JP4573612B2 - 壁紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の内装材、特に壁装材として好適に用いられる壁紙に関する。
従来、建築物の内装材等に使用されている壁紙としては、紙基材の上に塩化ビニル樹脂を形成したいわゆる塩化ビニル壁紙が広く利用されている。ところが、近年では塩化ビニルを使用しない化粧シートが考えられており、発泡させたポリオレフィンを用いた壁紙(いわゆる非塩ビ樹脂壁紙)が提案されている。
これらの製法としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)エマルション又はアクリルエマルションを主原料としてコンマコートにて製膜する方法のほか、EVA又はエチレン−メチルメタアクリレート共重合体(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体:EMMA)を主原料としてカレンダー法又は押し出し法にて製造する方法が知られている。
これらの製法のうち現在利用されている方法はコンマコート又はカレンダー法がほとんどであり、押し出し法は採用されていない。この理由は、押し出し法の生産性の悪さ及び製品の品質の低さにある。コンマコート又はカレンダー法が生産速度30〜100m/分であるのに対し、押し出し法では10〜30m/分程度である。生産性を高めるために押出機の回転数を上げると、押出機内の樹脂温度が上昇し、機内で発泡してしまうおそれがある。これを避けるためには樹脂のメルトフローレート(MFR)を高めれば良いが、MFRを高めると最終的に得られる壁紙の品質(特に耐スクラッチ性能)の低下が起こる。
以上のことから、押し出し法では、生産性と品質とを両立することが困難とされている。押し出し法で上記の点を改善することができれば、多層化が容易かつ確実に実現できるという押し出し法本来のメリットを活かしたかたちで壁紙原反を製造することが可能になる。
従って、本発明は、押し出し法によって優れた品質を有する壁紙を効率的に提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、発泡体層の形成に特定の樹脂組成物を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の壁紙及びその製造方法に係る。
1.繊維質基材シート上にポリオレフィン系樹脂発泡体層が積層されている壁紙を製造する方法であって、以下の(i)〜(iii)の工程:
(i) 前記発泡体層の形成において、
1)エチレン−酢酸ビニル共重合体を含み
2)温度130℃及び剪断速度10〜10 4 /秒における粘度が40〜1.5×103Pa・secであり、かつ、
3)温度130℃及び剪断速度10〜104/秒における剪断応力が9×103〜5×105 Paである
樹脂組成物を、Tダイ押し出しすることにより層を形成する工程、
(ii)記層を電子線により架橋する工程、及び
(iii) 前記層を加熱により発泡させる工程、
を順に含むことを特徴とする壁紙の製造方法
2. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル成分が15〜30重量%である、上記項1に記載の製造方法。
3. 前記樹脂組成物が架橋助剤を含む、上記項1又は2に記載の製造方法。
4. 前記架橋助剤の一部又は全部が、アクリルモノマーである、上記項3に記載の製造方法。
2. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル成分が15〜30重量%である、前記項1に記載の壁紙。
本発明によれば、特定の物性を有する樹脂組成物を押し出し法で発泡層を形成することによって、良好な品質を有する壁紙を効率的に提供することができる。特に、生産性にあっては、カレンダー法に匹敵する性能(例えば30〜100m/分)を得ることができる。また、このような高速で生産しても、これまで以上に優れた品質(例えば、発泡状態、膜厚の均一性等)を安定して得ることができる。
本発明の壁紙
本発明の壁紙は、繊維質基材シート上にポリオレフィン系樹脂発泡体層が積層されている壁紙であって、
(1)a)エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体の少なくとも1種の樹脂を含み、b)温度130℃における粘度が40〜1.5×103Pa・secであり、かつ、c)温度130℃及び剪断速度10〜104/秒における剪断応力が9×103〜5×105である樹脂組成物(樹脂含有原料)により前記発泡体層が形成されており、
(2)前記発泡体層は、電離放射線により架橋されたものである、
ことを特徴とする。
繊維質基材シートとしては、例えば紙、不織布、織布等が用いられる。紙としては、難燃紙又は一般紙のいずれであっても良い。
