JP4583126B2 - 壁紙 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の内装材、特に壁装材として好適に用いられる壁紙に関する。
従来、建築物の内装材等に使用されている壁紙としては、紙基材の上に塩化ビニル樹脂を形成したいわゆる塩化ビニル壁紙が広く利用されている。ところが、近年では塩化ビニルを使用しない化粧シートが考えられており、発泡させたポリオレフィンを用いた壁紙(いわゆる非塩ビ樹脂壁紙)が提案されている。
これらの製法としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)エマルション又はアクリルエマルションを主原料としてコンマコートにて製膜する方法のほか、EVA又はエチレン−メチルメタアクリレート共重合体(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体:EMMA)を主原料としてカレンダー法又は押し出し法にて製造する方法が知られている。
特に、壁紙を製造するにあたり、多層の発泡体層を形成する場合にはTダイを用いる押し出し法を適用することができる。ただし、この場合には、押し出し機内の摩擦により発泡しないように管理する必要がある。このため、用いる樹脂成分も比較的高いメルトフローレート(MFR)のものを使用する必要がある。
しかしながら、上記のような高MFRの樹脂成分を使用すると、その硬化樹脂は高い強度をもたないので、製品として表面強度が低いものしか製造することができない。
従って、本発明は、多層の発泡体層を有する壁紙において、優れた表面強度を有する壁紙を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、発泡体層を特定の構成にすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の壁紙及びその製造方法に係る。
1. 繊維質基材シート上にポリオレフィン系樹脂発泡体層、印刷絵柄層及び艶調整層が積層され、表面に凹凸が形成されている壁紙の製造方法であって、
前記ポリオレフィン系樹脂が、メルトフローレートが40以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体であり、
前記発泡体層は、
)2層以上の多層構造を有し、
)メルトフローレートが40以上の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成され、かつ、電離放射線によって架橋されたものであり、
3)前記発泡体層のうち最表面にある発泡体層は、架橋助剤を他の発泡体層よりも多く含む樹脂組成物により形成されており
前記発泡体層を形成する樹脂組成物をTダイ押し出しし、電離放射線によって架橋させた後に発泡させることにより発泡体層を形成し、表面に凹凸エンボスを施して凹凸を形成することを特徴とする壁紙の製造方法
2. 前記発泡体層が中間層及び表面層の2層からなり、前記表面層が他の発泡体層よりも多く架橋助剤を含む樹脂組成物により形成されている、前記項1に記載の方法
3. 前記表面層が、樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して架橋助剤を1重量部以上含む樹脂組成物により形成されている、前記項2に記載の方法
4. 前記中間層が、樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して架橋助剤を0〜10重量部含む樹脂組成物により形成されている、前記項2又は3に記載の方法
5. 架橋助剤の一部又は全部が、アクリルモノマーである、前記項1〜4のいずれかに記載の方法
本発明の壁紙によれば、所望の意匠性と優れた表面強度を有する壁紙を提供することができる。前者にあっては、各層の密着性に優れた多層構造をとることができるため、所望の意匠性を自由に付与することができる。後者については、架橋助剤が多く含まれる特定の樹脂組成物により形成されているので、隣接する層との密着性に優れるとともに、所定の表面強度を発揮することができる。
本発明の壁紙
本発明の壁紙は、繊維質基材シート上にポリオレフィン系樹脂発泡体層が積層されている壁紙であって、
1)前記発泡体層が2層以上の多層構造を有し、
2)前記発泡体層は、メルトフローレートが40以上の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成され、かつ、電離放射線によって架橋されたものであり、
3)前記発泡体層のうち最表面にある発泡体層は、架橋助剤を他の発泡体層よりも多く含む樹脂組成物により形成されている、
ことを特徴とする。
繊維質基材シートとしては、例えば紙、不織布、織布等が用いられる。紙としては、難燃紙又は一般紙のいずれであっても良い。
難燃紙としては、紙の中に次のような難燃剤を含有させた紙である。難燃剤としては、例えば尿素、アンモニウム化合物等の窒素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物(好ましくは水和物)のほか、自消性を有するリン又はハロゲン元素を含む難燃剤が適している。特に水酸化マグネシウム等のように結晶水を含む化合物を配合することにより、燃焼分解時に結晶水の気化熱によって好適に難燃化を図ることができる。
不織布としては、例えば湿式不織布、乾式不織布等がある。湿式不織布としては、例えば抄紙式がある。また、乾式不織布としては、例えば接着剤式、機械結合式(ニードルパンチ、ステッチボンド)、スパンボンド式等がある。より具体的には、不織布として、レーヨン紙、パルプを混抄したもの、和紙、ガラス不織布、石綿不織布、ポリエステル不織布等が用いられる。
