JP2001247786A - X型無金属フタロシアニン顔料、その製造方法、およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

X型無金属フタロシアニン顔料、その製造方法、およびそれを用いた電子写真感光体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度および分散性が安定して良好な新規なX
型無金属フタロシアニン、および安定的に良好な画質の
画像を形成し得る電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 CuKα特性X線に対するブラッグ角度
(2θ±0.2°)の9.1°及び28.5°における
回折強度をそれぞれS(9.1°)及びS(28.5
°)としたとき、0.1 ≦ {S(9.1°)/S
(28.5°)} ≦2.0をすことを特徴とするX型
無金属フタロシアニン顔料である。また、該顔料を含有
する感光層を有する電子写真感光体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なX型無金属
フタロシアニン顔料とその製造方法及び該X型無金属フ
タロシアニン顔料を利用した電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】フタロシアニン顔料は、機能材料として
さまざまな分野で活用されており、青色又は緑色系の顔
料、染料として用いられるほか、電子写真感光体、光デ
ィスク、太陽電池、センサー、脱臭剤、抗菌剤、非線形
光学材料等、幅広い分野で活発に研究開発が行われてい
る。例えば、感光波長領域が半導体レーザーの近赤外領
域まで長波長化したフタロシアニン顔料が開発され、主
に、レーザー・プリンターやフルカラー複写機等のデジ
タル記録用感光体の電荷発生材料として既に実用化され
ている。また、フタロシアニン顔料については、その結
晶型と電子写真特性を中心に、多くの報告がなされてい
る。
【0003】一般に、フタロシアニン顔料は、製造方
法、処理方法の違いにより,幾つかの結晶型を示し、こ
の結晶型の違いがフタロシアニン顔料の光電変換特性に
大きな影響を及ぼすことが知られている。フタロシアニ
ン顔料の結晶型については、例えば、銅フタロシアニン
顔料についてみると、安定型のβ型以外に、α、ε、
χ、γ、δ等の結晶型が知られ、これらの結晶型は、機
械的歪力、硫酸処理、有機溶剤処理及び熱処理等により
相互に転移が可能であることが知られている(例えば米
国特許第2,770,629号、3,160,635
号、同第3,708,292号及び同3,357,98
9号明細書)。また、無金属フタロシアニン顔料では、
α、β、γ、ε、δ及びX等の結晶型が知られており、
特公昭44−14106号公報、特公昭49−4338
号公報および特開平4−227768号公報には、他の
結晶型の無金属フタロシアニン顔料に比べて良好な電子
写真特性を示すX型無金属フタロシアニン顔料及びそれ
を用いた電子写真感光体について報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のX型無
金属フタロシアニン顔料は、微妙な製造条件の違い(例
えば製造ロット)に依存して、感度および分散性にバラ
ツキが生じ易いという欠点がある。その結果、従来のX
型無金属フタロシアニン顔料を利用して製造された電子
写真感光体についても、その感度が不安定となり、印刷
画像には細線の太りや細り、又はかぶり等が発生すると
いう問題がある。また、従来のX型無金属フタロシアニ
ン顔料は液中で凝集し易いとう欠点がある。従って、電
子写真感光体の感光層を塗布方式により形成する場合
は、フタロシアニン顔料が凝集することに起因して、印
刷画像に黒点または白点状の画質欠陥が生じるという問
題がある。
【0005】本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目
的を達成することを目的とする。即ち、本発明は、感度
および分散性が安定して良好な新規なX型無金属フタロ
シアニン顔料、および該X型無金属フタロシアニン顔料
を安定的に作製し得る製造方法を提供することを課題と
する。また、本発明は、安定的に良好な画質の画像を形
成し得る電子写真感光体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。 <1> CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ
±0.2°)の9.1°及び28.5°における回折強
度をそれぞれS(9.1°)及びS(28.5°)とし
たとき、以下の関係式を満たすことを特徴とするX型無
金属フタロシアニン顔料。 0.1 ≦ {S(9.1°)/S(28.5°)}
≦ 2.0 <2> 下記関係式を満たすX型無金属フタロシアニン
顔料を粉砕処理する工程を有する<1>に記載のX型無
金属フタロシアニン顔料の製造方法。 S(9.1°)/S(28.5°) > 2.0 <3> 粉砕処理が湿式粉砕処理である<2>に記載の
X型無金属フタロシアニン顔料の製造方法。
【0007】<4> <1>に記載のX型無金属フタロ
シアニン顔料を感光層に含有することを特徴とする電子
写真感光体。 <5> <1>に記載のX型無金属フタロシアニン顔料
を感光層に含有する電子写真感光体であって、該感光層
のCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.