難燃紙としては、紙の中に次のような難燃剤を含有させた紙である。難燃剤としては、例えば尿素、アンモニウム化合物等の窒素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物(好ましくは水和物)のほか、自消性を有するリン又はハロゲン元素を含む難燃剤が適している。特に水酸化マグネシウム等のように結晶水を含む化合物を配合することにより、燃焼分解時に結晶水の気化熱によって好適に難燃化を図ることができる。
不織布としては、例えば湿式不織布、乾式不織布等がある。湿式不織布としては、例えば抄紙式がある。また、乾式不織布としては、例えば接着剤式、機械結合式(ニードルパンチ、ステッチボンド)、スパンボンド式等がある。より具体的には、不織布として、レーヨン紙、パルプを混抄したもの、和紙、ガラス不織布、石綿不織布、ポリエステル不織布等が用いられる。
ポリオレフィン系発泡体層(以下、単に「発泡体層」ともいう。)は、1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)の少なくとも1種の樹脂を含み、2)温度130℃における粘度が40〜1.5×103Pa・secであり、かつ、3)温度130℃及び剪断速度10〜104/秒における剪断応力が9×103〜5×105である樹脂組成物により形成されている。かかる特性を充足する材料を用いることにより、押し出し法によって優れた特性を有する壁紙を効率良く提供することが可能になる。
EVA及びEMMAは特に限定されず、公知又は市販のものを使用することができる。特に、EVAは、酢酸ビニル成分(VA成分)が15〜30重量%(特に20〜25重量%)であるものが望ましい。また、EMMAは、メタクリル酸メチル成分(EMA成分)が15〜30重量%(特に20〜25重量%)であるものが望ましい。
本発明では、樹脂成分としてEVA及びEMMA以外のものが含まれていても良い。例えば、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリブテン−1、ブテン−1・プロピレン・エチレン・3元共重合体、ブテン−1・ヘキセン−1・オクテン−1・3元共重合体、ポリメチルペンテンのほか、特開平6−16832号公報、特公平6−23278号公報等に記載されたオレフィン系エラストマー等も使用できる。これらの樹脂は1種又は2種以上で用いることができる。
上記発泡体層を形成する樹脂組成物は、温度130℃における粘度(溶融粘度)が40〜1.5×103Pa・secであり、かつ、温度130℃及び剪断速度10〜104/秒における剪断応力が9×103〜5×105Paである。かかる範囲に設定することによって、優れた生産性を発揮するとともに、得られる製品も高い品質を維持することができる。上記の物性は、用いる樹脂の種類等を適宜組み合わせることにより適宜制御することができる。
本発明では、発泡体層は、電離放射線によって架橋されている。これによって、より優れた表面強度等を得ることができる。電離放射線による架橋は、後記に示す方法によって好適に実施することができる。
本発明の発泡体層は、発泡倍率の限定は特にないが、通常は3〜5倍程度であれば良い。上記範囲であれば、所望の表面強度、加工性等をより確実に得ることができる。
本発明の発泡体層は、必要に応じて装飾処理が施されていても良い。例えば、エンボス加工等の公知の装飾処理が挙げられる。
また、本発明の壁紙の構成は、基本的には繊維質基材にポリオレフィン系樹脂発泡体層が積層されているものであるが、本発明の効果を妨げない範囲内で他の層(接着剤層、プライマー層等)が含まれていても良い。
壁紙の製法
本発明の壁紙の製造方法は、上記のような特性を有する発泡体層が形成できる限り限定されない。例えば、繊維質基材シート上にポリオレフィン系樹脂発泡体層が積層されている壁紙を製造する方法であって、
前記発泡体層の形成において、1)エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体の少なくとも1種の樹脂を含み、2)温度130℃における粘度が40〜1.5×103Pa・secであり、かつ、3)温度130℃及び剪断速度10〜104/秒における剪断応力が9×103〜5×105である樹脂組成物による層を形成した後、前記層を電離放射線により架橋する工程を含むことを特徴とする製法を好適に採用することができる。
上記樹脂組成物としては、例えばa)EVA及びEMMAの少なくとも1種、b)発泡剤及びc)架橋助剤を含む樹脂組成物の中から、上記2)及び3)を満たすものを好適に用いることができる。
EVA及びEMMAは、前記で示したものを1種又は2種以上で用いることができる。
