JP2001250980A - 3端子発光サイリスタ - Google Patents

3端子発光サイリスタ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光出力の大きな3端子発光サイリスタを得る
ための電極および配線の配置を提供し、また、このよう
な3端子発光サイリスタを用いた自己走査型発光装置を
提供する。 【解決手段】 pnpn構造を有する面発光型の3端子
発光サイリスタにおいて、発光部を挟んでゲート電極と
給電部配線とを配置し、発光部上に、給電部配線に接近
して、給電部電極を設けた。このような発光サイリスタ
において、給電部電極は、ゲート配線および給電部配線
を通る、発光部の中心線上に設けられ、または、発光部
の中心線をはずれた位置に設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面発光型の3端子
発光サイリスタの電極および配線の配置に関し、さらに
はこのような3端子発光サイリスタを用いた自己走査型
発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多数個の発光素子を同一基板上に集積し
た発光素子アレイは、その駆動用ICと組み合わせて光
プリンタ等の書き込み用光源として利用されている。本
発明者らは発光素子アレイの構成要素としてpnpn構
造を持つ面発光型の3端子発光サイリスタに注目し、発
光点の自己走査が実現できることを既に特許出願(特開
平1−238962号公報、特開平2−14584号公
報、特開平2−92650号公報、特開平2−9265
1号公報)し、光プリンタ用光源として実装上簡便とな
ること、発光素子ピッチを細かくできること、コンパク
トな発光装置を作製できること等を示した。
【0003】さらに本発明者らは、スイッチ素子(3端
子発光サイリスタ)アレイを転送部として、発光素子
(3端子発光サイリスタ)アレイよりなる発光部と分離
した構造の自己走査型発光装置を提案している(特開平
2−263668号)。
【0004】図1に、面発光型の3端子発光サイリスタ
の基本構造を示す。一例として、p形基板上にpnpn
構造を形成したものである。この3端子発光サイリスタ
のゲートは、オン電圧を制御する働きを持ち、アノード
に加えられるオン電圧は、ゲート電圧にpn接合の拡散
電位およびオンに必要な電流による電圧降下を加えた電
圧となる。またオンした後、ゲート電圧はカソード電圧
とほぼ一致するようになる。したがって、カソードが接
地されていれば、ゲート電圧は0ボルトとなる。
【0005】図2に、このような3端子発光サイリスタ
を用い、転送部と発光部とが分離された構造の自己走査
型発光装置の等価回路図を示す。この発光装置は、スイ
ッチ素子T(1)〜T(4)、書き込み用発光素子L
(1)〜L(4)からなる。スイッチ素子部分の構成
は、ダイオード接続を用いている。VGKは電源(通常5
V)であり、負荷抵抗RL を経て各スイッチ素子のゲー
ト電極G1 〜G3 に接続されている。また、スイッチ素
子のゲート電極G1 〜G3 は、書き込み用発光素子のゲ
ート電極にも接続される。スイッチ素子T(1)のゲー
ト電極にはスタートパルスφS が加えられ、スイッチ素
子のアノード電極には、交互に転送用クロックパルスφ
1,φ2が加えられ、書き込み用発光素子のアノード電
極には、書き込み信号φI が加えられている。
【0006】動作を簡単に説明する。まず転送用クロッ
クパルスφ1 の電圧がハイレベルで、スイッチ素子T
(2)がオン状態であるとする。このとき、ゲート電極
2 の電位はVGKの5Vからほぼ零Vにまで低下する。
この電位降下の影響はダイオードD2 によってゲート電
極G3 に伝えられ、その電位を約1Vに(ダイオードD
2 の順方向立上り電圧(拡散電位に等しい))に設定す
る。しかし、ダイオードD1 は逆バイアス状態であるた
めゲート電極G1 への電位の接続は行われず、ゲート電
極G1 の電位は5Vのままとなる。発光サイリスタのオ
ン電位は、ゲート電極電位+pn接合の拡散電位(約1
V)で近似されるから、次の転送用クロックパルスφ2
のHレベル電圧は約2V(スイッチ素子T(3)をオン
させるために必要な電圧)以上でありかつ約4V(スイ
ッチ素子T(5)をオンさせるために必要な電圧)以下
に設定しておけばスイッチ素子T(3)のみがオンし、
これ以外のスイッチ素子はオフのままにすることができ
