたものと同様の不織
布を固定し、当該不織布の表面に実施例1で用いたもの
と同様の断熱層形成用塗工液を同量塗工した後、得られ
た2層構造の積層体の不織布側から吸引して液体成分を
除去した。吸引後、積層体をプレス成形し、110℃に
てドラム乾燥機で乾燥した。乾燥後、積層体を150℃
で20秒間ヒートプレス処理を行った。こうして、断熱
層の片面に不織布を積層した2層構造の断熱層部用シー
トを得た。
【0156】(2)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 実施例1で用いたのと同様の化粧層用シートの裏面に、
上記断熱層部用シートを実施例1と同様の方法で貼り合
わせて、本発明に係る断熱層付化粧シートを得た。
【0157】(実施例5) (1)断熱層部用シートの作製 断熱層形成用塗工液の塗工量を倍量の187.2g/m
2に変更したほかは、実施例1と同様にして、断熱層の
両面に不織布を積層した3層構造の断熱層部用シートを
得た。
【0158】(2)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 実施例1で用いたのと同様の化粧層用シートの裏面に、
上記断熱層部用シートを実施例1と同様の方法で貼り合
わせて、本発明に係る断熱層付化粧シートを得た。
【0159】(実施例6) (1)断熱層部用シートの作製 断熱層形成用塗工液の塗工量を倍量の187.2g/m
2に変更したほかは、実施例2と同様にして、断熱層の
みからなる単層の断熱層部用シートを得た。
【0160】(2)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 実施例1で用いたのと同様の化粧層用シートの裏面に、
上記断熱層部用シートを実施例1と同様の方法で貼り合
わせて、本発明に係る断熱層付化粧シートを得た。
【0161】(実施例7) (1)断熱層部用シートの作製 網状シートの上に、実施例1で用いたものと同様の不織
布を固定し、当該不織布の表面に実施例1で用いたもの
と同様の断熱層形成用塗工液を倍量の187.2g/m
2塗工した後、得られた2層構造の積層体の不織布側か
ら吸引して液体成分を除去した。吸引後、積層体をプレ
ス成形し、110℃にてドラム乾燥機で乾燥した。乾燥
後、積層体を150℃で20秒間ヒートプレス処理を行
った。こうして、断熱層の片面に不織布を積層した2層
構造の成形体を得た。その後、この成形体から不織布を
剥離し、断熱層のみからなる単層の断熱層部用シートを
得た。
【0162】(2)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 実施例1で用いたのと同様の化粧層用シートの裏面に、
上記断熱層部用シートを実施例1と同様の方法で貼り合
わせて、本発明に係る断熱層付化粧シートを得た。
【0163】(比較例1) (1)断熱層部用シートの作製 硬質ポリウレタン(東洋ゴム工業製、品番ソフランRボ
ード(W30)をスライスして、断熱層部用シートを得
た。
【0164】(2)断熱層部用シートと化粧層用シート
の貼り合わせ 実施例1で用いたのと同様の化粧層用シートの裏面に、
上記断熱層部用シートを実施例1と同様の方法で貼り合
わせて、比較例の断熱層付化粧シートを得た。
【0165】(試験項目) 下記の試験を行った。結果を下記の表に示す。
【0166】(1)断熱層付化粧シートの平均厚さ(m
m) 断熱層付化粧シートの平均厚さを測定した。
【0167】(2)密度(g/cm3) 断熱層付化粧シート全体としての密度を測定した。
【0168】(3)断熱性能(温度差℃) 先ず、図9に示すように厚さ1.0mmのアルミニウム
板(9)の周囲に発泡スチロールの枠(10)を取り付
け、アルミニウム板の上に、実施例又は比較例で得られ
た断熱層付化粧シートを20mm×20mmに切り出し
たサンプル(11)を置いた。それから、アルミニウム
板を氷水(12)の上に浮かべ、23℃、50Rhの環
境下で35分間放置した。放置後、アルミニウム板の上
面(13)の温度と、サンプル上面の中央部(14)の
温度を測定し、温度差の大きいほど断熱性能に優れると
評価をした。
【0169】また、実施例1乃至7のサンプルについて
熱伝導率を測定したところ、いずれも0.03〜0.2
W/m・Kの範囲であった。
【0170】(4)可撓性 JIS K7203に規定する曲げ試験を行い、屈曲部
分の曲率半径5.0mmで1.0Nの荷重を加えても破
損しない場合を合格(○)、破損する場合を不合格
(×)と評価した。
【0171】
【表1】
【0172】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る断熱