2°)の9.1°及び28.5°における回折強度をそ
れぞれS(9.1°)及びS(28.5°)としたと
き、以下の関係式を満たすことを特徴とする電子写真感
光体。 0.1 ≦ {S(9.1°)/S(28.5°)}
≦ 2.0
【0008】本発明者は、従来のX型無金属フタロシア
ニン顔料に粉砕処理を行うことによって、回折強度およ
び分光波長の極大吸収波長λmaxが前記範囲となる、新
規なX型無金属フタロシアニン顔料を見出した。従来の
X型無金属フタロシアニン顔料は、S(9.1°)/S
(28.5°)が2.0より大きい値を有する(以下、
「従来のX型無金属フタロシアニン顔料」という場合
は、この特性のものをいう)。本発明のX型金属フタロ
シアニンは感度および分散性が良好で、且つ従来のX型
無金属フタロシアニン顔料と比較して、感度のばらつき
が少ないという特徴を有する。従って、本発明のX型無
金属フタロシアニンを電子写真感光体に利用すると、該
感光体は安定的に良好な電子写真特性および画質特性を
示す。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のX型無金属フタロシアニ
ン顔料は、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2
θ±0.2°)の9.1°及び28.5°における回折
強度をそれぞれS(9.1°)及びS(28.5°)と
したとき、0.1 ≦ S(9.1°)/S(28.5
°) ≦ 2.0を満たす。S(9.1°)/S(2
8.5°)が0.1より小さい場合は、結晶型がX型か
らβ型に変化しているため、極端な感度低下が起こり、
残留電位が上昇し、分散性が悪化する。一方、S(9.
1°)/S(28.5°)が2.0を超える場合は、上
記した従来のX型無金属フタロシアニン顔料であるの
で、感度にばらつきがあり、分散性が低い。
【0010】前記特性を示す本発明のX型無金属フタロ
シアニンが、感度および分散性が良好であるとともに、
従来のものと比較して感度が安定化している理由につい
ては明らかではないが、本発明のX型無金属フタロシア
ン顔料は、X線回折ピークの強度比を考慮すると、従来
のX型無金属フタロシアニン顔料と比較して、結晶性が
低下しているものと考えられる。この結晶性の低下が、
電荷発生効率の若干の低下を招き、そのことが、感度を
良好に維持しながら、安定化することを可能にしたもの
と考えられる。また、粉砕処理によって凝集体が低減す
るために、液中における分散性が向上したものと考えら
れる。
【0011】本発明のX型無金属フタロシアニンのS
(9.1°)/S(28.5°)は、0.1〜2.0で
あり、0.3〜1.8であるのが好ましい。
【0012】本発明のX型無金属フタロシアニン顔料
は、従来のX型無金属フタロシアニン顔料に粉砕処理を
施すことにより製造することができる。粉砕装置の種
類、粉砕力、および粉砕時間等の粉砕条件は、S(9.
1°)/S(28.5°)の値を指標として、適宜設定
して実施することができる。例えば、粉砕処理によって
得られた無金属フタロシアニン顔料のS(9.1°)/
S(28.5°)が0.1より小さい場合、即ち、β型
無金属フタロシアニン顔料が得られた場合は、顔料に供
与される粉砕力が大き過ぎるか、または粉砕処理時間が
長過ぎるので、用いる粉砕装置をより粉砕力が小さいも
のに替えるか、または粉砕時間を短時間化すればよい。
一方、粉砕処理によって得られた無金属フタロシアニン
顔料のS(9.1°)/S(28.5°)が2.0を超
える場合は、粉砕力が小さ過ぎるか、または粉砕時間が
短過ぎるので、用いる粉砕装置をより粉砕力が大きなも
のに替えるか、または粉砕時間を長時間化すればよい。
粉砕時間については、用いる装置によって異なるが、顔
料の平均粒径が0.5μm以下になるように設定するの
が好ましく、一般的には、24時間以内で行うのが好ま
しく、1〜60分間で行うのがより好ましい。
【0013】前記粉砕処理には、溶剤を使用せずに行う
乾式粉砕処理と、溶剤を使用する湿式粉砕処理がある
が、本発明においては、どちらの方法も使用することが
できる。前記乾式粉砕処理に使用する装置としては、振
動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボー
ルミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミル等
が挙げられる。乾式粉砕後のX型無金属フタロシアニン
顔料の平均粒径は、粉砕時間を調整して、0.5μm以
下、好ましくは0.3μm以下になるようにするのが好
ましい。
【0014】前記湿式粉砕処理に使用する装置として
は、上記乾式粉砕処理における装置が使用できるほか、
超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフル
イダイザー、ジェットミル、アルティマイザー等が挙げ
られる。前記湿式粉砕処理に使用可能な溶剤としては、
公知の溶剤が挙げられるが、感度や分散性に影響を及ぼ
す結晶成長や顔料の凝集を防ぐ溶剤として水が最適であ
る。水は、イオン交換水、純水、蒸留水等の純度の高い
ものが好ましい。湿式粉砕処理に使用する溶剤の量は、