る。従って2本の転送用クロックパルスでオン状態が転
送されることになる。
【0007】スタートパルスφS は、このような転送動
作を開示させるためのパルスであり、スタートパルスφ
S をLレベル(約0V)にすると同時に転送用クロック
パルスφ2をHレベル(約2〜約4V)とし、スイッチ
素子T(1)をオンさせる。その後すぐ、スタートパル
スφS はHレベルに戻される。
【0008】いま、スイッチ素子T(2)がオン状態に
あるとすると、ゲート電極G2 の電位は、VGK(ここで
は5ボルトと想定する)より低下し、ほぼ0Vとなる。
したがって、書き込み信号φI の電圧が、pn接合の拡
散電位(約1V)以上であれば、発光素子L(2)を発
光状態とすることができる。
【0009】これに対し、ゲート電極G1 は約5Vであ
り、ゲート電極G3 は約1Vとなる。したがって、発光
素子L(1)の書き込み電圧は約6V、発光素子L
(3)の書き込み電圧は約2Vとなる。これから、発光
素子L(2)のみに書き込める書き込み信号φI の電圧
は、1〜2Vの範囲となる。発光素子L(2)がオン、
すなわち発光状態に入ると、発光強度は書き込み信号φ
I に流す電流量で決められ、任意の強度にて画像書き込
みが可能となる。また、発光状態を次の発光素子に転送
するためには、書き込み信号φI ラインの電圧を一度0
Vまでおとし、発光している発光素子をいったんオフに
しておく必要がある。
【0010】このような自己走査型発光装置では、発光
素子のアノード電極は、発光部のほぼ中央に、できるだ
け小さな形状で設けられる。
【0011】このような構造を図3に示す。(A)は平
面図、(B)は断面図である。断面図は、(A)の中心
線a−a′線の断面を示している。図中、11はゲート
配線、12はゲート電極、13はアノード配線(給電部
配線)、14はアノード電極(給電部電極)、15は発
光部、20は絶縁膜、21は第1のp型層、22は第1
のn型層、23は第2のp型層、24は第2のn型層お
よび基板、25は裏面電極(カソード電極)である。
【0012】図3において、発光部15のサイズは22
μm×22μmであり、その中央部にあるアノード電極
14のサイズは6μm×8μmである。そしてアノード
配線の延長部(幅6μm)が図示のように、アノード電
極上まで延びている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来の給電部電極の配
置では、アノード電極が発光部の中央に設けられている
ので、このアノード電極への配線によって発光領域の一
部が隠され、光取り出し効率が下がる。
【0014】また、アノード電極がゲート電極に近いの
で、ゲート電極側への電流の偏移が大きく、ゲート電極
下での発光はゲート電極によって隠され取り出せない。
【0015】図4に、図3の発光部の光出力分布を示
す。図4は、図3(A)において、a−a′およびb−
b′の線上の光出力をそれぞれ示す。また、図3(A)
に示すように、xy座標を定めるものとする。図4にお
いて、縦軸は光出力(μW/μm2 )を、横軸はy軸方
向の位置(μm)を示している。
【0016】図4のa−a′線上の発光分布からわかる
ように、アノード電極13およびゲート電極12により
光が遮られて取り出されない。このため発光部の光出力
を大きくできない。
【0017】そこで、本発明の目的は、光出力の大きな
3端子発光サイリスタを得るための電極および配線の配
置を提供することにある。
【0018】本発明の他の目的は、このような3端子発
光サイリスタを用いた自己走査型発光装置を提供するこ
とにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
pnpn構造を有する面発光型の3端子発光サイリスタ
において、発光部を挟んでゲート電極と給電部配線とを
配置し、前記発光部上に、前記給電部配線に接近して、
給電部電極を設けた、ことを特徴とする。
【0020】このような発光サイリスタにおいて、前記
給電部電極は、前記ゲート配線および給電部配線を通
る、前記発光部の中心線上に設けられ、または、前記発
光部の中心線をはずれた位置に設けられる。
【0021】あるいはまた、前記給電部の形状が矩形で
あり、前記給電部の給電部配線側に、前記給電部の張出
し部を設け、この張出し部に前記給電部電極を配置して
もよい。
【0022】本発明の第2の態様は、しきい電圧もしく