発泡剤は、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド系化合物;N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;炭酸アンモニウム、ソジウムボロンハイドライト、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の熱分解型発泡剤のほか、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル等からなる樹脂皮殻にヘキサン、ヘプタン、ブタン、空気等の熱膨張性気体を内包させたマイクロカプセル型発泡剤等を用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
発泡剤の添加量は、使用する発泡剤の種類、発泡方法等により適宜設定すれば良いが、一般的にはポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部程度とすれば良い。
熱分解型発泡剤を用いて発泡体層とする場合には、該発泡剤とともに必要に応じて発泡促進剤を添加することができる。発泡促進剤は使用する熱分解型発泡剤の熱分解、気体発生反応を促進する物質を使用すれば良い。例えば、発泡剤としてアゾジカーボンアミド等のアゾ化合物を用いる場合は、発泡促進剤として二塩基性硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ステアリン酸鉛、亜鉛華、尿素、シュウ酸、エタノールアミン等を少なくとも1種用いることができる。また、発泡剤としてN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンを用いる場合は、発泡促進剤としてシュウ酸、サリチル酸、無水フタル酸、尿素、エチレングリコール、ホウ酸、安息香酸等を少なくとも1種用いることができる。
架橋助剤は、ポリオレフィン系樹脂を架橋するものであれば良く、用いるポリオレフィン系樹脂の種類等に応じて適宜選択すれば良い。本発明では、特にアクリルモノマー等を好適に用いることができる。
架橋助剤の添加量は、使用する架橋助剤の種類、所望の発泡体層の特性等に応じて適宜設定できるが、通常はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、特に1〜3重量部とすることが望ましい。
その他、必要に応じて上記樹脂組成物に添加剤を配合することができる。例えば、無機充填剤を入れて増量効果を付与したり、難燃剤を入れて難燃性を付与した発泡体層にすることもできる。
無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉末(粒子)のほか、マイカ、シリカ、アルミナ、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンのような無機質中空体等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば尿素等の窒素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物(特に結晶水を持つ化合物)、自消性を有するリン又はハロゲン元素を含む難燃剤等が適している。特に水酸化物のような化合物を配合することにより、燃焼分解時に結晶水の気化熱で難燃化を図ることができる。また、ポリオレフィン系樹脂に、窒素化合物とリン化合物からなる混合難燃化合物が25〜100重量部配合されていると好ましい。その理由としては、ポリオレフィンとの相溶性が良好となり、熱安定性も良くなるからである。
次いで、上記樹脂組成物(混練物)を用い、樹脂組成物による層を形成する。この形成方法は、例えばTダイによる押出し法、カレンダー加工による方法、接着剤を用いるドライラミネートによる方法等の公知の方法をいずれも採用することができる。この場合、樹脂組成物による層を繊維質基材上に直接形成し、積層体とする方法であっても良いし、あるいは樹脂組成物による層を単独で形成した後、これを繊維質基材に積層する方法等のいずれであっても良い。
樹脂組成物による層は、発泡処理に先立って、予め電離放射線による架橋処理を施す。例えば、繊維質基材シート上に上記樹脂組成物による層を形成し、発泡適性粘度の温度範囲を広くするために、電子線等の電離放射線を照射して架橋させる。これにより、生産性が安定する上、表面の発泡シートは電子線で架橋されているので、表面がより硬くなり、表面に傷が付きにくくなる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合・架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常は紫外線、電子線等が用いられる。紫外線源としては、例えば超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源を用いることができる。また、電子線源としては、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用れば良い。強度としては、通常50〜300keV程度、好ましくは100〜200keVのエネルギーをもつ電子を照射すれば良い。