X型無金属フタロシアニン顔料が1重量部に対して、1
〜200重量部であるのが好ましく、5〜100重量部
であるのがより好ましい。また、前記湿式粉砕の処理時
間は乾式粉砕処理と同様に、平均粒径が0.5μm以
下、好ましくは0.3μm以下になるように、調整する
のが好ましい。湿式粉砕処理の温度は、0℃〜溶剤の沸
点、好ましくは10〜80℃が選択される。
【0015】従来のX型無金属フタロシアニン顔料の製
造方法の一例を以下に示す。まず、粗無金属フタロシア
ニンを製造する。前記粗無金属フタロシアニンは、o−
フタロジニトリル、または1,3−ジイミノイソインド
リンを強塩基触媒の存在下で適当な溶媒を用いて加熱反
応させる方法、アルカリ金属フタロシアニンを中間体と
して生成し、次に酸またはアルコールで洗浄する方法
等、種々の方法により製造することができる。これらの
合成方法において使用する溶剤としては、α−クロロナ
フタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレ
ン、メトキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、
ジフェニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエ
ーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル
スルホアミド等の反応不活性な高沸点の溶剤が好まし
い。
【0016】得られた粗無金属フタロシアニンをアシッ
ドペースティング処理する。前記アッシドペースティン
グ処理により、粗無金属フタロシアニンを微粒化すると
ともに、α型無金属フタロシアニン顔料に変換すること
ができる。前記アシッドペースティング処理は、粗無金
属フタロシアニンを硫酸等の酸に溶解するか、または硫
酸塩等の酸塩にしたものを、アルカリ水溶液、水、また
は氷水中に注ぎ、再析出させる方法である。アシッドペ
ースティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、
該硫酸としては、濃度70〜100%のものが好まし
く、95〜100%のものがより好ましい。
【0017】アシッドペースティング処理後、得られた
α型無金属フタロシアニン顔料を、粉砕処理することに
よって、従来のX型無金属フタロシアニン顔料に変換す
ることができる。前記粉砕処理は、溶剤を使用せずに行
う乾式粉砕と溶剤を使用する湿式粉砕のどちらの方法も
使用することができる。粉砕処理に使用する装置として
は、前記例示した装置が挙げられる。但し、本発明のX
型無金属フタロシアニン顔料を製造するための上述の粉
砕処理工程が、微粒子化を目的としているのに対して、
この粉砕処理工程は、α型からX型へ変換することを目
的としているので、本工程では上述の工程と比較して、
粉砕力が小さい装置を利用して実施することができる。
【0018】本発明のX型無金属フタロシアニンは、電
子写真感光体、光ディスク、太陽電池、センサー、脱臭
剤、抗菌剤、非線形光学材料等、種々の用途に利用する
ことができる。本発明のX型無金属フタロシアニン顔料
は、公知のX型無金属フタロシアニンに対してさらに粉
砕処理を行うという簡易な方法で得られるとともに、安
定化した感度を有し、且分散性が改善されているという
特徴を有する。従って、本発明のX型無金属フタロシア
ニン顔料は、感度の微調整が必要である態様、およびフ
タロシアニン顔料の分散液等を塗布する工程により作製
される態様への用途において、特に有効である。
【0019】本発明のX型無金属フタロシアニンの製造
方法は、従来のX型無金属フタロシアニン顔料の感度の
調整方法として利用することができる。即ち、従来のX
型無金属フタロシアニン顔料を、該顔料のCuKα特性
X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の9.1
°及び28.5°における回折強度比{S(9.1°)
/S(28.5°)}を指標として粉砕処理することに
よって、X型無金属フタロシアニン顔料の感度を容易に
調整することができる。例えば、従来のX型無金属フタ
ロシアニン顔料は、製造条件の微妙な違いにより、その
感度が変動するが、前記感度の調整方法を利用すれば、
種々の製造ロットのX型無金属フタロシアニンについ
て、容易に感度を均一化することができる。
【0020】次に、本発明の電子写真感光体について説
明する。本発明の電子写真感光体の一実施形態は、本発
明のX型無金属フタロシアニン顔料を含有する感光層を
有する感光体である。該電子写真感光体としては、導電
性支持体上に、本発明のX型無金属フタロシアニン顔料
を含有する感光層を有する形態が挙げられる。該感光層
は、電荷発生層と電荷輸送層とが積層された積層構造
(積層順については特に制限されない)であっても、電
荷発生能と電荷輸送能の双方を有する層からなる単層構
造であってもよい。また、必要に応じて、感光層と前記
支持体の間に下引き層を設けてもよいし、感光層上に保
護層を設けてもよい。
【0021】前記電子写真感光体に、例えば、コロナ帯
電等により電荷が与えられた後、画像様に光が照射され
ると、感光層中に含有される電荷発生材料であるX型無