本発明の壁紙では、ポリオレフィン系発泡体層は、2層以上の多層構造を有する。例えば、発泡体層が中間層及び表面層の2層からなり、前記表面層が架橋助剤を他の発泡体層よりも多く含む樹脂組成物により形成されている構成を好適に採用することができる。
多層構造を有する発泡体層の各層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリブテン−1、ブテン−1・プロピレン・エチレン・3元共重合体、ブテン−1・ヘキセン−1・オクテン−1・3元共重合体、ポリメチルペンテンのほか、特開平6−16832号公報、特公平6−23278号公報等に記載されたオレフィン系エラストマー等も使用できる。これらの樹脂は1種又は2種以上で用いることができる。
本発明における発泡体層は、メルトフローレートが40以上(好ましくは60以上)の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成されている。上記メルトフローレートは、上記の各種の樹脂成分から適宜選択することができる。なお、メルトフローレートの上限値は適宜決定すれば良い。メルトフローレートを上記範囲に設定することによって、押し出し機によって好適に押し出しすることができる。このような樹脂成分としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることができる。すなわち、樹脂成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む樹脂組成物を好適に用いることができる。この場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体は樹脂成分中40重量%以上含まれていることが望ましい。
本発明の発泡体層は、電離放射線によって架橋(硬化)されている。電離放射線による照射は、後記の方法に従って実施すれば良い。電離放射線により架橋することによって、良好な表面強度を得ることができる。
本発明の発泡体層では、そのうち最表面にある発泡体層は、架橋助剤を他の発泡体層よりも多く含む樹脂組成物により形成されている。これによって、最表面の発泡体層が比較的高い架橋度をもつことになるので、優れた表面強度を達成することができる。この場合、それ以外の発泡体層は、架橋助剤を含まない樹脂組成物によって形成されていても良いし、あるいは架橋助剤の含有量が比較的少ない樹脂組成物によって形成されていても良い。
最表面にある発泡体層における架橋助剤の使用量は、樹脂組成物の組成、多層構造の形式等に応じて適宜設定することができるが、通常は樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して1重量部以上、好ましくは2〜5重量部程度とすれば良い。それ以外の発泡体層のために用いる樹脂組成物では、架橋助剤の含有量は樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して10重量部以下、好ましくは1〜3重量部程度とすれば良い。
従って、例えば発泡体層が中間層及び表面層の2層からなる場合は、表面層のための樹脂組成物の架橋助剤は2〜4重量部とし、中間層のための樹脂組成物の架橋助剤は1〜2重量部とすることが望ましい。
多層構造を有する発泡体層の各層の厚みは限定的でなく、用途に応じて適宜決定すれば良い。
本発明の発泡体層は、発泡倍率の限定は特にないが、通常は3〜5倍程度であれば良い。上記範囲であれば、所望の表面強度、加工性等をより確実に得ることができる。
本発明の発泡体層は、必要に応じて装飾処理が施されていても良い。例えば、エンボス加工等の公知の装飾処理が挙げられる。
また、本発明の壁紙の構成は、基本的には繊維質基材にポリオレフィン系樹脂発泡体層が積層されているものであるが、本発明の効果を妨げない範囲内で他の層(接着剤層、プライマー層等)が含まれていても良い。
壁紙の製法
本発明の壁紙の製造方法は、上記のような特性を有する発泡体層が形成できる限り限定されない。特に、メルトフローレートが40以上のポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物の2種を用い、同時押し出しラミネートにより積層体を形成し、前記積層体に電離放射線を照射することにより架橋する工程を含む方法によって好適に製造することができる。
例えば、メルトフローレートが40以上のポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物(第1組成物)とメルトフローレートが50以上のポリオレフィン系樹脂と架橋助剤とを含む樹脂組成物(第2組成物)とを用い、同時押し出しラミネートにより積層体を作製した後、積層体に電離放射線を照射することによって架橋する工程を含む方法によって好適に製造することができる。特に、第1組成物のポリオレフィン系樹脂と第2組成物のポリオレフィン系樹脂は実質的に同じものを使用することが望ましい。
第1組成物又は第2組成物としては、1)ポリオレフィン系樹脂、2)発泡剤及び3)架橋助剤(特に第2組成物)を含む樹脂組成物を好適に用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、前記で示したポリオレフィン系樹脂を1種又は2種以上で用いることができる。