次いで、発泡処理を行い、所定の発泡体層を形成する。発泡処理の方法は特に限定されず、公知の壁紙で採用されている方法に従えば良い。例えば、発泡する前の層を200〜300℃程度で加熱することにより実施することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を用いながらより詳細に説明する。図1は、本発明による壁紙4の一実施例を示す断面図であり、図中、1は模様、2は発泡体層、3は繊維質基材シート、4は壁紙である。
壁紙4としては、図1のようなもの以外にも種々のものが挙げられる。例えば、図2のような壁紙15は、繊維質基材シート14上に、エンボス加工された発泡体層13が積層され、このエンボス凹部にワイピングインキ12があり、凸部に木目柄11があり、全体を保護層10で覆ったものとなっている。
装飾処理を施す場合、前記発泡体層表面に対し、図1のように直接模様を印刷することも可能であるが、インキと発泡体層との接着力をより強固なものにする場合には、発泡体層の表面に易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理等の易接着処理を施すことが望ましい。
易接着層(プライマー層又はアンカー層ともいう。)としては、例えばアクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができる。特に、特にアクリル、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
アクリルとしては、例えばポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂のことである。但し、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルを意味するものとし、以下同様である。
ポリウレタンとはポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋助剤(硬化剤)とする組成物である。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2−4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4−4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環族)イソシアネートが用いられる。
本発明の壁紙4に装飾処理を施す方法としては、例えば上記発泡体層2に顔料を添加して透明着色又は不透明着色を施す方法が挙げられる。
顔料としては、公知又は市販のものを使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブリーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。これらは、用途に応じて、透明着色顔料又は不透明着色顔料のいずれかを選択することができる。これら顔料は、粉末又は鱗片状箔片として添加し、分散すれば良い。
また、本発明の壁紙4に装飾処理を施す他の方法としては、例えば図1又は図2のように、発泡体層に装飾層(模様1、木目柄11)を設ける方法が挙げられる。装飾層は、印刷層、金属薄膜等を積層することにより形成することができる。印刷法としては、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用い、インキ(或いは塗料)にて模様1を形成すれば良い。
模様1(柄)としては、例えば木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号等のほか、或いは全面ベタ等がある。模様は発泡体層の表面、裏面、表裏両面、層間等に設けることができる。
装飾層用のインキ(図2のワイピングインキ12も含む)又は塗料については、バインダー(ベヒクル)として塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を用いることができる。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。これに前記に列挙したような公知の顔料を添加した物を用いれば良い。図2の保護層10は、顔料を含まない装飾層のインキと同じ成分である。
図1のように、発泡体層に直接印刷する場合は、バインダーとしてアクリル、塩素化ポリオレフィン、ポリウレタン等が接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して層形成すれば、その他のバインダーを用いても十分な接着性を得ることができる。