金属フタロシアニン顔料が光を吸収し、感光層内に電子
・正孔対が発生する。発生した正孔は、前記フタロシア
ニン顔料と同一または異なる層に含有される電荷輸送材
料によって運ばれ、導電性支持体中に流れ込むとととも
に、正孔を失った電子は感光体表面の正イオンと結合し
て、表面の電荷を放電する。その結果、感光体の表面は
画像様に電荷を失い、感光体の表面には潜像が形成され
る。その後、トナー等の現像剤によって該潜像が現像さ
れ、記録紙等の記録媒体にトナー画像が転写されること
によって画像が形成される。
【0022】感光体の感度は、感光層に含有される電荷
発生材料の電荷発生効率等に影響を受け、該電荷発生効
率は、電荷発生材料が有する光感度や分光感度特性に影
響される。従来のX型無金属フタロシアン顔料は、光感
度や分光感度特性は良好であったが、製造条件の微妙な
違い(例えば、製造ロット)に依存して、性能が大きく
ばらつくという欠点がある。従って、従来のX型無金属
フタロシアニン顔料を使用して電子写真感光体を作製す
ると、電子写真感光体の感度もばらつくという問題があ
り、その結果、形成される画像に細線の太りや細り、又
はかぶりが発生するという問題がある。本発明の電子写
真感光体は、電荷発生材料として、本発明のX型無金属
フタロシアニン顔料を使用しているので、光感度や分光
特性等の特性が良好であるとともに、ばらつきがなく安
定化している。その結果、電子写真感光体の感度につい
ても、良好かつ安定化させることができる。
【0023】前記感光層は、X型無金属タロシアニン顔
料を含有する塗布液を前記支持体上に塗布することによ
って形成することができる。前記塗布液は、本発明のX
型無金属フタロシアニン顔料とともに、結着樹脂を含有
しているのが好ましい。例えば、前記塗布液は、本発明
のX型無金属フタロシアニン顔料と結着樹脂を、任意の
溶剤に混合して分散処理することによって調製すること
ができる。従来のX型無金属フタロシアニン顔料は、塗
布液中で凝集を生じ易く、その結果、感光層中の電荷発
生材料の均一性が低下し、形成される画像に黒点または
白点状の画質欠陥が生じる場合があった。本発明のX型
無金属フタロシアニン顔料は、塗布液中の分散性も良好
であるので、上述の顔料の凝集に起因する画像欠陥を軽
減することができる。
【0024】前記結着樹脂としては、例えば、ポリカー
ボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステ
ル、ポリイミド、ポリエステルカーボネート、ポリビニ
ルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、酢酸ビニ
ル重合体又は共重合体、セルロースエステル又はエーテ
ル、ポリブタジエン、ポリウレタン、フェノキシ、エポ
キシ、シリコーン、フッ素樹脂等、または前記樹脂の部
分架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることがで
きる。尚、前記フタロシアニン顔料と結着樹脂の混合比
は40:1〜1:4であるのが好ましく、20:1〜
1:2であるのがより好ましい。顔料の比率が高すぎる
場合には、塗布溶液の安定性が低下し、低すぎる場合に
は、感度が低下するので、上記の範囲にするのが好まし
い。
【0025】前記塗布液に使用される溶剤としては、メ
タノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアル
コール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサ
ノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、
トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、水等の各種溶剤又はこ
れらの混合物を用いることができる。塗布液の調製に用
いられる分散手段としては、サンドミル、コロイドミ
ル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボ
ールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジ
ナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー
等が利用できる。
【0026】前記感光層において、本発明のX型無金属
フタロシアニン顔料は、電荷発生材料として機能する。
前記感光層において、本発明のX型無金属フタロシアニ
ン顔料を単独で使用できるほか、公知のX型無金属フタ
ロシアニン顔料と混合で使用したり、他の公知の電荷発
生材料と混合して使用することもできる。
【0027】前記感光層が前記積層構造である態様にお
いて、本発明のX型無金属フタロシアニン顔料を含有す
る前記塗布液は、電荷発生層形成用塗布液として用い
る。電荷輸送層用塗布液は、少なくとも、電荷輸送材料
と結着樹脂を所定の溶剤に、溶解および/または分散さ
せることによって調製することができる。前記電荷輸送
材料としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,