発泡剤は、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、前記したポリオレフィン系樹脂のプラスチゾル、オルガノゾル等の組成物に起泡剤を添加し、プラネタリーミキサー等の攪拌機で攪拌して機械的に発泡させる場合は、市販の起泡剤を使用すれば良い。また、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド系化合物;N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;炭酸アンモニウム、ソジウムボロンハイドライト、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の熱分解型発泡剤のほか、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル等からなる樹脂皮殻にヘキサン、ヘプタン、ブタン、空気等の熱膨張性気体を内包させたマイクロカプセル型発泡剤等を用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
発泡剤の添加量は、使用する発泡剤の種類、発泡方法等により適宜設定すれば良いが、一般的にはポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部程度とすれば良い。
熱分解型発泡剤を用いて発泡体層とする場合には、この発泡剤とともに必要に応じて発泡促進剤を添加することができる。発泡促進剤は使用する熱分解型発泡剤の熱分解、気体発生反応を促進する物質を使用すれば良い。例えば、発泡剤としてアゾジカーボンアミド等のアゾ化合物を用いる場合は、発泡促進剤として二塩基性硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ステアリン酸鉛、亜鉛華、尿素、シュウ酸、エタノールアミン等を少なくとも1種用いることができる。また、発泡剤としてN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンを用いる場合は、発泡促進剤としてシュウ酸、サリチル酸、無水フタル酸、尿素、エチレングリコール、ホウ酸、安息香酸等を少なくとも1種用いることができる。
架橋剤は、ポリオレフィン系樹脂を架橋するものであれば良く、用いるポリオレフィン系樹脂の種類等に応じて適宜選択すれば良い。本発明では、特にアクリルモノマー等を好適に用いることができる。
架橋助剤の添加量は、使用する架橋助剤の種類、所望の発泡体層の特性等に応じて適宜設定できる。より具体的には、前記で示した添加量を各層にそれぞれ適用すれば良い。
その他、必要に応じて上記樹脂組成物に添加剤を配合することができる。例えば、無機充填剤を入れて増量効果を付与したり、難燃剤を入れて難燃性を付与した発泡体層にすることもできる。
無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉末(粒子)のほか、マイカ、シリカ、アルミナ、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンのような無機質中空体等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば尿素等の窒素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物(特に結晶水を持つ化合物)、自消性を有するリン又はハロゲン元素を含む難燃剤等が適している。特に水酸化物のような化合物を配合することにより、燃焼分解時に結晶水の気化熱で難燃化を図ることができる。また、ポリオレフィン系樹脂に、窒素化合物とリン化合物からなる混合難燃化合物が25〜100重量部配合されていると好ましい。その理由としては、ポリオレフィンとの相溶性が良好となり、熱安定性も良くなるからである。
次いで、上記樹脂組成物(混練物)を用い、樹脂組成物による層を形成する。この形成方法は、例えばTダイによる押出し法、カレンダー加工による方法、接着剤を用いるドライラミネートによる方法、ゾルコートによる方法等の公知の方法をいずれも採用することができる。この場合、樹脂組成物による層を繊維質基材上に直接形成し、積層体とする方法であっても良いし、あるいは樹脂組成物による層を単独で形成した後、これを繊維質基材に積層する方法等のいずれであっても良い。
次に、樹脂組成物による層は、発泡処理に先立って、予め電離放射線による架橋処理(硬化処理)を施す。例えば、繊維質基材シート上に上記樹脂組成物による層を形成し、発泡適性粘度の温度範囲を広くするために、電子線等の電離放射線を照射して架橋させる。これにより、生産性が安定する上、表面の発泡シートは電子線で架橋されているので、表面がより硬くなり、表面に傷が付きにくくなる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合・架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常は紫外線、電子線等が用いられる。紫外線源としては、例えば超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源を用いることができる。また、電子線源としては、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用れば良い。強度としては、通常100〜1000keV程度、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射すれば良い。