はしきい電流が外部から制御可能な制御電極を有する3
端子スイッチ素子多数個を配列したスイッチ素子アレイ
の各スイッチ素子の制御電極を互いに第1の電気的手段
にて接続すると共に、各スイッチの素子の制御電極に電
源ラインを第2の電気的手段を用いて接続し、かつ各ス
イッチ素子の残りの2端子の一方にクロックラインを接
続して形成した自己走査型スイッチ素子アレイと、しき
い電圧もしくはしきい電流が外部から制御可能な制御電
極を有する3端子発光素子多数個を配列した発光素子ア
レイとからなり、前記発光素子アレイの各制御電極と前
記スイッチ素子の制御電極とを接続し、各発光素子の残
りの2端子の一方に発光のための電流を印加する書き込
み信号ラインを設けた自己走査型発光素子アレイチップ
が複数個配列された自己走査型発光装置であり、前記3
端子発光素子は、本発明に係る3端子発光サイリスタで
ある。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照して説明する。
【0024】
【実施例1】図5は、本実施例の自己走査型発光装置の
1つの3端子発光サイリスタの平面図である。
【0025】アノード配線(給電部配線)13を、発光
部15に対してゲート電極12とは反対側に配置する。
そして、発光部15の開口率を上げるために、図3
(A)の配置に比べて、アノード電極(給電部電極)1
4をy軸正方向に移動した。なお、発光部15のサイ
ズ、アノード電極14のサイズ、アノード電極上に延長
されるアノード配線13の延長部の幅サイズは、図3に
同じであるものとする。
【0026】このような発光素子の発光部の光出力分布
を図6に示す。なお、図4の光出力分布との対比のため
に、図3(A)と同じ位置にxy座標を設定するものと
する。図6のa−a′線上の光出力分布と、図4のa−
a′線上の光出力分布と比較すれば明らかなように、図
5の構造の方が、アノード電極への配線長が短い分だ
け、発光出力は増大していることがわかる。
【0027】さらなる比較のために、アノード電極14
を−y方向にずらした構造を試作し、図3の発光サイリ
スタおよび図5の発光サイリスタと同じ電流を流したと
きの光出力を比較した。図7に、これら3つの構造につ
いて、それぞれサイズを示した。(A)は図3の従来構
造を、(B)は図5の実施例1のアノード電極をy方向
にずらした構造を、(C)はアノード電極を−y方向に
ずらした構造をそれぞれ示す。これら各構造において、
アノード電極14の位置と、これに伴う配線の変更以外
はすべて同一サイズである。
【0028】比較結果を、図8に示す。実施例1の構造
では、従来例に比べて、20%程度光量が増加した。こ
れは、電極14をy方向にずらすことにより、配線が発
光部を覆う面積が小さくなった効果の他に、発光の中心
をゲート電極12から遠ざけ、ゲート電極直下の発光を
減らすことができた効果もある。
【0029】一方、図7(C)の電極14を−y方向に
ずらしたものは、従来例よりも10%光量が減った。こ
れは、電極14を−y方向にずらしたものは、発光中心
がゲート電極側に偏ったため、ゲート電極直下で光る電
流の割合が増えたために光出力は下がってしまったこと
による。
【0030】
【実施例2】実施例1では、中心線a−a′線上にアノ
ード電極14を置いた。実施例2では、さらに、図9に
示すように、図において右隅にアノード電極14を配置
した。このように配置しても、実施例1とほとんど同じ
光出力を得られた。ただし、発光中心がa−a′線から
約2μmだけ−x方向(図3参照)にずれた。このこと
を利用して、発光素子アレイの左端の発光点を通常のピ
ッチよりも2μmだけ右側にずらしても、発光中心は通
常のピッチとすることができる。同様に、図において左
隅にアノード電極14を配置した場合には、発光素子ア
レイの右端の発光点についてもずらすことが可能とな
る。
【0031】
【実施例3】本実施例では、アノード電極を、発光部の
外側に設けた。すなわち、図10に示すように、発光部
15のアノード配線13側に給電用の張出し部30を設
け、この部分にアノード電極14を配置した。この構造
においても、図3の従来構造に比べて、発光部の光出力
を大きくすることができた。
【0032】以上の各実施例では、給電部の電極をアノ
ード電極としたが、図1の3端子発光サイリスタにおい
て、p型基板上にpnpn構造が作製されたサイリスタ