N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン、4−ジエチル
アミノベンズアルデヒド−2,2−ジフェニルヒドラゾ
ン、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフ
ェニルアニリン等、公知のものが適宜使用できる。前記
結着樹脂として、前記例示した結着樹脂と同様のものが
使用可能である。また、電荷輸送材料が成膜性を有する
場合は、前記結着樹脂は使用しなくてもよい。尚、電荷
輸送材料と結着樹脂の配合(重量)比は、5:1〜1:
5であるのが好ましく、3:1〜1:3であるのがより
好ましい。電荷輸送材料の比率が高すぎる場合には、電
荷輸送層の機械的強度が低下し、低すぎる場合には、感
度が低下するので、上記の範囲にするのが好ましい。
【0028】前記電荷輸送層には酸化防止剤として、ヒ
ンダードアミン系化合物又はヒンダードフェノール系化
合物を含有させることが好ましい。ヒンダードアミン系
化合物及びヒンダードフェノール系化合物は、修飾的な
置換基に左右されないため、公知の化合物を広く使用す
ることができる。酸化防止剤の総添加量は、添加される
層全体の0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
【0029】前記感光層が前記単層構造である態様にお
いては、前記塗布液は、本発明のX型無金属フタロシア
ニン顔料、電荷輸送材料、及び前記結着樹脂を前記溶剤
に混合、分散し、調製するのが好ましい。尚、電荷輸送
材料と前記結着樹脂との配合比は、1:20〜5:1程
度、及び本発明のX型無金属フタロシアニン顔料と電荷
輸送材料との配合比は、1:10〜10:1程度に設定
するのが好ましい。
【0030】前記塗布液を、導電性支持体上(あるい
は、所定の層上)に塗布する方法としては、スプレーコ
ーテイング法、ワイヤーバーコーテイング法、スプレー
コーテイング法、浸漬コーテイング法、ビードコーテイ
ング法、カーテンコーテイング法等の公知の方法を用い
ることができる。
【0031】前記感光層が積層構造である場合、感光層
を構成している電荷発生層の膜厚は0.01〜5μmで
あるのが好ましく、0.03〜2μmであるのがより好
ましい。感光層を構成している電荷輸送層の膜厚は5〜
50μmであるのが好ましく、10〜40μmであるのが
より好ましい。また、前記感光層が単層構造である場
合、感光層の膜厚は5〜50μmであるのが好ましく、
10〜40μmであるのが好ましい。また、
【0032】前記導電性支持体としては、従来から電子
写真感光体の導電性支持体として使用されている素材を
使用することができ、不透明または実質的に透明である
ものが使用できる。例えば、アルミニウム、ニッケル、
クロム、ステンレス鋼等の金属類、アルミニウム、チタ
ン、ジルコニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、
金、白金、酸化銀、酸化インジウム、ITO等の薄膜を
設けたプラスチックフィルム、ガラスおよびセラミック
ス等、あるいは導電性付与剤を塗布または含浸させた
紙、プラスチックフィルム、ガラスおよびセラミックス
等を挙げることができる。導電性支持体の形状は、ドラ
ム状、シート状、プレート状等、使用目的に合わせて適
宜選択することができる。また、支持体の表面は、必要
に応じて画質に影響の無い範囲で各種の処理を行うこと
ができる。例えば、表面の陽極酸化処理、液体ホーニン
グ等による粗面化処理、薬品処理、着色処理等を行うこ
とができる。
【0033】支持体上には、必要に応じて下引き層を設
けてもよい。下引き層としては、例えば、アルミニウム
陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム
等の無機層、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポ
リアクリル酸、セルロース類、ポリウレタン、ポリイミ
ド、ポリアミド等の有機層、ジルコニウムキレート化合
物、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタニルキレー
ト化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機金属化
合物、シランカップリング剤等の公知のものを用いるこ
とができる。下引き層の膜厚は0.01〜20μm、好
ましくは0.0.1〜10μmの範囲で使用されるのが
最も効果的である。
【0034】前記感光層上には、必要に応じて、保護層
を形成してもよい。該保護層は導電性材料を適当な結着
樹脂中に含有させて形成される。導電性材料としては、
ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−
ビス−(m−トリル)ベンジジン等の芳香族アミノ化合
物、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタン、酸化イン
ジウム、酸化スズ−酸化アンチモン等の金属酸化物を用
いることができるが、これらに限定されるものではな
い。また、この保護層に用いる結着樹脂としては、上記