層付化粧シート及び当該断熱層付化粧シートにより表面
を被覆してなる本発明の断熱部材は、薄くても断熱性に
優れる断熱層を有するので、優れた断熱性、保温性を示
す。
【0173】本発明の断熱層付化粧シート及び断熱部材
は、各種の内装材又は外装材に適用できる。例えば、屋
根、外壁、戸袋、窓枠、ルーフデッキ、バルコニー、フ
ェンス、門扉、扉枠等の建築物又は建具のような外装部
材、回縁、幅木、手摺、室内扉、室内壁、間仕切り等の
建築物又は建具のような内装部材、車両外装材、車両内
装材等が挙げられる。
【0174】また、本発明の断熱層付化粧シートは、優
れた断熱性を有すると共に、基材の表面形状に良くフィ
ットし、薄く、且つ、耐屈曲性にも優れているので、多
角柱形状の部材や、表面凹凸を有する部材のように立体
的な表面を有する基材を被覆する場合にも、意匠性に優
れ、且つ、断熱性に優れた断熱部材が得られる。
【0175】本発明の断熱層付化粧シートは、、特に、
アルミサッシなどの金属製窓枠を被覆する化粧シートと
して好適に用いられ、優れた断熱性によって室内の保温
効果を高めると共に窓枠の結露を防止し、さらに、窓枠
の形状に良くフィットして良好な意匠性を示す。
【0176】本発明の断熱層付化粧シートの断熱層は、
熱伝導率が0.01〜0.5W/m・Kで、しかも、J
IS K7203に規定する曲げ試験において、屈曲部
分の曲率半径5.0mmで1.0Nの荷重を加えても破
損しないような、断熱性と屈曲性に優れた薄い断熱層を
有している。
【0177】また、本発明の断熱層付化粧シートに用い
られる断熱層に、温度20℃、相対湿度95%における
吸湿度が10%未満の繊維を用い、断熱層の吸湿性を小
さくすることにより、結露を生じる場所に適用する場合
でも、断熱層の吸湿による断熱性の低下が起き難い。ま
た、断熱層中に吸湿度の小さい繊維を添加する代わり
に、また、吸湿度の小さい繊維を使用することに加え
て、防湿層を断熱層部の片側又は両側に設けることによ
っても、断熱層の吸湿を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断熱層付化粧シートの一実施態様の断
面模式図である。
【図2】本発明の断熱層付化粧シートの一実施態様の断
面模式図である。
【図3】本発明の断熱層付化粧シートの一実施態様の断
面模式図である。
【図4】本発明の断熱層付化粧シートの一実施態様の断
面模式図である。
【図5】本発明の断熱層付化粧シートの一実施態様の断
面模式図である。
【図6】本発明の断熱層付化粧シートの一実施態様の断
面模式図である。
【図7】本発明の断熱部材の一実施態様の断面模式図で
ある。
【図8】本発明の断熱部材の一実施態様の断面模式図で
ある。
【図9】断熱層付化粧シートの断熱性能を評価する試験
装置の概要を説明する図である。
【符号の説明】
1…断熱層部 1a…断熱層 1b、1c…不織布 2…中空粒子 3…繊維 4…化粧層 4a…基材層 4b…顔料 4c…絵柄層 4d…エンボス模様 4e…着色インキ 5…接着剤層 6…防湿層 7…断熱部材の基材 8…開口部 9…アルミニウム板 10…発泡スチロールの枠 11…サンプル 12…氷水 13…アルミニウム板の上面 14…サンプル上面の中央部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 公治 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 伊東 有道 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2E001 DB01 DD01 GA06 GA23 GA24 GA26 GA28 GA82 GA85 HA14 HA31 HA32 HA33 HB01 HC01 HC07 HD11 HD13 HE01 HF18 JA06 JA14 3H036 AA09 AB18 AB23 AB24 AC03 AE03 AE13 4F100 AK01A AK25 AK25B AK25E AK27 AK27A AK42 AK51G AR00D AT00C AT00E BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA10B BA10C BA10D BA10E CB02 DE04 DE04A DG01A DG01C DG15 DG15C DG20 EH46 EJ40 GB07 GB08 GB32 GB33 HB00B HB31 JA13A JA20A JA20C JB16A JD02C JD04D JD15A JJ01A JJ02 JJ02A JK04 JK08E JK17 JL10B JL12A JN01E YY00 YY00A YY00C YY00E