では、給電部の電極はカソード電極となる。したがっ
て、以上の各実施例において、アノード電極をカソード
電極にし、アノード配線をカソード配線と置き換えた実
施例も可能であることが理解されるであろう。
【0033】また、本発明は発光素子がアレイ状に配列
された自己走査型発光装置に用いられる3端子発光サイ
リスタに限定されるものではなく、単独の3端子発光サ
イリスタにも適用可能なことは明らかである。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、3端子発光サイリスタ
において、電極および配線の位置を選択することによっ
て、発光部の中央に給電部電極が設けられた従来の構造
に比べて、発光部の光出力を大きくすることが可能とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】3端子発光サイリスタの基本構造を示す図であ
る。
【図2】自己走査型発光装置の等価回路図である。
【図3】従来の3端子発光サイリスタの構造を示す図で
ある。
【図4】図3の発光部の光出力分布を示す図である。
【図5】実施例1の3端子発光サイリスタの平面図であ
る。
【図6】実施例1の発光部の光出力分布を示す図であ
る。
【図7】3つの構造のサイズを示す図である。
【図8】図7の3つの構造について光出力の比較を示す
図である。
【図9】実施例2の3端子発光サイリスタの平面図であ
る。
【図10】実施例3の3端子発光サイリスタの平面図で
ある。
【符号の説明】
11 ゲート配線 12 ゲート電極 13 アノード配線 14 アノード電極 15 発光部 20 絶縁膜 21 第1のp型層 22 第1のn型層 23 第2のp型層 24 第2のn型層および基板 25 裏面電極(カソード電極) 30 給電用の張出し部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pnpn構造を有する面発光型の3端子発
    光サイリスタにおいて、 発光部を挟んでゲート電極と給電部配線とを配置し、 前記発光部上に、前記給電部配線に接近して、給電部電
    極を設けた、ことを特徴とする3端子発光サイリスタ。
  2. 【請求項2】前記給電部電極は、前記ゲート配線および
    給電部配線を通る、前記発光部の中心線上に設けられて
    いることを特徴とする請求項1記載の3端子発光サイリ
    スタ。
  3. 【請求項3】前記給電部電極は、前記発光部の中心線を
    はずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項
    1記載の3端子発光サイリスタ。
  4. 【請求項4】前記給電部の形状が矩形であり、前記給電
    部の給電部配線側に、前記給電部の張出し部を設け、こ
    の張出し部に前記給電部電極を配置したことを特徴とす
    る請求項2記載の3端子発光サイリスタ。
  5. 【請求項5】前記給電部電極はアノード電極またはカソ
    ード電極であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の3端子発光サイリスタ。
  6. 【請求項6】しきい電圧もしくはしきい電流が外部から
    制御可能な制御電極を有する3端子スイッチ素子多数個
    を配列したスイッチ素子アレイの各スイッチ素子の制御
    電極を互いに第1の電気的手段にて接続すると共に、各
    スイッチの素子の制御電極に電源ラインを第2の電気的
    手段を用いて接続し、かつ各スイッチ素子の残りの2端
    子の一方にクロックラインを接続して形成した自己走査
    型スイッチ素子アレイと、 しきい電圧もしくはしきい電流が外部から制御可能な制
    御電極を有する3端子発光素子多数個を配列した発光素
    子アレイとからなり、 前記発光素子アレイの各制御電極と前記スイッチ素子の
    制御電極とを接続し、各発光素子の残りの2端子の一方
    に発光のための電流を印加する書き込み信号ラインを設
    けた自己走査型発光素子アレイチップが複数個配列され
    た自己走査型発光装置において、 前記3端子発光素子は、請求項1〜5のいずれかに記載
    の3端子発光サイリスタであることを特徴とする自己走
    査型発光装置。
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