結着樹脂として例示したものを使用することができる。
上記保護層は、その電気抵抗が109〜1014Ω・cm
となるように構成することが好ましい。この保護層の膜
厚は0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmの範囲
に設定される。
【0035】本発明の電子写真感光体の他の実施形態
は、X型無金属フタロシアニン顔料を感光層に含有する
電子写真感光体であって、該感光層のCuKα特性X線
に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の9.1°及
び28.5°における回折強度をそれぞれS(9.1
°)及びS(28.5°)としたとき、S(9.1°)
/S(28.5°)が0.1以上2.0以下の電子写真
感光体である。本実施の形態の感光体としては、導電性
支持体上に、本発明のX型無金属フタロシアニン顔料を
含有する感光層を有する感光体が挙げられる。
【0036】本発明の電子写真感光体は、レーザー・プ
リンター、LEDプリンター、CRTプリンター等の各
種プリンターや、複写機、FAX、デジタル複合機、フ
ルカラー複写機等のデジタル式電子写真装置、及びその
他の電子写真応用分野に適用することが可能である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。尚、以下の実施例等において、「部」はすべ
て「重量部」を意味するものとする。 [合成例1]o−フタロジニトリル 100部とピペリ
ジン 10部とを、クロルトルエン300部中にて、2
00℃において10時間攪拌しながら反応させ、赤紫色
結晶を得た。次いで、酸、アルカリにより各々洗浄した
後、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−
メチルピロリドンで各々洗浄後、乾燥して、粗無金属フ
タロシアニンを得た。得られた粗無金属フタロシアニン
12部を、0〜5℃に冷却した硫酸(濃度97%)2
00部に十分に溶解し、2000部の純水中に滴下して
再析出させた後、これをろ過し、さらにアルカリ、メタ
ノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピ
ロリドンで各々洗浄後、乾燥して、α型無金属フタロシ
アニン顔料10部を得た。得られたα型無金属フタロシ
アニン顔料 10部を、X型無金属フタロシアニン顔料
0.5部とともに、磁性ボールミルで4日間粉砕処理
を行い、X型無金属フタロシアニン顔料を得た。
【0038】得られたX型無金属フタロシアニン顔料の
粉末X線回折図を図1、赤外線吸収スペクトル図を図2
に示す。尚、X線回折図の測定は、粉末法によりCuK
α特性X線を用いて、以下の条件で行った。 使用測定器 : 理学電機社製X線回折装置Miniflex X線管球 : Cu 管電流 : 15mA スキャン速度 : 5.0deg./min サンプリング間隔 : 0.02deg. スタート角度(2θ) : 5deg. ストップ角度(2θ) : 35deg. ステップ角度(2θ) : 0.02deg.
【0039】このときの、CuKα特性X線に対するブ
ラッグ角度(2θ±0.2°)の9.1°及び28.5
°における回折強度をそれぞれS(9.1°)及びS
(28.5°)としたときの、S(9.1°)/S(2
8.5°)の値を下記表1に示す。
【0040】[実施例1]合成例1で得たX型無金属フ
タロシアニン顔料 5部を、5mmφジルコニア製ビー
ズ 50部とともにアルミナ製ポットに投入した。これ
を小型振動ミル(MB−0型、中央化工機社製)に装着
し、5分間の乾式粉砕を行った。得られたX型無金属フ
タロシアニン顔料の粉末X線回折図を図3、赤外線吸収
スペクトル図を図4に示す。また、S(9.1°)/S
(28.5°)の値を下記表1に示す。
【0041】[実施例2〜5]実施例1において、乾式
粉砕時間を、10分、20分、40分、60分間とした
以外は、実施例1と同様にしてX型無金属フタロシアニ
ン顔料を作製し、それぞれ実施例2〜5とした。それぞ
れのS(9.1°)/S(28.5°)の値を表1に示
す。
【0042】[実施例6]合成例1で得たX型無金属フ
タロシアニン顔料 5部を、電導度0.1μS/cmの
イオン交換水 50部に混合したスラリー液を、超微粒
子化乳化分散装置アルティマイザー((株)スギノマシ
ン社製)を用いて圧力1500kg/cm 2、吐出量3
50ml/minにて、20分間湿式粉砕処理した。そ
の後、遠心分離して水を除去してから真空乾燥し、X型
無金属フタロシアニンを得た。得られたX型無金属フタ
ロシアニン顔料のS(9.1°)/S(28.5°)の
値を下記表1に示す。
【0043】[実施例7〜8]実施例6において、アル
ティマイザーの粉砕処理時間を、5分間、60分間とし
た以外は、実施例6と同様にしてX型無金属フタロシア
ニン顔料を作製し、それぞれ実施例7〜8とした。ま
た、それぞれのS(9.1°)/S(28.5°)の値
を下記表1に示す。
【0044】[比較例1〜5]合成例1と同様の方法で
のX型無金属フタロシアニン顔料の作製を5回行い、そ
れぞれ比較例1〜5とした。また、それぞれのS(9.