装飾層を金属薄膜によって形成する場合、金属薄膜を全面又は部分的にパターン状に積層する方法が挙げられる。金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせでも良い。金属薄膜は、全面に設けても良いし、部分的にパターン状に設けても良い。
装飾層は、艶調整層にしても良い。艶調整層とは、発泡体層の表面に所望の艶を与えるものであって、適宜のベヒクルを用いた塗料を塗布することにより形成できる。ベヒクルとしては、前記した装飾層に用いられるインキのベヒクルと同じである。艶調整層を形成する塗料には、通常適量の艶消し剤を分散させて、所望の艶消し度を与えるが、艶消し剤を全く含まないグロス(光沢)タイプの塗料を用いることもある。使用できる艶消し剤は、例えばマイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンのような無機質中空体等がある。
本発明の壁紙4において、より良好な耐候性(耐光性)を付与するために、必要に応じて発泡体層又はその保護層中に、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤を添加することができ、その添加量は紫外線吸収剤、光安定剤とも通常0.5〜10重量%程度であるが、一般的には紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するのが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、あるいは0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
壁紙4を貼りつけるための被着材としては特に制限されず、例えば石膏ボード、パーライトボード、襖、扉等の平板、曲面板等の板材、立体形状物品〔成形品〕等の各種形状の物品が対象となる。
これら各種被着材への積層方法としては、例えば1)接着剤層を間に介して被着材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、2)被着材の表面に壁紙4を間に接着剤層を介して対向乃至は載置し、被着材(成形品)側からの真空吸引による圧力差により壁紙4を成形品表面に積層する、いわゆる真空プレス積層方法、3)円柱、多角柱等の柱に、壁紙4を間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次壁紙4を加圧接着して積層してゆく、いわゆるラッピング加工法等がある。特に、壁紙4を凹凸立体物に貼り合わせる方法としては、ラッピング加工法が好ましい。
本発明の壁紙4は、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輛内装、航空機内装、窓硝子の化粧等の用途が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
発泡体層を形成するための樹脂組成物として、エチレン−酢酸共重合体(住友化学製「5053」,MFR70,VA20)100重量部、炭酸カルシウム(白石工業製「ホワイトンH」)25重量部、二酸化チタン(デュポン製「R108」)20重量部、セル調整剤(アデカ製「OF101」)5重量部、発泡剤(永和化成製「ADCA#3」)3重量部、発泡剤(永和化成製「OBSH#5000」)1重量部及び架橋助剤(JSR製、アクリルモノマー)1重量部の混練物を用いた。
この混練物を120℃に加熱し、Tダイ押し出しによって非発泡状態で製膜した後、上質紙(繊維質基材シート)上に積層した。次に、この樹脂層側から電子線を照射した(175kv,5Mrad)。そして、この樹脂層の表面に、アクリル系インキ(大日精化製)を用いて石目柄印刷をグラビア印刷法にて行った後、加熱炉中にて230°Cで30秒加熱し、前記樹脂層を5倍に発泡させることにより発泡体層を形成した。
実施例2
発泡体層を形成するための樹脂組成物として、エチレン−酢酸共重合体(住友化学製「5053」,MFR70,VA20)100重量部、炭酸カルシウム(白石工業製「ホワイトンH」)50重量部、二酸化チタン(デュポン製「R108」)20重量部、セル調整剤(アデカ製「OF101」)5重量部、発泡剤(永和化成製「ADCA#3」)3重量部、発泡剤(永和化成製「OBSH#5000」)1重量部及び架橋助剤(JSR製、アクリルモノマー)1重量部の混練物を用いた。
この混練物を120℃に加熱し、Tダイ押し出しによって非発泡状態で製膜した後、上質紙(繊維質基材シート)上に積層した。次に、この樹脂層側から電子線を照射した(175kv,5Mrad)。そして、この樹脂層の表面に、アクリル系インキ(大日精化製)を用いて石目柄印刷をグラビア印刷法にて行った後、加熱炉中にて230°Cで30秒加熱し、前記樹脂層を5倍に発泡させることにより発泡体層を形成した。
比較例1