次いで、発泡処理を行い、所定の発泡体層を形成する。発泡処理の方法は特に限定されず、公知の壁紙で採用されている方法に従えば良い。例えば、発泡する前の層を200〜300℃程度で加熱することにより実施することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を用いながらより詳細に説明する。図1は、本発明による壁紙4の実施の形態を示す断面図であり、図中、1は模様、2は発泡体層、3は繊維質基材シート、4は壁紙である。
壁紙としては、図1のようなもの以外にも種々のものが挙げられる。例えば、図2のような壁紙15は、繊維質基材シート14上に、エンボス加工された発泡体層13が積層され、このエンボス凹部にワイピングインキ12があり、凸部に木目柄11があり、全体を保護層10で覆ったものとなっている。また、図3のように、艶調整層を最表面に形成しても良い。
装飾処理を施す場合、前記発泡体層表面に対し、図1のように直接模様を印刷することも可能であるが、インキと発泡体層との接着力をより強固なものにする場合には、発泡体層の表面に易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理等の易接着処理を施すことが望ましい。
易接着層(プライマー層又はアンカー層ともいう。)としては、例えばアクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができる。特に、特にアクリル、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
アクリルとしては、例えばポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂のことである。但し、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルを意味するものとし、以下同様である。
ポリウレタンとはポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする組成物である。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2−4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4−4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環族)イソシアネートが用いられる。
本発明の壁紙に装飾処理を施す方法としては、例えば上記発泡体層2に顔料を添加して透明着色又は不透明着色を施す方法が挙げられる。
顔料としては、公知又は市販のものを使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブリーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。これらは、用途に応じて、透明着色顔料又は不透明着色顔料のいずれかを選択することができる。これら顔料は、粉末又は鱗片状箔片として添加、分散すれば良い。
また、本発明の壁紙に装飾処理を施す他の方法としては、例えば図1又は図2のように、発泡体層に装飾層(模様1、木目柄11)を設ける方法が挙げられる。装飾層は、印刷層、金属薄膜等を積層することにより形成することができる。印刷法としては、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用い、インキ(或いは塗料)にて模様1を形成すれば良い。
模様(柄)としては、例えば木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号等のほか、或いは全面ベタ等がある。模様は発泡体層の表面、裏面、表裏両面、層間等に設けることができる。
装飾層用のインキ(図2のワイピングインキ12も含む)又は塗料については、バインダー(ベヒクル)として塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を用いることができる。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。これに前記に列挙したような公知の顔料を添加した物を用いれば良い。図2の保護層10は、顔料を含まない装飾層のインキと同じ成分である。
図1のように、発泡体層に直接印刷する場合は、バインダーとしてアクリル、塩素化ポリオレフィン、ポリウレタン等が接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して層形成すれば、その他のバインダーを用いても十分な接着性を得ることができる。
装飾層を金属薄膜によって形成する場合、金属薄膜を全面又は部分的にパターン状に積層する方法が挙げられる。金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせでも良い。金属薄膜は、全面に設けても良いし、部分的にパターン状に設けても良い。
装飾層は、図3のように艶調整層にしても良い。艶調整層とは、発泡体層の表面に所望の艶を与えるものであって、適宜のベヒクルを用いた塗料を塗布することにより形成できる。ベヒクルとしては、前記した装飾層に用いられるインキのベヒクルと同じである。艶調整層を形成する塗料には、通常適量の艶消し剤を分散させて、所望の艶消し度を与えるが、艶消し剤を全く含まないグロス(光沢)タイプの塗料を用いることもある。使用できる艶消し剤は、例えばマイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンのような無機質中空体などである。