1°)/S(28.5°)の値を下記表1に示す。
【0045】[比較例6]実施例1において、乾式粉砕
時間を、155時間とした以外は、実施例1と同様にし
てX型無金属フタロシアニン顔料を作製し、比較例6と
した。得られた顔料の結晶型は、X型からβ型に結晶転
換していた。得られた顔料の粉末X線回折図を図5、赤
外線吸収スペクトル図を図6に示す。また、S(9.1
°)/S(28.5°)の値を下記表1に示す。
【0046】次に、実施例1〜8および比較例1〜6で
作製したフタロシアニン顔料を、各々、電荷発生材料と
して利用した電子写真感光体シートおよび電子写真感光
体ドラム(実施例A〜H、比較例A〜F)を作製し、電
子写真特性、画質特性、および顔料の凝集性を評価し
た。 [実施例A]ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB
M−1、積水化学工業社製) 8部を、n−ブチルアル
コール 152部に溶解させた溶液に、トリブトキシジ
ルコニウムアセチルアセトネートの50%トルエン溶液
(商品名:ZC−540、松本交商社製)100部、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:A11
00、日本ユニカー社製)10部及びn−ブチルアルコ
ール 130部を混合した溶液を、前述のポリビニルブ
チラール樹脂溶液中に加え攪拌して、下引き層用の塗布
液を調製した。この塗布液を50μm厚のアルミニウム
シート上に浸漬塗布し、150℃において10分間加熱
乾燥し、1.0μm厚の下引き層を形成した。一方、ポ
リビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化
学工業社製)1部を酢酸−n−ブチル 100部に溶解
させた溶液と、実施例1で得られたX型無金属フタロシ
アニン顔料 1部を混合し、ガラスビーズとともに、3
時間サンドミルで分散し、電荷発生層形成用塗布液を調
製した。得られた塗布液を、前記下引き層の上に浸漬塗
布し、100℃で10分間加熱乾燥し、0.20μm厚
の電荷発生層を形成した。
【0047】次に、形成された電荷発生層上に電荷輸送
層を形成した。即ち、N,N’−ジフェニル−N,N’
−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニ
ル]−4,4’−ジアミン 4部を電荷輸送材料とし、
ポリカーボネートZ樹脂 6部とともに、モノクロロベ
ンゼン 40部に溶解させ、得られた溶液を浸漬塗布装
置によって、前記電荷発生層上に塗布し、120℃で4
0分間加熱乾燥して、20μm厚の電荷輸送層を形成
し、電子写真感光体シートを作製した。
【0048】また、40mmφ×319mmのアルミニ
ウムパイプを、湿式ホーニング処理して、中心線平均粗
さRaが0.15μmとなるように粗面化し、この上に
上記下引き層用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、およ
び電荷輸送層用塗布液を順次塗布して電子写真感光体ド
ラムを作製した。
【0049】ここで、得られた電子写真感光体の感光層
のX線回折図を図7に示す。また、感光層のS(9.1
°)/S(28.5°)の値を下記表2に示す。
【0050】[実施例B〜H]実施例Aにおいて、実施
例1のX型無金属フタロシアニン顔料の代わりに、実施
例2〜6のX型無金属フタロシアニン顔料を使用した以
外は、実施例Aと同様にして電子写真感光体シートおよ
び電子写真感光体ドラムを作製し、それぞれ実施例B〜
Hとした。実施例B〜Hの感光層のS(9.1°)/S
(28.5°)の値を各々下記表2に示す。
【0051】[比較例A〜F]実施例Aにおいて、実施
例1のX型無金属フタロシアニン顔料の代わりに、比較
例1〜6のX型無金属フタロシアニン顔料を使用した以
外は、実施例Aと同様にして、電子写真感光体シートお
よび電子写真感光体ドラムを作製した。ここで得られた
比較例Aの電子写真感光体における感光層のX線回折図
を図8に示す。また、比較例A〜Fの感光層のS(9.