発泡体層を形成するための樹脂組成物として、エチレン−酢酸共重合体(住友化学製「HC−10」,MFR150,VA20)100重量部、炭酸カルシウム(白石工業製「ホワイトンH」)20重量部、二酸化チタン(デュポン製「R108」)20重量部、セル調整剤(アデカ製「OF101」)5重量部、発泡剤(永和化成製「ADCA#3」)3重量部、発泡剤(永和化成製「OBSH#5000」)1重量部及び架橋助剤(JSR製、アクリルモノマー)1重量部の混練物を用いた。
この混練物を120℃に加熱し、Tダイ押し出しによって非発泡状態で製膜した後、上質紙(繊維質基材シート)上に積層した。次に、この樹脂層側から電子線を照射した(175kv,5Mrad)。そして、この樹脂層の表面に、アクリルインキ(大日精化製)を用いて石目柄印刷をグラビア印刷法にて行った後、加熱炉中にて230°Cで30秒加熱し、前記樹脂層を5倍に発泡させることにより発泡体層を形成した。
比較例2
発泡体層を形成するための樹脂組成物として、エチレン−酢酸共重合体(東ソー製「633」,MFR20,VA20)60重量部、エチレン−酢酸共重合体(東ソー製「727」,MFR2200,VA28)40重量部、炭酸カルシウム(白石工業製「ホワイトンH」)50重量部、二酸化チタン(デュポン製「R108」)20重量部、セル調整剤(アデカ製「OF101」)5重量部、発泡剤(永和化成製「ADCA#3」)3重量部、発泡剤(永和化成製「OBSH#5000」)1重量部及び架橋助剤(JSR製、アクリルモノマー)1重量部の混練物を用いた。
この混練物を120℃に加熱し、Tダイ押し出しによって非発泡状態で製膜した後、上質紙(繊維質基材シート)上に積層した。次に、この樹脂層側から電子線を照射した(175kv,5Mrad)。そして、この樹脂層の表面に、アクリル系インキ(大日精化製)を用いて石目柄印刷をグラビア印刷法にて行った後、加熱炉中にて230°Cで30秒加熱し、前記樹脂層を5倍に発泡させることにより発泡体層を形成した。
比較例3
発泡体層を形成するための樹脂組成物として、エチレン−酢酸共重合体(東ソー製「633」,MFR20,VA20)60重量部、エチレン−酢酸共重合体(東ソー製「727」,MFR2200,VA28)40重量部、炭酸カルシウム(白石工業製「ホワイトンH」)50重量部、二酸化チタン(デュポン製「R108」)20重量部、セル調整剤(アデカ製「OF101」)5重量部、発泡剤(永和化成製「ADCA#3」)3重量部及び架橋助剤(JSR製、アクリルモノマー)1重量部の混練物を用いた。
この混練物を120℃に加熱し、Tダイ押し出しによって非発泡状態で製膜した後、上質紙(繊維質基材シート)上に積層した。次に、この樹脂層側から電子線を照射した(175kv,5Mrad)。そして、この樹脂層の表面に、アクリル系インキ(大日精化製)を用いて石目柄印刷をグラビア印刷法にて行った後、加熱炉中にて230°Cで30秒加熱し、前記樹脂層を5倍に発泡させることにより発泡体層を形成した。
試験例1
各実施例及び比較例で作製された壁紙についてその生産性と品質を調べた。その結果について、各樹脂組成物の剪断応力及び溶融粘度を測定した結果と併せて表1に示す。
Figure 0004573612
なお、生産性は、直径130mmの単軸押出機で幅960mm×厚み90μmのシートを100m/分で生産可能か否かを判断し、可能であったものを「○」、可能でなかったものを「×」と評価した。また、品質は、実用上問題なかったものを「○」、発泡後の白度等の異常が認められたものを「×」と評価した。
本発明の壁紙の一例を示す図(断面図)である。 本発明の壁紙の一例を示す図(断面図)である。

Claims (4)

  1. 繊維質基材シート上にポリオレフィン系樹脂発泡体層が積層されている壁紙を製造する方法であって、以下の(i)〜(iii)の工程:
    (i) 前記発泡体層の形成において、
    1)エチレン−酢酸ビニル共重合体を含み、
    2)温度130℃及び剪断速度10〜10 4 /秒における粘度が40〜1.5×103Pa・secであり、かつ、
    3)温度130℃及び剪断速度10〜104/秒における剪断応力が9×103〜5×105 Paである
    樹脂組成物を、Tダイ押し出しすることにより層を形成する工程、
    (ii) 前記層を電子線により架橋する工程、及び
    (iii) 前記層を加熱により発泡させる工程、
    順に含むことを特徴とする壁紙の製造方法。
  2. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル成分が15〜30重量%である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記樹脂組成物が架橋助剤を含む、請求項又はに記載の製造方法。
  4. 前記架橋助剤の一部又は全部が、アクリルモノマーである、請求項に記載の製造方法。
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