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須成分として閉鎖された空洞を有する
    中空粒子、及び、繊維をバインダー樹脂に配合し固化さ
    せてなる断熱層を有する単層構造又は多層構造の断熱層
    部と、当該断熱層部の上に設けられた化粧層とを有する
    ことを特徴とする断熱層付化粧シート。
  2. 【請求項2】 前記断熱層のバインダー樹脂100重量
    部に対して、前記中空粒子が20〜240重量部、及
    び、前記繊維が10〜200重量部、配合されているこ
    とを特徴とする、請求項1記載の断熱層付化粧シート。
  3. 【請求項3】 前記の中空粒子が、ポリアクリロニトリ
    ルで形成され、密度が0.01〜0.07g/cm3
    発泡済みマイクロカプセルであることを特徴とする、請
    求項1記載の断熱層付化粧シート。
  4. 【請求項4】 前記の繊維が、0.3〜5デニールの太
    さ、及び、1〜7mmの長さを有することを特徴とす
    る、請求項1記載の断熱層付化粧シート。
  5. 【請求項5】 前記の繊維が熱融着性繊維であり、当該
    繊維の熱融着により前記断熱層内に3次元ネットワーク
    が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の断
    熱層付化粧シート。
  6. 【請求項6】 前記熱融着性繊維の表面の少なくとも一
    部が、熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とす
    る、請求項5記載の断熱層付化粧シート。
  7. 【請求項7】 前記の繊維が、軸方向に空洞を有する中
    空繊維であることを特徴とする、請求項1記載の断熱層
    付化粧シート。
  8. 【請求項8】 温度20℃、相対湿度95%における前
    記繊維の吸湿度が10%未満であることを特徴とする、
    請求項1記載の断熱層付化粧シート。
  9. 【請求項9】 前記の断熱層部は、前記断熱層の少なく
    とも一面に当該断熱層を支持する支持体を積層してなる
    多層構造を有していることを特徴とする、請求項1記載
    の断熱層付化粧シート。
  10. 【請求項10】 前記の断熱層部は、前記断熱層の少な
    くとも一面に支持体として通気性シートが積層されてな
    り、且つ、断熱層の一部が、前記通気性シートの表面か
    ら当該通気性シートの内部空隙に入り込んでいることを
    特徴とする、請求項9記載の断熱層付化粧シート。
  11. 【請求項11】 前記の通気性シートが不織布であるこ
    とを特徴とする、請求項10記載の断熱層付化粧シー
    ト。
  12. 【請求項12】 前記の不織布が、太さ0.5〜7デニ
    ール、長さ10〜60mmの繊維からなることを特徴と
    する、請求項11記載の断熱層付化粧シート。
  13. 【請求項13】 前記の不織布が、熱融着性繊維を含有
    していることを特徴とする、請求項11記載の断熱層付
    化粧シート。
  14. 【請求項14】 前記の不織布が、軸方向に空洞を有す
    る中空繊維からなることを特徴とする、請求項11記載
    の断熱層付化粧シート。
  15. 【請求項15】 前記断熱層部と前記化粧層の間、及び
    /又は、前記断熱層部の化粧層が設けられているのとは
    反対側に、防湿層がさらに設けられていることを特徴と
    する、請求項1記載の断熱層付化粧シート。
  16. 【請求項16】 前記断熱層の熱伝導率が、0.01〜
    0.5W/m・Kであることを特徴とする、請求項1記
    載の断熱層付化粧シート。
  17. 【請求項17】 JIS K7203に規定する曲げ試
    験において、屈曲部分の曲率半径5.0mmで1.0N
    の荷重を加えても破損しないことを特徴とする、請求項
    16記載の断熱層付化粧シート。
  18. 【請求項18】 前記の化粧層が、装飾処理を施した着
    色アクリル系樹脂シート上に、JIS K7127にお
    ける破断点伸度が100%以上である透明アクリル系樹
    脂シートを積層してなることを特徴とする、請求項1記
    載の断熱層付化粧シート。
  19. 【請求項19】 基材の表面を前記請求項1乃至請求項
    18のいずれかに記載の断熱層付化粧シートで被覆して
    なることを特徴とする、断熱部材。
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