1°)/S(28.5°)の値を各々下記表2に示す。
【0052】[評価] −電子写真特性− 得られた各電子写真感光体シートを、静電複写紙試験装
置(EPA8200:川口電機社製)を用いて、20m
mφの小面積マスクを介して負帯電させた。帯電は、2
0℃・50%RHの環境下で、−5.0kVのコロナ放
電により行った。次に、干渉フィルターを用いて780
nmに分光したハロゲンランプ光を、負帯電させた各感
光体シートの表面上において5.0μW/cm2になる
ように調整して照射した。この際の初期表面電位V
0(V)と、V0が1/2になるまでの半減露光量E1/2
(μJ/cm2)、及び露光から10秒後の残留電位VR
(V)を各々測定した。これらの結果を下記表1に示
す。
【0053】−画質特性− 得られた各電子写真感光体ドラムを、レーザープリンタ
ー(XP−15、富士ゼロックス社製)に装着して画質
評価を行った。このとき、各々の電子写真感光体ドラム
の感度がそれぞれ異なっているため、ROSの光量を調
整して画像濃度が一定になるようにした。結果を下記表
2に示す。
【0054】−凝集性− さらに、各々の電荷発生層用塗布液の分散性の評価を行
うために、ガラスプレート上に電荷発生層を形成し、顕
微鏡により各々観察した。凝集体が見られないものを良
好とし、凝集体が観察されたり、塗膜表面がざらついて
いるものを不良とした。これらの結果を下記表2に示
す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】比較例1〜5のX型無金属フタロシアニン
顔料は、感度および分散性のばらつきが大きいため、そ
の結果、これを電荷発生材料として利用した電子写真感
光体の感度や、形成された画像の画質のばらつきが大き
かった。一方、実施例1〜8のX型無金属フタロシアニ
ン顔料は、感度および分散性が良好であり、且つそのば
らつきも小さいので、これを電荷発生材料として利用し
た電子写真感光体は、良好な画質特性を有していた。ま
た、実施例の結果から、公知のX型無金属フタロシアニ
ン顔料に粉砕処理を施すことにより、本発明のX型無金
属フタロシアニン顔料に変換させることができ、感度等
を安定化できることが確認できた。このことは、あらか
じめ粉砕処理条件と感度の関係を確認すれば、感度のロ
ット・バラツキが生じても簡単に目的の感度に調整する
ことが可能であることを示す。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、感度および分散性が安
定して良好な新規なX型無金属フタロシアニン、および
該X型無金属フタロシアニンを安定的に作製し得る製造
方法を提供することができる。また、本発明によれば、
安定的に良好な画質の画像を形成し得る電子写真感光体
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1で得られたX型無金属フタロシアニ
ン顔料の粉末X線回折図である。
【図2】 合成例1で得られたX型無金属フタロシアニ
ン顔料の赤外線吸収スペクトル図である。
【図3】 実施例1で得られたX型無金属フタロシアニ
ン顔料の粉末X線回折図である
【図4】 実施例1で得られたX型無金属フタロシアニ
ン顔料の赤外線吸収スペクトル図である
【図5】 比較例6で得られた顔料の粉末X線回折図で
ある。
【図6】 比較例6で得られた顔料の赤外線吸収スペク
トル図である。
【図7】 実施例Aで得られた電子写真感光体における
感光層の粉末X線回折図である。
【図8】 比較例Aで得られた電子写真感光体における
感光層の粉末X線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 憲治 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA19 BA38

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuKα特性X線に対するブラッグ角度
    (2θ±0.2°)の9.1°及び28.5°における
    回折強度をそれぞれS(9.1°)及びS(28.5
    °)としたとき、以下の関係式を満たすことを特徴とす
    るX型無金属フタロシアニン顔料。 0.1 ≦ {S(9.1°)/S(28.5°)}
    ≦ 2.0
  2. 【請求項2】 下記関係式を満たすX型無金属フタロシ
    アニン顔料を粉砕処理する工程を有する請求項1に記載
    のX型無金属フタロシアニン顔料の製造方法。 S(9.1°)/S(28.5°) > 2.0
  3. 【請求項3】 粉砕処理が湿式粉砕処理である請求項2
    に記載のX型無金属フタロシアニン顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のX型無金属フタロシア
    ニン顔料を感光層に含有することを特徴とする電子写真
    感光体。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のX型無金属フタロシア
    ニン顔料を感光層に含有する電子写真感光体であって、
    該感光層のCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2
    θ±0.2°)の9.1°及び28.5°における回折
    強度をそれぞれS(9.1°)及びS(28.5°)と
    したとき、以下の関係式を満たすことを特徴とする電子
    写真感光体。 0.1 ≦ {S(9.1°)/S(28.5°)}
    ≦ 2.0
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