本発明の壁紙において、より良好な耐候性(耐光性)を付与するために、必要に応じて発泡体層又はその保護層中に、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤を添加することができ、その添加量は紫外線吸収剤、光安定剤とも通常0.5〜10重量%程度であるが、一般的には紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するのが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、あるいは0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
壁紙4を貼りつけるための被着材としては特に制限されず、例えば石膏ボード、パーライトボード、襖、扉等の平板、曲面板等の板材、立体形状物品〔成形品〕等の各種形状の物品が対象となる。
これら各種被着材への積層方法としては、例えば1)接着剤層を間に介して被着材に加圧ローラー、ブラシ等で加圧して積層する方法、2)被着材の表面に壁紙4を間に接着剤層を介して対向乃至は載置し、被着材(成形品)側からの真空吸引による圧力差により壁紙4を成形品表面に積層する、いわゆる真空プレス積層方法、3)円柱、多角柱等の柱に、壁紙4を間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次壁紙4を加圧接着して積層してゆく、いわゆるラッピング加工法等がある。特に、壁紙4を凹凸立体物に貼り合わせる方法としては、ラッピング加工法が好ましい。
本発明の壁紙4は、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輛内装、航空機内装、窓硝子の化粧等の用途が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
図3に示す構成の壁紙を製造した。発泡体層として、中間層(90μm)と表面層(10μm)の2層とした。中間層は、表1に示す組成を有する樹脂組成物により形成した。次に、中間層の形成した用いた樹脂組成物のうち架橋助剤の含有量を4重量部とした以外は同じ樹脂組成物を用いて中間層上に表面層を形成した。各層の形成は、それぞれの樹脂組成物を120℃に加熱し、Tダイ押し出しによって非発泡状態で製膜した後、上質紙(繊維質基材シート)に積層した。
Figure 0004583126
次に、この樹脂層側から電子線(175kv,3Mrad)を照射することにより架橋させた。そして、この樹脂層の表面に、アクリル系水性インキ(「ハイドリック」大日精化工業製)を用いて石目柄を、次いでEVA系インキ(「CRW」松井色素製)を用いて艶調整層をグラビア印刷法にて設けた後、加熱炉中にて230°Cで30秒加熱し、前記樹脂層を5倍に発泡させることにより発泡体層を形成し、表面に凹凸エンボスを施して凹凸を形成した。
比較例1〜3
中間層及び表面層を形成するための各脂組成物について、架橋助剤の使用量を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様にして壁紙を製造した。
Figure 0004583126
試験例1
各実施例及び比較例の壁紙について、発泡層の形成、耐スクラッチ性及び耐摩耗性について調べた。その結果を表2に示す。各評価は、「○」が良好、「△」がやや不良、「×」は不良を示す。
本発明の壁紙の一例を示す断面図である。 本発明の壁紙の一例を示す断面図である。 本発明の壁紙の一例を示す断面図である。

Claims (5)

  1. 繊維質基材シート上にポリオレフィン系樹脂発泡体層、印刷絵柄層及び艶調整層が積層され、表面に凹凸が形成されている壁紙の製造方法であって、
    前記ポリオレフィン系樹脂が、メルトフローレートが40以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体であり、
    前記発泡体層は、
    )2層以上の多層構造を有し、
    )メルトフローレートが40以上の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成され、かつ、電離放射線によって架橋されたものであり、
    3)前記発泡体層のうち最表面にある発泡体層は、架橋助剤を他の発泡体層よりも多く含む樹脂組成物により形成されており
    前記発泡体層を形成する樹脂組成物をTダイ押し出しし、電離放射線によって架橋させた後に発泡させることにより発泡体層を形成し、表面に凹凸エンボスを施して凹凸を形成することを特徴とする壁紙の製造方法
  2. 前記発泡体層が中間層及び表面層の2層からなり、前記表面層が他の発泡体層よりも多く架橋助剤を含む樹脂組成物により形成されている、請求項1に記載の方法
  3. 前記表面層が、樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して架橋助剤を1重量部以上含む樹脂組成物により形成されている、請求項2に記載の方法
  4. 前記中間層が、樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して架橋助剤を0〜10重量部含む樹脂組成物により形成されている、請求項2又は3に記載の方法
  5. 架橋助剤の一部又は全部が、アクリルモノマーである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法
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